(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フック本体部(210)の開閉のために前記バネ部(240)を枢動中心として前記抜止部(230)が枢動する平面に対して直交する方向を左右方向とする請求項1に記載の連結具(10)であって、
前記フック本体部(210)及び前記抜止部(230)の一方が、前記左右方向における前記フック本体部(210)及び前記抜止部(230)の他方の変位を規制するための少なくとも一つの規制部(260、267)を備える、連結具。
前記規制部(260)が、前記フック本体部(210)から離間する方向への前記抜止部(230)の変位を規制するべく前記フック本体部(210)又は前記抜止部(230)に対して係合可能である、請求項3に記載の連結具。
前記フック本体部(210)に設けられた前記規制部(260)が少なくとも一つの第1爪部(263、264)を備え、かつ前記抜止部(230)が少なくとも一つの第2爪部(253、254)を備え、第2爪部(253、254)が前記左右方向において凸状に設けられ、前記第1爪部(263、264)が前記第2爪部に係合可能なように前記左右方向以外の方向へ延在する、請求項3又は4に記載の連結具。
前記抜止部(230)に設けられた前記規制部(260)が少なくとも一つの第1爪部(263、264)を備え、かつ前記フック本体部(210)が少なくとも一つの第2爪部(253、254)を備え、噛合わされるべき前記第1爪部(263、264)と第2爪部(253、254)が前記左右方向において反対方向に凸状に設けられる、請求項3又は4に記載の連結具。
前記規制部(260)は、前記フック本体部(210)又は前記抜止部(230)を挟み込むように前記左右方向に配置された左側規制壁(261)及び右側規制壁(262)を含む、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の連結具(10)であって、
前記左側規制壁(261)及び前記右側規制壁(262)の少なくとも一方に設けられた第1爪部(263、264)と、
前記第1爪部(263、264)に噛合わされる第2爪部(253、254)と、を更に備え、
第1爪部(263、264)と第2爪部(253、254)の噛合いにより前記フック本体部(210)から離間する方向への前記抜止部(230)の変位が規制される、連結具。
前記規制部(260)は、前記フック本体部(210)又は前記抜止部(230)を挟み込むように前記左右方向に配置された左側規制壁(261)及び右側規制壁(262)を含む、請求項3乃至7のいずれか一項に記載の連結具(10)であって、
前記抜止本体部(250)は、前記フック本体部(210)のフック先端部(211)に係合する抜止先端部(231)を有すると共に、前記左右方向に沿う前記抜止先端部(231)の厚みが、前記左側規制壁(261)及び右側規制壁(262)により挟み込まれる前記抜止本体部(250)の部分の前記左右方向に沿う厚みよりも大きい、連結具。
前記凹部の面から前記フック本体部(210)側へ少なくとも前記被結合部(270)を貫通する切欠き(R28)が設けられ、当該切欠き(R28)に前記抜止部(230)が部分的に収容可能である、請求項9に記載の連結具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フック部に対して一体の樹脂片をフック部材の抜止片として用いることにより別体の金属片を抜止片として用いる場合と比較して部品点数の低減、組立の容易化、及び製品コストの低減を図ることが見込まれる。しかしながら、フック部に一体の樹脂片を抜止片として用いる場合、金属片の場合と比較して、見かけ上「抜止力」が弱く見えてしまうことが懸念される。
【0006】
本願発明者は、上述の例示的かつ非限定的な懸念事項を踏まえたうえで、フック部材の外観上の改良若しくは機能的な付加が施し易い構造の意義を新たに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る連結具は、取付部材(100)とフック部材(200)が回動軸周りに回動可能に連結した連結具(10)であって、前記フック部材(200)は、フック本体部(210)と、前記フック本体部(210)を閉鎖するための抜止部(230)と、前記抜止部(230)の基端が一体的に結合した被結合部(270)にして、前記取付部材(100)と当該フック部材(200)の連結の確保のために前記フック本体部(210)側から離間する方向に前記回動軸に沿って延在する被結合部(270)を備え、前記抜止部(230)は、当該抜止部(230)の基端側に設けられたバネ部(240)にして、前記フック本体部(210)から離間する方向への前記抜止部(230)の付勢を確保するべく弾性に構成されたバネ部(240)、及び前記バネ部(240)を介して前記被結合部(270)に連結した抜止本体部(250)を含み、前記被結合部(270)に対する前記抜止部(230)の連結位置が、前記フック本体部(210)と前記被結合部(270)の間の連結位置よりも前記回動軸上において前記フック本体部(210)から遠くに位置する。本構成によれば、フック部材の外観上の改良若しくは機能的な付加が施し易い。なお、「遠くに位置する」の実際の程度は微々たるものであっても構わない。
【0008】
前記フック本体部(210)の開閉のために前記バネ部(240)を枢動中心として前記抜止部(230)が枢動する平面に対して直交する方向を左右方向とする場合、前記フック本体部(210)及び前記抜止部(230)の一方が、前記左右方向における前記フック本体部(210)及び前記抜止部(230)の他方の変位を規制するための少なくとも一つの規制部(260、267)を備える、と良い。フック本体部からの抜止部の外れを抑制できる。
【0009】
前記規制部(260、267)が、前記フック本体部(210)又は前記抜止部(230)を前記左右方向から挟み込むように構成される、と良い。フック本体部からの抜止部の外れをより十分に抑制できる。
【0010】
前記規制部(260)が、前記フック本体部(210)から離間する方向への前記抜止部(230)の変位を規制するべく前記フック本体部(210)又は前記抜止部(230)に対して係合可能である、と良い。フック本体部からの抜止部の外れをより十分に抑制できる。
【0011】
前記フック本体部(210)に設けられた前記規制部(260)が少なくとも一つの第1爪部(263、264)を備え、かつ前記抜止部(230)が少なくとも一つの第2爪部(253、254)を備え、第2爪部(253、254)が前記左右方向において凸状に設けられ、前記第1爪部(263、264)が前記第2爪部に係合可能なように前記左右方向以外の方向へ延在する、と良い。
【0012】
前記抜止部(230)に設けられた前記規制部(260)が少なくとも一つの第1爪部(263、264)を備え、かつ前記フック本体部(210)が少なくとも一つの第2爪部(253、254)を備え、噛合わされるべき前記第1爪部(263、264)と第2爪部(253、254)が前記左右方向において反対方向に凸状に設けられる、と良い。
【0013】
前記規制部(260)は、前記フック本体部(210)又は前記抜止部(230)を挟み込むように前記左右方向に配置された左側規制壁(261)及び右側規制壁(262)を含む場合において、前記左側規制壁(261)及び前記右側規制壁(262)の少なくとも一方に設けられた第1爪部(263、264)と、前記第1爪部(263、264)に噛合わされる第2爪部(253、254)と、を更に備え、第1爪部(263、264)と第2爪部(253、254)の噛合いにより前記フック本体部(210)から離間する方向への前記抜止部(230)の変位が規制される、と良い。フック本体部からの抜止部の外れをより十分に抑制できる。
【0014】
前記規制部(260)は、前記フック本体部(210)又は前記抜止部(230)を挟み込むように前記左右方向に配置された左側規制壁(261)及び右側規制壁(262)を含む場合において、前記抜止本体部(250)は、前記フック本体部(210)のフック先端部(211)に係合する抜止先端部(231)を有すると共に、前記左右方向に沿う前記抜止先端部(231)の厚みが、前記左側規制壁(261)及び右側規制壁(262)により挟み込まれる前記抜止本体部(250)の部分の前記左右方向に沿う厚みよりも大きい、と良い。フック部材をより頑丈に見せることができる。
【0015】
前記被結合部(270)には凹部が設けられ、当該凹部の面に対して前記バネ部(240)の基端が連結する、と良い。
【0016】
前記凹部の面から前記フック本体部(210)側へ少なくとも前記被結合部(270)を貫通する切欠き(R28)が設けられ、当該切欠き(R28)に前記抜止部(230)が部分的に収容可能である、と良い。抜止部(230)の枢動を好適に確保できる。
【0017】
前記フック部材(200)は、更に、前記取付部材(100)が着座可能な着座部(280)を前記被結合部(270)と前記フック本体部(210)の間に含み、前記被結合部(270)に対する前記抜止部(230)の連結位置は、前記着座部(280)と比較して前記回動軸上において前記フック本体部(210)から遠くに位置する、と良い。
【0018】
前記フック部材(200)は、前記取付部材(100)が着座可能な着座部(280)を更に含み、前記抜止部(230)は、前記着座部(280)と共に前記取付部材(100)の座面を構成するように形状付けられる、と良い。フック部材上での取付部材の回動をより安定化することができる。
【0019】
本発明の別の態様に係るフック部材は、取付部材(100)に対して回動軸周りに回動可能に取り付け可能であるフック部材(200)であって、フック本体部(210)と、前記フック本体部(210)を閉鎖するための抜止部(230)と、前記抜止部(230)の基端が一体的に結合した被結合部(270)にして、前記取付部材(100)と当該フック部材(200)の連結の確保のために前記フック本体部(210)側から離間する方向に前記回動軸に沿って延在する被結合部(270)を備え、前記抜止部(230)は、当該抜止部(230)の基端側に設けられたバネ部(240)にして、前記フック本体部(210)から離間する方向への前記抜止部(230)の付勢を確保するべく弾性に構成されたバネ部(240)、及び前記バネ部(240)を介して前記被結合部(270)に連結した抜止本体部(250)を含み、前記被結合部(270)に対する前記抜止部(230)の連結位置が、前記フック本体部(210)と前記被結合部(270)の間の連結位置よりも前記回動軸上において前記フック本体部(210)から遠くに位置する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フック部材の外観上の改良若しくは機能的な付加を施し易い構造が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。各実施形態は、個々に独立したものではなく、過剰説明をするまでもなく、当業者をすれば、適宜、組み合わせることが可能であり、この組み合わせによる相乗効果も把握可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明説明を主目的とするものであり、適宜、簡略化されている。
【0023】
以下の実施形態の説明においては
図1に示した上下、左右、前後方向を基準若しくは参照して説明する。上下方向は、取付部材とフック部材の回動軸に平行な方向である。前後方向及び左右方向は、各々が上下方向に直交の互いに直交関係にある方向である。左右方向は、フック本体部の開閉のために抜止部が枢動する平面に対して直交する方向である。
【0024】
<第1実施形態>
図1乃至
図9を参照して第1実施形態について説明する。
図1は、連結具の斜視図であり、取付部材とフック部材の連結前の状態を示す。
図2は、連結具の斜視図であり、取付部材とフック部材の連結後の状態を示す。
図3は、連結具の垂直断面模式図であり、左右方向に直交する平面における断面模式図を示す。
図4は、連結具の部分拡大側面図であり、
図3の破線円に対応する範囲の部分拡大側面図であり、フック本体部の規制部の爪部と抜止本体部の爪部の噛合状態を示す。
図5は、連結具の部分水平断面図であり、
図4の一点破線X5−X5に沿う水平断面を示す。
図6は、連結具の部分垂直模式図であり、取付部材を断面にて示し、フック部材を側面視して示す。
図7は、連結具のフック部材の側面模式図であり、金型成形された抜止部が初期姿勢若しくは初期位置にある状態を示す。
図8は、連結具のフック部材の側面模式図であり、フック本体部に設けられた左側規制壁と右側規制壁の間に抜止部が圧入される過程を示す。
図9は、連結具の部分水平断面図であり、
図8の一点破線X9−X9に沿う水平断面を示す。
【0025】
連結具10は、上下方向に平行な不図示の回動軸周りに取付部材100とフック部材200が回動可能に連結した連結具である。取付部材100は、ショルダーベルト等に例示される帯体が取り付けられる部材であり、ベルト取付部材又は帯体取付部材と呼んでも良い。フック部材200は、金属又は樹脂輪に例示される環体に対して引っ掛けられる部材である。取付部材100及びフック部材200は、本例においては樹脂成形品であり、所望の形状のキャビティーを有する金型を用いて製造可能である。
【0026】
連結具10は、例示的及び非限定的には、鞄本体に対してショルダーベルトを連結するために用いられる。なお、取付部材100の具体的構成及び形状は任意であり、環状部材以外の他の形状を有しても良い。フック部材200の具体的構成及び形状も任意であり、そのフック形状も図示のものとは異なっても構わない。
【0027】
図1乃至
図3に示すように、取付部材100は、ベルト掛け杆110及び軸保持部120が設けられた環状部材である。ベルト掛け杆110はベルトを回し掛け易いように扁平に構成される。軸保持部120には、上下方向に取付部材100を貫通する貫通孔H12が設けられ、貫通孔H12の拡大を許容するために貫通孔H12に連通のスリットSL16、SL17が設けられる。
【0028】
図6から理解できるように、軸保持部120には、上側から下側へ徐々に幅広になる若しくは拡径する内部空間が形成される。換言すれば、軸保持部120の内面125は、回動軸沿いの上側から下側に向って半径方向外側へ向かうように構成される。なお、ここで述べる半径方向は、取付部材100とフック部材200の回動軸を基準とする。軸保持部120と内面125と後述の軸部270の外面275が接触可能であり、取付部材100とフック部材200のガタツキの抑止や回動の安定性が確保される。
【0029】
図1乃至
図3に示すように、フック部材200は、フック本体部210と、フック本体部210を閉鎖するための抜止部230と、抜止部230の基端が一体的に結合した軸部270を備える。軸部270は、フック部材200と取付部材100の連結の確保のためにフック本体部210側から離間する方向に延在する軸状部分である。フック本体部210と軸部270の間には着座部280が設けられる。なお、抜止部230が軸部270に対して「結合」する点を勘案して、「軸部」を「被結合部」と命名する。
【0030】
フック本体部210は、所望の剛性を有するJ字状のフック状部分であり、フック先端部211とフック基端部212を有する。フック本体部210は、フック基端部212から下方向へ延在する主棒部213、主棒部213の先端部側から前側及び上側へ弧状に延在する弧状部214、弧状部214の先端部から上方向へ延びる副棒部215を含む。フック先端部211が副棒部215の先端部に等しく、フック基端部212が主棒部213の基端部に等しい。
【0031】
フック本体部210が少なくとも1つの屈曲部、本例では弧状部214を有し、鞄の金属又は樹脂輪等がこれによりフック本体部210内に保持される。
図7から明らかなように、フック部材200は、金属又は樹脂輪等が収容される収容部H210が設けられ、また、収容部H210への又はからの金属又は樹脂輪等の出入通路となる通路部H10が設けられる。
【0032】
フック本体部210のフック基端部212には着座部280を介して軸部270が設けられる。着座部280は、略円盤状部分であり、取付部材100が着座可能な部分である。軸部270は、取付部材100とフック部材200の回動軸に沿って着座部280から上下方向に延びる軸状部分であり、本例においては、下部軸部272と上部軸部274を含む。
【0033】
取付部材100の軸保持部120内にフック部材200の軸部270を差し込んで両者を嵌合すると、取付部材100の軸保持部120が上側の上部軸部274と下側の着座部280により上下から緩く挟み込まれる態様になり、取付部材100及びフック部材200の回動軸周りの円滑な回動が確保される。
【0034】
下部軸部272は、フック本体部210側から離間するに応じて徐々に縮径する部分であり、取付部材100の軸保持部120の内部空間に配され、軸保持部120により包囲される。下部軸部272には後側を深さ方向とする凹部R27が設けられ、下部軸部272が、円柱状の半分が欠いた形状になる。
【0035】
上部軸部274は、下部軸部272よりも上側の部分であり、前後方向に長く左右方向に短い上面視楕円形状に構成され、またその外周部が面取り若しくは曲面に構成されている。上部軸部274は、軸保持部120の貫通孔H12を通過して軸保持部120上に配されて取付部材100とフック部材200の連結を確保する部分であり、従って、軸保持部120内を通過しやすいように構成すると良い。
【0036】
下部軸部272の凹部R27は、
図3に示すように、上側側面1227、下側側面1327及び底面1127を有する。底面1127が、上下に間隔をあけて対向配置された上側側面1227及び下側側面1327を接続する。抜止部230の基端が上側側面1227と底面1127の結合箇所に連結し、後述のバネ部240に過度な変形を伴うことなく抜止部230の弾性を好適に確保できる。凹部R27の下側側面1327から下方向へ下部軸部272及び着座部280を貫通する切欠きR28が設けられる。切欠きR28には抜止部230が収容され、これにより抜止部230の枢動が好適に許容される。着座部280が省略された実施形態においては、切欠きR28が少なくとも下部軸部272を上下方向に貫通するだろう。
【0037】
図6に示すように、切欠きR28に収容された抜止部230を左右両側から挟み込む挟込部267が設けられる。挟込部267は、左側挟込部268と右側挟込部269から構成される。左側挟込部268は、下部軸部272の一部と着座部280の一部から成る。右側挟込部269は、下部軸部272の一部と着座部280の一部から成る。挟込部267により抜止部230の左側、右側、又は左右両側の変位を好適に規制することができ、抜止部230の外れを抑制することが見込まれる。挟込部267を抜止部230の左右方向の変位を規制する規制部として把握しても構わない。なお、左右方向は、フック本体部210の開閉のために抜止部230が枢動する平面に対して直交する方向である。
【0038】
抜止部230は、フック本体部210の通路部H10を封鎖し、当該抜止部230の枢動に応じて通路部H10を開閉するために設けられる。抜止部230は、バネ部240、及びバネ部240に連結した抜止本体部250を含む。バネ部240は、抜止部230の初期姿勢側への抜止部230の付勢を確保するべく弾性に構成される。なお、「抜止部230の初期姿勢側」は、フック本体部210から離間する方向の一例である。必ずしもこの限りではないが、抜止本体部250をバネ部240と比較して剛性に構成し、換言すれば、バネ部240と比較して膨大、より大きいサイズ、又はより大きい体積に構成しても良い。抜止部230は、バネ部240と抜止本体部250にバネ機能と閉鎖機能とが個別に割り当てられて構成される。
【0039】
抜止部230の抜止本体部250は、着座部280と共に取付部材100の座面を構成するように形状付けられると良い。
図3に示すように凸部236が抜止本体部250に設けられ、当該凸部236が
図1に示す着座部280の座面S28に面一になる面を有することが望ましい。かかる構成により、取付部材100が周方向にほぼ連続の着座面上に着座可能になり、その回動を安定化することができる。
【0040】
抜止部230の初期姿勢は、金型から取り出した状態のフック部材200を示す
図7から分かるように、繰り返し述べている回動軸に対して直交する前後方向に略平行である。バネ部240を枢動点として初期姿勢の抜止部230を下側及び後側へ枢動させ、抜止部230の抜止先端部231をフック本体部210のフック先端部211に対して係止させる。抜止部230は、バネ部240の弾性に応じて初期姿勢側へ付勢されるも、フック先端部211によりその復帰が規制される。この状態において抜止部230の操作部235を後方へ押し込んでも、バネ部240の弾性に応じてフック先端部211に係止した状態へ復帰する。
【0041】
図2に示すように後述の規制部260を構成する左側規制壁261及び右側規制壁262の各前側面に孤状の凹み215が設けられ、抜止部230の操作部235が凹み215と比較して前側へ突出して設けられ、操作部235の押込みにより抜止部230を前後方向に簡単に変位させることができる。
【0042】
抜止部230は、
図1乃至
図3に示すフック本体部210を閉鎖した状態において上下方向に長尺である。抜止部230のバネ部240は、幅や厚みにおいて抜止本体部250よりも狭く及び薄く構成される。つまり、バネ部240の最大幅が抜止本体部250の最大幅よりも小さく、バネ部240の最大厚が抜止本体部250の最大厚よりも小さい。
【0043】
本実施形態では、抜止本体部250がバネ部240を介して軸部270に対して一体的に連結する。本構成によれば、例えば、抜止本体部250の外観変更若しくはそこへの機能付加を施し易くなる。例えば、抜止部230の形状を現に若しくは見た目の観点から「強い抜止力」を呈するように改良できる。なお、本例においては、抜止部230の弾性をバネ部240で主に確保し、抜止部230の剛性を抜止本体部250で主に確保できる。抜止本体部250をバネ部240に比べて膨大に構成して剛性を持たし、抜止部230の形状の自由度を確保しても良い。
【0044】
図1に示すように、抜止本体部250の先端側に左右方向に幅広の幅広部251が設けられ、幅広部251よりも幅狭の幅狭部252がその基端側に設けられ、フック本体部210の欠きが幅広の部分により閉鎖されることにより、現に若しくは見た目の観点から「強い抜止力」を確保できる。
【0045】
軸部270に対する抜止部230、本例ではバネ部240の基端の連結位置が、フック本体部210と軸部270の間の連結位置よりも回動軸上においてフック本体部210から遠くに位置する。この場合、抜止部230の枢動を好適に確保することができる。なお、本例においては、フック本体部210と軸部270の間に着座部280が設けられているため、フック本体部210と軸部270の間の連結位置は、着座部280が設けられた位置である。従って、軸部270に対する抜止部230の連結位置は、着座部280と比較して回動軸上においてフック本体部210から遠くに位置する、と言える。
図3に示す状態のとき、バネ部240は、下部軸部272の凹部R27内に配され、また、その基端から抜止本体部250側に向って下部軸部272の隣を延在する。
【0046】
バネ部240が抜止本体部250よりも機械的若しくは構造的に弱いため、
図6から理解できるように、抜止部230のバネ部240を取付部材100の軸保持部120により包囲して保護すると良い。屈曲状態のバネ部240が軸保持部120の内面125に接触しないようにすることが望ましい。この観点から、バネ部240の基端を下部軸部272の凹部R27の底側、つまり上述の底面1127寄りに一体的に結合することが望ましい。
【0047】
フック本体部210が、左右方向における抜止部230の変位を規制するための規制部260を有することが望ましい。規制部260は、抜止部230、端的には抜止本体部250の幅狭部252を挟み込むように構成され、これにより、抜止部230の左右方向のガタツキを抑制でき、フック本体部210のフック先端部211からの抜止先端部231の外れを抑制できる。本例においては、規制部260は、抜止部230を挟み込むように左右方向に間隔をあけて配置された左側規制壁261及び右側規制壁262から成る。左側規制壁261及び右側規制壁262は、各々、フック本体部210のフック基端部212からフック先端部211側へ近づくように設けられる。
【0048】
規制部260が、フック本体部210から離間する方向への抜止部230の位置復帰を規制するべく抜止部230に対して係合可能であることが好ましい。この点を達成する具体的な構造は様々な態様が考えられるが、一例を挙げれば、規制部260が少なくとも一つの第1爪部263又は264を備え、かつ抜止部230が少なくとも一つの第2爪部253又は254を備える場合において、第2爪部253又は254が左右方向において凸状に設けられ、第1爪部263又は264が第2爪部253又は254に係合可能なように左右方向以外の方向、本例では下方向へ延在する。
【0049】
図4及び
図5の追加的参照から明らかなように、左側規制壁261及び右側規制壁262の各々に第1爪部263、264が設けられ、また第1爪部263、264に各々が噛合わされる第2爪部253、254が抜止部230に設けられる。各第1爪部263、264と各第2爪部253、254の噛合いにより初期姿勢側への抜止部230の位置復帰が規制される。
【0050】
第1爪部263は、フック先端部211に臨む左側規制壁261の下端部分であり、下側へフック先端部211側へ突出する。第1爪部264は、フック先端部211に臨む右側規制壁262の下端部分であり、下側へフック先端部211側へ突出する。第1爪部263と第1爪部264の関係において、第1爪部263を(第1)左側爪部と呼び、第1爪部264を(第1)右側爪部と呼んでも良い。
【0051】
第2爪部253は、抜止本体部250の左側面に左方向に突出して設けられた部分である。第2爪部254は、抜止本体部250の右側面に右方向に突出した設けられた部分である。このように第2爪部253及び第2爪部254は、左右方向において反対方向に突出する。第2爪部253と第2爪部254の関係において、第2爪部253を(第2)左側爪部と呼び、第2爪部254を(第2)右側爪部と呼んでも良い。第1爪部263と第2爪部253が噛み合い、第1爪部264と第2爪部254が噛み合うことにより、初期姿勢側への抜止部230の枢動を抑制でき、フック本体部210のフック先端部211からの抜止先端部231の外れを抑制できる。
【0052】
図5に示すように、左側規制壁261及び右側規制壁262の間への抜止部230の圧入時に左側規制壁261及び右側規制壁262に当接する抜止部230の抜止本体部250の裏面S250が湾曲に構成される。また、左側規制壁261及び右側規制壁262の間への抜止部230の圧入時に抜止部230が当接する左側規制壁261及び右側規制壁262の各部分に凹み265、266が設けられる。凹み265、266に代えて湾曲面を設けても良い。
図7乃至
図9の参照から理解できるように、初期姿勢の抜止部230を左側規制壁261及び右側規制壁262の間への圧入する際、上述の凹み265、266や湾曲の裏面S250により
図9の破線矢印に示すような左側規制壁261及び右側規制壁262の外側変位及びこれに伴う左側規制壁261及び右側規制壁262の間隔拡大が容易になる。
【0053】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、抜止部230は、当該抜止部230の基端側に設けられたバネ部240、及びバネ部240を介して軸部270に連結した抜止本体部250を含む。本構成によれば、抜止本体部250の外観上の改良若しくは機能的な付加を施し易い。
【0054】
バネ部240が、抜止部230の初期姿勢側への抜止部230の付勢を確保するべく弾性に構成されると良い。軸部270に対する抜止部230、本例ではバネ部240の基端の連結位置が、フック本体部210と軸部270の間の連結位置よりも回動軸上においてフック本体部210から遠くに位置する、と良い。この場合、抜止部230の枢動を好適に確保することができる。
【0055】
本実施形態においては、抜止本体部250を膨大、例えば、バネ部240と比べて膨大に構成でき、「強い抜止力」の確保若しくは演出を確保しやすい。
【0056】
本実施形態においては、抜止本体部250よりも機械的及び構造的に弱いバネ部240が設けられるが、取付部材100の軸保持部120により包囲されて外部からの衝撃から十分に保護され、また外観に現れることもないため「弱い抜止」の印象を与えることもない。
【0057】
本実施形態においては、抜止本体部250の先端側に幅広部251を設けて頑丈に見せることができる。
【0058】
本例の如く抜止部230にバネ部240を設ける場合、バネ部240を枢動点として抜止本体部250が左右に枢動してしまい、抜止部230の外れが生じやすくなることが懸念される。この点に鑑みて、本実施形態においては、フック本体部210に抜止部230を挟込み可能な左側規制壁261及び右側規制壁262を設け、抜止本体部250の左右変位を規制する。これにより、抜止部230を上述のように構成する場合の不都合を低減若しくは抑制することができる。
【0059】
<第2実施形態>
図10乃至
図12を参照して第2実施形態について説明する。
図10は、連結具の垂直模式図であり、取付部材を断面にて示し、フック部材を側面視にて示す。
図11は、連結具の水平模式図であり、
図10の一点鎖線X11−X11に沿う水平断面を示す。
図12は、連結具の水平模式図であり、
図11の変形例を示す。
【0060】
本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、左右方向における抜止部230の変位を規制するための規制部260がフック本体部210ではなく抜止部230に設けられる。このような場合においても第1実施形態で説明したものと同様の効果を得ることができる。
【0061】
繰り返しになるが、本実施形態においても、抜止本体部250がバネ部240を介して軸部270に対して一体的に連結する。抜止部230の弾性をバネ部240で主に確保し、抜止部230の剛性を抜止本体部250で主に確保できる。また、軸部270に対する抜止部230、本例ではバネ部240の基端の連結位置が、フック本体部210と軸部270の間の連結位置よりも回動軸上においてフック本体部210から遠くに位置し、抜止部230の枢動を好適に確保できる。
【0062】
抜止本体部250をバネ部240に比べて膨大に構成して剛性を持たせ、その形状の自由度を確保しても良い。この点に基づき、抜止部230の形状を現に若しくは見た目の観点から「強い抜止力」を呈するように改良し、つまりは、抜止本体部250に規制部260を設けた。
【0063】
図10及び
図11に示すように、規制部260は、フック本体部210、端的にはフック本体部210の主棒部213を挟み込むように構成され、これにより、抜止部230の左右方向の枢動を抑制でき、フック本体部210のフック先端部211からの抜止先端部231の外れを抑制できる。本例においては、規制部260は、主棒部213を挟み込むように左右方向に間隔をあけて配置された左側規制壁261及び右側規制壁262から成る。左側規制壁261及び右側規制壁262は、各々、抜止本体部250から主棒部213側へ近づくように設けられる。
【0064】
左側規制壁261及び右側規制壁262により挟み込まれる主棒部213の部分を肉薄としても良い。左側規制壁261及び右側規制壁262の各側面に意匠を施すことも可能になる。
【0065】
図10に示すように抜止部230がフック本体部210により係止された状態において、抜止部230に設けられた凸部236と着座部280の間にクリアランスC280が設けられる。これにより、抜止部230の円滑な枢動が確保される。
【0066】
図12に
図11に示す構成の変形例を示す。第1実施形態の開示に習い、左側規制壁261及び右側規制壁262の各々に第1爪部263、264を設け、また第1爪部263、264に各々が噛合わされる第2爪部253、254をフック本体部210の主棒部213に設けても良い。各第1爪部263、264と各第2爪部253、254の噛合いにより初期姿勢側への抜止部230の位置復帰が規制される。本例においては、噛合わされるべき第1爪部263と第2爪部253は、左右方向において反対方向に凸状に設けられ、同様に、噛合わされるべき第1爪部264と第2爪部254は、左右方向において反対方向に凸状に設けられる。
【0067】
第1爪部263は、左側規制壁261の内面から右方向へ凸状に設けられ、
図12に示す状態において主棒部213の左側面に臨む。第1爪部264は、右側規制壁262の内面から左方向へ凸状に設けられ、
図12に示す状態において主棒部213の右側面に臨む。第2爪部253は、主棒部213の前側面と左側面の間において左側へ凸状に設けられる。第2爪部254は、主棒部213の前側面と右側面の間において右側へ凸状に設けられる。第1爪部263と第2爪部253が噛み合い、第1爪部264と第2爪部254が噛み合うことにより、初期姿勢側への抜止部230の枢動を抑制でき、フック本体部210のフック先端部211からの抜止先端部231の外れを抑制できる。
【0068】
<第3実施形態>
図13及び
図14を参照して第3実施形態について説明する。
図13は、連結具の垂直模式図であり、シリコンカバーを断面にて示す。
図14は、シリコンカバーの斜視図である。
【0069】
本実施形態においては、第1及び第2実施形態のようにフック部材200の軸部270及びバネ部240を取付部材100の軸保持部120により包囲するのではなく、別の保護部材300によりそれらを包囲して保護する。このような場合においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
軸部270及びバネ部240を少なくとも部分的に包囲し保護する保護部材300は、例えば、弾性を有する円筒状部材であり、例えば、シリコーン等から成る。円筒状の保護部材300の周壁部には切れ目が設けられることが望ましい。これにより、軸部270に対する保護部材300の取付が簡便に確保される。もちろん、このような切れ目がない連続の円筒状の保護部材を用いても構わない。保護部材300の外囲周面には文字、図形、記号、又はこれらの組み合わせの意匠を施すことができ、連結具10の意匠性を高めることができる。
【0071】
<第4実施形態>
図15を参照して第4実施形態について説明する。
図15は、連結具の垂直模式図であり、取付部材を断面にて示し、フック部材を側面視にて示す。
【0072】
第1実施形態においては挟込部267と規制部260の両方により抜止部230の左右方向の変位を規制したが、これに限らず、挟込部267のみにより抜止部230の左右方向の変位を規制しても良い。このような場合においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。第1実施形態で述べたように挟込部267も規制部の一態様である。
【0073】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。取付部材、フック部材、及び保護部材の具体的な構成、形状、サイズ、材質は任意である。フック部材のフック本体部、軸部、着座部、抜止部の具体的な構成、形状、サイズ、材質は任意である。抜止部のバネ部、抜止本体部の具体的な構成、形状、サイズ、材質は任意である。軸部は、回動軸以外の軸線に沿って延在しても構わない。爪部の個数や具体的な構成は任意である。