特許第5969078号(P5969078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5969078-保守管理装置及び保守管理システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969078
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】保守管理装置及び保守管理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-50873(P2015-50873)
(22)【出願日】2015年3月13日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真榮里 知樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 智史
【審査官】 芦原 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−117574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかご内に乗客が閉じ込められる閉じ込め事故が発生したかを判定する判定手段と、
前記閉じ込め事故が発生したと判定された場合、前記乗客を救出するための複数の作業項目の各々に対して予め設定された作業時間に基づいて保守員によって行われる救出作業に応じた救出作業時間を算出する作業時間算出手段と、
前記乗りかご内に設けられた表示装置に表示するために、前記算出された救出作業時間を送信する送信手段と
を具備することを特徴とする保守管理装置。
【請求項2】
前記閉じ込め事故が発生した原因を含む事故発生情報を外部装置から受信する受信手段と、
前記事故発生情報に含まれる前記閉じ込め事故が発生した原因に応じた救出作業が規定された救出作業リストであって、前記乗客を救出するための複数の作業項目を含む救出作業リストを生成する生成手段と
を更に具備し、
前記作業時間算出手段は、前記生成された救出作業リストに含まれる複数の作業項目の各々に対して予め設定された作業時間に基づいて前記救出作業時間を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の保守管理装置。
【請求項3】
前記生成された救出作業リストに含まれる複数の作業項目のうちの1の作業項目が完了された場合、前記算出された救出作業時間から当該完了された作業項目に対して予め設定された作業時間を減算することによって当該救出作業時間を更新する更新手段を更に具備し、
前記送信手段は、前記更新された救出作業時間を更に送信する
ことを特徴とする請求項2記載の保守管理装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記保守員によって行われている作業項目に応じたメッセージを更に送信することを特徴とする請求項2記載の保守管理装置。
【請求項5】
前記救出作業を行う保守員の現在位置を示す第1の位置情報及び前記閉じ込め事故の発生現場の位置を示す第2の位置情報に基づいて、前記保守員が当該発生現場に到着するまでの到着時間を算出する到着時間算出手段と
を更に具備し、
前記送信手段は、前記算出された救出作業時間及び前記算出された到着時間を送信する
ことを特徴とする請求項1記載の保守管理装置。
【請求項6】
前記作業時間算出手段は、前記救出作業を行う保守員に応じて異なる救出作業時間を算出することを特徴とする請求項1記載の保守管理装置。
【請求項7】
エレベータの保守及び管理に使用される保守管理装置と、前記エレベータの乗りかご内に設けられた表示装置とを備える保守管理システムにおいて、
前記保守管理装置は、
前エレベータの乗りかご内に乗客が閉じ込められる閉じ込め事故が発生したかを判定する判定手段と、
前記閉じ込め事故が発生したと判定された場合、前記乗客を救出するための複数の作業項目の各々に対して予め設定された作業時間に基づいて保守員によって行われる救出作業に応じた救出作業時間を算出する作業時間算出手段と、
前記算出された救出作業時間を送信する送信手段と
を含み、
前記表示装置は、前記送信された救出作業時間を表示する
ことを特徴とする保守管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保守管理装置及び保守管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータにおいて故障等が生じた場合、当該故障により停止した乗りかご内に乗客が閉じ込められるという事故(以下、閉じ込め事故と表記)が発生する場合がある。
【0003】
このような閉じ込め事故が発生した場合、当該閉じ込め事故の発生現場(エレベータが設置されている建物等)に保守員が派遣され、当該保守員により乗客の救出作業(エレベータの復旧作業)が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−272101号公報
【特許文献2】特開2011− 57300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乗りかご内に閉じ込められた乗客は、救出されるまでに必要な時間等を把握することができない。このため、乗客に不安感を感じさせてしまうことがある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、乗りかご内に閉じ込められた乗客の不安感を低減させることが可能な保守管理装置及び保守管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る保守管理装置は、判定手段と、作業時間算出手段と、送信手段とを具備する。前記判定手段は、エレベータの乗りかご内に乗客が閉じ込められる閉じ込め事故が発生したかを判定する。前記作業時間算出手段は、前記閉じ込め事故が発生したと判定された場合、前記乗客を救出するための複数の作業項目の各々に対して予め設定された作業時間に基づいて保守員によって行われる救出作業に応じた救出作業時間を算出する。前記送信手段は、前記乗りかご内に設けられた表示装置に表示するために、前記算出された救出作業時間を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る保守管理装置を含む保守管理システムの構成を示す図。
図2】保守管理装置の機能構成を示すブロック図。
図3】救出時間を液晶モニタに表示する際の保守管理装置の処理手順を示すフローチャート。
図4】液晶モニタに表示される救出作業時間を更新する際の保守管理装置の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る保守管理装置を含む保守管理システムの構成を示す。図1に示すように保守管理システムは、保守管理装置10、表示制御装置20及び携帯端末30を備える。
【0011】
保守管理装置10は、表示制御装置20及び携帯端末30とネットワークを介して通信可能に接続され、例えばエレベータの保守及び管理に使用される情報処理装置である。保守管理装置10は、例えば各地域に点在するエレベータの運行状況等を遠隔監視する監視センタに配置されており、管理者等によって使用されるパーソナルコンピュータ(PC)等によって実現される。
【0012】
ここで、エレベータの乗りかご21内には、乗りかご21内に乗車した乗客の行先階を登録するための行先階ボタンを含むかご内操作盤が設けられている。かご内操作盤には、液晶モニタ(表示装置)22が取り付けられている。図1においては省略されているが、かご内操作盤には、乗りかご21の外部(例えば、監視センタの管理者等)と連絡(通話)を行うためのインターフォン等が組み込まれている。
【0013】
表示制御装置20は、乗りかご21内の液晶モニタ22の表示を制御するための装置である。表示制御装置20は、エレベータの通常運行時には、乗りかご21の階床(かごの現在位置)情報や行き先方向、ドアの開閉情報などと共に、例えば乗りかご21内に設けられている監視カメラ(図示せず)によって撮像された映像、またはその他の各種映像等を液晶モニタ22に表示する。
【0014】
表示制御装置20は、例えば乗りかご21の上部に設けられるかご制御装置の一部として実現されていてもよい。かご制御装置は、例えば乗りかご21のかごドアを開閉制御するための装置である。
【0015】
エレベータにおいて、乗りかご21は、図示しないカウンタウエイトとともにエレベータの昇降路内に設けられている。乗りかご21及びカウンタウエイトは、昇降路の上部に設置される巻上機に巻き架けられているメインロープの両端に接続される。
【0016】
巻上機は、エレベータ全体の制御を行うエレベータ制御装置の制御に基づいて駆動される。これにより、エレベータでは、メインロープの両端に接続された乗りかご21及びカウンタウエイトが互いに反対方向に昇降動作し、乗りかご21内の乗客を上下方向に運搬することが可能となる。
【0017】
なお、エレベータには、当該エレベータの運行状況を監視し、当該監視結果を監視センタ(保守管理装置10)に通知するための監視端末が備えられている。監視端末は、例えばエレベータの運行において事故が発生した場合には、当該事故が発生したことを示す事故発生情報を保守管理装置10に送信する。
【0018】
携帯端末30は、エレベータの保守または点検等のための各種作業を行う保守員によって所持(携帯)される、ディスプレイを備えた端末である。携帯端末30は、当該携帯端末30(を所持する保守員)の現在位置を検知可能なGPS(Global Positioning System)機能及び当該携帯端末30を介して通話をすることが可能な電話機能等を有する。
【0019】
エレベータにおいて故障等が生じた場合、当該故障により停止した乗りかご21内に乗客が閉じ込められるという事故(以下、閉じ込め事故と表記)が発生する場合がある。
【0020】
閉じ込め事故が発生した場合には、保守員による救出作業(エレベータの復旧作業)が行われるが、図1に示す保守管理システムは、当該閉じ込められた乗客が救出されるまでに必要と予想される時間(以下、救出時間と表記)を乗りかご21内の液晶モニタ22に表示する機能を有する。
【0021】
図2は、図1に示す保守管理装置10の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、保守管理装置10は、事故判定部11、地図情報格納部12、保守管理情報格納部13、救出時間算出部14、通信処理部15及び時間更新部16を含む。
【0022】
事故判定部11は、エレベータにおいて閉じ込め事故が発生したか否かを判定する。この場合、事故判定部11は、例えばエレベータに備えられている監視端末(外部装置)から送信された事故発生情報に基づいて閉じ込め事故が発生したと判定する。事故判定部11は、例えば上記したインターフォンを介した乗りかご21内の乗客からの連絡に応じて閉じ込め事故が発生したと判定してもよい。また、保守管理装置10を使用する監視センタの管理者の入力により閉じ込め事故が発生したと判定してもよい。
【0023】
地図情報格納部12には、エレベータが設置されている建物周辺の地図情報が予め格納されている。
【0024】
保守管理情報格納部13には、エレベータを保守または管理するための情報として、閉じ込め事故が発生した際に乗客を救出するために保守員によって行われる複数の作業項目(作業内容)を示す情報(以下、作業情報と表記)が予め格納されている。保守管理情報格納部13に格納されている作業情報によって示される作業項目には、当該作業項目(に対応する作業)を行うために必要な時間(以下、作業時間と表記)が予め設定されている。
【0025】
保守管理情報格納部13には、作業情報に加えて、保守員に関する情報(以下、保守員情報と表記)、及び保守または管理されるエレベータに関する情報(以下、エレベータ情報と表記)等が格納されている。保守員情報には、保守員が所持する携帯端末30に割り当てられている電話番号等が含まれる。エレベータ情報には、エレベータが設置されている建物の住所等が含まれる。
【0026】
救出時間算出部14は、地図情報格納部12に格納されている地図情報及び保守管理情報格納部13に格納されている作業情報等に基づいて、上記した救出時間を算出する機能を有する。
【0027】
救出時間算出部14は、到着時間算出部141、救出作業リスト生成部142及び救出作業時間算出部143を含む。
【0028】
到着時間算出部141は、保守員が閉じ込め事故の発生現場に到着するまでに必要と予想される時間(以下、到着時間と表記)を算出する。到着時間算出部141は、上述した携帯端末30が有するGPS機能によって検知された保守員の現在位置、閉じ込め事故の発生現場の位置(住所)及び地図情報格納部12に格納されている地図情報に基づいて到着時間を算出する。
【0029】
救出作業リスト生成部142は、保守管理情報格納部13を参照して、乗りかご21内に閉じ込められた乗客を救出するために行われる救出作業が規定された救出作業リストを生成する。救出作業リスト生成部142によって生成される救出作業リストには、乗客を救出するための複数の作業項目が含まれる。
【0030】
救出作業時間算出部143は、乗客を救出するために行われる救出作業(救出作業リスト)に応じた救出作業時間を算出する。救出作業時間は、例えば閉じ込め事故の発生現場における救出作業の開始から終了までに必要と予想される時間である。救出作業時間算出部143は、救出作業リストに含まれる複数の作業項目の各々に対して設定されている作業時間に基づいて救出作業時間を算出する。
【0031】
通信処理部15は、表示制御装置20及び携帯端末30との通信を実行する機能を有する。具体的には、通信処理部15は、監視端末によって送信された事故発生情報及び携帯端末30によって送信された当該携帯端末30を所持する保守員の現在位置を示す位置情報を受信する。また、通信処理部15は、救出時間として、到着時間算出部141によって算出された到着時間及び救出作業時間算出部143によって算出された救出作業時間を液晶モニタ22に表示するために表示制御装置20に送信する。
【0032】
時間更新部16は、例えば保守員の閉じ込め事故の発生現場への到着及び救出作業リストに規定された救出作業の進捗状況に応じて救出時間を更新する。時間更新部16によって更新された救出時間は、通信処理部15を介して表示制御装置20に送信される。
【0033】
次に、本実施形態に係る保守管理装置10の動作について説明する。まず、図3のフローチャートを参照して、上述した救出時間を液晶モニタ22に表示する際の保守管理装置10の処理手順について説明する。
【0034】
乗りかご21内に乗客が乗車している際に閉じ込め事故が発生した場合、エレベータに備えられている監視端末は、当該閉じ込め事故の発生を示す事故発生情報を保守管理装置10に送信するものとする。この事故発生情報は、閉じ込め事故が発生した原因(例えば、エレベータの故障箇所等)を含む。
【0035】
事故判定部11は、通信処理部15を介して事故発生情報が受信されたか否かを判定する(ステップS1)。事故発生情報が受信された場合(ステップS1のYES)、事故判定部11は、エレベータにおいて閉じ込め事故が発生したと判定する。
【0036】
なお、乗りかご21内には上記したようにインターフォンが設けられている。したがって、乗りかご21内に乗客が乗車している際に閉じ込め事故が発生した場合、当該乗客は、当該乗りかご21内に設けられている例えば非常呼びボタン等を押下することによってインターフォンを介して監視センタの管理者に対して閉じ込め事故の発生を連絡することができる。事故判定部11は、このような連絡を受けた管理者の操作に応じて閉じ込め事故が発生したと判定してもよい。
【0037】
ここで、保守管理装置10(に含まれる通信処理部15)は、保守員が所持する携帯端末30から定期的に位置情報(当該保守員の現在位置)を受信する。これにより、閉じ込め事故が発生したと判定された場合、保守管理装置10においては、閉じ込め事故の発生現場(以下、事故発生現場と表記)の住所に対応する位置に当該閉じ込め事故が発生したことを表すアイコンが配置され、かつ、携帯端末30から受信された位置情報によって示される位置に保守員を表すアイコンが配置された地図(情報)が表示される。閉じ込め事故の発生現場の住所は、保守管理情報格納部13に格納されているエレベータ情報から取得される。また、保守管理装置10において表示される地図情報は、地図情報格納部12から取得される。
【0038】
保守管理装置10を使用する監視センタの管理者は、事故発生現場の比較的近傍に位置する保守員(を表すアイコン)を、事故発生現場に派遣する保守員(以下、担当保守員と表記)として保守管理装置10に表示された地図上で指定することができる(ステップS2)。
【0039】
管理者によって担当保守員が指定されると、保守管理情報格納部13に格納されている保守員情報に含まれる電話番号が保守管理装置10から発信され、保守管理装置10を使用する管理者と担当保守員との間で通話が可能となる。これにより、管理者は、担当保守員に対して事故発生現場における乗客の救出作業を指示することができる。担当保守員は、管理者からの指示に従って事故発生現場に移動する。
【0040】
管理者からの指示は、担当保守員が所持する携帯端末30に対してメール等を送信することによって行われても構わない。
【0041】
次に、保守管理装置10においては、担当保守員が事故発生現場に移動する手段(以下、交通手段と表記)が特定される(ステップS3)。交通手段には、例えば徒歩、自転車、車及びバイク等が含まれる。ステップS3においては、上記した担当保守員との間の通話内容に応じて管理者が保守管理装置10に対して入力した交通手段が特定されてもよいし、担当保守員に対して予め定められている交通手段が特定されてもよい。担当保守員に対して交通手段が予め定められている場合、当該交通手段は、保守員情報として保守管理情報格納部13に格納されているものとする。この場合、交通手段は、保守管理情報格納部13に格納されている保守員情報に基づいて特定することができる。以下、ステップS3において特定された交通手段を便宜的に対象交通手段と称する。
【0042】
救出時間算出部14に含まれる到着時間算出部141は、担当保守員が所持する携帯端末30から受信された位置情報(つまり、担当保守員の現在位置)、事故発生現場の位置(住所)及び地図情報格納部12に格納されている地図情報及び対象交通手段に基づいて、到着予想時間を算出する(ステップS4)。
【0043】
この場合、到着時間算出部141は、地図情報に基づいて担当保守員の現在位置から事故発生現場の位置までの経路(最短経路)を算出し、当該経路の距離及び当該経路における対象交通手段による移動速度(制限速度)等を用いて到着時間を算出する。到着時間の算出処理においては、例えば外部のサーバ装置等から取得された各種交通情報(渋滞情報等)が利用されても構わない。
【0044】
次に、救出作業リスト生成部142は、保守管理情報格納部13を参照して、監視端末から受信された事故発生情報に含まれる閉じ込め事故が発生した原因に応じた救出作業が規定された救出作業リストを生成する(ステップS5)。この場合、救出作業リスト生成部142は、保守管理情報格納部13に格納されている複数の作業情報の各々によって示される作業項目の中から、閉じ込め事故が発生した原因(例えば、部品の故障等)を解消し、エレベータを復旧させる(つまり、乗客を救出する)ために必要な複数の作業項目を選択し、当該選択された作業項目を含む救出作業リストを生成する。なお、救出作業リストに含まれる複数の作業項目は、作業を行う順に配列されているものとする。
【0045】
救出作業時間算出部143は、救出作業リストに含まれる作業項目の各々に対して設定されている作業時間に基づいて救出作業時間を算出する(ステップS6)。具体的には、救出作業時間算出部143は、救出作業リストに含まれる作業項目の各々に対して設定されている作業時間の合計値を救出作業時間として算出する。なお、作業項目(に対応する作業)によっては、当該作業を行う前の準備または作業場所の移動が必要な場合があるため、上記したように算出された救出作業時間に対してこれらの場合に必要な時間を加算した時間が救出作業時間として算出されてもよい。エレベータが設置されている建物の構造(つまり、作業のしやすさ)等に応じて加算される時間が異なるようにしてもよい。
【0046】
救出時間算出部14は、到着時間算出部141によって算出された到着時間及び救出作業時間算出部143によって算出された救出作業時間に基づいて救出時間を算出する(ステップS7)。救出時間が閉じ込め事故の発生から乗客が救出されるまでに必要と予想される時間であるものとすると、救出時間算出部14は、到着時間及び救出作業時間の合計時間を救出時間として算出する。担当保守員は、救出作業の準備等により、事故発生現場に到着した後、即時に救出作業を開始することができない場合があるため、到着時間及び救出作業時間の合計時間に予め定められた時間(例えば、数分程度)を加算した時間を救出時間としてもよい。
【0047】
なお、救出時間算出部14によって算出された救出時間(到着時間及び救出作業時間)は、保守管理装置10内部に保持される。
【0048】
次に、通信処理部15は、救出時間算出部14によって算出された救出時間を、表示制御装置20に送信する(ステップS8)。
【0049】
ステップS8の処理が実行されると、表示制御装置20は、通信処理部15によって送信された救出時間を受信し、当該救出時間を乗りかご21内の液晶モニタ22に表示する。具体的には、救出時間は、例えば「約○○分後に救出予定です。しばらくお待ちください。」のように表示される。また、救出時間は、例えば「担当保守員が約△△分(到着時間)後に現場に到着します。担当保守員が現場に到着した後、約××分(救出作業時間)後に救出予定です。しばらくお待ちください。」のように到着時間及び救出作業時間の各々が区別可能な態様で表示されてもよい。
【0050】
また、通信処理部15は、救出作業リスト生成部142によって生成された救出作業リストを担当保守員が所持する携帯端末30に送信する。携帯端末30に送信された救出作業リストは、当該携帯端末30のディスプレイに表示可能である。救出作業リストにおいては複数の作業項目が作業を行う順に配列されているため、担当保守員は、当該複数の作業項目に沿って救出作業を行うことができる。
【0051】
一方、ステップS1において事故発生情報が受信されていないと判定された場合(ステップS1のNO)、保守管理装置10の処理は終了される。
【0052】
ここで、上記した図3に示す処理が実行されることによって液晶モニタ22に表示される救出時間は、閉じ込め事故の発生から乗客が救出されるまでに必要と予想される時間であるため、担当保守員の事故発生現場への到着及び救出作業の進捗状況に応じて更新される必要がある。
【0053】
そこで、図4のフローチャートを参照して、液晶モニタ22に表示される救出時間を更新する際の保守管理装置10の処理手順について説明する。図4に示す処理は、上述した図3に示す処理が実行され、救出時間が液晶モニタ22に表示された後に実行される。
【0054】
まず、時間更新部16は、担当保守員が事故発生現場に到着したか否かを判定する(ステップS11)。担当保守員は、例えば当該担当保守員が所持する携帯端末30を操作することによって、当該担当保守員が事故発生現場に到着したことを保守管理装置10に通知することができる。時間更新部16は、このような携帯端末30からの通知に基づいて担当保守員が事故発生現場に到着したと判定する。
【0055】
なお、上述したように保守管理装置10は担当保守員が所持する携帯端末30から定期的に位置情報を受信しているため、時間更新部16は、当該位置情報によって示される担当保守員の現在位置に基づいて当該担当保守員が事故発生現場に到着したと判定してもよい。
【0056】
担当保守員が事故発生現場に到着していないと判定された場合(ステップS11のNO)、ステップS11に戻って処理が繰り返される。
【0057】
一方、担当保守員が事故発生現場に到着したと判定された場合(ステップS11のYES)、時間更新部16は、当該担当保守員の事故発生現場への到着に応じて、保守管理装置10内部に保持されている救出時間(つまり、液晶モニタ22に表示されている救出時間)を更新する(ステップS12)。
【0058】
具体的には、時間更新部16は、保守管理装置10内部に保持されている救出時間から到着時間を減算することによって当該救出時間を更新する。この場合、時間更新部16による更新後の救出時間は、図3に示す処理において算出された救出作業時間に相当する。以下、ステップS12の処理による更新後の救出時間を便宜的に第1の更新後の救出時間と称する。第1の更新後の救出時間は、保守管理装置10内部に保持される。
【0059】
次に、通信処理部15は、第1の更新後の救出時間を、表示制御装置20に送信する(ステップS13)。
【0060】
ステップS13の処理が実行されると、表示制御装置20は、通信処理部15によって送信された第1の更新後の救出時間を受信し、当該救出時間を乗りかご21内の液晶モニタ22に表示する。この場合における第1の更新後の救出時間は、例えば「担当保守員が現場に到着しました。約××分後に救出予定です。しばらくお待ちください。」のように表示される。
【0061】
ここで、上記したように担当保守員は、携帯端末30のディスプレイに表示された救出作業リストに含まれる複数の作業項目に沿って救出作業を行うことができる。この場合、担当保守員は、救出作業リストに含まれる複数の作業項目のうちの1の作業項目(に対応する作業)が完了された場合、携帯端末30を操作することによって当該作業項目の完了を登録することができる。このように登録された作業項目の完了は、携帯端末30から保守管理装置10に通知される。
【0062】
時間更新部16は、携帯端末30からの通知の有無に基づいて、救出作業リストに含まれる複数の作業項目のうちの1の作業項目が完了されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0063】
時間更新部16は、携帯端末30から作業項目の完了が通知されない場合、当該作業項目の完了が通知されるまでステップS14の処理を繰り返す(ステップS14のNO)。
【0064】
一方、携帯端末30から作業項目の完了が通知された場合、時間更新部16は、当該作業項目が完了されたと判定する(ステップS14のYES)。この場合、時間更新部16は、作業項目の完了に応じて、保守管理装置10内部に保持されている第1の更新後の救出時間(つまり、液晶モニタ22に表示されている救出時間)を更新する(ステップS15)。
【0065】
具体的には、時間更新部16は、第1の更新後の救出時間から完了した作業項目に対して予め設定されている作業時間を減算することによって当該作業時間を更新する。以下、ステップS15の処理による更新後の救出時間を便宜的に第2の更新後の救出時間と称する。第2の更新後の救出時間は、保守管理装置10内部に保持される。
【0066】
次に、通信処理部15は、第2の更新後の救出時間を、表示制御装置20に送信する(ステップS16)。
【0067】
ステップS16の処理が実行されると、表示制御装置20は、通信処理部15によって送信された第2の更新後の救出時間を受信し、当該救出時間を乗りかご21内の液晶モニタ22に表示する。この場合における第2の更新後の救出時間は、例えば「現在救出作業を行っております。約□□分後に救出予定です。しばらくお待ち下さい。」のように表示される。この場合、上述した救出作業リストに含まれる複数の作業項目のうちの完了した作業項目を液晶モニタ22に表示することによって、乗客が救出作業の進捗状況を把握できるようにしてもよい。
【0068】
次に、保守管理装置10においては、救出作業が完了したか否かが判定される(ステップS17)。この場合、救出作業リストに含まれる全ての作業項目の完了が携帯端末30から通知された場合には、救出作業が完了したと判定される。
【0069】
救出作業が完了していないと判定された場合(ステップS17のNO)、上記したステップS14に戻って処理が繰り返される。この場合において別の作業項目が完了した場合には、ステップS15において保守管理装置10内部に保持されている第2の更新後の救出時間が更に更新される。
【0070】
一方、救出作業が完了したと判定された場合(ステップS17のYES)、保守管理装置10の処理は終了される。この場合、保守管理装置10から表示制御装置20に救出作業の完了が通知されることによって、当該表示制御装置20は、例えば「救出作業が完了しました。間もなく救出します。」等のメッセージを液晶モニタ22に表示してもよい。
【0071】
上述した図3に示す処理においては到着時間及び救出作業時間が救出時間として乗りかご21内の液晶モニタ22に表示されるものとして説明したが、保守員が多数存在するような場合には、担当保守員は短時間で事故発生現場に到着可能な場合が多い。したがって、本実施形態に係る保守管理装置10は、救出時間として救出作業時間のみが表示される構成としても構わない。この場合には、図3に示すステップS2〜S4の処理は省略されるものとする。
【0072】
また、救出作業時間のみが表示される構成が採用される場合には、図4に示すステップS11に示す処理において担当保守員が事故発生現場に到着したと判定された時点で救出作業時間が液晶モニタ22に表示されるような構成としてもよい。
【0073】
上記したように本実施形態においては、エレベータの乗りかご21内に乗客が閉じ込められる閉じ込め事故が発生した場合に、救出作業に応じた救出作業時間を算出し、当該救出作業時間を乗りかご21内に設けられた液晶モニタ(表示装置)22に表示するために表示制御装置20に送信する。具体的には、閉じ込め事故が発生した原因に応じた救出作業が規定された救出作業リストであって、乗客を救出するための複数の作業項目を含む救出作業リストを生成し、当該複数の作業項目の各々に対して予め設定された作業時間に基づいて救出作業時間を算出する。本実施形態においては、このような構成により、乗りかご21内に閉じ込められた乗客は救出されるまでに行われる救出作業が完了するまでの時間を把握することが可能であるため、当該乗客の不安感を低減することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態においては、救出作業における各作業項目の完了に応じて救出作業時間を更新する構成により、救出作業の進捗状況に応じた救出までの正確な時間を乗客に対して表示(提示)することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態においては、保守員の現在位置(第1の位置情報)及び事故発生現場の位置(第2の位置情報)に基づいて保守員が事故発生現場に到着するまでの到着時間を算出し、到着時間及び救出作業時間を表示制御装置20に送信する。本実施形態においては、このような構成により、到着時間及び救出作業時間を乗客に対して表示することが可能となるため、閉じ込め事故の発生から救出までの時間(救出時間)を乗客に対して表示することが可能となる。
【0076】
なお、本実施形態においては、乗りかご21内に閉じ込められた乗客が救出されるまでの時間(救出時間)が液晶モニタ22に表示されるものとして説明したが、当該乗客が救出される時刻(救出時刻)が液晶モニタ22に表示されても構わない。この場合、例えば現在時刻から、図3に示す処理において算出された到着時間及び作業予想時間の合計時間が経過した時刻を救出時刻として液晶モニタ22に表示することができる。
【0077】
また、保守管理装置10は、上述した救出時間(または救出時刻)以外に担当保守員によって行われている作業内容に応じたメッセージを表示制御装置20に送信するような構成であってもよい。これによれば、例えば担当保守員が現在行っている作業によって乗りかご21が揺れる可能性がある場合に、例えば「乗りかごが揺れる可能性がありますのでご注意ください。ドア付近には近づかないでください。」のようなメッセージを液晶モニタ22に表示することができる。
【0078】
更に、救出作業時間は、担当保守員の熟練度(スキル)に応じて異なる場合がある。このため、本実施形態においては、担当保守員の熟練度に応じて異なる救出作業時間が算出される構成としてもよい。具体的には、上述した保守員情報として保守員の勤続年数等を保守管理情報格納部13に格納しておき、前述した図3に示す処理において算出された救出作業時間に対して担当保守員の勤続年数(経験年数)に応じた重み付けをするものとする。これは、勤続年数の長い保守員は熟練度が高く、より短い時間で救出作業を行うことが可能であることに基づくものである。すなわち、勤続年数が比較的長い保守員が担当保守員である場合には、当該勤続年数に応じて救出作業時間を短縮することができる。
【0079】
なお、本実施形態に係る保守管理装置10は例えば監視センタに配置されるものとして説明したが、保守員によって所持される携帯端末30が本実施形態に係る保守管理装置として動作しても構わない。この場合には、携帯端末30が例えば図2に示す各部11〜16を含み、上述した図3及び図4の処理が携帯端末30において実行されればよい。この場合、エレベータに備えられる監視端末から送信される事故発生情報は、例えば監視センタを介して携帯端末30において受信されればよい。また、地図情報格納部12及び保守管理情報格納部13は監視センタに備えられており、当該地図情報格納部12及び保守管理情報格納部13に格納されている各種情報は、必要に応じて監視センタから携帯端末30に送信される構成であってもよい。
【0080】
更に、例えば携帯端末30を使用して担当保守員が乗りかご21内に閉じ込められた乗客と直接通話ができるような仕組みが構築されていてもよいし、当該携帯端末30から送信されたメッセージ(メール)が乗りかご21内の液晶モニタに表示されるような構成としてもよい。
【0081】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10…保守管理装置、11…事故判定部、12…地図情報格納部、13…保守管理情報格納部、14…救出時間算出部、15…通信処理部、16…時間更新部、20…表示制御装置、21…乗りかご、22…液晶モニタ(表示装置)、30…携帯端末。
【要約】
【課題】乗りかご内に閉じ込められた乗客の不安感を低減させることが可能な保守管理装置及び保守管理システムを提供することにある。
【解決手段】本実施形態に係る保守管理装置は、判定手段と、作業時間算出手段と、送信手段とを具備する。判定手段は、エレベータの乗りかご内に乗客が閉じ込められる閉じ込め事故が発生したかを判定する。作業時間算出手段は、閉じ込め事故が発生したと判定された場合、乗客を救出するために保守員によって行われる救出作業に応じた救出作業時間を算出する。送信手段は、乗りかご内に設けられた表示装置に表示するために、算出された救出作業時間を送信する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4