【課題を解決するための手段】
【0005】
広範な実験の後に、イヌIgG免疫グロブリンのアイソタイプが、特定のIgG抗体アイソタイプが免疫エフェクター機能を活性化することに関して活性であるが、他のIgG抗体アイソタイプは免疫エフェクター機能を活性化せず、したがって不活性であるというヒトIgG抗体で認められる特性を共有することが本発明者により驚くべきことに確認された。さらに、4つの公知のイヌ重鎖免疫グロブリン(HCA(caIgG−A)、HCB(caIgG−B)、HCC(caIgG−C)およびHCD(caIgG−D)として公知)について、本発明者は、4つのイヌ重鎖免疫グロブリンのうちの2つ(caIgG−BおよびcaIgG−C)の重鎖定常ドメインが、種々の治療標的を標的とする様々な組換え体として構築した場合、驚くべきことに補体に結合したが、他の2つ(caIgG−AおよびcaIgG−D)は結合しないことを驚くべきことに確認した。
【0006】
したがって、本発明は、標的の破壊が望まれるイヌの治療(例えば、癌または感染症治療に)に用いることができる、特定の組換えイヌ免疫グロブリンまたはそれから調製された融合タンパク質、および標的の破壊ではなく、標的の中和のみが望まれるイヌにおける治療処置(例えば、疼痛の治療に)に好ましい可能性がある特定の他のアイソフォームを定義する。
したがって、本発明は、それらの重鎖定常ドメインのアイソタイプに基づく、補体カスケードの第1の成分に結合するそれらの能力または別の状態により区別することができる組換えイヌ免疫グロブリンを提供する。結果として、また初めて、組換えイヌ免疫グロブリンは、意図する標的を、補体媒介性細胞傷害(CDC;例えば、in vivoでイヌ腫瘍を死滅させるのに用いる)による免疫媒介性破壊のために選択するのか、または標的を、単に望ましくない免疫媒介性破壊が存在しない状態での中和(例えば、神経の近傍における、または眼における)のために選択する目的のためかどうかというイヌにおける疾患の治療におけるそれらの使用目的に応じて選択することができる。
本発明の第1の態様によれば、イヌの治療処置に用いる抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を提供し、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号8、配列番号11または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有し、重鎖のアミノ酸配列は、抗体、融合タンパク質または結合性断片がその標的抗原に結合するときに下流免疫系エフェクター機能の活性化を最小限にする。
特定の実施形態において、イヌの治療処置は、疼痛もしくは炎症または関節炎もしくは関節炎状態などのそれに関連する状態の治療に関連する。
【0007】
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における疼痛もしくは炎症または関節炎もしくは関節炎状態などのそれに関連する状態の治療に用いる医薬の調製における、抗体、融合タンパク質または結合性断片がその標的抗原に結合するときに重鎖のアミノ酸配列が下流免疫系エフェクター機能の活性化を最小限にする、配列番号8、配列番号11または配列番号13のアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメインを含む抗体、融合タンパク質またはその結合性断片の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、それを必要とするイヌ対象における疼痛もしくは炎症または関節炎もしくは関節炎状態などのそれに関連する状態を治療、抑制または改善する方法であって、
疼痛または炎症の治療または予防における特定の機能を有する標的抗原に特異的に結合する抗体、融合タンパク質またはその結合性断片であって、配列番号8、配列番号11または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有し、下流免疫系エフェクター機能を活性化しない、抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を準備するステップと、
治療有効量の抗体、融合タンパク質またはその結合性断片をイヌ対象に投与するステップと
を含む、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における疼痛または炎症を治療、抑制または改善するための医薬の調製に用いる、配列番号8、配列番号11または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有するイヌ由来の抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を提供する。
【0008】
特定の実施形態において、疼痛は、神経障害性疼痛である。特に、疼痛は、周術期、術後または手術後疼痛であり得る。術後疼痛は、イヌにおける整形外科手術、軟組織手術、卵巣子宮摘出手技、去勢手技などを含み得るが、これらに限定されない手術手技の後に生じ得る。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、癌または癌性状態に関連する慢性疼痛(腫瘍疼痛)である。特定のさらなる実施形態において、疼痛は、慢性関節リウマチ、変形性関節症、炎症または掻痒症に関連または起因する。
【0009】
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における関節炎または関節炎状態の治療の方法であって、
疼痛または炎症の治療または予防における特定の機能を有する標的抗原に特異的に結合する抗体、融合タンパク質またはその結合性断片であって、配列番号8、配列番号11または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有し、下流免疫系エフェクター機能を活性化しない、抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を準備するステップと、
治療有効量の抗体、融合タンパク質またはその結合性断片をそのような治療を必要とするイヌ対象に投与するステップと
を含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明の前述の方法は、本発明の抗体の有効性を増強かつ/または補完し得る少なくとも1つのさらなる薬剤を併用投与するステップをさらに含む。例えば、抗体またはその抗原結合性断片は、少なくとも1つの鎮痛薬、NSAID、オピオイド、コルチコステロイドまたはステロイドとともに併用投与することができる。適切な鎮痛薬の例は、ブトルファノール、10ブプレノルフィン、フェンタニル、フルニキシンメグルミン、メルピジン、モルヒネ、ナルブフィンおよびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。適切なNSAIDSは、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、カルプロフェン、エトドラク、ケトプロフェン、メロキシカム、フィロコキシブ、ロベナコキシブ、デラコキシブなどを含むが、これらに限定されない。
【0010】
特定の実施形態において、前述の方法は、少なくとも1つのさらなる薬剤の投与を伴い得る。前記薬剤は、抗生物質、抗真菌薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬または同様の治療薬から選択される1つまたは複数の群であり得る治療上有効な薬剤であり得る。さらに、少なくとも1つのさらなる薬剤は、PEG受容体アンタゴニストなどの炎症のメディエーターの阻害薬(単数または複数)、シクロスポリンなどの免疫抑制薬、抗炎症性グルココルチコイドであり得る。特定のさらなる態様において、少なくとも1つのさらなる薬剤は、高齢のイヌにおいてますます優勢になり得る記憶喪失または関連する状態などの認知機能不全または障害の治療に用いられる薬剤であり得る。さらに、少なくとも1つのさらなる薬剤は、心血管機能不全の治療に、例えば、高血圧、心筋虚血、うっ血性心不全などを治療するために用いられる抗高血圧薬または他の化合物であり得る。さらに、少なくとも1つのさらなる薬剤は、利尿薬、血管拡張薬、ベータアドレナリン受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンII変換酵素阻害薬、カルシウムチャンネル遮断薬およびHMG−CoAレダクターゼ阻害薬であり得る。
本発明の前述の態様の特定の実施形態において、下流免疫系エフェクター機能は、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞病原性(antibody dependent cellular pathogenesis)(ADCP)を含む群から選択される。特定の実施形態において、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列は、C1qに対する重鎖の結合を阻害し、これにより、補体カスケードおよび補体依存性細胞傷害(CDC)の誘導が妨げられる。
【0011】
特定の実施形態において、標的抗原は、可溶性メディエーターである。特定の実施形態において、標的抗原は、神経成長因子(NGF)である。特定の実施形態において、抗体は、疼痛または炎症を媒介する受容体に特異的に結合し、拮抗する。特定のさらなる実施形態において、標的抗原は、サイトカインまたはケモカイン(例えば、インターロイキン1および関連インターロイキンIL−2からIL−35まで、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、毛様体神経栄養因子、オンコスタチンM)、成長因子(例えば、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、腫瘍壊死因子(TNF))、細胞表面受容体(例えば、HER−2、VEGFR、EGFR、CD20)、細胞表面結合成長因子(例えば、プロセシングを受けていない腫瘍壊死因子)、ウイルス(例えば、RSV)および補体カスケードの成分(例えば、C5、C5a)からなるが、これらに限定されない群から選択することができる。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、イヌの治療処置に用いる抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を提供し、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号9、配列番号10または配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有し、重鎖のアミノ酸配列は、抗体、融合タンパク質または結合性断片がその標的抗原に結合するときに下流免疫系エフェクター機能の活性化を媒介する。
特定の実施形態において、イヌの治療処置は、癌性または悪性状態の治療に関連する。
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における癌性または悪性状態の治療に用いる医薬の調製における、抗体、融合タンパク質または結合性断片がその標的抗原に結合するときに重鎖のアミノ酸配列が下流免疫系エフェクター機能の活性化を媒介する、配列番号9、配列番号10または配列番号14のアミノ酸配列を有する重鎖定常ドメインを含む抗体、融合タンパク質またはその結合性断片の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における癌性または悪性状態の治療または予防の方法であって、
癌性または悪性状態の治療における特定の機能を有する標的抗原に特異的に結合する抗体、融合タンパク質またはその結合性断片であって、配列番号9、配列番号10または配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有し、下流免疫系エフェクター機能を活性化する、抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を準備するステップと、
治療有効量の抗体、融合タンパク質または結合性断片をそのような治療を必要とするイヌ対象に投与するステップと
を含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明の前述の方法は、本発明の抗体の有効性を増強かつ/または補完し得る少なくとも1つのさらなる薬剤を併用投与するステップをさらに含む。
【0013】
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における癌性または悪性状態の治療用の医薬の調製における、配列番号9、配列番号10または配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有するイヌ由来の抗体、融合タンパク質または結合性断片の使用を提供する。
本発明の前述の態様の特定の実施形態において、下流免疫系エフェクター機能は、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞病原性(ADCP)を含む群から選択される。具体的な実施形態において、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列は、C1qに対する重鎖の結合をもたらし、これにより、補体カスケードおよび補体依存性細胞傷害(CDC)の誘導が妨げられる。特定の実施形態において、重鎖定常ドメインは、Fc受容体に対する結合をもたらし、これが、ひいてはADCPおよび/またはADCC免疫応答を媒介し得る。
【0014】
特定の実施形態において、標的抗原は、癌特異抗原である。本発明の特定のさらなる態様の特定の実施形態において、標的抗原は、イヌ腫瘍細胞上で発現する膜結合タンパク質の群から選択することができる。本発明のさらなる実施形態において、膜結合イヌ腫瘍タンパク質は、CD2、CD4、CD8、CD20、EGFR、VEGFR、HER2などを含むタンパク質の群から選択することができる。特定のさらなる実施形態において、標的抗原は、サイトカインおよびケモカイン(例えば、インターロイキン1(IL−1)、IL−2、IL−3および数的にIL−35までのインターロイキン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、毛様体神経栄養因子、オンコスタチンM)、成長因子(例えば、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン3、ニューロトロフィン4、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、腫瘍壊死因子(TNF))、細胞表面受容体(例えば、HER−2、VEGFR、EGFR、CD20)、細胞表面結合成長因子(例えば、プロセシングを受けていない腫瘍壊死因子)、ウイルス(例えば、RSV)および補体カスケードの成分(例えば、C5、C5a)からなるが、これらに限定されない群から選択することができる。
【0015】
本発明のさらなる態様は、イヌにおける状態の治療に用いる抗体、融合タンパク質またはその結合性断片であって、その標的抗原に結合するときにC1qに結合しない重鎖定常ドメインを有し、プロテインAクロマトグラフィーを用いて精製することができる、抗体、融合タンパク質または結合性断片を提供する。
特定の実施形態において、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有する。特定の実施形態において、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号6、配列番号12および配列番号15からなる群から選択される重鎖定常ドメインを有する。
本発明のさらなる態様は、イヌにおける疼痛および/または炎症に関連する状態の治療用の医薬の調製における、抗体、融合タンパク質または結合性断片がその標的抗原に結合するときにC1qに結合しない重鎖定常ドメインを含み、プロテインAクロマトグラフィーを用いて精製することができる、抗体、融合タンパク質または結合性断片の使用を提供する。
特定の実施形態において、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有する。特定の実施形態において、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号6、配列番号12および配列番号15からなる群から選択される重鎖定常ドメインを有する。
【0016】
本発明のさらなる態様は、それを必要とするイヌ対象における疼痛もしくは炎症または関節炎もしくは関節炎状態などのそれに関連する状態を治療、抑制または改善する方法であって、
抗体がその標的抗原に結合するときにC1qに結合しない重鎖定常ドメインを含み、プロテインAクロマトグラフィーを用いて精製することができる、抗体、融合タンパク質または結合性断片を準備するステップと、
治療有効量の抗体、融合タンパク質またはその結合性断片をイヌ対象に投与するステップと
を含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有する。特定の実施形態において、前記抗体、融合タンパク質または結合性断片は、配列番号6、配列番号12および配列番号15からなる群から選択される重鎖定常ドメインを有する。
【0017】
様々なさらなる態様において、本発明は、(i)本発明の前述の抗体、融合タンパク質または結合性断片のいずれかをコードする核酸、(ii)前記核酸を運ぶベクター、(iii)前記ベクターを運ぶ宿主細胞に及ぶ。本発明はさらに、本発明の以上の陳述において定義した抗体および融合タンパク質を製造する方法に及ぶ。さらなる態様において、本発明は、本発明の抗体または融合タンパク質ならびに少なくとも1つの担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物に及ぶ。
【0018】
本発明のさらなる態様は、標的抗原に特異的に結合させるためにイヌに治療的に投与することができ、組換え抗体、融合タンパク質またはその結合性断片へのC1q補体の結合および関連する補体依存性細胞傷害によって特徴付けられる免疫応答をさらに媒介する組換え抗体、融合タンパク質またはその結合性断片であって、抗体、融合タンパク質またはその結合性断片の重鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプB(HCB、caIgG−B)、配列番号10のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプC(HCC、caIgG−C)または配列番号14のアミノ酸配列を有する脱グリコシルイヌ免疫グロブリン重鎖アイソタイプC(HCC、caIgG−C)を含む、抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を提供する。
本発明のさらなる態様は、標的抗原への特異的結合が要求され、抗体、融合タンパク質またはその結合性断片へのC1q補体の結合および関連する補体依存性細胞傷害によって特徴付けられる免疫応答が望ましい、状態の治療に用いる医薬の調製における、配列番号9のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプB(HCB、caIgG−B)、配列番号10のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプC(HCC、caIgG−C)または配列番号14のアミノ酸配列を有する脱グリコシルイヌ免疫グロブリン重鎖アイソタイプC(HCC、caIgG−C)を含む、前記抗体、融合タンパク質またはその結合性断片の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における癌性状態の治療の方法であって、
腫瘍特異抗原に対する結合特異性を有し、配列番号9のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプB(HCB、caIgG−B)、配列番号10のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプC(HCC、caIgG−C)または配列番号14のアミノ酸配列を有する脱グリコシルイヌ免疫グロブリン重鎖アイソタイプC(HCC、caIgG−C)をさらに含む、免疫グロブリン、融合タンパク質またはその結合性断片を準備するステップと、
治療有効量の免疫グロブリン、融合タンパク質または結合性断片を、それを必要とするイヌ対象に投与するステップと
を含む、方法を提供する。
【0019】
様々なさらなる態様において、本発明は、所望の標的抗原に結合し、C1qに結合せず、したがって、補体依存性細胞傷害を伴う免疫応答を媒介しない重鎖定常ドメインを含む抗体または融合タンパク質に及ぶ。
したがって、本発明のさらなる態様において、標的抗原に特異的に結合させるためにイヌに治療的に投与することができる組換え抗体、融合タンパク質またはその結合性断片であって、抗体または融合タンパク質の定常ドメインがC1q補体に結合せず、定常ドメインの重鎖が、配列番号8のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプA(HCA、caIgG−A)、配列番号11のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプD(HCD、caIgG−D)または配列番号13のアミノ酸配列を有する脱グリコシルイヌ免疫グロブリン重鎖アイソタイプB(HCB
*、caIgG−B)を含む、組換え抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を提供する。
【0020】
本発明のさらなる態様は、標的抗原への特異的結合が要求され、抗体、融合タンパク質またはその結合性断片へのC1q補体の結合および関連する補体依存性細胞傷害によって特徴付けられる免疫応答が望ましくない、状態の治療に用いる医薬の調製における、配列番号8のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプA(HCA、caIgG−A)、配列番号11のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプD(HCD、caIgG−D)または配列番号13のアミノ酸配列を有する脱グリコシルイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプB(HCB
*、caIgG−B)を含む前記抗体、融合タンパク質またはその結合性断片の使用を提供する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、イヌ対象における状態の治療の方法であって、
腫瘍特異抗原に対する結合特異性を有し、配列番号8のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプA(HCA、caIgG−A)、配列番号11のアミノ酸配列を有するイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプD(HCD、caIgG−D)または配列番号13のアミノ酸配列を有する脱グリコシルイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインアイソタイプB(HCB
*、caIgG−B)をさらに含む免疫グロブリン、融合タンパク質またはその結合性断片を準備するステップと、
治療有効量の免疫グロブリン、融合タンパク質または結合性断片を、それを必要とするイヌ対象に投与するステップと
を含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、CDC活性を欠く状態での抗体の構築のためにデザインされた脱グリコシル化定常ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を有するアラニン置換脱グリコシル化重鎖HCB(HCB
*と表す)である。本発明のさらなる態様において、HCA、HCBまたはHCDの重鎖HCA、HCDまたはCDC不活性脱グリコシル化形(HCA
*、HCB
*またはHCD
*:配列番号12、配列番号13および配列番号15)を組み込んでいる抗体は、イヌ成長因子、ホルモン、サイトカイン、ケモカインまたは補体カスケードの成分などの他の可溶性メディエーターに対して誘導される。特定の実施形態において、重鎖HCA、HCDまたはHCB
*を組み込んでいる抗体は、CDCを誘導せずに、イヌにおけるイヌNGFの生物学的活性を中和する目的のためにイヌ神経成長因子(NGF)に対して誘導される。
【0022】
本発明の前述の態様の特定の実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。特定のさらなる実施形態において、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、イヌ化抗体、すなわち、イヌ対象に投与されたとき、それに対して中和抗体が産生されないように脱免疫化されたアミノ酸配列を有する抗体である。一般的に、抗体の重鎖定常ドメインは、該定常ドメインが下流エフェクター機能を媒介しないように選択するか、またはアミノ酸置換もしくは欠失により修飾する。特定の実施形態において、抗体は、少なくとも1つのリポーター分子にコンジュゲートされていてもよい。
特定のさらなる実施形態において、本発明の前述の態様の抗体または融合タンパク質の定常ドメインにおける少なくとも1つの残基は、当残基のグリコシル化を防ぐために置換するか、または欠失させることができる。本発明のさらなる態様において、イヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、サイトカンもしくはケモカイン受容体または他の貫膜タンパク質(例えば、TNF受容体)の細胞外ドメインに全部または一部融合させることができ、そのために、イヌ細胞外ドメイン−免疫グロブリン重鎖融合タンパク質がCDCを活性化しないことが望ましい場合(例えば、TNF受容体Fc融合タンパク質が可溶性TNFの中和のためにデザインされている場合)には、イヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインの全体または断片が群HCA、HCDまたはHCB
*から選択され、また逆に、イヌ細胞外ドメイン−免疫グロブリン重鎖融合タンパク質が望ましい場合(例えば、TNF受容体Fc融合タンパク質が膜結合性TNF保有炎症性細胞を死滅させるようにデザインされている場合)には、イヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメインが群HCB、HCCまたはHCC
*から選択される。
【0023】
本発明のさらなる態様において、イヌ受容体−Fc融合タンパク質は、イヌ免疫グロブリンドメイン重鎖Fc領域と融合したイヌ細胞上に見いだされる膜結合受容体の細胞外ドメインの群から選択することができる。本発明のさらなる態様において、重鎖HCB、HCCまたはHCC
*を組み込んでいる抗体は、それらの表面上のCD20へのこれらの抗体の結合によるイヌリンパ腫細胞のようなイヌCD20発現細胞のCDCを誘導する目的のためにCD20に対して誘導される。
さらに、イヌ化抗体は、イヌに存在する任意の他のエピトープとの交差反応性を示さないこと、さらにイヌに投与したときに本発明の抗体に対する中和抗体が発生しないことが好ましい。
【0024】
特定のさらなる実施形態において、重鎖の定常領域のアミノ酸配列への修飾は、本発明の抗体または融合タンパク質に対して行うことができる。前記修飾は、1つまたは複数のアミノ酸残基の付加、置換または欠失を含み得る。前記アミノ酸の変更は、一般的に抗体の機能特性を修正するために行われる。例えば、アミノ酸修飾は、例えば、Fc受容体に結合する、補体を活性化する、またはADCCを誘導する抗体の能力を妨げることによって、抗体定常ドメインにより媒介される下流エフェクター機能を妨げるために行うことができる。さらに、修飾は、イヌに投与したときの抗体の循環半減期を修正するために重鎖定常ドメインのヒンジ領域のアミノ酸残基に対して行うことができる。
いくつかの実施形態において、本発明は、併用療法に用いる異なる結合特異性を有する他の抗体に連結または結合した本発明の抗体または結合性断片を含む多特異性または多価抗体を提供する。多特異性抗体は、第1のエピトープに特異的な少なくとも1つの抗体または結合性断片、および抗原上に存在する別のエピトープに、または異なる抗原に特異的な少なくとも1つの結合部位を含む。多価抗体は、同じエピトープに対する結合特異性を有する抗体または抗体の結合性断片を含む。したがって、特定の実施形態において、本発明は、本発明の抗体の、4つ以上のFv領域またはFab領域を含む抗体融合タンパク質に及ぶ。特定のさらなる実施形態において、本発明は、本発明による抗体またはその結合性断片が第2の標的に対する結合特異性を有する第2の抗体またはその結合性断片に連結されていて、前記標的が第1の抗原でない、二重特異性抗体に及ぶ。そのような多価、二重特異性または多特異性抗体は、当業者に周知であると思われる様々な組換え法により調製することができる。
【0025】
特定の実施形態において、抗体、融合タンパク質または抗原結合性断片は、約0.01mg/kg体重〜約10mg/kg体重、特に0.03mg/kg体重〜約3mg/kg体重の範囲の用量で前述の方法の一部としてイヌに投与する。
様々なさらなる態様において、本発明は、本発明のいずれかの前述の態様による抗体、融合タンパク質またはその結合性断片を含む組成物に及ぶ。特定の実施形態において、組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含む。特定の実施形態において、組成物は、少なくとも1つの鎮痛薬、NSAID、オピオイド、コルチコステロイドまたはステロイドをさらに含み得る。
様々なさらなる態様において、本発明は、本発明の抗体、融合タンパク質または抗体の結合性断片をコードする単離核酸に及ぶ。したがって、本発明のさらなる態様は、本発明の前述の態様のいずれかによる抗体、融合タンパク質または抗原結合性断片をコードする単離核酸を提供する。特定の実施形態において、単離核酸は、それに作動可能に連結した1つまたは複数の調節配列をさらにコードする。
【0026】
さらなる態様において、本発明の重鎖可変ドメインおよび/もしくは軽鎖可変ドメインまたは重鎖定常ドメインおよび/もしくは軽鎖定常ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。特定の実施形態において、発現ベクターは、1つまたは複数の調節配列をさらに含む。特定の実施形態において、ベクターは、プラスミドまたはレトロウイルスベクターである。さらなる態様は、本発明の前述の態様の発現ベクターを組み込んでいる宿主細胞を提供する。本発明のさらなる態様は、本発明の前述の態様のいずれかの抗体を産生する宿主細胞を提供する。
本発明のさらなる態様は、本発明の前述の態様の宿主細胞を培養して、細胞に抗体を発現させるステップを含む、本発明の抗体または融合タンパク質を製造する方法を提供する。本発明のさらなる態様は、適切な宿主細胞中で本発明の抗体の軽鎖および/または重鎖を発現する本発明の前述の態様の1つもしくは複数のポリヌクレオチド/核酸またはベクターを発現させるステップと、宿主細胞中で一緒に、または異なる宿主細胞中で別個に発現させることができる発現ポリペプチドを回収するステップと、抗体を単離するステップとを含む、本発明の抗体または融合タンパク質を製造する方法を提供する。本発明のさらなる態様は、配列番号8〜配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖定常ドメインを有する抗体または融合タンパク質をコードする有効量のポリヌクレオチドをイヌに投与するステップを含む、イヌにおける疼痛を治療、改善または抑制する方法を提供する。
【0027】
イヌ抗体の精製
望ましくない免疫エフェクター活性がない状態で標的の中和が望ましいイヌ抗体の場合において、本発明者は、CDC活性を欠いているイヌ重鎖の天然アイソフォームもブドウ球菌属プロテインAに対してあったとしても非常に不十分に結合し、したがって、抗体のこの一般的な精製の方法を製造に用いることができないことを驚くべきことに発見した。本発明者は、代替精製戦略の使用による、また製造中のグリコシル化を防ぐための重鎖の変異による、この制約を克服する3つの方法を述べる。これらの方法により調製される精製抗体は、本発明者により製造され、望ましくない免疫原性を伴わずにイヌにおいてin vivoで安全かつ有効であるという望ましい特性を有することが示された。
本発明のさらなる態様は、供給源混合物からのイヌ由来免疫グロブリンまたは配列番号8のアミノ酸配列を有するアイソタイプAのイヌ重鎖定常ドメイン(HCA、caIgG−A)もしくは配列番号11のアミノ酸配列を有するアイソタイプDのイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメイン(HCD、caIgG−D)を含む免疫グロブリンもしくは融合タンパク質の精製の方法であって、
(i)標的免疫グロブリンまたは融合タンパク質を含む供給源混合物を準備するステップと、
(ii)供給源混合物を陰イオン交換クロマトグラフィーにかけるステップと、
(iii)供給源混合物を疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけるステップと、
(iv)供給源混合物をサイズ排除クロマトグラフィーにかけるステップと
を含む、方法を提供する。
特定の実施形態において、該方法は、リン酸緩衝生理食塩水で緩衝液を交換するステップを含む。一般的に該方法により、高い純度および生物活性のものに分画されている精製抗体が得られる。
【0028】
本発明のさらなる態様は、プロテインAクロマトグラフィーにより精製することができる脱グリコシル化イヌ抗体の製造の方法を提供する。
本発明の様々なさらなる態様において、イヌの治療処置に用いる、本明細書に明示した方法のいずれかに従って製造されるイヌもしくはイヌ由来抗体または融合タンパク質を提供する。様々なさらなる態様において、イヌにおける免疫媒介性状態または疼痛に関連する状態を治療するのに用いる医薬の調製における抗イヌNGF抗体の使用を提供する。
【0029】
本発明のさらなる態様は、供給源混合物からのイヌ由来免疫グロブリンまたは配列番号8のアミノ酸配列を有するアイソタイプAのイヌ重鎖定常ドメイン(HCA、caIgG−A)もしくは配列番号11のアミノ酸配列を有するアイソタイプDのイヌ免疫グロブリン重鎖定常ドメイン(HCD、caIgG−D)を含む免疫グロブリンもしくは融合タンパク質の精製の方法であって、
(i)標的免疫グロブリンを含む供給源混合物を準備するステップと、
(ii)供給源混合物をカプトアドヒア(captoadhere)アフィニティークロマトグラフィーにかけるステップと、
(iii)供給源混合物を陰イオン交換クロマトグラフィーにかけるステップと
を含む、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、イヌの治療に用いる本発明の前述の態様の精製方法により生産される抗体または融合タンパク質に及ぶ。