(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リン酸二水素が、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素アンモニウム、及びリン酸二水素アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記水酸化物が、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
ステップS2が、ステップS1の結果である前記アルミニウム合金を、10〜13のpHを有する前記緩衝液中に複数回浸漬することを含み、各浸漬が1分〜60分間継続し、各浸漬後に前記アルミニウム合金を水で洗浄することを含む、請求項1に記載の方法。
前記ナノ細孔が10〜100nmの平均細孔径を有し、前記腐食細孔が200nm〜2000nmの平均細孔径を有し、前記酸化物層が1μm〜5μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
前記樹脂がフィラーをさらに含み、前記フィラーが繊維フィラー及び粉末無機フィラーのうち少なくとも1つを含み、前記繊維フィラーがガラス繊維、炭素繊維及びポリアミド繊維からなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記粉末無機フィラーがシリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラス及びカオリンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態について詳細に説明する。本明細書で説明する実施形態は説明的で例示的であり、本開示を全体的に理解するために用いられる。実施形態は、本開示を制限するものではないことが想定される。
【0013】
本開示の第1の態様によれば、アルミニウム合金樹脂複合材を調製する方法が提供される。該方法は以下のステップを含む。
【0014】
S1:アルミニウム合金基材の表面を陽極酸化処理し、ナノ細孔が形成された酸化物層、すなわちアルミニウム酸化被膜層を表面上に形成する。
【0015】
本開示の実施形態では、このステップでは、任意選択でステップS1の前に前処理されたアルミニウム合金基材を陽極酸化処理することができ、したがってアルミニウム合金基材の表面上に酸化物層を形成することができ、酸化物層にナノ細孔を形成することができる。本開示の実施形態によれば、陽極酸化処理の方法は当業者には周知である。本開示の実施形態によれば、ステップS1、すなわち陽極酸化処理は、約10wt%〜約30wt%の濃度のH
2SO
4溶液中の陽極として、任意選択でこのステップの前に前処理したアルミニウム合金基材を提供することと、アルミニウム合金基材の表面上に約1μm〜約10μmの厚さの酸化物層を形成するために約10℃〜約30℃の温度、約10V〜約20Vの電圧で約1分〜約40分間、アルミニウム合金基材を電気分解することとを含む。本開示の実施形態によれば、陽極酸化処理用によく知られている任意の装置を本開示に適用することができ、例えば本開示のある実施形態によれば、陽極酸化槽を適用することができる。本開示の実施形態によれば、陽極酸化処理によって形成された酸化物層は、好ましくは約1μm〜約10μm、好ましくは約1μm〜約5μmの厚さを有することができる。本開示の実施形態によれば、酸化物層のナノ細孔は約10nm〜約100nm、好ましくは約20nm〜約80nm、さらに好ましくは約20nm〜約60nmの平均細孔径を有することができる。本開示の実施形態によれば、ナノ細孔は約1μm〜約5μmの深さを有することができる。本発明の発明者は、驚くべきことに、ナノ細孔が存在すると酸化物層と樹脂の間の結合力がさらに強力になることを発見した。
【0016】
S2:ステップS1の結果であるアルミニウム合金基材を約10〜約13のpHを有する緩衝液に浸漬し、酸化物層の外面に腐食細孔を形成する。
【0017】
本開示の実施形態によれば、このステップでは、ステップS1の結果であるアルミニウム合金基材を約10〜約13のpHの緩衝液に浸漬することができ、したがって、ステップS1でアルミニウム合金基材上に形成された酸化物層の外面に腐食細孔を形成することができる。このステップでは、約10〜約13のpHの緩衝液を使用して、ステップS1の結果であるアルミニウム合金基材を処理し、次に酸化物層の外面に腐食細孔を形成することができ、腐食細孔のサイズは通常、ナノ細孔のサイズより大きい。緩衝液のタイプは限定されず、本開示の実施形態によれば、緩衝液は可溶性アルカリ及び可溶性リン酸二水素を含むことができる。本開示の実施形態によれば、可溶性アルカリは強アルカリとすることができる。本開示の実施形態によれば、マイクロメートルレベルの平均細孔径を有する腐食細孔を形成することが好ましい。本開示の実施形態によれば、腐食細孔は最大約200nm〜約2000nm、さらには最大約600nm〜約2000nmの平均細孔径を有することができる。本開示の実施形態によれば、腐食細孔は最大約0.5μm〜約9.5μmの深さを有することができ、腐食細孔はナノ細孔と連通していることが好ましい。次に、腐食細孔を形成したので、以下のステップS3、すなわち成形のステップで、樹脂は射出成形の過程でアルミニウム合金基材の表面にある細孔に十分進入することができ、したがって形成される樹脂層はアルミニウム層基材と結合する。本開示の実施形態によれば、リン酸二水素はリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、及びリン酸二水素アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つを含み、可溶性アルカリは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1つを含む。次に、リン酸二水素とアルカリの好ましい組み合わせで、形成された腐食細孔は酸化物層の表面に均一な細孔径で一様に分布し、優れた細孔構造とすることができ、それによって樹脂層とアルミニウム合金基材との結合性能を向上させることができ、その結果、アルミニウム合金樹脂複合材の引張強度及び一体結合が向上する。本開示の実施形態によれば、リン酸二水素は約50wt%〜約99wt%の濃度を有し、可溶性アルカリは約1wt%〜約50wt%の濃度を有し、さらに好ましくは、リン酸二水素は約60wt%〜約99wt%の濃度を有し、可溶性アルカリは約1wt%〜約40wt%の濃度を有する。本開示の実施形態によれば、ステップS2はステップS1の結果であるアルミニウム合金を約10〜約13のpHを有する緩衝液に複数回、すなわち2回以上、例えば約2〜約10回繰り返し浸漬することを含み、各浸漬は約1分〜約60分間継続し、各浸漬後にアルミニウム合金を水で洗浄、例えば脱イオン水で洗浄する。本開示の実施形態によれば、洗浄は洗浄する物品を洗浄槽内に配置し、約1分〜5分間放置するのみのことがあり、洗浄する物品を洗浄槽内で約1分〜5分間洗浄することを含んでもよい。
【0018】
S3:型内で樹脂をステップS2の結果であるアルミニウム合金基材の表面上に射出成形し、アルミニウム合金樹脂複合材を得る。
【0019】
本開示の実施形態によれば、このステップでは、ステップS1及びS2の処理後に結果となるアルミニウム合金基材を型に入れることができ、樹脂複合材を型に注入して、アルミニウム合金基材と組み合わせることができ、したがって成形処理後にアルミニウム合金樹脂複合材が形成される。
【0020】
上述したように、ステップS1の処理前に、アルミニウム合金基材は表面を前処理することができ、それは一般に、表面から目に見える異物を除去するためにメカニカルバニッシング又はメカニカルラッピングをすることと、金属表面に付着しているプロセス油を除去するためにアルミニウム合金基材を脱脂して洗浄することとを含む。前処理は、アルミニウム合金基材の表面をバニッシングすることを含むことが好ましく、例えばさらに約100メッシュ〜約400メッシュのサンドペーパーを使用するか、又は研磨機を使用してアルミニウム合金基材の表面をバニッシングして、ミクロン単位の小さい細孔を生成することを含む。本開示の実施形態によれば、バニッシングしたアルミニウム合金基材はその後、油除去することができ、水で1回目の洗浄をし、アルカリエッチングして、水で2回目の洗浄をし、中和して、水で3回目の洗浄をする。本開示の実施形態によれば、アルミニウム合金基材は、アルミニウム合金基材の表面から油汚れを除去するために、任意の周知の溶媒を使用して超音波によって約0.5時間〜約2時間洗浄し、次にアルミニウム合金を酸性/アルカリ性水溶液に入れ、超音波で再度表面を洗浄することができる。溶媒及び酸性/アルカリ性水溶液のタイプは限定されず、使用する溶媒はエタノール又はアセトンとすることができ、酸性/アルカリ性水溶液は塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどからなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。本開示の実施形態によれば、アルミニウム合金基材は、無水エタノールを使用して油除去処理し、表面から油を除去して、次に水を使用して洗浄する。次に、洗浄したアルミニウム合金基材を約40g/Lの濃度で約40℃〜約80℃の温度の水酸化ナトリウム溶液に浸漬して、アルミニウム合金基材を約1〜5分間アルカリエッチングし、脱イオン水を使用して洗浄する。次に、10〜30wt%のHNO
3を使用してアルミニウム合金基材を中和して、微量のアルカリ性溶液を除去し、脱イオン水を使用して洗浄する。このように、アルミニウム合金基材の表面にミクロン単位のサイズの細孔を形成することができる。本開示の実施形態によれば、細孔径は約1〜10μmとすることができる。
【0021】
本開示で使用するアルミニウム合金に特別な制限はなく、その例は業界標準の1000〜7000シリーズ、又は成形クラスの様々なアルミニウム合金とすることができる。本開示のアルミニウム合金は、様々な形状及び構造の一般に使用されているアルミニウム合金でよく、本開示では制限されていない。アルミニウム合金の様々な形状及び構造は、機械処理で達成することができる。
【0022】
本開示で使用する樹脂に特別な制限はなく、アルミニウム合金と結合することができる任意の樹脂を含むことができ、熱可塑性樹脂が好ましい。本開示の実施形態によれば、熱可塑性樹脂には主剤樹脂とポリオレフィン樹脂の混合物を含むことができる。本開示の実施形態によれば、主剤樹脂は非晶性樹脂を含むことができ、それは両方とも先行技術の高度に結晶質の樹脂よりも優れた表面光沢及び靱性を有し、射出成形材料として使用され、融点が約65℃〜約105℃のポリオレフィン樹脂も使用される。したがって、成形中には特定の金型温度の射出成形を不要とすることができ、その後の焼鈍処理も不要とすることができ、成形プロセスを簡略化することができ、得られた金属樹脂複合材が高い機械的強度及び良好な表面処理特性を確実に有することができ、したがってプラスチック物品の表面装飾の問題を解決し、顧客の多様な要件に応じることができる。
【0023】
本開示の実施形態によれば、多くの実験を通して本発明の発明者が発見したことは、本開示では、非晶性主剤樹脂中で融点が約65℃〜約105℃のポリオレフィン樹脂を使用することにより、金属板の表面にあるナノスケールのマイクロ細孔中の樹脂の流動性を向上させることができ、したがって金属とプラスチックの間の強力な接着力、さらに金属樹脂複合構造体の高い機械的強度を確保することができる。熱可塑性樹脂の100重量部ベースで、主剤樹脂の量は約70重量部〜約95重量部であり、ポリオレフィン樹脂の量は約5重量部〜約30重量部である。
【0024】
本発明の発明者は、樹脂の流動性は熱可塑性樹脂に流動改良剤を用いることによって向上させることができ、したがって金属とプラスチックの間の接着力、さらに樹脂の射出成形性能をさらに向上させることも発見した。熱可塑性樹脂の100重量部ベースで、熱可塑性樹脂はさらに約1重量部〜約5重量部の流動改良剤を含有することが好ましい。流動改良剤は環状ポリカーボネートであることが好ましい。
【0025】
上述したように、本開示で使用する樹脂は非晶性樹脂とすることができる。本開示の実施形態によれば、主剤樹脂はポリフェニレンエーテル(PPO)とポリフェニレンスルフィド(PPS)の混合物を含む。本開示の一実施形態によれば、主剤樹脂中で、ポリフェニレンエーテル対ポリフェニレンスルフィドの重量比は約3:1〜約1:3、好ましくは約2:1〜約1:1である。本開示の実施形態によれば、主剤樹脂はポリフェニレンオキシドとポリアミドの混合物を含む。本開示の一実施形態では、主剤樹脂中でポリフェニレンオキシド対ポリアミドの重量比は約3:1〜約1:3、好ましくは約2:1〜約1:1である。本開示の実施形態によれば、主剤樹脂はポリカーボネートを含み、それは直鎖状ポリカーボネート又は分岐状ポリカーボネートであってもよい。
【0026】
本開示の実施形態によれば、ポリオレフィン樹脂は約65℃〜約105℃の融点を有し、好ましくはポリオレフィン樹脂はグラフトポリエチレンとすることができる。融点が約100℃〜約105℃のグラフトポリエチレンをポリオレフィン樹脂として使用できることが好ましい。
【0027】
本開示で使用する樹脂は、さらに他の改質添加剤を含むことができ、添加剤に特別の制限はなく、例えば樹脂はフィラーを含むことができる。フィラーにも特別の制限はなく、フィラーの非限定的例には、繊維フィラー又は粉末無機フィラーがある。繊維フィラーはガラス繊維、炭素繊維及び芳香族ポリアミド繊維からなる群から選択される少なくとも1つでよい。さらに粉末無機フィラーは、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、重硫酸バリウム、タルカムパウダ、ガラス及び粘土からなる群から選択される少なくとも1つでよい。本開示の実施形態によれば、主剤樹脂の100重量部ベースで、繊維フィラーの含量は50〜150重量部であり、粉末無機フィラーの含量は50〜150重量部である。樹脂は水平方向と垂直方向の両方でアルミニウム合金と同様の線膨張率を有する。
【0028】
本開示の実施形態によれば、本開示で使用する樹脂は、主剤樹脂とポリオレフィン樹脂を混合することによって調製することができる。例えば、樹脂は、主剤樹脂とポリオレフィン樹脂を均等に混合し、次に二軸押出機で粒状化することにより調製することができる。
【0029】
本開示の実施形態によれば、流動改良剤及びフィラーを主剤樹脂に添加し、均一に混合することができ、したがって得られた樹脂は水平方向及び垂直方向の両方でアルミニウム合金と同様の線膨張率を有する。
【0030】
本開示の実施形態によれば、射出成形を実行する条件は限定されない。例えば、本開示の一実施形態によれば、射出成形の条件は、型温度が50〜300℃、ノズル温度が200〜450℃、圧力維持時間が1〜50秒、射出圧力が50〜300MPa、遅延時間が1〜30秒、冷却時間が1〜60秒とすることができ、通常、射出する樹脂複合材の量は1〜100gであり、調製した複合材の表面は0.5〜10μmの深さの樹脂層を有する。
【0031】
本開示の調製方法は簡易であり、既存の接着技術と比較した場合、生産プロセスを大幅に簡略化し、生産時間を短縮して、プロセスの複雑性を大幅に軽減する。以上はすべて、本開示のプロセス方法を使用した後に直接射出成形することのみで達成することができる。それと同時に、本開示の調製方法によって調製したアルミニウム合金樹脂複合材は、樹脂層とアルミニウム合金基材との組み合わせを有し、引張剪断強度が向上する。
【0032】
本開示の別の態様によれば、上記方法によって得られるアルミニウム合金樹脂複合材が提供される。本開示の実施形態によれば、アルミニウム合金樹脂複合材はアルミニウム合金基材及び樹脂層を含み、樹脂層を形成する樹脂がナノ細孔及び腐食細孔に充填されている。樹脂は、当技術分野でアルミニウム合金と組み合わせられることが分かっている限り、周知の任意の樹脂である。
【0033】
技術的問題、技術的解決策、及び本開示の有利な効果をさらに明らかにするために、本開示についてその実施例を参照しながらさらに以下で詳細に説明する。本明細書で説明する特定の実施例は、本開示を理解するために使用されているにすぎないことを理解されたい。実施例は、本開示を制限しないものと想定される。実施例及び比較例で使用する原料は市販されており、特段の制限はない。
【0034】
実施例1
この実施例では、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
1.前処理
厚さ1mmの市販のA5052アルミニウム合金板を15mm×80mmの矩形シートに切断し、次にこれを研磨機で研磨して、無水エタノールで洗浄し、次に2wt%のNaOH水溶液に浸漬した。2分後、矩形シートを水で洗浄し、乾燥して前処理したアルミニウム合金板を得た。
【0035】
2.表面処理1:
各アルミニウム合金板を陽極として20wt%のH
2SO
4溶液を入れた陽極酸化処理浴に入れ、アルミニウム合金を15Vの電圧で5分間電気分解し、次にアルミニウム合金板をブロー乾燥した。
【0036】
表面処理1後にアルミニウム合金板の断面を金属顕微鏡で観察し、電気分解したアルミニウム合金板の表面に厚さ5μmの酸化アルミニウム層が形成されたことが判明した。表面処理1後にアルミニウム合金板の表面を電子顕微鏡で観察し(
図2参照)、酸化アルミニウム層に平均細孔径が約20nm〜約40nmで深さが3μmのナノ細孔が形成されたことが判明した。
【0037】
3.表面処理2
ビーカー中で、5gのNaH
2PO
4及び1gのNaOHを含有し、pH=11.8の水溶液100mLを調製した。ステップ(2)後のアルミニウム合金板を炭酸ナトリウム溶液に浸漬し、3分後に取り出して、水を入れたビーカー内に配置して、1分間浸漬した。5サイクルの後、最後に水に浸漬した後にアルミニウム合金板をブロー乾燥した。
【0038】
表面処理2後にアルミニウム合金板の表面を電子顕微鏡で観察し(
図3a及び
図3b参照)、浸漬したアルミニウム合金板の表面に平均細孔径が600nm〜1000nmで深さが2μmの腐食細孔が形成されたことが判明した。酸化アルミニウム層中に
図1に示す構造と同様の二層3次元細孔構造があり、腐食細孔がナノ細孔と連通していることも観察することができる。
【0039】
4.成形
乾燥したアルミニウム合金部片を射出成形用金型に挿入した。ポリフェニルスルフィド(PPS)樹脂及び30wt%のガラス繊維を含有する樹脂複合材を射出成形した。離型及び冷却の後、アルミニウム合金と樹脂の強固な組み合わせであるアルミニウム合金樹脂複合材が得られた。
【0040】
実施例2
この実施例では、以下の例外を除き実施例1の方法と実質的に同じ方法で、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0041】
表面処理2で使用する緩衝液は、10gのNaH
2PO
4及び1gのNaOHを含有し、pH=12.1である100mLの水溶液であった。電気分解後に約5μmの厚さを有する酸化アルミニウム被膜の層が形成され、酸化アルミニウム層内にサイズが20〜40nmで深さが3μmのナノ細孔が形成されていることが観察された。さらに、表面処理2後に、浸漬したアルミニウム合金薄膜の表面に、サイズが800〜1200nmで深さが2μmの腐食細孔が形成されていることが観察された。酸化アルミニウム層中に
図1に示した構造と同様の二層3次元細孔構造があり、腐食細孔がナノ細孔と連通していることも観察することができる。さらに、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0042】
実施例3
この実施例では、以下の例外を除き実施例1の方法と実質的に同じ方法で、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0043】
表面処理2で使用する緩衝液は、8gのNaH
2PO
4及び2gのNaOHを含有し、pH=12.5である100mLの水溶液である。電気分解後に約5μmの厚さを有する酸化アルミニウム被膜の層が形成され、酸化アルミニウム層内に20〜40nmのサイズ及び2μmの深さを有するナノ細孔が形成されていることが観察された。さらに、表面処理2後に、浸漬したアルミニウム合金薄膜の表面に、サイズが800〜1600nmで深さが3μmの腐食細孔が形成されていることが観察された。酸化アルミニウム層中に
図1に示した構造と同様の二層3次元細孔構造があり、腐食細孔がナノ細孔と連通していることも観察することができる。さらに、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0044】
実施例4
この実施例では、以下の例外を除き実施例1の方法と実質的に同じ方法で、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0045】
表面処理2で使用する緩衝液は、8gのNaH
2PO
4及び3gのNaOHを含有し、pH=12.9である100mLの水溶液である。電気分解後に約5μmの厚さを有する酸化アルミニウム被膜の層が形成され、酸化アルミニウム層内に20〜40nmのサイズ及び0.5μmの深さを有するナノ細孔が形成されていることが観察された。さらに、表面処理2後に、浸漬したアルミニウム合金薄膜の表面に、サイズが1000〜2000nmで深さが4.5μmの腐食細孔が形成されていることが観察された。酸化アルミニウム層中に
図1に示した構造と同様の二層3次元細孔構造があり、腐食細孔がナノ細孔と連通していることも観察することができる。さらに、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0046】
実施例5
この実施例では、以下の例外を除き実施例1の方法と実質的に同じ方法で、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0047】
表面処理2で使用する緩衝液は、1gのNaH
2PO
4及び1gのNaOHを含有し、pH=10.5である100mLの水溶液である。電気分解後に約5μmの厚さを有する酸化アルミニウム被膜の層が形成され、酸化アルミニウム層内に20〜40nmのサイズ及び4.5μmの深さを有するナノ細孔が形成されていることが観察された。さらに、表面処理2後に、浸漬したアルミニウム合金薄膜の表面に、サイズが300〜600nmで深さが0.5μmの腐食細孔が形成されていることが観察された。酸化アルミニウム層中に
図1に示した構造と同様の二層3次元細孔構造があり、腐食細孔がナノ細孔と連通していることも観察することができる。さらに、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0048】
実施例6
この実施例では、以下の例外を除き実施例1の方法と実質的に同じ方法で、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0049】
表面処理2で使用する緩衝液は、5gのKH
2PO
4及び2gのKOHを含有し、pH=12.0である100mLの水溶液であった。電気分解後に約5μmの厚さを有する酸化アルミニウム被膜の層が形成され、酸化アルミニウム層内に20〜40nmのサイズ及び2μmの深さを有するナノ細孔が形成されていることが観察された。さらに、表面処理2後に、浸漬したアルミニウム合金薄膜の表面に、サイズが600〜1000nmで深さが3μmの腐食細孔が形成されていることが観察された。酸化アルミニウム層中に
図1に示した構造と同様の二層3次元細孔構造があり、腐食細孔がナノ細孔と連通していることも観察することができる。さらに、アルミニウム合金樹脂複合材を調製した。
【0050】
比較例1
1.前処理
厚さ1mmの市販のA5052アルミニウム合金板を15mm×80mmの矩形シートに切断し、次にこれを研磨機で研磨して、無水エタノールで洗浄し、次に2wt%のNaOH水溶液に浸漬した。2分後、矩形シートを水で洗浄し、乾燥して前処理したアルミニウム合金板を得た。
【0051】
2.表面処理:
各アルミニウム合金板を、5wt%の濃度でpH=11.2であるヒドラジン水化物水溶液に浸漬した。50℃で2分後に、アルミニウム合金板を取り出し、脱イオン水で洗浄した。30サイクル後、アルミニウム合金板を取り出し、乾燥炉に入れて60℃で乾燥した。
【0052】
3.成形
乾燥したアルミニウム合金部片を射出成形用金型に挿入した。ポリフェニルスルフィド(PPS)樹脂及び30wt%のガラス繊維を含有する樹脂複合材を射出成形した。離型及び冷却の後、アルミニウム合金と樹脂の強固な組み合わせであるアルミニウム合金樹脂複合材が得られた。
【0053】
比較例2
1.前処理
厚さ1mmの市販のA5052アルミニウム合金板を15mm×80mmの矩形シートに切断し、次にこれを研磨機で研磨して、無水エタノールで洗浄し、次に2wt%のNaOH水溶液に浸漬した。2分後、矩形シートを水で洗浄し、乾燥して前処理したアルミニウム合金板を得た。
【0054】
2.表面処理
各アルミニウム合金板を陽極として20wt%のH
2SO
4溶液を入れた陽極酸化処理浴に入れ、アルミニウム合金を15Vの電圧で5分間電気分解し、次にアルミニウム合金板をブロー乾燥した。
【0055】
3.成形
乾燥したアルミニウム合金部片を射出成形用金型に挿入した。ポリフェニルスルフィド(PPS)樹脂及び30wt%のガラス繊維を含有する樹脂複合材を射出成形した。離型及び冷却の後、アルミニウム合金と樹脂の強固な組み合わせであるアルミニウム合金樹脂複合材が得られた。
【0056】
性能試験
アルミニウム合金と樹脂の結合性:実施例1〜6で調製したアルミニウム合金樹脂複合材、及び比較例1〜2を万能材料試験機に固定し、引張試験を実施した。最大負荷より低い試験結果を、アルミニウム合金と樹脂の間の結合力値と見なすことができ、試験結果を表1に要約する。
【表1】
【0057】
表1から、本開示のアルミニウム合金樹脂複合材の樹脂とアルミニウム合金との間の結合が最大1312Nを達成することができ、結合が優れていることが分かる。既存のアルミニウム合金樹脂複合材の樹脂とアルミニウム合金との結合はわずか数十又は数百ニュートンである。本開示のアルミニウム合金樹脂複合材の性能は、既存品と比較して大幅に改良されており、樹脂の成形がさらに容易になっている。本開示のアルミニウム合金は、より強力な強度で樹脂にしっかりと結合するために追加の成分を必要とせず、これは金属基材のサイズ及びアルミニウム合金の外観に対する影響が小さい。それと同時に、より大きい表面で腐食穴へ樹脂を直接射出成形することがさらに容易になる。合成樹脂にも特定の要件がなく、したがって応用範囲が広くなる。さらに、環境汚染がないので、大量生産にさらに適するものとなる。
【0058】
説明的な実施形態を図示し説明してきたが、当業者であれば以上の実施形態は本開示を制限するものとは想定されず、本開示の精神、原理及び範囲から逸脱することなく、実施形態に変更、代替及び修正ができることが理解されるであろう。