(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969151
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 1/00 20060101AFI20160804BHJP
A63H 1/02 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
A63H1/00 F
A63H1/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-22318(P2016-22318)
(22)【出願日】2016年2月9日
【審査請求日】2016年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 幸弘
【審査官】
鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5793631(JP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0142983(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0102907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側の胴体には第1の爪が形成され、下側の軸部には第2の爪が形成され、前記胴体と前記軸部とは、前記軸部の軸線を中心とする相対的な回転位置に応じて、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面が対向するように前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重なる結合状態と、前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重ならない結合解除状態とを取り得、前記結合解除状態から前記胴体に対して前記軸部を所定の回転方向に回転させることで前記結合状態とされ、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃によって前記胴体に対して前記軸部が前記回転方向とは反対の方向に相対回転し前記結合解除状態に至った際に前記胴体と前記軸部との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具において、
前記胴体及び前記軸部のそれぞれには前記結合状態において上下方向で互いに対向する部分が形成され、
さらに、付勢手段と、突起と、この突起に前記付勢手段の付勢力によって当接し前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に至るまでの間連続的に摺接される摺接面とを有し、
前記胴体側の前記対向する部分には前記摺接面が形成され、前記軸部側の前記対向する部分には前記突起が形成され、
前記摺接面は、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に低くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面となっている、
ことを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記摺接面に代えて、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に低くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面と、高さが一定で途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な平坦部分との組合せからなる摺接面を有することを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記付勢手段として、前記突起が上端に形成された筒状体と、前記筒状体の外周壁に付設され当該筒状体の下方に突出する脚部とを有し、前記筒状体には前記脚部の支持部分の両脇に当該筒状体の下端にまで至るスリットがそれぞれ形成され、前記脚部が所定の座部に着座することで前記相対回転の際に前記脚部及び前記支持部分が弾性変形する押圧部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
上側の胴体には第1の爪が形成され、下側の軸部には第2の爪が形成され、前記胴体と前記軸部とは、前記軸部の軸線を中心とする相対的な回転位置に応じて、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面が対向するように前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重なる結合状態と、前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重ならない結合解除状態とを取り得、前記結合解除状態から前記胴体に対して前記軸部を所定の回転方向に回転させることで前記結合状態とされ、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃によって前記胴体に対して前記軸部が前記回転方向とは反対の方向に相対回転し前記結合解除状態に至った際に前記胴体と前記軸部との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具において、
前記胴体及び前記軸部のそれぞれには前記結合状態において上下方向で互いに対向する部分が形成され、
さらに、付勢手段と、突起と、この突起に前記付勢手段の付勢力によって当接し前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に至るまでの間連続的に摺接される摺接面とを有し、
前記胴体側の前記対向する部分には前記突起が形成され、前記軸部側の前記対向する部分には前記摺接面が形成され、
前記摺接面は、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に高くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面となっている、
ことを特徴とするコマ玩具。
【請求項5】
前記摺接面に代えて、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に高くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面と、高さが一定で途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な平坦部分との組合せからなる摺接面を有することを特徴とする請求項4に記載のコマ玩具。
【請求項6】
前記付勢手段として、前記摺接面が上端に形成された筒状体と、前記筒状体の外周壁に付設され当該筒状体の下方に突出する脚部とを有し、前記筒状体には前記脚部の支持部分の両脇に当該筒状体の下端にまで至るスリットがそれぞれ形成され、前記脚部が所定の座部に着座することで前記相対回転の際に前記脚部及び前記支持部分が弾性変形し、この弾性変形に伴う弾性力によって前記突起に前記摺接面を当接させる押圧部材を有することを特徴とする請求項4又は5に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コマ玩具を使用したバトルゲームとして、例えば専用のフィールド上で回転するコマ玩具同士を互いに衝突させ、その衝撃力によって、相手方のコマ玩具をフィールド外へ弾き飛ばしたり、相手方のコマ玩具の胴体と軸部とを分解させたりして楽しむものがある。
【0003】
このバトルゲームに使用されるコマ玩具の一例が特許文献1に開示されている。
このコマ玩具では、スプリングの付勢力によって、上側に位置する胴体側の爪の上面と下側に位置する軸部側の爪の下面とを上下方向で当接させるとともに、胴体側の歯部と軸部側の突起とを上下方向で噛合させる構成となっている。
このコマ玩具によれば、コマ玩具同士が互いに衝突した際の衝撃力によって、胴体の回転が抑制される一方で軸部が引き続き回転を継続しようとすることにより、胴体と軸部とが相対的に反対方向に回転し、胴体側の爪の上面と軸部側の爪の下面との当接が解除され、コマ玩具の胴体と軸部とが分解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5793631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のコマ玩具において、胴体側の歯部と軸部側の突起との噛合は、胴体と軸部とが相対的に反対方向に回転する際の回転抵抗として作用する。そして、この回転抵抗によって、コマ玩具同士が互いに衝突した際の胴体と軸部との相対的な回転量が小さくなり、複数回の衝撃力を受けたときに初めてコマ玩具の胴体と軸部とが分解される。
しかしながら、上記特許文献1のコマ玩具の場合、胴体側の歯部と軸部側の突起とは細かく、胴体と軸部とが相対回転した際に歯部と突起とが擦れ合ったときに摩耗しねじれ抵抗(回転抵抗)が低下する場合がある。そして、このように歯部や突起が摩耗したり欠けたりした場合にはコマ玩具の特性が劣化してしまうため、耐摩耗性に優れた樹脂材料を使う必要があり、コストが上がってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、コストを上げることなく、特性劣化の少ないバトル用のコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のコマ玩具は、
上側の胴体には第1の爪が形成され、下側の軸部には第2の爪が形成され、前記胴体と前記軸部とは、前記軸部の軸線を中心とする相対的な回転位置に応じて、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面が対向するように前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重なる結合状態と、前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重ならない結合解除状態とを取り得、前記結合解除状態から前記胴体に対して前記軸部を所定の回転方向に回転させることで前記結合状態とされ、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃によって前記胴体に対して前記軸部が前記回転方向とは反対の方向に相対回転し前記結合解除状態に至った際に前記胴体と前記軸部との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具において、
前記胴体及び前記軸部のそれぞれには前記結合状態において上下方向で互いに対向する部分が形成され、
さらに、付勢手段と、突起と、この突起に前記付勢手段の付勢力によって当接し前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に至るまでの間連続的に摺接される摺接面とを有し、
前記胴体側の前記対向する部分には前記摺接面が形成され、前記軸部側の前記対向する部分には前記突起が形成され、
前記摺接面は、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に低くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面となっている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のコマ玩具は、請求項1に記載のコマ玩具であって、前記摺接面に代えて、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に低くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面と、高さが一定で途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な平坦部分との組合せからなる摺接面を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のコマ玩具は、請求項1又は2に記載のコマ玩具であって、前記付勢手段として、前記突起が上端に形成された筒状体と、前記
筒状体の外周壁に付設され当該
筒状体の下方に突出する脚部とを有し、前記筒状体には前記脚部の支持部分の両脇に当該筒状体の下端にまで至るスリットがそれぞれ形成され、前記脚部が所定の座部に着座することで前記相対回転の際に前記脚部及び前記支持部分が弾性変形する押圧部材を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のコマ玩具は、
上側の胴体には第1の爪が形成され、下側の軸部には第2の爪が形成され、前記胴体と前記軸部とは、前記軸部の軸線を中心とする相対的な回転位置に応じて、前記第1の爪の上面と前記第2の爪の下面が対向するように前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重なる結合状態と、前記第1の爪と前記第2の爪とが上下方向で重ならない結合解除状態とを取り得、前記結合解除状態から前記胴体に対して前記軸部を所定の回転方向に回転させることで前記結合状態とされ、前記コマ玩具の回転中に受ける衝撃によって前記胴体に対して前記軸部が前記回転方向とは反対の方向に相対回転し前記結合解除状態に至った際に前記胴体と前記軸部との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具において、
前記胴体及び前記軸部のそれぞれには前記結合状態において上下方向で互いに対向する部分が形成され、
さらに、付勢手段と、突起と、この突起に前記付勢手段の付勢力によって当接し前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に至るまでの間連続的に摺接される摺接面とを有し、
前記胴体側の前記対向する部分には前記突起が形成され、前記軸部側の前記対向する部分には前記摺接面が形成され、
前記摺接面は、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に高くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面となっている、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のコマ玩具は、
請求項4に記載のコマ玩具であって、前記摺接面に代えて、前記結合状態において全体として前記軸線に直交する面に対して傾斜し、前記結合状態の最深部に対応する位置から前記結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に高くなり、途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な傾斜面と、高さが一定で途中の任意位置で前記突起との当接状態を保持可能な平坦部分との組合せからなる摺接面を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載のコマ玩具は、
請求項4又は5に記載のコマ玩具であって、前記付勢手段として、前記摺接面が上端に形成された筒状体と、前記
筒状体の外周壁に付設され当該
筒状体の下方に突出する脚部とを有し、前記筒状体には前記脚部の支持部分の両脇に当該筒状体の下端にまで至るスリットがそれぞれ形成され、前記脚部が所定の座部に着座することで前記相対回転の際に前記脚部及び前記支持部分が弾性変形し、この弾性変形に伴う弾性力によって前記突起に前記摺接面を当接させる押圧部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1−3に記載のコマ玩具によれば、摺接面は、全体として軸線に直交する面に対して傾斜し、結合状態の最深部から結合解除状態に向けて上下方向の高さが連続的に低くなり、途中の任意位置で突起との当接状態を保持可能な傾斜面となっているので、摺接による摩耗や突起の破損が少なくなる。また、バトル性能の特長付けをするために、摺接面の傾斜角度に変化を付けることで複雑なねじれトルク値を設定することが可能になる。さらに、請求項3に記載のコマ玩具のように、押圧部材のたわみ復元力(弾性力)を利用することで、スプリングの力だけでは設定できないようなトルク値を設定することが可能となる。
【0014】
請求項4−6に記載のコマ玩具によれば、摺接面は、全体として軸線に直交する面に対して傾斜し、結合状態の最深部から結合解除状態に向けて上下方向の高さが連続的に高くなり、途中の任意位置で突起との当接状態を保持可能な傾斜面となっているので、摺接による摩耗や突起の破損が少なくなる。また、バトル性能の特長付けをするために、摺接面の傾斜角度に変化を付けることで複雑なねじれトルク値を設定することが可能になる。さらに、請求項3に記載のコマ玩具のように、押圧部材のたわみ復元力(弾性力)を利用することで、スプリングの力だけでは設定できないようなトルク値を設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るコマ玩具の一実施形態の遊び方を説明した図である。
【
図3】本実施形態のコマ玩具の分解断面斜視図である。
【
図6】本実施形態のコマ玩具におけるコマ本体、胴部およびフライホイールの係合状態を示した作動図である。
【
図7】本実施形態の摺接面、突起、押圧部材及び爪の位置関係を示した図である。
【
図8】本実施形態のコマ玩具を回転駆動させるランチャーの一例を示した斜視図である。
【
図9】他の実施形態の摺接面、突起、押圧部材及び爪の位置関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のコマ玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0017】
《全体構成》
図1は、本発明に係るコマ玩具の一実施形態の遊び方を説明した図、
図2は、本実施形態のコマ玩具の分解斜視図、
図3は、本実施形態のコマ玩具の分解断面斜視図である。本明細書においては、上下、左右及び前後は
図2及び
図3に示した向きを言うものとする。
実施形態のコマ玩具1は、いわゆるコマバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。具体的には、このコマ玩具1は、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を
図1の右側のように分解させて勝利とするようなコマバトルゲームに使用できる。
このコマ玩具1は、
図2および
図3に示すように、下部構造を構成しドライバとなる軸部10と、上部構造を構成する性能可変リング30および胴体40とによって構成されている。
【0018】
《細部構成》
1.軸部10について
図2に示すように、軸部10は、下部に回転軸11、上下方向中間部に鍔12、上部に円筒部13を備えている。この回転軸11、鍔12及び円筒部13は合成樹脂で形成されている。材料は合成樹脂に限定されず、その一部又は全部が金属製であってもよい。
このうち鍔12と円筒部13とは一体に形成され、この鍔12及び円筒部13は回転軸11に対してビス11c(
図4の底面図参照)で固定されている。
回転軸11は、鍔12側から回転軸11の先端側に向けて段階的に窄んだ形状で、全体として略逆円錐状に形成されている。
鍔12及び円筒部13には、回転軸11の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに孔14が形成されている。一方、回転軸11の上部には、
図2及び
図4に示すように、鍔12の孔14に対応した位置に半径方向外方に張り出す突片11aが形成されている。この突片11aは鍔12の孔14を下方から塞いでいる。この突片11aの上面は後述の座部を構成する。
また、円筒部13には、回転軸11の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに突出部15が形成されている。この突出部15の外面は鍔12の外周面と面一となっている。さらに、回転軸11の上部には、
図2及び
図4に示すように、突出部15に対応した位置に半径方向外方に張り出す突出部11bが形成されている。そして、突出部15,11bの箇所で回転軸11に鍔部12及び円筒部13がビス11cで固定されている。
また、
図3に示すように、円筒部13の内側には円柱体16が立設されている。この円柱体16の基端部は回転軸11に連結されている。この円柱体16の上端は特に限定はされないが円筒部13の上端よりも高い位置に設定されている。この円柱体16の上端部には回転軸11の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向外側に張り出す爪(第2の爪)17が形成されている。
【0019】
また、軸部10は円筒状の可動の押圧部材18を備えている。押圧部材18は合成樹脂で形成されているが金属製であってもよい。この押圧部材18は、円筒部13の内側に円柱体16の外周を取り囲むようにして設置されている。
図5に示すように、押圧部材18は、円筒部18aと、天井部18bと、脚部18cとを備えている。
円筒部18aの上端に天井部18bが設けられている。この天井部18bには、円柱体16の上端部に対応する形状の孔18dが形成されている。
また、円筒部18aの外周下端部に脚部18cが設けられている。この脚部18cは回転軸11の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに形成されている。この脚部18cは、円筒部18aから水平に張り出す水平部180c、水平部180cの先端から垂直下方に延びる鉛直部181cとから形成されている。
また、円筒部18aには脚部18cの両脇に下端に切り込みを持つスリット18eが形成されている。両脇のスリット18eによって区画される部分は脚部18cの支持部分を構成し、この両脇のスリット18eがあることによって、上記突片11aの上面に脚部18cが着座した状態で、押圧部材18に上方から力が作用した場合に、脚部18c及び支持部分が容易に弾性変形し易くなる。
そして、このように構成された押圧部材18は、脚部18cが上記孔14に挿入されるようにして設置される。孔14は上下方向の寸法が脚部18cよりも大きく設定されている。そのため、押圧部材18は上下方向に動作可能となっている。押圧部材18は、脚部18cが孔14の上縁に当たることによって上方への移動が規制され、脚部18cが突片11aの上面の座部に着座することによって下方への移動が規制される。
また、押圧部材18は、円柱体16の周囲に卷回させたコイルスプリング20の付勢力によって上方へ付勢されている。そして、軸部10と胴体40とを組まない状態では、このコイルスプリング20の付勢力によって、押圧部材18の脚部18cが孔14の上縁に当接し、押圧部材18の上端は円筒部13の上端と同一高さ位置にある。
また、押圧部材18の天井部18bの上面には、回転軸11の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向に延びる凸条(突起)21が形成されている。
【0020】
2.性能可変リング30について
この実施形態では、性能可変リング30としてフライホイールが用いられている。この性能可変リング30は板状を成している。この性能可変リング30の底面には軸部10の鍔12が下方から収容可能な環状段部31が形成されている。また、この性能可変リング30の上面には回転軸11の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに上方に向けて張り出す突出部32が形成されている。各突出部32の下側部分には、軸部10の突出部15を下方から収容可能な凹部33が形成されている。また、性能可変リング30の上面には、各突出部32の直ぐ外側に上方に延びる舌片34が形成されている。舌片34は突出部32よりも上方に突出している。なお、この性能可変リング30としては、フライホイールに代えて或いはフライホイールと一体的で、外周面に突出部があって相手方のコマ玩具1を攻撃し易くしたものや、外周面に凹部があって相手方のコマ玩具1からの攻撃を受け難いものを使用してもよい。
【0021】
3.胴体40について
胴体40は円盤状を成している。この胴体40は、
図2に示すように、基体400と、上面視で基体400と略同形で基体400の上に被せられた透明カバー体401とを備えている。
胴体40の外周には凹凸40aが形成されている。また、基体400の中央には円孔41が形成されている。この円孔41は上記透明カバー体401によって上端開口が塞がれている。さらに、胴体40の下面には、性能可変リング30の突出部32を下方から収容可能な環状凹部42が形成されている。この環状凹部42を区画形成する内周璧43aの内周面下端には、回転軸11の軸線を挟み前後方向で対峙する部位2箇所それぞれに半径方向内側に向けて張り出す爪(第1の爪)44が突設されている。
また、内周壁43aの下端面には、回転軸11の軸線を挟み左右方向で対峙する部位2箇所それぞれに、上記凸条21に摺接する摺接面45が形成されている。摺接面45は、回転軸11の軸線に直交する面(水平面)に対して所定の方向に傾斜している。すなわち、摺接面45は、組み付けられた胴体40が軸部10に対して外れる方向に回転したときに渋みを増す(抵抗が増大する)方向に傾斜しており、具体的には、摺接面45は、結合状態の最深部から結合解除状態に向けて上下方向の高さ位置が連続的に低くなるような傾斜面となっている。そして、摺接面45の任意位置で凸条21との当接位置を保持可能となっている。この点が傾斜面を持つ単なる突起との相違点である。
また、胴体40の環状凹部42を区画形成する天井壁43bには、性能可変リング30の舌片34を下方から挿入可能な弧状スリット46が形成されている。この弧状スリット46の長さは舌片34が十分に移動し得る長さとなっている。
【0022】
《組立方法》
次に、コマ玩具1の組立方法の一例を説明する。
まず、軸部10の突出部15を下方から性能可変リング30の凹部33に合致させるようにして、軸部10と性能可変リング30を嵌合状態に組み付ける。次に、この組付け体を胴体40に下方から近付ける。この際、上記組付け体の性能可変リング30の舌片34を胴体40の弧状スリット46の所定の端に合致させる(
図6(A))。この状態は、軸部10の爪17と胴体40の爪44とは上下方向で重なっていない状態である。この状態が結合解除状態である。その後、上記組付け体の軸部10を胴体40側に押圧する。すると、まず、性能可変リング30が胴体40の下面に押し当てられる。さらに、上記組付け体の軸部10を胴体40側に押圧すると、軸部10の脚部18cがコイルスプリング20の付勢力に抗して性能可変リング30の下面によって下方に押圧される。これにより、脚部18cが突片11aの上面の座部に着座する。さらに、組付け体の軸部10を胴体40側に押圧すると、押圧部材18の脚部18c及び支持部分が弾性変形するとともに、コイルスプリング20もさらに圧縮されて、軸部10の爪17が胴体40の爪44よりも上方に押し上げられる。そして、軸部10を性能可変リング30と一体的に胴体40に対して舌片34が上記所定の端とは反対側の端まで移動するまで回転させる(
図6(B))。この場合の回転は、胴体40及び性能可変リング30と軸部10との相対的な回転であって、
図4(B)では、胴体40側を胴体40及び性能可変リング30に対して回転させた状態が示されている。すると、軸部10の爪17と胴体40の爪44とが上下で重なった状態となる。そして、軸部10から手を離すと、押圧部材18の脚部18c及び支持部分の弾性力とコイルスプリング20の付勢力とによって、軸部10の爪17の下面と胴体40の爪44の上面とが当接される。この軸部10の爪17の下面と胴体40の爪44の上面とが当接された状態では、ちょうど押圧部材18の脚部18c及び支持部分の弾性力が開放された状態としてもよいし、押圧部材18の脚部18c及び支持部分の弾性力が開放され、脚部18cが突片11aから浮き上がり、コイルスプリング20の付勢力だけによって摺接面45に突起21が当接されている形でもよい。
軸部10の爪17の下面と胴体40の爪44の上面とが当接された状態が結合状態である。これにより、軸部10と、性能可変リング30及び胴体40が結合され、コマ玩具1が組み立てられる。
【0023】
《遊び方》
続いて、このコマ玩具1を使用しての遊び方の一例を説明する。
この遊び方の一例では、コマ玩具1を回転させて、相手方のコマ玩具1と戦いを行う。
この場合、コマ玩具1の回転力のチャージは、
図5に示すようなランチャー50によって行われる。このランチャー50は、内部に図示しない円板を備え、その円板を図示しないゼンマイばねで一の回転方向に付勢するとともに、円板の周囲に卷回させた図示しない紐をハンドル51で引くと、円板が回転され、コマホルダー53が回転されるように構成されている。このコマホルダー53の回転は、下方に突設されたフォーク54によってコマ玩具1に伝達され、コマ玩具1を回転する。この場合、フォーク54は胴体40の弧状スリット46に差し込まれる。そして、ランチャー50のハンドル51を引き切ると、円板ひいてはコマホルダー53の回転が停止する一方で、コマ玩具1は慣性力によって尚も回転するので、フォーク54の傾斜面54aを倣ってコマ玩具1がコマホルダー53から外れる。なお、
図5において符号52はコマホルダー53に対して出没可能なロッドである。このロッド52はコマホルダー53にコマ玩具1を装着した際にコマ玩具1の上面に押されてコマホルダー53に没する。このロッド52は例えばコマ玩具1の着脱の検出に使用される。
【0024】
このようにして発射されたコマ玩具1は所定のフィールドで回転させられ、相手方のコマ玩具1に衝突すると、衝突による衝撃力や擦れ等によって、胴体40には、軸部10及び性能可変リング30の回転方向とは反対の方向の力が作用し、それによって、胴体40が軸部10及び性能可変リング30の回転方向に対して反対の方向に相対的に回転する。
すると、胴体40の摺接面45に凸条21が摺接する。この場合、凸条21には押圧部材18の脚部18c及び支持部分の弾性力とコイルスプリング20の付勢力とが作用するので、衝突による衝撃力がなくなるとそこに位置決めされる。そうして、
図7の実線から2点鎖線に示す位置を経て係止解除位置に達すると、胴体40の爪44が軸部10の爪17から外れるため、スプリング20の付勢力によって胴体40が軸部10から離反する。そして、
図1において、右側に示すように、コマ玩具1は分解される。
【0025】
《本発明の変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0026】
例えば、上記実施形態では、軸部10側の押圧部材18に凸条(突起)21を、胴体40側に摺接面45を形成したが、反対に、
図9(A),(B)に示すように、軸部10側の押圧部材18に摺接面45を形成し、胴体40側に凸条(突起)21を形成してもよい。
【0027】
また、上記実施形態では、コイルスプリング20を設けている。このコイルスプリング20は係合解除状態で胴体40を軸部10に対して弾き出すためのものであるが、胴体40と軸部10とが係止解除状態となれば、コマ玩具の回転によって胴体40と軸部10とは分解されるので、コイルスプリング20はなくてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、最深の結合状態から結合解除状態までの摺接面45の傾きを一定にしたが、最初は傾きを大きく最後は傾きを小さくしてもよいし、その逆であってもよい。また、途中や最初又は最後に平坦部を形成してもよい。要は、途中の任意位置で前記凸条21との当接状態を保持可能となっていることである。
【0029】
また、上記実施形態では、上面視で時計方向に回転するコマ玩具1について説明したが、上面視で反時計方向に回転するコマ玩具1に適用できることは勿論である。この場合、軸部10及び性能可変リング30として共通の部品を使用し、胴体40だけを変えることで、簡単に、コマ玩具1の組立に際して胴体40を軸部10及び性能可変リング30に対し上面視で反時計方向に回転させる構造のコマ玩具1を実現できる。
【0030】
また、上記実施形態では、上面視で時計方向に回転するコマ玩具1,1同士でバトルをさせた例を説明したが、上面視で反時計方向に回転するコマ玩具1,1同士でバトルをさせてもよい。
さらには、上面視で時計方向に回転するコマ玩具1と上面視で反時計方向に回転するコマ玩具1とでバトルをさせることも可能である。
この場合には、コマ玩具1,1同士の衝突及び擦れによって、軸部10に対して胴体40が結合解除状態から結合状態の方に相対的に回転する。換言すれば、軸部10と胴体40とが締まる方向に回転する。したがって、コマ玩具1は衝突及び擦れによっては分解されにくくなるが、この場合には、相手方のコマ玩具1を弾き出してバトルの勝敗を決する等の態様のバトルが楽しめることになる。勿論、3個以上のコマ玩具1でバトルをすることもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 コマ玩具
10 軸部
17 爪(第2の爪)
21 凸条(突起)
30 性能可変リング
34 舌片
40 胴体
45 摺接面
46 弧状スリット
50 ランチャー
【要約】
【課題】特性劣化の少ないバトル用のコマ玩具を提供すること。
【解決手段】胴体40と軸部10との結合が解除されて分解されるバトル用のコマ玩具において、胴体40及び軸部10のそれぞれには結合状態において上下方向で互いに対向する部分が形成され、さらに、付勢手段18と、突起21と、この突起21に付勢手段18の付勢力によって当接し結合状態に対応する位置から結合解除状態に対応する位置に至るまでの間連続的に摺接される摺接面45とを有し、胴体40側の対向する部分には摺接面45が形成され、軸部10側の対向する部分には突起21が形成され、摺接面45は、全体として軸線に直交する面に対して傾斜し、結合状態の最深部に対応する位置から結合解除状態に対応する位置に向けて上下方向の高さが連続的に低くなり、途中の任意位置で突起21との当接状態を保持可能な傾斜面となっている。
【選択図】
図2