(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の車間距離制御装置1は、演算部10を中心に構成されている。演算部10は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスライン等を有するコンピュータとして具現化される。演算部10には、車間距離検出部20、側方車両検出部30、及び、車間距離制御部40が接続されている。
【0012】
車間距離検出部20は、自車と先行車との車間距離を検出する。この車間距離検出部20は、ミリ波レーダやレーザレーダなどとして具現化される。車間距離検出部20は、
図2に示すように、例えば自車100の前部に左右対称に配置される。このときの検出エリアは、例えば記号Aで示す如くとなる。
【0013】
側方車両検出部30は、自車の側方を走行する他車を検出する。この側方車両検出部30は、サイドソナー、ミリ波レーダ、レーザレーダ、カメラ等として具現化される。側方車両検出部30は、
図2に示すように、自車100の左右側部に配置される。このときの検出エリアは、例えば記号Bで示す如くとなる。
【0014】
車間距離制御部40は、演算部10から出力される目標車間距離となるように車速を制御する。例えば、車間距離検出部20から演算部10へ入力される実車間距離と目標車間距離との差分に基づき、加減速制御を行うという具合である。
【0015】
次に演算部10の機能について説明する。
図1に示すように、演算部10は、その機能ブロックとして、割込検出部11、連続割込検出部12、譲り制御指示部13、及び、車間距離調整部14を有している。
【0016】
割込検出部11は、側方車両検出部30からの情報に基づき、また、図示しないGPS受信機などからの情報に基づき、自車の前方へ割り込む可能性のある他車が存在するか否かを検出する。
【0017】
連続割込検出部12は、割込検出部11にて他車の割り込みが検出された後、車間距離制御を行った直後に、自車の前方へ割り込む可能性のある他車を検出する。
譲り制御指示部13は、割込検出部11にて自車前方への他車の割り込みが検出された場合に、車間距離調整部14に対し、譲り制御を指示する。
【0018】
車間距離調整部14は、譲り制御指示部13からの指示があると、車間距離を延長するように調整すると共に、他車の割り込みが完了した後の車間距離を調整する。
次に、
図3のフローチャートに基づいて、演算部10にて実行される割り込み時処理を説明する。この割り込み時処理は、演算部10にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
【0019】
最初のS100では、側方車両を検出したか否かを判断する。この処理は、側方車両検出部30からの情報に基づき、自車の側方に他車が存在するか否かを判断するものである。ここで、側方車両を検出したと判断された場合(S100:YES)、S110へ移行する。一方、側方車両を検出していないと判断された場合(S100:NO)、以降の処理を実行せず、割り込み時処理を終了する。このときは、S100からの処理が繰り返されることになる。
【0020】
S110では、合流地点か否かを判断する。この処理は、図示しないGPS受信機などの情報に基づくものであり、S100にて検出された側方車両が自車線に合流しようとしている車両であるか否かを判断するものである。そのため、S100にて自車の進行方向に向かって左側に他車が検出された場合、S110では左側からの合流がある地点であるか否かを判断する。ここで合流地点であると判断された場合(S110:YES)、S120へ移行する。一方、合流地点でないと判断された場合(S110:NO)、以降の処理を実行せず、割り込み時処理を終了する。
【0021】
なお、S100及びS110の処理は、割込検出部11の機能として実現される。
S120では、譲り制御を指示する。この処理は、譲り制御指示部13の機能として実現され、車間距離調整部14に対し、譲り制御の開始を指示するものである。
【0022】
続くS130では、車間距離延長調整を行う。この処理は、S120にて譲り制御指示があると、目標車間距離が現在の車間距離よりも大きくなるように調整するものであり、車間距離調整部14の機能として実現される。具体的には、車間距離調整部14が目標車間距離を大きくしていくことで、車間距離検出部20からの実車間距離との差が大きくなると、車間距離制御部40による減速制御が行われる。すなわち、自車の前方に割り込もうとしている側方車両を検出した段階で、車間距離を大きくするような制御が行われる。
【0023】
次のS140では、割り込みが完了したか否かを判断する。この処理は、側方車両が自車前方へ割り込んで自車に対する先行車となったか否かを判断するものである。ここで割り込みが完了したと判断された場合(S140:YES)、S150へ移行する。一方、割り込みが完了していないうちは(S140:NO)、S130からの処理を繰り返す。
【0024】
S150では、連続割り込みを検出する。この処理は、自車線へ割り込んだ他車とは別の側方車両が存在するか否かを判断するものであり、連続割込検出部12の機能として実現される。ここで連続割り込みがあると判断された場合(S150:YES)、S160にて車間距離短縮調整を行い、その後、割り込み時処理を終了する。S160の車間距離短縮調整とは、車間距離延長調整の後、他車の割り込みを抑制するために目標車間距離を短く設定するものであり、車間距離調整部14の機能として実現される。具体的には、車間距離調整部14が目標車間距離を小さく設定することで、車間距離制御部40による加速制御が行われる。すなわち、自車の前方に割り込もうとしている側方車両を検出した段階で、車間距離を小さくするような制御が行われる。一方、連続割り込みがないと判断された場合(S150:NO)、S170にて車間距離復帰調整を行い、その後、割り込み時処理を終了する。S170の車間距離復帰調整とは、車間距離延長調整の後、予め設定された車間距離へ目標車間距離を戻すものであり、車間距離調整部14の機能として実現される。具体的には、車間距離調整部14が目標車間距離を設定された車間距離に戻すことで、設定された車間距離を維持するような制御が行われる。
【0025】
このような割り込み時処理によれば、
図4(a)に示すように、自車101の側方に側方車両である他車121が検出された場合(
図3中のS100:YES)、合流地点であるか否かを判断する(S110)。合流地点である場合(S110:YES)、割り込みの可能性が大きいとして、譲り制御指示を行い(S120)、割り込みが完了していないうちは(S140:NO)、車間距離延長調整を行う(S130)。すなわち、割込検出部12は、側方車両検出部30にて他車が検出された地点が合流地点である場合に、割り込みの可能性が有ると判断する。これにより、車間距離制御部40による減速制御が実行され、先行車との車間距離が大きくなる。
【0026】
つまり、従来技術と異なり、自車前方への割り込みがあった段階ではなく、自車の側方車両の割り込み可能性が判断された段階で、車間距離を大きくするように調整するのである。これにより、他車との間の車間距離制御が遅れることがなく、他車及び自車の両運転者に不安感を抱かせるという事態が少なくなる。
【0027】
また、
図4(b)に破線で示すように連続して自車101の前方へ割り込もうとする側方車両である他車141が検出された場合(
図3中のS150:YES)、車間距離短縮調整を行う(S160)。すなわち、側方車両検出部30にて検出される他車の存在により、他車の割り込みが完了した後の連続する割り込みの可能性の有無を判断する連続割込検出部12を備え、車間距離調整部14は、連続割込検出部12にて連続する割り込みの可能性が有ると判断された場合、車間距離を減少させる車間距離短縮調整を行う。これにより、車間距離制御部40による加速制御が実行され、先行車となった他車121との車間距離が小さくなる。その結果、連続して自車の前方に他車が割り込むことを抑制できる。しかも、連続して自車101の前方へ割り込もうとする側方車両である他車141が検出されない場合(
図3中のS150:NO)、車間距離復帰調整を行う(S160)。すなわち、車間距離調整部14は、連続割込検出部12にて連続する割り込みの可能性が無いと判断された場合、車間距離を予め設定された車間距離へ復帰させる車間距離復帰調整を行う。これにより、車間距離制御部40により、設定された車間距離を維持する制御が実行される。その結果、割り込もうとする他車がいない状況下では、無駄な加速などが行われず、交通の流れを阻害することを抑制できる。例えば、
図4(b)に示す自車101の後方に存在する他車131の無駄な加速を誘発することがない。
【0028】
[第2実施形態]
図5に示すように、本実施形態の車間距離制御装置2は、上記第1実施形態の車間距離制御装置1と同様、演算部10を中心に構成されている。本実施形態では、演算部10に、さらに、横位置制御部50が接続されている。なお、上記実施形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0029】
横位置制御部50は、自車が走行する車線である自車線における自車の横方向の位置を制御する。つまり、自車線内において右に寄っている状況や左に寄っている状況が考えられるが、このような状況を数値化して制御するのである。具体的には、例えば、車線境界線などを検出するための撮像部、当該撮像部からの映像に基づき自車の横方向位置を数値化する数値化部、当該数値化部により数値化された横方向位置及び演算部10からの横位置調整情報からEPS(Electric Power Steering )制御を行う制御部などで構成することが考えられる。なお、撮像部を有することで、自車の姿勢、すなわち、車線中央(レーンセンタ)を基準にした左右へのオフセットや、レーンの中心線と自車とのなす角であるヨー角などを検出することが可能となる。したがって、このような情報を基に、数値化部が横方向位置を数値化する。
【0030】
このとき、演算部10は、機能ブロックとして、横位置調整部15を有している。横位置調整部15は、譲り制御指示部13からの指示があると、他車から離れるように横方向位置を調整すると共に、他車の割り込みが完了した後は元の横方向位置へ復帰させるよう調整を行う。
【0031】
次に、
図6のフローチャートに基づいて、演算部10にて実行される割り込み時処理を説明する。この割り込み時処理は、演算部10にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
【0032】
ここで上記第1実施形態と異なるのは、車間距離延長調整(S130)の後、S200にて横位置調整を行う点と、他車の割り込みが完了した後に(S140:YES)、S210にて横位置復帰調整を行う点である。
【0033】
S200の処理は、側方車両が検出され(S100:YES)、しかも割り込みの可能性が大きい合流地点である場合に(S110:YES)、当該側方車両から離れる方向へ自車線内で自車の横方向位置をオフセットするためのものである。例えば、左側から他車が割り込む場合には、右側への横方向位置のオフセットを指示するという具合である。この処理は、横位置調整部15の機能として実現される。横位置調整部15からは右側又は左側への横方向位置のオフセット情報が横位置調整情報として出力される。これにより、横位置制御部50では、数値化した横方向位置とオフセット情報とに基づくEPS制御により自車の横方向位置を実際にオフセットする。
【0034】
この割り込み時処理では、
図7(a)に示すように、自車102の側方に側方車両である他車122が検出された場合(
図6中のS100:YES)、合流地点であるか否かが判断される(S110)。合流地点である場合(S110:YES)、割り込みの可能性が大きいとして、譲り制御指示を行い(S120)、割り込みが完了していないうちは(S140:NO)、車間距離延長調整及び横位置調整が行われる(S130,S200)。すなわち、自車線における横方向の走行位置である横位置を調整可能であり、割込検出部11にて割り込みの可能性が有ると判断された場合、他車から離れる方向へ横位置をオフセットする横位置調整を行う横位置調整部15と、横位置調整部15からの情報に基づき、横位置を制御する横位置制御部50とを備えている。これにより、車間距離制御部40による減速制御が実行され、先行車との車間距離が大きくなる。また、側方車両から離れる方向への横方向位置のオフセットが実現される。
【0035】
つまり、割り込みの可能性が大きくなった段階で、割り込もうとする他車に対して「譲る」という動作と共に「離れる」という動作を行う。これにより、他車との間の車間距離制御が遅れることがなく、また他車から離れる方向へ横位置を調整するため、他車及び自車の両運転者に不安感を抱かせるという事態が一層少なくなる。
【0036】
また、自車前方への割り込みが完了すると(
図6中のS140:YES)、横位置復帰調整が行われる(S210)。すなわち、横位置調整部15は、他車の割り込みが完了すると、横位置を元に戻す横位置復帰調整を行う。これにより、割り込みが完了すると自動的に自車の横位置が復帰するため、便利である。
【0037】
さらにまた、車間距離短縮調整(
図6中のS160)及び車間距離復帰調整(S170)を行う点で、上記第1実施形態と同様の効果が奏される。
なお、
図7(b)に示すように、自車103に並走する他車123の接近が確認されたときに、割り込みがあると判断するようにしてもよい。具体的には、
図6中のS110にて他車123と自車103との距離が小さくなっているか否かを判断する。例えば所定時間間隔で繰り返し他車123との距離を算出し、算出された距離の推移が閾値を上回るか否かを判断するという具合である。すなわち、側方車両検出部30は、他車までの距離を計測可能に構成されており、割込検出部12は、側方車両検出部30による複数回の検出結果に基づき、他車までの距離が減少している場合に、割り込みの可能性が有ると判断することとしてもよい。このようにすれば、
図7(a)に示したような合流地点での割り込みだけでなく、通常時の走行中における割り込みに対しても同様の効果が奏される。もちろん、合流地点か否かの判断と側方車両の接近の判断との両方を行うようにしてもよい。
【0038】
[第3実施形態]
図8に示すように、本実施形態の車間距離制御装置3は、上記第1実施形態の車間距離制御装置1と同様、演算部10を中心に構成されている。本実施形態では、演算部10に、さらに、輝度変化検出部60が接続されている。なお、上記実施形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0039】
輝度変化検出部60は、自車線に隣接する他車線での輝度の変化を検知する。具体的には、前方や側方に取り付けられるカメラなどの撮像部として具現化される。あるいは、サイドマーカーやヘッドライトに埋め込んだフォトダイオードなどの光検知部として具現化される。もちろん、撮像部及び光検知部の両方を備える構成としてもよい。
【0040】
このとき、演算部10は、機能ブロックとして、方向指示信号検出部16を有している。方向指示信号検出部16は、輝度変化検出部60から出力される情報に基づき、隣接する他車線を走行する他車の方向指示器の点滅を検出する。具体的には、撮像部からの映像やフォトダイオードからの信号に基づき、点滅間隔を検出して方向指示器の点滅であることを判断する。また、撮像部を備える構成では、点滅する光の色まで判断してもよい。
【0041】
次に、
図9のフローチャートに基づいて、演算部10にて実行される割り込み時処理を説明する。この割り込み時処理は、演算部10にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
【0042】
ここで上記第1実施形態と異なるのは、合流地点か否かの判断処理(
図3中のS110)に代え、S300にて、方向指示器の点滅を判断する点である。ここで方向指示器の点滅が判断された場合には(S300:YES)、上記第1実施形態と同様の車間距離調整を行う。
【0043】
この割り込み時処理では、
図10に示すように、自車104の側方に側方車両である他車124が検出された場合(
図9中のS100:YES)、方向指示器の点滅が判断される(S300)。ここで方向指示器が点滅している場合(S300:YES)、割り込みの可能性が大きいとして、譲り制御指示を行い(S120)、割り込みが完了していないうちは(S140:NO)、車間距離延長調整が行われる(S130)。すなわち、自車線に隣接する他車線での輝度の変化を検知する輝度変化検出部60と、輝度変化検出部60にて検出される輝度の変化に基づき、他車の方向指示器の点滅を判断する方向指示信号検出部16と、を備え、割込検出部12は、方向指示信号検出部16にて他車の方向指示器の点滅が判断された場合に、割り込みの可能性が有ると判断する。これにより、車間距離制御部40による減速制御が実行され、先行車との車間距離が大きくなる。
【0044】
つまり、ここでは割り込み可能性の判断に、他車の方向指示器の点滅を利用する。これにより、他車との間の車間距離制御が遅れることがなく、他車及び自車の両運転者に不安感を抱かせるという事態が少なくなる。
【0045】
また、車間距離短縮調整(
図9中のS160)及び車間距離復帰調整(S170)を行う点で、上記実施形態と同様の効果が奏される。
[第4実施形態]
図11に示すように、本実施形態の車間距離制御装置4は、上記第1実施形態の車間距離制御装置1と同様、演算部10を中心に構成されている。また、本実施形態でも、演算部10に側方車両検出部31が接続されている。ただし、第1実施形態の側方車両検出部30と異なり、車両の前部及び後部に側方車両検出部31を備えている。具体的には、
図12に示すように、側方車両検出部31では、車両の前部側方の検出エリアBと後部側方の検出エリアCとが検出エリアとなっている。これにより、検出エリアB及び検出エリアCでの検出タイミングのズレから自車に並走する他車の自車に対する相対速度を検出可能となる。なお、上記実施形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0046】
演算部10は、機能ブロックとして、相対速度検出部17を有している。相対速度検出部17は、側方車両検出部31から出力される情報に基づき、隣接する他車線を走行する他車の自車に対する相対速度を検出する。
【0047】
次に、
図13のフローチャートに基づいて、演算部10にて実行される割り込み時処理を説明する。この割り込み時処理は、演算部10にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
【0048】
ここで上記第1実施形態と異なるのは、合流地点か否かの判断処理(
図3中のS110)に代え、S400にて、相対速度が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判断する点である。ここで相対速度が閾値よりも大きい場合には(S400:YES)、上記第1実施形態と同様の車間距離調整を行う。すなわち、並走する他車の相対速度が大きくなっている場合、自車を追い越して自車の前方の割り込む可能性が大きいとするのである。
【0049】
この割り込み時処理では、
図14に示すように、自車105の側方に側方車両である他車125が検出された場合(
図13中のS100:YES)、他車の自車に対する相対速度が閾値よりも大きいか否かが判断される(S400)。ここで相対速度が閾値よりも大きい場合(S400:YES)、割り込みの可能性が大きいとして、譲り制御指示を行い(S120)、割り込みが完了していないうちは(S140:NO)、車間距離延長調整が行われる(S130)。すなわち、側方車両検出部31による複数回の検出結果に基づき、自車に対する他車の相対速度を検出する相対速度検出部17を備え、割込検出部12は、相対速度検出部17にて検出される相対速度が予め定められた閾値よりも大きい場合に、割り込みの可能性が有ると判断する。
【0050】
つまり、ここでは割り込み可能性の判断に、他車の自車に対する相対速度を利用する。これにより、他車との間の車間距離制御が遅れることがなく、他車及び自車の両運転者に不安感を抱かせるという事態が少なくなる。
【0051】
また、車間距離短縮調整(
図13中のS160)及び車間距離復帰調整(S170)を行う点で、上記実施形態と同様の効果が奏される。
なお、ここでは相対速度のみによって割り込みの可能性を判断したが、
図14(b)に示すように、相対速度の判断に加え、他車125の自車105への接近を判断するようにしてもよい。すなわち、側方車両検出部31は、他車までの距離を計測可能に構成されており、割込検出部12は、側方車両検出部31による複数回の検出結果に基づき、他車までの距離が減少している場合に、割り込みの可能性が有ると判断することとしてもよい。このようにすれば、より確実に割り込みの可能性を判断することができる。
【0052】
[第5実施形態]
図15に示すように、本実施形態の車間距離制御装置5は、上記4実施形態の車間距離制御装置4と同様、演算部10を中心に構成されており、側方車両検出部31を備えている。なお、上記実施形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0053】
このとき、演算部10は、機能ブロックとして、ふらつき検出部18を有している。ふらつき検出部18は、側方車両検出部31から出力される情報に基づき、隣接する他車線を走行する他車のふらつきを検出する。具体的には、側方車両検出部31にて検出される側方車両である他車までの距離の変動が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判断する。なお、ここでは車両の前部及び後部に側方車両検出部31を備える構成としたが(
図12参照)、車両の一部にのみ側方車両検出部30を備える構成としてもよい(
図2参照)。もっとも、精度の高い検出を行う場合には前者の構成が有利であるが、側方車両との距離が算出できる構成であればよい。
【0054】
次に、
図16のフローチャートに基づいて、演算部10にて実行される割り込み時処理を説明する。この割り込み時処理は、演算部10にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
【0055】
ここで上記第4実施形態と異なるのは、相対速度による判断処理(
図13中のS400)に代え、S500にて、検出される側方車両との距離の変動が閾値よりも大きいか否かを判断する点である。ここで距離の変動が閾値よりも大きい場合には(S500:YES)、上記第4実施形態と同様の車間距離調整を行う。
【0056】
この割り込み時処理では、
図17に示すように、自車106の側方に側方車両である他車126が検出された場合(
図16中のS100:YES)、他車126と自車106との距離の変動が閾値よりも大きい場合(S500:YES)、譲り制御指示を行い(S120)、割り込みが完了していないうちは(S140:NO)、車間距離延長調整が行われる(S130)。すなわち、側方車両検出部31は、他車までの距離を計測可能に構成されており、さらに、側方車両検出部31による複数回の検出結果に基づき、他車までの距離の変動が予め定められた閾値よりも大きいか否かによって他車のふらつきの有無を判断するふらつき検出部18を備え、割込検出部12は、ふらつき検出部18にて他車のふらつきが有ると判断された場合に、割り込みの可能性が有ると判断する。
【0057】
つまり、ここでは割り込み可能性の判断に、他車のふらつきを利用する。この場合、意図的な割り込みはもちろん、居眠りに近い状態での自車への接近が結果的に割り込みとなる場合も含まれる。これにより、他車との間の車間距離制御が遅れることがなく、他車及び自車の両運転者に不安感を抱かせるという事態が少なくなる。
【0058】
また、車間距離短縮調整(
図16中のS160)及び車間距離復帰調整(S170)を行う点で、上記実施形態と同様の効果が奏される。
[第6実施形態]
図18に示すように、本実施形態の車間距離制御装置6は、上記1実施形態の車間距離制御装置1と同様、演算部10を中心に構成されている。本実施形態では、演算部10に、さらに、状況提示部70が接続されている。なお、上記実施形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0059】
状況提示部70は、運転者に割り込み時の状況を提示するための構成であり、スピーカ、ディスプレイ、LEDなどの発光体、及び、モータの少なくとも一つを採用することが考えられる。これにより、音、画像、光、振動などを用いて状況を提示する。例えば音を用いる場合、「割り込み車両を検出しました」などのメッセージを出力するという具合である。また例えば、メッセージの出力に先立って、「ポン」や「ポンポン」というようなメッセージ出力を予告する効果音を出力してもよい。
【0060】
次に、
図19のフローチャートに基づいて、演算部10にて実行される割り込み時処理を説明する。この割り込み時処理は、演算部10にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
【0061】
ここで上記第1実施形態と異なるのは、割り込みの可能性が判断された場合に(
図19中のS100:YES,S110:YES)、S600にて状況提示を行う点、また、割り込みが完了した時点で(S140:YES)、S610にて状況提示を行う点である。すなわち、車両制御に関する状況を、当該車両制御に際して運転者に提示する状況提示部70を備えている。
【0062】
例えばスピーカを介して音による状況提示を行う場合、S600では、ポンという効果音の後に「割り込み車両を検出しました。譲ります」という案内を行うという具合である。またS610では、ポンポンという効果音の後に「割り込みが完了しました。復帰します」という案内を行うという具合である。なお、連続割り込みが検出された場合(S150:YES)、車間距離短縮調整に先だって、ポンという効果音の後に「連続した割り込みが検出されました。接近します」という案内を行ってもよい。
【0063】
このような割り込み時処理によれば、車両の挙動が運転者に分かり易いものとなり、運転支援に寄与する。
また、車間距離延長調整(
図19中のS130)、車間距離短縮調整(S160)及び車間距離復帰調整(S170)を行う点で、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0064】
[第7実施形態]
図20に示すように、本実施形態の車間距離制御装置7は、上記6実施形態の車間距離制御装置6と同様、演算部10を中心に構成されており、状況提示部70が接続されている。本実施形態ではさらに、演算部10に、入力部80が接続されている。なお、上記実施形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0065】
入力部80は、運転者の意思を確認するための構成であり、例えば押しボタンスイッチやタッチパネルとして具現化される。もちろん、運転者の意思を確認できるようなものであればよく、例えば音声認識装置であってもよい。
【0066】
次に、
図21のフローチャートに基づいて、演算部10にて実行される割り込み時処理を説明する。この割り込み時処理は、演算部10にて所定時間間隔で繰り返し実行されるものである。
【0067】
ここで上記第6実施形態と異なるのは、状況提示(
図21中のS600)に続いて譲り制御が必要か否かの要否判定を行う点である(S700)。この判定は、上記入力部80からの情報に基づいて行われる。ここで譲り制御が必要であると判定された場合(S700:YES)、上記第6実施形態と同様の制御が実行される。すなわち、状況提示部70にて提示される車両制御に関する状況に基づき、運転者が当該車両制御の実行/不実行を指示するための入力部80を備えている。
【0068】
つまり、S600の状況提示によって車両状況を把握した運転者が、譲り制御が必要か否かを判断し入力部80を介した意思表示を行うのである。また、譲り制御を意図的にキャンセルすることも可能である。このような運転者の意思の確認は、連続した割り込みを検出した際(S150:YES)に行ってもよい。すなわち、車間距離短縮調整(S160)を行うのか、車間距離復帰調整(S170)を行うのか、を最終的に運転者に任せるようにしてもよい。
【0069】
このような割り込み時処理によれば、車間距離制御の実行の最終判断を運転者が行うため、より適切な状況下で車間距離制御が実行される。
また、車間距離延長調整(
図21中のS130)、車間距離短縮調整(S160)及び車間距離復帰調整(S170)を行う点で、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0070】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その技術的範囲を逸脱しない限り、種々なる形態で実施可能である。
(イ)上記実施形態をそれぞれ組み合わせた実施形態とすることが考えられる。例えば、第3〜7実施形態に、第2実施形態の構成を組み合わせてもよい。具体的には、第3〜7実施形態の演算部10に横位置制御部50を接続し、演算部10が横位置調整部15を有するものとしてもよい。この場合、第2実施形態の割り込み時処理と同様に、横位置調整(
図6中のS200)および横位置復帰調整(S210)を実行するものとする。このようにすれば、第3〜7実施形態においても、割り込みの可能性が大きくなった段階で、割り込もうとする他車に対して「譲る」という動作と共に「離れる」という動作が実行される。その結果、他車及び自車の両運転者に不安感を抱かせるという事態が一層少なくなる。