【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、特に、独立請求項の主題によって実現することができる。有利な実施形態および改良形態は、従属請求項の主題である。しかし本明細書では、請求される概念に加えて、さらに有利な概念を開示することができる。
【0007】
一態様は、第1の状態および第2の状態を含む吸入デバイス用の用量カウント機構に関し、この機構は、使用者の吸引空気流によって第1の状態から第2の状態へ変化するように構成される。
【0008】
用量カウント機構を動作させるために、相互作用部材を使用することができ、相互作用部材は、この機構に含まれる。相互作用部材は、用量カウント機構のカウント機能を動作させるように有効にされる。これは特に、相互作用部材と機構の他の部分との相互作用によって行うことができる。具体的には、相互作用部材は、機構の他の部分と相互作用して、カウント数を増分または減分させることができる。
【0009】
用量カウント機構の状態は、用量カウント機構の部分の、互いに対する相対的な場所に対応することができる。具体的には、用量カウント機構の2つの部分は、用量カウント機構の第1の状態および第2の状態の一方で、互いに係合することができる。さらに、前記2つの部分は、用量カウント機構の第1の状態および第2の状態の他方で、互いに係合解除することができる。2つの部分は、相互作用部材およびカウント部材とすることができる。
【0010】
具体的には、第2の状態は、カウント機構の起動状態とすることができる。さらに、第1の状態は、カウント機構の停止状態とすることができる。
【0011】
用量カウント機構の第2の状態は、用量カウント機構がカウント数を増分または減分させるように有効にされる状態とすることができる。さらに、第1の状態は、用量カウント機構が事前の起動なくカウント数を増分させることが防止される状態とすることができる。
【0012】
本開示はさらに、用量カウント機構および作動要素からなる吸入デバイスに関し、作動要素は、吸入デバイスの用量送達動作中に動かされるように構成され、カウント機構は、第1の状態および第2の状態を有し、カウント機構は、使用者の吸引空気流によって第1の状態から第2の状態へ変化するように構成され、用量カウント機構は、相互作用部材およびカウント部材を備え、カウント部材は、カウント数をカウントし、相互作用部材は、カウント部材と相互作用してカウント数を増分または減分させるように有効にされ、相互作用部材は、吸入デバイスの作動要素の一体部分であり、または作動要素に固定することができる。
【0013】
吸入デバイスの用量送達動作中に動かされる作動要素は、用量送達機構の一部とすることができる。作動要素は、カウント機構以外の目的で、吸入デバイス内で必要とされることがある。作動要素は、用量送達動作の際に使用者の吸引空気流によって動かされるように構成することができる。作動要素の動きは、用量送達動作の際に必要とされることがある。
【0014】
カウント機構は作動要素と協働するように構成することができるため、カウント機構に必要とされる構成要素の数を削減することができる。具体的には、相互作用部材が作動要素に固定され、またはさらに作動要素によって一体形成されるため、カウント機構に必要とされる構成要素の数を削減することができる。具体的には、作動要素の動きを、カウント機構の状態を変更することができる。作動要素の動きを、相互作用部材によってカウント機構のさらなる要素へ転移することができる。たとえば、相互作用部材は、作動要素の動きをカウント部材の動きに転移するように構成することができる。
【0015】
用量カウント機構は、数を増分または減分させるように構成することができる。具体的には、カウント数は、デバイス内に残っている用量の数に対応することができる。この場合、各用量送達後、カウント数を1ずつ減分させることができる。
【0016】
用量カウント機構は、アセンブリ、具体的にはいくつかの部分からなるアセンブリとすることができる。
【0017】
好ましくは、用量カウント機構は、用量送達が吸入デバイスによって実際に実施された場合にのみカウント数の増分または減分が有効にされるように構成される。具体的には、吸入デバイスは、使用者の吸引空気流が用量の送達を引き起こすように構成することができ、したがって空気流は、送達に対応すると見なすことができる。
【0018】
しかし、用量の送達に対応する第1の吸引を実行した後、使用者は、たとえば係合部材をデバイスのハウジングに係合し、その後係合解除することによって、吸入デバイスに負荷をかけることなく、吸入デバイスのマウスピースから再び吸引することができる。この第2の吸引は、吸入に負荷がかかっていないため、第2の用量送達をトリガすることができない。好ましくは、用量カウント機構は、この場合に用量カウント機構がカウント数を変化させないように構成される。好ましくは、使用者の吸引は、用量カウント機構の状態を第2の状態へ変更するが、実際にはカウント数の変化を招かない。
【0019】
それによって、第2の吸引が誤ったカウントをトリガしないことが確実になる。具体的には、負荷のかかっていない吸入デバイスで実行される第2の吸引は、用量カウント機構の状態を変更しない。
【0020】
一実施形態では、カウント機構は、カウント機構が第2の状態であるときのみ、カウント数をカウント、すなわち増分または減分させるように有効にされる。言い換えれば、カウント機構は、事前に、増分のために起動された第2の状態になっているはずである。したがって、カウント機構が第1の状態であるとき、カウント機構は、カウント数を増分または減分させることが防止される。それによって、偶発的なカウントが生じないことが確実になる。
【0021】
カウント数の増分または減分は、係合部材、たとえばキャップをデバイスのハウジングに係合させることによって引き起こすことができる。
【0022】
一実施形態では、カウント機構は、第2の状態から第1の状態への変化がカウント数を増分または減分させるように構成される。具体的には、カウント機構は、係合部材、たとえばキャップ部材を吸入デバイスのハウジングに係合させることによって、第1の状態へ変化させることができる。
【0023】
カウント数は、カウント機構が事前に第2の状態へ変更された場合のみ、係合部材をハウジングに係合させることによって増分または減分される。それによって、以下のシナリオで誤ったカウントが防止される:すなわち、使用者は、キャップ部材をハウジングから係合解除する。使用者は、吸入を実行しない。したがって、用量が送達されない。次いで使用者は、キャップ部材をハウジングに係合させる。キャップ部材の単なる係合解除および係合では、用量カウント機構の状態は変更されない。具体的には、用量カウント機構は、第1の状態、具体的には停止状態のままである。したがって、キャップ部材をハウジングに係合させることで、用量カウント機構の状態は変更されず、したがって、カウント数の変化を招かない。用量が事前に送達されている場合、キャップ部材の係合は、カウント数の変化を招くはずである。具体的には、用量カウント機構は、第2の状態から第1の状態へ変更され、それによってカウント数を変化させるはずである。
【0024】
言い換えれば、用量カウント機構は、第1の工程で係合部材がハウジングから係合解除され、第2の工程で使用者がマウスピースから吸引を実行し、第3の工程で係合部材がハウジングに係合された場合のみ、カウント数が増分されるように構築される。それによって、用量カウント機構は、以下の2つのシナリオで誤ったカウントを防止する:すなわち、
【0025】
使用者は、第2の工程を省くことがあり、すなわち係合部材が係合解除され、その後用量が投薬されることなくハウジングに再び係合される。用量カウント・メカニム(mechanim)は、このシナリオで、カウント数の増分または減分が引き起こされないように構成される。第2のシナリオでは、使用者は、第2の工程で2回の吸引を実行する。しかし、この場合、1つの用量だけが送達される。用量カウント機構は、このシナリオで、カウント数が1回だけ増分または減分されるように構成される。
【0026】
吸入デバイスは、用量送達動作中に動かされる要素、すなわち用量送達動作中に軸方向に遠位方向で動かされる作動要素を備える。具体的には、作動要素は、使用者の吸引空気流によって動かされる。さらに、用量カウント機構は、作動要素に固定された相互作用部材を備える。したがって、相互作用部材は、作動要素の軸方向運動に追従する。さらに、用量カウント機構のカウント数は、作動要素の動きによって相互作用部材が事前に変位されている場合にのみ変更することができる。
【0027】
カウント機構の第2の状態は、用量送達のための作動要素の動きによって相互作用部材が動かされることに対応する。したがって、カウント機構の第1の状態は、用量送達が実行される前に相互作用部材および作動要素が第1の位置にあることに対応する。
【0028】
さらに、係合部材がハウジングに係合され、用量が事前に送達されているとき、この係合処理中に作動要素が動かされ、それによって相互作用部材が動かされる。この動きは、カウント数の増分または減分に対応する。
【0029】
一実施形態では、カウント機構は、カウント部材と、カウント部材と相互作用してカウント数を変化させるように有効にされた相互作用部材とを備える。カウント部材は、歯車を備えることができる。相互作用部材は、直接、またはカップリング部材を介して、カウント部材と相互作用することができる。
【0030】
この場合、相互作用部材がホイールの回転を引き起こすように有効にすることができる。好ましくは、歯車は、デバイス内に残っている用量の数に対応できる数字を備える。用量カウント機構は、相互作用部材と歯車とが相互作用するように構成することができ、その結果、歯車がデバイス内に残っている用量の数を表示するように構成される。
【0031】
カウント機構は、複数のホイールを備えることができる。具体的には、カウント機構は、第1の歯車、第2のホイール、および第3のホイールを備えることができる。第1の歯車は、残っている用量の数の1の位に対応することができ、第2のホイールは、10の位に対応することができ、第3のホイールは、100の位に対応することができる。相互作用部材は、第1の歯車と直接相互作用するように構成することができる。第1の歯車は、第2のホイールと直接相互作用するようにさらに構成することができる。さらに、第2のホイールは、第3のホイールと直接相互作用するように構成することができる。
【0032】
第2のホイールおよび第3のホイールも、同様に歯車とすることができる。しかし、これらのホイール間の他のカップリングも可能である。
【0033】
さらに、これらのホイールの他の実施形態も同様に可能である。具体的には、用量カウント機構は、数字を備える1つまたは2つのホイールのみを備えることができる。別法として、第1の歯車は、歯車の回転を表示ユニットの更新に変換する別の表示ユニット、たとえば電子または機械式ディスプレイにカップリングすることができる。
【0034】
一実施形態では、用量カウント機構は、カップリング部材をさらに備えることができる相互作用部材は、カップリング部材に作用するように構成され、カップリング部材は、相互作用部材の動きをカウント部材へ伝えるように有効にされる。具体的には、カップリング部材は、ゼネバ車(Geneva wheel)または歯車とすることができる。
【0035】
さらに、カップリング部材は、歯車を備えることができ、相互作用部材は、カウント機構が第1の状態から第2の状態へ変更されたときに歯車の歯に沿って摺動するように構成することができる。
【0036】
一実施形態では、カップリング部材とカウント部材は、単一の要素によって形成される。言い換えれば、カップリング部材は、カウント部材の一体部分として提供することができる。
【0037】
一実施形態では、相互作用部材は、カウント機構が第1の状態から第2の状態へ変化させられたときに、歯車の歯に沿って、具体的には歯車の歯の上面に沿って摺動するように構成される。好ましくは、歯の側面に沿って摺動することによって、歯車は動かされない。しかし、相互作用部材を、歯車を動かす準備のできた位置へ転移させることができる。
【0038】
一実施形態では、機構は、カウント機構が第2の状態から第1の状態へ変更されたときに相互作用部材が歯に作用し、それによってカウント数を増分または減分させるように構成される。具体的には、相互作用部材は、歯を押すことができる。それによって、相互作用部材は、第1の歯車を所定の角度だけ回転させることができる。
【0039】
歯車の歯は、各々2つの相互作用面を備えることができる。第1の相互作用面は、歯の上面とすることができる。第2の相互作用面は、歯の側面とすることができる。用量カウント機構は、相互作用部材が歯車を動かすことなく上面に沿って摺動することができるように構成することができる。具体的には、カウント機構が第1の状態であるとき、相互作用部材に当接する歯の上面は、吸入デバイスの長手方向軸および相互作用部材の長手方向軸に対して傾斜させることができる。
【0040】
さらに、側面は、相互作用部材が側面に作用することができ、すなわち側面に力を転移することができるように構成することができる。この力は、第1の歯車に対して接線方向に、具体的には第1の歯車の回転軸に対して直角に誘導することができる。それによって、この力は、歯車の回転を引き起こすことができる。具体的には、カウント機構が第2の状態になったとき、相互作用部材に当接する歯の側面は、相互作用部材の長手方向軸および吸入デバイスの長手方向軸に対して実質上直角とすることができる。
【0041】
さらに、第1の歯車の完全な回転後、第2のホイールが所定の角度だけ回転させられるように、第1の歯車が第2のホイールおよび第3のホイールと相互作用するように有効にすることができる。さらに、第2のホイールの完全な回転後、第3のホイールを所定の角度だけ回転させることができる。
【0042】
一実施形態では、相互作用部材は偏向可能である。具体的には、相互作用部材は、偏向可能なスティックを構成することができる。相互作用部材は、プラスチック材料によって形成することができる。具体的には、相互作用部材は、射出成形によって形成することができ、吸入デバイスの作動要素と係合するように構成することができ、または作動要素の一体部分とすることができる。好ましくは、相互作用部材は、作動要素を動かすのに必要とされる力をあまり増大しないように軽い重量を含む。作動要素は、ピストンを構成することができる。
【0043】
一実施形態では、用量カウント機構は、相互作用部材がカウント機構の第1の状態で偏向されるように構成することができる。さらに、一実施形態では、相互作用部材はカウント機構の第2の状態では偏向されない。したがって、カウント機構を第1の状態から第2の状態へ変更することは、相互作用部材を第1の状態から第2の状態へ、具体的には偏向した状態から偏向していない状態へシフトさせることに対応することができる。
【0044】
一実施形態では、用量カウント機構は、吸入デバイスを起動させるのに必要とされる減圧(underpressure)の量を調整するばねをさらに備える。ばねは、相互作用部材に、または吸入デバイスの作動要素にカップリングすることができる。
【0045】
好ましくは、吸入デバイスは、使用者の吸引空気流によって起動される。使用者の吸引空気流はカウント機構をも第1の状態から第2の状態へ変更するため、吸入デバイスを起動させるために使用者の吸引空気流によって加えられる必要のある力は、用量カウント機構によって増大されることがある。この作用は、ばねによって正常に戻すことができる。具体的には、ばねは、相互作用部材によって作動要素に加えられる力とは反対に誘導される力を作動要素に加えることができ、たとえばばねは、吸入デバイスのマウスピースに向かって力をピストンに加えることができる。
【0046】
一態様によれば、本開示は、上記で開示した用量カウント機構を備える吸入デバイスに関する。具体的には、前記用量カウント機構は、吸入デバイスの作動要素にカップリングすることができる。作動要素は、ピストンを構成することができる。具体的には、作動要素は、使用者の吸引空気流によって作動可能な呼吸アクチュエータとして構成することができる。
【0047】
一実施形態では、吸入デバイスは、ハウジングと、ハウジングに係合可能な係合部材とをさらに備えることができる。カウント機構は、係合部材がハウジングに係合されているときに第1の状態とすることができる。係合部材をハウジングに係合させる前にカウント機構が第2の状態である場合、係合部材をハウジングに係合することによって、カウント機構を第2の状態から第1の状態へ変更することができる。係合部材をハウジングに係合する前にカウント機構が第1の状態である場合、係合部材がハウジングに係合されたとき、カウント機構は第1の状態のままである。一例として、係合部材はキャップとすることができる。
【0048】
好ましくは、キャップがハウジングに係合されているとき、用量の送達は可能でない。したがって、カウント用量の増分は用量が投薬される場合にのみ必要とされるため、キャップが係合されている状態でカウント機構を起動させる必要はなく、すなわち第2の状態へ変更する必要はない。具体的には、用量カウント機構および吸入デバイスは、キャップがハウジングから係合解除されたときにデバイス内に残っている用量の正確な数がカウント機構によって示されるように構成することができる。
【0049】
一実施形態では、吸入デバイスは、使用者の吸引空気流によって第1の位置から第2の位置へ変位可能な作動要素を備える。第1の位置は、第2の位置より遠位の位置とすることができる。具体的には、第1の位置は、第2の位置より吸入デバイスのマウスピースに近くすることができる。
【0050】
好ましくは、カウント機構は、作動要素にカップリングされており、作動要素の変位によって第1の状態から第2の状態へ変更可能である。逆も同様であり、カウント機構は、作動要素の変位によって第2の状態から第1の状態へ変更可能とすることができる。作動要素が第1の位置にある場合、用量の送達を防止することができる。作動要素が第2の位置にある場合、用量の送達を有効にすることができる。
【0051】
好ましくは、カウント機構の相互作用部材は、作動要素にカップリングされており、作動要素の変位によって第1の状態から第2の状態へ変更可能である。具体的には、相互作用部材は、相互作用部材が用量送達動作中に作動要素の軸方向運動に追従するように、作動要素にカップリングすることができる。
【0052】
さらに、キャップをハウジングに係合させることで、作動要素を第2の位置から第1の位置へ動かすことができる。好ましくは、吸入デバイスは、第1の吸引と連続する第2の吸引との間でキャップがハウジングに係合されている場合にのみ用量送達が実行されるように構成される。
【0053】
一実施形態では、カウント機構は、作動要素を第1の位置から第2の位置へ変位させることによって、第1の状態から第2の状態へ変化するように構成することができる。作動要素は、使用者の吸引空気流によって変位させることができる。
【0054】
好ましくは、カウント用量は、用量カウント機構が第2の状態へ変更されたときにのみ増分または減分され、その後、キャップはハウジング上へ戻される。それによって、間にキャップをハウジングに係合させなかった2つの吸引を誤って2重にカウントすることが防止される。この場合、第1の吸引のみが用量送達に対応する。第2の吸引は、用量送達をトリガしない。
【0055】
一実施形態では、吸入デバイスは、平衡化部材を備えることができる。具体的には、相互作用部材と平衡化部材とはどちらも、作動要素に配置することができる。平衡化部材は、相互作用部材とは反対側に配置することができる。平衡化部材は、作動要素が相互作用部材の重量によって片側へ傾斜するのを防止することができる。したがって、平衡化部材は、作動要素を平衡にする。
【0056】
一実施形態では、ハウジングは、カウント機構のカウント数を示す窓を備えることができる。したがって、この窓を通じて、歯車の一部を見えるようにすることができる。具体的には、第1の歯車の1つの数字、第2のホイールの1つの数字、および第3のホイールの1つの数字を、窓を通じて見えるようにすることができる。
【0057】
さらなる特徴および改良形態は、添付の図に関連する例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0058】
代替実施形態によれば、少なくとも1用量の薬剤を送達する吸入デバイスが提供され、この吸引デバイスは、代替用量カウント機構と、所与の数の用量、具体的には所定の数の用量が送達されたときに吸入デバイスの動作を防止するロックアウト機構とを備える。ロックアウト機構によって防止されるように構成されるこの動作は、吸入デバイスの用量送達動作とすることができる。代替用量カウント機構はまた、第1の状態および第2の状態を有し、用量カウント機構は、使用者の吸引空気流によって第1の状態から第2の状態へ変化するように構成される。
【0059】
具体的には、代替用量カウント機構は、吸入デバイスの作動要素にカップリングされた相互作用部材を備えることができる。さらに、代替用量カウント機構は、カップリング部材およびカウント部材を備えることができる。カップリング部材は、第1の方向、たとえば近位方向での相互作用部材の動きが、カウント部材の動きに転移され、カウント数の増分または減分に転移されるように構成することができる。この文脈で、「近位端」という用語は、デバイスの投薬端から最も遠く離れた吸入デバイスの端部またはデバイスの一部の端部を指すことができる。したがって、近位方向の動きとは、近位端に向かう動きである。さらに、カップリング部材は、第2の方向、たとえば遠位方向での相互作用部材の動きが、カウント部材の動きに転移されず、それによってカウント数が変更されないように構成することができる。「遠位端」という用語は、投薬端に最も近い吸入デバイスの端部または吸入デバイスの一部を指すことができる。したがって、遠位方向の動きとは、遠位端に向かう動きである。
【0060】
好ましくは、この動作は、所与の数の用量が送達された後、ロックアウト機構によって恒久的に防止される。たとえば、所与の数の用量が送達された後、ロックアウト機構の阻止要素が、相互作用部材に係合することができ、それによって相互作用部材のさらなる動き、具体的には相互作用部材の軸方向運動を防止する。具体的には、ロックアウト機構がこの動作を防止した後は、デバイスのハウジングが開かれてロックアウト機構が解放された場合のみ、この動作を再び可能にすることができる。好ましくは、ロックアウト機構をロック解除するために、薬剤容器を交換または再充填する必要がある。この場合、デバイスは、容器の交換を可能にする再利用可能なデバイスになるように構成することができる。ロックアウト機構は、容器が空のとき、すなわち容器が医療用物質を含まないとき、吸入デバイスの動作を防止するように構成することができる。
【0061】
別法として、デバイスは、ロックアウト機構がデバイスをロックした後、すなわち動作を防止した後、その動作を再び有効にすることが一切できなくなるように構成することができる。この場合、デバイスは、デバイスがロックされた後に処分されるように構成することができる。
【0062】
使用者が動作を実行するとき、動作に成功したことを使用者に伝える可聴または可視フィードバックを使用者に提供することができる。しかし、動作がロックアウト機構によって防止された場合、フィードバックが提供されないことによって、動作がうまく実施されなかったことを使用者に警告することができる。したがって、フィードバックがないことで、以前の投与動作によって所与の数の用量がすでに送達されており、したがってデバイスが使い尽くされていることを使用者に示すことができる。
【0063】
用量の所与の数は、具体的には、吸入デバイスによって提供することができる用量の総数、具体的には薬剤容器によって提供される用量の数に対応することができる。したがって、ロックアウト機構は、デバイスが空のためにさらなる用量を送達することができないとき、動作を防止する。
【0064】
一実施形態では、ロックアウト機構によって防止されるように構成されるこの動作は、吸入デバイスの用量送達動作である。しかし、用量設定動作もやはり可能とすることができる。具体的には、デバイスは、動作中、具体的には用量送達動作中に、要素、具体的にはデバイスの駆動機構の要素を動かさなければならないように構成することができる。ロックアウト機構は、前記要素の動きを防止し、それによって用量送達動作を防止することができる。
【0065】
一実施形態では、ロックアウト機構は、阻止位置を有する阻止要素を備え、阻止要素が阻止位置にあるとき、吸入デバイスの動作は防止される。
【0066】
具体的には、阻止要素は、デバイスの動作中、具体的には用量送達動作中に動かさなければならない要素の動きを防止することができる。具体的には、阻止要素は、デバイスのハウジングに対する要素の動きを防止することができる。一例として、阻止要素は、要素に係合することができ、たとえば阻止要素は、要素を機械的に固定することができる。
【0067】
一実施形態では、阻止要素は、所与の数の用量が送達されていない場合に吸入デバイスの動作を可能にする非阻止位置をさらに有する。非阻止位置では、阻止要素は、動作、具体的には用量送達動作の際に動くように構成された要素に機械的に係合することができない。それによって、用量送達動作を可能にすることができる。
【0068】
一実施形態では、吸入デバイスは、所与の数の用量が送達されたときに阻止要素が非阻止位置から阻止位置へ変化するように構成される。具体的には、デバイスは、所与の数の用量が送達され、さらにキャップが吸入デバイスのハウジング上へねじ留めされたときに、阻止要素が非阻止位置から阻止位置へ変化するように構成することができる。キャップをハウジング上へねじ留めすることで、用量カウント機構の更新を引き起こすことができる。用量カウント機構が更新され、したがって所与の数の用量をカウントしたとき、阻止位置への阻止要素の動きを引き起こすことができる。したがって、デバイスは、所与の数の用量が送達されて用量カウント機構が更新されたときに阻止要素が阻止位置へ動くように構成することができる。
【0069】
具体的には、所与の数の用量が送達されたとき、阻止要素の非阻止位置と阻止位置との間の経路が開け、その結果、阻止要素は、動作中、具体的には用量送達中に動かされる要素に係合することが可能になる。前記要素は、作動要素にカップリングされた相互作用部材とすることができる。したがって、阻止要素は、相互作用部材の動き、たとえば遠位方向での軸方向運動を防止し、さらに、相互作用部材は作動要素にカップリングされているため、阻止要素はまた、作動要素の動き、たとえば遠位方向での軸方向運動を防止する。
【0070】
一実施形態では、用量カウント機構は複数の用量をカウントし、具体的には、用量カウント機構は、たとえばデバイス内に残っている用量の数またはデバイスによって送達された用量の数に対応する値を増分または減分させることができる。
【0071】
用量カウント機構は、前記用量の数に関する情報を使用者に提供することができる。したがって、用量カウント機構は、使用者にとっての吸入デバイスの使いやすさを高めることができる。
【0072】
一実施形態では、ロックアウト機構は、用量カウント機構によってカウントされる数が第1の所定の数値を有するときに吸入デバイスの動作を防止するように構成することができる。この第1の所定の数値は、所与の数の用量に対応することができる。ロックアウト機構はまた、カウント数が第1の所定の数値を有するときに用量カウント機構のさらなる動作を防止することができる。ロックアウト機構によって防止される用量カウント機構の動作は、数を増分または減分させることとすることができる。
【0073】
一実施形態では、用量カウント機構は、カウント部材を備えることができる。カウント部材は、ホイールを備えることができる。好ましくは、カウント部材は可動式であり、具体的には回転可能である。カウント部材は、少なくとも第1の構成および第2の構成、具体的には第1の向きおよび第2の向きを有することができる。好ましくは、カウント部材は、カウント部材が第1の構成であるときに阻止要素の動きを防止するように構成される。さらに、カウント部材は、第2の構成であるとき、阻止要素の動きを可能にすることができる。一例として、カウント部材が第1の構成から第2の構成へ動かされるとき、非阻止位置から阻止位置への阻止部材の動きを可能にすることができる。別法として、第1の構成から第2の構成へのカウント部材の動きは、阻止部材の動きを可能にすることができるが、この動きは阻止位置への動きではない。したがって、動きが可能にされた後、阻止部材はやはり非阻止位置に位置することができる。
【0074】
カウント部材は、カウント部材が第2の構成であるときに阻止要素の動きを可能にする経路を提供することができる。経路要素は、カウント部材内に設けられた開口部、具体的にはカウント部材を通る孔を構成することができる。好ましくは、経路は、カウント部材内で、カウント部材の中心とは異なる位置に設けられる。それによって、カウント部材の中心を通って延びる軸の周りをカウント部材が回転すると、経路の位置は変更される。
【0075】
カウント部材は、数字を備えることができる。具体的には、カウント部材は、その側面上に数字を備えることができる。側面は、カウント部材の対称軸から離れる方を向く表面とすることができる。
【0076】
一実施形態では、阻止要素は、経路と阻止要素とが位置合わせされたときに阻止位置へ動くように有効にされる。具体的には、カウント部材が第2の構成であるときに、阻止要素と経路とを位置合わせすることができる。好ましくは、カウント機構は、所与の数の用量が送達され、カウント機構が所与の数をカウントしたときに、経路と阻止要素とが位置合わせされるように構成される。この経路は、阻止要素の動きを、具体的には動作中に動かさなければならない要素への接触が阻止要素によって防止されることを可能にする動きを可能にすることができる。
【0077】
一実施形態では、用量カウント機構は、第2のカウント部材を備えることができる。第2のカウント部材は、第1のカウント部材に類似の形状を有することができる。
【0078】
具体的には、第2のカウント部材は、ホイールを提供することができる。好ましくは、第2のカウント部材は可動式であり、具体的には回転可能である。第2のカウント部材は、少なくとも第1の構成および第2の構成、具体的には第1の向きおよび第2の向きを有することができる。好ましくは、第2のカウント部材は、第2のカウント部材が第1の構成であるときに阻止要素の動きを防止するように構成される。さらに、第2のカウント部材は、第2の構成であるとき、阻止要素の動きを可能にすることができる。
【0079】
第2のカウント部材は、第2のカウント部材が第2の構成であるときに阻止要素の動きを可能にする経路を備えることができる。この経路は、第2のカウント部材内に設けられた開口部、具体的には第2のカウント部材を通る孔を構成することができる。好ましくは、経路は、第2のカウント部材内で、カウント部材の中心とは異なる位置に設けられる。それによって、第2のカウント部材の中心を通って延びる軸の周りを第2のカウント部材が回転すると、経路の位置は変更される。
【0080】
第2のカウント部材は、数字を備えることができる。具体的には、第2のカウント部材は、その側面上に数字を備えることができる。側面は、第2のカウント部材の対称軸から離れる方を向く表面とすることができる。
【0081】
吸入デバイスは、すべてのカウント部材がそれぞれの第2の構成であるときにのみ阻止要素が阻止位置へ動くように有効にされるように構成することができる。具体的には、阻止要素は、各々のカウント部材の経路が阻止要素と位置合わせされたときにのみ、阻止位置へ動くことができる。
【0082】
具体的には、阻止要素は、連続する動きによって阻止位置へ徐々に動くことができる。第1の動きは、第2のカウント部材が第2の構成に到達したときにのみ実施することができる。具体的には、次いで阻止要素は、第2のカウント部材の経路と位置合わせすることができる。しかし、この動きは、阻止部材と動作中に動かされる要素との係合を引き起こすことができず、それによって要素のさらなる動きを防止することができない。具体的には、阻止部材と動作中に動かされる要素との係合は、第1のカウント部材が第1の構成であることによって防止することができる。したがって、阻止部材はやはり非阻止位置に位置することができる。
【0083】
第1のカウント部材が第2の構成に到達したとき、第2の動きを実施することができる。具体的には、次いで阻止要素は、第1のカウント部材の経路と位置合わせすることができる。この動きは、阻止部材と動作中に動かされる要素との係合を引き起こし、それによって動作中に動かされる要素のさらなる動きを防止することができる。したがって、次いで阻止部材は阻止位置に位置する。
【0084】
一実施形態では、用量カウント機構は、相互作用部材およびカップリング部材を備えることができる。相互作用部材は、相互作用部材が第1の方向で動かされたときにカップリング部材と相互作用するように構成することができる。第1の方向は、近位方向とすることができる。
【0085】
相互作用部材は、用量送達動作が完了した後、第1の方向で動かすことができる。具体的には、相互作用部材は、使用者が用量送達後動作を実行するとき、たとえばキャップをデバイスのハウジング上へねじ留めするとき、第1の方向で動かすことができる。
【0086】
カップリング部材は、カウント部材にカップリングすることができ、それによって相互作用部材の動きをカウント部材へ伝えることができ、その結果、カウント数が増分または減分される。別法として、カップリング部材は、カウント部材によって提供することができる。
【0087】
カップリング部材は、たとえば歯車またはゼネバ車を備えることができる。第1の方向での相互作用部材の動きは、カップリング部材の動き、具体的にはカップリング部材の回転運動に転移することができる。さらに、カップリング部材の動きは、カウント部材の少なくとも1つの動きに転移することができる。
【0088】
具体的には、カップリング部材は、直接、または伝動装置によって、カウント部材の少なくとも1つにカップリングすることができる。伝動装置は、カップリング部材の第1の角度の回転をカウント部材の第2の角度の回転に転移することができる。
【0089】
相互作用部材は、第1の方向での相互作用部材の動きの少なくとも一部中にカップリング部材に係合するように有効にすることができる。相互作用部材は、第2の方向での動き中にはカップリング部材に係合することができない。
【0090】
第2の方向での相互作用部材の動きは、遠位方向での相互作用部材の動きとすることができる。この動きは、用量送達動作に対応することができる。
【0091】
相互作用部材は、カップリング要素と相互作用してカウント数を変化させるように有効にすることができる。相互作用部材は、好ましくは、カップリング要素を所定の角度だけ回転させるように有効にすることができる。
【0092】
一実施形態では、用量カウント機構は、相互作用部材が第2の方向で動かされたときに相互作用部材とカップリング要素との相互作用を防止するガイド・トラックをさらに備える。
【0093】
一実施形態では、吸入デバイスは、第1の位置から第2の位置へ変位可能な作動要素を備えることができる。ロックアウト機構は、所与の数の用量が送達されたときに第1の位置から第2の位置への作動要素の変位を防止するように有効にすることができる。作動要素は、用量送達動作中に動かさなければならない要素を備えることができ、またはその要素とすることができる。作動要素は、使用者の吸引空気流によって変位可能とすることができる。相互作用部材は、作動要素によって提供することができる。好ましくは、相互作用部材は、作動要素の一体部分であり、または作動要素に固定することができる。したがって、相互作用部材は、作動要素に対して軸方向に動くように有効にされない。したがって、作動要素が近位または遠位方向で軸方向に動かされた場合、相互作用部材は前記動きに追従する。
【0094】
一実施形態では、ロックアウト機構は、阻止要素にカップリングされた付勢部材をさらに備えることができる。付勢部材は、具体的には阻止部材が非阻止位置にあるとき、阻止要素に付勢力を及ぼすことができる。付勢部材は、ばねを備えることができる。付勢部材は、阻止部材がロックアウト機構の非阻止位置にあるときに緊張させることができる。さらに、付勢部材は、阻止要素が阻止位置へ動いたときに弛緩することを可能にすることができる。
【0095】
一実施形態では、付勢部材は、所与の数の用量に送達したとき、阻止要素を非阻止位置から阻止位置へ動かすように構成することができる。具体的には、付勢部材は、少なくとも1つのカウント部材の経路内へ阻止要素を動かして、さらに相互作用部材と係合させることができる。