特許第5969153号(P5969153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5969153
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】コマ用遊戯台
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   A63H1/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-29668(P2016-29668)
(22)【出願日】2016年2月19日
【審査請求日】2016年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 幸弘
【審査官】 前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−284(JP,A)
【文献】 特開2006−247119(JP,A)
【文献】 実開平2−32892(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体の合成樹脂シートで形成され、凹凸具合が表裏で相補的な形状を有し、
回転付勢されたコマが動き回るすり鉢状のフィールドを備え、
前記フィールドの内側部分又は周辺部分の上面に開口する複数の凹部が所定距離隔てて複数形成され、前記凹部を画成する壁は前記内側部分又は前記周辺部分の下面から下方に突出し床面に着座可能な脚部を形成している、ことを特徴とするコマ用遊戯台。
【請求項2】
前記凹部はコマを捕捉し得る大きさに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ用遊戯台。
【請求項3】
前記周辺部分には、機能追加パーツを取り付けるための孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ用遊戯台。
【請求項4】
前記周辺部分の外側にはフェンスが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ用遊戯台。
【請求項5】
前記フェンスの上端部が外側にU字状に折り返されていることを特徴とする請求項4に記載のコマ用遊戯台。
【請求項6】
前記フェンスの上縁には機能追加パーツを取り付けるための窪みが形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のコマ用遊戯台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコマバトルゲームに使用されるコマ用遊戯台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転付勢された複数のコマ同士を衝突させて勝敗を競うコマバトルゲームが行われている。
近年、このコマバトルゲームを行うのに、コマの分散を防止してコマ同士の衝突を容易にするため、専用のコマ用遊戯台が使用されている。
このコマ用遊戯台の一例を挙げれば、1つのPVCシートで形成され、回転付勢されたコマが回転しながら動き回るすり鉢状のフィールドを有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3199933号公報 図2及び図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すり鉢状のフィールドを形成する場合、当該フィールドを安定的に支持するための脚部が必要となる。
そこで、従来、フィールドの周辺部を全周に亘って下方にU字状に曲折し、曲折部分をフィールドの下端と同じかそれよりも下方まで延出させ、その延出部分の縁でフィールドを支持させていた。
しかしながら、このような構造とする場合、フィールドの周辺部を全周に亘って下方にU字状に曲折し、その曲折部分を脚部としているものであることから、材料が多く必要となり、材料費が嵩むという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、材料費の低減に資するコマ用遊戯台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のコマ用遊戯台は、
一体の合成樹脂シートで形成され、凹凸具合が表裏で相補的な形状を有し、
回転付勢されたコマが動き回るすり鉢状のフィールドを備え、
前記フィールドの内側部分又は周辺部分の上面に開口する複数の凹部が所定距離隔てて複数形成され、前記凹部を画成する壁は前記内側部分又は前記周辺部分の下面から下方に突出し床面に着座可能な脚部を形成している、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のコマ用遊戯台は、請求項1に記載のコマ用遊戯台であって、前記凹部はコマを捕捉し得る大きさに形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のコマ用遊戯台は、請求項1に記載のコマ用遊戯台であって、前記周辺部分には、機能追加パーツを取り付けるための孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載のコマ用遊戯台は、請求項1に記載のコマ用遊戯台であって、前記周辺部分の外側にはフェンスが形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載のコマ用遊戯台は、請求項4に記載のコマ用遊戯台であって、前記フェンスの上端部が外側にU字状に折り返されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載のコマ用遊戯台は、請求項4又は請求項5に記載のコマ用遊戯台であって、前記フェンスの上縁には機能追加パーツを取り付けるための窪みが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のコマ用遊戯台によれば、フィールドの内側部分又は周辺部分の上面に開口する複数の凹部を画成する壁が下面から下方に突出し脚部を形成しているので、フィールドの周辺部を全周に亘って下方にU字状に曲折してその曲折部分を脚部とする必要がなく、材料の低減が図れることになる。
【0013】
請求項2に記載のコマ用遊戯台によれば、凹部はコマを捕捉し得る大きさに形成されているので、コマの収納に利用できるし、また、遊びの中で落とし穴としても利用できる。
【0014】
請求項3に記載のコマ用遊戯台によれば、孔を利用して各種の機能追加パーツを取り付けることができる。
【0015】
請求項4に記載のコマ用遊戯台によれば、フェンスによりコマの飛び出しを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載のコマ用遊戯台によれば、フェンスの上端部がU字状に折り返されているので、コマ用遊戯台の強度が向上するとともに、持ち運びなどが楽に行えることになる。
【0017】
請求項6に記載のコマ用遊戯台によれば、フェンスの上縁の窪みを利用して各種機能追加パーツを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】コマ用遊戯台の使用状態を示した斜視図である。
図2】コマ用遊戯台を示した図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)のII−II線に沿った断面図である。
図3】機能追加パーツの斜視図である。
図4】コマ用遊戯台及び機能追加パーツの斜視図である。
図5】機能追加パーツの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0020】
図1は使用状態のコマ用遊戯台を示す斜視図、図2(A)はコマ用遊戯台だけを示す斜視図、図2(B)は図2(A)のII−II線に沿った断面図である。
本実施形態に係るコマ用遊戯台100は、平面視で正方形の角部が面取りされた形状を有している。なお、コマ用遊戯台100は平面視で円形その他の形であってもよいことは勿論である。
このコマ用遊戯台100の中央には、平面視で円形のフィールド10が形成されている。このフィールド10は、中心に行くほど深くなるすり鉢状の凹部で形成されている。その結果、このコマ用遊戯台100では、コマ70は回転しながら中央に寄りやすく、コマ70同士が中央でぶつかり易くなっている。なお、全体的にすり鉢状の形状であれば、すり鉢状の凹部の中にさらにすり鉢状の凹部が形成されるものであってもよい。また、最深部は中心からずれて形成されていてもよい。
【0021】
フィールド10の周辺部は平坦部11となっている。この平坦部11の4隅となる部分のそれぞれには平面視で角部が面取りされた三角形状の凹部12が形成されている。ただし、手前の凹部12は図示されていない。この凹部12はコマ70を捕捉できる大きさに形成されている。ここでは、平坦部11に凹部12が形成されているが、この凹部12は全部又は一部がフィールド10に臨んでいてもよい。凹部12をフィールド10に臨ませれば、フィールド10上で遊動する途中でコマ70を凹部12で捕捉することができる。また、この凹部70は落とし穴としてだけではなく、コマ70の収納に利用することができる。なお、フィールド10の周辺部は平坦でなく、斜面であってもよいし、凹凸があってもよい。また、凹部12の形状も平面視で三角形状のものに限定されず、例えば平面視で四角形や円形であってもよい。
このコマ用遊戯台100は、例えば1枚のPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)シートによって形成されている。そして、図2(B)に示すように、コマ用遊戯台100の表裏は凹凸の具合が相補的となっている。つまり、表面が凸のときには裏面が凹、逆に、表面が凹のときには裏面が凸となっている。
その結果、平坦部11に形成された凹部12を画成する周壁及び底壁は裏側に突出し、凸部を形成している。そして、この凸部の部分はコマ用遊戯台100の脚部13を形成している。この脚部13の下面はフィールド10の下端と同じか、当該下端よりも下方に位置し、通常の使用状態では、フィールド10はこの脚部13によって支持されている。
【0022】
また、平坦部11には、図2(A)に示すように、隣り合う凹部12,12の間に所定の間隔で2つの円形の孔14がそれぞれ形成されている。この孔14は、コマ用遊戯台100の機能追加パーツを取り付けるための孔である。なお、孔14は円形でなくても角形その他の形状であってもよい。
図1には各種の機能追加パーツの例が示されている。
1つ目の機能追加パーツ15は、2本の支柱15a,15aの間に円錐状突起15bが多数付設された帯状の板体15cを掛け渡した構造のものである。この機能追加パーツ15は、2本の支柱15a,15aの下端部を孔14,14に差し込み、必要であるならば、平坦部11の下方で留め具によって留める。この機能追加パーツ15によれば、コマ70が円錐状突起15bに当たった際にコマ70の回転速度を減速させたり、コマ70の進行方向を変更させたりすることができる。
2つ目の機能追加パーツ16は、2本の支柱16a,16aの間にポール16bを掛け渡した構造のものである。取付け方は1つ目の機能追加パーツ15と同様である。この機能追加パーツ16によっても、コマ70がポール16cに当たった際にコマ70の回転速度を減速させたり、コマ70の進行方向を変更させたりすることができる。
3つ目の機能追加パーツ17は、1本の支柱17aに回動部材17bが付設された構造を有している。取付け方は1つ目の機能追加パーツ15と同様である。回動部材17bは所定角度範囲内で回動可能となっていてもよいし、トーションバネなどによって中立位置を保持するようにしてもよい。この機能追加パーツ17によっても、コマ70が回動部材17bに当たった際にコマ70の回転速度を減速させたり、コマ70の進行方向を変更させたりすることができる。
なお、機能追加パーツは、1本の支柱だけから構成されていてもよい。この機能追加パーツによっても、コマ70が当たった際にコマ70の回転速度を減速させたり、コマ70の進行方向を変更させたりすることができる。また、機能追加パーツとして、支柱17a及び回動部材17bを回転させるモータやぜんまい動力ユニットを取り付けてもよい。また、機能追加パーツとして、ハンマーのような縦型の回動部材を振り上げたり振り下ろしたりするユニットを取り付けてもよい。また、機能追加パーツとして、ライトやサウンド等の機能を備えたポール等を取り付けてもよい。
【0023】
平坦部11の外側にはフィールド10及び平坦部11の周囲を取り囲むフェンス20が形成されている。このフェンス20の上端部はU字状に外側下方に曲げられている。その結果、フェンス20の上端部はある程度の厚みを有し、外側下方に折り曲げられた部分に指を掛けることによって、コマ用遊戯台100を容易に持ち上げたり、運んだりすることができる。また、コマ用遊戯台100の強度を向上させることができる。なお、フェンス20はフィールド10の全周を取り囲むものでなくてもよく、一部だけに形成されているものでもよい。フェンス20の一部を切り欠いたものでは、その切欠き部分にコマ70を滑らせるスロープその他の機能追加パーツを取り付けることができる。
【0024】
フェンス20の上縁には、窪み21が所定間隔で2つ形成されている。この窪み21の部分は、例えば図3に示すような機能追加パーツ22をフック23を介して取り付けるために形成されている。窪み21がなくても機能追加パーツ22は取り付けられるが、窪み21があることによって位置決め固定することが可能となる。ここで、機能追加パーツ22としては液晶ディスプレイやスピーカ等が挙げられる。また、この機能追加パーツ22はスマートフォンなどの取付け枠であってもよい。なお、ここでは、フェンス20の上縁が下方に窪んでいるが、上縁がコマ用遊戯台100の外方に向けて窪んでいてもよい。また、機能追加パーツ22は窪み21に嵌め込む形で取り付けられるものであってもよい。
【0025】
図4には他の機能追加パーツ40が示されている。この機能追加パーツ40はコマ用遊戯台100の下側に取り付けられるものである。この機能追加パーツ40は上面40aが平坦面で、下部が逆三角形となっている。上面40aには突子40b、40bが立設され、この突子40b、40bを孔14,14に下方から挿入し、凹部材又はナットなどの留め具41をそれぞれ突子40b、40bの先端に取り付けることにより、コマ用遊戯台100に固定される。取付け状態で、機能追加パーツ40の下端は脚部13の下面よりも下方に突出し、コマ用遊戯台100は機能追加パーツ40の下端を支点として揺動可能となる。これによって、コマ遊びに変化を加えることができる。なお、この機能追加パーツ40は下部が弧状に下方に向けて膨らむものであってもよい。
【0026】
図5にはさらに他の機能追加パーツ50が示されている。この機能追加パーツ50はディスプレイを有するスマートフォンなどの携帯端末51の取付け枠として構成されている。この機能追加パーツ50には携帯端末51を挟み込む接近及び離間可能な2つの挟持部材50a,50aが設けられている。両端の柱状部材50b,50bにはそれぞれ2つの突子50c、50cが立設されている。この突子50c、50cを孔14,14に下方から挿入し、凹部材又はナットなどの留め具52を突子50c、50cの先端に取り付けることにより、コマ用遊戯台100に固定される。フィールド10が透明の場合に、この機能追加パーツ50を使用してフィールド10の下に携帯端末51を設置すれば、フィールド10を通して携帯端末の画像を視認することができるとともに、携帯端末51のスピーカを利用して場の雰囲気に合った音を聞くこともできる。また、カメラを備えた携帯端末51の場合には、カメラによりコマ70の動きを認識して衝突音を出したり、シュートパワーを表示したりしてもよい。また、加速度センサーを備えた携帯端末51の場合には、スタジアムの底面の振動を検知し、バトルに遭った表示や音を出力させるようにしてもよい。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形可能であることはいうまでもない。
例えば、コマ70に永久磁石その他の磁性体を組み込んでおき、フェンス等に電磁コイル又は永久磁石等の機能追加パーツを設け、コマ70の回転を弱めたり、反発力によってコマ70をフィールド10の内方に移動させたりしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 フィールド
12 凹部
13 脚部
14 孔
21 窪み
100 コマ用遊戯台
【要約】
【課題】材料費の低減に資するコマ用遊戯台を提供すること。
【解決手段】一体の合成樹脂シートで形成され、凹凸具合が表裏で相補的な形状を有し、回転付勢されたコマ70が動き回るすり鉢状のフィールド10を備え、前記フィールド10の内側部分又は周辺部分の上面に開口する複数の凹部12が所定距離隔てて複数形成され、前記凹部12を画成する壁は前記内側部分又は前記周辺部分の下面から下方に突出し床面に着座可能な脚部13を形成している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5