(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969098
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】シャッタ眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 5/02 20060101AFI20160728BHJP
G02C 5/14 20060101ALI20160728BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20160728BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20160728BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
G02C5/02
G02C5/14
G02C7/10
G02C11/00
G02F1/13 505
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-172113(P2015-172113)
(22)【出願日】2015年9月1日
【審査請求日】2015年10月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日 平成27年3月2日 販売場所 株式会社アプリシエイト(京都府京都市中京区元本能寺382番地MBビル4階) 公開者 川越 憲一(三重県鈴鹿市住吉2丁目11−22) 販売した物の内容 川越憲一が、株式会社アプリシエイトに、川越憲一が発明した、液晶パネルを用いて透過状態と透過制限状態とを切替可能なレンズのフレームへの組み付け作業を容易に行うことができるストロボ眼鏡を卸した。 販売日 平成27年4月18日 販売場所 ユニオンビズ株式会社(刈谷事務所 愛知県刈谷市青山町1−156−15)(本社 愛知県名古屋市中区栄2−7−13 ヴィア白川3F) 公開者 川越 憲一(三重県鈴鹿市住吉2丁目11−22) 販売した物の内容 川越憲一が、ユニオンビズ株式会社に、川越憲一が発明した、液晶パネルを用いて透過状態と透過制限状態とを切替可能なレンズのフレームへの組み付け作業を容易に行うことができるストロボ眼鏡を卸した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300090972
【氏名又は名称】川越 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】川越 憲一
【審査官】
池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−087458(JP,A)
【文献】
特開2014−203067(JP,A)
【文献】
実公昭33−016462(JP,Y1)
【文献】
特開2010−211177(JP,A)
【文献】
実開平02−030921(JP,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0040379(KR,A)
【文献】
中国特許出願公開第102253516(CN,A)
【文献】
米国特許第5455638(US,A)
【文献】
特開平5−165063(JP,A)
【文献】
米国特許第5890235(US,A)
【文献】
米国特許第5423092(US,A)
【文献】
中国実用新案第2703264(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/02
G02C 5/14
G02C 7/10
G02C 11/00
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧印加により透過状態または透過制限状態に切換可能な左右のレンズと、各レンズを支持するフレーム本体と、当該フレーム本体の左右の端部に設けられる左右のつると、左右のつるのうち一方のつるの内部に設けられ、光を発する発光部と、前記一方のつるの左右方向外側の外壁に設けられ、前記発光部の光が通る透光部とを備えたシャッタ眼鏡であって、
前記フレーム本体は、第1フレームと、当該第1フレームに着脱可能な第2フレームとを有し、
前記第1フレームは、各レンズの上縁部の後側に設けられる上側リム部と、各レンズの左右の側縁部および下縁部に沿って設けられ、前記側縁部および前記下縁部を前後方向で挟んで支持する下側リム部と、左側の前記上側リム部および前記下側リム部と右側の前記上側リム部および前記下側リム部とを連結する連結部とを有し、
前記第2フレームは、前記第1フレームの上部に沿って左右方向に延び、各レンズの上縁部を前記左右の上側リム部との間で挟持し、
前記発光部は、前記透光部に対して左右方向に直交する方向にずれた位置に配置されていることを特徴とするシャッタ眼鏡。
【請求項2】
電圧印加により透過状態または透過制限状態に切換可能な左右のレンズと、各レンズを支持するフレーム本体と、当該フレーム本体の左右の端部に設けられる左右のつると、左右のつるのうち一方のつるに設けられ、前記レンズを透過状態または透過制限状態に切換制御する制御部と、左右のレンズと前記制御部とを電気的に繋ぐ制御用導線とを備えたシャッタ眼鏡であって、
前記フレーム本体は、第1フレームと、当該第1フレームに着脱可能な第2フレームとを有し、
前記第1フレームは、各レンズの上縁部の後側に設けられる上側リム部と、各レンズの左右の側縁部および下縁部に沿って設けられ、前記側縁部および前記下縁部を前後方向で挟んで支持する下側リム部と、左側の前記上側リム部および前記下側リム部と右側の前記上側リム部および前記下側リム部とを連結する連結部とを有し、
前記第2フレームは、前記第1フレームの上部に沿って左右方向に延び、各レンズの上縁部を前記左右の上側リム部との間で挟持し、
前記制御用導線は、
前記制御部から前記第1フレームの左右方向中央部まで左右方向に沿って延びて、前記第2フレームと前記第1フレームとの間に配置される第1部位と、
前記第1部位と別部品で構成され、前記第1部位と前記レンズの端子とを電気的に繋ぐ第2部位とを有し、
前記第2部位は、前記第1部位と前記端子との最短距離よりも長く形成され、前記第1部位と前記第1フレームの左右方向中央部で接続され、前記第1部位との接続部分から左右方向外側に向けて延びる部分と、当該部分から左右方向内側に向けて折り畳まれる部分とを含み、折り畳まれた状態で前記第1フレームと前記第2フレームとの間に収容されていることを特徴とするシャッタ眼鏡。
【請求項3】
電圧印加により透過状態または透過制限状態に切換可能な左右のレンズと、各レンズを支持するフレーム本体と、当該フレーム本体の左右の端部に設けられる左右のつると、左右のつるのうち一方のつるに設けられ、前記レンズを透過状態または透過制限状態に切換制御する制御部と、左右のレンズと前記制御部とを電気的に繋ぐ制御用導線とを備えたシャッタ眼鏡であって、
前記フレーム本体は、第1フレームと、当該第1フレームに着脱可能な第2フレームとを有し、
前記第1フレームは、各レンズの上縁部の後側に設けられる上側リム部と、各レンズの左右の側縁部および下縁部に沿って設けられ、前記側縁部および前記下縁部を前後方向で挟んで支持する下側リム部と、左側の前記上側リム部および前記下側リム部と右側の前記上側リム部および前記下側リム部とを連結する連結部とを有し、
前記第2フレームは、前記第1フレームの上部に沿って左右方向に延び、各レンズの上縁部を前記左右の上側リム部との間で挟持し、
前記制御用導線は、
左右方向に沿って延びて、前記第2フレームと前記第1フレームとの間に配置される第1部位と、
前記第1部位と別部品で構成され、前記第1部位と前記レンズの端子とを電気的に繋ぐ第2部位とを有し、
前記第2部位は、前記第1部位と前記端子との最短距離よりも長く形成され、折り畳まれることによって形成される屈曲部を有し、当該屈曲部が左右方向外側を向くように配置されるとともに、折り畳まれた状態で前記第1フレームと前記第2フレームとの間に収容され、
前記第1部位は、前記つるから前記第1フレームの左右方向中央部まで延び、
前記第2部位は、前記第1部位と前記第1フレームの左右方向中央部で接続され、前記第1部位との接続部分から左右方向外側に向けて延びた後、左右方向内側に向けて折り畳まれ、その後下方に延びて前記レンズの端子に接続されていることを特徴とするシャッタ眼鏡。
【請求項4】
前記制御用導線は、1つのレンズに対して2本設けられ、
2本のうち一方の制御用導線の第2部位は、当該一方の制御用導線の第1部位に対して第1位置ではんだ付けされ、他方の制御用導線の第2部位は、当該他方の制御用導線の第1部位に対して前記第1位置から左右方向にずれた第2位置ではんだ付けされていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシャッタ眼鏡。
【請求項5】
前記フレーム本体の左右の端部には、前記第1フレームと前記第2フレームとを締結するネジが設けられ、
前記ネジが、前記つるで隠されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシャッタ眼鏡
【請求項6】
前記上側リム部は、前記レンズの上縁部の後側に配置される本体部と、当該本体部から前方に突出して前記レンズの上側に配置され、当該レンズの上方への移動を規制する規制部とを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシャッタ眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多くのスポーツにおいては、動く対象物を見て機敏に反応する能力が必要とされ、運動選手のこの能力を発達させるためのトレーニング手法が種々研究されている。例えば、従来から、暗室でストロボ光を明滅させ、移動する対象物を間歇的に照らして、この対象物に対し反応するトレーニング方法が知られている。この方法によれば、運動選手は移動する対象物が本来の速度よりも遅く見え、その結果一層敏速な反射運動で反応するよう要求される。
【0003】
このようなトレーニング手法は、トレーニングをするための広い暗室が必要であり、場所が制限されるという問題があった。
そのため、これまで例えば特許文献1に開示されたように、眼鏡型のフレームに液晶レンズを設け、このレンズを透明状態と不透明状態との間を所定周波数で切り替えることで、前記した暗室におけるトレーニングと同様の状態を作り出すシャッタ眼鏡(動的視力訓練装置)が知られている。
【0004】
具体的に、特許文献1の技術では、左右のレンズを、眼鏡型の前側フレームおよび後側フレームで挟むことで、レンズをフレームに取り付けている。詳しくは、前側フレームおよび後側フレームの一方にレンズを載せた後、他方を一方に組み付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−211177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、前側フレームおよび後側フレームの一方にレンズを載せた際、一方のフレームにレンズが仮組みされないので、レンズの位置が定まりにくく、組付作業が煩雑になるといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、透過状態と透過制限状態とを切替可能なレンズのフレームへの組付作業を容易に行うことができるシャッタ眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るシャッタ眼鏡は、電圧印加により透過状態または透過制限状態に切換可能な左右のレンズと、各レンズを支持するフレーム本体と、当該フレーム本体の左右の端部に設けられる左右のつるとを備える。
前記フレーム本体は、第1フレームと、当該第1フレームに着脱可能な第2フレームとを有する。
前記第1フレームは、各レンズの上縁部の後側に設けられる上側リム部と、各レンズの左右の側縁部および下縁部に沿って設けられ、前記側縁部および前記下縁部を前後方向で挟んで支持する下側リム部と、左側の前記上側リム部および前記下側リム部と右側の前記上側リム部および前記下側リム部とを連結する連結部とを有する。
前記第2フレームは、前記第1フレームの上部に沿って左右方向に延び、各レンズの上縁部を前記左右の上側リム部との間で挟持する。
【0009】
この構造によれば、レンズの組付作業時において、レンズを第1フレームの下側リム部で前後に挟んで保持することができるので、レンズを第1フレームに仮組みすることができ、その後の第2フレームの組付作業を容易に行うことができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記下側リム部には、前記レンズの左右の側縁部および下縁部が嵌め込まれる溝が形成されていてもよい。
【0011】
これによれば、溝でレンズの左右の側縁部および下縁部が保持されるので、例えばシャッタ眼鏡をかけながら運動を行う際にシャッタ眼鏡に大きな外力が加わった場合であっても、フレーム本体からレンズが外れるのを抑えることができる。
【0012】
また、前記した構成において、前記上側リム部は、前記レンズの上縁部の後側に配置される本体部と、当該本体部から前方に突出して前記レンズの上側に配置され、当該レンズの上方への移動を規制する規制部とを有していてもよい。
【0013】
これによれば、規制部でレンズの上方への移動が規制されるので、例えばシャッタ眼鏡をかけながら運動を行う際にシャッタ眼鏡に大きな外力が加わった場合であっても、レンズが上方に移動してフレーム本体から外れるのを抑えることができる。また、第2フレームを第1フレームへ組み付ける前に、規制部によってレンズの上下方向の位置が定まる。
【0014】
また、前記した構成において、左右のつるのうち一方のつるに設けられ、前記レンズを透過状態または透過制限状態に切換制御する制御部と、左右のレンズと前記制御部とを電気的に繋ぐ制御用導線とを備え、前記制御用導線は、左右方向に沿って延びて、前記第2フレームと前記第1フレームとの間に配置される第1部位と、前記第1部位と前記レンズの端子とを電気的に繋ぐ第2部位とを有し、前記第2部位は、前記第1部位と前記端子との最短距離よりも長く形成され、折り畳まれた状態で前記第1フレームと前記第2フレームとの間に収容されていてもよい。
【0015】
これによれば、制御用導線の第2部位が、第1部位とレンズの端子との最短距離よりも長く形成されて折り畳まれているので、例えばシャッタ眼鏡に外力が加わってレンズがフレーム本体に対して動いた場合であっても、折り畳まれた状態の第2部位の変位によって、制御用導線に張力が加わるのを抑えることができる。
【0016】
また、前記した構成において、前記第2部位は、前記第1部位にはんだ付けされていてもよい。
【0017】
これによれば、レンズが故障した場合には、はんだを溶かして第2部位を第1部位から切り離すことができるので、レンズの交換を容易に行うことができる。
【0018】
また、前記した構成において、前記フレーム本体の左右の端部には、前記第1フレームと前記第2フレームとを締結するネジが設けられ、前記ネジが、前記つるで隠されていてもよい。
【0019】
これによれば、ネジがつるで隠されているので、シャッタ眼鏡の外観を損ねることなく、第1フレームと第2フレームを良好に固定することができる。
【0020】
また、前記した構成において、左右のつるのうち一方のつるの内部に設けられ、光を発する発光部と、前記一方のつるの左右方向外側の外壁に設けられ、前記発光部の光が通る透光部とをさらに備え、前記発光部は、前記透光部に対して左右方向に直交する方向にずれた位置に配置されていてもよい。
【0021】
これによれば、発光部の光が透光部を通って左右方向に直交する方向へ進むので、シャッタ眼鏡のつるを左右方向外側から見た際に発光部の光を見えにくくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、透過状態と透過制限状態とを切替可能なレンズのフレームへの組付作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】液晶シャッタ眼鏡を前方から見た外観斜視図である。
【
図2】液晶シャッタ眼鏡を分解して示す分解斜視図である。
【
図3】第1フレームと第2フレームを拡大して示す拡大斜視図である。
【
図5】第1フレームと第2フレームを締結するネジ周りの構造を示す断面図である。
【
図6】レンズと制御用配線との関係を示す図である。
【
図7】つるに設けたLED等の配置を示す側面図(a)と断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、一実施形態に係るシャッタ眼鏡の一例としての液晶シャッタ眼鏡1は、頭部に装着するためのフレームFと、左右のレンズ50(50R,50L)と、制御装置30とを備えて構成されている。なお、以下の説明において、前後、左右、上下は、液晶シャッタ眼鏡1を装着する人の前後、左右、上下に従うものとする。
【0025】
レンズ50は、非通電時において光の透過率が高い透過状態となり、通電時に光の透過率が低い透過制限状態となるTN型の液晶パネルを含んで構成されている。なお、透過状態と透過制限状態における可視光の透過率は、使用目的、使用場所などに応じて適宜設定することができる。レンズ50の左右方向内側の上部には、後述する制御用導線CA2が接続される端子50A(
図5参照)が設けられている。
【0026】
制御装置30は、レンズ50の液晶パネルを透過状態または透過制限状態に切換制御する装置であり、バッテリ32Aと、このバッテリ32Aとメインスイッチ35Aを介して接続された、制御部の一例としての制御基板31Aにより構成されている。バッテリ32Aは、後述する右側のつる20R内に配置され、制御基板31Aは、後述する左側のつる20Lに配置されている。
【0027】
バッテリ32Aと制御基板31Aは、バッテリ用導線CA1によって電気的に接続され、制御基板31Aと各レンズ50は、制御用導線CA2によって電気的に接続されている。バッテリ用導線CA1および制御用導線CA2は、後述する第1フレーム11と第2フレーム12とで形成される空間内に配置されている。なお、
図1においては、制御用導線CA2を簡略的に図示している。制御用導線CA2の構成については、後で詳述する。
【0028】
フレームFは、各レンズ50を保持する樹脂製のフレーム本体10と、フレーム本体10の左右の端部に設けられる樹脂製の左右のつる20(20L,20R)とを備えて構成されている。
図2に示すように、フレーム本体10は、第1フレーム11と、当該第1フレーム11に着脱可能な第2フレーム12とを有する。
【0029】
第1フレーム11は、各レンズ50の上縁部51の後側に設けられる2つの上側リム部11Aと、各レンズ50の左右の側縁部52,53および下縁部54に沿って設けられ、側縁部52,53および下縁部54を前後方向で挟んで支持する2つの下側リム部11Bと、左側の上側リム部11Aおよび下側リム部11Bと右側の上側リム部11Aおよび下側リム部11Bとを連結する連結部11Cとを一体に有している。
【0030】
図3に示すように、上側リム部11Aは、左右方向に沿って延びてレンズ50の上縁部51の後側に配置される本体部A1と、本体部A1から前方に突出する規制部の一例としてのリブA2とを一体に有している。リブA2は、左右方向に長尺となるリブであり、レンズ50の上側に隣接して配置されることでレンズ50の上方への移動を規制している。
【0031】
リブA2は、本体部A1の上端および下端から離れた位置に配置されている。これにより、レンズ50の上部の後面が、本体部A1のうちリブA2よりも下の部位で後ろから支持されている。
【0032】
リブA2は、レンズ50の上縁部51(
図2参照)に沿って延び、レンズ50の上縁部51のうち左右方向内側の端部付近から左右方向中央部付近までの範囲に形成されている。つまり、リブA2は、レンズ50の上縁部51の一部に対応して設けられている。これにより、第1フレーム11に取り付けられた状態のレンズ50の上縁部51の他部が上方に露出するので、上方に露出したレンズ50の上縁部51の他部にユーザの指を引っ掛けてレンズ50を取り外すことが可能となっている。
【0033】
図4に示すように、下側リム部11Bは、レンズ50の面に沿った方向においてレンズ50の左右の側縁部52,53および下縁部54に対向する外周壁部B1と、外周壁部B1の前端から内側(レンズ50の中心側)に向けて突出する前壁部B2と、外周壁部B1の後端から内側に向けて突出する後壁部B3とを一体に有している。各壁部B1〜B3は、レンズ50の左右の側縁部52,53および下縁部54に沿って延びている。
【0034】
以上のように構成される下側リム部11Bには、レンズ50の左右の側縁部52,53および下縁部54が嵌め込まれる溝B4が形成されている。詳しくは、溝B4は、各壁部B1〜B3の各内面によって形成されている。
【0035】
図3に戻り、後壁部B3の左右方向外側の端部は、中間部B5を介して上側リム部11Aの本体部A1に一体に形成されている。中間部B5は、後壁部B3よりも左右方向に幅広に形成されており、その前面には、当該前面から突出する突出部B51が形成されている。突出部B51には、略前後方向に貫通する貫通孔B52が形成されている。
【0036】
連結部11Cは、上側リム部11Aの本体部A1と下側リム部11Bの後壁部B3とを一体に繋ぐ第1連結部C1と、左右の下側リム部11Bの各外周壁部B1同士を一体に繋ぐ第2連結部C2と、左右の下側リム部11Bの前壁部B2同士を一体に繋ぐ第3連結部C3とを有している。
【0037】
第2フレーム12は、各レンズ50の上縁部51を左右の上側リム部11Aとの間で挟持するフレームであり、第1フレーム11の上部(詳しくは左右の上側リム部11Aと第1連結部C1の上部)に沿って左右方向に延びている。第2フレーム12は、
図4に示すように、後方に向けて開口する断面視U形状に形成されている。これにより、第2フレーム12と第1フレーム11との間には、前述したバッテリ用導線CA1および制御用導線CA2を収容するための空間が形成されている。
【0038】
図3に戻り、第2フレーム12の左右の両端部には、第1フレーム11を第2フレーム12に取り付けるための取付部12Aが設けられている。具体的には、
図5に示すように、取付部12Aは、第1フレーム11と第2フレーム12とを締結するためのネジSが螺合される取付穴12Bを有している。そして、第2フレーム12と第1フレーム11を組み合わせたときに、第2フレーム12の取付穴12Bと第1フレーム11の貫通孔B52が合致するようになっている。なお、第1フレーム11と第2フレーム12は、その両端部が前述したネジで締結される他、その中央部も図示せぬネジで締結されている。
【0039】
また、断面視U形状の第2フレーム12は、第1フレーム11の突出部B51よりも後方に突出している。これにより、貫通孔B52の上側、左右方向外側および下側が、断面視U形状の第2フレーム12で覆われて、外から見えなくなっている。
【0040】
そして、第2フレーム12の両端部の内側には、つる20の基端部21が収容されている。詳しくは、つる30の基端部21は、第2フレーム12の両端部の上下壁に回動可能に連結されており、貫通孔B52に対向するように、貫通孔B52に近接して配置されている。これにより、第1フレーム11と第2フレーム12を締結したネジSが、つる20で隠されて(覆われて)、外から見えなくなっている。
【0041】
なお、基端部21と第2フレーム12との連結は、基端部21に形成された孔に図示せぬネジを通すことによって行われている。詳しくは、図示せぬネジを、第2フレーム12の下壁に形成された孔Hと基端部21に形成された孔とに通した後、上壁に下から捩じ込むことで、基端部21と第2フレーム12との連結が行われ、第2フレーム12に対してつる20が回動可能となっている。そして、上壁に下から捩じ込んだネジは、第2フレーム12の上面から突出しないようになっており、これにより、第2フレーム12の上面に孔が形成されず、第2フレーム12内の空間に上から雨水などが入り込まないようになっている。なお、基端部21に形成された孔に、金属製の円筒を設けることで、金属製のネジと樹脂製の基端部21をの摩耗を抑えるようにしてもよい。
【0042】
また、貫通孔B52は、ネジSの軸部に対応した小径孔部と、ネジSの頭に対応した大径孔部とを有している。これにより、ネジSの頭の第1フレーム11(突出部B51)からの突出量が小さくなるので、つる20の基端部21を第1フレーム11に近接させることができ、ネジSを左右方向内側からも見えにくくすることが可能となっている。また、突出部B51の後面は、貫通孔B52から左右方向内側および後方に向けて傾斜している。これにより、ネジSが左右方向内側からより見えにくくなっている。
【0043】
図6に示すように、制御用導線CA2は、1つのレンズ50に対して2本設けられ、主に、左右方向に沿って延びて、第2フレーム12と第1フレーム11との間に配置される第1部位CA21と、第1部位CA21とレンズ50の端子50Aとを電気的に繋ぐ第2部位CA22とを有している。第2部位CA22は、第1部位CA21と端子50Aとの最短距離よりも長く形成され、折り畳まれた状態で第1フレーム11と第2フレーム12との間に収容されている。詳しくは、第2部位CA22は、屈曲部BDが左右方向外側を向くように、各フレーム11,12内に配置されている。第2部位CA22は、第1部位CA21にはんだ付けされている。
【0044】
図7に示すように、左側のつる20Lには、光を発する発光部の一例としてのLED22と、LED22からの光を外部に導く導光部材23とが設けられている。LED22は、つる20L内に収容され、導光部材23は、つる20Lの左右方向外側の外壁24に形成された開口部24Aに嵌め込まれて固定されている。そして、LED22は、開口部24Aに対して前側にずれた位置に配置されている。ここで、開口部24Aと導光部材23の開口部24A内に配置された部分が、透光部の一例である。
【0045】
次に、レンズ50の交換作業について説明する。
まず、第2フレーム12の両端部と左右の各つる20を連結する図示せぬネジを取り外す。その後、
図5に示すように、第1フレーム11の突出部B51からつる20を取り外す。これにより、つる20で隠されたネジSが外部からアクセスできる状態となる。
【0046】
続いて、ネジSを各フレーム11,12から取り外すとともに、各フレーム11,12の左右中央にある図示せぬネジも取り外す。その後、
図2および
図3に示すように、第1フレーム11から第2フレーム12を取り外すと、各フレーム11,12によるレンズ50の上縁部51の保持が解除され、レンズ50の上縁部51が外部に露出する。
【0047】
続いて、レンズ50の上縁部51に指を引っ掛けて、上縁部51を第1フレーム11から浮かしつつ、上方に引き抜くことで、レンズ50に大きな負荷をかけることなく、レンズ50を取り外すことができる。
【0048】
その後、故障したレンズ50に対応した第2部位CA22と第1部位CA21との接続部分であるはんだを治具で溶かして、レンズ50を第2部位CA22ごと第1部位CA21から取り外す。続いて、新たなレンズ50を第2部位CA22を介して第1部位CA22にはんだ付けにて接合する。
【0049】
その後、新たなレンズ50の左右の側縁部52,53および下縁部54を、第1フレーム11の下側リム部11Bの溝B4内に差し込んだ後、上縁部51を上側リム部11AのリブA2の下に配置する。これにより、レンズ50が、上下左右に位置決めされた状態で、第1フレーム11に仮組みされる。
【0050】
その後、第1フレーム11に対して第2フレーム12を組み付け、各フレーム11,12の左右両端および中央をネジSや図示せぬネジで固定する。続いて、第2フレーム12の両端部に左右のつる20を図示せぬネジで取り付けることで、交換作業が完了する。
【0051】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
【0052】
レンズ50の組付作業時において、レンズ50を第1フレーム11の下側リム部11Bで前後に挟んで保持することができるので、レンズ50を第1フレーム11に仮組みすることができ、その後の第2フレーム12の組付作業を容易に行うことができる。
【0053】
レンズ50の交換作業時において、第1フレーム11から第2フレーム12を取り外すことで、レンズ50の上縁部51の保持が解除されるので、レンズ50に大きな負荷をかけることなくレンズ50の取り外しや装着を行うことができる。
【0054】
溝B4によってレンズ50の左右の側縁部52,53および下縁部54が保持されるので、例えば液晶シャッタ眼鏡1をかけながら運動を行う際に液晶シャッタ眼鏡1に大きな外力が加わった場合であっても、フレーム本体10からレンズ50が外れるのを抑えることができる。
【0055】
上側リム部11Aに形成したリブA2によってレンズ50の上方への移動を規制するので、例えば液晶シャッタ眼鏡1をかけながら運動を行う際に液晶シャッタ眼鏡1に大きな外力が加わった場合であっても、レンズ50が上方に移動してフレーム本体10から外れるのを抑えることができる。
【0056】
制御用導線CA2の第2部位CA22が、第1部位CA21とレンズ50の端子50Aとの最短距離よりも長く形成されて折り畳まれているので、例えば液晶シャッタ眼鏡1に外力が加わってレンズ50がフレーム本体10に対して動いた場合であっても、折り畳まれた状態の第2部位CA22の変位によって、制御用導線CA2に張力が加わるのを抑えることができる。
【0057】
第2部位CA22が第1部位CA21にはんだ付けされることで、レンズ50が故障した場合には、はんだを溶かして第2部位CA22を第1部位CA21から切り離すことができるので、レンズ50の交換を容易に行うことができる。
【0058】
第1フレーム11と第2フレーム12とを連結するネジSがつる20で隠されているので、液晶シャッタ眼鏡1の外観を損ねることなく、第1フレーム11と第2フレーム12を良好に固定することができる。
【0059】
LED22が開口部24Aに対して前側にずれた位置に配置されることで、LED22の光が開口部24Aに取り付けられた導光部材23を通って後方へ進むので、液晶シャッタ眼鏡1のつる20を左右方向外側から見た際にLED22の光を見えにくくすることができる。つまり、液晶シャッタ眼鏡1を装着するユーザは、装着前に液晶シャッタ眼鏡1の作動状態を示す光を開口部24Aの後ろから確認できるが、ユーザが液晶シャッタ眼鏡1を装着した後は、他人からは光が見えにくくなっている。
【0060】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0061】
前記実施形態では、発光部としてLED22を例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の発光体であってもよい。また、発光部の位置は、前記実施形態の位置に限定されず、開口部に対して左右方向に直交する方向にずれた位置であればよい。
【0062】
前記実施形態では、電圧印加により透過状態または透過制限状態に切換可能なレンズとして液晶パネルを含んで構成されるレンズ50を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばエレクトロクロミックを有するレンズなどであってもよい。
【0063】
前記実施形態では、規制部として左右方向に長いリブA2を例示したが、本発明はこれに限定されず、規制部は、例えば円柱状の突起であってもよいし、レンズの上縁部を支持する本体部の面から一段高くなった段差部であってもよい。
【0064】
前記実施形態では、透光部の一例として導光部材23の一部と開口部24Aを例示したが、本発明はこれに限定されず、透光部は、光を通す部位であればどのように構成されてもよく、例えば開口部のみで構成されてもよいし、色付きの樹脂の一部を透明にすることで構成してもよい。
【0065】
前記実施形態では、下側リム部11Bに形成した溝B4でレンズ50を前後方向に挟んで保持したが、本発明はこれに限定されず、例えば複数の鉤状の爪でレンズ50を前後方向に挟んで保持してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 液晶シャッタ眼鏡
10 フレーム本体
11 第1フレーム
11A 上側リム部
11B 下側リム部
11C 連結部
12 第2フレーム
50 レンズ
51 上縁部
52,53 側縁部
54 下縁部
【要約】
【課題】透過状態と透過制限状態とを切替可能なレンズのフレームへの組付作業を容易に行うことを目的とする。
【解決手段】シャッタ眼鏡(液晶シャッタ眼鏡1)は、透過状態または透過制限状態に切換可能な左右のレンズ50と、各レンズ50を支持するフレーム本体10を備える。フレーム本体10は、第1フレーム11と、第1フレーム11に着脱可能な第2フレーム12を有する。第1フレーム11は、各レンズ50の上縁部51の後側に設けられる上側リム部11Aと、各レンズ50の左右の側縁部52,53および下縁部54に沿って設けられ、各縁部52〜54を前後方向で挟んで支持する下側リム部11Bを有する。第2フレーム12は、第1フレーム11の上部に沿って左右方向に延び、各レンズ50の上縁部51を左右の上側リム部11Aとの間で挟持する。
【選択図】
図2