(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969097
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】ロールホルダー用カッター、およびそれを利用したロールホルダー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
A47K10/36 E
A47K10/36 G
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-171441(P2015-171441)
(22)【出願日】2015年8月31日
【審査請求日】2015年12月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594142067
【氏名又は名称】梅津 権太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】梅 津 権 太 郎
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3196403(JP,U)
【文献】
実開昭55−150098(JP,U)
【文献】
実開昭48−024748(JP,U)
【文献】
特開2012−143324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象ロールペーパーを左右腕壁間に着脱自在且つ水平軸支可能なロールホルダーの背壁上端付近に、前端がわを上下揺動自在とする基端軸装機構か、または、既存カッター部がわを上下方向揺動自在とした既設ロールホルダー上蓋に対し、その表面に積層状に一体化する固着機構かの少なくとも何れか一方を有する蓋状壁部が設けられ、同蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を垂れ下り状とし、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部が立設され、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体が設けられると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する繰出し窓が開口され、該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、その後に復元可能とする安全機構が組み込まれてなるものとしたことを特徴とするロールホルダー用カッター。
【請求項2】
対象ロールペーパーを左右腕壁間に着脱自在且つ水平軸支可能なロールホルダーの背壁上端付近に、前端がわを上下揺動自在とする基端軸装機構か、または、既存カッター部がわを上下方向揺動自在とした既設ロールホルダー上蓋に対し、その表面に積層状に一体化する固着機構かの少なくとも何れか一方を有する蓋状壁部が設けられ、同蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を垂れ下り状とし、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部が立設され、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体が設けられると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する繰出し窓が開口され、該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、その後に復元可能とする安全機構が組み込まれ、該安全機構を境に、蓋状壁部に一体化した施蓋物と、上向きカッター部に一体となる可撓刃物とが連続状に一体化されてなるものとしたことを特徴とするロールホルダー用カッター。
【請求項3】
安全機構が、上向きカッター部および可撓刃物の少なくとも何れか一方を、複数の角度姿勢の中、適宜選択した何れか1つの角度姿勢に節度感をもって調節し、且つ過大な荷重が加わるまで選択調節角度姿勢のまま支持可能な姿勢チャンネル部を有するものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項4】
安全機構が、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の少なくとも一箇所の左右端間にわたり連続する脆弱部を有するものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項5】
安全機構が、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の表面がわとなる少なくとも一箇所の左右端間にわたり、一直線状に連続する溝状薄肉脆弱部を有するものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項6】
安全機構が、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の裏面がわとなる少なくとも一箇所の左右端間にわたり、一直線状に連続する溝状薄肉脆弱部を有するものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項7】
安全機構が、ロールペーパー用繰出し窓の左右外がわとなる庇状湾曲隔壁部に応力集中脆弱部を有するものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項8】
蓋状壁部ないし上向きカッター部の左右幅を対象ロールペーパーの軸長より充分に大きく設定され、ロールペーパー用繰出し窓の左右幅を対象ロールペーパーの軸長と同じか、または僅かに長く設定されてなるものとした、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項9】
蓋状壁部が、その基端縁の左右端間にわたる所定前後幅範囲の上面に、基端に向けた下り勾配を持ち、上下肉厚を漸次薄くした干渉回避用傾斜縁にされてなるものとした、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項10】
蓋状壁部が、その基端縁の左右端間にわたる所定前後幅範囲の上面に、基端に向けた下り勾配を持ち、上下肉厚を漸次薄くした干渉回避用傾斜縁とした上、該干渉回避用傾斜縁の前後間適所に、少なくとも1本の左右端間切断用案内表示線か、または、少なくとも1本の左右端間切断用線状脆弱溝かの何れか一方を設けてなるものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項11】
ロールペーパー用繰出し窓が、その開口上縁を水平状とし、同開口下縁を、左右端間中央で上下最大開口寸法とした概略V字形状または概略円弧形状の何れか一方のものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項12】
ロールペーパー用繰出し窓が、その開口上縁を水平状とし、同開口下縁を、左右端間中央で上下最大開口寸法としたV字形状または円弧形状の何れか一方とすると共に、上向きカッター部の輪郭をV字形状または円弧形状の何れか一方のものとされた、請求項1または2何れか一方記載のロールホルダー用カッター。
【請求項13】
垂直壁面に固着可能な背壁、および該背壁の左右端から前方に延伸した左右腕壁先端間に、対象ロールペーパーを着脱および回転自在に水平軸支する装着軸機構を設けたロールホルダー本体を有し、該ロールホルダー本体背壁寄りの左右腕壁上端間に、対象ロールペーパーの軸長を超える左右幅、および、同対象ロールペーパー使用開始時の水平最大径を僅かに超える前後長に設定された蓋状壁部基端の基端軸装機構を介して先端上下揺動自在とするよう軸着され、同蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を垂れ下り状とし、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部が立設され、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体が設けられると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する繰出し窓が開口され、該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、その後に復元可能とする安全機構が組み込まれてなるものとした、請求項1ないし12何れか一項記載のロールホルダー用カッターを利用したロールホルダー。
【請求項14】
既存カッター部がわを上下方向揺動自在とする既設ロールホルダー上蓋表面に対し、蓋状壁部を積層状に配置するよう固着機構を介して固着され、該蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を、既設ロールホルダーカッター部を越えてそのまま延伸し、当該既存装着軸に装着された対象ロールペーパー使用開始時の水平最大径位置を越えて適宜間隔を置いた外がわ所定位置辺りに垂下され、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部が立設され、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体が設けられると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する繰出し窓が開口され、該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、その後に復元可能とする安全機構が組み込まれてなるものとした、請求項1ないし12何れか一項記載のロールホルダー用カッターを利用したロールホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロール型シート状製品を保持するロールホルダーに関連するものであって、特に、ロールホルダー用の部品類、および、ロールホルダー用の後付け部品類を製造、提供する分野をはじめとし、その包装、輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
一般的なロールホルダーといえば、例えば、
図25に示すように、建築物室内壁面などに木ネジなどで固定可能なホルダー本体Aに、ロールペーパーDの筒状芯部分を水平状且つ回転自在に軸支可能な装着軸Cと、同装着軸Cに装着したロールペーパーDの上がわを開閉自在に覆うよう、該ホルダー本体Aに基端B3が軸着した曲面板状体であって、その遊端縁B4に、引き出したロールペーパーDの中途部分を裁断可能なカッター部B5を形成してなる上蓋Bとを有するようにしたものであり、利用に際しては、該上蓋BでロールペーパーDの外周面を抑え、同上蓋Bカッター部B5を境に、ロールペーパーDの引き出した部分D0を引き上げるようにして裁断する構造のものが殆どであった。
【0003】
しかしながら、こうした従前からの器具、手段によるものの場合には、裁断後に残されるロールペーパーDの切断残部端D1が、当該カッター部B5を境として上蓋Bの下に隠れた状態となってしまい、新たにロールペーパーD残部端D1を引き出そうとする場合には、必ずその上蓋Bのカッター部B5近傍となる遊端縁B4がわに手指を掛け、上方に持ち上げるようにしてロールペーパーDの切断残部端D1を摘み出さなければならず、遊端縁B4は、通常、硬質で鋭利なカッター部B5に形成されていることもあり、うっかり強く触れてしまうと思わぬ傷を負ってしまう虞があるだけではなく、遊端縁B4がわを上方に持ち上げてロールペーパーD残部端D1を見付け出そうとしても、紙質によっては同ロールペーパーD外周面に密着状となってしまっていて、なかなか切断残部端D1を見付け出すことができず、同ロールペーパーDを何度も回転させて探さなければならなくなることも頻発し、やっと見付け出せたとしても、今度は、そのロールペーパーD残部端D1がなかなか摘めず、その煩わしさに辟易してしまうことも多かった。
【0004】
(従来の技術)
こうした従前からの状況に、多くの人々がイラ付きを覚えながらも、これまで特に改善の兆しもないままに放置されてきており、本願発明者兼出願人においてもその状況に甘んじて来てはいたものの、機会が有って自らが宿泊関連施設を立ち上げるに及んだとき、接客サービスの一環として、トイレの利便性についても、自らの施設の評価に大きく係わりを有してくるものとの判断から、上記した従前までの器具に換えてその使い勝手を充実させるべく、下記の特許文献1(1)に示すとおり、自ら試行錯誤を重ねて試作、実験を重ねてきた結果、従前からの器具に替わるこれまでに実現されたことのない新規且つ利便性に富んだ「ロールホルダー用追加型カッター」を開発、完成し、既に実用化に踏み出そうとしている。
図27
【0005】
この考案のものは、その自らにおいて既に完成、確定した「ロールホルダー用追加型カッター」が、主に従前からのこの種器具の欠点、即ち、ロールペーパー残部端の取り出しの際の不便、つまり、カッター部品類のカッター部分がロールペーパーの外周面に圧接状となってしまっていて、引き出して切断した後のロールペーパーの残部端が当該カッター部品とロールペーパー外周面との間に挟み込まれた状態となり、ロールペーパーの残部端を引き出すには、当該カッター部品類およびロールホルダー上蓋を上方に持ち上げる操作をして同残部端を探し出して引き出し、摘んだ状態のままで上蓋を下ろし、フリーになった手で再び抑えながら切断しなければならなかった不都合は解消し、常にロールペーパー残端部が所定長垂れ下がり状に開放されたままとなっていて、その後、繰り返し訪れる利用者は、何時も簡単、確実に同残端部を掴んで所望長の引き出し操作を可能にはするものの、それを所定長のままで切断操作しようとする際には、必ずもう片方の手で上蓋部分を押さえながらの操作、即ち両手を使っての操作となってしまうため、片手だけでの操作で用を足すことができるものとはなっていなかったが、それはそれで健常者である限りにおいて何等の不都合を来す虞のないものとして完成はしていたものの、唯一、健常者以外、即ち、片手だけ何らかの不都合、障害があって、そのような両手による操作が適わない人への配慮を欠くこととなってしまっていたことから、その点で課題を残すこととなっていた。
【0006】
このため、さらに鋭意開発を進め幾多の試作・試用を繰り返した末に、特許文献1(2)に示すとおり、既設ロールホルダー上蓋に対して積層状に固定する積層壁部と、該積層壁部から既設ロールホルダーカッター部を越えて垂れ下がり状にした庇状湾曲隔壁部と、該庇状湾曲隔壁部下端縁から前方略水平状に屈曲して所定幅分延伸させ、上方に向けて立ち上りとした新設カッター部とからなるカッター本体を有し、積層壁部の適所に上蓋への固着機構を設ける一方、庇状湾曲隔壁部には、対象ロールペーパー巾に略相当する繰出し窓を形成してなるものとした特徴的な構造により、既設ロールホルダーの装着軸に対象ロールペーパーを軸着し、同対象ロールペーパー端部を、繰出し窓から前方に引き出してセットしてしまえば、後は繰出し窓より露出しているロールペーパー端部を片手で難なく掴み、そのまま繰り出し、その片手のまま同ロールペーパー中途適所を新設カッター部に押し当てるよう下方に向けて引き下ろす操作をすれば、ペーパーの繰出しに自動的にロックが掛かり、容易に裁断することができるものとした、全く新規で画期的構造を有する「ロールホルダー用追加型カッター」の創出に成功することとなった。
【0007】
そこで、早速その実用化に向け、自らの宿泊関連施設に設置して様々な顧客の試用に供しながら、その使用勝手についての多様な意見を求めてきた結果、片手だけで、しかもペーパー以外の器具本体に一切触れないままに用を足すことができるとして、大多数の人々からは好評を得る結果となったものの、利用者の中からの貴重な意見として、カッター部品による怪我の危険性など、幾つかの指摘を受けることとなり、さらに改善すべき課題が残されていることを再認識することとなった。
【特許文献1】(1)実用新案登録第3193234号公報 (2)実用新案登録第3196403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(問題意識)
上述のとおり、既に完成させていた「ロールホルダー用追加型カッター」は、片手で簡単にロールペーパー残部端を操出し、そのまま裁断することができ、ペーパーを摘んだ部分以外は一切触れずに用を足すことができるようにしたものであるから、健常者は固より、片手に何らかの不都合や障害を持ち、両手による操作が適わない人々にも使い勝手の良いものとすることに成功していたものの、様々な試用者の中には、前方に張り出した上向き姿勢のカッター部に誤って強く接触したり、衝突したりすると、手荷物や衣服および身体などに損傷を与えてしまい兼ないという不安を指摘する意見があり、これらに応えて、カッター部の安全性をより高めると共に、併せてペーパーの引き出し操作性や切断操作、更には既存のホルダーとの組み合わせ具合などについても吟味することとし、確実に子供から高齢者まで一層安心して心地良く利用可能となるよう、更なる改善の必要性を痛感するに至ったものである。
【0009】
(発明の目的)
そこで、この発明は、使用後のロールペーパー残部端が、ロールホルダーにセットされたままで何時でも露出状となっていて、どの利用者からも確実に目視でき、次の利用に際しては、そのロールペーパー残部端を簡単に目視して簡単、確実に掴み、引き出して切断、使用することができるという作用、機能を損なわせないで、しかも、一旦ロールペーパーを組み込みさえすれば、その引き出し操作は固よりのこと、所望する長さまで引き出した後のロールペーパーの切り離し操作も、全て片手で実施可能とする上、露出状となるカッター部の安全性を格段に高めるなどの新たな機能を加えたロールホルダーに関連する新技術の開発ができないものかとの判断から、先に完成していた技術に引き続き、その開発、研究を継続して試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造からなる改善されたロールホルダー用カッター、および、それを利用した新規な構造のロールホルダーを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のロールホルダー用カッターは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、対象ロールペーパーを左右腕壁間に着脱自在且つ水平軸支可能なロールホルダーの背壁上端付近に、前端がわを上下揺動自在とする基端軸装機構か、または、既存カッター部がわを上下方向揺動自在とした既設ロールホルダー上蓋に対し、その表面に積層状に一体化する固着機構かの少なくとも何れか一方を有する蓋状壁部
が設けられ、同蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を垂れ下り状とし、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部
が立設され、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体
が設けられると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する
繰出し窓が開口され、
該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部
から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、
その後に復元可能とする安全機構
が組み込まれてなるものとした構成を要旨とするロールホルダー用カッターである。
【0011】
この基本的な構成からなるロールホルダー用カッターは、その表現を変えて示すならば、対象ロールペーパーを左右腕壁間に着脱自在且つ水平軸支可能なロールホルダーの背壁上端付近に、前端がわを上下揺動自在とする基端軸装機構か、または、既存カッター部がわを上下方向揺動自在とした既設ロールホルダー上蓋に対し、その表面に積層状に一体化する固着機構かの少なくとも何れか一方を有する蓋状壁部
が設けられ、同蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を垂れ下り状とし、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部
が立設され、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体
が設けられると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する
繰出し窓が開口され、
該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部
から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、
その後に復元可能とする安全機構
が組み込まれ、該安全機構を境に、蓋状壁部に一体化した施蓋物と、上向きカッター部に一体となる可撓刃物とが連続状に一体化
されてなるものとした構成からなるロールホルダー用カッターとなる。
【0012】
(関連する発明1)
上記したロールホルダー用カッターに関連し、この発明には、それを利用したロールホルダーも包含している。
即ち、垂直壁面に固着可能な背壁、および該背壁の左右端から前方に延伸した左右腕壁先端間に、対象ロールペーパーを着脱および回転自在に水平軸支する装着軸機構を設けたロールホルダー本体を有し、該ロールホルダー本体背壁寄りの左右腕壁上端間に、対象ロールペーパーの軸長を超える左右幅、および、同対象ロールペーパー使用開始時の水平最大径を僅かに超える前後長に設定
された蓋状壁部基端の基端軸装機構を介して先端上下揺動自在とするよう軸着
され、同蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を垂れ下り状とし、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部
が立設され、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体
が設けられると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する
繰出し窓が開口され、
該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部
から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、
その後に復元可能とする安全機構
が組み込まれてなるものとした、この発明の基本をなすロールホルダー用カッターを利用したロールホルダーである。
【0013】
このロールホルダーを、表現を変えて示すと、既存カッター部がわを上下方向揺動自在とする既設ロールホルダー上蓋表面に対し、蓋状壁部を積層状に配置するよう固着機構を介して固着し、該蓋状壁部先端から庇状湾曲隔壁部を、既設ロールホルダーカッター部を越えてそのまま延伸し、当該既存装着軸に装着した対象ロールペーパー使用開始時の水平最大径位置を越えて適宜間隔を置いた外がわ所定位置辺りに垂下し、該庇状湾曲隔壁部の下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部を所定前後長分延伸させた上、同鍔壁部先端縁から上方に向けて立上壁部を立設し、その立上壁部の上端縁に上向きカッター部を有するカッター本体を設けると共に、当該庇状湾曲隔壁部中途幅方向には、対象ロールペーパーの左右幅長に略相当する
繰出し窓が開口され、
該繰出し窓よりも下方となる庇状湾曲隔壁部
から上向きカッター部に至るまでの適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重でその上向き姿勢を解除し、
その後に必要に応じて復元可能とする安全機構を組み込んでなるものとした、この発明の基本をなすロールホルダー用カッターを利用したロールホルダーということができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明のロールホルダー用カッターによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、従来型ロールホルダーの上蓋に置き換えるようにして組み込んだ、全く新しいロールホルダーを提供することができる外、従来型(既設を含む)ロールホルダーに対し、誰にでも簡単に且つ短時間の中にロールホルダー上蓋に組み込んで既存ロールホルダーと一体のものとすることができる上に、その後、対象ロールペーパーの残部端を、その繰出し窓から所望長だけ引き出してセットしておきさえすれば、初めての利用であっても一目でその使用方法を理解し、繰出し窓から引き出されて露出状となっているロールペーパーの残部端を摘んでその利用者が欲する所定の長さまで手前がわに引き出した後、従前までのロールホルダーや、既に本願発明の発明者兼出願人で完成済みとした既述の特許文献1(1)のものが斜め上方に剥がすように持ち上げるのとはその方向が異なり、同本願発明の発明者兼出願人が、開発途上の段階に出願済みとした既述の特許文献1(2)のものと同じく、下方に向けて引き千切るよう操作する片手操作だけで、それ以外の、即ち、従前までのもののように、もう片一方の手でロールホルダー上蓋を支持するようにするなどといった何らの補助的操作をすることもなく、所望の長さのペーパーとして切り離すことができ、その後において訪れる他の利用者にあっても全く同様で、このロールペーパー残部端の摘む操作をはじめ、引き千切る操作も、最初から最後まで片手だけの操作によって簡単、確実に実施可能になるという秀でた特徴が得られるものである。
【0015】
上記特徴は、この発明のロールホルダー用カッターにおいて、垂直壁面に固着可能な背壁、および該背壁の左右端から前方に延伸した左右腕壁先端間に、対象ロールペーパーを着脱および回転自在に水平軸支する装着軸機構を設けたロールホルダー本体を有し、該ロールホルダー本体背壁寄りの左右腕壁上端間に、蓋状壁部基端軸装機構を介して先端上下揺動自在に軸着してなる、この発明のロールホルダーとすることにより、その庇状湾曲隔壁部が、該蓋状壁部から、ロールホルダーの装着軸に装着した対象ロールペーパー使用開始時の水平最大半径位置を越えた外がわ所定位置辺りに垂れ下がり状で、略同装着軸の高さ位置辺りに達するようにし、その規制した箇所に設けてある横長の繰出し窓からロールペーパーの残部端を所望長だけ引き出してセットしてしまう(引出し程度は、繰出し窓を越えていさえすれば足りており、上向きカッター部との関係は不問。)ようにしておきさえすればよい。
【0016】
この初めのセットそのものも、ロールホルダーに収めたロールペーパー残部端を引き出して繰出し窓を潜らせるだけのものであることから、誰にあっても、いとも簡単に実施可能である上に、その後に訪れる利用者の操作は、この状態以降に行われるものであって、
常時その繰出し窓から露出状に
なっており、幼児から年配者までの誰にあっても間違いなく視認、あるいは手探りで確認できる所望長のロールペーパー残部端を摘み、所望する長さ分を引き出した上で、
掴んだまま、それを下方に力を加えると、当該ロールペーパー残部端該当箇所の裏面が、上向きカッター部に当接して同所を下方に押し下げる力として作用し、その作用は、この発明のロールホルダー用カッター全体に及び(梃子の原理)、そのまま対象ロールペーパーの上方に押圧力となって加担する結果、それまでロールホルダー装着軸にルーズにセットされていた対象ロールペーパーは、その回動を阻止され、ロールペーパー残部端を下方に引っ張る力が、直接そのまま上向きカッター部に当接する対象ロールペーパーに作用し、切断強度を越える力となったところで同所から対象ロールペーパーを確実に引き裂き、
引き千切られて所望長のロールペーパーに切断されたものとして手にすることとなるという新規な構成により、従前までのものには無かった格段の操作性を達成し得るものとなる。
【0017】
また、上記特徴は、この発明のロールホルダー用カッターにおいて、蓋状壁部が固着機構を介して既設ロールホルダー上蓋に対し、その表面に積層状に一体化してなるものとすることにより、その庇状湾曲隔壁部が、該蓋状壁部から既設ロールホルダー上蓋のカッター部を越えてそのまま延伸した後、当該装着軸に装着した対象ロールペーパー使用開始時の水平最大半径位置を越えた外がわ所定位置辺りに垂れ下がり状で、略同装着軸の高さ位置辺りに達するようにしたものとし、その規制した箇所に横長の繰出し窓を形成し、ロールペーパーの残部端を所望長だけ引き出してセットしてしまう(引出し程度は、繰出し窓を越えていさえすれば足りており、上向きカッター部との関係は不問。)ようにし、その後の操作、即ち利用者の操作は、この状態以降に行われることとなり、その露出状になっている所望長のロールペーパー残部端を摘み、所望する長さ分を引き出した上で、それを引き千切るために下方に力を加えると、当該ロールペーパー残部端該当箇所の裏面が上向きカッター部に当接して同所を下方に押し下げる力として作用し、その作用は、この発明のロールホルダー用カッター全体に及び(梃子の原理)、そのまま既設ロールホルダー上蓋に伝達して対象ロールペーパーの上方に押圧力となって加担する結果、それまで既設ロールホルダー装着軸にルーズにセットされていた対象ロールペーパーは、その回動を阻止され、ロールペーパー残部端を下方に引っ張る力が、直接そのまま上向きカッター部に当接する対象ロールペーパーに作用し、切断強度を越える力となったところで同所から対象ロールペーパーを確実に引き裂き、所望長のロールペーパーに切断したものとして手にするという新規な構成によってもたらされるものである。
【0018】
そして、繰出し窓の前方外がわから鍔壁部上、または、上向きカッター部上から、それよりも前方外がわに及ぶ範囲の何れかには、再び、ロールペーパー残部端が露出状に残置することとなって、次の引き裂き操作に備えた状態を常に実現し得るものとなっており、この一連の過程は、全て利用者の片手操作だけで実現可能とするものであることから、何らかの理由で片手でしか操作が出来ない人にとっては願ってもない器具として大いに歓迎され、勿論、健常者にあっても、片手操作だけで、それも自分用に必要となるロールペーパー部分にしか触れないで済ますことができ、衛生面で余計なことに気使いしないで済ますことができるという従前までのものには到底期待することなどできなかった画期的な恩恵に浴すことができるものとなる。
【0019】
また、蓋状壁部をそのまま延伸させて形成する庇状湾曲隔壁部に補強手段、例えば、実施例にも採用しているように、該庇状湾曲隔壁部の湾曲辺りの両側縁や、図示にはしていないが同庇状湾曲隔壁部の湾曲辺りの両側縁間背面に適宜本数の補強リブを設けるようにしたもの、その他にあっては、その所定彎曲形状が、素材の種類や部材厚といった部材そのものに係る材質・強度の劣化などによって長期間の中に自然に変形していく虞があるのに加え、僅かとはいえ、ロールペーパーを切断操作する度毎に加えられる外力によっても次第に変形していくことが予想され、それら変形によって最初の設計どおりに機能しなくなる(ロールペーパーの回転阻止機能や同引き裂き機能などが弱まる)危険性をできるだけ回避するようにして、いつまでも所期目的が持続して円滑な使用が可能になるようにするという利点が得られることとなる。
【0020】
そして、この庇状湾曲隔壁部に設ける繰出し窓が、その形成位置を、望ましくは装着した対象ロールペーパー外縁と当該上向きカッター部とを結ぶ線上に臨むよう規制して設けるようにしたものや、加えて、その横巾も対象ロールペーパー巾に略相当する寸法となるように形成したものにあっては、対象ロールペーパー残部端を、この発明のカッター本体に最初にセットする際、その繰出し窓を潜らせる操作が極めて円滑に実施可能にするのは勿論のこと、セット後において、利用者がその都度所望の長さにロールペーパー残部端がわを引き出し操作する場合においても、途中を引っ掛からせて上向きカッター部を使用する前に、その繰出し窓辺りで千切れさせてしまうといった不測事態の発生も防止できるようにするものとなし、この発明のロールホルダー用カッターの利便性をより一層保証することになるという大きな効果を発揮するものとなる。
【0021】
さらに、既設ロールホルダー上蓋への固着機構にあっても、特に限定されたものでなく、最初の取付け固定操作や、長期の繰り返し使用にあっても、不用意に離脱してしまわないよう、例えば、既に完成させてある特許文献1(1)のものに採用したような、左右分割型とし、夫々の外郭寸法が、積層壁部の面積内に収まる平板状とした可塑性装着板からなり、各可塑性装着板の必要箇所に、容易に剥離可能な被覆膜を有する接着層を設けるか、容易に剥離可能な被覆膜を有する両面粘着テープを添付するか、または、各接合面範囲に塗布可能なチューブ入りの接着剤を添付したものとするかなど、適宜状況に応じて採用するようにした最善の各部品を、予めこの発明のロールホルダー用カッターに同梱するよう包装してなるものとすることにより、店頭販売用の、什器への吊り下げや積み重ね、ロッカー型自動販売機への陳列など、様々な販路の拡大に繋げることを可能にする効果が期待できるものとなる。
【0022】
加えて、この発明のロールホルダー用カッターは、その庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の少なくとも一部適所に、上向きカッター部に、過大荷重が加わった場合に自動的にその上向き姿勢を解除して退避し、過大荷重が無くなると再び元の姿勢に復帰可能な安全機構を設けてなるものとし、換言すると、安全機構を境に、蓋状壁部に一体化した施蓋物と、上向きカッター部に一体となる可撓刃物とが連続状に一体化してなるものとしたから、利用者の身体や衣服、持ち物などが下向きの過大な運動力をもって当該上向きカッター部に接触した場合に、自動的に上向きカッター部および可撓刃物の少なくとも何れか一方が、その上向き姿勢を解除し、垂下状姿勢に退避するものとなり、接触による損傷を未然に防止し、格段に秀れた安全性を確保でき、その後は、必要に応じて上向き姿勢に復元することが可能なものになるという効果を奏するものである
【0023】
当該安全機構に姿勢チャンネル部を有するものとしたものは、上向きカッター部および可撓刃物の少なくとも何れか一方を、複数の角度姿勢の中、適宜選択した何れか1つの角度姿勢に節度感をもって調節し、且つ過大な荷重が加わるまで選択調節角度姿勢のまま支持可能なものとなり、ロールホルダーの設置高さや利用者と設置箇所との配置関係、および、頻繁に使用する利用者の体格や体形、身体動作の自由度など様々な利用条件に応じて、上向きカッター部および可撓刃物の少なくとも何れか一方の角度姿勢を自由に調節することができるから、一層利便性に秀れたものとすることができる上、利用者の身体や衣服、持ち物などが下向きの過大な運動力をもって当該上向きカッター部に接触した場合に、自動的に上向きカッター部および可撓刃物の少なくとも何れか一方が、その上向き姿勢を解除し、垂下状姿勢に退避するという、特徴的動作も機能するから、前記角度調節可能とした構造による利便性と共に高い安全性も確保できるものとなる。
【0024】
また、安全機構が、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部、および可撓刃物の少なくとも何れか一方の適所左右端間にわたり連続する脆弱部を有するものとし、より具体的にいうと、安全機構が、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部、および可撓刃物の表面がわとなる少なくとも何れか一方の適所左右端間にわたり、一直線状に連続する溝状薄肉脆弱部を有するものや、安全機構が、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部、および可撓刃物の裏面がわとなる少なくとも何れか一方の適所左右端間にわたり、一直線状に連続する溝状薄肉脆弱部を有するものとした場合には、利用者の身体や衣服、持ち物などが下向きの過大な運動力をもって当該上向きカッター部に接触した場合に、自動的に上向きカッター部および可撓刃物の少なくとも何れか一方が、上向き姿勢を解除して垂下状姿勢に退避するという、特徴的動作も機能する上、脆弱部を含むロールホルダー用カッターのカッター本体の全体を合成樹脂などの弾性を有する素材からなる一体化成型品とすることができるから、構造を一段と簡素化すると共に軽量化することができ、しかも製造工数および生産コストを大幅削減することができるものとなる。
【0025】
さらにまた、安全機構が、
繰出し窓の左右外がわとなる庇状湾曲隔壁部に応力集中脆弱部を有するものとした場合には、前述のものと同様に、過大な運動力をもって当該上向きカッター部に接触した場合に、自動的に上向きカッター部および可撓刃物の少なくとも何れか一方が、上向き姿勢を解除し、垂下状姿勢に退避するという、特徴的動作も機能する上、カッター本体全体を合成樹脂などの弾性を有する素材からなる一体化成型品とすることができ、構造を格段に簡素化して軽量化できると共に、生産性を大幅に高めたものとすることができる。
【0026】
そして、さらにカッター本体の蓋状壁部ないし上向きカッター部の左右幅を対象ロールペーパーの軸長より充分に大きく設定し、ロールペーパー用繰出し窓の左右幅を対象ロールペーパーの軸長と同じか、または僅かに長く設定してなるものは、繰出し窓より繰り出す対象ロールペーパーに撓みや皺などを生じさせることなく、平らなシート形状を維持したまま、より一段と平易且つ低摩擦抵抗にて引き出すことができるものとなり、ペーパー端部が繰出し窓縁部に引っ掛かってなかなか摘み出せなかったり、無理に摘みだしてペーパーが裂けたり、千切れてしまったりするのを確実に防止し、対象ロールペーパーを、この発明のロールホルダーにセットし、繰出し窓を通じてペーパー端部を摘み出す操作、そしてそれに続き、繰出し窓から所望の長さ分のペーパーを引き出す操作、および、上向きカッター部にペーパー中途部の切断目標となる任意箇所を押し当て、それよりも端部がわのペーパーを引き下ろすように操作して裁断するという一連の操作性を大幅に円滑化し、誰にでも片手だけで簡単且つ快適に対象ロールペーパーを裁断できるものとすることができる。
【0027】
また、蓋状壁部が、その基端縁の左右端間にわたる所定前後幅範囲の上面に、基端に向けた下り勾配を持ち、上下肉厚を漸次薄くした干渉回避用傾斜縁としたものは、装着対象ロールホルダーに装着し、この発明のロールホルダー用カッター遊端がわを上下回動させた場合に、当該ロールホルダー背壁上端に、該蓋状壁部基端縁が干渉し、同遊端がわを上方に回動不能となるのを防止することができるものとなり、さらに、蓋状壁部が、その基端縁の左右端間にわたる所定前後幅範囲の上面に、基端に向けた下り勾配を持ち、上下肉厚を漸次薄くした干渉回避用傾斜縁とした上、該干渉回避用傾斜縁の前後間適所に、少なくとも1本の左右端間切断用案内表示線か、または、少なくとも1本の左右端間切断用線状脆弱溝かの何れか一方を設けてなるものとすることにより、左右端間切断用案内表示線を有するものは、何れか適宜選択した切断用案内表示線に沿って余剰となって干渉の原因となる蓋状壁部基端縁範囲をカッターやハサミなどの工具類を用いて誤ること無く正確に切除することができ、左右端間切断用線状脆弱溝を有するものは、何れか適宜選択した切断用線状脆弱溝を境界とし、余剰となって干渉の原因となる蓋状壁部基端縁範囲をカッターやハサミなどの工具類を用いたり、複数回折り曲げ操作して疲労破断させるよう操作したりするなどして、より簡便且つ正確に切除することができるものとなり、寸法の異なる様々なロールホルダーに対して一段と幅広く、支障無く組み込むことができるものになる。
【0028】
ロールペーパー用繰出し窓が、その開口下縁を、左右端間中央で上下最大開口寸法とした概略V字形状または概略円弧形状の何れか一方のものとしてなるものは、対象ロールペーパーの端部を、同繰出し窓を通じて手指で摘み出すのに好都合な形状となり、ペーパー端部の摘み出し操作性を格段に高めたものとする上、同繰出し窓左右端縁部分が、ペーパー操出し端部の左右端を、上向きカッター部の高さ位置に略一致するか、それよりも僅かに高い位置に支持するものとなり、ペーパー端部の操出しおよび裁断操作性をも大幅に改善したものとすることができる。
【0029】
加えて、
繰出し窓が、その開口上縁を水平状とし、同開口下縁を、左右端間中央で上下最大開口寸法としたV字形状または円弧形状の何れか一方とすると共に、上向きカッター部の輪郭をV字形状または円弧形状の何れか一方としてなるものは、同繰出し窓の開口下縁と上向きカッター部の輪郭が同じ形状か、または略同じ形状のものとなるから、上向きカッター部に中途部を押し当たるようにして端部がわを引き下げるペーパー裁断操作の際に、同繰出し窓から上向きカッター部までの残部端となるペーパー範囲に、不要なストレスや歪みを与えてしまうのを阻止して、ロールペーパー残部端に皺や亀裂などを生じるのをより確実に防止することができ、しかも、上向きカッター部の輪郭が中央で凹形状となっているから、対象ロールペーパーをロールホルダーにセットし、ロールペーパー端部を同繰出し窓から摘み出す操作の際に、利用者の手指が上向きカッター部に干渉して、摘み出し操作を邪魔してしまうのを防止して、一層円滑なセット操作性および手繰り出し操作性を実現化できるものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
カッター本体は、この発明のロールホルダー用カッターの主要な本体部分を形成し、装着対象となるロールホルダーの上蓋それ自体となり(上蓋に置き換わり)、上向きカッター部を所望の位置に支持して利用可能とするか、または、装着対象となるロールホルダーの上蓋表面がわの適所に積層状に装着し、上向きカッター部を所望の位置に支持して利用可能とするかの何れか一方の機能を担うものとなり、蓋状壁部、庇状湾曲隔壁部、鍔壁部、立上壁部およびその上向きカッター部からなり、当該庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の適所に、少なくとも上向きカッター部への過大荷重によってその上向き姿勢を解除し、その後は、必要に応じて復元可能とする安全機構を組み込んでなるものとしなければならず、その蓋状壁部の適所には、基端軸装機構か、または固着機構かの少なくとも何れか一方を装備したものとすべきであり、金属製、合成樹脂製、ガラス繊維強化樹脂製、炭素繊維強化樹脂製などといった、従来型のロールホルダー上蓋と同等か、または、それ以上の耐久強度を有するものとするのが望ましく、さらに、表現を変えて示すならば、この発明のロールホルダー用カッターは、そのカッター本体が、該安全機構を境に、蓋状壁部に一体化した施蓋物と、上向きカッター部に一体となる可撓刃物とが連続状に一体化してなるものであるということができる。
【0031】
カッター本体の蓋状壁部は、装着対象となるロールホルダーの背壁上端付近に、その遊端がわに配する庇状湾曲隔壁部、鍔壁部、立上壁部およびその上向きカッター部を上下揺動自在とするように充分な強度をもって支持可能とするか、または、装着対象となるロールホルダー上蓋表面がわの適所に積層状に装着し、その遊端がわに配する庇状湾曲隔壁部、鍔壁部、立上壁部およびその上向きカッター部を、片持ち梁板状に充分な強度をもって支持可能とするかの少なくとも何れか一方の機能を担っており、装着対象となるロールホルダー上蓋の左右幅と同等か、同上蓋の左右幅よりも僅かに大きいか、同上蓋の左右幅よりも小さいかの何れかの外幅寸法に規制したものとするか、装着対象となるロールホルダーに装着する対象ロールペーパーの軸長と同等の左右幅か、同軸長よりも僅かに大きいか、同軸長よりも小さいかの何れかの外幅寸法に規制したものとするかの何れか1つとし、充分な強度を持って庇状湾曲隔壁部、鍔壁部、立上壁部およびその上向きカッター部を支持可能な剛性を有するものとしなければならず、板状、枠状、棒状、網状など何様々な形状のものとすることが可能であり、耐久性に秀れた金属板からなるものとすることができる外、製造コストや加工性などを考慮すると、後述する実施例にも示すように、庇状湾曲隔壁部と一体化成形した合成樹脂成形品とするのが望ましいと言える。
【0032】
加えて、蓋状壁部の基端軸装機構は、対象ロールペーパーを左右腕壁間に着脱自在且つ水平軸支可能なロールホルダーの背壁上端付近に、該蓋状壁部の前端がわを上下揺動自在とするよう水平軸心回りに軸着可能とする機能を担い、対象ロールペーパーを左右腕壁基端上部間に水平同心上に対峙する一対の軸部または一対の軸受け部を設け、それらの間に組み込み可能とするよう、蓋状壁部基端の少なくとも左右端に、水平同心上に対峙する一対の軸受け部または一対の軸部を設けたものとすることが可能であり、対象ロールホルダーの背壁上端付近適所と、蓋状壁部の基端付近適所との間に別体部品からなる軸受けおよび軸やヒンジ部品などを適宜組み込んでなるものとすることができ、可撓性樹脂製、可撓性布製、可撓性金属製などの紐や帯、平板、波板などの軸機構やヒンジ機構などと同等の動作が可能なものに置き換えたものとすることが可能である。
【0033】
また、蓋状壁部の固着機構は、蓋状壁部を装着対象となるロールホルダーの上蓋表面がわの適所に、充分な強度を持って固着可能とする機能を担い、誰でも簡単に蓋状壁部を対象上蓋に取り付け可能なものとすべきであり、ネジやボルト・ナット、バックル金具、クリップ金具など様々な留め具としたり、接着剤や粘着剤、粘着テープ、粘着シートなどを挟み込み、結合可能としたものなど、特に限定するものではなく、最初の取付け、固定が出来るだけ円滑に実施できると共に、長期に渡って繰り返し使用され続けても、不用意に離脱してしまわないようにすることが期待できるものであればよく、さらに利便性を考慮すると、蓋状壁部に一体化可能とし、素手でも簡単に折り曲げ加工可能な可塑性装着板からなり、該可塑性装着板の左右端を、対象上蓋の左右縁に嵌合するよう折り曲げ装着可能なものとすることができ、さらにまた、左右分割型であって、夫々の外郭寸法が、蓋状壁部の面積内に収まる平板状とした可塑性装着板からなり、各可塑性装着板の蓋状壁部との接合面範囲、および、各可塑性装着板の対象上蓋裏面との接合面範囲の夫々に、容易に剥離可能な被覆膜を有する接着層を設けるか、容易に剥離可能な被覆膜を有する両面粘着テープを添付するか、または、各接合面範囲に塗布可能なチューブ入りの接着剤を添付したものとするなど既に完成済みの特許文献1(1)に採用したものによることもできる。
【0034】
そして、蓋状壁部は、後述する実施例にも示すとおり、その基端縁を、左右端間にわたる所定前後幅範囲の上面に、基端に向けた下り勾配を持ち、上下肉厚を漸次薄くした干渉回避用傾斜縁としたものとするのが望ましく、より具体的には、その基端縁が、左右端間にわたる所定前後幅範囲の上面に、基端に向けた下り勾配を持ち、上下肉厚を漸次薄くした干渉回避用傾斜縁とした上、該干渉回避用傾斜縁の前後間適所に、少なくとも1本の左右端間切断用案内表示線か、または、少なくとも1本の左右端間切断用線状脆弱溝かの何れか一方を設けてなるものとするのが良い。
【0035】
さらに、蓋状壁部は、固着機構の接合面範囲に容易に剥離可能な被覆膜を有する接着層を設けるか、容易に剥離可能な被覆膜を有する両面粘着テープを添付するか、または、各接合面範囲に塗布可能なチューブ入りの接着剤を添付したものとなどとし、必須となる各部品と同梱するよう包装してなるものとすることが可能であり、また、装着対象ロールホルダー上蓋表面に積層状に重ね合わせるがわとなる壁面の、蓋状壁部と庇状湾曲隔壁部との境界線上に、同装着対象ロールホルダー上蓋カッター部に位置合わせ可能とする位置決め目標線を表示してなるものとすることが可能である外、その表面の適所に、カードの差し立てを可能とするスリット部、およびカード類を装着可能な額縁部などといった装飾を兼ねた適宜付属機能を付設してなるものとすることができる。
【0036】
庇状湾曲隔壁部は、蓋状壁部を支持部とする立上壁部および上向きカッター部をセット済ロールペーパー前方所定箇所に位置、確保するための重要な機能を担っており、所定箇所に位置するようにした上向きカッター部に、ロールペーパーを引き千切るための力を加わえたとき、その外力で簡単に変形、移動してしまわないよう、確りとした材質、強度のものとすべきであり、前記したとおり、金属製、合成樹脂製、ガラス繊維強化樹脂製、炭素繊維強化樹脂製などといった、従来型のロールホルダー上蓋と同等か、または、それ以上の耐久強度を有するものとしなければならず、場合によっては、後述の実施例においても採用してあるとおりに、特に湾曲部における変形防止用として主としてその部分辺りに補強構造としてのリブを形成するようにしたり、あるいは予めその部分の材厚を厚めに形成するなどとするのが望ましい。
【0037】
その際、例えば補強構造をリブとする場合、既に完成済みの特許文献1(2)に採用したもののように、既設ロールホルダー上蓋の表面形状(装着軸軸芯方向側面形)が異なっても対応可能となるよう、その表面形状に合わせた削り取り加工が可能となるやや幅広のリブを一体形成し、その側面には曲率を変えた何本かの削取り加工用目標線を予め用意したものとしておき、既存ロールホルダー上蓋形状に合致する同目標線を目安になるようにしてカッターなど削り取り加工して適応できるようにしたり、同特許文献1(2)の実施例のもののように、曲率を異にする数種類(実施例では3種類)のリブを予め個別のものとして同包するようにし、その中から既設ロールホルダー上蓋表面形状に合うものを選び、予め用意してある取付け手段、例えば剥離紙付き接着剤、あるいは雌雄嵌合構造とした溝あるいは穴とホゾあるいは栓などを使い、庇状湾曲隔壁部の裏面で湾曲部分辺りに一体化したものにすると、既存の殆どのロールホルダーに対しても適応可能となり、使用時の変形防止対策となるだけではなく、撓り変形に由来するガタつき防止対策を実現してなるものとすることができる。
【0038】
また、この庇状湾曲隔壁部は、蓋状壁部からそのまま前方に延伸し、既設ロールホルダー上蓋のカッター部相当辺りで湾曲形成して下方所定位置、望ましくは既設ロールホルダー装着軸軸装高さ位置辺りまで垂れ下がり状となって既設ロールホルダーの上方から前方を庇状に覆い被さり、セット済ロールペーパーの引き出し操作がわを隠してしまうような形状、構造のものとなした上、該庇状湾曲隔壁部の湾曲部分よりやや下方位置、即ち、未使用のロールペーパー断面円形の接線の中、上向きカッター部上端縁に及ぶこととなる接線を完全に含む位置には、ロールペーパー残部端がわを上向きカッター部に臨ませるためのロールペーパー用繰出し窓を形成したものとしなければならない。
【0039】
この庇状湾曲隔壁部の湾曲部分よりやや下方位置に形成する
繰出し窓の横巾寸法は、市販ロールペーパー巾(JIS規格114mm±2)を安全に通せる巾の横長形状のものとして形成しなければならず、縦寸法は、少なくともペーパー厚よりも大きければ良いとはいうものの、既設ロールホルダーに対し、最初に未使用のロールペーパーをセットしてその端部を剥がし、当該繰出し窓から引き出す際の操作性を考慮するならば、できれば標準的な人の親指と人差し指とを重ねた外形寸法2cm前後のものとするのが望ましいと言うことができ、例えば、後述する実施例にも示すように、蓋状壁部ないし上向きカッター部の左右幅を対象ロールペーパーの軸長より大きく設定したものにすると共に、当該
繰出し窓は、その左右幅を対象ロールペーパーの軸長よりも10mm程度小さい10cm前後のものから、対象ロールペーパーの軸長に同じか、僅かに大きく設定(そのためには、この
繰出し窓を設けることとなる庇状湾曲隔壁部の横幅寸法だけは、少なくともロールペーパー巾よりも大きく設定したものとする必要がある。)してなるものの中、最適なものとすることができる。
【0040】
そして、その繰出し窓に臨む該庇状湾曲隔壁部は、ペーパーの引き出し操作時の安全面からも、さらにはセット済ロールペーパーの残部端がわを引き出していき、上向きカッター部での切断操作に入るまでに引っ掛かり、破断してしまう不測事態を回避するためにも、滑らかな加工を施したものとすべきであり、例えば、
繰出し窓は、その開口上縁を水平状のものとするも、同開口下縁を、左右端間中央で上下最大開口寸法となるようにした概略円弧形状のもの、あるいは大きく広げたV字状(谷状)ものとして形成するようにすることができる
【0041】
上向きカッター部は、繰出し窓を通して誘導、所望長に引き出したロールペーパー残部端がわを、望みどおり円滑且つ確実に切り離す機能を担うもので、上記庇状湾曲隔壁部の垂れ下がり状となった下端縁前方所定位置に、当該庇状湾曲隔壁部下端縁に連続して一体的に形成し、そのままかやや狭めた巾で前方に略水平もしくはやや上向き水平状に屈曲して所定巾分延伸させた鍔壁部の先端縁から、上方に向けて屈曲し、立上壁部を立設し、その上端縁を上向きカッター部に形成するものであり、該上向きカッター部の位置は、既設ロールホルダーで、対象ロールペーパーをセットした装着軸軸装高さ位置辺りと略同様の高さ位置かやや高めとなる位置に確保するようにすべきで、庇状湾曲隔壁部の垂れ下がり下端縁からその位置が決定されるようにしなければならない。
【0042】
そして、上向きカッター部は、手で軽く触れても安全な程度の形状を呈するものであって、対象ロールホルダーの上蓋に設けられたカッター部と略同等の切断が可能なものとしなければならず、上向きカッター部が立上壁部に先端縁に一体化したものとする外、別部品の刃物を装着したものとすることもでき、それらは鋸刃型、直線状の刃型、曲面状の刃型など様々な形状のものとすることができ、充分な耐久性を確保できる素材製のもの、例えば金属製や合成樹脂製などとすることができ、さらにまた、後述する実施例にも示してあるとおり、立上壁部に先端縁エッジ部分を上向きカッター部とするよう一体化成型、プレス成型または切削加工するなどしてなるものとするのがよく、より具体的なものとして示すと、後述する実施例にも示すとおり、同繰出し窓が、その開口上縁を水平状とし、同開口下縁を、左右端間中央で上下最大開口寸法としたV字形状または円弧形状とすると共に、上向きカッター部のエッジ輪郭をV字形状または円弧形状のものとしてなるものとすることができる。
【0043】
安全機構は、上向きカッター部に、過大荷重が加わった場合に、同上向きカッター部を自動的にその上向き姿勢を解除し、過大荷重が無くなると必要に応じて再び元の姿勢に復帰可能なもの(手動操作だけでなく自動復帰も含む。)とする、この発明の重要な機能を担うものであり、セット済ロールペーパーの残部端がわを引き出し、上向きカッター部で切断操作可能とするに充分な強度をもって、同上向きカッター部を支持可能なものとし、且つ、それよりも過大な荷重や衝撃的な外力が加わった場合に、上向きカッター部の上向き姿勢を自動的に解除して退避するよう動作するものとしなければならず、例えば、当該庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の少なくとも一箇所か、または、施蓋物と可撓刃物との間かの何れか一方に、バネやゴム、軟質合成樹脂などの各種弾性素材製や軟質素材製の可撓性部品類を介在させ、過大な荷重や衝撃的な外力が加わった場合に、上向きカッター部を自動的にその上向き姿勢を解除し、退避するよう動作可能なものとすることができる。
【0044】
その他、後述する実施例にも示すように、庇状湾曲隔壁部の下端縁と、鍔壁部基端との間に、鍔壁部および上向きカッター部を複数の角度姿勢の中、適宜選択した何れか1つの角度姿勢に節度感をもって調節し、且つ過大な荷重が加わるまで選択調節角度姿勢のまま支持可能な姿勢チャンネル部を有してなるものとすることが可能であり、また、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の少なくとも一箇所の左右端間にわたり連続する脆弱部を有するもの、より具体的には、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の表面がわとなる少なくとも一箇所の左右端間にわたり、一直線状に連続する溝状薄肉脆弱部を有するもの、さらにまた、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の裏面がわとなる少なくとも一箇所の左右端間にわたり、一直線状に連続する溝状薄肉脆弱部を有するもの、表現を変えて示すと、
繰出し窓の左右外がわとなる庇状湾曲隔壁部を、応力集中脆弱部としたものなどとしても良い。
【0045】
カッター本体の施蓋物は、当該ロールホルダー用カッターを、ロールホルダーに対し、その上蓋とするよう遊端上下揺動自在とするよう組み込むか、または、既存ロールホルダー上蓋表面に積層状に固定するかの何れか一方を可能とすると共に、その遊端がわに安全機構を介して可撓刃物を連続状に一体化可能とする機能を担うものであって、同可撓刃物は、施蓋物遊端がわに安全機構を介して上向きカッター部を連続状に一体化可能とする機能を担うものであり、当該ロールホルダー用カッターが本来持つ蓋状壁部、庇状湾曲隔壁部、鍔壁部、立上壁部、および上向きカッター部を、安全機構の配設位置を境に機能分けするよう、前後に再区画した概念を説明するものであり、従って施蓋物および可撓刃物は、安全機構の配設位置に応じてその構成範囲が変わるものとなる。
【0046】
例えば、安全機構を蓋状壁部と庇状湾曲隔壁部との境界に配した場合には、蓋状壁部が施蓋物、庇状湾曲隔壁部ないし上向きカッター部の範囲を可撓刃物とし、後述する実施例にも示すように、安全機構を庇状湾曲隔壁部繰出し窓の左右縁の応力集中脆弱部とした場合には、蓋状壁部ないし庇状湾曲隔壁部繰出し窓の中途部までを施蓋物、庇状湾曲隔壁部繰出し窓の中途部から上向きカッター部の範囲を可撓刃物とすることが可能であり、また、庇状湾曲隔壁部と鍔壁部との境に安全機構を配し、蓋状壁部ないし庇状湾曲隔壁部を施蓋物、鍔壁部ないし上向きカッター部の範囲を可撓刃物としたり、鍔壁部中途部に安全機構を配し、蓋状壁部ないし鍔壁部中途部を施蓋物、鍔壁部中途部ないし上向きカッター部の範囲を可撓刃物としたり、鍔壁部と立上壁部との境に安全機構を配し、蓋状壁部ないし鍔壁部を施蓋物、立上壁部および上向きカッター部の範囲を可撓刃物としたり、立上壁部中途部に安全機構を配し、蓋状壁部ないし立上壁部中途部を施蓋物、立上壁部中途部および上向きカッター部を可撓刃物としたりするなど、様々な構成のものとすることが可能である。
【0047】
さらにまた、当該ロールホルダー用カッターの蓋状壁部ないし立上壁部の全体を弾性素材製のものとし、明確な安全機構の配置を特定するのが困難なものの場合には、上向きカッター部に過大な下向きの荷重を受け、上向きカッター部がその上向き姿勢を解除し、退避するよう変形する範囲を可撓刃物とし、ロールホルダーに固定状となり、さほど変形しない蓋状壁部がわの範囲を施蓋物として概念的に区画することが可能である。
【0048】
ロールホルダーは、所望の建築物壁部適所などに対象ロールペーパーを展開可能とするよう回転自自在且つ脱着自在に支持可能とすると共に、この発明のロールホルダー用カッターの装着対象物となる機能を担い、建築物壁部などに設置可能な背壁、および、対象ロールペーパーを着脱自在且つ水平軸支可能とする左右腕壁を有するものとしなければならず、新設のものか既設のものかの何れか一方を実施対象物とすることができ、従来型の上蓋を有さず、該背壁上端付近に、当該ロールホルダー用カッターを同蓋状壁部の基端軸装機構を介して前端がわを上下揺動自在とするよう装着可能な対象物とすることができる外、既設ロールホルダーであって既存カッター部がわを上下方向揺動自在とした上蓋を有し、該上蓋表面に、当該ロールホルダー用カッターを、同蓋状壁部の固着機構を介して積層状に一体化することが可能なものということができる。
【0049】
ロールペーパーは、ロール状に巻き取られたシート状、フィルム状、テープ状、薄膜状、箔状、チューブ状、連続する多数枚の袋状物など従前からの各種製品であって、この発明のロールホルダー用カッターの利用対象となるロールホルダーに回転自在に装着して、その端部がわを所望する長さ分だけ引き出して引き千切るよう切断し、各種用途に利用可能なものとすることができ、より具体的には、例えば、キッチンペーパー、アルミ箔、ロールウェス、ロール状樹脂袋、ロール状粘着テープなど、ロール紙に限定せず、ロール状に巻き取られたシート類であるということが可能であって、後述する実施例にも示すように、代表的にはトイレットペーパーを対象として略所定の形状のものに形成する一方、ロールホルダーは、それらのロールペーパー類の形状および寸法に応じ、当該対象ロールペーパー類を装着・利用可能とするようにしたものとしなければならない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図面は、この発明のロールホルダー用カッター、およびそれを利用したロールホルダーの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】ロールホルダー用カッターを示す斜視図である。
【
図2】ロールホルダー用カッターを断面化して示す側面図である。
【
図3】ロールホルダー用カッターを装着したロールホルダーの斜視図である。
【
図4】装着使用状態のロールホルダーを断面化して示す側面図である。
【
図5】安全機構が動作したロールホルダー用カッターを示す斜視図である。
【
図6】安全機構が動作したロールホルダー用カッターを断面化して示す側面図である。
【
図7】断面化したロールホルダー用カッターの安全機構、姿勢チャンネル部を示す側面図である。
【
図8】ロールホルダー用カッターを示す三面図である。
【
図9】安全機構の動作を断面化したロールホルダー用カッターに示す側面図である。
【
図10】カッター本体幅および繰出し窓幅を既設ロールホルダー上蓋と比較して示す平面図である。
【
図11】ロールホルダー用カッターを装着したロールホルダーを示す平面図である。
【
図12】ロールホルダー用カッターを装着したロールホルダーを一部断面化して示す側面図である。
【
図13】ロールホルダー用カッターを装着したロールホルダーを示す正面図である。
【
図14】安全機構を簡素化したロールホルダー用カッターの一例を示す三面図である。
【
図15】安全機構の動作を断面化したロールホルダー用カッターに示す側面図である。
【
図16】安全機構を簡素化したロールホルダー用カッターの他の一例を示す三面図である。
【
図17】安全機構の動作を断面化したロールホルダー用カッターに示す側面図である。
【
図18】干渉回避用傾斜縁を設けたロールホルダー用カッターを断面化して示す側面図である。
【
図19】干渉回避用傾斜縁を設けたロールホルダー用カッターを示す三面図である。
【
図20】干渉回避用傾斜縁を設けたロールホルダー用カッターの装着状態を示す側面図である。
【
図21】干渉回避用傾斜縁をカットするロールホルダー用カッターを示す側面図である。
【
図22】干渉回避用傾斜縁をカットしたロールホルダー用カッターを示す側面図である。
【
図23】輪郭を円弧形状とした上向きカッター部を示す正面図である。
【
図24】繰出し窓下縁に相似形とした上向きカッター部を示す正面図である。
【
図25】従来型の既設ロールホルダーを示す斜視図である。
【実施例1】
【0051】
図1ないし
図13に示す事例は、既設ロールホルダーA上蓋B表面B1に、蓋状壁部2を積層状に固着し、その先端から庇状湾曲隔壁部3を垂れ下り状とし、その下端縁から前方に屈曲して略水平壁状の鍔壁部4を所定前後長分延伸させ、その先端縁から上方に向け立上壁部5を立設し、その上端縁に上向きカッター部50を有するカッター本体10を設けると共に、当該庇状湾曲隔壁部3には、ロールペーパーD用繰出し窓31を開口し、当該庇状湾曲隔壁部3ないし上向きカッター部50の適所に安全機構6を設けてなるものとした、この発明の基本をなすロールホルダー用カッターを利用したロールホルダーにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0052】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明のロールホルダー用カッター1は、当該蓋状壁部2から庇状湾曲隔壁部3までの施蓋物11、および安全機構6を介し、鍔壁部4から立上壁部5、上向きカッター部50までの可撓刃物12を、夫々合成樹脂製一体化成型品となる合計2点(施蓋物11、可撓刃物12)の部品からなるものとしてあり、施蓋物11蓋状壁部2は、装着対象となるロールホルダーA上蓋Bの表面B1(水平姿勢状態の上面)に略一致する外郭四角形状の平板部分からなり、その長さは、
図1ないし
図12の各図からも明確なように、当該上蓋Bの全長と略同じか、それより僅かに短い長さに設定し、同表面B1に積層状に重ね合わせ配置可能なものとし、該蓋状壁部2の当該上蓋Bの表面B1に装着することとなる裏面には、
図6ないし
図12に示してあるように、接合面範囲に剥離シート付きの粘着シール21からなる固着機構21が予め貼着したものとしてある。
【0053】
また、この発明のロールホルダーA用カッター1のカッター本体10は、
図1ないし
図13に示す既設ロールホルダーAおよびそれにセット済の対象ロールペーパーDとの組合せ関係を示す
図10ないし
図13の各図および中央縦断面図からも判明するとおり、その施蓋物11の庇状湾曲隔壁部3を、対象ロールペーパーD軸長DL(規格巾:JIS規格114mm±2)を充分に上回る左右端間幅3W(135mm前後)とし、同庇状湾曲隔壁部3が、同蓋状壁部2の長さ方向にその蓋状壁部2から直線的に延伸した後、対象ロールペーパーD使用開始時の水平最大径を越えた辺りで垂れ下がり状とし、既設ロールホルダーAに組み込まれている装着軸Cの取付け高さ位置辺りまで達したところまで延伸し、当該垂れ下がり状に湾曲させた辺りのやや下方位置には、対象ロールペーパーD軸長DL(規格巾:JIS規格114mm±2)を繰り出すのに支障を来すことがない横巾31W(例えば120mm前後)と最大縦寸法31H(例えば2cm前後)とした繰出し窓31を形成したものとしてあり、同繰出し窓31は、その開口上縁31Aを水平線状とし、同開口下縁31Bを、左右端間中央で上下最大開口寸法31H(例えば2cm前後)とした概略円弧形状のものとし、さらに、
図7に示すように、該庇状湾曲隔壁部3下端左右端には、安全機構6の一部をなす対峙舌片部60,60を垂下し、各対峙舌片部60,60の中央には、夫々水平同一軸心上に配するよう軸受け孔61,61を穿設すると共に、各対峙舌片部60,60の互いに対峙する内壁面には、夫々の軸受け孔61,61周囲に適宜角度毎に複数の凸状をなす姿勢チャンネル部62,62,……を突設したものとしてある。
【0054】
図1ないし
図9に示すとおり、前記可撓刃物12の鍔壁部4、立上壁部5および上向きカッター部50の各部は、その鍔壁部4の基端を、当該施蓋物11の庇状湾曲隔壁部3下端の対峙舌片部60,60間に嵌合状に組み込み可能な左右端間幅寸法に設定し、該鍔壁部4の基端左右端には、安全機構6の一部をなし、対応する各軸受け孔61,61に回転自在に組み合わせ可能な水平同心上に配する左右軸63,63を突設し、夫々を対応する各軸受け孔61,61に組み込んでなり、さらに、各姿勢チャンネル部62,62,……の夫々に係合可能な係合縁64,64を形成し、当該庇状湾曲隔壁部3下端に対し、鍔壁部4ないし上向きカッター部50の支持角度を、節度感をもって段階的に調節可能なものとし、ある程度以上の過大な荷重を受けた場合には、
図6や
図9などに示すように、一気に垂れ下がり状となるよう動作可能なものとしてある。
【0055】
図1ないし
図4および
図12に示すように、可撓刃物12の鍔壁部4は、水平かやや前方上がりの水平板状の左右端間所定巾、前後所定長のものに形成し、その前端縁をさらに上方に向け屈曲して立上壁部5にすると共に、その上端縁に上向きカッター部50を設けたものであり、これらの鍔壁部4の前後長寸法、および立上壁部5の高さ寸法とその立ち上げ方向の設定は、次のような関係が保持されるようにしなければならない。
先ず、既設ロールホルダー本体Aの装着軸Cに対し、対象ロールペーパーD、即ち未使用の対象ロールペーパーDが、
図12に示すように、その巻取方向が、反時計回り(引き出し方向は時計回り)となり、その残部端D1を、図示の如く上方に位置させた状態から前方がわに引き出せるような装着状況とした上で、当該対象ロールペーパーDの残部端D1を掴んで庇状湾曲隔壁部3の繰出し窓31を潜らせて前方に引き出し、略既設ロールホルダー本体A装着軸Cの配設高さ辺りの前方に位置させた上向きカッター部50に、その裏面切断箇所を当接状にしたときの、該上向きカッター部50と対象ロールペーパーDとの交差角度を90度以下の角度に確保できるよう、それら鍔壁部4の前後長寸法と姿勢、および立上壁部5の高さ寸法とその立ち上げ方向との相互関係を調整して設定するようにしなければならず、庇状湾曲隔壁部3の垂れ下がり形状にもよるが、図示した形状の場合、鍔壁部4の前後長寸法は、凡そ3cm程度とし、僅かに前上がり気味の水平状のものとした上、立上壁部5上端(上向きカッター部50)を同立上壁部5基端から1cm程度前方がわに傾斜させて立ち上げ、その上端縁には、十分安全性を考慮し、且つ対象ロールペーパーD端部がわD1を切断、切り離しには支障を来すことのないような上向きカッター部50を付設する。
【0056】
こうして形成される本願発明のロールホルダー用カッター1は、従前から採用されてきている既設ロールホルダーAが、必ずしも同一形状のものとは限らず、特にその上蓋Bの遊端縁B4がわの表面形状に多少なりとも違いを有しているものがあり、それらに採用されて、上蓋B表面に積層状にして固着機構21によって施蓋物11蓋状壁部2を既設ロールホルダーAに一体化、使用し続けた場合、当該一体化部分よりも前方に延伸状となる庇状湾曲隔壁部3は、同蓋状壁部2へ一体化してある限られた上蓋B部分だけで支持された状態となっているため、
図4中の実線矢印に示すとおり、対象ロールペーパーDを切断、切り離す際の外力Pで、長年の中に、一体化していない庇状湾曲隔壁部3が次第に下降、変形を来すことも想定され、それに合わせてガタ付きが始まり、一体化の持続性にも支障を来してしまう虞も生じさせることから、それら弊害を未然に防止し得るよう、庇状湾曲隔壁部3の湾曲部分を中心に、補強構造としての何種類かの形を変えた複数種類の別体型リブ30,30,……を付属品として同包し、それらの中から、上蓋B表面形状に適合するものを選択した上、本願発明によるカッター本体10の、主として庇状湾曲隔壁部3の少なくとも正面がわ、背面がわに(場合よってはそれらの間にも)適宜手段で一体化したものとし、既設ロールホルダーAに装着、一体化するものである。
【0057】
なお、この補強構造には、上記した付属部品として選択できるようにするものの外、カッター本体10に一体化成型すると共に、予め、切除案内線を複数本表示した充分に幅広のリブ30,30を設けておき、装着する際に、既設ロールホルダーAの上蓋B遊端縁B4がわの表面形状に相応しい形状になるよう、それらリブ30,30をカッターなど適宜工具類で適宜切除案内線に沿って削り落とし、成形できるようにする構造のものとしたり、場合によっては、カッター本体10に対峙する既設ロールホルダーAの上蓋B対応箇所の方へ、それらギャップを埋めるようにするもの、それは、例えば、上記したものと同様のリブに相当する部材とするか、紙粘土状やパテ状の詰め物で、適宜手で形が整えられるようにしたものなど、適宜他の手段で代替することも勿論可能である。
【0058】
加えて、特に図示を省略してはあるものの、当該施蓋物11蓋状壁部2の表面適所にカード類を装着可能な額縁部を一体に設けたものとすることができる。
さらに、既に開発、完成済みである前出の引用文献1(1)に採用済のもののように、固着機構21の他の手段として、左右分割型で、同蓋状壁部2の面積内に収まる帯型平板状とし、手で簡単に折り曲げることができる程度の厚さに設定したアルミニウム板製またはステンレス板製の可塑性装着板からなり、各可塑性装着板の蓋状壁部2との接合面範囲、および各可塑性装着板の対象上蓋B裏面との接合面範囲の夫々に、容易に剥離可能な剥離紙を装着した両面粘着テープを添付してなるものなどを採用することもできる。
【0059】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明のロールホルダー用カッター1は、
図1ないし
図13に示すように、
既設ロールホルダーAに装着する場合に、カッター本体10施蓋物11の蓋状壁部2裏面に貼着してある両面粘着テープ粘着面の剥離紙を剥がして露出させ、既設ロールホルダーA上蓋B表面に、
図2に示すように積層、貼着して両者を強固に一体化させた上、
図3および
図4に示しているような装着状とすると、セット済の対象ロールペーパーDの残部端D1は、既設ロールホルダーAにセットしたままの状態で、そのまま垂下状になっており、カッター本体10の上向きカッター部50がわを多少持ち上げながら、その残部端D1を、カッター本体10の庇状湾曲隔壁部3に設けてある繰出し窓31を潜らせ、可撓刃物12上向きカッター部50を越えるようしてカッター本体10を元に戻し、
図4および
図12の状態にし、この発明のロールホルダー用カッター1を組み込んで使用可能としたロールホルダーAとすればよく、何等の工具類も必要とせず、取付け位置を迷ったり、組み立て手順を誤ったりすることなく、簡便・迅速且つ正確に組み立てることができる。
【0060】
図4および
図12に例示するとおり、このように発明のロールホルダー用カッター1を既設ロールホルダーAに対して簡便、確実に組み込み済とした後以降、全ての使用者は、当該ロールホルダーA装着軸Cに回転自在に装着したロールペーパーDの残部端D1を、繰出し窓31から使用分の長さを前方に引き出し、該引き出した同ロールペーパーDの中途所望箇所を可撓刃物12上向きカッター部50に押し当てるようにして、
図4中の実線矢印に示すよう、下方に引き下げるようにすると、その引下力Pによって同上向きカッター部50全体を引き下げる力となって作用し、それは、一体成形された庇状湾曲隔壁部3を経て梃子の原理によって蓋状壁部2にも同時に作用することとなり、その裏面に一体的に積層されている既設ロールホルダーA上蓋Bを押し下げる力P1となって、それまでルーズな状態にセットされていた対象ロールペーパーDの回転作動を規制する力として作用することとなり、対象ロールペーパーDの残部端D1に加えられる力Pは、上向きカッター部50に当接する対象ロールペーパーDと噛み合う状態となって切断、引き千切りを実現し終え、対象ロールペーパーDから所望の長さに切り離された切断端部D0を手にすることとなるものであり、この際、当該安全機構6は、ロールペーパーDを引き千切る程度の残部端D1引下力Pでは固定状態を確りと維持する強度で支持するものとしてある。
【0061】
この一連の使用者の操作は、そのどちらか一方の手だけの操作で完全に終始させることができ、もう片方の手の操作は、対象ロールペーパーDから所望の長さに切り離す目的の範囲において一切必要とされることがなく、したがって、何らかの理由で片方の手しか使えない人でも何等の支障なく利用することが可能なものとなり、しかも、その操作することとなった手にあっても、何回同じ操作を繰り返したとしても、対象ロールペーパーDの残部端D1所望箇所以外に全く触れないで終始することになることから、その後に利用する人で、衛生面から他人の使用を不衛生なものとして敬遠したい人にとっては、正に理想的な状態のロールホルダーとしての利用が保証されるという大きな特徴を享受し得るものにすることができる。
【0062】
さらに、上記のように特徴のある使用の外、切断、切離し後の対象ロールペーパーDの残部端D1は、常に施蓋物11庇状湾曲隔壁部3繰出し窓31から外がわで、可撓刃物12上向きカッター部50までの間の同鍔壁部4上に露出状に留まることとなり、次の切断、引き千切り操作の際の最初のペーパーD1把持操作に戸惑ってしまう虞は全くない上に、この実施例のように、ロールホルダー用カッター1に補強構造としてのリブ30,30を付設するようにしたものにあっては、長年に渡る使用によっても、その各部、特に庇状湾曲隔壁部3の変形が極力防止されるものとなり、使用過程での対象ロールペーパーDの回動規制作用に支障が生じ、対象ロールペーパーDの上向きカッター部50での切断、切離し効果を劣化させてしまうという事態の発生を無くしてしまうという秀でた効果を発揮するものとなる。
【0063】
加えて、図示を省略してはいるが、カッター本体10施蓋物11蓋状壁部2が、ロールホルダーA上蓋Bと積層状に組み合せる裏面とは反対がわとなる表面の適所に、カード類を装着可能な額縁部の少なくとも何れか一方を設けてなるようにしたものは、誰でも簡単に該額縁部に写真を差し込んだりして、カードスタンドやフォトフレームなどといったインテリアとしての機能を備えたものとすることができるから、従前までに提案のあるものとは全く異なり、より多彩な利用を実現化することができるものになるという利点が得られる。
【0064】
そして、
図1ないし
図13に示すように、既設ロールホルダーAに装着した、この発明のロールホルダー用カッター1は、
図1ないし
図4および
図12に示すように、前述のように片手でも容易に、対象ロールペーパーD残部端D1を引き出して裁断するように利用することができる上、
図7および
図9に示すように、安全機構6姿勢チャンネル部62を利用して可撓刃物12上向きカッター部50の角度姿勢を個々の利用者の使い易い角度に自由に節度感をもって段階的に調節することができ、さらに、
図5ないし
図7および
図9に示すように、例えば、利用者の身体や衣服、持ち物類などが、当該ロールホルダー用カッター1可撓刃物12上向きカッター部50に上方より下向きの過大な荷重を伴って接触してしまった場合に、安全機構6の係合縁64,64が、各姿勢チャンネル部62,62,…を一気に乗り越えて可撓刃物12(鍔壁部4ないし上向きカッター部50)が、同
図5、
図6および
図9中の実線矢印に示すように、自動的に垂下状姿勢となり、上向きカッター部50の接触による利用者や、その持ち物などへの損傷を確実に防止することができるものとなり、こうしたアクシデントを無事に回避できた後には、同
図5、
図6および
図9の実線矢印とは逆向きに、可撓刃物12(鍔壁部4ないし上向きカッター部50)を、前方に持ち上げるよう角度操作し、安全機構6の係合縁64,64を、各姿勢チャンネル部62,62,…の幾つかを乗り越え、何れかに嵌合状に支持して適宜所望する角度姿勢に調節し、元の使用可能状態に復帰させたものとすることができる。
【実施例2】
【0065】
図14ないし
図15および
図16ないし
図17に示す2つの事例は、全体を合成樹脂製一体化成型品とした夫々ロールホルダー用カッター1カッター本体10であって、その庇状湾曲隔壁部3遊端と鍔壁部4基端との間の表面がわか、裏面がわかの何れか一方に、左右端間にわたって一直線状に連続する安全機構6としての溝状薄肉脆弱部7を刻設したものとし、該溝状薄肉脆弱部7は、蓋状壁部2ないし庇状湾曲隔壁部3の施蓋物11に対し、鍔壁部4ないし上向きカッター部50の可撓刃物12を、対象ロールペーパーDを裁断するに充分な強度をもって支持するものとし、それよりも過大な荷重が掛かった場合に、その上向き姿勢を解除し、下向き方向に垂れ下がる姿勢に、自動的に退避するものとしてあり、該過大な荷重が取り除かれると、自らの合成樹脂素材に由来する弾性復帰力により、元の使用可能な通常姿勢に自動的に復帰するものとしてある。
【0066】
(実施例2の作用・効果)
以上の構成からなるこの発明のロールホルダー用カッター1は、全体を合成樹脂製一体化成型品としたから軽量・コンパクト化して製造工数を大幅削減することができる上、安全機構6溝状薄肉脆弱部7は、通常の対象ロールペーパーD残部端D1の裁断操作に際し、可撓刃物12上向きカッター部50を充分な強度をもって所定の通状角度姿勢に確りと支持するものとなり、支障なく円滑に裁断操作を繰り返すことが可能なものであり、しかも万が一、可撓刃物12上向きカッター部50に下向きの過大な荷重が加わった場合に、自動的に垂れ下がり状に変形する上、その過大な荷重が取り除かれると、利用者による特別な操作を要さずとも、該溝状薄肉脆弱部7がもつ弾性復帰力により、可撓刃物12上向きカッター部50の角度姿勢を、自動的に元の姿勢に復帰させるものとなるから、安全性および利便性を格段に高めたものとすることができる。
【実施例3】
【0067】
図18および
図22に示す
事例は、蓋状壁部2の基端縁の左右端間にわたる所定前後幅範囲の上面に、基端に向けた下り勾配(角度α)を持ち、上下肉厚を漸次薄くした干渉回避用傾斜縁22とした上、該干渉回避用傾斜縁22の前後間に、複数本の左右端間横断状の左右端間切断用線状脆弱溝24,24,……を前後間隔Sを5mm前後隔てて刻設したものとしてあり、各左右端間切断用線状脆弱溝24,24,……には印刷による着色などにより、左右端間切断用案内表示線23,23,……を表示したものとすることができる外、左右端間切断用線状脆弱溝24,24,……のみを設け、左右端間切断用案内表示線23,23,……を表示しないものや、左右端間切断用線状脆弱溝24,24,……を設けず、左右端間切断用案内表示線23,23,……のみを表示したものなどとすることが可能である。
図19に示すように、蓋状壁部2基端縁の干渉回避用傾斜縁22、左右端間切断用案内表示線23,23,……、左右端間切断用線状脆弱溝24,24,……は、安全機構6を持たないロールホルダー用カッター1にも採用することが可能である。
【0068】
(実施例3の作用・効果)
以上の構成からなるこの発明のロールホルダー用カッター1は、
図18ないし
図22の特に
図20ないし
図22に示すとおり、蓋状壁部2基端縁の干渉回避用傾斜縁22は、その上面の基端に向けた下り勾配αにより、ロールホルダーAに対してロールホルダー用カッター1遊端がわを上方に回動させる操作を行った場合に、同ロールホルダー本体A背壁A0の上端縁に、蓋状壁部2基端縁が干渉して開放操作不可能となってしまうのを防止するものとなり、さらに、既存ロールホルダーAの上蓋B前後寸法に合わせて取り付けた場合、
図21に示すように、蓋状壁部2基端縁が、同ロールホルダー本体A背壁A0の上端縁に干渉してしまう場合に、同
図21および
図22に示すとおり、干渉回避用傾斜縁22の余剰前後長範囲22Lに相当する位置に該当する切断用線状脆弱溝24を境として切除すると、
図22に示すように、蓋状壁部2基端縁とロールホルダー本体A背壁A0との間に、上下回動可能となる可動間隙22Sを確保し、ロールホルダー用カッター1遊端がわを円滑に開閉操作可能なものとすることができる。
【実施例4】
【0069】
図23に示すとおり、この発明のロールホルダー用カッター1は、対象ロールペーパーD用繰出し窓31が、その開口上縁31Aを水平直線状とし、同開口下縁31Bを、左右端間中央で上下最大開口寸法31H(2cm前後)とした所定曲率半径の概略円弧形状のものとし、さらに、上向きカッター部50の上縁輪郭を該開口下縁31Bの所定曲率半径よりも僅かに大きな曲率半径Rに設定し、正面図(正面視)において互いの円弧形中心位置(図示せず)をオフセットさせた配置関係とするよう設定してなるものとすることが可能であり、さらにまた、
図24に示すように、上向きカッター部50の上縁輪郭を該開口下縁31Bの円弧形状に相似状のものとした、より大きな曲率半径Rに設定し、正面図(正面視)において互いの円弧形中心位置(図示せず)を一致させた配置関係とするよう設定してなるものとすることができる。
【0070】
加えて、特に図示していないが、この発明のロールホルダー用カッター1には、蓋状壁部2が、その表面の適所に、カード類の差し立てを可能とするスリット部、および、カード類を装着可能な額縁部などといった、ロールホルダーA上蓋B上のカッター本体10蓋状壁部2にメッセージカードや公告、写真など様々なカード類の装着が可能となるようにしたものとすることができる。
【0071】
(実施例4の作用・効果)
以上の構成からなるこの発明のロールホルダー用カッター1は、上向きカッター部50を凹曲線状の輪郭をもって形成したから、対象ロールペーパーDをロールホルダーAにセットし、対象ロールペーパーD端部D1を、繰出し窓31を通じて外がわに摘み出すよう操作する際に、繰出し窓31に向けて差し入れた手指が、不用意に上向きカッター部50に接触してしまうのを確実に防止することができ、しかも繰出し窓31開口下縁31Bに沿って引き出した対象ロールペーパーDの引き出した部分D0が、上向きカッター部50に接触して思いがけずに破断してしまうトラブルを未然に防ぎ、対象ロールペーパーDの一段と円滑な操出操作および裁断操作を実現化できるものとなる。
【0072】
そして、カッター本体10蓋状壁部2が、その表面の適所に、カード類の差し立てを可能とするスリット部、および、カード類を装着可能な額縁部などといった、ロールホルダーA上蓋B上のカッター本体10蓋状壁部2にメッセージカードや公告、写真など様々なカード類の装着が可能となるようにし、メッセージスタンドやフォトフレームなどのインテリア小物としての新たな機能を付加し得るようにすれば、一般家庭の台所やトイレなどの使用に留まらず、企業や店舗、公共施設、宿泊施設などの様々な場面での利用の可能性が広がり、より市場を拡大できるという大きな効果を奏するものとなる。
【0073】
(結 び)
叙述の如く、この発明のロールホルダー用カッター、およびそれを利用したロールホルダーは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からのロールホルダー用のカッター技術に比較して、各部品を軽量・コンパクト化して格段に陳列販売に適したものとし、従来品より一段と低廉化し、工具類を使用せずに、誰にでも簡単に対象となるロールホルダーに取り付け可能とすることができ、その取付け強度を大幅に高め、遥かに経済的なものとすることができる上、ロールペーパーを格段に容易に引き出し、より安全に切断できるよう改善したから、従来型のロールホルダー、および、それらに組み込むカッター部品類に不満を持っていた一般家庭や一般企業は固よりのこと、こうした市場ニーズに応えようとするインテリア業界や建築業界、ホームセンター業界をはじめとし、企業施設や公共施設、宿泊施設などといった各種建築物の管理業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0074】
A ロールホルダー(ホルダー本体)
A0 同 背壁
A1 同 左右腕壁
B 上蓋
B1 同 表面
B2 同 裏面
B3 同 基端
B4 同 遊端
B5 同 既存カッター部
C 対象ロールペーパー用の装着軸
D 対象ロールペーパー
D0 同 引き出した部分
D1 同 残部端
DL 同 軸長
P 裁断の際の引き下げ力
P1 同 蓋状壁部がロールペーパー外周壁を押圧する力
1 ロールホルダー用カッター
10 同 カッター本体
11 同 施蓋物
12 同 可撓刃物
2 蓋状壁部
20 同 基端軸装機構
21 同 固着機構
22 同 干渉回避用傾斜縁
α 同 干渉回避用傾斜縁の下り勾配角度
22L 同 余剰前後長範囲
22S 同 可動間隙
23 同 切断用案内表示線
24 同 切断用線状脆弱溝
S 同 前後間隔
3 庇状湾曲隔壁部
3W 同 左右端間幅3W
30 同 リブ
31 同 繰出し窓
31W 同 繰出し窓の横巾寸法
31H 同 最大開口寸法
31A 同 開口上縁
31B 同 開口下縁
4 鍔壁部
5 立上壁部
50 同 上向きカッター部
R 同 上向きカッター部の曲率半径
6 安全機構
60 同 対峙舌片部
61 同 軸受け孔
62 同 姿勢チャンネル部
63 同 左右軸
64 同 係合縁
7 脆弱部(溝状薄肉脆弱部)
8 応力集中脆弱部
【要約】 (修正有)
【課題】一旦ロールペーパーを組み込みさえすれば、その引き出し操作や、所望する長さまで引き出した後のロールペーパーの切り離し操作を、全て片手で実施可能とする上、露出状となるカッター部の安全性を格段に高めるなどの新たな機能を加えたロールホルダを提供する。
【解決手段】既設ロールホルダーA上蓋の表面に、蓋状壁部2を積層状に固着し、先端から庇状湾曲隔壁部3を垂れ下り状とし、下端縁から前方に略水平壁状の鍔壁部4を延伸させ、先端縁から上方に向け立上壁部5を立設し、その上端縁に上向きカッター部50を有するカッター本体10を設け、庇状湾曲隔壁部3には、ロールペーパー用繰出し窓31を開口し、庇状湾曲隔壁部3ないし上向きカッター部50の適所に安全機構6を設けてなるものとした。
【選択図】
図1