(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのタイロッド(16,16’)と関連付けられた前記弾性手段(17)が、前記タイロッド(16,16’)の一端に配置された、請求項1に記載の懸架装置。
前記タイロッド(16)の第1端が、前記くさび形要素(15)に接続され、前記タイロッド(16)が、所定の軸方向拡張を有し、それにより、前記支持リング(3)を通過することができ、かつ、前記弾性手段(17)を収容するハウジング(18)を備え、前記第1の面(10,11)と反対の第2の面(11,10)の近くに前記支持リング(3)の外側に配置されるように適応された第2端とを有する、請求項2に記載の懸架装置。
前記タイロッド(16’)が、その第1端で前記対応する側面構造物(28,29)に一体的に固定され、前記弾性手段(17)が、前記タイロッドの第2端に拘束され、また前記くさび形要素(15’)上に作成されたハウジング(18’)内に配置され、それにより、前記弾性手段(17)が、前記くさび形要素(15’)に直接作用し、したがって前記くさび形要素(15’)を摺動させることができる、請求項2に記載の懸架装置。
前記タイロッド(16,16’)の前記第2端が、前記ハウジング(18,18’)と前記ハウジング(18,18’)に収容された前記弾性手段(17)との両方を通る、請求項3又は5に記載の懸架装置。
前記中央構造物(8’)と前記各くさび形要素(15,15’)の間に、互いに隣接して接合された実質的に球面ボウル形状面を有する1対のスペーサ(71,72)が提供され、前記内側スペーサ(71)が、前記中央構造物(8’)に一体的に固定され、前記外側スペーサ(72)が、前記内側スペーサ(71)と前記くさび形要素(15,15’)との間に挟まれて、その最も外側の平坦面によって、前記くさび形要素(15,15’)の第1の滑り面(23)を規定する、請求項1、3又は5に記載の懸架装置。
前記側面構造物(28,29)と各くさび形要素(15,15’)との間に更なるスペーサ(74,74’)が提供され、前記更なるスペーサが、前記それぞれの側面構造物に一体的に固定され、その前記最も内側の面によって、前記くさび形要素(15,15’)の第2の滑り面(24,24’)を規定する、請求項8に記載の懸架装置。
前記タイロッド(16’)は、その第1端が前記更なるスペーサ(74’)内に固定され、第2端が、前記くさび形要素(15’)の一部分だけを通る、請求項9に記載の懸架装置。
前記第2の懸架装置(8)が、前記第1の軸Xに直角の第2の平面Y−Zと平行に配置され、Zが、第1の平面X−Yに直角の軸であり、前記第1の軸Xと前記第2の軸Yとの交点を横切り、第3の平面X−Zに対して対称的に配置された、請求項11に記載の転換炉。
【背景技術】
【0002】
酸素転換炉の主な目的は、溶鉱炉内で生成された鋳鉄を未精製の溶鋼に転換することであり、溶鋼は、次に二次鉄鋼生産部門で精製されうる。
【0003】
酸素転換炉の主な機能は、B.O.F.(塩基性酸素転換炉)としても知られ、鋳鉄から脱炭し燐を除去し、鋳造前に鋼の加熱と冷却が最小の状態で更なる処理が行われるように鋼の温度を最適化することである。
【0004】
転換炉内で生じる発熱酸化反応は、鋼を所定の温度にするのに必要なものより多くの熱エネルギーを生成する。この過剰な熱は、鉄鋼材屑鉄及び/又は添加物を溶かすために使用される。B.O.Fは、実質的に炉であり、したがって熱膨張を受ける。
【0005】
転換炉は、容器からなり、その容器は、反応炉を定義し実質的に筒状形を有し、トラニオンリングによって支持された容器から成り、トラニオンリングは、容器を取り囲み容器から適切に離され、2本の直径方向に正反対の支持ピン又はトラニオンを備え、トラニオンは全て、地面に留められた2本の支持体によって支持される。容器の回転制御部は、トラニオンのうちの1つに適合される。
【0006】
先行技術の酸素転換炉の例は、特許文献1に記載されている。容器は、1つの外側支持リングと複数の懸架装置とによって支持され、懸架装置はそれぞれ、容器に溶接された第1の構造物と、支持リングにボルト締めされた第2のT形構造物とを有する。組み立て段階で2つの構造物の調整を可能にするシムが、容器に溶接された構造物とリングに固定されたT形構造物との間の境界に提供されうる。
【0007】
動きは、懸架装置の前記2つの構造物の間で水平面上に作り出され、口が上向きの状態の垂直位置の転換炉を考えると、容器と支持リングの熱膨張(炉内に生じる高温による)と、その結果として、接続された各構造物の熱膨張のために、前記動きによって隙間が生じるか、2つの構造物間に圧縮がある場合には、可撓な圧力により部品の過負荷が生じる。
【0008】
2つの構造物の間に隙間ができると、容器が、支持リングに対して動くようになるので、不安定になり(特に、その回転中)、懸架装置の構造物が、転換炉のどちらかの側に重なり、構造物全体に脈動負荷が生じ、内部で生じる反応の結果として起こる揺れにより振動が起こる。
【0009】
代わりに、2つの構造物の間に圧縮がある場合、冷却の際に永久的なシム又は容器の変形が起こることがある。
【0010】
特許文献2に開示された更なる転換炉は、1つの外側支持リングと複数の懸架装置とによって支持され、懸架装置はそれぞれ、容器に固定された第1のアンカと、支持リングに直接固定された第2のアンカとを有する。転換炉の組み立て工程でねじによって固定されたくさび形シムは、転換炉の組み立て工程で懸架装置のみの調整を可能にし、2つのアンカ間の境界に提供される。またこの場合、内部で起こる反応の結果として起こる揺動によって生じる振動と共に構造全体に脈動負荷が生じ、シム又は容器の変形が、後で冷却時に永久的になる。
【0011】
また、転換処理中に達する高温によって生じる容器の変形又は熱膨張を適切に許容するためには、容器と支持リングとの調心が重要である。
【0012】
したがって、前述の欠点を克服できる転換炉容器を傾動するための懸架装置及びそれぞれの傾動転換炉を作成する必要があると思われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主な趣旨は、傾動転換炉容器用の懸架及び調心装置を作成することであり、懸架及び調心装置は、前記容器をその支持リングに接続し、これらの両方が、熱膨張を補償し、容器と支持リングとそれぞれの摺動シューとの間に隙間ができるのを防ぎ、容器に固定された装置の部分と支持リングに固定された装置の部品との間の境界ゾーンにおける過負荷を防ぐことである。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、水平及び垂直懸架システムを含む容器懸架システムが、転換炉の全ての動作段階で容器と支持リングとの間の隙間なしに正確な調心を維持できる傾動転換炉を作成することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、懸架システムが溶融工程によって引き起こされた振動を吸収できる転換炉を作成することである。
【0017】
したがって、本発明は、傾動転換炉用の懸架装置を作成することにより上記の目的を達成することを提案し、懸架装置は、請求項1によれば、転換炉の容器に固定されるように適応された中央構造物と、前記中央構造物の第1の側に配置され、容器の支持リングの第1の面に固定されるように適応された第1の側面構造物と、第1の側と反対の前記中央構造物の第2の側に配置され、支持リングの前記第1の面に固定されるように適応された第2の側面構造物とを含み、2つのくさび形要素が提供され、各くさび形要素が、中央構造物とそれぞれの側面構造物との間に配置され、中央構造物とそれぞれの側面構造物の2つの滑り面上で滑るように構成され、各くさび形要素が、接続された少なくとも1つのタイロッドによって交差され、前記少なくとも1つのタイロッドに関連付けられた弾性手段、又は固有弾性を有する前記少なくとも1つのタイロッドが、くさび形要素の一定のウェッジングを生成するように構成され、それにより、懸架装置が、容器と支持リングに取り付けられたとき、転換炉の動作中に中央構造物と側面構造物と間に生じた膨張が変化したときに懸架装置の自動調整が行われる。
【0018】
本発明の別の態様は、傾動転換炉に関し、傾動転換炉は、請求項11によれば、第1の軸Xを定義する容器と、前記容器と同軸でかつ前記容器から離間された支持リングであって、第1の軸Xに直角の第2の軸Yを定義し、転換炉が前記第2の軸のまわりに回転することを可能にするように適応された直径の反対側の2つの支持ピンを備えた支持リングと、前記容器を前記支持リングに接続する懸架装置とを有し、第1の懸架装置が提供され、第1の懸架装置が、第1の軸Xと平行に配置された組の弾性バーを含み、前記組のバーが、実質的に、前記支持リングに沿って互いから等しく離間され配置され、請求項1による少なくとも1対の第2の懸架装置が提供され、中央構造物が、容器に固定され、第1の側面構造物が、支持リングの第1の面に固定され、第2の側面構造物が、前記第1の面に固定され、前記第2の懸架装置がそれぞれ、それぞれのトラニオンの第1の平面X−Yに対して横方向に配置される。
【0019】
本発明の主題である懸架装置は、転換炉が湯出し位置をとるときに、転換炉に対して水平方向の支持を提供し、即ち荷重を支持するように設計されている(
図9)。そのような水平懸架装置は、少なくとも1つのそれぞれのタイロッドとばねによって常に圧縮された状態を維持するくさび形要素の存在によって膨張を補償する新規な構造物を有し、その結果、これらのくさび形要素は、装置の容器に固定された部分と支持リングに固定された部分とにそれぞれ関連付けられた滑り面又はガイドブロック上を支持リングの方に滑り、懸架装置の前記部分の間に過度な圧縮負荷がある場合は、リングに固定された部分と懸架装置に固定された部分との間の隙間又は後ろの残留スペースを埋める。
【0020】
このようにして、本発明の懸架装置が、容器と支持リングに取り付けられたとき、懸架装置は、転換炉の動作中に装置の中央構造物と側面構造物との間、即ち、転換炉と支持リングとの間に生じた膨張が変化したときに、自動的に調整される。
【0021】
本発明の懸架装置の第1の有利な実施形態では、くさび形要素が、ウェッジング状態に維持され、即ち、支持リング全体と交差する少なくとも1つのそれぞれのタイロッドによって圧縮された状態に維持される。転換炉の垂直構成(即ち、転換炉の口が上向きの状態)を考えると、タイロッドの第1端が、支持リングの下(
図1)又は上(
図3と
図4)に提供されたくさび形要素に拘束され、一方、弾性手段を含むハウジングを備えたタイロッドの第2端が、支持リングの上(
図1)又は下(
図3と
図4)に配置される。装置は、組み立て段階で適切に事前に装着された弾性手段が、タイロッドの第2端に作用し、その結果として、容器と支持リングの間に隙間ができた場合にそれぞれのくさび形要素を摺動するように構成される。
【0022】
本発明の懸架装置の第2の有利な実施形態では、各タイロッドが、その第1端で、懸架装置の対応する側面構造物に一体的に固定され、弾性手段が、タイロッドの第2端に拘束され、くさび形要素の凹部内に提供されたハウジング内に位置決めされ、それにより、弾性手段が、くさび形要素に直接作用して、容器と支持リングとの間に隙間ができた場合にくさび形要素を摺動させてウェッジングさせる。
【0023】
2つのくさび形要素が、本発明の各懸架装置に関して、容器に固定された構造物とリングに固定された構造物との間の各境界に1つ提供されることが好ましく、各くさび形要素は、2つのタイロッドによって交差される。
【0024】
傾動転換炉の実施形態は、
−本発明による、転換炉を水平支持するための少なくとも2つの懸架装置であって、それぞれ、支持リングの上又は下に、それぞれの支持ピンの近くに配置された懸架装置と、
−転換炉を垂直方向に支持するために、即ち、転換炉が、口が上向き又は下向きの状態の容器を有するときに、固定端構成で提供される4組の弾性バーとを含むことが好ましいが、必ずしもこれらを含むことに限定されない。
【0025】
転換炉の変形物は、
−本発明による、転換炉を水平方向に支持するための4つの懸架装置であって、第1対のそのような装置が、支持リングの上に配置され、第2対が、前記リングの下に配置された懸架装置と、
−転換炉を垂直方向に支持するために固定端構成で提供された4組の弾性バーとを含む。
【0026】
弾性バーの組は、2本〜6本の可変数のバー、好ましく4本のバーを含む。
【0027】
得られた転換炉の構造物は、全体として、小型で、堅牢で、炉又は転換炉の動作条件に適応可能である。
【0028】
弾性手段は、例えば、熱応力が存在する状態でも機械的張力を一定に維持しかつきわめて小さいスペースで大きな力を解放することを可能にするベルヴィルワッシャである。あるいは、竹の子ばね、円形又は四角形断面ワイヤのつる巻きばね、又はこの目的に適した任意の他のタイプのばねが、使用されうる。
【0029】
本発明の全ての実施形態において、弾性手段は、ばねの代わりに、くさび形要素と交差する同じタイロッドによって構成されてもよい。これらの場合、タイロッド自体の弾性が、やはり熱応力が存在する状態で機械的張力を一定に維持し、またきわめて小さいスペース内でも高い力を解放することを可能にする。したがって、タイロッドの弾性は、くさび形要素のウェッジングを維持し、即ち、前記くさび形要素の一定のウェッジングを生成して前記くさび形要素が圧縮された状態を維持する。
【0030】
詳細には、本発明の目的の転換炉の懸架装置は、
−容器の熱膨張を容易に吸収することができ、
−隙間の一定の補償の長所として、酸素を容器に吹き込んでいる間に生成される振動を有効に吸収し、
−回転の初めと終わりに容器の慣性によって生成される力を効果的に吸収し、
−あらゆる傾斜条件で容器を支持リングに対して中心に高精度で維持し、
−組み立てがきわめて簡単であり、
−機械的部品の過荷重を引き起こさずに構造物の不規則な膨張をさえ可能にするという利点を有する。
【0031】
容器と支持リングとの優れた調心は、転換処理中に達した高温によって引き起こされる容器の熱膨張を、容器と支持リングとの間の干渉なしに可能にする。
【0032】
本発明の目的の転換炉の懸架装置は、更に、あらゆる転換炉の共通要件、即ち、突出部を有する転換炉の構造全体が、円(
図1)内に示されたように構成されなければならず、その半径が、転換炉を含むプラントの配置要件によって決定されるという共通要件を満たすことを可能にする。
【0033】
従属クレームは、本発明の好ましい実施形態について述べる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図内の同じ参照番号は、同じ要素を示す。
【0037】
図1〜
図10は、全体が参照数字1によって示され、本発明の目的の転換炉を水平支持するための懸架装置の第1の実施形態を含む傾動転換炉を示す。
【0038】
この転換炉1は、
−軸Xを規定し、屑鉄及び液体鋳鉄の投入口4を備え、また転換工程の終わりに得られた溶鋼の横湯出し口5を備える容器又はタンク2と、
−容器2を支持するための支持リング3であって、容器2に同軸に配置され容器2から適切に離された支持リング3と、
−トラニオンとして知られ、互いに直径の反対側に配置され、軸Xに直角な軸Yを規定する前記支持リング3の2本の支持ピン又は傾動ピン6であって、その少なくとも1本が、傾動機構(図示せず)に接続された支持ピン6と、
−容器2を支持リング3に接続し、また容器とリングとの間で調心機能も行う懸架装置7,8とを有する。
【0039】
転換炉の「赤道」と見なされうる平面Y−Zと、平面X−Zは、両方とも平面X−Yに直角であり、平面X−Yに直角な軸として更なる軸Zを規定し、かつ軸X及びYの交点を通るように識別される。
【0040】
容器2は、
図1と
図4の非限定的な例において、円筒形中央ゾーン20と2つの円錐台形ゾーン21,22とを含み、円錐台形ゾーンがそれぞれ、前記円筒形中央ゾーンの側面に配置される。第1の円錐台形ゾーン21の一端が、前記中央円筒形ゾーン20に溶接され、他端が、容器の投入口4を含む。第2の円錐台形ゾーン22は一端が、第1の円錐台形ゾーン21と反対側で、前記円筒形中央ゾーン20に溶接され、他端が、容器2の底2’を含む。
【0041】
容器の他の例には、前記第2のゾーン内の円錐台以外の形状(例えば、球面ボウル形状又は他の適切な幾何学形状)がありうる。
【0042】
支持リング3は、容器2の中央ゾーン20に配置され、空洞であり、好ましくは矩形断面を有する。リング3は、容器の投入口4を含む部分の方に向いた第1の面10と、面10と反対側で、容器2の底2’を含む容器2の部分に向いた第2の面11と、容器の中央部に向いた第3の内側面と、内側面と反対の第4の外側面とを有する。
【0043】
好ましくは、転換炉1は、本発明の第1の変形物により、転換炉を水平方向に支持するように設計された少なくとも2つの懸架装置8を備える。
【0044】
そのような懸架装置8は、
−転換炉1の容器2に、例えば溶接によって固定された中央構造物8’と、
−前記中央構造物8’の第1の側に配置され、容器の支持リング3の第1の面10(
図3と
図4)又は11(
図1)に、例えば溶接によって固定された第1の横構造物28と、
−第1の側面と反対の、前記中央構造物8’の第2の側に配置され、支持リング3の前記第1の面10(
図3と
図4)又は11(
図1)に、例えば溶接によって固定された第2の側面構造物29とを有する。
【0045】
側面構造物28及び29は、中央構造物8’に関して実質的に対称に配置される。
【0046】
好ましくは、2つのくさび形要素15、又は単にくさび15が提供され、各くさび15は、中央構造物8’とそれぞれの側面構造物28,29との間に配置され、また中央構造物8’とそれぞれの側面構造物28,29にそれぞれ接続された滑り面23,24上で滑るように構成されている。
【0047】
実質的に球面ボウル形で互いに隣接した接合面を有する1対のスペーサ71,72が、中央構造物8’と各くさび15との間で提供される(
図2c)。内側スペーサ71が、中央構造物8’の側面75に、例えばピン73によって一体的に固定される。外側スペーサ72は、内側スペーサ71とくさび15の表面との間に自由に配置される。外側スペーサ72は、平面X−Yに関して最も外側の平坦面と共に、中央構造物8’の側面75に平行なくさび15の第1の面26の滑り面23を規定する。スペーサ72の最も内側の面は、凹形を有し、スペーサ71の凸形の最も外側面と完全に結合する。そのようなスペーサ72は、組み立て工程でスペーサ71とくさび15の間にロックされ、球面ボウル形面間を結合して位置を維持し、その座面から外れないようする。
【0048】
詳細には、前記滑り面23は、くさびが摺動し容器2の膨張を吸収することを可能にする。代わりに、スペーサ71及び72の球面ボウル形接合面の結合は、容器がリングから外れる可能性がある容器の動きを吸収することを可能にする。
【0049】
側面構造物29に、例えばねじによって一体固定された更なるスペーサ74が、側面構造物29と各くさび15との間に提供される(
図2c)。スペーサ74は、平面X−Yに対してその最も内側の平坦面と共に、くさび15の第2の面27のための滑り面24を規定し、滑り面24は、前記第1の面26に対して、好ましくは10〜20°、好ましくは約15°と等しい所定の角度αで傾けられる。
【0050】
詳細には、滑り面24に面したくさび15の面27は、前記スペーサ74を横方向に区切る側面突出部25によって区切られ、それにより、前記スペーサ74は、くさびを滑らせるガイドとして働く。
【0051】
好ましくは、各くさび15は、接続された少なくとも1本のタイロッド16、好ましくは
図2bに示されたような2本のタイロッド16と交差し、タイロッド16は、実質的に軸Xに平行な縦軸を規定する。タイロッド16は、軸Xに平行な方向に沿ってくさび15と完全に交差する。
【0052】
タイロッド16の第1端は、組み立て工程で、例えばワッシャと締め付けナットとによってくさび15に拘束され、タイロッド16は、支持リング3全体とも交差するように所定の軸方向拡張部を有する。
【0053】
タイロッド16の第2端は、実際には、第1の面10(
図4)又は11(
図1)と反対側の第2の面11(
図4)又は10(
図1と
図2d)の近くの支持リング3の外側に配置される。
【0054】
前記第1の実施形態の第1の変形物では、タイロッド16の前記第2端が、弾性手段17を含む円筒形ハウジング18によって取り囲まれ、組み立ての工程中に締め付けナット76によって適切に事前に装着される。ハウジング18は、その基部でリング3の面10(
図1)又は11(
図4)に固定される。
【0055】
タイロッドの前記第2端は、ハウジング18とハウジング18に含まれる弾性手段17の両方と交差する。ハウジング18の可動塞ぎ板19が提供され、弾性手段17とタイロッドの第2端の締め付けナット76との間に配置され、それにより、懸架装置8の中央構造物8’と側面構造物28,29との間に隙間が生じたとき、組み立て工程中に事前に装着された弾性手段17が、板19への作用によって拡張し、タイロッド16の並進運動を可能にし、その結果、くさび形要素15をリング3の方(第1の方向)に摺動させることができる。
【0056】
他方、中央構造物8’と側面構造物28,29の一方との間に圧縮過負荷が生じたとき、くさび15、及びしたがってタイロッド16は、前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動しやすく、板19は、ハウジング18内で弾性手段17を押す。弾性手段17は、例えば、ベルヴィルワッシャ、円形若しくは正方形断面ワイヤによる竹の子ばね又はつる巻きばね、又は熱応力が存在する状態で機械的張力を一定に維持し、きわめて小さいスペースで大きな力を解放することを可能にするのに適切な他のタイプのばねを含む。
【0057】
したがって、懸架装置8のくさび15は、圧縮されたままになり、それにより、転換炉の動作中に中央構造物8’と側面構造物28,29との間、即ち容器2と支持リング3との間に生じる膨張が変化したときに、懸架装置が、自動的に調整される。
【0058】
前記第1の実施形態の第2の変形物では、懸架装置8のくさび15を圧縮されたままにする弾性手段は、ばねを含まないが、その代りに、くさび15と交差するタイロッド16自体によって規定される。そのような場合、タイロッド自体の弾性が、熱応力がある状態でも機械的張力を一定に維持し、かつきわめて小さいスペースで高い力を解放することを可能にする。したがって、タイロッド16の弾性は、くさび形要素を圧縮された状態に維持する。
【0059】
図11〜
図14は、全体が参照数字1’によって示され、本発明の目的の転換炉を水平支持するための懸架装置の第2の実施形態を含む傾動転換炉を示す。
【0060】
この転換炉1’は、容器の底を含む転換炉2のゾーン22’が球面ボウル形であり円錐台ではないことを除き、前述の転換炉1の全ての特徴を含む。また、この場合、容器のゾーン22’は、あるいは、任意の適切な幾何学形状を有しうる。
【0061】
好ましくは、転換炉1’は、本発明の第2の変形物にしたがって転換炉を水平方向に支持するように設計された少なくとも2台の懸架装置8を備える。
【0062】
そのような懸架装置8は、
−転換炉1の容器2に、例えば溶接によって固定された中央構造物8’と、
−前記中央構造物8’の第1の側に配置され、容器の支持リング3の第2の面11に、例えば溶接によって固定された第1の側面構造物28と、
−第1の側の反対側の前記中央構造物8’の第2の側に配置され、リング3の前記第2の面11に、例えば溶接によって固定された第2の側面構造物29とを含む。
【0063】
側面構造物28及び29は、中央構造物8’に関して実質的に対称に配置される。
【0064】
好ましくは、2つのくさび形要素15’、又は単にくさび15’が提供され、各くさび15’は、中央構造物8’とそれぞれの側面構造物28,29との間に配置され、中央構造物8’及びそれぞれの側面構造物28,29にそれぞれ接続された滑り面23,24’上で滑ることができるように構成される。
【0065】
実質的に球面ボウル形で互いに隣接し結合された面を有する1対のスペーサ71,72が、中央構造物8’と各くさび15’との間に提供される(
図14)。懸架装置の第1の実施形態に関して示された説明は、これらのスペーサ71,72にも当てはまる。
【0066】
また、この変形物の場合、滑り面23は、特に、容器2の膨張を吸収することができる。代わりに、スペーサ71及び72の球面ボウル形結合面を結合することにより、容器をリングから外す可能性のある容器の動きを吸収することができる。
【0067】
側面構造物29に、例えばねじ80によって一体的に固定された更なるスペーサ74’が、側面構造物29と各くさび15’との間に提供され(
図14)、スペーサ74’は、平面X−Yに対して最も内側の平坦面により、くさび15’の表面27’のための滑り面24’を規定し、滑り面24’は、滑り面23上を滑るくさび15’の面26に対して、好ましくは10〜20°、好ましくは約15°の所定の角度αで傾けられる。
【0068】
詳細には、くさび15’の面27’は、滑り面24’に面し、スペーサ74’を横方向に区切る側面突出部25’によって区切られ、それにより、前記スペーサ74’は、くさび15’を摺動させるためのガイドとして働く。
【0069】
好ましくは、各くさび15’は、接続された少なくとも1つのそれぞれのタイロッド16’、好ましくは
図14aに示されたような2つのタイロッド16’によって交差され、タイロッド16’は、縦軸を規定し軸xと実質的に平行である。タイロッド16’は、この変形例では、くさび15’の厚い方の部分の突出部81だけと交差し(
図14)、くさび15’全体ではない。
【0070】
タイロッド16’は、その第1端がスペーサ74’(
図14、
図14a、
図14b)内で固定端構成で提供され、したがって、対応する側面構造物28又は29に一体的に固定される。
【0071】
前記第2の実施形態の第1の変形物では、弾性手段17は、タイロッド16’の第2端に接続され、くさび15’の突出部81の凹部に設けられたハウジング18’内に位置決めされる。弾性手段17は、組み立て工程で事前に装着され、タイロッドの前記第2端は、円筒形ハウジング18’及びそこに含まれる弾性手段17の両方と交差する。
【0072】
ハウジング18’の固定塞ぎ板19’は、弾性手段17とタイロッドの第2端の締め付けナット76’との間に配置され、それにより、タイロッドに固定された弾性手段17は、拡張してくさび15’に作用し、支持リング3の表面11に向いた第1の方向の摺動を決定する。これは、中央構造物8’と懸架装置8の側面構造物28,29との間に隙間ができたときに起こる。
【0073】
逆に、圧縮過負荷が、中央構造物8’と側面構造物28,29の一方との間に生成されたとき、くさび15’は、前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動しやすく、それにより、弾性手段17をハウジング18’内の固定板19’に押し付ける。弾性手段17は、例えば、ベルヴィルワッシャ、円形若しくは正方形断面ワイヤを有する竹の子ばね又はつる巻きばね、又は熱応力がある状態で機械的張力を一定に維持し、またきわめて小さいスペースで大きな力を解放することを可能にするのに適切な他のタイプのばねを含みうる。
【0074】
したがって、この第2の実施形態でも、懸架装置8のくさび15’は、圧縮された状態に維持され、それにより、懸架装置は、転換炉の動作中に、転換炉の動作中の中央構造物8’と側面構造物28,29との間、即ち容器2と支持リング3との間に生成される拡張部が変化するとき自動的に調整される。
【0075】
前記第2の実施形態の第2の変形物では、懸架装置8のくさび15’を圧縮された状態に維持する弾性手段は、ばねを含まないが、代りに、くさび15’と交差するタイロッド16’自体によって規定される。そのような場合、タイロッド自体の弾性が、熱応力が存在する状態でも機械的張力を一定に維持し、きわめて小さいスペースでも高い力を解放することを可能にする。したがって、タイロッド16’の弾性は、くさび形要素を圧縮された状態に維持する。
【0076】
好ましくは、本発明の目的の懸架装置8の両方の実施形態では、くさび15,15’によって規定される角度αは、摩擦角より大きく、それにより、容器に固定された部分と支持リングに固定された部分との間の隙間を補償するか又はそこに生じるうる圧縮過負荷を防ぐことを如何なる状態でも可能にするくさびの自由な摺動が常にできる。容器の重量から生じる荷重が、タイロッド16,16’と弾性手段17に完全にかかるのを防ぐので、転換炉が90°回転されたとき(
図9の位置)にはいかなる場合でも摩擦の働きは不可欠である。
【0077】
更なる利点は、本発明の転換炉では、その全ての実施形態において、転換炉を垂直支持するための懸架装置7は、固定端構成で提供され第1端が容器2に拘束され第2端が支持リング3に拘束された長手方向バー7’である。バー7’は、相対的に移動する部品の存在を防ぐために端にロックされ、また磨耗を受ける部品がないので、保守作業がなくなるか、少なくともかなり減少する。バー7’は、タイロッド又は支柱として働き、バーの長さの均一性の欠如を補償するように調整可能であり、それにより、組み立ての際に適正な位置決めが保証される。
【0078】
前記バーは、膨張を吸収する弾性支持手段として働くように適切に寸法決めされる。
【0079】
前記軸方向バー7’は、円形断面を有することが好ましい。しかしながら、設計されたバーの軸方向膨張により、他の断面形状が提供されてもよい。
【0080】
バー7’は、高い降伏強度を有するばね鋼又は類似の弾性特性を有する他の適切な鋼などの高合金鋼で作成されると有利である。更に、バーは、熱処理されてもよく(例えば、使用される鋼の種類により焼き入れ、焼き戻し又は溶体化熱処理によって)、表面コーティング(例えば、ニッケル、クロム、又は他の適切な元素に基づく)が施されてもよい。使用される高品質材料は、機械的応力だけでなく、酸素転換炉の状況できわめて重要な酸化にもよく耐えることを可能にする。
【0081】
図3と
図12に関して、本発明の転換炉の有利な構成は、
−軸Xと平行で、かつある組と次の組の間が等しい角距離(90°)で配置された4組の弾性バー7’と、
−1対の懸架装置8であって、それぞれの支持ピン6に、平面Y−Zに平行なそれぞれの平面上で平面X−Zに対して対称的に配置された懸架装置8とを含む。
【0082】
各懸架装置8は、2組の弾性バー7’の間に含まれるスペース内に提供され、リング3の第1の面10の近くに配置される(
図3)。あるいは、各懸架装置8は、リングの第2の面11の近くに配置されてもよい(
図1と
図11)。
【0083】
4組の弾性バー7’は、2対の組のバー7’が、平面X−Yに関して互いに対称的に配列されるように配置される。
【0084】
転換炉の別の有利な構成(図示せず)は、2対の懸架装置8を含み、第1対の懸架装置8が、平面Y−Zの第1の側に配置され、第2対の懸架装置8が、平面Y−Zの第2の側に配置される。更に、懸架装置8は、平面X−Zに関して対称的に配置される。垂直位置の転換炉を検討すると、バー7’が、垂直位置に配置され、懸架装置8は、水平位置に配置される。バー7’は、平面Y−Zと直角に交差する。その代りに、懸架装置8が、平面Y−Zと平行でかつ平面X−Yと交差する。詳細には、1対の懸架装置8が、平面Y−Zの第1の側(即ち、転換炉が垂直又は直線位置にあるときは平面Y−Z及び支持リング3の上)に配置され、別の1対の懸架装置8(図示せず)が、平面Y−Zの第2の側(即ち、転換炉が垂直又は直線位置にあるときは平面Y−Z及び支持リング3の下)に配置される。
【0085】
図に示された変形物では、4本のバーをそれぞれ含む4組の弾性バー7’が、互いに90°で配置されて、アイソスタシバランス(即ち、各組の弾性バーに負荷が均一に分散した)を提供する。
【0086】
特に高荷重の場合には、弾性が低くなるように軸方向弾性バーを太く設計する代わりに、バーの数が増やされうる。また、これらの組のバー7’は、実質的に、アイソスタシバランスを提供し続けるように互いに90°で配置される。細いバーの数が多いほど負荷を最適に分散させることができ、同時にバーの適切な弾性が維持される。
【0087】
懸架装置7,8は全て、平面図では実質的に周囲に沿って配置される(
図3と
図12)。したがって、懸架装置7,8は、実質的に円筒の側面に沿って配置される。
【0088】
懸架装置7の弾性バー7’は、一端が、締結支持体14にロックすることによって容器2に拘束される。その代りに、弾性バー7’は、他端が、支持リング3の第1の面10に直接ロックすることによって拘束される。拘束は、固定端構成(固定端ビーム)である。締結面14(容器2に溶接されているかボルト締めされているかに関わらず)と、リング3の第1の面10は両方とも、弾性バー7’が挿入されるスルーホールを有し、そのようなバーの端は、ねじ切りされ、支持体14上にロックされ、後述する自己整合ロックシステム及びナットによって、リングの第1の面10にロックされる。弾性バー7’は、その少なくとも一端で、必要に応じてそれぞれのバー7’の通路を区切る機能を有するそれぞれのスリーブ内で、リング3の空洞を横切る。好ましくは、各組の弾性バー7’に単一の締結支持体14が提供されうる。
【0089】
図1と
図11(垂直位置の転換炉)に関して、弾性バー7’は、支持リング3の下(即ち、平面Y−Zの下)の位置で容器2に固定され、一方、第1の面10の真上(即ち、平面Y−Zの上)でリング3に固定される。
【0090】
2本の支持ピン6は、少なくとも1つの傾動機構によって操作され、軸Yのまわりの転換炉の回転を可能にする。
【0091】
転換炉は、通常、投入口4が上向きの垂直位置の第1の位置(
図1)から、垂直40に対して約30°傾けられた第2の位置(
図8)まで、支持ピン6の回転によって通る。
図8の位置では、鋳鉄と屑鉄が、口4から装填される。転換炉は、装填後に
図1の第1の位置に戻る。1つ又は複数のランスが、口4から容器に導入され、酸素を所定の期間吹き込み、炭素濃度を大幅に下げ、硫黄や燐などの不純物の濃度を下げる。液体粗鋼への転換が完了した後で、転換炉は、支持ピン6の前記回転方向の回転によって、
図1の第1の位置から、垂直40に対して約90°傾いた第3の位置(
図9)に進む。この第3の位置で、溶鋼が、湯出し口5から湯出しされる。
【0092】
図に示された本発明の全ての変形物において、容器2、液体鋳鉄、及び屑鉄の重量の合計によって決定される荷重が、支持リング3、弾性バー7’、懸架装置8、傾動ピン6、及びそれぞれの支持体によって地面に解放される。
【0093】
詳細には、弾性バー7’と懸架装置8の構成は、容器2の任意の傾きで重量を吸収することを可能にする。
【0094】
弾性バー7’は、転換炉が垂直に対して0°の傾斜角度でタイロッドとしてのみ働き、一方、180°の傾斜角度では支柱としてのみ働き、0°〜180°の様々な角度ではタイロッドと支柱の両方として徐々に働く。
【0095】
図10に示された180°の傾斜角度の位置は、投入口4が下向きの状態で、空になった後の容器の洗浄操作のために提供される。
【0096】
懸架装置8は、容器の最適な支持、安定性及び剛性を保証する。前記懸架装置8の主な目的は、90°傾けられたとき(湯出し位置、例えば、
図9)に軸Yと交差する方向に容器の重量を支持し、他の全ての状態で負荷構成要素を転換炉の軸Xに直角に支持することである。これらの荷重は、主に、滑り面23によって吸収され、これにより、特に、容器2の膨張を吸収することができる。
【0097】
懸架装置8は、また、溶鋼の湯出し段階のために転換炉が90°傾けられたときに水平面上の動作/振動を防ぐ機能を提供する。
【0098】
一般に、弾性バー7’上の荷重は、転換炉が垂直位置のときの最大値から、転換炉が水平位置にあるゼロ値まで徐々に変化し、一方、懸架装置8上の荷重は、転換炉が水平位置から垂直位置になるときにゼロから最大値に徐々に変化する。
【0099】
軸Yに関する転換炉の回転で生じるモーメントは、前述の懸架装置7及び8の実施形態によって完全に吸収される。スペーサ71及び72の球面ボウル形接合面の結合は、リングに対する容器の逸脱を引き起こす可能性のある容器の動作を吸収することを可能にする。
【0100】
更なる利点は、全ての軸方向弾性バー7’が、固定端構成で拘束され、軸方向閉鎖と不整合を補償するために2つの端部支持体に革新的な自己整合ロックシステムを備えることである。
【0101】
締結支持体14と支持リング3の内面と外面は両方とも、一般に、低精度工作機械を使用して作成されるので、きわめて近似的な並列公差及び/又は形状不規則を有する機械加工誤差を示す。このため、バー7’の端部支持体の休止する平面は、完全には平行ではないので、したがって収束してしまう。
【0102】
例えば、バー7’(
図4aと
図4b)の端部を検討すると、第1の端部支持体60(
図4a)の外側静止面10と内側静止面10’は、支持リング3に属し、互いに完全に平行でないことがあり、ロック要素の静止面を不連続にし、タイロッドの耐磨耗性と安定性に有害な隙間が生じる。第2の端部支持体60’(
図4b)の外側40及び内側40’は、締結支持体14の一部分であり、機械加工誤差又は形状不規則を呈することがある。更に、端部支持体60の外側面10と端部支持体60’の外側面40との間に距離の誤差があることがある。
【0103】
本発明の転換炉の懸架装置7の各タイロッド又は支柱は、
−ねじ切り端47及び48を備えた軸方向弾性バー7’と、
−バーの端をそれぞれの端部支持体60,60’にロックするロック要素と、
−端部支持体60’に固定端タイロッド構成で配置された1対のフランジ又は静止シム44,45とを有し、前記端部支持体60’が2つのフランジ44,45に間に配置される。
【0104】
軸方向バー7’(
図4a、
図4b、
図5)は、一方の側が肩部52によって区切られ他方の側が中間ねじ部分49によって区切られた中心部分46と、軸Xに沿って相互に異なる軸方向拡張部を有する2つの側面部分50,51とを有する。
【0105】
側面部分50は、ねじ切り端47と対応する肩部52との間に配置され、端部支持体60(
図4a)に設けられた孔70の軸方向拡張と実質的に等しい軸Xに沿った軸方向拡張を有する。側面部分50の直径は、隣接ねじ切り端47より小さい。
【0106】
代わりに、側面部分51は、ねじ切り端48と前記ねじ切り中間部分49との間に配置され、側面部分50の軸方向拡張より長くかつ、それぞれの端部支持体60’と2つのフランジ44,45にそれぞれ設けられた3つの孔80、90、90’(
図4b)の軸方向拡張の合計より少し長い軸Xに沿った軸方向拡張を有する。側面部分51の直径は、隣接したねじ切り端48及び中間ねじ部分49の直径より小さい。
【0107】
ロック要素は、バー7’の各端に、
−2対のスペーサ42,43、及び42’,43’であって、好ましくは、実質的に球面ボウルの環状部分の形状の接合面53,54及び53’,54’と互いに接合された2対のスペーサ42,43及び42’,43’と(
図6と
図7)、
−少なくとも2つの締め付けナット41とを有する。
【0108】
固定端タイロッド構成では、各端部支持体に、
−それぞれの端部支持体の外側に配置された第1対のスペーサ42,43と、
−それぞれの端部支持体の内側に配置された第2対のスペーサ42’,43’とを有する。
【0109】
好ましくは、第1対のスペーサとそれに対応する第2対のスペーサが、挟まれた端部支持体に関して対称的に配置され、第1対のスペーサの1対の接合面53,54の半径が、第2対のスペーサの1対の接合面53’,54’の球面ボウル半径と等しく、前記対の接合面が、いかなる場合でも、様々な球面上に配置される。軸方向弾性バー7’はそれぞれ、軸方向の接近と不整合を補償するために、革新的ロックシステムによって2つの端部支持体に留められる(非球面継手)。
【0110】
前記少なくとも2つの締め付けナット41が、第1対のスペーサ42,43上、即ち、外側対のスペーサ上に外側から締め付けられる。
【0111】
詳細には、
図4aと
図5に関して、弾性バー7’の締付けロックシステムは、バーのねじ切り端47及び48のそれぞれに(
図4a)、
−バー7’のねじ切り端14に締め付けられた外側締め付けナット41(例えば、最低2つ)と、
−前記2つの締め付けナット41と端部支持体60の外側面10との間に配置された第1の外側対のスペーサ又はワッシャ42,43であって、各スペーサ42,43が、バー47のねじ切り端を通すためのそれぞれの孔61,62を備え、スペーサ43が、スペーサ42(
図6と
図7)に提供された対応する面54に接合された球面ボウル53の環状部分の表面を有する、第1の外側対のスペーサ又はワッシャ42,43と、
−バー7’の肩部52と端部支持体60の内側面10’との間で配置された第2の内側対のスペーサ又はワッシャ42’,43’であって、各スペーサ42’,43’が、バーのねじ切り端47を通すためのそれぞれの孔61’,62’を備え、スペーサ43’が、スペーサ42’に提供された対応する面54’に接合された球面ボウル53’の環状部分の面を有する、第2の内側対のスペーサ又はワッシャ42’,43’(
図6と
図7)とを含む。
【0112】
第1端部支持体60は、バーのそれぞれの端を通すための孔70を備える(
図4a)。
【0113】
図4a、
図5、
図6及び
図7を参照すると、スペーサ42’は、その平坦面55’で肩部52に当たり、スペーサ43’は、その平坦面56’で端部支持体60の内側面10’に当たる。その代わり、スペーサ43は、その平坦面56で端部支持体60の外側面10に当たり、スペーサ42の平坦面55は、締め付けナット41によって押される。
【0114】
バー7’のねじ切り端47上のナット41を締め付けると、スペーサ43’,42’の接合面53’,54’及びスペーサ43,42の接合面53,54がそれぞれ互いに完全に接触し、平坦面56,56’が、端部支持体60のそれぞれの面10,10’の形状に適合する。
【0115】
好ましくは、この締付けロックソリューションは、接合された球面ボウル形面間の滑りによって、面10,10’の不整合誤差を補償することを可能にする。球面ボウル形の半径は、接合面の両方の対に関して同じであるが、中心は異なり、即ち、2つの球面ボウル形面は、同じ球面にない。結果として、スペーサのこの構成は、自己整合「ロック継手」、即ち、バーが締め付けられたときにボール継手として動作できないが必然的に固定継手として動作する継手である。
【0116】
球面ボウル形接合面は、組み立て工程で、これらの面が互いに接合するように回転を可能にする。スペーサ43,43’の平坦面56,56’は、締め付け後に変形し、その結果、前記平坦面56,56’と静止面10,10’との間の接触が、連続的に得られるように最大にされる。
【0117】
このロックシステムを使用することにより、高精度機械の使用、及びそれによるより高い製造及び管理コストを回避することができる。更に、好ましくは、このロックシステムによって、最先端技術の球形接合タイロッドの場合に締め付け領域を操作するのに必要な外側面の穴なしに支持リングを使用することができ、それにより、リング構造物のより大きい機械抵抗が決定される。
【0118】
代わりに、
図4aと
図5を参照すると、弾性バー7’の締付けロックシステムは、バーのねじ切り端48(
図4b)に、
−ねじ切り端48に締め付けられる外側締め付けナット41(例えば、最小2つ)と、
−端部支持体60’が前記2つのフランジ間に配置されるように配置された2つのフランジ44,45又は静止シムと、
−前記締め付けナット41と外側フランジ45との間に配置された第1の外側対のスペーサ又はワッシャ42,43であって、各スペーサ42,43が、バー7’のねじ切り端48を通すためのそれぞれの孔61,62を備え、スペーサ43が、スペーサ42に設けられた対応面54に接合された球面ボウルの環状部分表面53を有する、第1の外側対のスペーサ又はワッシャ42,43と(
図6と
図7)、
−内側フランジ44と内側ナット41’との間に配置された第2の内部対のスペーサ又はワッシャ42’,43’であって、各スペーサ42,43が、バー7’のねじ切り端48を通すためのそれぞれの孔61’,62’を備え、スペーサ43’が、スペーサ42’に設けられた対応面54’に接合された球面ボウルの環状部分面53’を有する、第2の内部対のスペーサ又はワッシャ42’,43’と、
−中間ねじ切り部分49に締め付けられて、スペーサ42’,43’の内側対に当たる内側ナット41’とを有する。
【0119】
第1のフランジ45が、外側対のスペーサ42,43と、端部支持体60’のそれぞれの外側面40との間に配置され、第2のフランジ44が、内側対のスペーサ42’,43’と、端部支持体60’のそれぞれの内側面40’との間に配置される。
【0120】
端部支持体60’の孔80の直径は、端部支持体60の孔70の直径より大きい。フランジ44,45はそれぞれ、孔80の直径より小さい直径の孔90,90’を備える。フランジ44及び45は、例えばナットと止めナットを有する植込ボルトなどの締結手段によって互いに一体的に維持されるセミフランジから成ってもよく、あるいは、外側フランジは、代わりに、単一片で作成される。
【0121】
図4b、
図6及び
図7を参照すると、スペーサ42’は、その平坦面55’が内側ナット41’に当たり、スペーサ43’は、その平坦面56’が内側フランジ44の平坦面に当たる。代わりに、スペーサ43は、その平坦面56が外側フランジ45の平坦面に当たり、スペーサ42の平坦面55が、外側締め付けナット41によって押される.
【0122】
バー7’のねじ切り端48にナット41を締め付け、中間ねじ部分49に内側ナット41’を締め付けることにより、スペーサ43’,42’の接合面53’,54’とスペーサ43,42の接合面53,54がそれぞれ、互いに完全に接触し、一方、平坦面56,56’は、端部支持体60’のそれぞれの面40,40’の形状に適合するフランジ44,45を押す。
【0123】
好ましくは、内側締め付けナット41’は、固定端タイロッド構成で、スペーサ42’からバー7’の内部の方に突出する中間ねじ部分49のねじ山の有効部分200の長さLより長くなるように構成される。これにより、むき出しのねじ山がバー自体の湾曲を受けることによるノッチング応力集中を回避することができる。したがって、締め付けられた後で、内側ナット41’は、バー7’がその内側に向かって先細りになる領域に、むき出しのねじ山を有する。
【0124】
前述の球状接合面を有する1対のスペーサの使用によって得られる利点に加えて、内側ナット41’を使用することにより、支持リング3の外側に設けられたので完全にアクセス可能になり、静止面(容器と一体の面及び支持リングと一体の面の両方)間の距離誤差を補償することができる。したがって、内側ナット41’は、そのような距離誤差を補償しかつ構造物を設計で生じる可能性がある可変距離に適応させる調整ナットである。
【0125】
好ましくは、更なるスペーサを規定するフランジ44及び45の存在によって、孔80をバーの直径又は厚さよりかなり大きく維持することができ、それにより、端部支持体上のバー及びその組立体の通過を支援する。このようにして、距離平面誤差を補償することに加えて、端部支持体60の孔70と端部支持体60’の孔80との整合誤差も補償される。
【0126】
全体として、前述の端部支持体に対するバーの前述のロックシステムは、組み立てをかなり容易にし調心を簡単にすることができる。