特許第5969126号(P5969126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969126キャパシタ用電極材及びその製造方法、並びに電気二重層キャパシタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969126
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】キャパシタ用電極材及びその製造方法、並びに電気二重層キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/32 20130101AFI20160804BHJP
   H01G 11/44 20130101ALI20160804BHJP
   H01G 11/34 20130101ALI20160804BHJP
   H01G 11/38 20130101ALI20160804BHJP
   C01B 31/04 20060101ALI20160804BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20160804BHJP
【FI】
   H01G11/32
   H01G11/44
   H01G11/34
   H01G11/38
   C01B31/04 101Z
   H01G11/86
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-523336(P2015-523336)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(86)【国際出願番号】JP2014083733
(87)【国際公開番号】WO2015098758
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-269472(P2013-269472)
(32)【優先日】2013年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】野里 省二
(72)【発明者】
【氏名】中壽賀 章
(72)【発明者】
【氏名】俵頭 俊司
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】豊田 昌宏
【審査官】 柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−107233(JP,A)
【文献】 特開2013−112591(JP,A)
【文献】 特開2008−042182(JP,A)
【文献】 特開2001−243943(JP,A)
【文献】 特開2007−243042(JP,A)
【文献】 特開2013−065837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/32
C01B 31/04
H01G 11/34
H01G 11/38
H01G 11/44
H01G 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分的にグラファイトが剥離されている構造を有し、かつ樹を含有している樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛と、バインダー樹脂とを含
前記樹脂が前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛のグラフェン層間に存在している、キャパシタ用電極材。
【請求項2】
10mg/L濃度のメチレンブルーのメタノール溶液の吸光度と、該メチレンブルーのメタノール溶液に前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛を投入し、遠心分離により得られた上澄み液の吸光度との差に基づき測定された前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積(m/g)をxとした場合、比y/xが0.15以上であり、且つ前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積が、40m/g以上である、請求項1に記載のキャパシタ用電極材。
【請求項3】
部分的にグラファイトが剥離されている構造を有し、かつ樹脂を含有している樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛と、バインダー樹脂とを含み、
10mg/L濃度のメチレンブルーのメタノール溶液の吸光度と、該メチレンブルーのメタノール溶液に前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛を投入し、遠心分離により得られた上澄み液の吸光度との差に基づき測定された前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積(m/g)をxとした場合、比y/xが0.15以上であり、且つ前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積が、40m/g以上である、キャパシタ用電極材。
【請求項4】
前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛における樹脂の熱分解開始温度及び熱分解終了温度が、それぞれ、前記熱分解前の樹脂の熱分解開始温度及び熱分解終了温度よりも高い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極材。
【請求項5】
前記樹脂が、ポリグリシジルメタクリレート、ポリプロピレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール及びポリアクリル酸からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂である、請求項1〜のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極材。
【請求項6】
前記バインダー樹脂が、ポリブチラール、ポリテトラフルオロエチレン又はフッ素系ポリマーである、請求項1〜のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極材。
【請求項7】
前記フッ素系ポリマーが、ポリフッ化ビニリデンである、請求項に記載のキャパシタ用電極材。
【請求項8】
前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛100重量部に対し、前記バインダー樹脂を0.3〜40重量部含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のキャパシタ用電極材。
【請求項9】
樹脂が黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定されている組成物中の樹脂を熱分解して、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有し、かつ前記樹脂が一部残存している樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛を得る工程と、
前記樹脂含有部分剥離型薄片化黒鉛にバインダー樹脂を含めて電極材に賦形する工程とを備える、キャパシタ用電極材の製造方法。
【請求項10】
前記電極材の賦形は、圧延ローラーでシート化した後、乾燥することにより行うことを特徴とする、請求項に記載のキャパシタ用電極材の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜のいずれか一項に記載のキャパシタ用電極材を備える、電気二重層キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素材料を用いたキャパシタ用電極材及びその製造方法に関し、より詳細には、薄片化黒鉛とバインダー樹脂とを含むキャパシタ用電極材及びその製造方法、並びに該キャパシタ用電極材を備える電気二重層キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャパシタ用電極材として、黒鉛、活性炭、カーボンナノファイバー又はカーボンナノチューブ等の炭素材料が、環境的側面から広く用いられている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、ドープされた炭素材料と、粒子サイズが相違した2種の導電材とを含む電気化学キャパシタの電極が開示されている。特許文献1では、ドープされた炭素材料を活物質として使用し、上記活物質の間に粒子サイズの相違した2種の導電材を添加することにより得られた電極を用いることにより、低抵抗、高出力の電気化学キャパシタを製造できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−42134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電極では、ドープされた炭素材料を活物質として使用しているため、導電材として、カーボンブラックや、アセチレンブラックなどの導電助剤を添加する必要があった。そのため、活物質の実質的容量が低下するという問題点があった。
【0006】
また、特許文献1の電気化学キャパシタでは、活物質としてのドープされた炭素材料を電極に用いることにより、静電容量の増加が図られているが、なお不十分であった。
【0007】
本発明の目的は、導電助剤を使用する必要が無く、かつ電気二重層キャパシタの静電容量を高め得るキャパシタ用電極材及びその製造方法、並びに該キャパシタ用電極材を用いて構成された電気二重層キャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るキャパシタ用電極材は、樹脂が黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定されている組成物中の樹脂を熱分解したものであって、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有し、かつ前記樹脂が一部残存している樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛と、バインダー樹脂とを含む。
【0009】
本発明に係るキャパシタ用電極材のある特定の局面では、10mg/L濃度のメチレンブルーのメタノール溶液の吸光度と、該メチレンブルーのメタノール溶液に前記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を投入し、遠心分離により得られた上澄み液の吸光度との差に基づき測定された前記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛1gあたりのメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、前記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積(m/g)をxとした場合、比y/xが0.15以上であり、且つ前記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積が、40m/g以上である。
【0010】
本発明に係るキャパシタ用電極材の他の特定の局面では、前記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛における残存樹脂の熱分解開始温度及び熱分解終了温度が、それぞれ、熱分解前の前記樹脂の熱分解開始温度及び熱分解終了温度よりも高い。
【0011】
本発明に係るキャパシタ用電極材では、好ましくは、前記樹脂が、ポリグリシジルメタクリレート、ポリプロピレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール及びポリアクリル酸からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂である。
【0012】
本発明に係るキャパシタ用電極材では、好ましくは、前記バインダー樹脂が、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリブチラール、ポリテトラフルオロエチレン又はフッ素系ポリマーである。前記フッ素系ポリマーは、好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
【0013】
本発明に係るキャパシタ用電極材では、好ましくは、前記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛100重量部に対し、前記バインダー樹脂を0.3〜40重量部含む。
【0014】
本発明に係るキャパシタ用電極材の製造方法は、樹脂が黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定されている組成物中の樹脂を熱分解して、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有し、かつ前記樹脂が一部残存している樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得る工程と、前記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛にバインダー樹脂を含めて電極材に賦形する工程とを備える。
【0015】
本発明に係るキャパシタ用電極材の製造方法では、好ましくは、前記電極材の賦形は、圧延ローラーでシート化した後、乾燥することにより行うことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電気二重層キャパシタは、本発明に従って構成されたキャパシタ用電極材を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るキャパシタ用電極材及びその製造方法によれば、黒鉛系材料として樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を用いているため、導電助剤を必要としない。また、上記キャパシタ用電極材を電極に用いることにより、静電容量が大きい電気二重層キャパシタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のTG/DTA測定結果を示す図である。
図2図2は、実施例1で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛及び原料黒鉛である膨張化黒鉛のXRDスペクトルを示す図である。
図3図3は、実施例1で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を倍率1000倍で走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。
図4図4は、実施例1で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を倍率6000倍で走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。
図5図5は、実施例2で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のTG/DTA測定結果を示す図である。
図6図6は、実施例2で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛及び原料黒鉛である膨張化黒鉛のXRDスペクトルを示す図である。
図7図7は、実施例2で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を倍率3000倍で走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。
図8図8は、実施例2で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を倍率6000倍で走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。
図9図9は、実施例3で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のTG/DTA測定結果を示す図である。
図10図10は、実施例3で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛及び原料黒鉛である膨張化黒鉛のXRDスペクトルを示す図である。
図11図11は、実施例3で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を倍率1000倍で走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。
図12図12は、実施例3で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を倍率5000倍で走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真である。
図13図13は、実施例4で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のTG/DTA測定結果を示す図である。
図14図14は、実施例5で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のTG/DTA測定結果を示す図である。
図15図15は、実施例1で用いた樹脂のTG/DTA測定結果を示す図である。
図16図16は、実施例2で用いた樹脂のTG/DTA測定結果を示す図である。
図17図17は、実施例3で用いた樹脂のTG/DTA測定結果を示す図である。
図18図18は、実施例1〜5で用いた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積とメチレンブルー吸着量との関係を示す図である。
図19図19は、実施例1で得られた電極の0V〜1V間の繰り返し充放電特性の測定結果を示す図である。
図20図20は、実施例2で得られた電極の0V〜1V間の繰り返し充放電特性の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0020】
[キャパシタ用電極材]
本発明に係るキャパシタ用電極材は、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛と、バインダー樹脂とを含む。本発明に係るキャパシタ用電極材においては、導電助剤の配合を必須としない。すなわち、導電助剤を配合してもよく、配合しなくともよい。キャパシタ用電極材を構成している上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛が、非酸化性雰囲気下で作られ、かつ導電性を有するためである。導電助剤を用いない場合、小さい電極容積でも静電容量をより一層向上できるという効果がある。
【0021】
また、本発明に係るキャパシタ用電極材の形状は特に限定されず、フィルム状、シート状、粒状などの適宜の形状のものを用いることができる。以下、本発明のキャパシタ用電極材の必須の構成成分である、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛及びバインダー樹脂の詳細を説明する。
【0022】
(樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛)
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛と、樹脂とを含み、樹脂が黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフトまたは吸着により固定されている組成物を用意し、該組成物中に含まれている樹脂の一部を残存させながら、熱分解したものである。
【0023】
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛においては、上記熱分解により、黒鉛または一次薄片化黒鉛におけるグラフェン層間が拡げられ、それによって、部分的にグラファイトが剥離されている。樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛では、端縁からある程度内側まで部分的にグラファイトが剥離されている。
【0024】
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、グラファイトが薄片化している部分を多数有している。上記グラファイトが薄片化している部分とは、黒鉛又は一次薄片化黒鉛のうち、一部のグラフェンの積層体又グラフェンが部分的に剥離されている部分のことをいう。
【0025】
また、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、中央側の部分において、元の黒鉛または一次薄片化黒鉛と同様にグラフェンが積層している構造を有している。もっとも、中央側の部分においても、樹脂の一部が熱分解することによって、もとの黒鉛又は一次薄片化黒鉛よりグラフェン層間の拡げられている部分が存在していてもよい。
【0026】
また、本発明においては、上記熱分解は樹脂の一部を残存させながら行うため、黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛にグラフトまたは吸着により固定されている樹脂が一部残存している。従って、元の黒鉛比表面積より大幅に比表面積が増加する。また、一部樹脂が残存しているため、バインダーとの分散性が向上し、バインダー量を低減することができる。さらには、残存樹脂を含むため、比表面積が大きいのにもかかわらず、飛散性が低く、取り扱いが容易である。
【0027】
上記黒鉛とは、複数のグラフェンの積層体である。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛などを用いることができる。膨張黒鉛は、通常の黒鉛よりもグラフェン層の層間が大きい。従って容易に剥離される。そのため、膨張黒鉛を用いた場合、薄片化黒鉛をより一層容易に得ることができる。
【0028】
上記黒鉛は、グラフェンの積層数は10万層以上〜100万層程度であり、BETによる比表面積(BET比表面積)で35m/g以下の値を有するものである。
【0029】
他方、部分剥離型薄片化黒鉛においては、部分的にグラファイトが剥離され薄片化している部分のグラフェンの積層数が少ない。上記グラファイトが薄片化している部分のグラフェンの積層数は、1000層以下であることが好ましく、300層以下であることがより好ましく、100層以下であることがさらに好ましい。薄片化している部分のグラフェン積層数が少ない場合、より一層バインダー樹脂との相溶性を高めることができる。
【0030】
また、部分剥離型薄片化黒鉛においては、グラフェン間の層間距離が広げられているため、またエッジ部分の薄片化している部分のグラフェン積層数が少ないため、BETによる比表面積(BET比表面積)が大きい。部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積は、40m/g以上であることが好ましく、60m/g以上であることがより好ましく、100m/g以上であることがさらに好ましい。また、部分剥離型薄片化黒鉛のBET比表面積は、2500m/g以下であることが好ましい。BET比表面積が、上記範囲内にある場合、より一層バインダー樹脂との相溶性を高めることができる。
【0031】
また、本発明では、原料として黒鉛に代わり、一次薄片化黒鉛を用いてもよい。一次薄片化黒鉛とは、黒鉛を剥離することにより得られた薄片化黒鉛を多く含むものである。一次薄片化黒鉛を原料として用いた場合、一次薄片化黒鉛と樹脂とを含み、樹脂が一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着している組成物を用意する。一次薄片化黒鉛は、黒鉛を剥離することにより得られるものであるため、その比表面積は、黒鉛よりも大きいものであればよい。
【0032】
なお、本明細書において、薄片化黒鉛とは、元の黒鉛または一次薄片化黒鉛を剥離処理して得られる剥離後のグラフェン積層体であり、元の上記黒鉛または一次薄片化黒鉛よりも比表面積の大きいグラフェン積層体または元の黒鉛または一次薄片化黒鉛の分解終点が低温化へシフトしたグラフェン積層体をいう。
【0033】
黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフトまたは吸着により固定される樹脂としては、特に限定されないが、ラジカル重合性モノマーの重合体であることが好ましい。樹脂は、複数種類のラジカル重合性モノマーの共重合体であってもよいし、1種類のラジカル重合性モノマーの単重合体であってもよい。
用いられる樹脂の例としては、ポリプロピレングリコール、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール、ポリアクリル酸が挙げられる。好ましくは、ポリグリシジルメタクリレートが挙げられる。ポリグリシジルメタクリレートを用いた場合、部分剥離型薄片化黒鉛の比表面積をより一層大きくすることができる。
【0034】
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛中に残存している樹脂の量は、部分剥離型薄片化黒鉛100重量部に対し、5重量部〜450重量部であることが好ましい。残存している樹脂の量は、15重量部〜350量部であることがより好ましく、25重量部〜300重量部であることがさらに好ましい。残存樹脂の量を上記範囲内とすることで、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の比表面積をより一層大きくすることができる。
【0035】
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、下記の方法により測定されたメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、BET比表面積(m/g)をxとした場合、比y/xが0.15以上であり、且つBET比表面積が、40m/g以上であることが好ましい。比y/xは、0.17以上であることがより好ましく、0.20以上であることがさらに好ましい。また、BET比表面積は、60m/g以上であることがより好ましく、100m/g以上であることがさらに好ましい。
【0036】
上記メチレンブルー吸着量は、10mg/Lの濃度のメチレンブルーのメタノール溶液の吸光度と、該メチレンブルーのメタノール溶液に樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を投入し、攪拌した後、遠心分離により得られた上澄み液の吸光度との差に基づき測定される。
【0037】
より詳細には、上記メチレンブルー吸着量は、以下の方法で求められる。10mg/Lの濃度のメチレンブルーのメタノール溶液に、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を投入し、攪拌する。次に遠心分離し、得られた上澄み液の極大吸収波長における吸光度変化を観察する。メチレンブルーは、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のグラフェンが積層されている部分に対し、π共役により吸着する。他方、メチレンブルーは光の照射により蛍光を発する。グラフェンにメチレンブルーが吸着されると蛍光を発しなくなる。すなわち、蛍光強度が低下することになる。よって、元のメチレンブルーの蛍光強度に対する上記上澄み液から求められた蛍光強度の低下量により、メチレンブルー吸着量を求めることができる。
【0038】
他方、上記メチレンブルー吸着量と、炭素質材料の比表面積とには相関が存在する。従来から知られている球状の黒鉛粒子では、BETにより求められた比表面積(m/g)をx、上記メチレンブルー吸着量(μモル/g)をyとしたとき、y≒0.13xの関係にあった。これは、比表面積が大きい程、メチレンブルー吸着量が多くなることを示している。従って、メチレンブルー吸着量は、比表面積の代わりの指標となり得るものである。
【0039】
本発明では、上述のとおり、本発明に係るキャパシタ用電極材を構成する樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の比y/xが、0.15以上であることが好ましい。これに対して、従来の球状の黒鉛粒子では、比y/xが0.13である。従って、比y/xが0.15以上である場合、従来の球状の黒鉛とは、同じBET比表面積でありながら、メチレンブルー吸着量が多くなる。すなわち、この場合、乾燥状態では幾分凝縮するものの、メタノール中などの湿式状態では、グラフェン間又はグラファイト間を乾燥状態に比べより一層広げることができる。
【0040】
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛中の樹脂の熱分解開始温度及び熱分解終了温度は、それぞれ、複合化前の樹脂の熱分解開始温度及び熱分解終了温度よりも高いことが好ましい。なお、本発明において、熱分解開始温度及び熱分解終了温度は、それぞれ、TGA測定依存の分解開始温度及び分解終点温度をいう。
【0041】
上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、比較的飛散し難いという特徴を有する。これは、後述の通り、上記ラジカル重合性モノマーが重合してなるポリマー(樹脂)が熱分解工程において、完全に分解されず残存しているためと考えられる。言い換えれば、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛におけるグラフェン層間に挟まれている部分に位置している樹脂は、両側のグラフェンに挟まれているため、熱分解温度付近では完全に分解しないと考えられる。そのため、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、取り扱いが容易である。
【0042】
また、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、グラフェン間の層間距離が拡げられており、比表面積が大きい。さらに、本発明に係る上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、中心部分がグラファイト構造を有し、エッジ部分が薄片化している構造である。このため、従来の薄片化黒鉛よりも取り扱いが容易である。
【0043】
また、本発明に係る上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、樹脂を含むため、他の樹脂への分散性が高い。特に、他の樹脂が、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛に含まれる樹脂と親和性の高い樹脂である場合、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の他の樹脂への分散性は、より一層高められる。
【0044】
(バインダー樹脂)
上記バインダー樹脂としては、ポリブチラール、ポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリイミド樹脂または、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマーや水溶性のカルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンを用いることができる。ポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、分散性や耐熱性がより一層向上するからである。
【0045】
上記バインダー樹脂の配合割合については、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛100重量部に対し、0.3〜40重量部の範囲とすることが望ましく、0.3〜15重量部の範囲がより望ましい。この範囲内であれば、活物質の容量をより一層高めることができる。
【0046】
[キャパシタ用電極材の製造方法]
本発明に係るキャパシタ用電極材の製造方法では、まず、樹脂が黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着により固定されている組成物中の樹脂を熱分解して、部分的にグラファイトが剥離されている構造を有し、かつ樹脂が一部残存している樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得る。しかる後、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛にバインダー樹脂と溶媒とを含めて電極材に賦形し、キャパシタ用電極材を得る。
【0047】
上記電極材の賦形は、圧延ローラーでシート化した後、乾燥することにより行うことが好ましい。それ以外にも上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛、バインダー樹脂と溶媒とからなる塗液を集電体に塗工し、その後乾燥することによっても行うことができる。上記溶媒としては、エタノールやN−メチルピロリドン(NMP)、水等を使用することができる。
【0048】
以下、上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の製造方法について詳述する。
【0049】
(樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の製造方法)
上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の製造方法においては、まず樹脂が黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛に固定されている組成物を用意する。樹脂の黒鉛もしくは薄片化黒鉛への固定は、グラフト又は吸着により行われる。
【0050】
上記グラフトの方法としては、上記黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛と、ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を用意し、混合物中のラジカル重合性モノマーを重合することにより、混合物中に上記ラジカル重合性モノマーが重合しているポリマーを生成させるとともに、該ポリマー、すなわち樹脂を黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフトさせる方法が挙げられる。
【0051】
上記ラジカル重合性モノマーとしては、プロピレングリコール、グリシジルメタクリレート、酢酸ビニル、ブチラール又はアクリル酸などが挙げられる。
【0052】
あるいは、予め得られたポリマーを黒鉛または一次薄片化黒鉛の存在下で特定の温度範囲に加熱することにより、ポリマーを熱分解することにより生成したポリマーラジカルを直接黒鉛または一次薄片化黒鉛にグラフトさせてもよい。
【0053】
上記吸着の方法としては、黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛と、樹脂とを適宜の溶媒に溶解もしくは分散させた後、溶媒中において、黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛を樹脂と混合する方法を用いることができる。好ましくは、樹脂に黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛により効果的に吸着させるために、超音波処理を実施することが望ましい。
【0054】
上記ポリマー、すなわち樹脂としては、ポリプロピレングリコール、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール又はポリアクリル酸などが挙げられる。
【0055】
次に、上記グラフト又は吸着により、樹脂が黒鉛もしくは一次薄片化黒鉛に固定されている組成物中の樹脂を熱分解する。それによって、樹脂の一部を残存させながら、黒鉛または一次薄片化黒鉛が剥離され、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得ることができる。この場合の樹脂の熱分解を果たすために、上記組成物を樹脂の熱分解温度以上に加熱すればよい。
【0056】
より具体的には、樹脂の熱分解温度以上に加熱し、さらに樹脂を焼成する。このとき、組成物中に樹脂が残存する程度に焼成する。樹脂を残存させるように熱分解させるには、加熱時間を調整することにより達成することができる。すなわち、加熱時間を短くすることにより残存樹脂量を多くすることができる。また、加熱温度を低めることにより残存樹脂量を多くすることもできる。このようにして、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得ることができる。熱分解温度については、例えば、ポリグリシジルメタクリレートの熱分解温度は400℃〜500℃程度である。なお、上記グラフトの工程と、上記ポリマーの熱分解とを同じ加熱工程において連続的に実施してもよい。
【0057】
上記ポリマーの熱分解により樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得ることができるのは、以下の理由によると考えられる。黒鉛又は一次薄片化黒鉛にグラフト又は吸着しているポリマー(樹脂)が焼成されると、グラフト点又は吸着点に大きな応力が作用し、そのことにより、グラフェン層間の距離が拡げられる。それによって、部分的にグラファイトが剥離し、上述した多数のグラファイトが薄片化している部分が形成される。
【0058】
上記組成物を用意する工程では、好ましくは、熱分解する際にガスを発生する熱分解性発泡剤をさらに含む組成物を用意する。その場合には、加熱により黒鉛または一次薄片化黒鉛をより一層効果的に剥離することができる。
【0059】
上記熱分解性発泡剤としては、加熱により自発的に分解し、分解時にガスを発生する化合物である限り、特に限定されない。上記熱分解性発泡剤としては、例えば、分解時に窒素ガスを発生するアゾカルボン酸系、ジアゾアセトアミド系、アゾニトリル化合物系、ベンゼンスルホヒドラジン系またはニトロソ化合物系等の発泡剤や、分解時に一酸化炭素、二酸化炭素、メタンまたはアルデヒド等を発生する発泡剤などを用いることができる。上記熱分解性発泡剤は単独で用いてもよく、複数の種類の発泡剤を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
好ましくは、上記熱分解性発泡剤としては、下記の式(1)に示される構造を有するアゾジカルボンアミド(ADCA)や、下記の式(2)〜(4)に示される構造を有する発泡剤を用いることができる。これらの発泡剤は、加熱により自発的に分解し、分解時に窒素ガスを発生する。
【0061】
【化1】
【0062】
【化2】
【0063】
【化3】
【0064】
【化4】
【0065】
なお、上記熱分解性発泡剤の熱分解温度は特に限定されず、上記ラジカル重合性モノマーが自発的に重合を開始する温度より低くてもよく、高くてもよい。なお、上記式(1)に示される構造を有するADCAの熱分解温度は210℃であり、上記式(2)〜(4)に示される構造を有する発泡剤の熱分解開始温度は順に88℃、96℃、110℃である。
【0066】
上記黒鉛または一次薄片化黒鉛と上記熱分解性発泡剤との配合割合は特に限定されないが、上記黒鉛または一次薄片化黒鉛100重量部に対し、上記熱分解性発泡剤を100重量部〜300重量部配合することが好ましい。上記熱分解性発泡剤の配合量を上記範囲とすることで、上記黒鉛または一次薄片化黒鉛をより一層効果的に剥離し、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を効果的に得ることができる。
【0067】
[電気二重層キャパシタ]
本発明に係る電気二重層キャパシタは、本発明に従って構成されたキャパシタ用電極材を備える。従って、導電助剤が不要であるため、本発明の電気二重層キャパシタは静電容量が大きい。
【0068】
電気二重層キャパシタの電解液は、水系と非水系(有機系)の2種類が存在する。本発明の樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛は、どちらの電解液でも使用することができる。
【0069】
水系の電解液としては、例えば、溶媒に水を用い、電解質に硫酸や水酸化カリウムなどが用いられる。
【0070】
非水系の電解液としては、例えば、溶媒にプロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)やジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などを用い、電解質に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF)、四フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF)などが用いられる。
【0071】
非水系の電解液に使用する場合は、上述したメチレンブルー吸着量(μモル/g)をy、BET比表面積(m/g)をxとした場合の比y/xが、0.25以上であることが好ましく、0.35以上であることがより好ましい。
【0072】
比y/xが大きいほど、非水系電解液中で樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛が開いた状態になりやすく、すなわち非水系電解液中で比表面積がより一層大きくなり、BET比表面積以上に大きな性能を発揮することができる。
【0073】
他方、水系の電解液に使用する場合は、比y/xが0.25未満であることが好ましく、0.2未満であることがより好ましい。
【0074】
比y/xが小さいほど、水系電解液中で樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛が開いた状態になりやすく、すなわち水系電解液中で比表面積がより一層大きくなり、BET比表面積以上に大きな性能を発揮することができる。
【0075】
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)
(樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の調製)
膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8」、BET表面積=22m/g)20gと、熱分解性発泡剤として、式(1)に示した構造を有するADCA(永和化成社製、商品名「AC♯R−K3」、熱分解温度210℃)40gと、ポリプロピレングリコール(三洋化成社製、品番:サンニックスGP−3000、数平均分子量=3000)400gと、溶媒としてのテトラヒドラフラン400gとを混合し、原料組成物を用意した。原料組成物に、超音波処理装置(本多電子社製)を用い、100W、発振周波数:28kHzで5時間超音波を照射した。超音波処理により、ポロプロピレングリコール(PPG)を膨張化黒鉛に吸着させた。このようにして、ポリプロピレングリコールが膨張黒鉛に吸着されている組成物を用意した。
【0077】
上記超音波照射後に、上記組成物を溶液流延法により成形し、乾燥温度80℃の温度で2時間維持し、次に110℃の温度で1時間維持した。しかる後、150℃の温度で1時間維持し、さらには、230℃の温度で2時間維持した。それによって、上記組成物中において上記ADCAを熱分解し、発泡させた。
【0078】
次に、430℃の温度で1.5時間維持する加熱工程を実施した。それによって、上記ポリプロピレングリコールを熱分解し、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得た。この樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛では、ポリプロピレングリコールの一部が残存している。
【0079】
得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛について、空気雰囲気下で30℃〜1000℃まで10℃/分の速度で加熱する燃焼試験を行った。この燃焼試験を行った際の、TG/DTA測定結果を図1に示す。
【0080】
図1の矢印Aで示す520℃付近において、図1に実線で示すTG曲線に変曲点が表れている。この変曲点よりも高い温度においても、ポリプロピレングリコールが残存していると考えられる。
【0081】
また、得られた上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のXRDスペクトルを破線、比較のために、原料黒鉛である膨張化黒鉛PFパウダーのXRDスペクトルを図2に実線で示す。図2より、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛においては、ポリプロピレングリコールが熱分解する際にグラファイト層間の一部が剥離されていることが確認できた。
【0082】
図3及び図4は、上記のようにして得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の倍率1000倍及び6000倍の走査型電子顕微鏡写真である。図3及び図4から明らかなように、グラファイト層間が一部開いていることがわかる。なお、得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBETによる比表面積は、150m/gであった。
【0083】
上記のようにして得た樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛900mgと、ポリテトラフルオロエチレン100mgと、溶媒としてのエタノール5gとを、乳鉢により混練した。その後、圧延ローラーにて、膜厚:150μmのシートにシート化し、しかる後60℃、1時間真空乾燥を行った。得られたサンプルを、1cmにカットし、120℃で12時間、真空乾燥することにより、電極シートを得た。
【0084】
(実施例2)
ポリグリシジルメタクリレート(日本油脂社製、品番:G2050M、重量平均分子量=25万、熱分解温度=350℃)10gをテトラヒドロフランに溶解し、ポリグリシジルメタクリレートの10重量%溶液を得た。このポリグリシジルメタクリレート溶液に、膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8」)1000mgを添加し混合物とした。
【0085】
次に、上記混合物に対し、超音波処理装置(本多電子社製)を用い、100W、発周波数28kHzで120分間、超音波を照射した。それによって、上記膨張化黒鉛がポリグリシジルメタクリレート中に分散している組成物を得た。この組成物を100〜1000μmの厚みにキャスト法によりシート成型した。得られたシートを110℃の温度で2時間加熱乾燥した。
【0086】
次に、430℃の温度で0.5時間維持する加熱工程を実施した。それによって、上記ポリグリシジルメタクリレートを熱分解し、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得た。この樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛では、ポリグリシジルメタクリレートの一部が残存している。
【0087】
得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛について、空気雰囲気下で30℃〜1000℃まで10℃/分の速度で加熱する燃焼試験を行った。この燃焼試験を行った際のTG/DTA測定結果を図5に示す。
【0088】
図5より黒鉛由来のピークと、残存樹脂としてのポリグリシジルメタクリレートのピークが存在することを確認できた。
【0089】
また、得られた上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のXRDスペクトルを破線、比較のために、原料黒鉛である膨張化黒鉛PFパウダーのXRDスペクトルを図6に実線で示す。図6より、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛はポリグリシジルメタクリレートが熱分解する際にグラファイト層間の一部が剥離されていることが確認できた。
【0090】
図7及び図8は、上記のようにして得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の倍率3000倍及び6000倍の走査型電子顕微鏡写真である。図7及び図8から明らかなように、グラファイト層間が一部開いていることがわかる。なお、得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBETによる比表面積は、270m/gであった。
【0091】
上記のようにして得た樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を用い、実施例1と同様にして、電極シートを得た。
【0092】
(実施例3)
ポリ酢酸ビニル(電気化学工業社製、品番:サクノールSN−04T、重合度500−700)160gをテトラヒドロフランに溶解し、ポリ酢酸ビニルの33.3重量%溶液を得た。このポリ酢酸ビニル溶液に、膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8」)8gとADCA(永和化成社製、商品名「AC♯R−K3」、熱分解温度210℃)16gとを添加し混合物とした。
【0093】
次に、上記混合物に対し、超音波処理装置(本多電子社製)を用い、100W、発周波数28kHzで5時間、超音波を照射した。それによって、上記膨張化黒鉛がポリ酢酸ビニル中に分散している組成物を得た。この組成物を100〜1000μmの厚みにキャスト法によりシート成型し、乾燥温度80℃の温度で2時間維持し、次に110℃の温度で1時間維持した。しかる後、150℃の温度で1時間維持し、テトラヒドロフランを乾燥させたシート状組成物を得た。さらにそのシート状組成物を粉砕機により粗粉砕し、ポリ酢酸ビニルが膨張化黒鉛に吸着されている粉状組成物が得られた。この粉状組成物をシャーレに4等分し、230℃の温度で2時間維持した。それによって、上記組成物中において上記ADCAを熱分解し、発泡させた。
【0094】
次に、450℃の温度で2時間維持する加熱工程を実施した。より詳細には、5℃/分の速度で加熱し、450℃到達後、2時間保持した。それによって、上記ポリ酢酸ビニルを熱分解し、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得た。この樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛では、ポリ酢酸ビニルの一部が残存している。
【0095】
得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛について、空気雰囲気下で30℃〜1000℃まで10℃/分の速度で加熱する燃焼試験を行った。この燃焼試験を行った際のTG/DTA測定結果を図9に示す。
【0096】
図9より黒鉛由来のピークと、残存樹脂としてのポリ酢酸ビニルのピークが存在することを確認できた。
【0097】
また、得られた上記樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のXRDスペクトルを破線で示し、比較のために、原料黒鉛である膨張化黒鉛PFパウダーのXRDスペクトルを図10に実線で示す。図10より、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛はポリ酢酸ビニルが熱分解する際にグラファイト層間の一部が剥離されていることが確認できた。
【0098】
図11及び図12は、上記のようにして得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の倍率3000倍及び6000倍の走査型電子顕微鏡写真である。図11及び図12から明らかなように、グラファイト層間が一部開いていることがわかる。なお、得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛のBETによる比表面積は、127m/gであった。
【0099】
上記のようにして得た樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を用い、実施例1と同様にして、電極シートを得た。
【0100】
(実施例4)
ポリグリシジルメタクリレート(日本油脂社製、品番:G2050M、重量平均分子量=25万、熱分解温度=350℃)50gをテトラヒドロフランに溶解し、ポリグリシジルメタクリレートの10重量%溶液を得た。このポリグリシジルメタクリレート溶液に、膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8」)2.5gとADCA(永和化成社製、商品名「AC♯R−K3」、熱分解温度210℃)5gを添加し混合物とした。
【0101】
次に、上記混合物に対し、超音波処理装置(本多電子社製)を用い、100W、発周波数28kHzで5時間、超音波を照射した。それによって、上記膨張化黒鉛がポリグリシジルメタクリレート中に分散している組成物を得た。この組成物を100〜1000μmの厚みにキャスト法によりシート成型し、乾燥温度80℃の温度で2時間維持し、次に110℃の温度で1時間維持した。しかる後、150℃の温度で1時間維持し、テトラヒドロフランを乾燥させたシート状組成物を得た。さらにそのシート状組成物を粉砕機により粗粉砕し、ポリグリシジルメタクリレートが膨張化黒鉛に吸着されている粉状組成物が得られた。この粉状組成物をシャーレに2等分し、230℃の温度で2時間維持した。それによって、上記組成物中において上記ADCAを熱分解し、発泡させた。
【0102】
次に、470℃の温度で0.5時間維持する加熱工程を実施した。それによって、上記ポリグリシジルメタクリレートを熱分解し、樹脂残存型の薄片化黒鉛を得た。この樹脂残存型の薄片化黒鉛では、ポリグリシジルメタクリレートの一部が残存している。
【0103】
得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛について、空気雰囲気下で30℃〜1000℃まで10℃/分の速度で加熱する燃焼試験を行った。この燃焼試験を行った際のTG/DTA測定結果を図13に示す。
【0104】
図13より黒鉛由来のピークと、残存樹脂としてのポリグリシジルメタクリレートのピークが存在することを確認できた。
【0105】
上記のようにして得た樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を用い、実施例1と同様にして、電極シートを得た。
【0106】
(実施例5)
膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8」)2.5gの代わりに加熱膨張性黒鉛(鈴裕化学社製、GREP−EG)2.5gを使用したこと以外は、実施例2と同様の処理を行い樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を得た。この樹脂残存型の薄片化黒鉛では、ポリグリシジルメタクリレートの一部が残存している。
【0107】
得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛について、空気雰囲気下で30℃〜1000℃まで10℃/分の速度で加熱する燃焼試験を行った。この燃焼試験を行った際のTG/DTA測定結果を図14に示す。
【0108】
図14より黒鉛由来のピークと、残存樹脂としてのポリグリシジルメタクリレートのピークが存在することを確認できた。
【0109】
上記のようにして得た樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を用い、実施例1と同様にして、電極シートを得た。
【0110】
(実施例6)
実施例1で作製した樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛900mgとポリビニルピロリドン100mgとNMP5gとを用いて塗液を作製した。作製した塗液を、アプリケーターを用いて銅箔に塗工後、70℃で2時間乾燥し、続いて真空状態で110℃、15時間乾燥を行い、電極シートを得た。
【0111】
(比較例1)
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の代わりに膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電極シートを得た。
【0112】
(比較例2)
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の代わりに加熱膨張性黒鉛(鈴裕化学社製、GREP−EG)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、電極シートを得た。
【0113】
(比較例3)
樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛900mgの代わりに膨張化黒鉛(東洋炭素社製、商品名「PFパウダー8」)900mgと、ケッチェンブラック(ライオン社製、商品名「EC−600JD」)100mgとを用いたこと以外は、実施例6と同様にして、電極シートを得た。
【0114】
(熱分解開始温度及び熱分解終了温度の測定)
実施例で使用したポリプロピレングリコール(三洋化成社製、品番:サンニックスGP−3000、数平均分子量=3000)、ポリグリシジルメタクリレート(日本油脂社製、品番:G2050M、重量平均分子量=25万、熱分解温度=350℃)及びポリ酢酸ビニル(電気化学工業社製、品番:サクノールSN−04T、重合度500−700)をそれぞれ空気雰囲気下で、30℃〜1000℃まで10℃/分の速度で加熱する燃焼試験を行った。この燃焼試験を行った際のTG/DTA測定結果を図15〜17に示す。なお、図15が実施例1で用いたポリプロピレングリコールの結果であり、図16が実施例2で用いたポリグリシジルメタクリレートの結果であり、図17が実施例3で用いたポリ酢酸ビニルの結果である。
【0115】
図1図5図9図13図17に示すTG/DTA測定結果から求めた実施例1〜5の樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛中の樹脂及び原料樹脂の熱分解開始温度と熱分解終了温度を表に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
(BET比表面積の測定)
実施例1〜5より得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を、島津製作所社製比表面積測定装置ASAP−2000で窒素ガスを用い、BET比表面積を測定した。その結果を記の表に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
(メチレンブルーの吸着量の測定)
実施例1〜5より得られた樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛について、以下の要領で、メチレンブルー吸着量を測定した。
【0120】
メスフラスコに、10mg/L、5.0mg/L、2.5mg/L、1.25mg/Lの濃度のメチレンブルーのメタノール溶液を調製した。メチレンブルーとしては、関東化学社製特級試薬のメチレンブルーを用いた。島津製作所製、紫外可視分光光度計(品番UV−1600)を用い、用意した上記4種類のメチレンブルー溶液の吸光度を測定し、検量線を作成した。
【0121】
次に、50mLのメスフラスコ中に、メチレンブルー0.005gを入れ、測定溶媒としてメタノールを加え、100mg/Lのメチレンブルー溶液を調製した。このメチレンブルー溶液を、10倍に測定溶媒を用いて希釈し、10mg/Lのメチレンブルー溶液を得た。
【0122】
100mLのナスフラスコに、スターラーバーと、測定対象の樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛(0.005〜0.05g、試料のBET値によって変更)と、上記10mg/Lのメチレンブルー溶液50mLとを加えた後、超音波洗浄機を用いて15分間超音波処理した。このようにして、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛を分散させた後、25℃の温度の冷却バス中で60分撹拌した。
【0123】
吸着平衡に達した後、遠心分離により樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛と上澄み液とを分離した。上記紫外可視分光光度計を用い、ブランクである10mg/Lのメチレンブルー溶液の吸光度と、上記上澄み液の吸光度とを測定した。
【0124】
上記ブランクのメチレンブルー溶液の吸光度と上記上澄み液の吸光度との差、すなわち吸光度の減少量を算出した。この吸光度の減少量と、前述した検量線の傾きにより、メチレンブルー溶液の濃度の減少量を求めた。このメチレンブルー溶液の濃度の減少量から、以下の式により、樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛表面へのメチレンブルーの吸着量を求めた。結果を記の表に示す。
【0125】
吸着量(mol/g)={メチレンブルー溶液の濃度の減少量(g/L)×測定溶媒の体積(L)}/{メチレンブルーの分子量(g/mol)×仕込んだカーボン試料の質量(g)}
【0126】
また、上記BET比表面積とメチレンブルー吸着量との関係を図18に示す。
【0127】
なお、図18において、上記実施例1〜5で得た樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛とは別に、公知の炭素質材料のBET比表面積と上記のようにして測定したメチレンブルー吸着量との関係を併せて示す。
【0128】
図18において、点P1は、球状黒鉛(社団法人日本粉体工業技術協会製、品番:RPSA−2)のn=3の結果を示す。点P2は、球状黒鉛(社団法人日本粉体工業技術協会製、品番:RPSA−3)の結果を示す。点P3は、球状黒鉛(ライオン株式会社、品番:EC−300J、平均粒子径40nm)のn=3の結果を示す。点P4は、球状黒鉛(ライオン株式会社、品番:EC−600JD、平均粒子径34nm)の結果を示す。この4種類の公知の炭素質材料(計8点)から求めたBET比表面積(x)とメチレンブルー吸着量(y)の関係は、y=0.13x(r=0.99)であることが確かめられた。
【0129】
(40重量%硫酸水溶液を用いたキャパシタ評価)
実施例1〜実施例5及び比較例1,2で得られた電極シートを作用極とし、Ptからなる対称極及びAg/AgCl(sat.KCl)からなる参照極とともにセルを組立てた後、電解液である40重量%濃度の硫酸水溶液中に真空含浸させて電気二重層キャパシタを作製した。しかる後、窒素バブリングを行いながら静電容量の評価を行った。
【0130】
実施例1,2の静電容量は、図19及び図20に示す0V〜1V間の繰り返し充放電特性の測定結果(算出範囲:0.8−0.4V又は0.8−0.2V、電流値100mA/g又は電流値40mA/g)から、下記式を用いて算出した。
【0131】
F=I/(ΔV/Δt)
【0132】
また、実施例1及び実施例2と同様の方法で実施例3〜5及び比較例1,2の静電容量を算出した。
【0133】
各実施例、比較例の計算より求めた実測値静電容量と黒鉛換算(バインダー、助剤、残存樹脂重量を電極シートから除いた)した静電容量を下記の表3に示す。
【0134】
(四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウムPC溶液を用いたキャパシタ評価)
グローブボックス中で実施例1〜3,5,6および比較例1〜3で得られた電極シートを作用極、対称極に用い、1mol四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウムPC溶液を電解液に使用してタクミ技研製2極フラットセルを組み立て、静電容量の評価を行った。
【0135】
静電容量は、上記硫酸水溶液を用いたキャパシタ評価と同様の方法で、0V〜2V間の繰り返し充放電特性の測定結果(算出範囲:1.6−0.8V又は1.6−0.4V、電流値100mA/g又は電流値40mA/g)から、下記式を用いて算出した。
【0136】
F=I/(ΔV/Δt)
【0137】
各実施例、比較例の計算より求めた実測値静電容量と黒鉛換算(バインダー、助剤、残存樹脂重量を電極シートから除いた)した静電容量を下記の表4に示す。
【0138】
【表3】
【0139】
【表4】
【0140】
なお、表3及び表4における黒鉛換算値は、電極あたりのキャパシタ容量を電極総量に対して、電極作製時に用いたポリテトラフルオロエチレンおよび樹脂残存部分剥離型薄片化黒鉛の樹脂分を除いた薄片化黒鉛実質重量で換算したものを記載した。
【0141】
例えば、実施例1では電極作製時に10wt%相当のポリテトラフルオロエチレンを使用している。従って、実測値108F/gを、ポリテトラフルオロエチレンを除いた0.9で割った。また、TG/DTA測定結果(図1)から25wt%が樹脂分であるので、さらに樹脂分を除いた0.75で割り、換算値:160F/gを得た。このように、実施例1の算出範囲:0.8−0.2V、電流値40mA/gにおける実質黒鉛重量換算後の静電容量は、高い値を示すことが確認できた。
【0142】
他方、GMA系では電極作製時に10wt%相当のポリテトラフルオロエチレンを使用している。従って、実測値185F/gを、ポリテトラフルオロエチレンを除いた0.9で割った。また、TG/DTA測定結果(図5)から60wt%が樹脂分であるので、さらに樹脂分を除いた0.4で割り、換算値:514F/gを得た。
【0143】
このように、実施例2の算出範囲:0.8−0.2V、電流値40mA/gにおける実質黒鉛重量換算後の静電容量は、514F/gと、非常に高くなっていることが確認できた。
図1
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