【文献】
F.BELLEZZA et al.,Zirconium phosphate nanoparticles from water-in-oil microemulsions,Colloid and Polymer Science,2006年10月,Vol.285 No.1,Pages 19-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に金属鋼板(例えば、鋼鉄板及びアルミニウム板)は、現代産業に非常に重要な素材であって、家電用電気用品、自動車及び建築材料などに幅広く使用されている。しかし、これら金属は、空気中または水分接触によって腐食生成物を生成させて、腐食しやすいという短所があり、ペイントに対するコーティング性が適してないし、ユーザの指紋などによって表面が容易に汚染されるという問題がある。
【0003】
前述した問題点、特に、耐食性及び耐指紋性を向上させるためにクロメート処理が現在行われている。
【0004】
前記クロメート処理は、クロメートを単独で使用して短期間の防錆効果を与えることができると共に、樹脂塗料を塗布することによって塗料の防錆能力を大きく向上させることができ、塗料と鋼板間の密着性を向上させることができるので、塗装鋼板を製造するための必須処理過程として利用されてきた。しかし、国際的に6価クロム、鉛、水銀など人体有害物質の使用が抑制されるに伴い、一部の製品を除いたすべての鋼板において耐食性を向上させるためのクロメート処理が規制された。
【0005】
これにより、鉄鋼会社及び塗料会社では、クロメート処理を代替するために金属鋼板の表面に表面処理樹脂組成物をコーティングし、耐食性を向上させてきた。前記樹脂組成物は、バインダー樹脂及び溶剤で構成され、シリカ、リン酸塩系、ジルコニウムまたはチタンの金属を耐食添加剤として添加し、金属鋼板の耐食性を向上させている。しかし、前記添加剤は、無機粒子で、界面によって耐食性が低下し、表面乱反射によって光沢度が低下するという問題点がある。
【0006】
上記のような問題点を解決するために、耐食添加剤として板状ジルコニウムホスフェート(ZrP)を使用して鋼板などの耐食性を向上させることができる。
【0007】
前記ジルコニウムホスフェート添加剤は、
図1による方法で製造することができる。すなわち、前記添加剤は、ジルコニウムイオン、リン酸イオン及びフッ化水素を水と混合した後、50〜60℃で約24時間加熱させ、有機化剤を添加した後、分散させる方法で製造することができる。
【0008】
しかし、前記方法によって製造された添加剤は、有機化剤によってPOH基が消滅するので、耐食性向上効果が大きくなく、また、水によってのみ分散が容易なので、水溶性樹脂にのみ適用されるという限界を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、構造内にP−OH基を含み、X線回折分析時に11.6±2度の2θ値で結晶ピークを有し、11.6±2度未満の2θ値では、結晶ピークが観察されない板状ジルコニウムホスフェートに関する。
【0016】
以下、本発明の板状ジルコニウムホスフェートをさらに詳しく説明する。
本発明において板状ジルコニウムホスフェートは、前述したように、構造内にP−OH基を含み、X線回折分析時に11.6±2度の2θ値で結晶ピークを有し、ここで、ピークは、約0.75nmであることができる。また、本発明の板状ジルコニウムホスフェートは、11.6±2度未満の2θ値では、結晶ピークが観察されない。
【0017】
従来の製造方法によって製造されるジルコニウムホスフェートの場合、有機化剤によってジルコニウムホスフェート表面のP−OH基が消滅するので、11.6±2度の2θ値でピークを有しない。しかし、本発明の板状ジルコニウムホスフェートは、11.6±2度の2θ値で結晶ピークを有するので、耐食性の向上を図ることができる。
【0018】
また、本発明による板状ジルコニウムホスフェートは、熱重量分析時に400℃での質量減少量が5%未満である。
【0019】
図2は、本発明による板状ジルコニウムホスフェートの断面構造を示す。
図2に示されたように、ジルコニウムホスフェートは、板状からなり、PO
3(OH)からなる四面体の酸素原子がそれぞれ3個のジルコニウム原子と連結されて形成された構造単位を含むことができる。
【0020】
本発明において前記板状ジルコニウムホスフェートの表面に形成されたP−OH基は、耐食性を向上させる役目を担うことができる。
【0021】
本発明においてジルコニウム及びリンの原子量比は、約1:2であることができる。
【0022】
本発明においてジルコニウムホスフェートの粒子形態は、特に制限されず、多角形の形態を有することができる。本発明においては、例えば、ベルト状、菱形、四角形または六角形などの多様な形態を有することができる。
【0023】
また、本発明においてジルコニウムホスフェートの粒子サイズは、特に制限されず、例えば、0.1〜10μmであることができる。前記粒子サイズが0.1μm未満であると、粒子形態が板状に充分に成長せず、二次かたまり現象が発生するおそれがあり、10μmを超過すれば、樹脂内の分散性が低下するおそれがある。
【0024】
本発明において板状ジルコニウムホスフェートは、水などの水溶性溶媒のみならず、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、ケトン類及びシンナーなどの有機溶剤及びUV硬化用希釈剤などの多様な溶媒に容易に分散されることができる。
【0025】
また、本発明は、ジルコニウムイオン、リン酸イオン、フッ素化合物及び非イオン性界面活性剤を含有するマイクロエマルションを加熱する段階を含む板状ジルコニウムホスフェートの製造方法に関する。
【0026】
図3は、本発明の一例によるジルコニウムホスフェートを製造する方法を示す図である。
図3に示されたように、本発明においては、ジルコニウムイオン、リン酸イオン及びフッ素化合物を含有する水、油状物質、ならびに非イオン性界面活性剤を含むマイクロエマルションを一定温度及び時間で加熱することによって、板状ジルコニウムホスフェートを製造することができる。
【0027】
本発明においてマイクロエマルションは、例えば、油状物質と、ジルコニウムイオン、リン酸イオン及びフッ素化合物を含有する水とを混合した後、前記混合液に非イオン型界面活性剤を添加する方法で製造することができる。
【0028】
本発明によるジルコニウムイオンは、製造される樹脂コーティング層の耐食性を向上させることができる。
【0029】
本発明において前記ジルコニウムイオンは、例えば、塩化ジルコニウム(ZrCl
4・xH
2O)、硫酸ジルコニウム(Zr(SO
4)
2・xH
2O)及び水酸化ジルコニウム(Zr(OH)
4)を含むグループから選択された1つ以上のジルコニウム化合物によってジルコニウムイオンとして存在することができる。
【0030】
本発明によるリン酸イオンは、リン酸化合物によりイオンとして存在することができる。
【0031】
本発明においてリン酸化合物として、オルトリン酸化合物、亜リン酸化合物、ホスフィン酸化合物及び縮合リン酸化合物よりなるグループから選択された1つ以上を使用することができる。
【0032】
本発明においてジルコニウムイオン及びリン酸イオンのモル濃度比は、1:2〜1:3であることができる。前記ジルコニウムイオンに対してリン酸イオンの重量比が2未満であると、未反応のジルコニウムイオンが発生するおそれがあり、3を超過すれば、未反応のリン酸イオンが発生するおそれがある。
【0033】
本発明による酸化合物の種類は、水素元素を含有する化合物であれば特に制限されず、好ましくは、フッ化水素(hydrofluoric Acid;HF)を使用することができる。
【0034】
本発明において前記酸化合物の濃度は、0.1〜1.0Mであることができる。前記濃度が0.1M未満であると、非晶質型のジルコニウムホスフェートが形成されるおそれがあり、1.0Mを超過すれば、ジルコニウムホスフェートが形成されないおそれがある。
【0035】
本発明によるマイクロエマルションは、水及び油状物質を含む。
前記油状物質の種類は、特に制限されず、例えば、炭素数6〜16の炭化水素を使用することができる。すなわち、油状物質としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、及びヘキサデカンよりなるグループから選択された1つ以上を使用することができる。
【0036】
本発明において前記炭化水素の炭素数が6未満であるか、または16を超過すれば、エマルションが形成されないおそれがある。
【0037】
本発明において水及び油状物質の含量は、特に制限されず、例えば、水及び油状物質の重量比は、1:10〜1:20であることができる。前記水に対して油状物質が10重量比未満なら、エマルションのサイズが大きくなるおそれがあり、20重量比を超過すれば、生成されるエマルションの濃度が低くて、生産されるジルコニウムホスフェートの生産性が低下するおそれがある。
【0038】
本発明による非イオン性界面活性剤は、水溶性である水と油状物質とを混合、具体的には、油相に水を均一に分散させて、マイクロエマルションが形成されることができるようにする。
【0039】
特に、非イオン性界面活性剤は、マイクロエマルション中でイオンに解離せず、ジルコニウムイオン及びリン酸イオンに影響を及ぼさないので、好ましく使用することができる。
【0040】
本発明において非イオン性界面活性剤の種類として、オキシエチレン系界面活性剤を使用することができ、具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチルアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチルアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどよりなるグループから選択された1つ以上を使用することができ、好ましくは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを使用することができる。
【0041】
本発明において前記非イオン性界面活性剤の含量は、マイクロエマルション100重量部に対して0.1〜1重量部を使用することができる。前記含量が0.1重量部未満であると、マイクロエマルションが形成されないおそれがあり、1重量部を超過すれば、過度な界面活性剤の使用によりエマルションの濃度が増加し、反応性が低下するおそれがある。
【0042】
本発明において
図4は、マイクロエマルションを具体的に示す図であり、マイクロエマルション中で非イオン性界面活性剤は、親水性部分を中心にかたまって、前記親水性部分の内部にジルコニウムイオン、リン酸イオン及びフッ化水素が位置するようになる。
【0043】
本発明においてマイクロエマルションを加熱する段階により、マイクロエマルション中のフッ素化合物が揮発し、ジルコニウムイオン及びリン酸イオンが反応し、ナノ板状の粒子(ジルコニウムホスフェート)が形成されるようになる。
【0044】
前記ジルコニウムホスフェートは、水のみならず、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、ケトン類、シンナー及びUV硬化用希釈剤などの有機溶媒においても容易に分散することができる。
【0045】
本発明において加熱は、40〜60℃で15〜30時間行うことができる。前記加熱温度が40℃未満であると、反応速度があまりに遅くなるおそれがあり、60℃を超過すれば、反応速度が速くなって、板状に成長しないおそれがある。
【0046】
また、本発明は、基材と、
前記基材上に形成され、前述した板状ジルコニウムホスフェートを含有する樹脂コーティング層
とを含む金属材料に関する。
【0047】
本発明において基材は、表面処理を行うことができるすべての金属材料の基材を含むことができ、その種類が制限されるものではないが、例えば、金属鋼板であることができる。
【0048】
本発明において前記金属鋼板は、具体的には、冷延鋼板;亜鉛メッキ鋼板、亜鉛ニッケルメッキ鋼板、亜鉛鉄メッキ鋼板、亜鉛チタンメッキ鋼板、亜鉛マグネシウムメッキ鋼板、亜鉛マンガンメッキ鋼板、亜鉛アルミニウムメッキ鋼板などの亜鉛系電気メッキ鋼板;溶融メッキ鋼板;アルミニウムメッキ鋼板;マグネシウムメッキ鋼板;あるいはこれらのメッキ層に異種金属または不純物として、例えば、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、錫、銅などを含有するメッキ鋼板;あるいはこれらのメッキ層にシリカ、アルミナなどの無機物を分散させたメッキ鋼板;あるいはシリコン、銅、マグネシウム、鉄、マンガン、チタン、亜鉛などを添加したアルミニウム合金板;マグネシウム合金板;リン酸塩が塗布された亜鉛メッキ鋼板;あるいは熱延鋼板などを使用することができ、必要に応じて前記メッキ中に2種類以上を順次に処理した多層メッキ板を使用することができる。
【0049】
本発明による金属材料は、多様な産業分野に有用に使用することができる。
本発明において基材上には、板状ジルコニウムホスフェートを含有する樹脂コーティング層が形成される。
【0050】
前記板状ジルコニウムホスフェートは、樹脂コーティング層内に均一にナノサイズで分散され、表面光沢度を確保し、バリア特性を向上させ、表面のP−OH基によって耐食性を向上させることができる。
【0051】
本発明において基材上に樹脂コーティング層を形成する方法は、特に制限されず、樹脂組成物により基材上に樹脂コーティング層を形成するすべての既知の表面処理方式を利用することができる。例えば、板状ジルコニウムホスフェートを含有する樹脂組成物を基材上にロールコーティングした後、UV硬化及び/または熱硬化させることによって、基材上に樹脂コーティング層を形成することができ、あるいは樹脂組成物を含む表面処理浴内に基材を浸漬させた後、乾燥させることによって、前記基材上に樹脂コーティング層を形成することができる。
【0052】
本発明においては、板状ジルコニウムホスフェートを含有する樹脂組成物を基材上にロールコーティングした後、UV硬化または熱硬化させる方法を使用することができる。
【0053】
この際、樹脂としては、金属表面処理用に使用される樹脂を制限なく使用することができ、好ましくは、放射線硬化型樹脂、溶剤型樹脂または水溶性樹脂を使用することができる。具体的には、放射線硬化型樹脂として、韓国特許公開第2008−0088862号に記載の樹脂を使用することができ、水溶性樹脂として、韓国特許公開第2009−0133965号に記載の樹脂を使用することができる。
【0054】
本発明において樹脂組成物として放射線硬化型樹脂を使用する場合、本発明による板状ジルコニウムホスフェートは、樹脂全体に対して1〜10重量部を使用することができる。前記放射線硬化型樹脂が板状ジルコニウムホスフェートをさらに含むことによって、光沢率及び耐食性が向上することができる。
【0055】
また、樹脂組成物として水溶性樹脂を使用する場合、本発明による板状ジルコニウムホスフェートは、樹脂全体に対して0.5〜10重量部を使用することができる。前記水溶性樹脂が板状ジルコニウムホスフェートをさらに含むことによって、耐スクラッチ性及び耐食性が向上することができる。
【0056】
本発明において前記樹脂コーティング層の厚さは、0.5〜10μmであることができる。前記樹脂コーティング層の厚さが0.5μm未満であると、耐食性及び加工性などが低下するおそれがあり、10μmを超過すれば、溶接性及び潤滑性などが低下するおそれがある。
【実施例】
【0057】
以下、本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通じて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が下記に提示された実施例によって限定されるものではない。
【0058】
<実施例>
1)板状ジルコニウムホスフェートの製造
ジルコニウムイオン1M、リン酸イオン2.5M、及びフッ化水素をそれぞれ0.1、0.3、0.5及び0.7M含有する溶液、油状物質15重量部、ならびにオキシエチレン系非イオン性界面活性剤(商品名:Brij30)0.5重量部を含む金属表面処理用添加剤組成物を50℃で24時間加熱し、板状ジルコニウムホスフェートを製造した。
【0059】
2)金属材料の製造
<製造例1>
前記1)で製造された板状ジルコニウムホスフェートのうちフッ化水素含量が0.5Mであるジルコニウムホスフェートをそれぞれ0.5、1、2及び4重量部含む放射線硬化型樹脂組成物(関連特許出願番号:KR2008−0088862)を撹拌器で20分間撹拌し、バーコーティングまたはロールコーティングをした後、UV硬化(UV照射量1500mJ/cm
2)させて、厚さが5μmの樹脂コーティング層を形成した。
【0060】
<製造例2>
前記1)で製造された板状ジルコニウムホスフェートのうちフッ化水素含量が0.5Mであるジルコニウムホスフェートをそれぞれ0.1、0.5、1及び2重量部含む水溶性樹脂組成物(関連特許出願番号: KR2002−0047986)を撹拌器で20分間撹拌し、バーコーティングまたはロールコーティングをした後、180℃のPMT(ピークメタル温度)で熱硬化させて、厚さが1μmの樹脂コーティング層を形成した。
【0061】
<比較例1>
1)板状ジルコニウムホスフェートの製造
油状物質及び界面活性剤を使用せず、ジルコニウムイオン1M、リン酸イオン2.5M、及びフッ化水素1Mを含有する水(水溶液)を50℃で24時間加熱し、生成されたジルコニウム化合物にテトラブチルアンモニウムブロミド有機化剤10〜20重量部を添加した後、分散させて、板状ジルコニウムホスフェートを製造した。
【0062】
2)金属材料の製造
比較例1の1)で製造された板状ジルコニウムホスフェートを含むAF耐指紋溶液樹脂組成物(関連特許出願番号: KR2002−0047986)をバーコーティングまたはロールコーティングした後、熱硬化させて、厚さが1μmの樹脂コーティング層を形成した。
【0063】
<比較例2>
一般的なシリカ添加剤を使用したことを除いて実施例の製造例1と同様の方法で樹脂コーティング層を形成した。
【0064】
<比較例3>
有機リン系添加剤を使用したことを除いて実施例の製造例2と同様の方法で樹脂コーティング層を形成した。
【0065】
図5及び
図6は、実施例及び比較例1によって製造された板状ジルコニウムホスフェートの形態を示すSEM写真、及び前記製造された板状ジルコニウムホスフェートが水に分散された写真を示す。
【0066】
本発明の
図5で(a)〜(d)は、実施例において使用されたフッ化水素の含量がそれぞれ0.1、0.3、0.5及び0.7Mである場合の板状ジルコニウムホスフェートの粒子形態を示し、(e)は、比較例1による添加剤の粒子形態を示す。
【0067】
図5に示されたように、実施例による板状ジルコニウムホスフェートは、ベルト状、菱形、四角形、または六角形などの多様な特定形態を有し、比較例による板状ジルコニウムホスフェートは、無定形の形状を示すようになる。
【0068】
また、
図6に示されたように、実施例による板状ジルコニウムホスフェートは、液相に均一に分散され、半透明になり(
図6(a))、比較例1による板状ジルコニウムホスフェートは、分散されず、不透明な色を呈するようになる(
図6(b))。
【0069】
図7は、実施例及び比較例1によって製造された板状ジルコニウムホスフェートが含まれた樹脂コーティング層内の分散形態を示すSEM写真である。
【0070】
図7に示されたように、実施例によって製造された板状ジルコニウムホスフェートは、樹脂コーティング層内に均一に分散され(
図7(a))、比較例1によって製造された板状ジルコニウムホスフェートは、かたまっている(
図7(b))。
【0071】
図8及び
図9は、実施例及び比較例1によって製造された板状ジルコニウムホスフェートのX線回折分析(2q 1゜〜50゜、スキャン速度2゜/min、
図8)及び熱分析(TGA、熱重量分析、温度範囲100℃〜1000℃、昇温速度10℃/min、
図9)の結果を示すグラフである。
【0072】
図8に示されたように、実施例による場合、001方向にドメイン間隔が0.75nmを有するが(
図8(a))、有機化剤に分散させた比較例の場合、0.75nmの結晶ピークが消滅する(
図8(b))。
【0073】
また、
図9に示されたように、実施例による場合、500℃まで加熱したとき、質量減少分が5%未満であるが(
図9(a))、有機化剤で処理した比較例1の場合、質量減少分が10〜50%であった(
図9(b))。
【0074】
下記表1は、実施例において製造例1によって製造された金属材料及び比較例2によって製造された金属材料の光沢度及び耐食性を示す。
【0075】
上記で光沢度は、光沢度計を使用して測定し、耐食性は、5%のNaClを使用して塩水噴霧試験し、測定した。
【0076】
【表1】
【0077】
前記表1に示されたように、比較例2で使用された既存の添加剤(シリカ)に比べて本発明による板状ジルコニウムホスフェート添加剤を使用した金属材料の光沢度が優れており、また、耐食性が非常に優秀であることが示された。
【0078】
前記結果は、
図10により確認することができる。
図10(a)は、実施例において製造例1によって製造された金属材料(添加剤1重量部使用)のSST 240Hrの耐食性を示し、(b)は、比較例2によって製造された金属材料のSST 48Hrの耐食性を示す。これらの図に示されたように、実施例による金属材料の耐食性が優れている。
【0079】
また、下記表2は、実施例で製造例2によって製造された金属材料及び比較例3によって製造された金属材料の耐スクラッチ性及び耐食性を示す。
【0080】
上記において耐スクラッチ性は、三菱ユニを使用して1kg荷重で測定した。
【0081】
【表2】
【0082】
前記表2に示されたように、比較例3で使用された既存の添加剤(有機リン系)に比べて本発明による板状ジルコニウムホスフェート添加剤を使用した金属材料の耐スクラッチ性(鉛筆硬度)及び耐食性が非常に優秀であることが示された。
【0083】
前記結果は、
図11により確認することができる。
図11(a)は、実施例において製造例2によって製造された金属材料(添加剤0.5重量部使用)のSST 96Hrの耐食性を示し、(b)は、比較例3によって製造された金属材料のSST 24Hrの耐食性を示す。これらの図に示されたように、実施例による金属材料の耐食性が優れている。