【文献】
岡崎隆一, 伊東好樹, 川上智也, 仙波卓弥, 久木野 暁,バインダレスPCD製マイクロボールエンドミル,2009年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,日本,公益社団法人精密工学会,2009年 3月,599-600
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、精密機械加工分野において、高精度な金型や部品等を切削加工する際、被削材として超硬合金、セラミックス、ガラス等の硬脆材や、鋼材や焼き入れ鋼を用いて、小さい表面粗さで高精度の切削加工を行う。例えば外径1〜2mm程度の小径のエンドミルで切削加工することにより、金型製造工程における磨き時間の短縮もしくは磨き工程を無くすことが要望されている。
硬脆材や高硬度鋼材等からなる被削材をエンドミルで切削加工する場合、高硬度なダイヤモンド粒子と結合剤のCo等を高温高圧で焼結したダイヤモンド焼結体(以下簡便のためにPCDという)からなるPCDエンドミルが提案されている。
【0003】
このようなPCDからなる切削工具として、例えば特許文献1に記載されたボールエンドミルが提案されている。このボールエンドミルは、工具本体の台金に接合される刃部として、PCDからなるダイヤモンド層が放電加工によって半球状に形成されている。この刃部は、半球状の表面にダイヤモンド層としてダイヤモンド粒子の凸部が多数形成されており、その外径が0.05mm〜2.0mmである。
【0004】
特許文献1に記載されたボールエンドミルは、上述した放電加工でダイヤモンド層を半球状に形成すると、ダイヤモンド粒子の焼結体が凸部として突出し、CoやNi等の結合剤が放電加工時に抜けることで凹部となる。
そして、このボールエンドミルによって超硬合金等の被削材を切削するには、ボールエンドミルを高速回転させながら切り込んで横送りさせ、刃部のダイヤモンド粒子からなる極めて微少な凸部が被削材に切り込むことで切削加工を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されたボールエンドミルで被削材を切削加工し、例えばレンズ金型等の精密な金型を製造する場合、半球状のダイヤモンド層におけるダイヤモンド粒子の凸部が不規則な突出形状を生じ、しかも刃先部の表面に変質層があるため素材本来の性能が発揮されない。そのため、レンズ金型等の加工精度が十分に高精度なものが得られないという欠点があった。
【0007】
しかも、ダイヤモンド粒子の粒径にバラツキがあると粒径3μm以下の比較的小径の粒子は結合剤による接触面積が小さく保持力が小さいため研削時や切削時の負荷で脱落することがあり、加工面の面粗さが低下するという欠点があった。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、PCDやPcBNの粒子の脱落を防いで被加工面の表面粗さを小さくして被削材の高精度な加工を行えるようにしたエンドミル
とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるエンドミルは、工具本体の先端に設けた刃部の表面は、粒径3μmを超え〜36μm以下のダイヤモンド粒子またはcBN粒子
の凸部からなる複数の切れ刃と結合剤からなる複数の凹部との焼結体からなり、ダイヤモンド粒子またはcBN粒子の凸部からなる複数の切れ刃が露出していることを特徴とする
本発明によるエンドミルは、ダイヤモンド粒子またはcBN粒子の粒径を3μmを超え〜36μm以下の範囲に設定したので粒子を結合剤で保持する部分の表面積が大きくなることで粒子の保持力が大きくなり、被削材を切削加工する場合に切込み量を大きく設定しても粒子の脱落を抑制し工具寿命を向上できる。しかも、粒子の表面は研磨加工されているので略平滑になった粒子で切れ刃を構成するため高精度で安定した加工が行える。
【0010】
刃部は略半球状または平面状に形成されていてもよい。
また、前記刃部の表面
には、前記焼結体の
凹部から更に凹んだ凹陥部
が形成されていてもよい。
本発明では、焼結体の凹部を形成する結合剤を化学エッチングや電解エッチングやブラスト処理等で除去して更に凹んだ凹陥部を形成したことで、凹陥部を通した切屑排出性が良好で切屑詰まりや工具への溶着を防ぎ、しかも凹陥部をクーラントが流通して粒子に浸透するので切削抵抗が小さく工具寿命や切削加工面の安定性を向上できる。
【0011】
また、刃部の表面には切刃部と凹溝部とが形成されており、切刃部は焼結体の凸部
からなる切れ刃を有し、凹溝部は切刃部より凹んだ非加工面であることが好ましい。
そのため、切刃部の粒子で断続的に被削材を切削加工でき、凹溝部を通した切屑排出性が良好で切屑詰まりや工具への溶着を防ぎ、しかも凹溝部をクーラントが流通して粒子に浸透するのでクーラントの潤滑性が向上し切削抵抗が小さくなり工具寿命や切削加工面の安定性を向上できる。
また、本発明によるエンドミルの製造方法は、粒径3μmを超え〜36μm以下のダイヤモンド粒子またはcBN粒子の凸部からなる複数の切れ刃と結合剤からなる複数の凹部とを配列させた焼結体の刃部は表面が略半球状または平面状に加工され、前記刃部の表面に付着した熱影響層を含む不純物を研磨加工によって除去することで前記ダイヤモンド粒子またはcBN粒子を露出させ、前記ダイヤモンド粒子またはcBN粒子を切れ刃としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるエンドミル
とその製造方法によれば、粒子の粒径を3μmを超え〜36μm以下に設定したことで結合剤による粒子の保持力が大きく、切削加工時でもダイヤモンド粒子やcBN粒子の脱落を防いで被加工面の表面粗さを小さくして被削材の高精度な加工を行うことができる。
しかも、本発明はダイヤモンド粒子やcBN粒子とCo等の結合剤の焼結体を研磨加工してあるため、刃部の表面に突出するダイヤモンド粒子やcBN粒子の先端を研磨すると共にエンドミルの表面に付着する高熱で劣化したダイヤモンド粒子やcBN粒子、酸化物等の不純物を研磨によって除去したため、被削材の加工面の面粗さが小さく均一になり加工精度が一層向上する。
更に、PCDやPcBNの表面の面粗さが向上するために切削加工によって生じる被削材の切屑が付着することを妨げるので被削材の加工精度が一層向上するという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一実施形態によるPCDボールエンドミルを示す側面図である。
【
図2】
図1に示すボールエンドミルの刃部のPCDを示す拡大図であり、(a)は側面図、(b)は先端面図である。
【
図3】(a)は実施形態における凸部を研磨したPCDの表面を示す拡大図、(b)は研磨しないPCDの表面を示す拡大図である。
【
図4】(a)は粒径1μmと3μmの小径ダイヤモンド粒子を結合したPCDを示す拡大図、(b)は10μmの大径ダイヤモンド粒子を結合したPCDを示す拡大図である。
【
図5】実施形態によるダイヤモンド粒子と結合剤の断面を示す模式図である。
【
図6】本発明の変形例による研磨したPCDを示す拡大図であり、(a)は焼結体の結合剤を除去した凹陥部の断面を示す模式図、(b)は結合剤を処理する前のPCDの図、(c)は溶剤で結合剤を除去した後のPCDの図である。
【
図7】第二実施形態によるPCDボールエンドミルの先端面図である。
【
図8】第三実施形態によるPCDボールエンドミルの先端面図である。
【
図9】第四実施形態によるPCDスクエアエンドミルを示すものであり、(a)は側面図、(b)は先端面図である。
【
図10】第五実施形態によるPCDスクエアエンドミルを示すものであり、(a)は側面図、(b)は先端面図である。
【
図11】第六実施形態によるPCDスクエアエンドミルを示すものであり、(a)は側面図、(b)は先端面図である。
【
図12】第七実施形態によるPCDラジアスエンドミルを示すものであり、(a)は側面図、(b)は先端面図である。
【
図13】第八実施形態によるPCDラジアスエンドミルを示すものであり、(a)は側面図、(b)は先端面図である。
【
図14】第九実施形態によるPCDラジアスエンドミルを示すものであり、(a)は側面図、(b)は先端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態によるエンドミルについて添付図面により説明する。
まず、第一実施形態によるPCDボールエンドミルについて
図1乃至
図5に沿って詳述する。
図1及び
図2において、本実施形態によるPCDボールエンドミル1は、工具本体2の先端部が例えば略半球状の球体面を有するPCD4からなる刃部3として形成されている。刃部3はその外径Dが例えば1mmからなり、実際には半球形状より大きく球体に近い球体面形状を有している。そのため、刃部3は工具本体2の軸状先端より拡径された外径形状を有している。
【0015】
刃部3は、例えば超硬合金、cBN焼結体(立方晶窒化硼素焼結体;PcBN)、PCD等からなる材質とされている。本実施形態では、PCDからなる刃部3と超硬合金からなる工具本体2をろう付けしている。
また、工具本体2として超硬合金以外にPCDやPcBNを用いることができ、ソリッド工具とすることもできる。工具本体2はその中心の回転軸線O回りに回転可能とされている。
【0016】
刃部3の略半球形状をなすPCD4は、微細なダイヤモンド粒子をCo(またはNi)等の結合剤と混ぜて高温高圧で焼結したものであり、更に放電加工によって略半球状に形成されている。なお、ダイヤモンド粒子に代えてcBN粒子を用いてもよく、cBN粒子を用いた場合、ダイヤモンド粒子の場合と結合剤が異なる。
本実施形態で用いるPCD4のダイヤモンド粒子の粒径は3μmを超え〜36μm以下の範囲に設定し、好ましくは10μm〜30μmに設定するとよい。この範囲であれば粒子を結合剤で保持する表面積が大きく粒子の脱落を抑制し、切り込みを大きくすることができ、粒子の脱落を防ぐことで工具寿命を向上させることができる。
なお、粒径が3μm以下では表面を研磨する時や切削加工時にダイヤモンド粒子が脱落し易く、36μmより大きいとすくい面の間隔が大きくなって切れ味が低下し、被削材の切削による高精度な加工面粗さを達成できない。
研磨前のPCD4からなる刃部3は、
図3(b)に示すように多数のダイヤモンド粒子の凸部(粒子)5と結合剤からなる凹部6とからなっていて、ダイヤモンド粒子の凸部5は不規則な突出形状を有している。凹部6は放電加工によって結合剤が抜け落ちることで形成され、それによって多数のダイヤモンド粒子が残って凸部5を形成し、この凸部5が切刃として被削材を切削加工する。
【0017】
そして、本実施形態による刃部3は高温高圧の焼結時にPCD4の表面に熱影響層という劣化したダイヤモンドが付着し、更に酸素を含む酸化物が付着している。また、放電加工によって先端を半球状に形成する際、放電加工用のワイヤ成分である銅や亜鉛等が溶けて付着している。そのため、刃部3のPCD4の成分は本来、ダイヤモンドと結合剤だけのはずであるが、上述した不純物である劣化したダイヤモンド、酸化物、銅,亜鉛等が表面に付着している。この現象はPCD4やPcBNの表面に現れる。
【0018】
そして、本実施形態である刃部3のPCD4は略半球状の表面全体を砥石によってくまなく研磨することによって形成されている。これによって、PCD4の表面に付着している熱的影響を受けた劣化したダイヤモンド、不純物である酸化物、銅,亜鉛等の多くが除去されている。そのため、
図3(a)に示すように凸部5はより平坦化されている。
なお、砥石による刃部3のPCD4の研磨厚さ(深さ)は例えば3μm〜20μmの範囲とするが、ダイヤモンド粒子の粒径によって増減調整可能である。また、砥石に代えて、バレルやラップ盤(鋳鉄の基板にダイヤモンドパウダーを塗布したスカイフ盤)等によってPCD4の表面を研磨してもよい。
研磨により、不規則な突出をするダイヤモンド粒子の突出量の大きいものやワイヤ放電加工によって熱で生じた変質層等を除去できるためダイヤモンド粒子本来の切削性能を発揮できる。
【0019】
図4は刃部3のPCD4においてダイヤモンド粒子を結合剤と混ぜて高温高圧で焼結したものを放電加工によって略半球状に形成した後に砥石で表面を研磨加工したものである。
図4(a)は粒径1μmと3μmの小径のダイヤモンド粒子を結合剤と混合した比較例であり、切削加工後の状態で小径のダイヤモンド粒子がかなり脱落している。一方、
図4(b)に示すものは粒径10μmのダイヤモンド粒子を結合剤と混合した実施形態であり、砥石による研磨でダイヤモンド粒子がほとんど脱落することなく平坦化されている。
図5は砥石で研磨した実施形態によるPCD4の要部断面図を示すものであり、粒径3μmを超え〜36μm以下のダイヤモンド粒子は表面が砥石で研磨されて平滑化され、結合剤に埋もれた部分の表面積が比較的大きく高強度で保持される。ダイヤモンド粒子の結合剤から露出する部分は研磨によって小さくなるので凸部5の粒子の先端が平滑になる。
本実施形態によるPCDボールエンドミル1の被削材として超硬合金を含む硬脆材料、焼き入れ鋼、鋼材等を加工できる。
【0020】
上述したように本第一実施形態によるPCDボールエンドミル1によれば、刃部3がダイヤモンド粒子の凸部5と結合剤の凹部6によって形成されていてその表面の凸部5を研磨して劣化したダイヤモンド粒子や酸化物、銅と亜鉛等の不純物を除去すると共に、大きく突出するダイヤモンド粒子も研磨で除去したため、不規則な突出をするダイヤモンド粒子の突出量の大きいものやワイヤ放電加工によって熱で生じた変質層等を除去できるためダイヤモンド粒子本来の切削性能を発揮できる。そのため、被削材の加工面の面粗さがナノレベルと小さく高精度な加工を行え、例えば鏡面加工できる。
しかも、粒径3μmを超え〜36μm以下の比較的大きいダイヤモンド粒子を切れ刃として用いたため、結合剤に埋もれた部分の表面積が大きく研磨時や切削時に粒子が脱落しにくい。その効果として工具寿命を向上できる。
また、刃部3の被削材に対する切り込み深さが0.5μm程度の浅いものに限定されることなく、3μm〜5μmに至るまで深い切り込み切削を行えるという効果を奏する。
【0021】
以上、本発明の第一実施形態によるPCDボールエンドミル1を説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の異なる形態や態様を採用できることはいうまでもない。これらはいずれも本発明の範囲に含まれる。
次に本発明の他の実施形態や変形例について説明するが、上述した実施形態の部分や部品と同一または同様なものについては同一の符号を用いて説明を行うものとする。
【0022】
次に本発明の第一実施形態の変形例について
図6により説明する。
図6に示す本変形例によるPCDボールエンドミル1において、砥石による表面研磨の後に、刃部3を溶剤、例えば化学エッチング処理として硝酸水溶液に浸すことでPCD4の表面の結合剤を除去する。これによって
図6(a)に示すように、ダイヤモンド粒子の凸部5間の凹部6で結合剤が除去されて結合剤のあった部分に凹陥部6aが形成されダイヤモンド粒子を更に露出させることができる。なお、
図6(b)は溶剤に接触させる前のPCD4、同図(c)は凹陥部6aを形成したPCD4を示すものである。
本変形例によれば、切削加工時に凹陥部6aが切屑排出溝として機能して生成する切屑の排出性が向上する。また、凹陥部6aにはクーラントが流れて切削に用いるダイヤモンド粒子の凸部5に流入するため潤滑性も向上する。これら切屑排出性と潤滑性によってダイヤモンド粒子の凸部5による切削抵抗を抑制して粒子の脱落を抑制でき、工具寿命を向上できる。なお、PCD4の表面の結合剤の除去は化学エッチングに限らず、電解エッチングやブラスト処理等でも除去することができる。
【0023】
次に本発明の第二実施形態によるPCDボールエンドミル12について
図7の先端面図により説明する。
図7に示すPCDボールエンドミル12において、略半球状の刃部3の表面には先端面中央を中心軸線Oに重なる始点12aとして始点12a近傍の先端が先細針状で後端側に向けて次第に拡幅する例えば略笹の葉形状の切刃部13と凹溝部14とが交互に形成されている。その際、切刃部13と凹溝部14の横幅間隔は任意に設定できるが、切刃部13の横幅を凹溝部14より小さくすることが切削抵抗を低減させる上で好ましい。
切刃部13は被削材を切削加工するPCD4の部分であり、凹溝部14はこのPCD4を切除して切刃部13より凹ませた非加工面である。凹溝部14は砥石で研削して切除して形成してもよいし、レーザ加工や放電加工等で切除して形成してもよい。凹溝部14にはクーラントが流れるためクーラントが切刃部13の粒子の隙間に流入して粒子に浸透し易い。
【0024】
本第二実施形態によるPCDボールエンドミル12によれば、被削材に刃部3を回転させながら切り込んで横送りすることで、切刃部13によって被削材の肩壁部を断続切削できる。その際、刃部3の基部側から供給されるクーラントは凹溝部14を流れて刃部3の回転の遠心力で切刃部13に流入して粒子に浸透するため、切削時の発熱を抑制して切削効率を向上できる。また、切刃部13で生成された切屑は凹溝部14をスムーズに流れて基端側に排出される。
しかも、PCDボールエンドミル12は断続切削であるため、第一実施形態による刃部3の略半球状のPCD4による全面切削で得られる鏡面加工と比較すると加工面の面粗さは多少低下するが、断続切削であるため切削負荷は小さくなる。そのため、切削抵抗を抑制して粒子の脱落を抑え、凹溝部14による切屑排出性が高く切屑の刃部3への溶着を抑制できるため、工具寿命の向上と切削加工面の安定切削を得られる。
【0025】
次に本発明の第三実施形態によるPCDボールエンドミル16について
図8の先端面図により説明する。
図8に示すPCDボールエンドミル16において、略半球状の表面に形成された砥石で表面を研磨されたダイヤモンド粒子を配列した切刃部17に対して、所定間隔で切刃部17を切除した例えば略円形の凹溝部18が形成されている。凹溝部18は略円形に限定されるものではなく、六角形や四角形等適宜形状のものを形成できる。
本第三実施形態によるPCDボールエンドミル16では、略半球状の刃部3を回転させながら横送り切削すると周方向に切刃部17と凹溝部18が交互に切削加工面に当接するため断続切削加工を行う。しかも、凹溝部18に貯留されるクーラントが回転によって切刃部17の粒子に浸透するので切削抵抗を抑制して切削効率を向上する等、上述の第二実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0026】
なお、上述した第二、第三実施形態によるPCDボールエンドミル12において、刃部3の表面全体の面積に対する切刃部13、17の面積の各割合をランド率と設定して、ランド率を70%〜100%の範囲に設定することが好ましい。この範囲であれば被削材の鏡面加工(面質)と切刃部13,17による切り込み量とを両立させることができる。また、ランド率が70%未満であったとしても鏡面加工の精度は若干低下するが、切削抵抗が小さくなり、切り込み量を改善できる。
【0027】
次に本発明の第四実施形態としてPCDスクエアエンドミル20について
図9により説明する。
第四実施形態によるPCDスクエアエンドミル20は、
図9(a)、(b)に示すように刃部21が略円柱状に形成され、その先端面21aに向けて拡径するように側面21bが形成されている。しかも、刃部21は上述した第一実施形態と同様に先端面21aと側面21bに粒径3μmを超え〜36μm以下のダイヤモンド粒子と結合剤とを混合して高温高圧で焼結した焼結体において粒子を突出させた凸部5と凹部6の表面を砥石で研磨した構成を有している。
従って、本実施形態によるPCDスクエアエンドミル20によれば、被削材に対して刃部21を横送り切削することで鏡面加工の金型を形成することができる。
【0028】
次に本発明の第五実施形態としてPCDスクエアエンドミル23について
図10により説明する。
図10(a)、(b)に示すPCDスクエアエンドミル23の刃部24は基本的に
図9に示す第四実施形態による刃部21と同一の外形形状と構成を有しており、刃部24の先端面24aと側面24bにはダイヤモンド粒子による凸部5と結合剤による凹部6のPCD4の表面を砥石で研磨加工した切刃部25が形成されている。しかも先端面24aの切刃部25において、中心軸線Oを中心として放射状に小幅で帯状の凹溝部26が形成されている。同図(a)に示す略円筒状の側面24bには、先端面24aの凹溝部26が中心軸線Oと略平行に基端側に延びて形成されている。
本実施形態によれば、刃部24を回転させながら横送りして断続切削することで金型の加工面を形成することができる。
【0029】
また、
図11(a)、(b)は本発明の第六実施形態によるPCDスクエアエンドミル27を示すものである。
図12に示す刃部28の先端面28aと側面28bにはダイヤモンド粒子による凸部5と結合剤による凹部6のPCD4の表面を砥石で研磨加工した切刃部29が形成されている。しかも切刃部29には例えば略円形状の凹溝部30が所定間隔で複数形成されている。
本実施形態においても上述した第五実施形態や第六実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0030】
図12、
図13、
図14は本発明の第七、第八、第九実施形態としてPCDラジアスエンドミル32、33、34を示すものであり、これらの各実施形態によるPCDラジアスエンドミル32は、第四、第五、第六実施形態として示すPCDスクエアエンドミルの刃部の先端面と外周面の交差稜線部にR面取り部35を設けたものであり、R面取り部35以外の構成は共通する。そのため、R面取り部35を除く各構成に同一の符号を設けてその説明を省略する。
なお、上述の各実施形態のPCDラジアスエンドミル32、33、34においてR面取り部35に代えて平面状の面取り部を形成してもよい。
【0031】
本発明によるエンドミルは、上述したPCDボールエンドミル1、12、16やPCDスクエアエンドミル20、23、27、PCDラジアスエンドミル32、33、34を含むものとする。また、各刃部の切刃を構成する粒子としてPCD4に代えて、粒径3μmを超え〜36μm以下の範囲のcBNを結合剤で固定して焼結したPcBNの表面を砥石等で研磨したものを設けてもよく、これらも本発明によるエンドミルに含まれる。
また、本発明の各実施形態では刃部3の外径Dが0.1mm〜2.0mmのものが使用されるが、本発明は上記範囲を外れた適宜の外径を有するエンドミルに採用可能である。
また、本発明によるエンドミルは、表面を砥石等で研磨した焼結体としてダイヤモンド粒子やcBN粒子が結合剤で保持されたものや、更に溶剤でPCD4の表面の結合剤が除去されて凹陥部6aが形成されたもの等のいずれでも採用できる。
【解決手段】本発明によるダイヤモンド焼結体ボールエンドミル1は、工具本体2の先端に略半球状の刃部3を設けた。刃部3の表面は、粒径3μmを超え〜36μm以下のダイヤモンド粒子またはcBN粒子と結合剤とを混ぜて高温高圧で焼結した焼結体を備えた。しかも、焼結体の表面を砥石で研磨加工することでダイヤモンド粒子またはcBN粒子の凸部と結合剤の凹部を研磨加工した。研磨加工した凸部の粒子を切れ刃とした。