特許第5969117号(P5969117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969117
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】二重モードアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20160804BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20160804BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160804BHJP
   H01Q 7/06 20060101ALI20160804BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20160804BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20160804BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   H01Q7/00
   H02J50/20
   H02J7/00 301D
   H01Q7/06
   H01Q1/38
   H01Q21/28
   H04B5/02
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-514892(P2015-514892)
(86)(22)【出願日】2013年5月3日
(65)【公表番号】特表2015-521013(P2015-521013A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】KR2013003875
(87)【国際公開番号】WO2013180399
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2014年12月1日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0058502
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513096691
【氏名又は名称】エルエス ケーブル アンド システム リミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100081695
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 正明
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ミン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,サン ハン
(72)【発明者】
【氏名】パク,レ ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウン キュ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジ ヒョン
【審査官】 岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−019302(JP,A)
【文献】 特表2005−515679(JP,A)
【文献】 特開平08−226966(JP,A)
【文献】 特開2003−006589(JP,A)
【文献】 特開平08−149723(JP,A)
【文献】 特開2004−206479(JP,A)
【文献】 特開2001−084463(JP,A)
【文献】 特開平09−135189(JP,A)
【文献】 特開2004−145453(JP,A)
【文献】 実開昭62−157108(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
H02J 7/00
H02J 50/20
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁シートと,
前記絶縁シートに形成されるループ状の近距離無線通信コイルと,
前記近距離無線通信コイルと電気的に分離されて前記ループ状の近距離無線通信コイルの内側に形成され,前記絶縁シートの両面に形成されて前記絶縁シートを貫通するビアホールを介して相互に電気的に接続される無線電力伝送コイルと,
を備え,
前記絶縁シートの両面に形成された前記無線電力伝送コイルは,前面からみて電流が補強されるようにループを形成して,
前記無線電力電送コイルと前記近距離無線通信コイル間の間隔は,前記無線電力伝送コイルまたは前記近距離無線通信コイルを成す素線間の間隔よりも大きく形成されて,
前記絶縁シートの両面に形成された前記無線電力伝送コイルは,前面からみて相互に同じ方向に回転しながらループを形成することを特徴とする二重モードアンテナ。
【請求項2】
前記近距離無線通信コイルの両端にそれぞれ電気的に接続される一対の近距離無線通信コイル接続端子と,前記無線電力伝送コイルの両端にそれぞれ電気的に接続される一対の無線電力伝送コイル接続端子と,をさらに備えることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項3】
前記一対の近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一方がスティッチングビアを介して前記近距離無線通信コイルの一方の端に電気的に接続され,
前記一対の無線電力伝送コイル接続端子と前記無線電力伝送コイルの両端とを電気的に接続させる一対の延長パターンをさらに備えることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項4】
前記一対の近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一方がジャンパ線を介して前記近距離無線通信コイルの一方の端に電気的に接続され,
前記一対の無線電力伝送コイル接続端子と前記無線電力伝送コイルの両端とを電気的に接続させる一対の延長パターンをさらに備えることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項5】
前記一対の延長パターンは,前記近距離無線通信コイルと重なり合わないように配置されることを特徴とする請求項または請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項6】
前記一対の延長パターンは,前記近距離無線通信コイル及び前記絶縁シートの異なる面に形成されることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項7】
前記スティッチングビアは,前記絶縁シートを貫通する二つのビアと,前記二つのビアを電気的に接続させる接続パターンと,を備えることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項8】
前記近距離無線通信コイル接続端子及び前記無線電力伝送コイル接続端子は,それぞれ外部の近距離無線通信モジュール及び無線電力伝送モジュールに電気的に接続されることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項9】
前記絶縁シートの一方の面に接するように形成されるフェライトシートをさらに備えることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項10】
前記フェライトシートは,前記絶縁シートの前記近距離無線通信コイルに対向する位置に接するように形成される第1のフェライトシートと,前記絶縁シートの前記無線電力伝送コイルに対向する位置に接するように形成される第2のフェライトシートと,をさらに備えることを特徴とする請求項記載の二重モードアンテナ。
【請求項11】
前記近距離無線通信コイルと前記無線電力伝送コイルとの間に,前記第1のフェライトシート及び前記第2のフェライトシートの段差調節用スリットが形成されることを特徴とする請求項10記載の二重モードアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,近距離無線通信(NFC)と無線電力伝送のための二重モードアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
最近,エネルギー−IT融合技術への関心が高まりつつある。エネルギー−IT融合技術とは,従来のエネルギー技術と急速に発達しているIT技術を融合した技術のことをいい,このようなエネルギー−IT融合技術の一分野として,無線電力伝送(Wireless Power Transfer;WPT)技術がある。無線電力伝送とは,従来の有線電力線の代わりに無線で電気機器に電源を供給する技術のことをいい,従来,家電機器などを充電するために,電源コンセントから家電機器または充電機器に有線電源ケーブルを接続することを余儀なくされたが,有線電源ケーブルを接続しなくても無線で充電することができるというメリットがあることから,これに関する研究が盛んに行われている。
【0003】
現在商用化中または研究中の無線電力伝送技術としては,磁気誘導方式及び磁気共鳴方式が挙げられる。磁気誘導方式の無線電力伝送技術は,両コイル間の磁気誘導現象を利用する方式であり,数ミリメートル(mm)から数センチメートル(cm)の距離から数ワット(W)の電力を伝送することができ,現在は,交通(系IC)カード,無線カミソリ,電動歯ブラシなどに適用されている。一方,磁気共鳴方式の無線電力伝送技術は,共振周波数における共振結合(resonant coupling)により電力を伝送する方式であり,数メートル(m)以内の距離から数十ワット(W)の電力を伝送することができ,共振器の線質係数(Q:Quality Factor)値により伝送効率が影響を受ける。
【0004】
一方,最近上市される相当数のモバイル端末には,近距離無線通信が行えるように近距離無線通信(NFC)モジュールが取り付けられている。NFC(近距離無線通信:Near Field Communication)は,13.56MHz帯域の周波数を用いて約10cmの距離からデータを送受信する近接場型の無線通信技術である。近距離無線通信モジュールはモバイル端末に搭載されてユーザ認証,身分証,クレジットカード,モバイルチケット,モバイルクーポンなどの様々な分野において用いられる。
【0005】
一方,近距離無線通信を行うためには近距離無線通信用アンテナコイルが必要である。近距離無線通信アンテナは,近距離無線通信リーダーと近距離無線通信タグのアンテナがそれぞれ独立的に配設され,実際のモバイル端末上に実現される場合には,一般に,近距離無線通信リーダーアンテナとタグアンテナを積層構造に集積した統合型二重アンテナ構造が用いられる。
【0006】
また,無線電力伝送の場合にも,別途の無線電力伝送用アンテナコイルが必要である。このため,モバイル端末上において近距離無線通信(NFC)機能と無線電力伝送機能を同時に支援するためには,それぞれの機能のためのアンテナを並設せねばならない。この場合,モバイル端末の大きさによる制限によりアンテナの取付空間が狭く,二種類のアンテナによりモバイル端末の大きさ及び厚さが増大してしまうという問題がある。
【0007】
この理由から,近距離無線通信(NFC)アンテナ及び無線電力伝送アンテナをモバイル端末に並設しながらも,所要の取付空間を最大限に狭めることのできる技術の導入が求められているのが現状である。
【0008】
これと関連して,例えば,米国公開特許US2010−0194334には,「RETROFITTING WIRELESS POWER AND NEAR-FIELD COMMUNICATION IN ELECTRONIC DEVICES」というタイトルの発明が開示されている。米国公開特許US2010−0194334に記載の発明は,無線電力伝送及び近距離通信のための電力回路に関するものであり,前記電力回路を有する電力デバイスは,無線電力受信アンテナ及び変換回路を有するバックハウジングを備えている。但し,米国公開特許US2010−0194334には前記無線電力受信アンテナが無線電力供給機能または近距離無線通信機能のために使用可能であると開示されているが,無線電力供給機能及び近距離無線通信機能を同時に行うための具体的な構成は開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の技術の問題を解消するために,本発明は,近距離無線通信(NFC)及び無線電力伝送を同時に支援する二重モードアンテナを提供する。
【0010】
また,本発明は,近距離無線通信アンテナと無線電力伝送アンテナを重なり合わないように配置して相互干渉による通信性能の低下を抑える二重モードアンテナを提供する。
【0011】
本発明の目的は上述した目的に何ら制限されるものではなく,未言及の他の目的は下記の記載から明らかに理解される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために,本発明の二重モードアンテナは,絶縁シートと,前記絶縁シートに形成されるループ状の近距離無線通信コイルと,前記近距離無線通信コイルと電気的に分離されて前記ループ状の近距離無線通信コイルの内側に形成され,前記絶縁シートの両面に形成されて前記絶縁シートを貫通するビアホールを介して相互に電気的に接続される無線電力伝送コイルと,を備え,
前記絶縁シートの両面に形成された前記無線電力伝送コイルは,前面からみて電流が補強されるようにループを形成して,
前記無線電力電送コイルと前記近距離無線通信コイル間の間隔は,前記無線電力伝送コイルまたは前記近距離無線通信コイルを成す素線間の間隔よりも大きく形成されて,
前記絶縁シートの両面に形成された前記無線電力伝送コイルは,前面からみて相互に同じ方向に回転しながらループを形成することを特徴とする。
【0014】
また,本発明において,前記近距離無線通信コイルの両端にそれぞれ電気的に接続される一対の近距離無線通信コイル接続端子と,前記無線電力伝送コイルの両端にそれぞれ電気的に接続される一対の無線電力伝送コイル接続端子と,をさらに備えることができる。
【0015】
さらに,前記一対の近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一方がスティッチングビアを介して前記近距離無線通信コイルの一方の端に電気的に接続され,前記一対の無線電力伝送コイル接続端子と前記無線電力伝送コイルの両端とを電気的に接続させる一対の延長パターンをさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また,前記一対の近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一方がジャンパ線を介して前記近距離無線通信コイルの一方の端に電気的に接続され,前記一対の無線電力伝送コイル接続端子と前記無線電力伝送コイルの両端とを電気的に接続させる一対の延長パターンをさらに備える構成とすることができる。
【0017】
前記一対の延長パターンは,前記近距離無線通信コイルと重なり合わないように配置することができる。
【0018】
また,前記一対の延長パターンは,前記近距離無線通信コイル及び前記絶縁シートの異なる面に形成されることを特徴とする。
【0019】
さらに,前記スティッチングビアは,前記絶縁シートを貫通する二つのビアと,前記二つのビアを電気的に接続させる接続パターンと,を備えることを特徴とする。
【0020】
前記近距離無線通信コイル接続端子及び前記無線電力伝送コイル接続端子は,それぞれ外部の近距離無線通信モジュール及び無線電力伝送モジュールに電気的に接続されることを特徴とする。
【0021】
前記絶縁シートの一方の面に接するように形成されるフェライトシートをさらに備えることができる。
【0022】
前記フェライトシートは,前記絶縁シートの前記近距離無線通信コイルに対向する位置に接するように形成される第1のフェライトシートと,前記絶縁シートの前記無線電力伝送コイルに対向する位置に接するように形成される第2のフェライトシートと,をさらに備える構成とすることができる。
【0023】
また,前記近距離無線通信コイルと前記無線電力伝送コイルとの間に,前記第1のフェライトシート及び前記第2のフェライトシートの段差調節用スリットが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
上述した本発明の課題解決手段のうちの一つによれば,ユーザ端末においてアンテナの搭載空間を効率よく配置して近距離無線通信(NFC)及び無線電力伝送を同時に支援することができる。
【0025】
また,ユーザ端末において近距離無線通信アンテナと無線電力伝送アンテナを重なり合わないように配置して相互干渉による通信性能の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】無線電力伝送システムの全体概要図である。
図2】本発明の一実施形態に係るユーザ端末の細部構成を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナがユーザ端末の背面カバーに取り付けられる場合を説明するためのユーザ端末本体の背面図及び背面カバーの分解図である。
図4】本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナの正面図及び背面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る二重モードアンテナの正面図及び背面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナの構造を説明するための側面図である。
図7】本発明のさらに他の実施形態に係る二重モードアンテナの正面図及び背面図である。
図8図7の二重モードアンテナの構成要素である近距離無線通信(NFC)アンテナ部の細部構成を示す正面図及び背面図である。
図9図7の二重モードアンテナの構成要素である延長ライン部の細部構成を示す正面図及び背面図である。
図10図7の二重モードアンテナの構成要素である無線電力伝送コイルの細部構成を示す正面図及び背面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は様々な変更を加えることができ,種々の実施形態を有することができるが,特定の実施形態を図面に例示し,これを詳細な説明の欄において詳細に説明する。しかしながら,これは本発明を特定の実施形態に限定するためのものではなく,本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更,均等物若しくは代替物を含むものと理解されるべきである。
【0028】
本発明について説明するに当たって,関連する公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。なお,本明細書の説明過程で用いられる数字(例えば,第1,第2など)は,ある構成要素を他の構成要素と区別するための識別記号に過ぎない。
【0029】
また,本明細書において,ある構成要素が他の構成要素と「接続される」などと言及されたときには,前記ある構成要素が前記他の構成要素と直接的に接続される場合もあるが,特に断りのない限り,他の構成要素を介して接続される場合もあると理解されるべきである。
【0030】
本明細書において,ユーザ端末は,外部から電力が供給される電子機器であり,他のユーザ端末との通信のための手段の一つとして近距離無線通信(NFC)を支援し,例えば,携帯電話,スマートフォン,ノート型パソコン(laptop computer),デジタル放送用端末,個人情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),携帯型マルチメディアプレーヤ(PMP:Portable Multimedia Player),ナビゲーションなどのように移動可能なモバイル端末であってもよく,テレビ(TV),電子額縁,冷蔵庫など外部装置との通信を行ういかなる電子機器であってもよい。
【0031】
以下,添付図面に基づき,本発明の実施のための具体的な内容について説明する。
【0032】
図1は,無線電力伝送システムの概念及び動作を説明するための全体概要図である。
【0033】
図1に示すように,無線電力伝送システムは,無線で電力を送信する無線電力送信装置10(または,無線送電器)と,電力を無線で受信する無線電力受信装置20(または,無線受電器)と,を備える。
【0034】
無線電力送信装置10及び無線電力受信装置20は磁気誘導方式により無線で電力を伝送する。
【0035】
無線電力送信装置10は,電力伝送のために,送電アンテナ11を用いて外部に電磁気場を放射する。このために,無線電力送信装置10には,外部からAC電源が供給される。
【0036】
無線電力送信装置10は,外部の入力電源から供給されたAC電源をAC/DCコンバータ(図示せず)を用いてDC電源に整流し,次いで,無線電力伝送のためにDC/AC変換回路(図示せず)を介して高周波AC電源に再変換して,送電アンテナ11を介して無線電力受信装置20に伝送する。
【0037】
無線電力受信装置20は,無線電力送信装置10から伝送された電力信号を受電アンテナ21を用いて受信する。具体的に,無線電力送信装置10の送電アンテナ11を流れる電流により送電アンテナ11の周りに磁場が生成され,電磁気の誘導により前記磁気場に隣り合うように配置された無線電力受信装置20の受電アンテナ21には電圧が誘導されて電力が伝送される。
【0038】
無線電力受信装置20は,伝送された電力を用いて負荷機器30を充電するか,あるいは,無線電力受信装置20の駆動に必要な駆動電力を供給する。
【0039】
以下,本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナを備えるユーザ端末の細部構成について説明する。
【0040】
図2は,本発明の一実施形態に係るユーザ端末の細部構成を説明するためのブロック図である。
【0041】
図2に示すように,ユーザ端末は,近距離無線通信を行う近距離無線通信(NFC)モジュール200及び無線電力伝送機能を行う無線電力伝送モジュール300を備える。また,ユーザ端末は,近距離無線通信モジュール200と電気的に接続される近距離無線通信コイル110及び無線電力伝送モジュール300と電気的に接続される無線電力伝送コイル120を有する二重モードアンテナ100をさらに備える。
【0042】
二重モードアンテナ100は,近距離無線通信コイル110と無線電力伝送コイル120が所定の間隔を隔てた二重ループ状に実現される。二重モードアンテナ100は,絶縁シートの上に近距離無線通信コイル110及び無線電力伝送コイル120のパターンが形成された構造であってもよく,例えば,フレキシブルプリント回路基板(FPCB)を用いて形成する。
【0043】
このとき,近距離無線通信コイル110及び無線電力伝送コイル120は電気的に分離され,且つ,近距離無線通信コイル110及び無線電力伝送コイル120により形成される二重ループ状において近距離無線通信コイル110と無線電力伝送コイル120との間の間隔を調節してコイルのインピーダンス整合を調節する。
【0044】
近距離無線通信モジュール200は,近距離無線通信コイル110を制御してユーザ端末上において近距離無線通信を行う。具体的に,近距離無線通信モジュール200は,近距離無線通信インピーダンス整合部210と,近距離無線通信トランシーバ220及び近距離無線通信制御部230を備える。
【0045】
ユーザまたはユーザ端末上のアプリケーションの動作により近距離無線通信機能が要請されれば,ユーザ端末の制御部400は近距離無線通信モジュール200を動作させて近距離無線通信機能を活性化させる。
【0046】
近距離無線通信インピーダンス整合部210は近距離無線通信コイル110と近距離無線通信トランシーバ220との間に設けられて,近距離無線通信コイル110と近距離無線通信トランシーバ220との間のインピーダンスを整合させる。
【0047】
近距離無線通信トランシーバ220は,ベースバンド処理部と,通信規約処理回路と,レジスタファイルと,UART直列インタフェースなどを備える。上記の近距離無線通信トランシーバ220の各構成要素は公知の技術であるため,本明細書においてはこれらについての説明を省略する。
【0048】
近距離無線通信制御部230は近距離無線通信トランシーバ220と接続されて近距離無線通信トランシーバ220の全体的な動作を制御する。なお,近距離無線通信制御部230は別途の通信インタフェースを介して外部のホストと通信を行う。
【0049】
無線電力伝送モジュール300は,無線電力伝送(W/C)インピーダンス整合部310と,整流部320及び充電部330を備える。
【0050】
無線電力伝送(W/C)インピーダンス整合部310は無線電力伝送コイル120と整流部320との間に配置されて,無線電力伝送コイル120と整流部320との間のインピーダンスを整合させる。
【0051】
整流部320は,無線電力伝送コイル120を介して入力される電力信号を半波整流状に整流してDC電力に整流する。整流部320により整流されたDC信号は未図示のフィルタリング部により高周波ノイズ成分が除去され,次いで,充電部330または装置駆動のために必要な電圧に変換される。
【0052】
充電部330は,必要な電圧に変換された電力を用いて外部の負荷機器または内部のバッテリを充電する。
【0053】
次いで,本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナ100の細部構成について詳細に説明する。
【0054】
図3は,本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナがユーザ端末の背面カバーに取り付けられる場合を説明するためのユーザ端末本体の背面図及び背面カバーの分解図である。
【0055】
図3に示すように,二重モードアンテナ100は,ユーザ端末のバッテリカバー700に取り付けられる。二重モードアンテナ100は,ユーザ端末の本体600と対向するバッテリカバー700の内側面に取り付けられるか,あるいは,バッテリカバー700の内部に一体に組み込まれる。このとき,バッテリカバー700の内部に一体に組み込まれる場合には,二重モードアンテナ100の近距離無線通信コイル接続端子130及び無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140がバッテリカバー700の内側面を介して外部に露出されるように当該個所に開口部が形成される。このとき,近距離無線通信コイル接続端子130は二つの端子が一対をなすように構成され,無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140の場合も同様に,二つの端子が一対をなすように構成される。
【0056】
ユーザ端末の本体背面には,二重モードアンテナ100の近距離無線通信コイル接続端子130及び無線電力伝送(W/C)接続端子140に対向する個所に近距離無線通信モジュール接続端子620及びW/Cモジュール接続端子610がそれぞれ形成される。このため,バッテリカバー700をユーザ端末本体600に取り付けると,近距離無線通信コイル接続端子130及び無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140はそれぞれ近距離無線通信モジュール接続端子620及び無線電力伝送(W/C)モジュール接続端子610に接触して電気的に接続される。このとき,近距離無線通信モジュール接続端子620または無線電力伝送(W/C)モジュール接続端子610はC−クリップ状に形成されて弾性により近距離無線通信コイル接続端子130または無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140との接続状態を維持する。
【0057】
以下,本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナ100の実現形状について詳細に説明する。
【0058】
図4は,本発明の一実施形態に係る二重モードアンテナ100の正面図及び背面図である。
【0059】
図4を参照すると,二重モードアンテナ100は,フレキシブルプリント回路基板(FPCB)などの絶縁シート105に近距離無線通信パターンを形成して生成し,絶縁シート105の前面には一対の近距離無線通信コイル接続端子130及び一対の無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140が形成される。
【0060】
近距離無線通信コイル接続端子130は近距離無線通信コイル110に接続されて,近距離無線通信モジュール接続端子620を介して入力された信号を外部に伝送するか,あるいは,外部から受信された近距離無線通信信号を近距離無線通信モジュール300に受け渡す。
【0061】
近距離無線通信コイル110は絶縁シート105の前面に形成され,ループの直径を最大化させ,ループをなす巻線の回数及び巻線間キャパシタンスを低減するために絶縁シート105の外側に沿ってできる限り広く形成される。
【0062】
近距離無線通信コイル110の一方の端は近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一つ132に接続され,近距離無線通信コイル110はパターンが内部に回転しながらループを形成し,ループの内部において近距離無線通信コイル110の一方の端はスティッチングビア150を介してループ外部の近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一つ134に接続される。
【0063】
スティッチングビア150は,絶縁シートを貫通する二つのビア152,154と,前記二つのビア152,154の間に形成されて信号の接続経路を形成する接続パターン156と,を備える。このとき,接続パターン156は絶縁シート105の背面に形成される。
【0064】
無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140は無線電力伝送コイル120に接続されて,無線電力伝送(W/C)モジュール接続端子610を介して入力された電力信号を送受信する。
【0065】
無線電力伝送コイル120は,近距離無線通信コイル110が形成するループの内側に形成される。この場合,無線電力伝送コイル120の直径は近距離無線通信コイル110に比べて相対的に小さく,このため,必要な巻線数を確保するために,無線電力伝送コイル120は絶縁シート105の前面及び背面に積層構造に形成される。
【0066】
このとき,絶縁シート105の前面に形成された無線電力伝送コイル122は内部に収束するループ状を有し,ループの内部においてビアホール162を介して絶縁シートを貫通して背面の無線電力伝送コイル124に接続される。
【0067】
このとき,絶縁シート105の前面に形成された無線電力伝送コイル122及び背面に形成された無線電力伝送コイル124は,前面からみたときに同じ方向に回転しながらループを形成して無線電力伝送コイル120を流れる電流が相互に補強される。
【0068】
無線電力伝送(W/C)コイル接続端子の両端142,144及び無線電力伝送コイル120の両端は,一対の延長パターン170により接続される。延長パターン170は,無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140の配置位置に応じて可変的な形状を有し,ユーザ端末100の内部回路設計時の柔軟性を保証する。
【0069】
また,延長パターン170は絶縁シート105の背面に形成され,無線電力伝送(W/C)コイル接続端子142,144は一対のビアホール143,145を介して絶縁シートを貫通して背面に形成された延長パターン170の一方の側に接続される。
【0070】
延長パターン170の他方の側は無線電力伝送コイル120に接続される。一対の延長パターン170のうちのいずれか一方の延長パターンはビアホール162を介して絶縁シート105の前面に形成された無線電力伝送コイル122の一方の端に接続され,他方の延長パターンは絶縁シートの背面に形成された無線電力伝送コイル124の他方の端に接続される。
【0071】
上述したように,無線電力伝送コイル120は,ビアホール162,164,143,145及び絶縁シート105の背面に形成された延長パターン170により無線電力伝送(W/C)コイル接続端子140と接続されるので,無線電力伝送コイル120と近距離無線通信コイル110との間の重なり合い領域がないため相互干渉による性能低下を防ぐ。
【0072】
一方,近距離無線通信コイル110と無線電力伝送コイル120との間には段差調節用スリットが形成される。図6を参照すると,絶縁シート105の前面には無線電力伝送(W/C)コイル用フェライトシート194及び近距離無線通信コイル用フェライトシート192がこの順に取り付けられる。参考までに,フェライトシートは,渦電流による磁束の遮蔽を防ぐ。
【0073】
この場合,近距離無線通信コイル用フェライトシート192に比べて内側の無線電力伝送(W/C)コイル用フェライトシート194が相対的に小さく,このため,無線電力伝送(W/C)コイル用フェライトシート194が重なった部分の厚さは,近距離無線通信コイル用フェライトシート192のみ取り付けられた部分のそれに比べて相対的に大きい。
【0074】
このため,近距離無線通信コイル110と無線電力伝送コイル120との間に上述したフェライトシートの厚さによる段差を調節するための段差調節用スリット198を形成して,厚さ差による無線電力伝送コイル120または延長パターン170の損傷を防ぐ。
【0075】
図5は,本発明の他の実施形態に係る二重モードアンテナの正面図及び背面図である。
【0076】
図5に示すように,本発明の他の実施形態に係る二重モードアンテナ100は,図4の二重モードアンテナと同様に,絶縁シート105に近距離無線通信コイル110が形成され,近距離無線通信コイル110のループの内側に無線電力伝送コイル120が形成される。近距離無線通信コイル110及び無線電力伝送コイル120は,近距離無線通信コイル接続端子130及び無線電力伝送(W/C)接続端子140にそれぞれ接続される。
【0077】
近距離無線通信コイル110の一方の端は近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一方132に接続され,近距離無線通信コイル110はパターンが内部に回転しながらループを形成し,ループの内部において近距離無線通信コイル110の一方の端はジャンパ線190を介してループ外部の近距離無線通信コイル接続端子のうちのいずれか一つ134に接続される。
【0078】
このとき,ジャンパ線190は絶縁シート105の前面に形成された近距離無線通信コイル110の上部に形成されるので,図6に示すように,近距離無線通信信号が引き込まれたり引き出されたりする絶縁シート105の背面をジャンパ線190が遮断しないため,近距離無線通信コイル110への干渉を抑えることができる。
【0079】
次いで,本発明のさらに他の実施形態に係る二重モードアンテナの細部構成について詳細に説明する。
【0080】
図7は,本発明のさらに他の実施形態に係る二重モードアンテナ1000の細部構成を示す正面図及び背面図である。
【0081】
図7を参照すると,二重モードアンテナ1000は,近距離無線通信コイルが形成された近距離無線通信アンテナ部1100と,無線電力伝送コイル1300及び前記無線電力伝送コイル1300を外部の無線電力伝送モジュールと接続させる延長ライン部1200と,を備える。このとき,近距離無線通信アンテナ部1100と,無線電力伝送コイル1300及び延長ライン部1200は,それぞれ別途の絶縁シートの上に形成される。
【0082】
このとき,無線電力伝送コイル1300は,近距離無線通信アンテナ部1100の近距離無線通信コイル1120が形成するループの内側に配置され,この場合,前記ループの内側に配設される無線電力伝送コイル1300は,延長ライン部1200を介して近距離無線通信コイル1120の外部に接続される。
【0083】
一方,二重モードアンテナ1000にはフェライトシートが貼着される。このとき,フェライトシートは,近距離無線通信アンテナ部1100に対向する個所に貼着される近距離無線通信コイル用フェライトシートと,無線電力伝送コイル1300に対向する個所に貼着される無線電力伝送コイル用フェライトシートと,を備える。
【0084】
図8に基づいて,近距離無線通信アンテナ部1100の細部構成について述べると,近距離無線通信アンテナ部1100は,第1の絶縁シート1110と,前記第1の絶縁シート1110の前面に形成され,外部の近距離無線通信モジュールと接続される一対の近距離無線通信接続端子1130と,前記第1の絶縁シート1110の前面にループ状に形成され,前記近距離無線通信接続端子1130と接続される近距離無線通信コイル1120と,を備える。
【0085】
このとき,前記近距離無線通信コイル1120の一方の端は近距離無線通信接続端子接続ライン1140により近距離無線通信接続端子1130と接続される。この場合,近距離無線通信接続端子接続ライン1140はジャンパ線により実現されてもよく,第1の絶縁シート1100を貫通して形成されたスティッチングビアにより実現されてもよい。
【0086】
また,近距離無線通信アンテナ部1100において,近距離無線通信コイル1120のループの内側には延長ライン用スロット1150が形成され,前記延長ライン部1200が延長ライン用スロット1150に差し込まれてループ内部の無線電力伝送コイル1300と接続される。
【0087】
このとき,前記延長ライン部1200は,近距離無線通信アンテナ部1100の前面とフェライトシートとの間に配置されるので,延長ラインによる近距離無線通信コイル1120への干渉を低減することができるという効果がある。
【0088】
図9に基づいて延長ライン部1200の細部構成について述べると,延長ライン部1200は,第1の絶縁シート1110とは別途の第2の絶縁シート1210と,前記第2の絶縁シート1210の前面に形成され,無線電力伝送モジュールと接続される一対の無線電力伝送(W/C)接続端子1220と,前記第2の絶縁シート1210の背面に形成される一対の無線電力伝送(W/C)延長ライン1230と,前記無線電力伝送(W/C)延長ライン1230を無線電力伝送コイル1300と接続させる一対の接合部1260と,を備える。
【0089】
このとき,無線電力伝送(W/C)延長ライン1230は,一対のビアホール1240を介して前記無線電力伝送(W/C)接続端子1220と接続され,他の一対のビアホール1250を介して前記接合部1260と接続される。
【0090】
上述したように,無線電力伝送コイル1300は,別途の第3の絶縁シートの上に形成される。この場合,無線電力伝送コイル1300は,第3の絶縁シートの両面に重なり合うように形成される。
【0091】
また,無線電力伝送コイル1300は,伝導性の高い素材から製作されたリアルコイルにより実現される。この場合,リアルコイルの両端1310,1320は,前記接合部1262,1264に半田付けなどの方法により結合される。
【発明の形態】
【0092】
上述のとおり,本発明を実施する最良の形態を種々の実施形態により説明した。
【産業上の利用可能性】
【0093】
上述した構成を通じて,本発明のユーザ端末は,狭い空間に近距離無線通信(NFC)アンテナ及び無線電力伝送アンテナを両方とも備え,近距離無線通信アンテナと無線電力伝送アンテナとの間の重なり合い領域を回避することにより,相互干渉による性能低下を防ぐことができるという効果がある。
【0094】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず,本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば,本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内において種々の修正及び変形を行うことができる。
【0095】
よって,本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく単に説明するためのものであり,これらの実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されることはない。
【0096】
本発明の保護範囲は下記の請求範囲によって解釈されなければならず,それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】