特許第5969150号(P5969150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969150
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】規正装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/00 20060101AFI20160804BHJP
   B65G 57/03 20060101ALI20160804BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B65G57/00 B
   B65G57/03 G
   B25J19/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-21952(P2016-21952)
(22)【出願日】2016年2月8日
【審査請求日】2016年3月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591213623
【氏名又は名称】不二輸送機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾宮 裕二
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−156296(JP,A)
【文献】 特開平06−298366(JP,A)
【文献】 特開2005−035761(JP,A)
【文献】 特開昭51−047778(JP,A)
【文献】 特開2013−006685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00−57/32
B65G 60/00−61/00
B65G 47/22−47/32
B25J 1/00−21/02
B65B 35/00−35/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
ロボットによって積み上げられるワークの積み上がる方向に移動できるように前記ベース部材に設けられた可動部材と、
前記ワーク積み上げられる領域に向かって伸び、一方または両方が、互いが対向する方向に移動できるように前記可動部材に設けられた第1の規正部材および第2の規正部材と、
前記ワーク積み上げられる領域に向かって伸び、一方または両方が、互いが対向する方向に移動できるように前記第1の規正部材に設けられた第3の規正部材および第4の規正部材と、
前記ワーク積み上げられる領域に向かって伸び、一方または両方が、互いが対向する方向に移動できるように前記第2の規正部材に設けられた第5の規正部材および第6の規正部材と、
を有することを特徴とする規正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の規正装置であって、
前記可動部材は、最上段の前記ワークを規正した後、前記ロボットによって次の段の前記ワークが積み上げられている間に上方へ移動する、
ことを特徴とする規正装置。
【請求項3】
請求項1に記載の規正装置であって、
前記第1の規正部材および前記第2の規正部材は、その長手方向が前記ワークの積み上げ方向と略平行となるように可動する、
ことを特徴とする規正装置。
【請求項4】
請求項3に記載の規正装置であって、
前記ロボットによって積み上げられた前記ワークは、前記第1の規正部材および前記第2の規正部材の長手方向が前記ワークの積み上げ方向と略平行となるように可動した後に別の領域へ移動され、
前記可動部材は、前記ワークが別の領域に移動されている間に下方へ移動する、
ことを特徴とする規正装置。
【請求項5】
請求項1に記載の規正装置であって、
前記第3の規正部材の端部と前記第5の規正部材の端部は交差するように構成され、
前記第4の規正部材の端部と前記第6の規正部材の端部は交差するように構成される、
ことを特徴とする規正装置。
【請求項6】
請求項1に記載の規正装置であって、
前記第1の規正部材、前記第2の規正部材、前記第3の規正部材、前記第4の規正部材、前記第5の規正部材、および前記第6の規正部材は、略同一平面上にある、
ことを特徴とする規正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、より多くのワークをパレット上に載置するのを可能にしながらパレットを円滑に搬送可能にし、また、簡素な構成によってワークを積み上げ領域に収めるように移動させる積み上げ矯正装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−156296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パレタイジングロボットによって、パレット上に積み上げられるワークは、パレタイジングロボットの把持部の厚みや把持部の開閉動作領域の確保とワークの寸法公差吸収のため、隣同士が隙間を有したまま積み上げられる。隣同士が隙間を有したまま積み上げられたワークは、不安定であり、例えば、荷崩れ等を起こす可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、ロボットによって積み上げられるワークの間の隙間を詰める技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。上記課題を解決すべく、本発明に係る規正装置は、ベース部材と、ロボットによって積み上げられるワークの積み上げ方向に移動できるように前記ベース部材に設けられた可動部材と、前記ワークの積み上げ領域の方向に伸び、一方または両方が、互いが対向する方向に移動できるように前記可動部材に設けられた第1の規正部材および第2の規正部材と、前記ワークの積み上げ領域の方向に伸び、一方または両方が、互いが対向する方向に移動できるように前記第1の規正部材に設けられた第3の規正部材および第4の規正部材と、前記ワークの積み上げ領域の方向に伸び、一方または両方が、互いが対向する方向に移動できるように前記第2の規正部材に設けられた第5の規正部材および第6の規正部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロボットによって積み上げられるワークの間の隙間を詰めることができる。上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の規正装置を用いた物流システムの構成例を示した図である。
図2】規正装置の斜視図である。
図3】ワークの規正される前の状態を示した図である。
図4】ワークの規正された後の状態を示した図である。
図5】可動部材のワークの積み上げ方向の移動を説明する図のその1である。
図6】可動部材のワークの積み上げ方向の移動を説明する図のその2である。
図7】規正部材の端部を説明する図である。
図8】ワークが小さい場合の規正動作を説明する図である。
図9】積み上げられたワークの外周側面が4辺形でない場合の規正動作を説明する図である。
図10】ワークのパレット上の規正位置を説明する図である。
図11】パレット上に規定段数のワークが積み上げられたときの規正装置の動作を説明する図である。
図12】物流システムの動作例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の規正装置を用いた物流システムの構成例を示した図である。図1に示すように、物流システムは、規正装置1と、ロボット2と、パレット3と、コンベア4,5と、収納部6aと、吸着部6bと、支持部材6cと、動力部6dと、制御装置7とを有している。
【0010】
規正装置1は、パレット3上に積み上げられるワークW1を規正する。ワークW1は、例えば、組み立てられる前のダンボールであり、結束紐によって複数枚が1束となっている。
【0011】
ワークW1は、ロボット2によって、パレット3上に積み上げられる。以下で説明するが、ワークW1は、隣同士が隙間を有したままパレット3上に積み上げられる(図3を参照)。規正装置1は、その隙間を詰めるようにワークW1を外周側面から押す(図4を参照)。
【0012】
ロボット2は、例えば、パレタイジングロボットである。ロボット2は、ワークW1が積み上げられる領域(例えば、図1に示しているパレット3およびワークW1の領域)を挟んで、規正装置1に対向する位置に配置されている。ロボット2は、胴部2aと、アーム2bと、把持部2cとを有している。
【0013】
ワークW1は、コンベア4によって、図1に示す荷取領域A1に搬送される。ロボット2は、把持部2cが荷取領域A1に位置するように胴部2aおよびアーム2bを動作し、荷取領域A1に送り込まれたワークW1を把持部2cで把持して、パレット3上に積み上げる。図1の例では、ロボット2は、4つのワークW1を1段として、パレット3上に積み上げている。
【0014】
パレット3は、ワークW1が積まれる荷台である。パレット3は、収納部6aの下またはパレット3の進行方向に対して上流に収納されており、そこから+x軸方向へ搬送され、図1に示しているパレット3の位置(以下、パレット配置位置と呼ぶことがある)に配置される。
【0015】
コンベア4は、+x軸方向へワークW1を搬送する。コンベア4によって搬送されたワークW1は、荷取領域A1に配置される。
【0016】
コンベア5は、パレット3上に規定段数のワークW1が積まれると、パレット3を+x軸方向へ搬送する。規定段数のワークW1を積んだパレット3が、+x軸方向へ搬送されると、次の(空の)パレット3が、収納部6aの下またはパレット3の進行方向に対して上流から、パレット配置位置へ送り込まれる。そして、ロボット2は、空のパレット3に、再びワークW1を積み上げていく。
【0017】
収納部6aには、間紙が収納される。収納部6aに収納された間紙は、複数の吸着部6bによって吸着される。間紙を吸着した複数の吸着部6bは、例えば、モータである動力部6dにより、支持部材6cに沿って、上方へ持ち上げられる。上方へ持ち上げられた間紙は、ロボット2の把持部(図1に示す把持部2cとは別の把持部であり、図1では、符号を付していない)によって把持され、ワークW1上へ載置される。間紙は、ワークW1が1段または所定段数積まれるたびに、ワークW1上に載置される。なお、間紙が載置されるワークW1の所定段数は、パレット3がコンベア5によって搬送されるときのワークW1の規定段数とは異なる段数である(所定段数<規定段数)。
【0018】
制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコンピュータであり、メモリに記憶されたプログラムに従って、規正装置1の動作、ロボット2の動作、コンベア5,6の動作等を制御する。制御装置7は、例えば、制御盤である。なお、制御装置7は、多くの構成要素に分割されてもよい。例えば、ロボット2を制御する制御装置は、ロボット2が備え、規正装置1を制御する制御装置は、規正装置1が備えていてもよい。
【0019】
図1の物流システムの概略動作について説明する。まず、空のパレット3が、収納部6aの下から、パレット配置位置へ送り出される。
【0020】
ワークW1は、コンベア4によって、荷取領域A1に搬送される。ロボット2は、荷取領域A1に搬送されたワークW1を把持し、パレット3上に積み上げる。
【0021】
規正装置1は、ロボット2によって、ワークW1が1段積み上げられると、その段のワークW1の隙間を詰め、規正する。例えば、図1の例の場合、規正装置1は、同一水平面上に4つのワークW1が積み上げられると、その4つのワークW1の外周側面を押して隙間を詰め、規正する。規正装置1は、ワークW1が1段積み上げられるたびに上方へ移動し、その積み上げられた段のワークW1を規正する。
【0022】
ロボット2は、パレット3上に、規定段数までワークW1を積み上げる。パレット3は、ワークW1が規定段数積み上げられると、コンベア5によって、+x方向へ搬送される。そして、次の空のパレット3が、収納部6aの下から、パレット配置位置に送り出される。ロボット2と規正装置1は、上記したワークW1の積み上げ動作と規正動作とを繰り返す。
【0023】
なお、ロボット2は、ワークW1が1段または所定段数積まれるたびに、収納部6aに収納されている間紙をワークW1上に載置する。
【0024】
図2は、規正装置1の斜視図である。図2に示すように、規正装置1は、ベース部材11a,11bと、可動部材12と、規正部材13a,13b,14a,14b,15a,15bと、動力部M1〜M7とを有している。図2には、ワークW1が積み上げられる積み上げ領域A11が示してある。
【0025】
ベース部材11a,11bは、柱状の形状を有している。ベース部材11a,11bは、その長手方向が、地面と直交(略直交を含む、以下同じ)するように設置されている。図2の例では、ベース部材は2つであるが、1または3つ以上であってもよい。
【0026】
可動部材12は、柱状の形状を有している。可動部材12は、その長手方向が、ベース部材11a,11bの長手方向と直交するように、ベース部材11a,11bに設けられている。可動部材12は、ロボット2によって積み上げられるワークW1の積み上げ方向(z軸方向)に移動できるように、ベース部材11a,11bに設けられている。
【0027】
規正部材13a,13bは、柱状の形状を有している。規正部材13a,13bは、ワークW1の積み上げ方向(z軸方向)に対し直交する方向であって、かつ、ワークW1の積み上げ領域A11の方向に伸びるように、可動部材12に設けられている。規正部材13a,13bは、互いが対向する方向(x軸方向)に移動できるように、可動部材12に設けられている。
【0028】
規正部材14a,14bは、柱状の形状を有している。規正部材14a,14bは、ワークW1の積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向(y軸方向)に移動できるように、規正部材13aに設けられている。
【0029】
規正部材15a,15bは、柱状の形状を有している。規正部材15a,15bは、ワークW1の積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向(y軸方向)に移動できるように、規正部材13bに設けられている。
【0030】
規正部材13a,13bと、規正部材13aに連結されている規正部材14a,14bと、規正部材13bに連結されている規正部材15a,15bは、同一平面上(略同一平面を含む、以下同じ)にあるように構成されている。
【0031】
動力部M1〜M7は、例えば、モータである。動力部M1は、可動部材12を垂直方向(略垂直を含む、以下同じ)に移動する。
【0032】
動力部M2は、規正部材13aを±x軸方向に移動する。動力部M3は、規正部材13bを±x軸方向に移動する。これにより、規正部材13a,13bは、±x軸方向において、積み上げ領域A11に積み上げられたワークW1を規正することができる。
【0033】
動力部M4は、可動部材12と規正部材13aとの連結部分を支点として、規正部材13aを上方に持ち上げる。動力部M5は、可動部材12と規正部材13bとの連結部分を支点として、規正部材13bを上方に持ち上げる。これにより、規正部材13a,13bは、その長手方向がz軸方向を向く(図11を参照)。
【0034】
動力部M6は、規正部材14a,14bのそれぞれが連動して±y軸方向に移動する。これにより、規正部材14a,14bは、±y軸方向において、積み上げ領域A11に積み上げられたワークW1を規正することができる。
【0035】
動力部M7は、規正部材15a,15bのそれぞれが連動して±y軸方向に移動する。これにより、規正部材15a,15bは、±y軸方向において、積み上げ領域A11に積み上げられたワークW1を規正することができる。
【0036】
図3は、ワークの規正される前の状態を示した図である。図3には、図2の規正装置1を+z軸方向から−z軸方向に向かって見たときの一部が示してある。図3において、図2と同じものには同じ符号が付してある。なお、図3では、図2の規正装置1の形状等を簡略化して図示している。
【0037】
図3に示すように、ワークW11〜W14は、ロボット2の把持部2cの厚みや把持部2cの開閉動作領域の確保とワークW11〜W14の寸法公差吸収のため、隣同士が隙間を有したまま積み上げられる。
【0038】
図4は、ワークの規正された後の状態を示した図である。図4において、図3と同じものには同じ符号が付してある。
【0039】
規正装置1は、ワークW11〜W14が1段積み上げられると、その1段積み上げられたワークW11〜W14を規正する。例えば、規正装置1は、ワークW11とワークW13との間の隙間と、ワークW12とワークW14との間の隙間が無くなるよう、規正部材13a,13bをx軸方向に移動する。また、規正装置1は、ワークW11とワークW12との間の隙間と、ワークW13とワークW14との間の隙間が無くなるよう、規正部材14a,14bと規正部材15a,15bとをy軸方向に移動する。
【0040】
このように、規正装置1は、ワーク間の隙間を詰めるので、積み上げられたワークは、安定する。また、ワークが安定するので、間紙も安定してワーク上に載置されることができる。また、間紙枚数を低減することができ、さらには、間紙を使用しなくても済む場合もある。
【0041】
図5は、可動部材12のワークの積み上げ方向の移動を説明する図のその1である。図5には、図2の規正装置1を−x軸方向から+x軸方向に向かって見たときの一部が示してある。図5において、図2と同じものには同じ符号が付してある。なお、図5では、図2の規正装置1の形状等を簡略化して図示している。
【0042】
規正装置1は、ロボット2によって、1段のワークが積み上げられると(例えば、図1の例では、同一水平面上に4つのワークW1が積み上げられると)、その積み上げられたワークを規正する。例えば、規正装置1は、図5に示すように、ワークW21,W22と、そのワークW21,W22の紙面奥側にある2つのワークとの上部に、ワークW23,W24と、そのワークW23,W24の紙面奥側にある2つのワークとが積み上げられると、その積み上げられた4つのワーク(最上段のワーク)を規正する。
【0043】
規正装置1は、最上段のワークを規正するとき、規正部材13a,13bが、最上段にあるワークの側面と、その1つ下段のワークの側面とに位置(オーバラップ)するように、可動部材12を移動する。例えば、規正装置1は、図5に示すように、規正部材13aが、最上段のワークW23,W24の側面と、その1つ下段のワークW21,W22の側面とに位置するように、可動部材12を移動する。
【0044】
すなわち、規正装置1は、規正部材13a,13bと、規正部材14a,14bと、規正部材15a,15bとを、最上段のワークの側面と、その1つ下段のワークの側面とに押し当てて、ワークを規正する。これにより、ワークは、パレット3上で垂直方向に整列して積み上げられる。
【0045】
図6は、可動部材12のワークの積み上げ方向の移動を説明する図のその2である。図6において、図5と同じものには同じ符号が付してある。
【0046】
ロボット2は、規正装置1によって、最上段のワークが規正されると、最上段のワークの上に次の段のワークを積み上げる。例えば、ロボット2は、図6に示すように、ワークW24のワークの上に、ワークW25を積み上げる。
【0047】
規正装置1は、最上段のワークを規正した後、ロボット2によって、最上段のワークの上に次の段のワークが積み上げられている間に、可動部材12を上方へ移動する。例えば、規正装置1は、ワークW23,W24の側面と、ワークW21,W22の側面との間に位置している規正部材13a(例えば、図5に示す状態の規正部材13a)を、ロボット2が最上段のワークW23,W24の上部に次の段のワークを積み上げている間に、ワークW23,W24の上面近傍に位置するように、可動部材12を上方へ移動させ待機させる。より具体的には、規正装置1は、規正部材13aの矢印A21に示す中心線が、ワークW24の高さの半分より上方に位置するように、可動部材12を上方に移動させ待機させる。また、規正装置1は、規正部材13aの上面が、ワークW23,W24の上面より下側に位置するように、可動部材12を上方に移動させ待機させる。
【0048】
これにより、次の段のワークの規正を行うときの、可動部材12の移動時間が短縮される。例えば、可動部材12の移動距離は、図6の矢印A22に示す距離で済むため、次の段のワークの規正を行うときの、可動部材12の移動時間が短縮される。そして、ロボット2は、パレット3上に早く規定段数のワークを積み上げることができる。
【0049】
また、上記したように、規正部材13a,13b,14a,14b,15a,15bは、同一平面上にあるように構成されており、これらの規正部材の上面は、ワークW23,W24の上面より下側に配置される。これにより、ロボット2は、規正部材13a,13b,14a,14b,15a,15bと干渉することなく、最上段のワークの上に、次の段のワークを積み上げることができる。また、ロボット2は、規正装置1との干渉を避けるための回避動作や待ち時間が不要となる。
【0050】
図7は、規正部材14b,15bの端部を説明する図である。図7には、図2の規正装置1を+y軸方向から−y軸方向に向かって見たときの一部が示してある。図7において、図2と同じものには同じ符号が付してある。なお、図7では、図2の規正装置1の形状等を簡略化して図示している。
【0051】
規正部材14bと規正部材15bの端部は、交差するように(重なるように)構成されている。例えば、図7の(A)に示すように、規正部材14bは、規正部材15bと対抗する側の端部に、爪部14ba,14bbを有している。規正部材15bは、規正部材14bと対向する側の端部に、爪部15ba,15bbを有している。そして、図7の(B)に示すように、規正部材14bの爪部14ba,14bbと、規正部材15bの爪部15ba,15bbは、互いが交差するように構成されている。
【0052】
なお、図7には示していないが、規正部材14aも規正部材14bと同様の爪部を有している。規正部材15aも規正部材15bと同様の爪部を有している。
【0053】
また、規正部材14a,14bと規正部材15a,15bの端部の形状は、図7に示した爪部の形状に限られない。すなわち、規正部材14a,14bと規正部材15a,15bの端部は、互いが近づいたときに交差するように構成されていればよい。例えば、図7の(A)の例では、規正部材14bと規正部材15bは、それぞれ2つの爪部14ba,14bbと爪部15ba,15bbとを有していたが、規正部材14bは、爪部14baのみを有し、規正部材15bは、爪部15baのみを有していてもよい。
【0054】
図8は、ワークが小さい場合の規正動作を説明する図である。図8において、図4と同じものには同じ符号が付してある。図8に示すワークW31〜W34は、x軸方向の大きさが小さいとする。例えば、図8に示すワークW31のx軸方向の長さと、ワークW33のx軸方向の長さの合計は、規正部材14aのx軸方向の長さと、規正部材15aのx軸方向の長さの合計より小さいとする。
【0055】
規正部材14a,14bと規正部材15a,15bは、図7で説明したように、互いが対向している端部において、交差するように構成されている。そのため、規正装置1は、ワークW31〜W34のx軸方向の大きさが小さくても、図8に示すように規正部材14a,14bの端部(爪部)と、規正部材15a,15bの端部(爪部)とを交差させることにより、ワークW31〜W34を規正することができる。
【0056】
つまり、x軸方向に並べられたワークのx軸方向における合計の長さ(例えば、ワークW31,W33のx軸方向の長さ)が、規正部材14a,14bと規正部材15a,15bのx軸方向の長さより小さくても、規正装置1は、規正部材14a,14bと規正部材15a,15bの端部を交差させることにより、ワークを適切に規正することができる。
【0057】
図9は、積み上げられたワークの外周側面が4辺形でない場合の規正動作を説明する図である。図9において、図4と同じものには同じ符号が付してある。
【0058】
図4図8で説明した規正動作では、ワークの外周側面は4辺形であった。規正装置1は、6個の規正部材13a,13b,14a,14b,15a,15bを備えることにより、ワークの外周側面が4辺形以外でも、ワークを規正することができる。例えば、規正装置1は、図9に示すように、ワークW41〜W46の外周側面が8面である場合でも、ワークW41〜W46を適切に規正することができる。
【0059】
このように、規正装置1は、6つの規正部材を備えることにより、それぞれの規正部材でワークの外周の6つの側面を押すことが可能であるため、外周側面が4辺形以外のワークを規正することができる。
【0060】
図10は、ワークのパレット3上の規正位置を説明する図である。図10には、図4の右側半分が示してある。図10において、図4と同じものには同じ符号が付してある。また、図10には、パレット3と、パレット3上に積まれたワークW51〜W53とが示してある。
【0061】
規正装置1は、ワークW51〜W53を、y軸方向において規正するための2つの規正部材15a,15bを有している。そのため、規正装置1は、矢印A31aと矢印A31bとの2方向から、ワークW51〜W53を規正することができる。これにより、規正装置1は、y軸方向において、ワークW51〜W53をパレット3上の任意の位置で規正することができる。
【0062】
例えば、規正装置1は、ワークW51〜W53を、パレット3のy軸方向の中央部において規正することができる。または、規正装置1は、ワークW51〜W53を、パレット3の辺3a側に寄せて規正することができる。または、規正装置1は、ワークW51〜W53を、パレット3の辺3b側に寄せて規正することができる。
【0063】
なお、図10には示していない規正部材14a,14bも同様に、y軸方向において、ワークをパレット3上の任意の位置で規正することができる。また、規正部材13a,13bも同様に、x軸方向において、ワークをパレット3上の任意の位置で規正することができる。
【0064】
図11は、パレット3上に規定段数のワークが積み上げられたときの規正装置1の動作を説明する図である。図11において、図2と同じものには同じ符号が付してある。
【0065】
図11に示す規正部材13a,13bは、図2で説明したように、動力部M4,M5によって、その長手方向がワークの積み上げ方向と平行(略平行を含む、以下同じ)となるように持ち上げられる。規正部材13a,13bは、パレット3上に規定段数のワークが積み上げられると、その長手方向がワークの積み上げ方向と平行となるように持ち上げられる。そして、規定段数のワークが積み上げられたパレット3は、コンベア5によって別の場所へ移動される。これにより、パレット3は、ワークが規定段数積まれると、規正装置1に干渉することなく、コンベア5によって搬送される。
【0066】
可動部材12は、パレット3の搬送と同時(ほぼ同時を含む、以下同じ)に、以下で説明する所定位置まで下方へ移動される。規正部材13a,13bは、可動部材12が以下で説明する所定位置まで下方に移動され、空のパレット3がパレット配置位置に配置されると、その長手方向がワークの積み上げ領域A11の方向(y軸方向)を向くように下される。
【0067】
このように、可動部材12は、パレット3が搬送されている間に(ワークが別の領域に移動されている間に)、下方へ移動される。これにより、次のパレット3上への、ワークの積み上げ開始時間が短縮される。また、規正部材13a,13bは、空のパレット3がパレット配置位置に配置された後、その長手方向がy軸方向を向くように下される。これにより、規正部材13a,13bは、パレット配置位置に搬送される空のパレット3と干渉しない。
【0068】
可動部材12の所定位置について説明する。可動部材12の所定位置とは、規正部材13a,13bの長手方向がy軸方向を向くように下されたとき、規正部材13a,13b,14a,14b,15a,15bの上面が、パレット配置位置に配置された空のパレット3の上面より下側になる位置である。これにより、パレット配置位置に配置された空のパレット3の上方には、1段目のワークを積み上げるロボット2の動作を妨げる領域(スペース)が存在しない。従って、ロボット2は、無駄な動き(例えば、空のパレット3の上方に規正部材がある場合、その規正部材を回避する動き)をすることなく、ワークを積み上げることができる。
【0069】
図12は、物流システムの動作例を示したフローチャートである。物流システムは、図12に示すフローチャートの動作を繰り返し実行する。
【0070】
まず、制御装置7は、空のパレット3を、パレット配置位置へ搬送する(ステップS1)。例えば、制御装置7は、空のパレットを、図1に示しているパレット3の位置に搬送する。
【0071】
次に、制御装置7は、規正装置1の垂直方向に持ち上げていた規正部材13a,13bを水平方向へ下す(ステップS2)。
【0072】
次に、制御装置7は、コンベア4によって、ワークを荷取領域A1に搬送し、荷取領域A1に搬送したワークを、ロボット2でパレット3上に1段積み上げる(ステップS3)。例えば、制御装置7は、図1に示したように、同一水平面上に4つのワークW1を積み上げる。
【0073】
次に、制御装置7は、ステップS3にて積み上げた1段のワークを、規正装置1によって規正する(ステップS4)。例えば、制御装置7は、図3および図4に示したように、規正装置1によって、ワーク間の隙間を詰める。
【0074】
次に、制御装置7は、ロボット2によって、ステップS4にて規正したワークの上に、次段のワークを積み上げる(ステップS5a)。
【0075】
また、制御装置7は、ステップS5aの処理と同時に、規正装置1の規正部材13a,13bが最上段のワークの上面近傍に位置するように、可動部材12を上昇する(ステップS5b)。例えば、制御装置7は、図5および図6に示したように、可動部材12を上昇する。
【0076】
次に、制御装置7は、パレット3上のワークが規定段数になったか否か判定する(ステップS6)。制御装置7は、パレット3上のワークが規定段数になっていないと判定した場合(S6の「No」)、処理をステップS4へ移行する。制御装置7は、パレット3上のワークが規定段数になっていると判定した場合(S6の「Yes」)、処理をステップS7へ移行する。
【0077】
制御装置1は、ステップS6にて、パレット3上のワークが規定段数になっていると判定した場合(S6の「Yes」)、規定段数目のワークを規正する(ステップS7)。
【0078】
次に、制御装置7は、規正部材13a,13bを垂直方向に持ち上げる(ステップS8)。例えば、制御装置7は、図11に示したように、規正部材13a,13bを垂直方向に持ち上げる。
【0079】
次に、制御装置7は、コンベア5によって、規定段数のワークを積んだパレット3を搬出する(ステップS9a)。例えば、制御装置7は、図1の+x軸方向へパレット3を搬出する。
【0080】
また、制御装置7は、ステップS9aの処理と同時に、規正装置1の可動部材12を下方へ移動する(ステップS9b)。例えば、制御装置7は、規正装置1の規正部材13a,13bを垂直方向に持ち上げた状態のまま、可動部材12を、上記した所定位置まで下方移動する。
【0081】
制御装置7は、当該フローチャートの処理を終了し、再びステップS1の処理を実行する。
【0082】
なお、制御装置7は、ワークが積み上げられたパレット3の搬出(ステップS9aの処理)と、空のパレット3のパレット配置位置への搬入(ステップS1の処理)とを同時に行ってもよい。
【0083】
また、図12に示していないが、制御装置7は、ワークW1が1段または所定段数積まれるたびに、収納部6aに収納されている間紙を、ロボット2によってワークW1上に載置する。
【0084】
このように、規正装置1は、ベース部材11a,11bと、ロボット2によって積み上げられるワークの積み上げ方向に移動できるように、ベース部材11a,11bに設けられた可動部材12と、を有する。また、規正装置1は、ワークの積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向に移動できるように可動部材12に設けられた規正部材13a,13bを有する。そして、規正装置1は、ワークの積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向に移動できるように規正部材13aに設けられた規正部材14a,14bと、ワークの積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向に移動できるように規正部材13bに設けられた規正部材15a,15bと、を有する。これにより、規正装置1は、ロボット2によって積み上げられるワークの間の隙間を詰めることができる。また、ワークは、隙間を詰めてパレット3上に積み上げられるので、パレット3は、安定して搬出されることができる。
【0085】
なお、上記では、規正部材14b,15bは、規正部材13a,13bに対し移動するとしたが、規正部材13a,13bに対し固定されていてもよい。つまり、規正部材14a,15aのみが、規正部材13a,13bに対し移動してもよい。このとき、規正部材14b,15bは、同一線上になくてもよい(例えば、可動部材12に対する規正部材14bの距離と、可動部材12に対する規正部材15bの距離は異なっていてもよい)。これによっても、規正装置1は、ロボット2によって積み上げられるワークの間の隙間を詰めることができる。規正部材14a,15aも前記と同様に、規正部材13a,13bに対し固定されていてもよい。また、規正部材13a,13bも前記と同様に、可動部材12に対し、一方が固定されていてもよい。このように、対向する規正部材の一方を固定することにより、規正装置1のコスト低減を図ることができる。
【0086】
また、ワークのパレット上への積み方は、図示した例に限られない。例えば、ロボット2は、パレット3上に4丁配風車積みにワークを積み、規正装置1は、そのワークを規正することができる。
【0087】
また、規正部材14a,14bのそれぞれは連動して±y軸方向に移動するとしたが、独立して移動してもよい。また、規正部材15a,15bのそれぞれは連動して±y軸方向に移動するとしたが、独立して移動してもよい。
【0088】
また、規正装置1を使用しないときは、規正装置1を図11に示した姿勢にしてもよい。これにより、規正装置1による、ロボット2のワークの積み上げの妨げを回避することができる。
【0089】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0090】
また、上述したフローチャートの各処理単位は、物流システムの処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。物流システムの処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【符号の説明】
【0091】
1…規正装置、2…ロボット、2a…胴部、2b…アーム、2c…把持部、3…パレット、4,5…コンベア、6a…収納部、6b…吸着部、6c…フレーム、7…制御装置、W1…ワーク、A1…荷取領域、11a,11b…ベース部材、12…可動部材、13a,13b,14a,14b,15a,15b…規正部材、M1〜M7…動力部、A11…積み上げ領域、14ba,14bb,15ba,15bb…爪部。
【要約】
【課題】ロボット2によって積み上げられるワークの間の隙間を詰める。
【解決手段】可動部材12は、ロボットによって積み上げられるワークの積み上げ方向に移動できるように、ベース部材11a,11bに設けられている。規正部材13a,13bは、ワークの積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向に移動できるように、可動部材12に設けられている。規正部材14a,14bは、ワークの積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向に移動できるように、規正部材13aに設けられている。規正部材15a,15bは、ワークの積み上げ領域A11の方向に伸び、互いが対向する方向に移動できるように、規正部材13bに設けられている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12