(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば上記の充電式電動工具を屋外に放置した状態で雨が降り出した場合等には、上記の開口や通気口等の開口部から、雨水等がハウジング内に浸入することがあった。このような場合には、ハウジング内に浸入した雨水等が、グリップ部やバッテリー装着部を通過した後に、バッテリー装着部とバッテリーパックとの隙間やバッテリーパックに浸入することになり、前記隙間やバッテリーパックに対する防水性が十分であるとは言い難かった。
【0006】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、バッテリーパックの装着部とバッテリーパックとの隙間やバッテリーパックに対する防水性を向上させた充電式電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、水が浸入可能な開口部を備えたハウジングの開口部よりも下方に形成した装着部に、電源となるバッテリーパックを着脱自在に装着する充電式電動工具であって、ハウジングは、左右の半割ハウジングを組み付けて形成されていると共に、各半割ハウジングの内面に突設されたリブにより、開口部と装着部に装着したバッテリーパックとの間をシールしてバッテリーパックへの水の到達を阻止するシール部材が
、バッテリーパックの底面に対して傾斜した状態で左右から保持されてなることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、ハウジングは、前後方向に延設された胴体部と、胴体部から下方へ延設されたハンドル部と、ハンドル部の下端に形成される装着部とを有し、シール部材は、ハンドル部の延設方向と交差する横向き部分と、その横向き部分の後端からハンドル部の延設方向に延びる縦向き部分とを有し、ハウジングにおける横向き部分よりも下方で且つ縦向き部分よりも後方には、シール部材で受けられた水をハウジングの外部に排水可能な開口が形成されていることを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、水が浸入可能な開口部を備え、モータを収容する胴体部と、モータよりも前方に配置されるチャックと、胴体部から下方へ延設されるハンドル部と、ハンドル部の下端に装着されるバッテリーパックと、胴体部及びハンドル部を形成するハウジングに保持され、開口部とバッテリーパックとの間をシールしてバッテリーパックへの水の到達を阻止するシール部材と、を有し、シール部材は、
バッテリーパックの底面に対して後方へ下り傾斜して前後方向に延びる第1シール部と、第1シール部の後部から下方に延びる第2シール部とを有することを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、水が浸入可能な開口部を備え、モータを収容する胴体部と、モータよりも前方に配置されるチャックと、胴体部から下方へ延設されるハンドル部と、ハンドル部の下端に装着されるバッテリーパックと、胴体部及びハンドル部を形成するハウジングに保持されて開口部とバッテリーパックとの間をシールし、
バッテリーパックの底面に対して傾斜した状態で上端部とそれより低い下端部との間に亘って延びてバッテリーパックへの水の到達を阻止するシール部材と、下端部側でシール部材及びバッテリーパックの装着部よりも上方に設けられ、ハウジングの外部に排水可能な開口と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る充電式電動工具によれば、ハウジングの開口部からハウジング内に雨水等が浸入しても、シール部材によって、バッテリーパックの装着部とバッテリーパックとの隙間やバッテリーパックに雨水等が浸入することを防止できる。これにより、前記隙間やバッテリーパックに対する防水性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、
図1ないし
図3を参照しつつ説明する。
図1に示すように、インパクトドライバ1は、本体ハウジング10、ハンマケース20、シール部材50等を備えている。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本体ハウジング10は、樹脂製の左右の半割ハウジング10L、10Rを組み付けて形成されて、胴体部11と、ハンドル部12と、バッテリー装着部13と、リアカバーRとを有する。胴体部11は、筒状に形成されてインパクトドライバ1の前後方向(
図1の左右方向)に延設されている。この胴体部11の内部には、モータMが収容されている。また、胴体部11には、モータMの近傍位置に吸気口14A及び排気口14B(
図3参照。)がそれぞれ複数設けられている。また、胴体部11の後端部にはリアカバーRが連設されている。このリアカバーRは、胴体部11側を開口させた筒状とされて胴体部11にねじ止めされる。リアカバーRにも吸気口R1(
図3参照。)が複数設けられている。これらの吸気口14A、R1は、胴体部11内にモータMの冷却風を吸気するために用いられる。複数の排気口14Bは、前記冷却風を胴体部11外へ排出するために用いられる。なお、本体ハウジング10は本発明のハウジングの一例であり、両半割ハウジング10L、10Rは本発明の2つの分割ハウジングの一例であり、吸気口14A、R1は本発明の開口部の一例である。
【0012】
ハンドル部12は、
図1ないし
図3に示すように、左半割ハウジング10Lの左ハンドル部12Lと、右半割ハウジング10Rの右ハンドル部12Rとを組み付けて形成されている。ハンドル部12は、インパクトドライバ1の側面視で略T字形状となるように胴体部11から連設されている。ハンドル部12の内部には、後述のシール部材50よりもインパクトドライバ1の上下方向の上側に当たる位置に、トリガ15を有する箱状のスイッチSが収容されている。このハンドル部12には、ハンドル部12の根元に当たるバッテリー装着部13との境界付近に当たる位置に排水口17が開設されている。この排水口17はハンドル部12の内部を外部と連通させる。ハンドル部12において、スイッチSが収容された位置や排水口17が開設された位置は、シール部材50を境として前記吸気口14A、R1側に当たる。なお、ハンドル部12の内部で吸気口14A、R1側に当たる位置は、本発明の開口部側のハウジング内の一例である。
【0013】
図2及び
図3に示すように、左ハンドル部12Lの内面にはリブ18Lが突設されて、右ハンドル部12Rの内面にはリブ18Rが突設されている。両リブ18L、18Rは、シール部材50の側面形状に合わせた緩やかなS字形状に成形されている。左右の半割ハウジング10L、10Rの組み付け状態では、リブ18Lとリブ18Rとは、ハンドル部12の左右方向(
図2の左右方向)で対向する。リブ18Rには、シール部材50と対向する面でS字形状の上側湾曲部50Aの上端側位置に円柱状の突起部19Aが突出する。加えて、リブ18Rには、シール部材50と対向する面でS字形状の下側湾曲部50Bの下端側位置に円柱状の突起部19Bが突出する。
【0014】
バッテリー装着部13は、左半割ハウジング10Lの左バッテリー装着部13Lと、右半割ハウジング10Rの右バッテリー装着部13Rとを組み付けて形成されて、吸気口14A、R1よりも上記の上下方向の下側に当たるハンドル部12の下端に形成されている。バッテリー装着部13には端子台が収容されて、この端子台に略直方体形状のバッテリーパック16が着脱自在に装着される。バッテリーパック16は、充電可能な電源であってトリガ15をハンドル部12内に押し込むことでスイッチSがオン状態になるとモータMへ給電する。また、バッテリー装着部13の背面視左側面には、インパクトドライバ1を作業者のベルトに吊り下げるフックF(
図2参照。)が螺着されている。なお、インパクトドライバ1は、本発明の充電式電動工具の一例であり、バッテリー装着部13は本発明の装着部の一例である。またトリガ15は本発明の操作部の一例である。
【0015】
ハンマケース20は、金属(例えばアルミニウム)によって形成されて胴体部11の前方(
図1の右方向)に組み付けられている。ハンマケース20の内部には、打撃機構やアンビル21が収容されている。ハンマケース20の先端面からはアンビル21が突出する。アンビル21は、軸受によってハンマケース20の内部で回転可能に軸支されている。アンビル21の先端には、先端工具を装着可能なチャック22が設けられている。前記打撃機構は、モータMの回転を回転打撃力に変換して前記先端工具に伝達する。なお、アンビル21は本発明の出力軸の一例である。
【0016】
カバー30は、ハンマケース20の前方外周で胴体部11から露出する部分に装着されている。バンパー40は、カバー30の前端に組み付けられて前記露出する部分に装着される。カバー30及びバンパー40は、ハンマケース20の前方外周が露出することを防止する。
【0017】
シール部材50は、ハンドル部12内でスイッチSとバッテリーパック16との間に当たる位置に嵌められることで、吸気口14A、R1、ハンドル部12からトリガ15を露出させる開口Hとパッテリーパック16との間に位置する。これにより、ハンドル部12の吸気口14A、R1、開口H側とハンドル部12のバッテリーパック16側との間をシールできる。このシール部材50は、ゴム等の弾性材料によって形成されてハンドル部12の左右方向に厚みを有する。シール部材50の側面形状は緩やかなS字形状とした。
【0018】
図1及び
図3に示すように、シール部材50では、S字形状を形成する上側湾曲部50Aの上面が、バッテリー装着部13に装着されたパッテリーパック16の底面16Aに対して前方へ上り傾斜した傾斜面(上側傾斜面)S1となる。この上側傾斜面S1の上端部(前方側端部)には突出部51が形成されている。この突出部51は、上側傾斜面S1に連続して上方(吸気口14A、R1、開口Hが位置する側)へ向けて突出する。シール部材50の上下方向には、突出部51と上側湾曲部50Aとを貫通するリード線通し孔52が形成されている。加えて、突出部51には、上側湾曲部50Aの上端側位置(前方側位置)に貫通孔53Aが形成されている。この貫通孔53Aは突出部51(シール部材50)の厚み方向に形成されており、貫通孔53Aには突起部19Aが挿入可能である。
【0019】
一方、S字形状を形成する下側湾曲部50Bの上面は、バッテリー装着部13に装着されたパッテリーパック16の底面16Aに対して後方へ下り傾斜した傾斜面(下側傾斜面)S2となる。
図1に示すように、この下側傾斜面S2の下端の際に排水口17が位置する。加えて、下側湾曲部50Bの下端側位置(後方側位置)には貫通孔53Bが形成されている。この貫通孔53Bは貫通孔53Aと同様の方向に形成されており、貫通孔53Bには突起部19Bが挿入可能である。
【0020】
図2に示す左右の半割ハウジング10L、10Rの組み付け状態では、突起部19Aが貫通孔53Aに、突起部19Bが貫通孔53Bにそれぞれ挿入された上で、シール部材50の左側面にリブ18L、シール部材50の右側面にリブ18Rがそれぞれ押し付けられる。これにより、シール部材50の左右の側面が弾性変形して両リブ18L、18Rに密着しながら、シール部材50は、ハンドル部12内に嵌められた状態で両リブ18L、18R間に挟まれながら保持される。シール部材50は、ハンドル部12内に保持された状態では上側傾斜面S1及び下側傾斜面S2を有することで、パッテリーパック16の底面16Aに対してバッテリーパック16の後方へ下り傾斜した状態になる。
【0021】
図1に示すように、ハンドル部12のバッテリーパック16側には雌型コネクタC1が収容されている。雌型コネクタC1に接続されたリード線Lは、リード線通し孔52に挿通されて、ハンドル部12のバッテリーパック16側からハンドル部12の吸気口14A、R1、開口H側へ延長される。ハンドル部12の吸気口14A、R1、開口H側では、スイッチSにリード線Lが電気的に接続されている。スイッチSとモータMとの間には、モータMへ給電するためのリード線(図示せず。)が電気的に接続されている。リード線通し孔52には、リード線Lに加えて通信線(図示せず。)等が隙間なく挿通される。
【0022】
雄型コネクタC2は、雌型コネクタC1と結合された状態で、ハンドル部12のバッテリーパック16側に収容されている。雄型コネクタC2に接続されたリード線(図示せず。)は、ハンドル部12の下端側(バッテリー装着部13)へ延長されて端子台と電気的に接続されている。図示のインパクトドライバ1では、両コネクタC1、C2及びリード線L等を介して、スイッチSとバッテリーパック16とが電気的に接続される。本実施形態では、両コネクタC1、C2として非防水構造のコネクタを使用した。これにより、両コネクタC1、C2の大きさは、防水構造のコネクタに比べて小さい。このため、シール部材50、ハンドル部12のバッテリーパック16側の内面、バッテリー装着部13で囲まれたハンドル部12内の狭い空間に、両コネクタC1、C2が収容可能である。なお、スイッチSは本発明の電気部品の一例であり、リード線通し孔52は本発明の挿通孔の一例である。
【0023】
本実施形態のインパクトドライバ1では、パッテリーパック16の底面16Aを例えば地面に接して立てた状態で置き忘れたために上記の吸気口14A、R1や開口H(
図1参照。)から雨水等が浸入した場合であっても、次のようにしてバッテリーパック16等に雨水等が浸入することを防止できる。吸気口14A、R1から浸入した雨水等は、胴体部11内からハンドル部12の内面とスイッチSとの間の隙間等を通じてシール部材50やリブ18L、18Rに向けて流下する。このとき、シール部材50によって、ハンドル部12の吸気口14A、R1側とバッテリーパック16側との間に隙間が生じることがないため、雨水等が吸気口14A、R1側からバッテリーパック16側へ浸入することが防がれる。
【0024】
これに加えて、シール部材50に到達した雨水等は、上側傾斜面S1や下側傾斜面S2を流下することで排水口17に導かれる。また、リブ18L、18Rに到達した雨水等は、リブ18L、18Rの上面に沿って排水口17に導かれる。その後、これらの雨水等は、ハンドル部12の内部から排水口17を通過してハンドル部12の外部に排出される。その上、シール部材50に到達した雨水等は、上側傾斜面S1の上り傾斜によって吸気口14A、R1側へ逆流し難くなることに加え、突出部51が逆流の障壁になる。よって、雨水等がリード線通し孔52に向かうことを防止する。また、突出部51がリブ18L、18Rの上面よりも上方へ突出しているため、リブ18L、18Rの上面を流れる雨水等は、突出部51が障壁となってリード線通し孔52に向かうことが阻止される。このため、リード線通し孔52に挿通されたリード線L等を伝って雨水等がハンドル部12のバッテリーパック16側へ浸入することも防止できる。よって、雨水等がリード線Lに接続された雌型コネクタC1や雄型コネクタC2に向けて流れることを防止することで、両コネクタC1、C2に対する防水性が向上する。
【0025】
一方、開口Hから浸入した雨水等も、吸気口14A、R1から浸入した雨水等と同様に、吸気口14A、R1、開口H側からバッテリーパック16側へ浸入することが防がれる。これに加えて、開口Hから浸入した雨水等は、吸気口14A、R1から浸入した雨水等と同様にして排水口17に導かれる。その後、前記雨水等はハンドル部12の外部に排出される。その上、開口Hから浸入した雨水等は、吸気口14A、R1から浸入した雨水等と同様に、リード線通し孔52に向かうことが阻止される。よって、開口Hから浸入した雨水等は、吸気口14A、R1から浸入した雨水等と同様に、バッテリーパック16側へ浸入することを防止できる。なお、開口Hは本発明の開口部の一例である。
【0026】
<実施形態1の効果>
本実施形態のインパクトドライバ1では、ハンドル部12内で、シール部材50が、吸気口14A、R1、開口Hと、吸気口14A、R1、開口Hよりもインパクトドライバ1の上下方向の下側に位置するバッテリー装着部13に装着したパッテリーパック16との間をシールする。このため、雨水等が吸気口14A、R1から胴体部11を通じてハンドル部12に向って流下したり、雨水等が開口Hから浸入してハンドル部12の内面に沿って流下しても、シール部材50によって、バッテリー装着部13とパッテリーパック16との隙間やパッテリーパック16に雨水等が浸入することを防止できる。これにより、前記隙間やバッテリーパック16に対する防水性を向上させることができる。
【0027】
また、吸気口14A、R1から浸入した雨水等は、胴体部11内からハンドル部12の内面とスイッチSとの間の隙間等を通じてシール部材50に流下しても、突出部51によって、雨水等が吸気口14A、R1側へ逆流することを妨げてリード通し孔52に向かうことを防止できる。加えて、上述したように、開口Hから浸入した雨水等も、突出部51によって、吸気口14A、R1、開口H側へ逆流することを妨げてリード通し孔52に向かうことを防止できる。これにより、雨水等がリード線通し孔52に挿通されたリード線L等を伝ってバッテリーパック16側へ浸入することを防止できる。
【0028】
さらに、左右の半割ハウジング10L、10Rの組み付け状態では、シール部材50は、ハンドル部12内に両リブ18L、18R間に挟まれながら保持される。このため、シール部材50が両リブ18L、18R間に押さえられてがたつくことがなく、ハンドル部12内でシール部材50が移動することを防止できる。これにより、ハンドル部12内でのシール部材50の位置決めが良好になる。
【0029】
さらに加えて、ハンドル部12の吸気口14A、R1、開口H側に当たる位置に排水口17を開設し、シール部材50の下側傾斜面S2の下端の際に排水口17が位置する。このため、吸気口14A、R1や開口Hから浸入した雨水等がハンドル部12内を流下しても、シール部材50に到達した雨水等は、上側傾斜面S1や下側傾斜面S2を流下することで、排水口17からハンドル部12の外部に排出される。これにより、吸気口14A、R1や開口Hから浸入した雨水等が、前記隙間やバッテリーパック16に浸入することを防止できる。
【0030】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を、
図4ないし
図6を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略し、実施形態1と同じ効果についてもその記載を省略する。また
図4にはリード線Lの図示を省略したが、本実施形態のインパクトドライバ1Aでも、実施形態1と同様のリード線Lを備えている。インパクトドライバ1Aは、熱収縮チューブ55と、単泡スポンジ56(56A、56B)と、シール部材60とを備えている。熱収縮チューブ55の内周面には接着剤が塗布されている。熱収縮チューブ55は、リード線Lや通信線L1に装着された後に加熱されることで収縮してリード線L等に密着する。これにより、
図5及び
図6に示すように、熱収縮チューブ55はリード線Lや通信線L1を被覆する。これと同時に接着剤が溶けてリード線Lや通信線L1との間に流れ込む。そして、この接着剤が冷却後に硬化することで、熱収縮チューブ55とリード線Lや通信線L1との間が密閉される。
【0031】
単泡スポンジ56Aは、その上下方向に延設された上で側面側に開口する凹溝57を備えている。シール部材60の突出部51には、シール部材60の上下方向へ延設された凹溝61が形成されている。単泡スポンジ56Aは、左右方向において先端部分を凹溝61から突出させた状態で凹溝61に嵌合されている。
図6に示すように、単泡スポンジ56Bは、ハンドル部12Lの内面に向けて開口する凹溝58が形成されたコ字型の断面形状を有する。単泡スポンジ56Bは、平面視が略長方形状で単泡スポンジ56Bの基端側から凹溝57内に嵌め入れられている。
【0032】
左右の半割ハウジング10L、10Rを組み付ける前に、熱収縮チューブ55で被覆されたリード線Lや通信線L1を、単泡スポンジ56Aの凹溝57内を通してシール部材60を貫通させて、スイッチSと雌型コネクタC1との間を電気的に接続する。
図5及び
図6に示すように、左右の半割ハウジング10L、10Rを組み付けると、リブ18Rがシール部材60の右側面に押し付けられる。これと共に、リブ18Lが単泡スポンジ56Bの凹溝58に嵌り込んだ状態で単泡スポンジ56Bを熱収縮チューブ55に押し付ける。このとき、リブ18Lは単泡スポンジ56Aを変形させて単泡スポンジ56Aに密着する。その結果、単泡スポンジ56Aと単泡スポンジ56Bとが熱収縮チューブ55の外周面に圧接することで、熱収縮チューブ55が単泡スポンジ56Aや単泡スポンジ56Bと対向する面はシールされる。なお、熱収縮チューブ55は本発明の被覆部材の一例であり、単泡スポンジ56A、56Bは本発明の弾性部材の一例である。
【0033】
本実施形態では、雨水等が吸気口14A、R1や開口Hを通じて仮にリード線Lや通信線L1に到達した場合でも、次のようにしてバッテリーパック16側へ雨水等が浸入することを防止できる。熱収縮チューブ55とリード線Lや通信線L1との間には隙間がないため、リード線Lや通信線L1を伝って熱収縮チューブ55に向かう雨水等は、熱収縮チューブ55とリード線L等との間を通過できず、ハンドル部12のバッテリーパック16側へ浸入することができない。さらに、熱収縮チューブ55が単泡スポンジ56Aや単泡スポンジ56Bと対向する面はシールされているため、熱収縮チューブ55と各単泡スポンジ56A、56Bとの間にも隙間がない。したがって、リード線Lや通信線L1を伝う雨水等は、熱収縮チューブ55と各単泡スポンジ56A、56Bとの間も通過できず、ハンドル部12のバッテリーパック16側へ浸入することができない。
【0034】
<実施形態2の効果>
本実施形態のインパクトドライバ1Aでは、熱収縮チューブ55はリード線Lや通信線L1に密着してリード線L等を被覆することで熱収縮チューブ55とリード線L等との間に隙間がなくなる。このため、吸気口14A、R1や開口Hから浸入した雨水等が、熱収縮チューブ55とリード線L等との間からバッテリー装着部13とパッテリーパック16との隙間やパッテリーパック16に向けて流れることを防止できる。
これに加えて、熱収縮チューブ55が単泡スポンジ56Aや単泡スポンジ56Bと対向する面をシールすることで、熱収縮チューブ55と各単泡スポンジ56A、56Bとの間にも隙間がなくなる。このため、前記雨水等が熱収縮チューブ55と各単泡スポンジ56A、56Bとの間からバッテリー装着部13とパッテリーパック16との隙間やパッテリーパック16に向けて流れることも防止できる。
【0035】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を、
図7及び
図8を参照しつつ説明する。ここでは、実施形態1、2と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。本実施形態のインパクトドライバ1Bは、実施形態1、2とは異なりリアカバーRを設けることなく胴体部11Aを筒状に形成した。インパクトドライバ1Bはシール部材70を備えている。シール部材70はゴム等の弾性材料によって形成されている。
図7に示すように、シール部材70は、ハンドル部12内でスイッチSの外周面に巻き付けた状態で吸気口14A、開口Hとバッテリーパック16との間に当たる位置に嵌められている。これにより、ハンドル部12の吸気口14A、開口H側とハンドル部12のバッテリーパック16側との間をシールする。このシール部材70は、パッテリーパック16の底面16Aに対してパッテリーパック16の前方へ下り傾斜した状態で前記外周面に巻き付けられている。シール部材70の全周にはリブ案内溝71が設けられている。また
図8に示すように、左ハンドル部12Lの内面の全周に亘って薄板状のリブ18L1が突設されて、右ハンドル部12Rの内面の全周に亘って薄板状のリブ18R1が突設されている。各リブ18L1、18R1は、前記底面16Aに対して前方へ下り傾斜した平面上に配置されている。
【0036】
左右の半割ハウジング10L、10Rを組み付けるときに、シール部材70をスイッチSの外周面に巻き付けた状態でトリガ15を開口Hから露出させながら、リブ18L1、18R1をリブ案内溝71に係合することで、スイッチSをハンドル部12内に収容する。これに伴って、シール部材70はハンドル部12内に位置決めされた上で保持される。このとき、シール部材70の傾斜下端側が開口Hに向かうように配置される。
【0037】
本実施形態では、雨水等が吸気口14A、開口Hを通じてハンドル部12内に浸入した場合でも、次のようにしてバッテリーパック16側へ雨水等が浸入することを防止できる。シール部材70によって、吸気口14A、開口H側とハンドル部12のバッテリーパック16側との間に隙間がないため、雨水等は吸気口14A、開口H側からバッテリーパック16側へ浸入することができない。これに加えて、シール部材70に到達した雨水等は、シール部材70の上面を流下することで開口Hに導かれた後に開口Hを通過してハンドル部12の外部に排出される。これにより、前記雨水等はハンドル部12のバッテリーパック16側へ浸入することができない。
【0038】
<実施形態3の効果>
本実施形態のインパクトドライバ1Bでは、シール部材70をスイッチSの外周面に巻き付けて、シール部材70をリブ案内溝71を用いてリブ18L1、18R1に係合させながらスイッチSをハンドル部12内に収容するだけで、シール部材70をハンドル部12内に位置決め可能となる。よって、シール部材70の位置決め作業が容易になる。
【0039】
さらに、実施形態1、2とは異なり排水口17を新たにハンドル部12に開設しなくても開口Hを利用することで、吸気口14A、開口Hを通じてハンドル部12内に浸入した雨水等が、開口Hからハンドル部12の外部に排出されてバッテリー装着部13とパッテリーパック16との隙間やパッテリーパック16に浸入することを防止できる。
【0040】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。実施形態1、2とは異なり、シール部材は、S字状の側面形状を有するものに限らず、例えば、吸気口14A、R1、開口H側からバッテリーパック16側に向けて直線状に傾斜した側面形状等を有するものであってもよい。
【0041】
また、シール部材が直線状に傾斜した側面形状等を有する場合には、上述した実施形態とは異なり、各ハンドル部12L、12Rに突設するリブの形状を、直線状に傾斜した側面等をそれぞれ押圧可能な適宜の形状に変更してもよい。加えて、上述した実施形態とは異なり、シール部材70の全周に設けた凸部を両ハンドル部12L、12Rの全周に設けた凹部に係合させることで、スイッチSをハンドル部12内に収容してもよい。これ以外にも、シール部材70に凸部を設けることなく、シール部材70を両ハンドル部12L、12Rの全周に設けた凹部に直接嵌合させることで、スイッチSをハンドル部12内に収容してもよい。さらに、上述したインパクトドライバ1、1A、1Bに限らず、充電式のハンマドリル等の電動工具に本発明を適用してもよい。