特許第5969115号(P5969115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969115
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/16 20060101AFI20160728BHJP
   B07B 1/28 20060101ALI20160728BHJP
   B07B 1/42 20060101ALI20160728BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B06B1/16
   B07B1/28 Z
   B07B1/42 A
   B07B1/42 E
   B07B1/46 H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-512468(P2015-512468)
(86)(22)【出願日】2014年4月14日
(86)【国際出願番号】JP2014060584
(87)【国際公開番号】WO2014171416
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年8月31日
(31)【優先権主張番号】特願2013-85055(P2013-85055)
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390015967
【氏名又は名称】株式会社キンキ
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】藤本 真也
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 純一
(72)【発明者】
【氏名】青田 光弘
(72)【発明者】
【氏名】柁山 博章
(72)【発明者】
【氏名】和田 直哉
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−294124(JP,A)
【文献】 特開2007−149084(JP,A)
【文献】 特開2001−25293(JP,A)
【文献】 特開平9−78579(JP,A)
【文献】 特開平11−182414(JP,A)
【文献】 特開平9−38575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/16
B07B 1/28
B07B 1/42
B07B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設した振動発生装置において、前記2本の回転軸を独立して駆動するように電動機を配設するとともに、2本の回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、2本の回転軸のうちのいずれか一方の回転軸への回転駆動力の伝達を中止し、該回転駆動力の伝達を中止した回転軸を、他方の回転軸の回転駆動により発生する振動によって他方の回転軸に連動して連れ回りさせるように回転駆動制御機構を構成して、回転駆動力の伝達を中止する回転軸の選択により振動方向の角度の違いを生じさせるようにしたことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
起動時に2本の回転軸のうちのいずれか一方の回転軸を起動し、該回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、他方の回転軸を起動するように回転駆動制御機構を構成したことを特徴とする請求項1記載の振動発生装置。
【請求項3】
偏芯錘に、矩形状の偏芯錘を用いたことを特徴とする請求項又は記載の振動発生装置。
【請求項4】
潤滑油の貯留部から振動ポンプを介して回転軸の軸受部に潤滑油を供給するようにしたことを特徴とする請求項1、又は記載の振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置に関し、特に、それぞれ偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設した振動発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、振動篩機や振動杭打ち機等において、偏芯錘を備えた回転軸を回転することによって、振動を発生させるようにした振動発生装置が汎用されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
【0003】
ところで、この種の振動発生装置としては、特許文献1に記載されているように、偏芯錘を備えた1本の回転軸からなるものや、特許文献2に記載されているように、偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設してなるもの、さらに、これを複数組備えたものがある。
そして、偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設してなるものは、発生する振動の方向を特定の方向に設定できる、例えば、特許文献2に記載されているものは、水平方向の振動を2本の回転軸間で相殺することにより、鉛直方向にのみ振動を発生させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−300019号公報
【特許文献2】特開平10−18288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設するようにした振動発生装置は、発生する振動の方向を特定の方向に設定できるという利点を有する反面、偏芯錘を備えた2本の回転軸を回転駆動するために、必要とされる電動機の容量や消費電力が増大するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設するようにした振動発生装置の有する問題点に鑑み、必要とされる電動機の容量や消費電力を低減できる振動発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本明の振動発生装置は、それぞれ偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設した振動発生装置において、前記2本の回転軸を独立して駆動するように電動機を配設するとともに、2本の回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、2本の回転軸のうちのいずれか一方の回転軸への回転駆動力の伝達を中止し、該回転駆動力の伝達を中止した回転軸を、他方の回転軸の回転駆動により発生する振動によって他方の回転軸に連動して連れ回りさせるように回転駆動制御機構を構成して、回転駆動力の伝達を中止する回転軸の選択により振動方向の角度の違いを生じさせるようにしたことを特徴とする。
ここで、「2本の回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した(時)」とは、回転軸を起動することにより、電動機の消費電力は急激に立ち上がった後、漸次減少し、回転数が設定した回転数になると、ほぼ一定の値に収束するが、この状態になった時をいう。
【0008】
この場合において、起動時に2本の回転軸のうちのいずれか一方の回転軸を起動し、該回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、他方の回転軸を起動するように回転駆動制御機構を構成することができる。
ここで、「回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した(時)」とは、一方の回転軸を起動することにより、電動機の消費電力は急激に立ち上がった後、漸次減少し、回転数が設定した回転数になると、ほぼ一定の値に収束するが、この状態になった時をいう。
【0009】
また、偏芯錘に、矩形状の偏芯錘を用いることができる。
【0010】
また、潤滑油の貯留部から振動ポンプを介して回転軸の軸受部に潤滑油を供給するようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
明の振動発生装置によれば、それぞれ偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設した振動発生装置において、前記2本の回転軸を独立して駆動するように電動機を配設するとともに、2本の回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、2本の回転軸のうちのいずれか一方の回転軸への回転駆動力の伝達を中止し、該回転駆動力の伝達を中止した回転軸を、他方の回転軸の回転駆動により発生する振動によって他方の回転軸に連動して連れ回りさせるように回転駆動制御機構を構成することにより、電動機の消費電力を低減できる。
【0012】
そして、回転駆動力の伝達を中止する回転軸の選択により振動方向の角度の違いを生じさせるようにすることにより、例えば、振動篩機において、搬送優先の篩分け動作と、篩分け優先の篩分け動作とを選択的に行うようにして、篩分け作業を効率的に行うようにすることができる。
【0013】
また、起動時に2本の回転軸のうちのいずれか一方の回転軸を起動し、該回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、他方の回転軸を起動するように回転駆動制御機構を構成することにより、2本の回転軸を回転駆動するために必要とされる電動機のピークの容量を低減でき、これにより、電動機の消費電力を低減できる。
【0014】
また、偏芯錘に、矩形状の偏芯錘を用いることにより、従来汎用されている半円形状の偏芯錘と比較して、回転軸を起動するために必要とされる電動機のピークの容量を低減でき、併せて、電動機の消費電力を低減できる。
【0015】
また、潤滑油の貯留部から振動ポンプを介して回転軸の軸受部に潤滑油を供給するようにすることにより、別途動力源を設けることなく、振動発生装置により発生する振動を動力源として、回転軸の軸受部に潤滑油を供給することができる。これにより、潤滑油カラーを用いて潤滑油を供給する場合のエネルギ損失がなく、電動機の消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の振動発生装置を適用した振動篩機の一実施例を示す正面図である。
図2】本第1発明の具体的な実施例と、比較例の実験例を示すグラフである。
図3】本第2発明の具体的な実施例を示す説明図である。
図4】電動機の回転数と消費電力との関係を示すグラフである。
図5】振動方向の軌跡と消費電力との関係を示すグラフである。
図6】(a−1)〜(a−3)は各種偏芯錘の形状を示す説明図で、(b)は当該偏芯錘と消費電力との関係を示すグラフである。
図7】振動ポンプを用いて回転軸の軸受部に潤滑油を供給する機構に潤滑油カラーを使用するようにした一例を示す説明図で、(a)は縦断面図((b)のB−B断面図)、(b)は横断面図((a)のA−A断面図)ある。
図8】振動ポンプを用いて回転軸の軸受部に潤滑油を供給する機構に振動ポンプを使用するようにした一例を示す説明図である。
図9】振動ポンプの説明図で、(a)は振動ポンプの断面図、(b−1)は振動ポンプの弁体の平面図、(b−2)は同正面図、(c)は振動ポンプの行程説明図である。
図10】潤滑油カラーと振動ポンプを用いた場合の消費電力の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の振動発生装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1に、本発明の振動発生装置を適用した振動篩機の一実施例を示す。
この振動篩機1は、篩網2上に供給された被処理物Wに篩網2を介して振動を付与して篩分けを行いながら、被処理物Wを搬送するようにしたもので、篩網2に対して振動を付与するために、それぞれ偏芯錘32a、32bを備えた2本の回転軸31a、31bを平行して配設した振動発生装置3を備えるようにしている。
【0019】
そして、この振動発生装置3は、2本の回転軸31a、31bを独立して駆動するように電動機Ma、Mbを配設するとともに、起動時に2本の回転軸31a、31bのうちのいずれか一方の回転軸を起動し、この回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、他方の回転軸を起動するように、回転駆動制御機構(図示省略)を構成するようにしている。
【0020】
ここで、「回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した(時)」とは、一方の回転軸を起動することにより、電動機の消費電力は急激に立ち上がった後、漸次減少し、回転数が設定した回転数になると、ほぼ一定の値に収束するが、この状態になった時をいう。
【0021】
これを、電動機Ma、Mbに、それぞれ誘導電動機を使用し、2本の回転軸31a、31bを独立して逆方向に駆動するようにした、より具体的な実施例に基づいて説明する。
図2に、起動時に2本の回転軸31a、31bのうちのいずれか一方の回転軸31a(実施例1)又は回転軸31b(実施例2)を起動し、この回転軸31a又は回転軸31bの回転駆動状態が定常状態に移行した後、他方の回転軸31b(実施例1)又は回転軸31a(実施例2)を起動するようにした場合と、起動時に2本の回転軸31a、31bの両方を同時に起動した場合(比較例)の消費電力を示す。
なお、図2では、他方の回転軸31b(実施例1)又は回転軸31a(実施例2)の起動を、一方の回転軸31a(実施例1)又は回転軸31b(実施例2)を起動した後、12秒後に行うようにしている。
【0022】
図2からも明らかなように、実施例1及び2は、比較例と比較して、2本の回転軸31a、31bを回転駆動するために必要とされる電動機のピークの容量(消費電力)を低減でき(実施例1及び2の電動機のピークの容量は、比較例の55%程度となる。)、併せて、電動機の消費電力を低減できることが分かった。
【0023】
ここで、2台の電動機Ma、Mbは、同期を取らずに起動しても、発生する振動によって、回転軸31a、31bは自然と所定の相対的な位相状態に同調させることができる。
このため、回転駆動制御機構としては、簡単なリレー回路やタイマー回路を用いて、適当な時間差(本実施例においては、12秒。)をもたせて、2台の電動機Ma、Mbを起動するようにすることができる。
【0024】
一方、この振動発生装置3は、2本の回転軸31a、31bを独立して駆動するように電動機Ma、Mbを配設するとともに、2本の回転軸31a、31bの回転駆動状態が定常状態に移行した後、2本の回転軸31a、31bのうちのいずれか一方の回転軸への回転駆動力の伝達を中止し、該回転駆動力の伝達を中止した回転軸を、他方の回転軸の回転駆動により発生する振動によって他方の回転軸に連動して連れ回りさせるように回転駆動制御機構(図示省略)を構成するようにしている。
【0025】
ここで、「2本の回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した(時)」とは、回転軸を起動することにより、電動機の消費電力は急激に立ち上がった後、漸次減少し、回転数が設定した回転数になると、ほぼ一定の値に収束するが、この状態になった時をいう。
【0026】
これを、電動機Ma、Mbに、それぞれ誘導電動機を使用し、2本の回転軸31a、31bを独立して逆方向に駆動するようにした、より具体的な実施例に基づいて説明する。
図3に、2本の回転軸31a、31bの回転駆動状態が定常状態に移行した後、2本の回転軸31a、31bのうちのいずれか一方の回転軸31b(実施例3)又は回転軸31a(実施例4)への回転駆動力の伝達を中止し(具体的には、2台の電動機Ma、Mbのうちのいずれか一方の電動機Mb(実施例3)又は電動機Ma(実施例4)を停止するようにする。)、回転駆動力の伝達を中止した回転軸31b又は回転軸31aを、他方の電動機Ma又は電動機Mbによる回転軸31a又は回転軸31bの回転駆動によって発生する振動によって他方の回転軸31a又は回転軸31bに連動して連れ回りさせるようにした場合を示す。
【0027】
図3に示すように、振動方向の角度が、2本の回転軸31a、31bの回転駆動状態が定常状態にある場合(水平面に対して45°)と比較して、実施例3の場合、回転駆動力の伝達を中止した回転軸31bが回転駆動している回転軸31aに遅れて連れ回りすることから水平方向に近づき(水平面に対して35°)、実施例4の場合、回転駆動力の伝達を中止した回転軸31aが回転駆動している回転軸31bに遅れて連れ回りすることから鉛直方向に近づく(水平面に対して55°)ことになる。
そして、電動機Ma、Mbの消費電力を、2本の回転軸31a、31bを回転駆動する場合と比較して、15%程度低減できることが分かった。
【0028】
ところで、実施例3及び実施例4の運転方法は、電動機Ma、Mbの消費電力の低減に加え、振動方向の角度の違いによって、振動篩機1の篩分け動作を選択可能とし、これにより、篩分け効率の向上につなげることができる。
すなわち、実施例3の運転方法は、振動方向の角度が水平方向に近づく(水平面に対して35°)ため、定常状態にある場合(水平面に対して45°)と比較して、「搬送力>篩分け力」の篩分け動作となり、一方、実施例4の運転方法は、振動方向の角度が鉛直方向に近づく(水平面に対して55°)ため、定常状態にある場合(水平面に対して45°)と比較して、「篩分け力>搬送力」の篩分け動作となる。
そして、この振動方向の角度による篩分け動作の違いを利用して、例えば、2本の回転軸31a、31bの回転駆動状態が定常状態に移行した後、実施例3の運転方法によって、「搬送力>篩分け力」の搬送優先の篩分け動作を行って、振動篩機1の篩網2上に供給された被処理物Wの搬送を行いながら、定期的に実施例4の運転方法に切り替えて(この場合、必要に応じて、2本の回転軸31a、31bを駆動する運転方法を介在することもできる。)、「篩分け力>搬送力」の篩分け優先の篩分け動作を行って、被処理物Wに篩網2を介して大きな振動を付与して篩分けを行うようにすることができる。
また、実施例4の運転方法は、振動方向の角度が鉛直方向に近づく(水平面に対して55°)ため、篩網2の網目に突き刺さったり、網目を閉塞した被処理物Wを振動により払い落して、篩網2の篩分け機能を維持する機能も備えている。
【0029】
ここで、2台の電動機Ma、Mbは、そのいずれか一方を停止するだけでよいため、回転駆動制御機構としては、簡単なリレー回路やタイマー回路を用いて、2台の電動機Ma、Mbの駆動を制御するようにすることができる。
なお、2台の電動機Ma、Mbのいずれか一方の電動機の停止は、継続的に行っても、又は断続的に行ってもよい。
また、図3に示すように、振動方向の角度が、2本の回転軸31a、31bの回転駆動状態が定常状態にするために、2台の電動機Ma、Mbを同時に起動してもよいが、起動時に2本の回転軸31a、31bのうちのいずれか一方の回転軸を起動し、この回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した後、他方の回転軸を起動するようにしてもよい。
【0030】
ところで、振動方向の角度は、2本の回転軸31a、31bの中心軸を含む面が、水平面となす角度を調節することにより、任意の角度、例えば、水平面に対して45°を挟んで、±15°、±30°に設定することができる。
【0031】
また、発生する振動の周期は、2本の回転軸31a、31bの回転数(具体的には、2台の電動機Ma、Mbの回転数)によって、任意の周期に設定することができる。
ここで、図4に示すように、2台の電動機Ma、Mbの回転数と、消費電力とは、正の相関関係にある。
【0032】
また、発生する振動方向の軌跡は、直線状のほか、2本の回転軸31a、31bに備える偏芯錘32a、32bの重量や偏芯量等に差を設けることによって、楕円状とすることができる。
ここで、図5に示す発生する振動方向の軌跡と消費電力との関係に示すように、直線状よりも楕円状の方が消費電力が小さくなる(回転軸の起動時(ピーク時)で7%程度、回転軸の回転駆動状態が定常状態に移行した時で2%程度。)ことが分かった。
【0033】
偏芯錘には、通常、図6(a−1)に示すような半円形状の偏芯錘や回転軸芯を中心からずらせた円形状の偏芯錘が汎用されるが、図6(a−2)及び(a−3)に示すような、矩形状の偏芯錘を採用することもできる。
そして、表1及び図6(b)に示す、発生する振動の大きさを同じに設定した偏芯錘を用いて行った実験結果から明らかなように、図6(a−2)及び(a−3)に示す矩形状の偏芯錘は、図6(a−1)に示す半円形状の偏芯錘と比較して、回転軸を起動するために必要とされる電動機のピークの容量を低減でき、これにより、電動機の消費電力を低減できることが分かった。
【0034】
【表1】
【0035】
ところで、図7に示すように、この種の振動発生装置においては、偏芯錘32a、32bを備えた回転軸31a、31bの軸受部33a、33bの潤滑のために、偏芯錘32a、32bを収容したケーシング34内に潤滑油Oiを貯留しておき、この潤滑油Oiを、回転軸31bに固定するようにした円筒形状の潤滑油カラー35によって、回転軸31bを回転に合わせて掬い上げるようにして軸受部33a、33bに降りかけるようにしている。
しかしながら、この潤滑方法は、潤滑油カラー35が貯留された潤滑油Oi中を移動する際に抵抗力が発生し、エネルギ損失を生じるという問題があった。
この問題に対処するために、図8に示すように、潤滑油Oiの貯留部41から振動ポンプ42を介して回転軸31a、31bの軸受部33a、33bに潤滑油Oiを供給するようにし、軸受部33a、33bに供給された潤滑油Oiを、ケーシング34及び潤滑油Oi中の異物を除去するストレーナ43を介して、貯留部41に返流させるようにすることができる。
ここで、振動ポンプ42は、図9に示すように、内部に振動を受けることによって移動する弁体42aを備えるようにしたもので、貯留部41に貯留された潤滑油Oiを、振動発生装置3により発生する振動を受けることによって往復動する弁体42aにより強制的に一方から他方に向けて間欠的に送り出して軸受部33a、33bに供給できるものである。
これにより、別途動力源を設けることなく、振動発生装置3により発生する振動を動力源として、回転軸31a、31bの軸受部33a、33bに潤滑油Oiを供給することができる。
そして、図10に示す、潤滑油カラーと振動ポンプを用いる実験結果から明らかなように、振動ポンプを用いた場合、潤滑油カラーを用いた場合と比較して、回転軸を定常状態で回転駆動するために必要とされる電動機の消費電力を低減できることが分かった。
【0036】
以上、本発明の振動発生装置について、振動発生装置を適用した振動篩機の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、本発明の振動発生装置を、偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設したものを複数組備えたものや、この複数組の振動発生装置において電動機を共用するようにしたものに適用できる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の振動発生装置は、偏芯錘を備えた2本の回転軸を平行して配設するようにした振動発生装置において必要とされる電動機の容量や消費電力を低減できる特性を有していることから、振動篩機や振動杭打ち機の用途に好適に用いることができるほか、振動発生装置の用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 振動篩機
2 篩網
3 振動発生装置
31a 回転軸
31b 回転軸
32a 偏芯錘
32b 偏芯錘
Ma 電動機
Mb 電動機
W 被処理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10