特許第5969129号(P5969129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969129オルガニルオキシシラン末端を有する重合体を基剤とする多成分架橋性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969129
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】オルガニルオキシシラン末端を有する重合体を基剤とする多成分架橋性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/10 20060101AFI20160804BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20160804BHJP
   C08K 3/20 20060101ALI20160804BHJP
   C09J 201/10 20060101ALI20160804BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20160804BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20160804BHJP
   C09D 201/10 20060101ALI20160804BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20160804BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160804BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   C08L101/10
   C08L83/04
   C08K3/20
   C09J201/10
   C09J183/04
   C09J11/06
   C09D201/10
   C09D183/04
   C09D7/12
   C09K3/10 G
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-526941(P2015-526941)
(86)(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公表番号】特表2015-531802(P2015-531802A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】EP2013066627
(87)【国際公開番号】WO2014026906
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年4月13日
(31)【優先権主張番号】102012214427.7
(32)【優先日】2012年8月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー、スタンイェク
(72)【発明者】
【氏名】ベルント−ヨゼフ、バハマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ラルス、ザンダー
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/180203(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/011371(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/000737(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/051173(WO,A1)
【文献】 特表2004−501263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/10
C08K 3/20
C09D 7/12
C09D 101/00−201/10
C09J 11/06
C09J 101/00−201/10
C09K 3/10− 3/12
C08G 77/04− 77/46
C08G 65/00− 65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも成分(K1)および成分(K2)を含んでなる多成分架橋性組成物(K)であって、成分(K1)が、式:
Y-[(CR12)b-SiRa(OR2)3-a]x (I)
(式中、
Yが、窒素、酸素、硫黄、又は炭素を経由して結合した、x原子価の重合体基を表し、 Rが、同一でも異なっていてもよく、所望により置換された、SiC結合した一価の炭化水素基であり、
が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、窒素、リン、酸素、硫黄、又はカルボニル基を経由して炭素原子に付加されてもよい、所望により置換された一価の炭化水素基であり、
が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、所望により置換された一価の炭化水素基であり、
xが、1〜10の整数であり、
aが、同一でも異なっていてもよく、0、1、又は2であり、
bが、同一でも異なっていてもよく、1〜10の整数である)
の成分(A)100重量部を含んでなり、
成分(K2)が、成分(K1)中の化合物(A)100重量部に対して、
少なくとも0.05重量部の水及び少なくとも1重量部のさらなる物質を含んでなり、
前記さらなる物質が、
(B)式:
R3c(R4O)dSiO(4-c-d)/2 (II)
(式中、
が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、所望により置換された、SiC結合した一価の炭化水素基を表し、
が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、所望により置換された、一価の炭化水素基を表し、
cが、0、1、2、又は3であり、
dが、0、1、2、又は3であるが、
c+dの合計が、3以下であり、式(II)の単位の少なくとも50%中で、cが0又は1である)
の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
(C)可塑剤、
(D)充填剤、
(E)増粘剤、及び
(F)溶剤
から選択され、
ただし、全体で、成分(K1)中の化合物(A)100重量部に対して、少なくとも10重量部のシリコーン樹脂(B)が、成分(K1)及び(K2)中にある、架橋性組成物(K)。
【請求項2】
成分(K1)及び(K2)からなる2成分組成物である、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
成分(K1)中の化合物(A)100重量部に対して30〜1000重量部の量でシリコーン樹脂(B)を含んでなる、請求項1または2に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
前記シリコーン樹脂(B)がフェニルシリコーン樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
式:
DgSi(OR5)fR6eO(4-e-f-g)/2 (VI)
(式中、
が、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は所望により置換された炭化水素基を表し、
Dが、同一でも異なっていてもよく、塩基性窒素を含む、SiC結合した一価の基を表し、
が、同一でも異なっていてもよく、所望により置換された、塩基性窒素を含まない、SiC結合した一価の有機基を表し、
eが、0、1、2、又は3であり、
fが、0、1、2、又は3であり、及び
gが、0、1、2、3、又は4であるが、
ただし、e+f+gの合計が、4以下であり、分子1個あたり少なくとも一個の基Dがある)
の単位を含んでなるオルガノシリコン化合物(G)が使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
(A)100重量部の前記式(I)の化合物、
所望により
(B)前記式(II)の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
所望により
(C)可塑剤、
所望により
(D)充填剤、
所望により
(F)溶剤、
所望により
(G)塩基性窒素を含む化合物、
所望により
(H)触媒、
所望により
(I)接着促進剤、
所望により
(J)水捕そく剤、
所望により
(L)添加剤、及び
所望により
(M)補助剤、
を含んでなる、成分(K1)と、
合物(A)100重量部に対して、少なくとも0.05重量部の水及び少なくとも1重量部の少なくとも一つの物質を含んでなり、
前記少なくとも一つの物質が、
(B)式(II)の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
(C)可塑剤、
(D)充填剤、
(E)増粘剤、及び
(F)溶剤、
及び所望により
(H)触媒、
所望により
(L)添加剤、及び
所望により
(M)補助剤
から選択される、成分(K2)と
からなる組成物であるが、
ただし、前記組成物(K)が、合計で少なくとも10重量部のシリコーン樹脂(B)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
成分(K1)及び(K2)及び、所望により、さらなる成分を一緒に混合することにより、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、前記個々の成分が、前記それぞれの成分の構成成分の全てを、どのような順序ででも、別に一緒に混合することにより、製造する、方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物又は請求項7に記載の方法により製造された組成物を架橋させる、成形製品の製造方法
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項7に記載の方法により製造された組成物を用いて、基材を接着剤結合する又はシーリングする方法であって、
先ず、成分(K1)及び(K2)及び、所望により、さらなる成分を互いに混合して前記組成物を得て、次いで、前記組成物を少なくとも一個の基材の表面に適用し、次いで前記表面を、接着すべき第二基材に接触させ、続いて前記組成物を架橋させる、方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項7に記載の方法により製造された組成物を用いて、塗料又はカプセル封入物を製造する方法であって、
先ず、成分(K1)及び(K2)及び、所望により、さらなる成分を互いに混合して前記組成物を得て、次いで、前記組成物を少なくとも一個の基材に適用し、続いて前記組成物を架橋させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン架橋性プレポリマー及びシリコーン樹脂を基剤とする多成分架橋性組成物、その製造方法、及びその接着剤及びシーラント、より詳しくは、高引張せん断強度を有する接着剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
引張せん断強度が高い、とりわけ数多くの木材接着剤に使用される種類の接着剤は、典型的にはイソシアナート架橋性PU接着剤が使用される。これらのPU接着促進剤は、通常、芳香族ポリイソシアナートを含んでなる。この種の系は、イソシアナート基と(大気中の)湿分の反応により硬化する。PU接着剤は、化学的架橋反応により硬化し、化学的に木材表面にも付加することができるので、PU接着剤は、非常に良好な機械的特性を示し、外部 (気候)の影響、例えば湿分又は水との直接的な接触、に対しても、比較的耐性である。
【0003】
接着性の一般的な性能は、標準、例えばDIN EN 204、耐久性区分D1−D4、に従うことにより、決定される。これらの標準は、イソシアナート架橋性接着剤により、一般的に適合している。
【0004】
それにも関わらず、イソシアナート架橋性接着剤にも固有の欠点、例えば感作〜毒性にわたる健康に関連する区分、がある。ここで重要なファクターは、除去するのが困難な、残留する単量体イソシアナートの量である。これが、最終ユーザー、即ち十分に硬化した、そのためイソシアナートが存在せず、全く問題の無い製品だけではなく、イソシアナートを含む接着剤、又は単量体状イソシアナートを含む製品と接触する、職人又は日曜大工に対して問題となる。経験のない日曜大工にとっては、製品を専門家のように、及び/又は適切に使用できないので、特別に危険である。正しくない貯蔵方法、例えば子供の手の届く所に貯蔵すること、も、さらなる危険性をもたらす。他方、専門の職人では、適切な使用及び貯蔵が推定される。しかし、ここでは、職業的ユーザーは、非常に規則的に、実際−恐らく一日に何度も−イソシアナートを含む材料で作業をする必要があり、特にイソシアナートの、上記の感作、及び、恐らく発癌性の影響にもさらされる危険性があるという問題もある。
【0005】
これに関して、幾分好ましいのは、非常に低レベルの揮発性単量体状イソシアナートしか含まず、従って、少なくともラベル表示の必要性が無い、イソシアナート架橋性接着剤である。しかし、これらの接着剤も、通常、高濃度の様々なオリゴマー状イソシアナートをなお含む。
【0006】
接着剤の分野で益々用途を広げつつある、もう一つの硬化技術は、アルコキシシラン官能性プレポリマーが、大気中の湿分との接触により、先ず加水分解し、次いで縮合反応を通して硬化する、シラン架橋の技術である。対応するシラン官能性−通常はシラン末端を有する−プレポリマーが、毒性学的観点から、全く問題ない。
【0007】
反応性アルコキシシリル基を有する重合体系は、以前から公知である。水又は大気中の湿分と接触することにより、これらのアルコキシシラン末端を有する重合体は、室温でも、互に縮合し、アルコキシ基を放出することができる。従って、アルコキシシラン架橋性重合体を基剤とする接着剤は、十分に硬化した状態では、大多数の基材に対して良好な接着剤特性を示すだけではなく、非常に良好な機械的特性をも示すが、これは、高い弾性のみならず、多くの用途にとって全体的に十分な引張強度をも示すためである。
【0008】
しかし、先行技術における一連の、多くの系の欠点は、対応するMS重合体又はSPUR重合体の、湿分に対する低い反応性であり、攻撃的な触媒を必要とすることである。従って、問題の混合物は、典型的には、大量の、毒性学的に問題のあるスズ触媒を含む。
【0009】
ここで有利なのは、メチレンスペーサーを経由して隣接するウレタン単位に接合した反応性アルコキシシリル基を有する、いわゆるα−シラン末端を有するプレポリマーの使用である。この区分の化合物は、反応性が高く、スズ触媒も、強酸又は塩基も必要とせず、空気との接触により高い硬化速度を達成する。
【0010】
しかし、大多数の一般的なシラン架橋性系の欠点は、引張せん断強度が比較的低いことである。この新規な種類の接着剤の典型的な用途は、一般的に、高い引張強度の接着剤よりは、弾性接着剤を必要とする分野に限られる。
【0011】
引張せん断強度>6MPaを有する接着剤、特に引張せん断強度>9MPaを有する接着剤は、今日まで、特定の非常に特殊なシラン架橋性系、とりわけ、例えば国際公開第2011/026658号パンフレットに記載されている種類の、シラン末端を有するポリウレタンを使用して得られている。ここで、高い引張せん断強度は、一方で、非常に高い密度の、水素結合し得る尿素単位及び/又はウレタン単位を有し、及び他方、比較的短鎖の、従って、対応する多くの架橋性シラン末端基を有するプレポリマーを使用することにより達成される。しかし、この種の系は、必然的に二つの固有の欠点を有する。第一に、高濃度のシラン架橋性基を有するプレポリマーの製造は、対応して大量のシランを必要とする。しかし、これらのシランは、一般的に最も経費の掛かるプレポリマー成分を構成する。第二に、同様に高い引張せん断強度を達成するのに必要な、高濃度のウレタン基及び/又は尿素基は、非常に高いプレポリマー粘度を引き起こす。従って、これらのプレポリマーを混合して、十分に処方された接着剤を形成すること、及び通常、同様に、比較的高粘度である、これらの最終製品を塗布することの両方が問題である。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、少なくとも成分(K1)および成分(K2)を含んでなる多成分架橋性組成物(K)であって、成分(K1)が、式:
Y-[(CR12)b-SiRa(OR2)3-a]x (I)
(式中、
Yは、窒素、酸素、硫黄、又は炭素を経由して結合した、x原子価の重合体基を表し、
Rは、同一でも異なっていてもよく、所望により置換された、SiC結合した一価の炭化水素基であり、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、窒素、リン、酸素、硫黄、又はカルボニル基を経由して炭素原子に付加されてもよい、所望により置換された一価の炭化水素基であり、することができ、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、所望により置換された一価の炭化水素基であり、
xは、1〜10、好ましくは1、2、又は3、より好ましくは1又は2の整数であり、
aは、同一でも異なっていてもよく、0、1、又は2、好ましくは0又は1であり、
bは、同一でも異なっていてもよく、1〜10、好ましくは1、3、又は4、より好ましくは1又は3、より好ましくは1の整数である)
の成分(A)100重量部を含んでなり、
成分(K2)は、それぞれの場合に成分(K1)中の化合物(A)100重量部に対して、少なくとも0.05重量部の水と、
(B)式:
R3c(R4O)dSiO(4-c-d)/2 (II)
(式中、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、所望により置換された、SiC結合した一価の炭化水素基を表し、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は、所望により置換された、一価の炭化水素基を表し、
cは、0、1、2、又は3であり、
dは、0、1、2、又は3、好ましくは0、1、又は2、より好ましくは0又は1であるが、
c+dの合計は、3以下であり、式(II)の単位の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%中で、cは0又は1である)
の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
(C)可塑剤、
(D)充填剤、
(E)増粘剤、及び
(F)溶剤
から選択される、少なくとも1重量部のさらなる物質と、
を含んでなるが、ただし、全体で、成分(K1)中の化合物(A)100重量部に対して、少なくとも10重量部のシリコーン樹脂(B)が、成分(K1)及び(K2)中にある、組成物(K)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の組成物(K)は、好ましくは成分(K1)及び(K2)からなる成分2成分組成物である。
【0014】
本発明の組成物(K)の成分(K1)及び(K2)は、貯蔵中に個別に保存し、本発明の組成物(K)を塗布する直前又は塗布する際まで、互に混合しない。
【0015】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基、イソオクチル基、及び2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基、アルケニル基、例えばビニル、1−プロペニル、及び2−プロペニル基、アリール基、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、及びフェナントリル基、アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基、及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0016】
置換された基Rの例は、ハロアルキル基、及びハロアリール基、例えばo−、m−、及びp−クロロフェニル基である。
【0017】
基Rは、好ましくは、所望によりハロゲン原子により置換された、1〜6個の炭素原子を有する、一価の炭化水素基、より好ましくは1又は2個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくはメチル基を含んでなる。
【0018】
基Rの例は、水素原子、Rに関して記載した基、及び窒素、リン、酸素、硫黄、炭素、又はカルボニル基を経由して炭素原子に結合した、所望により置換された炭化水素基である。
【0019】
好ましくは、Rは、水素原子及び1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは水素原子である。
【0020】
基Rの例は、水素原子、又は基Rに関して記載した例である。
【0021】
基Rは、好ましくは水素原子、又は所望によりハロゲン原子により置換された、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくはメチル及びエチル基である。
【0022】
重合体基Yは、好ましくは有機重合体基を含んでなり、重合体鎖としてポリオキシアルキレン、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体、炭化水素重合体、例えばポリイソブチレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン、及びポリイソブチレンとイソプレンの共重合体、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、及びポリカーボナートを含んでなる、及び好ましくは、
-O-C(=O)-NH-, -NH-C(=O)O-, -NH-C(=O)-NH-, -NR’-C(=O)-NH-, NH-C(=O)-NR’-, -NH-C(=O)-, -C(=O)-NH-, -C(=O)-O-, -O-C(=O)-, -O-C(=O)-O-, -S-C(=O)-NH-, -NH-C(=O)-S-, -C(=O)-S-, -S-C(=O)-, -S-C(=O)-S-, -C(=O)-, -S-, -O-, and -NR’-
を経由して、基(複数可):
-[(CR12)b-SiRa(OR2)3-a]
(式中、R’は、同一でも異なっていてもよく、Rに関して記載した定義を有する)
に結合しているか、又は基:
-CH(COOR”)-CH2-COOR”
(式中、R”は、同一でも異なっていてもよく、Rに関して記載した定義を有する)
である。
【0023】
基R’の例は、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−プロピル及びイソプロピル、n−ブチル、イソブチル、及びtert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル、又はヘプチル基の各種立体異性体、及びフェニル基である。
【0024】
基R’は、好ましくは基:
-CH(COOR”)-CH2-COOR”
又は所望により置換された、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは直鎖状、分岐鎖状又は環状の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜20個の炭素原子を有し、所望によりハロゲン原子により置換されたアリール基である。
【0025】
R”は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくはメチル、エチル、又はプロピル基である。
【0026】
より好ましくは、式(I)中の基Yは、ポリウレタン基及びポリオキシアルキレン基、特にポリオキシプロピレンを含むポリウレタン基又はポリオキシプロピレン基を含んでなる。
【0027】
ここで化合物(A)は、上記の様式で、重合体内のどのような望ましい所にでも、例えば鎖中及び/又は末端に、好ましくは鎖中及び末端に、より好ましくは末端に付加した基:
-[(CR12)b-SiRa(OR2)3-a]
を有することができる。
【0028】
Yがポリウレタン基を意味する場合、問題とする基は、好ましくは、その鎖末端が、
-NH-C(=O)O-, -NH-C(=O)-NH-, -NR’-C(=O)-NH-, or -NH-C(=O)-NR’-
を経由して、より好ましくは
-O-C(=O)-NH- or -NH-C(=O)-NR’-
を経由して、基(複数可):
-[(CR12)b-SiRa(OR2)3-a]
に結合している基であり、全ての基及び指数が上記の定義の一つを有する。ここでポリウレタン基Yは、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状ポリオキシアルキレン、より好ましくはポリプロピレングリコール、及びジ−又はポリイソシアナートから製造できる。これらの基Yは、好ましくは数平均分子量Mが、10000〜30000g/mol、より好ましくは11000〜20000g/molである。対応する化合物(A)を製造する好適な方法、及び化合物(A)自体の例は、本願の開示内容の一部であると考えられる、欧州特許第1093482B1号(段落[0014]〜[0023]、[0039]〜[0055]及び発明の例1及び比較例1にも)及び欧州特許第1641854B1号(段落[0014]〜[0035]、発明の例4及び6、及び比較例1及び2)を包含する文書に記載されている。
【0029】
Yがポリオキシアルキレン基を意味する場合、問題とする基は、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状ポリオキシアルキレン基、より好ましくはポリオキシプロピレン基であり、その鎖末端が、
-O-C(=O)-NH-
を経由して、基(複数可):
-[(CR12)b-SiRa(OR2)3-a]
に結合している。ポリオキシアルキレン基Yは、好ましくは数平均分子量Mが、10000〜30000g/mol、より好ましくは11000〜20000g/molである。対応する化合物(A)を製造する好適な方法、及び化合物(A)自体の例は、本願の開示内容の一部であると考えられる、欧州特許第1535940B1号(段落[0005]〜[0025]及び発明の例1〜3)及び比較例1〜4、及び欧州特許第1896523B1号(段落[0008]〜[0047])を包含する文書に記載されている。
【0030】
数平均分子量Mは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、THF中のポリスチレン標準に対して、60℃、1.2ml/min流量、RI(屈折率検出器)による検出で、Waters Corp. USAから設定したStyragelHR3−HR4−HR5−HR5カラムで、注入体積100μlで決定することができる。
【0031】
本発明で使用する化合物(A)の末端基は、好ましくは一般式:
-NH-C(=O)-NR’-(CR12)b-SiRa(OR2)3-a (III)
及び
-O-C(=O)-NH-(CR12)b-SiRa(OR2)3-a (IV)
の基であり、式中、基及び指数は、上記の定義を有する。
【0032】
本発明で使用する化合物(A)の末端基は、より好ましくは式(IV)の基である。
【0033】
化合物(A)は、好ましくはシラン末端を有するポリオキシアルキレン、より好ましくはシラン末端を有するポリオキシプロピレンであり、式(IV)の末端基を有し、式中、Rは水素原子であり、Rはメチル基であり、Rはメチル又はエチル基であり、bは1又は3であり、aは0又は1である。末端基(IV)は別にして、これらのシラン末端を有するポリオキシアルキレンは、好ましくはポリエーテルだけを有する。本発明の重合体(A)は、分子1個あたり、好ましくは2または3、より好ましくは2個の式(IV)の末端基を有する。
【0034】
式(IV)の末端基を有するシラン末端を有するポリオキシアルキレンの、他の末端基を有するシラン末端を有するポリオキシアルキレンに対する大きな利点は、ヒドロキシル基を末端とする一般的なポリオキシアルキレンと、式:
OCN-(CR12)b-SiRa(OR2)3-a (V)
のシランの反応による、それらの製造し易さであり、式中、全ての基及び指数は、上記の定義の一つを有する。ここで、この反応が、存在する鎖末端の大部分完全な終わりを達成することは重要であり、それによってこの方法から得られる生成物が、他の方法、例えばα、β−不飽和重合体とSi−H官能性シランのヒドロシリル化、の生成物から明らかに区別される。
【0035】
この大部分完全に終わることにより、末端基が別の経路、例えばヒドロシリル化、により製造されている重合体と比較して、驚くべきことに、はるかに良好な特性、及び特にはるかに優れた引張強度が、重合体(A)を含んでなる組成物(K)の硬化した部品に得られる。
【0036】
シラン末端を有する重合体(A)は、好ましくは鎖末端が少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%の程度に、式(IV)の末端基で終わっている重合体である。化合物(A)として特に好ましいのは、鎖が少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%の程度に、式(IV)の末端基で終わっている直鎖状ポリオキシプロピレンである。
【0037】
化合物(A)の数平均分子量Mは、好ましくは少なくとも10000g/mol、より好ましくは少なくとも11000g/mol、及び好ましくは30000g/mol以下、より好ましくは24000g/mol以下、特に好ましくは22000g/mol以下である。
【0038】
化合物(A)の粘度は、それぞれの場合に20℃で測定して、好ましくは少なくとも0.2Pas、より好ましくは少なくとも1Pas、特に好ましくは少なくとも5Pas、及び好ましくは700Pas以下、より好ましくは100Pas以下である。
【0039】
本発明により使用する化合物(A)は、一種類の式(I)の化合物だけ、又は異なった種類の式(I)の化合物の混合物を含んでなることができる。ここで化合物(A)は、式(I)の化合物だけを含むことができ、その際、基Yに結合した全てのシリル基90%強、好ましくは95%強、より好ましくは98%強が同一である。しかし、異なったシリル基が基Yに結合した、少なくとも部分的に式(I)の化合物からなる化合物(A)を使用することもできる。最後に、式(I)の異なった化合物の混合物を化合物(A)として使用することができ、そこでは、基Yに結合した、合計で少なくとも2種類の異なったシリル基が存在するが、1個の基Yにそれぞれ結合した全てのシリル基は同一である。
【0040】
化合物(A)が、異なった種類の式(I)の化合物を含んでなる場合、b=1及びR=H及びa=0又は1である式(III)又は(IV)の末端基を有する化合物(A1)、及びb=3及びR=H及びa=0である式(III)又は(IV)の末端基を有する化合物(A2)を含んでなる混合物が好ましく、特に好ましくは(A1)と(A2)の重量比が0.1〜10、好ましくは0.2〜5である混合物である。
【0041】
本発明の好ましい一実施態様では、異なった化合物(A)の混合物を使用し、b=1、R=H、a=1、及びR=CHである式(IV)の末端基を有する少なくとも一種の化合物(A1)、及びb=3、R=H、a=0、及びR=CHである式(IV)の末端基を有する少なくとも一種の化合物(A2)を含んでなり、(A1)と(A2)の重量比が好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.2〜5である混合物である。
【0042】
本発明により使用する化合物(A)は、市販製品であるか、又は化学で一般的な方法により製造できる。
【0043】
成分(K1)中の化合物(A)100重量部に対して、本発明の組成物(K)は、合計で好ましくは30〜1000重量部、より好ましくは60〜500重量部、特に80〜300重量部のシリコーン樹脂(B)を含む。ここでシリコーン樹脂(B)の総量は、全部が成分(K1)中に、全部が成分(K2)中に存在する、又はそれぞれ成分(K1)及び(K2)の両方に部分的に存在する。
【0044】
シリコーン樹脂(B)は、好ましくは成分(K2)中にのみ、又は両方の成分(K1)及び(K2)中に存在する。その場合、成分(K2)は、本発明の組成物(K)中に存在するシリコーン樹脂(B)の総量の、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも30%、特に少なくとも50%を含む。
【0045】
シリコーン樹脂(B)は、好ましくは少なくとも90重量%程度の、式(II)の単位のからなる。特に好ましくは、シリコーン樹脂(B)は、式(II)の単位のみからなる。
【0046】
基Rの例は、Rに関して上に記載した例である。
【0047】
基Rは、好ましくは一価の、SiC結合した脂肪族又は芳香族炭化水素基を含んでなり、所望によりハロゲン原子により置換され、1〜18個の炭素原子を有し、より好ましくはメチル又はフェニル基である。特に全ての基Rは、メチル及びフェニル基のみである。
【0048】
基Rの例は、水素原子、又はRに関して記載した例である。基Rは、好ましくは水素原子、又は所望によりハロゲン原子により置換された、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を含んでなり、より好ましくは水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル、エチル、又はブチル基であり、メチル基が非常に好ましい。
【0049】
フェニルシリコーン樹脂が、化合物(B)として使用するのに好ましい。特に好ましくは式(II)の単位のみからなるフェニルシリコーン樹脂(B)で、式(II)の全ての単位の少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%が、少なくとも一個のSiC結合したフェニル基を有する。
【0050】
好ましくは、c+dが3未満であるシリコーン樹脂(B)を使用する。
【0051】
本発明の一実施態様では、式(II)の単位の総数に対して、それぞれの場合に、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の、cが1である式(II)の単位のフェニルシリコーン樹脂(B)を使用する。
【0052】
本発明の好ましい一実施態様では、cが0、1又は2である式(II)の単位だけを有するシリコーン樹脂(B)を使用するが、ただし、式(II)の単位の少なくとも50%でcが0または1に等しい。
【0053】
本発明の好ましい一実施態様では、cが1又は2である式(II)の単位だけを有するシリコーン樹脂(B)を使用する。
【0054】
本発明の特別な一実施態様では、cが1である式(II)の単位だけを有するシリコーン樹脂(B)を使用する。
【0055】
好ましくは、それぞれの場合に式(II)の単位の総数に対して、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の、dが0又は1である式(II)の単位を有するシリコーン樹脂(B)を使用する。
【0056】
好ましくは、それぞれの場合に式(II)の単位の総数に対して、30%〜95%、より好ましくは30%〜90%の、dが0である式(II)の単位を有するシリコーン樹脂(B)を使用する。
【0057】
シリコーン樹脂(B)の例は、実質的に、好ましくは独占的に、
式:
SiO4/2, Si(OR4)O3/2, Si(OR4)2O2/2 and Si(OR4)3O1/2
の(Q)単位、
式:
PhSiO3/2, PhSi(OR4)O2/2 and PhSi(OR4)2O1/2
の(T)単位、
式:
Me2SiO2/2 and Me2Si(OR4)O1/2
の(D)単位、
式:
Me3SiO1/2
の(M)単位
からなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、Rは、メチル、エチル又はブチル基、好ましくはメチル基であり、樹脂は、(T)単位1モルあたり、好ましくは0〜2モルの(Q)単位、0〜2モルの(D)単位、及び0〜2モルの(M)単位を含む。
【0058】
シリコーン樹脂(B)の好ましい例は、実質的に、好ましくは独占的に、
式:
PhSiO3/2, PhSi(OR4)O2/2 and PhSi(OR4)2O1/2
のT単位、
式:
MeSiO3/2, MeSi(OR4)O2/2 and MeSi(OR4)2O1/2
のT単位、
所望により、式:
Me2SiO2/2 and Me2Si(OR4)O1/2
のD単位
からなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、Rは、メチル、エチル又はブチル基、好ましくはメチル基である。フェニルシリコーンとメチルシリコーン単位のモル比は、0.5〜2.0である。これらのシリコーン樹脂におけるD単位の量は、好ましくは10重量%未満である。
【0059】
シリコーン樹脂(B)のさらに好ましい例は、実質的に、好ましくは独占的に、式:
PhSiO3/2, PhSi(OR4)O2/2 and PhSi(OR4)2O1/2
のT単位
からなるオルガノポリシロキサン樹脂であり、式中、Phはフェニル基であり、Rは、メチル、エチル又はブチル基、好ましくはメチル基である。
【0060】
シリコーン樹脂(B)は、好ましくは数平均分子量Mが、少なくとも400g/mol、より好ましくは少なくとも600g/molである。数平均分子量Mは、好ましくは400000g/mol以下、より好ましくは100000g/mol以下、特に50000g/mol以下である。シリコーン樹脂は、23℃及び1000hPaで固体又は液体であり、液体シリコーン樹脂が好ましい。
【0061】
本発明により使用する化合物(B)は、化学で一般的な方法により製造できる、及び/又は市販製品、例えばWacker Chemie AG, Munich、(DE)から市販の製品SILRES(登録商標)IC 368、SILRES(登録商標)IC 678、又はSILRES(登録商標)SY231である。
【0062】
シリコーン樹脂(B)は、純粋な形態で、又は好適な溶剤に入れた溶液の形態で使用できる。
【0063】
この場合、使用できる溶剤としては、例えばエーテル(例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、グリコールのエーテル誘導体、THF)、エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、グリコールエステル)、炭化水素(例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、又は他の長鎖の分岐鎖状及び非分岐鎖状アルカン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、芳香族化合物(例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン)、またはアルコール(例えばメタノール、エタノール、グリコール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール)がある。
【0064】
しかし、有機溶剤を含まないシリコーン樹脂(B)を使用するのが好ましい。
【0065】
本発明により使用する水は、それ自体水性調合品の形態で直接、又は固体により吸収されるか、又は固体中に存在する水として存在できる。
【0066】
水性調合品の例は、水性エマルション、例えば可塑剤(C)、溶剤(F)及び/又はシリコーン樹脂(B)中にある水のエマルションである。所望により、存在する増粘剤(E)及び/又は充填剤(D)でもよい。
【0067】
固体中に存在する水の例は、充填剤、例えば高分散性充填剤、例えば親水性シリカ又は粉砕炭酸カルシウム、に結合した湿分であり、表面上に結合した水を1重量%強含むことができる。
【0068】
固体中に水が存在するさらなる例は、充填剤、例えば沈殿した炭酸カルシウム、であり、これは充填剤粒子の内側に物理的に結合した水を含む、又はワックス状又は樹脂状重合体中に入った水の粒子である。
【0069】
成分(K2)を製造するには、好ましくは水を直接使用する。
【0070】
化合物(A)、(B)、及び使用する水に加えて、本発明の組成物(K)は、今日まで架橋性組成物に使用されており、化合物(A)及び(B)とは異なった、さらなる物質全てを含むことができ、その例は、可塑剤(C)、充填剤(D)、増粘剤(E)、溶剤(F)、塩基性窒素を含むオルガノシリコン化合物(G)、触媒(H)、接着促進剤(I)、水捕そく剤(J)、添加剤(L)、及び補助剤(M)である。
【0071】
可塑剤(C)は、好ましくはフタル酸エステル、アジピン酸エステル、安息香酸エステル、グリコール酸エステル、飽和アルカンジオールのエステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、パラフィン系炭化水素、及び高分子量の分岐鎖状炭化水素を含んでなる。
【0072】
好ましくは、分子量又は、重合体状可塑剤の場合、平均分子量Mが200〜20000g/mol、より好ましくは500〜10000g/mol、特に900〜8000g/molである可塑剤(C)を使用する。
【0073】
ここで可塑剤(C)は、成分(K1)及び成分(K2)の一部でよい。可塑剤は、成分(K1)及び(K2)の両方に存在することもできる。
【0074】
本発明の組成物(K)が可塑剤(C)を含む場合、その量は、それぞれの場合に成分(A)の100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部である。
【0075】
本発明の組成物(K)で所望により使用する充填剤(D)は、今日まで公知のどのような充填剤でもよい。
【0076】
充填剤(D)の例は、非補強性充填剤であり、即ちBET表面積が好ましくは50m/gまでである充填剤、例えば石英、けいそう土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、カオリン、ゼオライト、金属酸化物粉体、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄又は酸化亜鉛及び/又はそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、セッコウ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉体、及び重合体状粉体、例えばポリアクリロニトリル粉体、補強性充填剤、即ちBET表面積が50m/gを超える充填剤、例えば焼成シリカ、沈殿シリカ、沈殿チョーク、カーボンブラック、例えばファーネスブラック及びアセチレンブラック、及び高BET表面積の混合ケイ素/アルミニウム酸化物、三水酸化アルミニウム、中空ビーズの形態にある充填剤、例えばセラミックマイクロビーズ、例えばD−Neuss、独国の3M Deutschland GmbHから商品名Zeeospheres(商品名)で入手可能なビーズ、弾性重合体状ビーズ、例えばSundsvall、スウェーデンのAKZO NOBEL, Expancelから商品名EXPANCEL(登録商標)で市販の種類、又はガラスビーズ、繊維形態にある充填剤、例えばアスベスト及び重合体状繊維である。上記の充填剤は、例えばオルガノシラン及び/又はオルガノシロキサン又はステアリン酸で処理することにより、もしくはヒドロキシル基をアルコキシ基にエーテル化して処理することにより、疎水性付与してあってもよい。
【0077】
所望により使用する充填剤(D)は、好ましくは炭酸カルシウム、タルク、三水酸化アルミニウム、及びシリカであり、特に好ましくは三水酸化アルミニウムである。好ましい炭酸カルシウム等級は、粉砕又は沈殿させ、所望により脂肪酸、例えばステアリン酸又はその塩で表面処理したものである。好ましいシリカは、ヒュームドシリカである。
【0078】
所望により使用する充填剤(D)は、湿分含有量が、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。
【0079】
充填剤(D)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の一部でよい。充填剤(D)は、両成分(K1)及び(K2)に存在することができる。
【0080】
本発明の組成物(K)が充填剤(D)を含んでなる場合、問題の量は、それぞれの場合に成分(A)100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは50〜500重量部、特に80〜300重量部である。本発明の組成物(K)は、充填剤(D)を含んでなるのが好ましい。
【0081】
本発明の特別な一実施態様では、本発明の組成物(K)が、充填剤(D)として、a)シリカ、特にヒュームドシリカ、及びb)炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム及び/又はタルクを含んでなる。
【0082】
本発明の組成物(K)が、異なった充填剤(D)のこの特別な組合せを含んでなる場合、組成物(K)は、それぞれの場合に構成成分(A)100重量部に対して、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは5〜40重量部のシリカ、特にヒュームドシリカ、及び好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜300重量部の炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、タルク、又はそれらの材料の混合物を含んでなる。
【0083】
本発明の組成物(K)中に所望により使用する増粘剤(E)は、好ましくは水溶性又は水に対して膨潤性の重合体又は無機増粘剤である。有機増粘剤(E)の例は、デンプン、デキストリン、オリゴ糖、セルロース、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロピルセルロース、寒天、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、カラジーナン、トラガカント、アラビアゴム、カゼイン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、又はポリイミドである。
【0084】
無機増粘剤(E)の例は、ポリシリカ、ヒュームドシリカ、アルミノケイ酸塩、又はクレー鉱物である。
【0085】
増粘剤(E)を使用する場合、増粘剤(E)は、好ましくは成分(K2)の構成成分である。
【0086】
本発明の組成物(K)が、成分(K2)中に増粘剤(E)を含んでなる場合、問題とする量は、それぞれの場合に組成物(K)中の構成成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜100重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
【0087】
有機溶剤(F)の例は、溶剤としてすでに上に記載した化合物、好ましくはアルコール、である。
【0088】
ここで、溶剤(F)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の一部である。溶剤(F)は、成分(K1)及び(K2)の両方にも存在することができる。
【0089】
好ましくは、本発明の組成物(K)には、有機溶剤(F)を加えない。
【0090】
本発明の組成物(K)中に所望により使用する化合物(G)は、好ましくは成分(A)及び(B)とは異なったオルガノシリコン化合物であり、式:
DgSi(OR5)fR6eO(4-e-f-g)/2 (VI)
(式中、
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は所望により置換された炭化水素基を表し、
Dは、同一でも異なっていてもよく、塩基性窒素を含む、SiC結合した一価の基を表し、
は、同一でも異なっていてもよく、所望により置換された、塩基性窒素を含まない、SiC結合した一価の有機基を表し、
eは、0、1、2、又は3、好ましくは1又は0であり、
fは、0、1、2、又は3、好ましくは1、2、又は3、より好ましくは2又は3であり、及び
gは、0、1、2、3、又は4、好ましくは1であるが、
ただし、e+f+gの合計は、4以下であり、分子1個あたり少なくとも一個の基Dがある)
の単位を含んでなる。
【0091】
本発明で所望により使用するオルガノシリコン化合物(G)は、シラン、即ち式(VI)のe+f+g=4である化合物、だけではなく、シロキサン、即ち式(VI)のe+f+g≦3である単位を含んでなる化合物、もそうであるが、好ましくはシランである。
【0092】
所望により置換された炭化水素基Rの例は、基Rに関して記載した例である。
【0093】
基Rは、好ましくは水素原子、及び所望によりハロゲン原子により置換された、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは水素原子、及び1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基、特にメチル基及びエチル基である。
【0094】
基Rの例は、Rに関して記載した例である。
【0095】
基Rは、好ましくは所望によりハロゲン原子により置換された、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは1〜5個の炭素原子を有する炭化水素基、特にメチル基である。
【0096】
基Dの例は、式:
H2N(CH2)3-, H2N(CH2)2NH(CH2)3-, H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-, H3CNH(CH2)3-, C2H5NH(CH2)3-, C3H7NH(CH2)3-, C4H9NH(CH2)3-, C5H11NH(CH2)3-, C6H13NH(CH2)3-, C7H15NH(CH2)3-, H2N(CH2)4-, H2N-CH2-CH(CH3)-CH2-, H2N(CH2)5-, cyclo-C5H9NH(CH2)3-, cyclo-C6H11NH(CH2)3-, phenyl-NH(CH2)3-, (CH3)2N(CH2)3-, (C2H5)2N(CH2)3-, (C3H7)2NH(CH2)3-, (C4H9)2NH(CH2)3-, (C5H11)2NH(CH2)3-, (C6H13)2NH(CH2)3-, (C7H15)2NH(CH2)3-, H2N(CH2)-, H2N(CH2)2NH(CH2)-, H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)-, H3CNH(CH2)-, C2H5NH(CH2)-, C3H7NH(CH2)-, C4H9NH(CH2)-, C5H11NH(CH2)-, C6H13NH(CH2)-, C7H15NH(CH2)-, cyclo-C5H9NH(CH2)-, cyclo-C6H11NH(CH2)-, phenyl-NH(CH2)-, (CH3)2N(CH2)-, (C2H5)2N(CH2)-, (C3H7)2NH(CH2)-, (C4H9)2NH(CH2)-, (C5H11)2NH(CH2)-, (C6H13)2NH(CH2)-, (C7H15)2NH(CH2)-, (CH3O)3Si(CH2)3NH(CH2)3-, (C2H5O)3Si(CH2)3NH(CH2)3-, (CH3O)2(CH3)Si(CH2)3NH(CH2)3-, and (C2H5O)2(CH3)Si(CH2)3NH(CH2)3-
及び上記の第一級アミノ基と、エポキシド基又は第一級アミノ基に対して反応性である二重結合を含む化合物の反応生成物の基である。
【0097】
基Dは、好ましくは
H2N(CH2)3-, H2N(CH2)2NH(CH2)3-, and cyclo-C6H11NH(CH2)3-
基を含んでなる。
【0098】
本発明で所望により使用する式(VI)のシランの例は、
H2N(CH2)3-Si(OCH3)3,
H2N(CH2)3-Si(OC2H5)3, H2N(CH2)3-Si(OCH3)2CH3,
H2N(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3, H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3,
H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3, H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3,
H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3, H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OH)3,
H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OH)2CH3, H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3,
H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3, cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)3,
cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)3, cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3,
cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3, cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OH)3,
cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OH)2CH3, phenyl-NH(CH2)3-Si(OCH3)3, phenyl-NH(CH2)3-Si(OC2H5)3, phenyl-NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3,
phenyl-NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3, phenyl-NH(CH2)3-Si(OH)3, phenyl-NH(CH2)3-Si(OH)2CH3, HN((CH2)3-Si(OCH3)3)2,
HN((CH2)3-Si(OC2H5)3)2 HN((CH2)3-Si(OCH3)2CH3)2,
HN((CH2)3-Si(OC2H5)2CH3)2, cyclo-C6H11NH(CH2)-Si(OCH3)3, cyclo-C6H11NH(CH2)-Si(OC2H5)3, cyclo-C6H11NH(CH2)-Si(OCH3)2CH3, cyclo-C6H11NH(CH2)-Si(OC2H5)2CH3, cyclo-C6H11NH(CH2)-Si(OH)3, cyclo-C6H11NH(CH2)-Si(OH)2CH3, phenyl-NH(CH2)-Si(OCH3)3,
phenyl-NH(CH2)-Si(OC2H5)3, phenyl-NH(CH2)-Si(OCH3)2CH3, phenyl-NH(CH2)-Si(OC2H5)2CH3, phenyl-NH(CH2)-Si(OH)3, and
phenyl-NH(CH2)-Si(OH)2CH3
及びそれらの部分的水解物であるが、好ましくは
H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3, H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3, H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3, cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)3, cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)3, and cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3
及び、それぞれの場合に、それらの水解物、特に好ましくは
H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3, H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3, cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)3, cyclo-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3
及び、それぞれの場合に、それらの水解物である。
【0099】
本発明の組成物で、本発明で所望により使用するオルガノシリコン化合物(G)は、硬化性触媒又は硬化性共触媒の機能も果たす。
【0100】
さらに、本発明で所望により使用するオルガノシリコン化合物(G)は、接着促進剤及び/又は水捕そく剤として作用し得る。
【0101】
本発明で所望により使用するオルガノシリコン化合物(G)は、市販製品である、及び/又は化学で一般的な方法により製造できる。
【0102】
塩基性窒素を含むオルガノシリコン化合物(G)を使用する場合、それらは、好ましくは成分(K1)の構成成分である。
【0103】
成分(K1)が化合物(G)を含んでなる場合、問題とする量は、それぞれの場合に化合物(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜25重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。本発明の成分(K1)は、好ましくは化合物(G)を含んでなる。
【0104】
本発明の組成物で所望により使用する触媒(H)は、シラン縮合により硬化する組成物で今日まで公知の、どのような望ましい触媒でもよい。
【0105】
金属含有硬化触媒(H)の例は、有機チタン及び有機スズ化合物であり、その例は、チタン酸エステル、例えばチタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトライソプロピル、及びテトラアセチルアセトン酸チタン、スズ化合物、例えばジブチルスズジラウラート、ジブチルスズマレアート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジオクタノアート、ジブチルスズアセチルアセトナート、酸化ジブチルスズ、及び対応するジオクチルスズ化合物である。
【0106】
金属を含まない硬化触媒(H)の例は、塩基性化合物、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、及びN−エチルモルホリニン、グアニジン誘導体、例えばモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタメチルグアニジンである。
【0107】
触媒(H)としては、酸性化合物、例えばリン酸及びそのエステル、トルエンスルホン酸、硫酸、硝酸、又は他の有機カルボン酸、例えば酢酸及び安息香酸も同様に使用できる。
【0108】
本願の状況下では、触媒(H)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の一部でよい。同様に、触媒(H)は、成分(K1)及び(K2)の両方に存在することもできるが、好ましくは、触媒(H)は、成分(K1)または(K2)の一方のみに加える。
【0109】
本発明の組成物(K)が触媒(H)を含んでなる場合、その量は、それぞれの場合に化合物(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜5重量部である。
【0110】
本発明の一実施態様で所望により使用する触媒(H)は、金属含有硬化触媒、好ましくはスズ含有触媒である。本発明のこの実施態様は、化合物(A)が、完全に、又は少なくとも部分的に、言い換えれば、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%の程度、式(I)のbが1ではない化合物である場合に特に好ましい。
【0111】
本発明の組成物で、化合物(A)が、完全に、又は少なくとも部分的に、言い換えれば、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%の程度、式(I)のbが1であり、Rが水素原子の定義を有する化合物である場合、好ましくは金属含有触媒(H)無しに、特にスズを含む触媒無しに、行うことができる。本発明の、金属含有、及び特にスズ含有触媒を使用しないこの実施態様は、特に好ましい。
【0112】
本発明の組成物(K)で所望により使用する接着促進剤(I)は、シラン縮合により硬化する系に今日まで記載されており、成分(G)とは異なった、どのような望ましい接着促進剤でもよい。
【0113】
接着促進剤(I)の例は、エポキシシラン、例えばグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、又はグリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3−トリエトキシシリルプロピル)無水マレイン酸、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)尿素、N−(トリメトキシシリルメチル)尿素、N−(メチルジメトキシシリルメチル)尿素、N−(3−トリエトキシシリルメチル)尿素、N−(3−メチルジエトキシシリルメチル)尿素、O−メチルカルバマートメチルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマートメチルトリメトキシシラン、O−エチルカルバマートメチルメチルジエトキシシラン、O−エチルカルバマートメチルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、及びアクリロイルオキシメチルメチルジエトキシシラン及びそれらの部分的縮合物である。
【0114】
接着促進剤(I)を使用する場合、これらは成分(K1)の構成成分である。
【0115】
成分(K1)が接着促進剤(I)を含む場合、その量は、それぞれの場合に化合物(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
【0116】
本発明の組成物(K)で所望により使用する水捕そく剤(J)は、シラン縮合による系に記載されており、化合物(G)及び(I)とは異なった、どのような望ましい水捕そく剤でもよい。
【0117】
水捕そく剤(J)の例は、シラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマートメチルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバマートメチルトリメトキシシラン、O−エチルカルバマートメチルメチルジエトキシシラン、O−エチルカルバマートメチルトリエトキシシラン、及び/又はそれらの部分的縮合物、及びオルトエステル、例えば1,1,1−トリメトキシエタン、1,1,1−トリエトキシエタン、トリメトキシメタン及びトリエトキシメタンである。
【0118】
水捕そく剤(J)を使用する場合、それらは好ましくは成分(K1)の構成成分である。
【0119】
成分(K1)が水捕そく剤(J)を含む場合、その量は、それぞれの場合に化合物(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜10重量部である。成分(K1)は、好ましくは水捕そく剤(J)を含んでなる。
【0120】
本発明の組成物で所望により使用する添加剤(L)は、今日まで公知であり、シラン架橋性系にとって典型的な、どのような望ましい添加剤でもよい。
【0121】
本発明で所望により使用する添加剤(L)は、好ましくは酸化防止剤、UV安定剤、例えばいわゆるHALS化合物、殺真菌剤、及び顔料である。
【0122】
成分(K2)は、さらに、添加剤として、水及びこの成分の他の構成成分の相溶性又は乳化性を強化する乳化剤含んでなることができる。その場合、問題とする乳化剤は、イオン系及び非イオン系乳化剤の両方を含むことができる。
【0123】
ここで、添加剤(L)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の一部でよい。同様に、触媒(H)は、成分(K1)及び(K2)の両方に存在することもできる。
【0124】
本発明の組成物(K)が添加剤(L)を含んでなる場合、その量は、それぞれの場合に構成成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。本発明の組成物(K)は、好ましくは添加剤(L)を含んでなる。
【0125】
本発明で所望により使用する補助剤(M)は、好ましくはテトラアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン及び/又はその部分的縮合物、反応性可塑剤、レオロジー添加剤、及び難燃剤である。
【0126】
好ましい反応性可塑剤(M)は、6〜40個の炭素原子を有するアルキル鎖を含み、化合物(A)に対する反応性の基を有する化合物である。その例は、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、N−オクチルトリメトキシシラン、N−オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、及びヘキサデシルトリエトキシシランである。
【0127】
レオロジー添加剤(M)は、好ましくはポリアミドワックス、水素化ひまし油、又はステアラートである。
【0128】
難燃剤(M)は、接着剤及びシーラント系に典型的な種類の、全ての典型的な難燃剤、より詳しくは、リン酸のハロゲン化された化合物及び誘導体、特にエステルでよい。
【0129】
補助剤(M)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の一部でよい。補助剤(M)は、成分(K1)及び(K2)の両方に存在することもできる。
【0130】
本発明の組成物(K)が、一種以上の成分(M)を含んでなる場合、その量は、それぞれの場合に成分(A)100重量部に対して、それぞれの場合に好ましくは0.5〜200重量部、より好ましくは1〜100重量部、特に2〜70重量部の量である。
【0131】
本発明の組成物(K)の成分(K2)は、水を、それぞれの場合に成分(K1)中に使用する化合物(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜10重量部、特に0.3〜5重量部の量で含んでなる。
【0132】
本発明の組成物(K)の成分(K2)は、シリコーン樹脂(B)、可塑剤(C)、充填剤(D)、増粘剤(E)、及び溶剤(F)から選択された少なくとも一種のさらなる物質を、それぞれの場合に第一成分(K1)中に使用する化合物(A)100重量部に対して、好ましくは2〜400重量部、より好ましくは5〜200重量部、特に少なくとも10〜100重量部含んでなる。
【0133】
本発明の組成物(K)は、好ましくは
(A)100重量部の式(I)の化合物、
所望により
(B)式(II)の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
所望により
(C)可塑剤、
所望により
(D)充填剤、
所望により
(F)溶剤、
所望により
(G)塩基性窒素を含む化合物、
所望により
(H)触媒、
所望により
(I)接着促進剤、
所望により
(J)水捕そく剤、
所望により
(L)添加剤、及び
所望により
(M)補助剤、
を含んでなる、成分(K1)と、
それぞれの場合に化合物(A)100重量部に対して、少なくとも0.05重量部の水及び、
(B)式(II)の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
(C)可塑剤、
(D)充填剤、
(E)増粘剤、及び
(F)溶剤、
及び所望により
(H)触媒、
所望により
(L)添加剤、及び
所望により
(M)補助剤
から選択される少なくとも一つの、少なくとも1重量部の物質を含んでなる、成分(K2)と
からなる組成物であるが、
ただし、本発明の組成物(K)は、合計で少なくとも10重量部のシリコーン樹脂(B)を含む。
【0134】
本発明の組成物(K)は、より好ましくは
(A)100重量部の式(I)の化合物、
所望により
(B)式(II)の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
所望により
(C)可塑剤、
所望により
(D)充填剤、
所望により
(F)溶剤、
(G)0.1〜25重量部の塩基性窒素を含む化合物、
所望により
(H)触媒、
所望により
(I)接着促進剤、
所望により
(J)水捕そく剤、
所望により
(L)添加剤、及び
所望により
(M)補助剤、
を含んでなる成分(K1)と、
それぞれの場合に化合物(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは0.2〜10重量部の水及び、
(B)式(II)の単位を含んでなるシリコーン樹脂、
(C)可塑剤、
(D)充填剤、
(E)増粘剤、及び
(F)溶剤、
及び所望により
(H)触媒、
所望により
(L)添加剤、及び
所望により
(M)補助剤
から選択される少なくとも一つの、2〜400重量部、より好ましくは5〜200重量部の物質を含んでなる成分(K2)と
からなる組成物であるが、
ただし、本発明の組成物(K)は、合計で30〜1000重量部のシリコーン樹脂(B)を含む。
【0135】
本発明の組成物(K)は、好ましくは化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(L)、(M)、及び水以外の他の構成成分を含まない。
【0136】
本発明で使用する構成成分は、それぞれの場合にそのような構成成分の一種類又はそれぞれの構成成分の少なくとも二種類の混合物を含んでなることができる。
【0137】
本発明で使用する成分(K1)は、粘度が、それぞれの場合に25℃で、好ましくは500〜1000000mPas、より好ましくは1000〜500000mPas、特に1000〜20000mPasである。
【0138】
本発明で使用する成分(K2)は、粘度が、それぞれの場合に25℃で、好ましくは500〜1000000mPas、より好ましくは1000〜500000mPas、特に1000〜20000mPasである。
【0139】
成分(K1)及び(K2)の比は、原則的に、成分(K1)中の化合物(A)と、成分(K2)中の水及び/又はさらなる物質との、上記の必要な比、及び必要な樹脂の総量が達成される限り、任意に選択できる。(K1)と(K2)の比は、好ましくは20:1〜1:5、より好ましくは12:1〜1:2である。
【0140】
本発明の成分(K1)及び(K2)は、それ自体公知のどのような望ましい様式、例えば湿分硬化組成物の製造で通常の方法及び混合技術により製造することができる。各種構成成分を互いに混合する順序は、任意に変えることができる。
【0141】
本発明は、本発明の組成物(K)を、成分(K1)及び(K2)及び、所望により、さらなる成分を一緒に混合することにより、製造する方法を提供するが、個々の成分は、それぞれの成分の構成成分の全てを、どのような順序ででも、別に一緒に混合することにより、製造する。
【0142】
この混合は、室温で、周囲雰囲気の圧力下で、言い換えれば約900〜1100hpaで行う。しかし、場合により、この混合は、高温で、例えば30〜130℃の温度でも行うことができる。さらに、混合を、断続的に又は連続的に、減圧下で、例えば30〜500hPaの絶対圧で行い、揮発性化合物及び/又は空気を除去することができる。
【0143】
本発明による成分(K1)の混合は、好ましくは湿分の非存在下で行う。
【0144】
本発明の方法は、連続的に、又は断続的に行うことができる。
【0145】
本発明による組成物の個々の成分は、貯蔵安定性のプレミックスであり、これを直前又は処理中に、特にその場で混合することができる。
【0146】
本発明による組成物(K)の架橋は、成分(K1)及び(K2)を接触させる際、又はその後で、好ましくは室温で、より好ましくは機械的混合により、行う。これは、場合により、室温より高い又は低い温度で、例えば−5℃〜15℃、又は30℃〜50℃で行うこともできる。
【0147】
架橋は、好ましくは圧力100〜1100hPaで、特に周囲雰囲気の圧力下で行う。
【0148】
本発明は、本発明の組成物(K)を架橋させることにより製造される、成形製品を提供する。
【0149】
本発明の成形製品は、どのような望ましい成形製品、例えばシール、圧縮製品、押出したプロファイル、塗料、含浸系、カプセル封入物、レンズ、プリズム、多角形構造、ラミネート層、又は接着剤層、でもよい。
【0150】
硬化の後、本発明の組成物(K)は、標準条件下、即ち1000hPa及び23℃で7日貯蔵後に、DIN EN 204により測定して、非常に大きな引張せん断強度、好ましくは少なくとも6MPa、より好ましくは少なくとも7MPa、特に少なくとも9MPaを有する。
【0151】
本発明の組成物(K)は、好ましくは接着剤として使用する。本発明の組成物(K)は、どのような材料、例えば木材、コンクリート、多孔質の石、紙、布地、皮革、等の接着にも使用できる。大気中の湿分との接触によってのみ硬化する1成分組成物と対照的に、本発明の組成物(K)は、水を通さない材料、例えば金属、ガラス、水を通さないセラミック、非多孔質の石、プラスチック、塗装した表面、等にも好適である。これは、接着剤の非常に深い接着層又は非常に厚い層でも同じことであり、大気中の湿分による硬化は不可能であるか、又は少なくとも非常に遅くなる。この場合、類似した又は異なった材料が、互いに接着し得る。
【0152】
さらに、本発明は、基材の接着剤結合又はシーリング方法であって、本発明により使用する成分(K1)及び(K2)及び、所望により、さらなる成分を互いに先ず混合し、次いで、混合物を少なくとも一個の基材の表面に塗布し、次いで該表面を、接着すべき第二基材に接触させ、続いて本発明の組成物(K)を架橋させることを含んでなる、方法を提供する。
【0153】
さらに、本発明は、塗料又はカプセル封入物を製造する方法であって、本発明により使用する成分(K1)及び(K2)及び、所望により、さらなる成分を互いに先ず混合し、次いで、混合物を少なくとも一個の基材に塗布し、続いて本発明の組成物(K)を架橋させることを含んでなる、方法を提供する。
【0154】
この方法の例は、LED又は他の電子部品用の組成物のカプセル封入、成形製品の製造、複合材料、及び複合材料成形品である。複合材料成形品とは、ここでは、複合材料から製造された一様な成形製品であり、本発明の組成物の架橋製品及び少なくとも一個の基材から構成され、2個の部品の間に堅い耐久性の結合がある。
【0155】
本発明の組成物には、容易に製造できるという利点がある。
【0156】
本発明の架橋性組成物には、非常に高い貯蔵安定性があるのが特徴である。
【0157】
本発明の架橋性組成物には、成分(K1)及び(K2)及び、所望により、さらなる成分を混合した後、大きい皮膜厚さ及び/又は水及び大気中の湿分を通さない2個の基材間にある深い接着剤接合部であっても、高い架橋及び硬化速度を示すという利点がある。
【0158】
本発明の架橋性組成物は、さらに優れた接着プロファイルを示す。
【0159】
さらに、本発明の架橋性組成物は、高い引張せん断強度を有する接着剤を得るのに使用できるという利点がある。
【0160】
本発明による組成物のもう一つの利点は、オプションで、低粘度成分(B)を選択することにより、低粘度の、即ち非常に良好な処理品質の組成物が得られることであり、この目的に大量の、好ましくないことが多い、溶剤及び/又は可塑剤を加える必要性が無い。
【実施例】
【0161】
下記の例で、全ての粘度数値は、温度25℃で測定している。他に指示が無い限り、下記の例は、周囲雰囲気の圧力下で、言い換えれば約1000hPaで、室温で、つまり約23℃で、又は反応物を、さらに加熱又は冷却せずに、室温で混合した時に生じる温度で、大気中の相対湿度約50%で行った。その上、部数及び百分率は、他に指示が無い限り、重量で表す。
【0162】
製造例1A
2成分接着剤処方物用のK1成分の製造(K1−A)
平均分子量(M)12000ダルトン及び式:
-O-C(=O)-NH-CH2-SiCH3(OCH3)2
の末端基を有するシラン末端を有するポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名称で市販)を、PC−Laborsystemから市販の、2個のクロス−アームミキサーを備えた実験室プラネタリーミキサー中で、約25℃で、フェニル官能性T単位(60〜65重量%)及びメチル官能性T単位(18〜22重量%)及びジメチル官能性D単位(2〜4重量%)から構成され、メトキシ基含有量が12〜16重量%であり、平均分子量800〜1300ダルトンの無溶剤の液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からSILRES(登録商標)IC368の名称で市販)58.5g及び安定剤(BASF AG, 独国、からTINUVIN(登録商標)123の名称で市販、CAS NO:129757−67−1)1.5gと200rpmで2分間均質化する。その後、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン29.4g及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカー7−エン(DBU)0.6gを、200rpmで1分間混合する。最後に、600rpmで2分間及び200rpmで1分間、圧力100mbar下で均質化し、混合物の気泡が無くなるまで撹拌を続ける。
【0163】
完成したK1成分(K1−A)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0164】
製造例1B
2成分接着剤処方物用のK1成分の製造(K1−B)
手順は製造例1Aと同様である。しかし、最後の配合工程で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン15.0g及びヒドロキシル末端を有する、液体の、25℃で粘度2000〜6000mPasを有するポリ−[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]メチルシロキサン(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からGENIOSIL(登録商標)GF95水解物の名称で市販)15.0gを、例1Aで使用したN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン29.4g及びDBU0.6gの混合物の代わりに使用した。
【0165】
完成したK1成分(K1−B)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0166】
製造例1C
2成分接着剤処方物用のK1成分の製造(K1−C)
平均分子量(M)12000ダルトン及び式:
-O-C(=O)-NH-CH2-SiCH3(OCH3)2
の末端基を有するシラン末端を有するポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名称で市販)135g中で、PC−Laborsystemから市販の、2個のクロス−アームミキサーを備えた実験室プラネタリーミキサー中で、約25℃で、BET表面積3〜5m/g及びd501.7〜2.1μmを有する三水酸化アルミニウム(Albemarle Corp.から「Martinal OL 104」の名称で市販)150.0gを、600rpmで1分間撹拌して消化する。三水酸化アルミニウムの配合に続いて、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン15gを、200rpmで1分間混合する。最後に、均質化を、600rpmで2分間及び200rpmで1分間、圧力100mbarで行い、混合物の気泡が無くなるまで撹拌を続ける。
【0167】
完成したK1成分(K1−C)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0168】
製造例1D
2成分接着剤処方物用のK1成分の製造(K1−D)
平均分子量(M)12000ダルトン及び式:
-O-C(=O)-NH-CH2-SiCH3(OCH3)2
の末端基を有するシラン末端を有するポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名称で市販)を、PC−Laborsystemから市販の、2個のクロス−アームミキサーを備えた実験室プラネタリーミキサー中で、約25℃で、フェニル官能性T単位(60〜65重量%)及びメチル官能性T単位(18〜22重量%)及びジメチル官能性D単位(2〜4重量%)から構成され、メトキシ基含有量が12〜16重量%であり、平均分子量800〜1300ダルトンの無溶剤の液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からSILRES(登録商標)IC368の名称で市販)99.0g及び安定剤(BASF AG, 独国、からTINUVIN(登録商標)123の名称で市販、CAS NO:129757−67−1)1.5gと200rpmで2分間均質化する。その後、BET表面積3〜5m/g及びd501.7〜2.1μmを有する三水酸化アルミニウム(Albemarle Corp.から「Martinal OL 104」の名称で市販)141.0gを、600rpmで1分間撹拌して消化する。三水酸化アルミニウムの配合に続いて、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン7.5gを、200rpmで1分間混合する。最後に、均質化を、600rpmで2分間及び200rpmで1分間、圧力100mbarで行い、混合物の気泡が無くなるまで撹拌を続ける。
【0169】
完成したK1成分(K1−D)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0170】
製造例2A
2成分接着剤処方物用のK2成分の製造(K2−A)
フェニル官能性T単位(60〜65重量%)及びメチル官能性T単位(18〜22重量%)及びジメチル官能性D単位(2〜4重量%)から構成され、メトキシ基含有量が12〜16重量%であり、平均分子量800〜1300ダルトンの無溶剤の液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からSILRES(登録商標)IC368の名称で市販)270g中で、PC−Laborsystemから市販の、2個のクロス−アームミキサーを備えた実験室プラネタリーミキサー中、約25℃で、BET表面積約200m/gを有する親水性ヒュームドシリカ(Wacker Chemie AG, Munich、(DE)からHDK(登録商標)N20の名称で市販)を600rpmで1分間撹拌して消化する。シリカの配合に続いて、水15.0gを200rpmで1分間混合する。最後に、均質化を、600rpmで2分間及び200rpmで1分間、圧力100mbarで行い、混合物の気泡が無くなるまで撹拌を続ける。
【0171】
完成したK2成分(K2−A)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0172】
製造例2B
2成分接着剤処方物用のK2成分の製造(K2−B)
手順は製造例2Aと同様である。しかし、フェニルシリコン樹脂を、270.0gの代わりに、277.5g、及び水を、15.0gの代わりに、7.5gだけ使用した。
【0173】
完成したK2成分(K2−B)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0174】
製造例2C
2成分接着剤処方物用のK2成分の製造(K2−C)
手順は製造例2Aと同様である。しかし、SILRES(登録商標)IC368を、270.0gの代わりに、282g、及び水を、15.0gの代わりに、3.0gだけ使用した。
【0175】
完成したK2成分(K2−C)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0176】
製造例2D
2成分接着剤処方物用のK2成分の製造(K2−D)
分岐鎖1個の平均分子量(M)6000ダルトンのポリプロピレンオキシドトリオール(Bayer Material Science, Leverkusen (DE)からAcclaim(登録商標)6300の名称で市販)165g中で、PC−Laborsystemから市販の、2個のクロス−アームミキサーを備えた実験室プラネタリーミキサー中、約25℃で、BET表面積約15m/g及びd500.45μmを有するチョーク(Solveyから「Socal U1S2」の名称で市販)を600rpmで1分間撹拌して消化する。その後、水30.0gを200rpmで1分間混合する。最後に、均質化を、600rpmで2分間及び200rpmで1分間、圧力100mbarで行い、混合物の気泡が無くなるまで撹拌を続ける。
【0177】
完成したK2成分(K2−D)を容器に取り、空気を通さないように閉じる。
【0178】
例1
それぞれの場合に製造例1A〜1Cからの完成したK1成分K1−A、K1−B、及びK1−C30gを、それぞれの場合に製造例2A〜2CからのK2成分K2−A、K2−B、及びK2−C30gと混合し、表1に示す9種類の2成分硬化性系を得る。成分の混合及び完成した2成分混合物の射出は、Sulzer Mixpac AG, Ruetistrasse 7, CH−9469 Haagから市販のMixpac(商品名)Bシステムにより行った。混合する成分は、2成分カートリッジの1カートリッジ部分、カートリッジ部分あたりの容積50ml、中に供給し、Mixpac(商品名)Bシステム(注文番号06084454−14)に属する静止ミキサーを使用し、2成分カートリッジから押し出す時に均質に混合した。続いて、9種類の得られた2成分架橋性組成物の特性を測定する。
【0179】
スキン形成時間(SFT)
スキン形成時間の測定には、9種類の得られた2成分架橋性組成物を、それぞれ2mm厚の層としてPEフィルムに塗布し、標準条件下(23℃及び50%大気中の相対湿度)で保存する。硬化の途中で、1分間に一度スキンの形成を試験する。これは、乾燥した実験室用へらを試料の表面上に注意深く置き、それを上方向に引き上げることにより、行う。試料がへらに付着した場合、スキンはまだ形成されていない。試料がへらに最早付着しなくなった時、スキンが形成されたのであり、その時間を記録する。結果を表1に示す。
【0180】
【表1】
【0181】
引張せん断強度
9種類の2成分架橋性組成物の引張せん断強度を、DIN EN 204により測定するが、アルミニウムプラークを接着する。この場合、接着剤を、接着すべき2枚のアルミニウムプラークに塗布し、次いでこれらを100μmドクターを使用して掃引する。続いて、2枚のプラークを、1x2cmの面積の上で、圧力5kgをかけて1分間、接合する。圧力を作用させた後、プラークを標準条件下で150時間保存する。次いで、2枚の接着したアルミニウムプラークの引張せん断強度を測定する。
【0182】
9種類の2成分架橋性組成物は全て、事実上同じ引張せん断強度を有し、8.5〜9.5MPaの範囲内である。
【0183】
引張せん断強度発生の測定
上記の成分K1−B及びK2−A及び成分K−1C及びK2−Aの1:1混合物に対して、硬化時間の関数として引張せん断強度発生を確認した。
【0184】
この場合の引張せん断強度は、DIN EN 204により測定するが、アルミニウムプラークを接着する。この場合、接着剤を、接着すべき2枚のアルミニウムプラークに塗布し、次いでこれらを100μmドクターを使用して掃引する。続いて、2枚のプラークを、1x2cmの面積の上で、圧力5kgをかけて1分間、接合する。圧力を作用させた後、プラークを標準条件下で表2に記載する時間保存する。次いで、2枚の接着したアルミニウムプラークの引張せん断強度を測定する。結果を表2に示す。
【0185】
【表2】
【0186】
例2
2成分接着剤処方物の特性測定
例1B及び1Dから得た完成したK1成分のK1−B及びK1−Dのそれぞれ60gを、例2Dから得た完成したK2成分のK2−Dのそれぞれ6gと共に秤量し、実験用へらを使用して均質に混合する。
【0187】
2種類の得られた2成分架橋性組成物の特性を確認する。
【0188】
スキン形成時間(SFT)
スキン形成時間は、例1に記載されるようにして測定した。ここでは、成分K1−B及びK2−Dの10:1混合物がスキン形成時間32分間を有し、成分K1−D及びK2−Dの10:1混合物がスキン形成時間10分間を有していた。
【0189】
引張せん断強度発生の測定
成分K1−B及びK2−D及びK1−D及びK2−Dの2種類の上記10:1混合物に対して、硬化時間の関数として引張せん断強度の発生を確認した。
【0190】
引張せん断強度の発生は、ここでは、例1に記載されるようにして測定した。結果を表3に示す。
【0191】
【表3】