特許第5969110号(P5969110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969110蒸気タービンシステムおよび蒸気タービンの始動法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969110
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】蒸気タービンシステムおよび蒸気タービンの始動法
(51)【国際特許分類】
   F01K 13/02 20060101AFI20160728BHJP
   F01D 19/00 20060101ALI20160728BHJP
   F01D 17/00 20060101ALI20160728BHJP
   F01D 17/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   F01K13/02 B
   F01K13/02 G
   F01D19/00 A
   F01D17/00 M
   F01D17/06
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-502327(P2015-502327)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公表番号】特表2015-514899(P2015-514899A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013056546
(87)【国際公開番号】WO2013144217
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】12161657.7
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・ペッター
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05361585(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02193764(GB,A)
【文献】 米国特許第03277651(US,A)
【文献】 特開昭61−237802(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第00957024(GB,A)
【文献】 特開昭63−297705(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02176248(GB,A)
【文献】 特開2002−129907(JP,A)
【文献】 特開2011−085234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 13/00−02
F01D 17/00−26
F01D 19/00−02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧蒸気タービン(1)および中圧蒸気タービン(21)の少なくとも1つである蒸気タービン(1、21)を有する蒸気タービンシステム(41)であって、以下の特徴、すなわち:
前記蒸気タービンは、給蒸気側(6、26)と排蒸気側(12、32)とタービンハウジングとを備え;
前記タービンハウジングは、タービンシャフトのために貫通路を備え、該貫通路には、貫通路を通る流体の流れを最小限にできるシール(15、15’、35、35’)が設けられており;
前記シール(15、15’、35、35’)への蒸気管システムが設けられており;
前記蒸気タービン(1、21)は、前記給蒸気側(6、26)に位置する少なくとも1つの第1部分セクション(2、22)と前記排蒸気側(12、32)に位置する少なくとも1つの第2部分セクション(3、23)とから構成されており、かつ2つの部分セクション(2、3、22、23)の間には、低圧領域への連結管(10、30)が設けられており;
前記蒸気タービン(1、21)の始動のために、前記排蒸気側(12、32)から低圧領域へ向かう前記連結管(10、30)への蒸気流が発生可能なように、前記蒸気タービン(1、21)の前記排蒸気側(12、32)に対向する前記貫通路では、前記蒸気タービン(1、21)の始動のために、前記蒸気管システム(16、17、18、19、39、40)は、蒸気を前記蒸気管システム(16、17、18、19、39、40)を通って前記蒸気タービン(1、21)に供給できるように構成されており;
給蒸気供給管(4、24)は遮断装置(5、25)を備えており、該遮断装置は、前記蒸気タービン(1、21)の始動のために、前記給蒸気側(6、26)から低圧領域へ向かう前記連結管(10、30)への蒸気流が発生可能なように制御可能である;
という特徴を有する蒸気タービンシステム。
【請求項2】
前記蒸気管システムは、中間吸出管(16、16’)および/またはシール蒸気管(19、19’、39、39’)および/または漏れ蒸気管(20、20’、40、40’)を備える、請求項1に記載の蒸気タービンシステム。
【請求項3】
低圧領域への前記連結管(10、30)は蒸気抽気部(8、28)に取り付けられている、請求項1あるいは2に記載の蒸気タービンシステム。
【請求項4】
前記中間吸出管(16)に補助蒸気を供給することのできる補助蒸気管(18)が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の蒸気タービンシステム。
【請求項5】
始動のために、前記排蒸気側(12、32)から低圧領域への前記連結管(10、30)へ所望の蒸気流を導き、かつ前記給蒸気側(6、26)から低圧領域への前記連結管(10、30)へ所望の蒸気流を導くために、制御装置が設けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の蒸気タービンシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の蒸気タービンシステムを備える火力発電所。
【請求項7】
タービンハウジングとタービンシャフトとを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1、21)の始動法であって、以下のステップ、すなわち:
‐ 前記蒸気タービン(1、21)を真空にするステップと;
‐ 前記蒸気タービン(1、21)の中間領域(7、27)を、低圧領域と連結させるステップと;
‐ 排蒸気側(12、32)で前記蒸気タービン(1、21)に蒸気を供給するために、蒸気を、前記タービンハウジングに対して前記タービンシャフトを密閉するシール(15、35)を介して供給するステップと;
‐ 所望の回転数および/または加速度および/または出力を達成するために、前記蒸気タービン(1、21)の給蒸気側(6、26)で、給蒸気を調量して供給するステップと;
‐ 所望の蒸気流が、前記排蒸気側(12、32)から前記蒸気タービン(1、21)の前記中間領域(7、27)へ流れることを保証するステップと;
‐ 前記蒸気タービン(1、21)の所望の出力が達成されると、前記シール(15、35)を介する蒸気供給を終了し、前記蒸気タービン(1、21)の前記中間領域(7、27)を低圧領域から分離するステップと;
を有する方法。
【請求項8】
前記蒸気タービン(1、21)の真空化は、前記蒸気タービン(1、21)の前記中間領域を低圧領域と連結することによって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シール(15)を介して蒸気を供給するために、中間吸出管(16)が中間吸出システムから分離され、補助蒸気が前記中間吸出管(16)を介して供給される、請求項7あるいは8に記載の方法。
【請求項10】
前記シール(15)を介して蒸気を供給するために、前記中間吸出管(16)が前記中間吸出システムから分離され、シール蒸気がシール蒸気管(19)を介して供給される、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
高圧タービン(1)のための給蒸気として、生蒸気が使われる、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
中圧タービン(21)のための給蒸気として、中間過熱器からの蒸気が使われる、請求項7から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
低圧領域と前記蒸気タービン(1、21)の前記中間領域(7、27)との連結は、抽気部(8、28)を復水器と連結する連結管(10、30)の遮断ユニット(11、31)を介して行われる、請求項7から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第1のステップとして、前記蒸気タービン(1、21)にシール蒸気をかつ/または前記中間吸出管(16、16’)を介して供給される補助蒸気をあてる、請求項7から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記シール蒸気管(19、39)を介して蒸気供給するために、シール蒸気チャンバにおいて所望のシール蒸気圧力が調節される、請求項7から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
2つの部分セクション(2、3、22、23)の間には、復水器への連結管(10、30)が設けられている、請求項1に記載の蒸気タービンシステム。
【請求項17】
低圧領域への前記連結管(10、30)は蒸気抽気部(8、28)に、フランジ取り付けされている、請求項3に記載の蒸気タービンシステム。
【請求項18】
前記蒸気タービン(1、21)の中間領域(7、27)は、復水器と連結される、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンの始動を改善する蒸気タービンシステムに関する。本発明はさらに、関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所における蒸気タービンの始動時には、発電機が始動の最中では充分に同期され得ず、負荷がかかった状態で運転されかねないので、機械出力がまず制限されている。蒸気に含まれるエネルギーはそれゆえ、通常の出力運転時よりも、機械的動作に変換される部分が少なくなる。このようにエネルギーの取出しがより小さければ、蒸気タービンを貫流する際に、蒸気の冷却が低下することになる。それによって、とりわけ蒸気が流出する、蒸気タービンの領域において、つまり排蒸気領域において、通常の出力運転時よりも明らかに高い温度が生じる。このことは特に、蒸気タービン内部の損失が下がる場合に、たとえば低圧タービンが運転していない場合に、当てはまる。
【0003】
このように温度がより高くなることで、この温度から保護するために費用のかかる設計が必要となる。より高い温度を回避するために、これまでに以下の対処法が提案され実現されている。一方ではいわゆる「トリミング」が知られている。高圧タービンと中圧タービンと中間過熱器を有する低圧タービンとを有するシステムでは、主に高圧排蒸気と低圧排蒸気とが高温になる。低圧排蒸気の温度を下げるために、水噴入が行われ、すなわち蒸気に付加的な水が供給される。それによって、温度は許容限度内に留まる。高圧セクションを通る質量流量を上げることで、高圧排蒸気温度が制限される。同時に、中圧セクションと低圧セクションとを通る質量流量が減少する。高圧セクションにおける高くなった圧力比率は、高圧排蒸気温度を下げる。中圧セクションと低圧セクションとにおける低くなった圧力比率は、低圧セクションにおける通風出力を上げ、高圧セクションにおける上昇出力を補償する。
【0004】
高圧セクションの温度を望ましい程度にまで低下させることで不充分であれば、高圧タービンの排蒸気室が、始動管で復水器と連結される。それによって冷たい中間過熱器への逆止弁が閉じる。つまり高圧タービンから中間過熱器への蒸気抽気は行われない。圧力レベルがより低ければ、高圧排蒸気温度がより低くなる。
【0005】
温度低下のさらなる試みは、発電機の機械出力を上げることを意図する。正確には、発電機は、すでに始動運転において、つまり回転数が低くて常に上がっていき、同期が不可能な時に、電気出力をもたらさなくてはならない。同期していないので、生み出されたこの電気出力は、電流網に放出され得ない。それゆえ、生み出された電流を消費するために、電気加熱要素が備えられる。加熱要素で生み出された熱は、水蒸気循環の予熱区間に含まれてよく、給水用水の予熱に利用されてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、始動時の熱問題を容易に克服できる、蒸気タービンシステムと蒸気タービンを始動するための関連する方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、特に独立請求項によって解決される。従属請求項は、有利な構成を示している。
【0008】
この課題を解決するために、以下の特徴を備える蒸気タービンシステムが提案される。すなわち、蒸気タービンシステムは、給蒸気側と排蒸気側とタービンハウジングとを有する蒸気タービンを備える。タービンハウジングは、タービンシャフトのために貫通路を備える。この貫通路には、シールがある。これは大抵、ラビリンスシールである。シールは、貫通路を通る流体の流れつまり通常は蒸気の流れを最小限にしなくてはならない。シールには、蒸気管システムが繋がっている。蒸気タービンは、少なくとも1つの第1部分セクションと少なくとも1つの第2部分セクションとから構成されており、これらの部分セクションの間には、低圧領域への特に火力発電所の復水器への連結管がある。ここで低圧とは、明らかに蒸気タービン内の圧力よりも低いため、連結管を開いた際に蒸気タービンからこの領域に蒸気が流れ込む圧力と理解され得る。通例は、復水器への連結管が存在することが考えられ得る。蒸気タービンの排蒸気側に対向する貫通路では、蒸気タービンの始動のために、蒸気管システムを通って蒸気タービンに蒸気供給が可能となるように、蒸気管システムが設計されている。それによって、蒸気タービンの始動のために、排蒸気側から低圧領域へ向けた連結管への蒸気流が起こり得る。給蒸気供給管は遮断装置を備えており、当該遮断装置は、蒸気タービンの始動のために、給蒸気側から低圧領域へ向けた連結管への蒸気流が発生できるように制御可能である。
【0009】
給蒸気側とは、通常の出力運転時に蒸気タービンに蒸気が供給される側のことである。高圧タービンとは、ここでは詳細に記述されない蒸気発生器から来る生蒸気が供給される側のことである。中圧タービンには、中間過熱器から出る蒸気がある。それに応じて、排蒸気側は、出力運転時に蒸気が蒸気タービンから流出する側である。たとえ本発明に従って始動のためにまさに排蒸気側で蒸気が供給されるとしても、この描写の枠内において、この概念を忘れてはならない。
【0010】
本発明は、蒸気管システムからシールを介して蒸気を供給するのを可能にする。それによって、生蒸気もしくは中間過熱蒸気の温度よりも低い温度の蒸気が選択されてよい。冒頭で説明された、始動時に排蒸気側の近傍領域で高温になる問題が、それによって回避される。蒸気が排蒸気側から低圧領域への連結管に流れる場合、出力運転時におけるいつもの方向とは逆に蒸気が流れるので、機械的動作ができない。それによって、蒸気が冷却されるような大きなエネルギーは、蒸気から取り出されない。むしろ、いわゆる換気によって、温度の上昇が起こる。それによって、蒸気タービンにおいて、排蒸気側からタービンセクション間の領域まで、温度が上がる。それによって、蒸気タービンにおいては、少なくとも質的に出力運転時の温度プロファイルに相当する温度プロファイルが現れる。
【0011】
給蒸気供給管は、高圧タービンでは通常は生蒸気管であり、中圧タービンでは通常は中間過熱蒸気管である。給蒸気供給管における制御可能な部品とは、通例の場合には、生蒸気弁もしくは中間過熱弁のことである。
【0012】
一実施形態において、蒸気管システムは、中間吸出管および/またはシール蒸気管および/または漏れ蒸気管を備える。蒸気タービンの運転時には、タービンハウジングの中では、タービンハウジングの外よりも明らかに高い蒸気圧が占めている。タービンシャフトは、貫通路において、できる限り接触することなく回転できなくてはならない。それゆえ、タービンハウジングにおいて、タービンシャフトと当該タービンシャフトの貫通路との間に、完全密閉のシールを使うことができない。シールとして通常は、ラビリンスシールが使われる。そのために、タービンハウジングの貫通路において、貫通路に少し喰い込み、つまり貫通路の直径を所定の箇所で小さくする内部構造が備わっている。タービンシャフトには、当該タービンシャフトの直径を所定の箇所で大きくする上部構造がある。内部構造と上部構造とは、通例の場合には、薄板のことである。タービンシャフトは、タービンシャフトに固定された上部構造が、内部構造の間の空間に突き出るように設けられている。タービンシャフトはそれによって、自由に回転できる。タービンハウジング内の蒸気圧がタービンハウジングの周囲よりも高いので、蒸気は、著しく減少した蒸気量でのシール効果ゆえに、貫通路を通ってつまり内部構造と上部構造とを通り過ぎて流れる。その際蒸気圧は、タービンハウジングから周囲の方向に低くなる。損失を最小限に抑えるために、蒸気は、シールの様々な領域において吸出され、火力発電所の別の場所で利用される。高圧タービンでは、タービンハウジングの内部領域近傍にあるシール領域に、中間吸出システムに繋がる中間吸出管が存在する。中圧タービンでは通常は、中間吸出管はない。さらに外側では、シール蒸気がシール蒸気管を介して取り出される。漏れ蒸気は、さらに外側につまりタービンハウジングの外側の領域の方向にあるシール領域において、漏れ蒸気管を介して取り出される。この蒸気管システムは本発明に従えば、上で説明されたように、蒸気を蒸気タービンの排蒸気側で供給することにも利用されてよい。
【0013】
低圧領域への連結管は、好ましくは蒸気抽気部に取り付けられており、たとえばフランジ取り付けされている。蒸気抽気部はいずれにせよ、連結管にとって望ましい蒸気タービン領域に存在する。それによって、直接蒸気タービンにあるさらなる内部構造を回避することができる。
【0014】
一実施形態において、中間吸出管に補助蒸気を供給することのできる補助蒸気管がある。中間吸出管は、中間吸出システム通常は低圧タービンの排蒸気に繋がっているので、補助蒸気が中間吸出システムに流れ去ることなく、シールを介しての蒸気供給のために利用できるようにするために、中間吸出管を中間吸出システムから分離する可能性がある。
【0015】
一実施形態において、始動のために、排蒸気側から低圧領域への連結管へ望ましい蒸気流を導き、かつ給蒸気側から低圧領域への連結管へ望ましい蒸気流を導くために、制御装置がある。これには通例の場合、生蒸気弁と中間過熱蒸気弁のような部品が、給蒸気供給管において、対応して制御可能でなくてはならず、対応する制御装置が存在することが含まれる。同様に、対応して制御可能な部品は、シールのための蒸気管システムにおいて必要である。さらにまた、対応する蒸気流を算出できるようにするために、蒸気タービンシステムの様々な箇所で、圧力を決定しなくてはならない。述べられた装置によって、充分に自動化された、蒸気タービンの始動を可能にできる。
【0016】
本発明は、上述の蒸気タービンシステムを備える火力発電所にも関する。そのような火力発電所は容易に始動でき、それゆえ大きな、場合によっては迅速な出力上昇で、ますます必要とされる運転に利用できる。
【0017】
本発明は、蒸気タービンの始動法にも関する。これは特に、上述の蒸気タービンシステムにおける蒸気タービンの始動法のことである。描写の繰り返しを避けるために、対応する方法の言及をすでに含んでいる、蒸気タービンシステムの描写ができる限り指摘される。蒸気タービンの始動法は、以下のステップを備える。まず蒸気タービンを真空にする。それから蒸気タービンの中間領域を、低圧領域特に復水器と連結させる。それから蒸気を、タービンハウジングに対してタービンシャフトを密閉するシールを介して供給する。それによって蒸気タービンに、排蒸気側で蒸気が供給され得る。同様に、望ましい回転数および/または加速度および/または出力を達成するために、蒸気タービンの給蒸気側で、給蒸気が調量されて供給される。上述の処置の間保証されるべきは、同時に望ましい蒸気流が、排蒸気側から蒸気タービンの中間領域へ流れることである。たとえば給蒸気があまりに多く供給されれば、連結管が備わっていても、蒸気タービンの中間領域において、高すぎる圧力が生じ、その結果排蒸気側から中間領域への蒸気流は、望ましくなく減少するであろう。この場合、給蒸気供給が絞られるか、および/またはシールを介してより多くの蒸気が排蒸気側で供給されるべきである。蒸気タービンの望ましい出力が達成されると、シールを介する蒸気供給が終わり、蒸気タービンの中間領域は低圧領域から分離される。このために、通例の場合には、低圧領域への連結管における部品は閉じられる。それから、給蒸気側から排蒸気側への出力運転時における蒸気タービンのいつもの貫流が生じる。蒸気タービンにおける圧力上昇によって、蒸気抽気部の逆止弁も開き、その結果、火力発電所の出力運転時にはいつも起こるように、タービン蒸気の一部が、別の箇所で用いられる。
【0018】
上述の蒸気タービンの真空化は、蒸気タービンの中間領域を低圧領域と連結することによって行われ得る。それによって、蒸気タービンを真空にするステップと、蒸気タービンの中間領域を低圧領域と連結するステップとは、根本的に1つのステップである。
【0019】
本方法の構成において、特に高圧タービンの始動が問題となる場合には、シールを介して蒸気を供給するために、まず中間吸出管が中間吸出システムから分離され、つまり通常の場合中圧タービンの排蒸気への連結が分離される。それから、補助蒸気が中間吸出管を介して供給されるので、蒸気はシールへ、そしてそこから蒸気タービンの排蒸気側へ流れることができる。
【0020】
代替的に、場合によってはまた付加的に、中間吸出管への補助蒸気の供給は行われず、シール蒸気がシール蒸気給気装置を介して供給される。その際同様に、中間吸出管が中間吸出システムから分離される。シール蒸気給気装置を介しても、蒸気タービンに排蒸気側で蒸気が供給されてよい。このために、通常はシール蒸気チャンバにおいて、望ましい圧力が調節されるので、蒸気はシール蒸気管を通って流れる。
【0021】
すでに言及されたように、高圧タービンのための給蒸気として、生蒸気が使われてよい。同様にすでに表わされたのは、中圧タービンのための給蒸気として、中間過熱器からの蒸気が好ましくは使われるということである。
【0022】
低圧領域と蒸気タービンの中間領域との連結は、好ましくは、抽気部を復水器と連結する導管の遮断ユニットを介して行われる。それによって、狭い蒸気タービンにさらなる導管を備える必要性がなくなる。抽気部を介して復水器への連結を構築することが可能である。遮断ユニットによって、この連結は、始動の際に、表わされたように希望に従って開放されてよく、他の場合には閉じられたままであってよい。
【0023】
蒸気タービンの始動法のヴァリエーションは、蒸気タービンを真空にする前に、蒸気タービン全体にシール蒸気あるいは、中間吸出管を介して供給される補助蒸気をあてることを意図している。それによって、穏やかな第1の予熱を行うことができる。中間吸出を介して補助蒸気をあてることは、通例高圧タービンの場合にのみ可能である。
【0024】
シール蒸気給気装置を介して、望ましいやり方で蒸気供給を保証するために、シール蒸気チャンバにおいて望ましい圧力が調節され得る。このようなやり方で、望ましい蒸気流が引き起こされる。
【0025】
本発明の詳細は、以下の図に基づいて再度より詳しく描写される。図に示されるのは以下である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】始動のために、補助蒸気が中間吸出管を介して供給される高圧タービンの構造である。
図2】始動のために、シール蒸気が使われる高圧タービンの構造である。
図3】始動のために、シール蒸気が使われる中圧タービンの構造である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1において、蒸気タービン1が表わされており、これは高圧タービンである。この高圧タービンは、第1タービンセクション2と第2タービンセクション3とを備える。第1タービンセクション2には、給蒸気供給管として生蒸気管4が繋がっており、当該生蒸気管4内には生蒸気弁5が設けられている。それによって、蒸気は、高圧タービン1に給蒸気側すなわち生蒸気側6で調量されて供給され得る。高圧タービン1の中間領域7つまり第1タービンセクション2と第2タービンセクション3との間の領域には、抽気部8が取り付けられている。抽気部8は、逆止弁9を介して、表わされていない予熱器に繋がっている。逆止弁9は、蒸気が予熱器から抽気部8を通って高圧タービン1に流れるのを防ぐ。抽気部8には、しばしば始動管と呼ばれる連結管10が取り付けられている。連結管10の中に取り付けられている連結弁11によって、表わされていない復水器への連結が、必要な場合には構築され、あるいは分離される。第2タービンセクション3の隣の領域に、排蒸気側12がある。ここから排蒸気管13が、排蒸気逆止弁14に繋がっている。高圧タービン1の排蒸気側12に、タービンセクション3に背向する側で、タービンハウジングから周囲への蒸気流を最小限に抑えるシール15が接続する。シール15に繋がる中間吸出管16が分かる。中間吸出管16は、中間吸出弁17によって遮断され得る。補助蒸気管18を介して、中間吸出管16に補助蒸気を供給できる。中間吸出管16のほかに、まずはシール蒸気管19がシール15に接続しており、さらに外側には、漏れ蒸気管20が接続していて、これらを通じてシール蒸気もしくは漏れ蒸気が流出できる。完全にするために、指摘しておくべきことは、さらなるシール15’が、高圧タービン1の生蒸気側6にあるということである。ここでも、中間吸出管16’と、シール蒸気管19’と、漏れ蒸気管20’とが設けられている。
【0028】
高圧タービン1を始動するために、以下の措置法が選択され得る。蒸気をあてるために、まず中間吸出弁17を閉じる。その後、第1タービンセクション2と第2タービンセクション3とを有する高圧タービン1に、補助蒸気管18を介して中間吸出管16に導入される補助蒸気をあてる。中間吸出管16’を介しても、シール15’を介して蒸気が高圧タービン1に流れる。それによって、高圧タービン1の第1予熱が行われる。その後、連結管10の連結弁11が開かれる。それによって、第1タービンセクション2と第2タービンセクション3とを有する高圧タービン1の真空化が行われる。それによって蒸気は、高圧タービン1の中間領域7から抽気部8を介して、復水器への連結管10に流れることができる。その後、排蒸気側12と高圧タービン1の中間領域7との間で、望ましい圧力比率を達成するために、補助蒸気管18を介して、望ましい量の補助蒸気が、所定の圧力で供給される。これは、排蒸気側12から第2タービンセクション3を通って中間領域7への、矢印によって表わされている蒸気流になる。生蒸気弁5を適正に調節して開口することによって、生蒸気管4を介して、望ましい蒸気量が生蒸気側6に流れる。さらにそれから、矢印によって表わされているように、生蒸気側6と中間領域7との間で、第1タービンセクション2を通る望ましい蒸気流がもたらされる。第1タービンセクション2を通る蒸気流と、第2タービンセクション3を通る蒸気流とは、中間領域7で合流し、それから一緒に抽気部8に流れ、そこから連結管10を介して復水器に流れる。生蒸気弁5の開口で、第1タービンセクション2における望ましい回転数および/または加速度および/または出力を調節できる。それによって、排蒸気側12と中間領域7と間の圧力比率が、望ましい値を維持することも、達成できる。それによって、第2タービンセクション3を通る望ましい蒸気流が保証される。第1タービンセクション2において最小出力に達するとすぐに、補助蒸気管18を介しての補助蒸気給気は終わる。中間吸出弁17が開かれる。連結管10の連結弁11が閉じられる。それによって、高圧タービン1内の圧力が上昇する。これによってさらに、中間過熱器への逆止弁9が、圧力によって自動的に開くことになる。それによって、生蒸気側6で生蒸気が生蒸気管4を通って供給される通常の出力運転となる。その後蒸気は、第1タービンセクション2と第2タービンセクション3とを通って排蒸気側12に流れ、さらに排蒸気管13を通り、開口した排蒸気逆止弁14を介して流れる。蒸気の一部は、中間領域7から抽気部8を介して取り出され、開口した逆止弁9を介して、表わされていない予熱器に流れる。補足して説明するならば、中間吸出管16、16’を介してより高い圧力が用意されるので、シール蒸気管19、19’と漏れ蒸気管20、20’とにおいて、始動の最中に蒸気がいくらか漏れ出る。
【0029】
次に、高圧タービン1を始動するさらなる可能性が表わされる。このために、上昇したシール蒸気圧が利用される。分かるように、図2の構造は、図1の構造と、ほとんど一致する。同一の特徴は、繰り返しを避けるために、再度説明されない。差異は単に、中間吸出管16に給気するための補助蒸気管18がないこと、および始動時にシール蒸気管19、19’内の蒸気流が別方向であることである。高圧タービン1の始動法も比較的類似している。初めに、中間吸出弁17が閉じられなくてはならない。その後、タービンセクション2および3に、シール蒸気管19、19’を介して蒸気があてられる。その他のすべてのステップと措置法は同一である。もちろん、排蒸気側12の圧力を調節するために、補助蒸気給気装置18はなく、対応してシール蒸気給気装置内の圧力が調節されなくてはならない。このために、表わされていないシール蒸気チャンバ内の圧力が、対応して選択される。
【0030】
中圧タービンの始動は、図3に基づいて以下に表わされる。図3において、中圧タービン21が認識され得る。当該中圧タービン21は、第1タービンセクション22と第2タービンセクション23とを備える。中間過熱器から出てくる蒸気が、給蒸気供給管として使われる中間過熱蒸気管24を通って、中圧タービン21に導入される。蒸気流を制御するために、中間過熱蒸気管24内に取り付けられた中間過熱弁25が、制御可能な遮断装置として使われる。蒸気は出力運転時に、ここでは中間過熱蒸気側とも呼ばれる給蒸気側26に流れる。出力運転時に、第1タービンセクション22と続く第2タービンセクション23とによって、減圧が行われる。タービンセクション22とタービンセクション23との間に、中圧タービン21の中間領域27がある。抽気部28は、逆止弁29を通って、表わされていない第2予熱器に繋がっている。逆止弁29は、中圧タービン21内で圧力が低すぎる場合に、予熱器から抽気部28を通って中圧タービン21へ逆流するのを防ぐ。抽気部28から、始動管とも呼ばれる連結管30が、復水器に繋がっている。連結管30には連結弁31があり、当該連結弁31によって連結管30は復水器と連結されかつ復水器から分離され得る。通常の出力運転時に、蒸気は、中圧タービンの排蒸気側32から排蒸気管33に流れ、排蒸気逆止弁34を通って第2中間過熱器へ流れる。中圧タービン21の排蒸気側32には、シール35の領域が接続している。高圧タービン1と比べて中圧タービン21内は圧力が低いので、シール35には、中間吸出管が接続されていない。対応して、高圧タービン1のように中圧タービン21でも、シール蒸気管39と漏れ蒸気管40とが、シール35に接続されている。
【0031】
中圧タービン21の始動のために、以下の処理が行われる。まず、第1タービンセクション22と第2タービンセクション23とを有する中圧タービン21に、導管39から出るシール蒸気があてられる。その後、復水器への連結管30の連結弁31を開いて真空化が行われる。シール蒸気チャンバ内の望ましい圧力を調節することによって、排蒸気側32と中圧タービン21の中間領域27との間に望ましい圧力比率がもたらされる。それによって、望ましい蒸気流が生じる。高圧タービン1の始動の場合と類似して、中間過熱弁25が少し開かれ、その結果表わされていない第1中間過熱器から中間過熱蒸気管24を通って給蒸気側26に、蒸気が流れる。そこから蒸気は、第1タービンセクション22を通って中間領域27に流れる。中圧タービン21正確には第1タービンセクション22の望ましい回転数および/または加速度および/または出力が達成されるように、中間過熱弁25の開口が行われる。最小出力に達すると、連結弁31を閉じることで、連結管30は復水器から分離される。それによって、中圧タービン21内の圧力が急速に上昇する。それによって、逆止弁34が開く。換気が制限されて、中圧タービン21の第1タービンセクション22と第2タービンセクション23との正規の貫流が行われる。2つのタービンセクション22と23とは、ドラム22、23とも呼ばれる。
【0032】
完全にするために、さらに挙げられるのは、給蒸気側26’にシール35’が接続するということである。これは、給蒸気側26で、タービンシャフトに対してタービンハウジングを密閉する。それに対応して、ここでもシール蒸気管39’と漏れ蒸気管40’とが分かる。上述の中圧タービン21の始動を開始する際に、蒸気は対応して、シール蒸気管39’も通って中圧タービン21’に流れる。中間過熱蒸気管24を介して蒸気が給蒸気側26に流れ、それによってそこで圧力が上昇するとすぐに、シール蒸気管39’を介してシール35’を通って給蒸気側26に流れる蒸気流はもちろん、非常に低いかあるいはほとんどゼロになる。
【0033】
本発明は、好ましい実施例によって、細部においてより詳細に図解されかつ記述されたが、本発明は開示された例によって限定されるものではなく、別のヴァリエーションが、本発明の保護範囲から離れることなく、当業者によって本発明から導き出されてよい。
【符号の説明】
【0034】
1 高圧タービン
2 第1タービンセクション
3 第2タービンセクション
4 生蒸気管
5 生蒸気弁
6 給蒸気側/生蒸気側
7 中間領域
8 抽気部
9 逆止弁
10 連結管
11 連結弁
12 排蒸気側
13 排蒸気管
14 排蒸気逆止弁
15 シール
15’ シール
16 中間吸出管
16’ 中間吸出管
17 中間吸出弁
18 補助蒸気管
19 シール蒸気管
19’ シール蒸気管
20 漏れ蒸気管
20’ 漏れ蒸気管
21 中圧タービン
22 第1タービンセクション
23 第2タービンセクション
24 中間過熱蒸気管
25 中間過熱弁
26 給蒸気側
27 中間領域
28 抽気部
29 逆止弁
30 連結管
31 連結弁
32 排蒸気側
33 排蒸気管
34 排蒸気逆止弁
35 シール
35’ シール
39 シール蒸気管
39’ シール蒸気管
40 漏れ蒸気管
40’ 漏れ蒸気管
図1
図2
図3