特許第5969237号(P5969237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969237
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/24 20060101AFI20160804BHJP
   G05F 3/26 20060101ALI20160804BHJP
   G05F 3/30 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   G05F3/24 A
   G05F3/26
   G05F3/30
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-68024(P2012-68024)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-200665(P2013-200665A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂口 薫
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−283314(JP,A)
【文献】 特開平06−217453(JP,A)
【文献】 特開2002−280886(JP,A)
【文献】 特開2003−173213(JP,A)
【文献】 特開2006−244228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/00− 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号で制御される第一のトランジスタを備えた半導体装置であって、
基準電流を発生する基準電流回路と、
前記第一のトランジスタの電流に応じた電流と前記基準電流を加算した電流に基づくセンス電圧を発生するセンス電圧発生回路と、
前記基準電流に基づいて基準電圧を発生する基準電圧回路と、
前記センス電圧と前記基準電圧を比較するアンプと、
前記アンプの出力端子にゲートが接続され、前記センス電圧が前記基準電圧を上回ると前記第一のトランジスタをオフする第二のトランジスタと、を備え、
前記センス電圧発生回路は、
前記第一のトランジスタに流れる電流をセンスする第三のトランジスタと、
前記基準電流をミラーする第四のトランジスタと、
前記第三のトランジスタに流れる電流と前記第四のトランジスタに流れる電流が流れる第一の抵抗と、を備え、
前記基準電圧回路は、
前記基準電流をミラーする第五のトランジスタと、
前記第五のトランジスタに流れる電流が流れる、並列に接続された第一のPN接合素子と第二の抵抗と、を備え、
前記基準電圧回路の出力電圧は、所定の温度未満においては一定値であり、所定の温度以上においては温度の上昇に従い、減少する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記基準電流回路は、
複数のPN接合素子を有し、前記複数のPN接合素子の順方向電圧の差に基づく電流を発生することを特徴とする請求項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱過電流保護機能付きの半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置について説明する。図4は、従来の半導体装置を示す回路図である。
従来の半導体装置は、過電流検出部304と、サーマル・シャット・ダウン検出部(以下、TSD検出部)309と、NMOSトランジスタ301、302、306、307と、抵抗303、305、308と、グラウンド端子100と、外部端子321、322で構成されている。過電流検出部304と、抵抗303と、NMOSトランジスタ306で過電流保護回路331が構成されている。NMOSトランジスタ307と、TSD検出部309で過熱保護回路332が構成されている。
【0003】
NMOSトランジスタ301は、外部端子322からの信号に応答してオン/オフ制御される。過電流保護回路331はNMOSトランジスタ301を過電流から保護するものであり、同じく過熱保護回路332はNMOSトランジスタ301を過熱から保護するものである。過電流保護回路304は、過電流検出部304を有する。過電流検出部304は、NMOSトランジスタ301のドレイン電流IDを、例えばNMOSトランジスタ302に流れた電流を参照することで検出する。そして、過電流検出部304は、電流IDが過電流制限値に達したとき、NMOSトランジスタ306をオンさせ、外部端子322を強制的に接地することでNMOSトランジスタ301をオフさせる。こうして、NMOSトランジスタ301を過電流による破壊から保護する。過熱保護回路332は、TSD検出部309を有し、このTSD検出部309は、半導体装置の温度が初期設定温度に達したとき、NMOSトランジスタ307をオンさせることで外部端子322を強制的に接地する。こうして、NMOSトランジスタ301を過熱による破壊から保護する。
【0004】
過電流保護回路331は過電流検出部304によって、NMOSトランジスタ301のドレイン電流IDを検出し、この電流IDが、過電流検出値に達したとき、過熱保護回路332の応答時間が短くなるように制御し、NMOSトランジスタ301に加わるエネルギーを抑制する。こうして、見かけ上許容電力の大きい領域において安全動作領域の範囲が広がり、広い安全動作領域内で過電流及び過熱から保護することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−280886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、半導体装置の安全領域は実際の半導体装置の許容損失の特性に沿ったものではなく、安全領域でも保護回路が働くため使用できない条件があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、半導体装置の許容損失特性に合わせて任意の過電流保護特性を設定できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の課題を解決するため、本発明の半導体装置は以下のような構成とした。
制御信号で制御される第一のトランジスタを備えた半導体装置であって、基準電流回路と、第一のトランジスタの電流をセンスし、基準電流回路の電流をミラーし、加算して電圧を発生させるセンス電圧発生回路と、基準電流回路の電流をミラーして電圧を発生させる基準電圧回路と、センス電圧発生回路で発生する電圧と基準電圧回路で発生する電圧を比較するアンプと、アンプの出力にゲートが接続され第一のトランジスタをオフすることができる第二のトランジスタで構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の過熱過電流保護機能を備えた半導体装置は、半導体装置の許容損失の特性に合わせて任意の過電流保護特性を設定できるので、効率を下げることなく安全な半導体装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態の半導体装置を示す回路図である。
図2】第二の実施形態の半導体装置を示す回路図である。
図3】第一および第二の実施形態の動作を説明する図である。
図4】従来の半導体装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第一の実施形態>
図1は、第一の実施形態の半導体装置の回路図である。
【0011】
第一の実施形態の半導体装置は、アンプ113、130と、PMOSトランジスタ115、116、121、122、123、124、125と、負荷電流源126と、PN接合素子111、112、128と、抵抗114、127、129と、電源端子101と、制御端子102と、グラウンド端子100で構成されている。基準電流回路110は、PMOSトランジスタ115、116と、アンプ113と、PN接合素子111、112と抵抗114で構成されている。センス電圧発生回路141は、PMOSトランジスタ122、123と、抵抗127で構成されている。基準電圧回路142は、PMOSトランジスタ124と、PN接合素子128と抵抗129で構成されている。
【0012】
次に、第一の実施形態の半導体装置の接続について説明する。アンプ113は、反転入力端子はPMOSトランジスタ115のドレインとPN接合素子111のアノードの接続点に接続され、非反転入力端子はPMOSトランジスタ116のドレインと抵抗114の一方の端子の接続点に接続され、出力はPMOSトランジスタ115のゲートとPMOSトランジスタ116のゲートとPMOSトランジスタ123のゲートとPMOSトランジスタ124のゲートに接続される。PN接合素子112は、アノードは抵抗114のもう一方の端子に接続され、カソードはグラウンド端子100に接続される。PN接合素子111のカソードはグラウンド端子100に接続される。PMOSトランジスタ115のソースは電源端子101に接続され、PMOSトランジスタ116のソースは電源端子101に接続される。PMOSトランジスタ121は、ゲートは制御端子102とPMOSトランジスタ122のゲートとPMOSトランジスタ125のドレインに接続され、ドレインは負荷電流源126の一方の端子に接続され、ソースは電源端子101に接続される。負荷電流源126のもう一方の端子はグラウンド端子100に接続される。PMOSトランジスタ122は、ドレインは抵抗127の一方の端子とPMOSトランジスタ123のドレインとアンプ130の反転入力端子に接続され、ソースは電源端子101に接続される。抵抗127のもう一方の端子はグラウンド端子100に接続される。PMOSトランジスタ123のソースは電源端子101に接続される。PMOSトランジスタ124は、ドレインはアンプ130の非反転入力端子と抵抗129の一方の端子とPN接合素子128のアノードに接続され、ソースは電源端子101に接続される。抵抗129のもう一方の端子はグラウンド端子100に接続される。PN接合素子128のカソードはグラウンド端子100に接続される。アンプ130の出力はPMOSトランジスタ125のゲートに接続される。PMOSトランジスタ125のソースは電源端子101に接続される。
【0013】
次に、第一の実施形態の半導体装置の動作について説明する。
制御端子102からLoの信号が入力されると、PMOSトランジスタ121は電流を流して負荷電流源126を駆動する。例えば、半導体装置がボルテージレギュレータであれば、制御端子102には差動増幅器の出力端子が接続され、負荷電流源126はその電圧で駆動される負荷回路である。
【0014】
PMOSトランジスタ122は、PMOSトランジスタ121よりサイズが小さく、ゲートが制御端子102に接続されている。従って、MOSトランジスタ122は、PMOSトランジスタ121に流れる電流に応じたセンス電流を流す。PMOSトランジスタ123は、基準電流回路110の電流をミラーしオフセット電流を流す。抵抗127は、センス電流とオフセット電流が流れて、その電流に応じた電圧を発生する。PMOSトランジスタ124は、基準電流回路110の電流をミラーし定電流を流す。その定電流は、並列に接続された抵抗129とPN接合素子128に流れ基準電圧を発生させる。
【0015】
負荷電流源126の両端がグラウンド端子100に短絡される等でPMOSトランジスタ121に大電流が流れると、PMOSトランジスタ122のセンス電流も増加し、抵抗127に発生する電圧が上昇する。この電圧が基準電圧を上回ると、アンプ130はLoの信号を出力してPMOSトランジスタ125をオンさせ、PMOSトランジスタ121のゲートを強制的に電源端子101に短絡させることでPMOSトランジスタ121をオフさせる。こうして過電流保護を掛けることができる。
【0016】
基準電圧は、PN接合素子128がないとすると温度に対してフラットな特性を持つ。基準電圧回路142は、PN接合素子128と抵抗129を並列に接続し、抵抗129の抵抗値を調整することで任意の温度以上では温度に対して負の傾きを持たせることができる。基準電圧が温度に対して負の傾きを持つと、温度の上昇に伴い基準電圧が下がるため過電流保護をかける電流値を下げることができる。従って、図3に示すように、半導体装置の許容損失の特性に合わせて、温度が上昇し温度T1を超えたとき過電流保護の電流値を下げるように調整することができる。
【0017】
また、過電流保護がかかる電流値が温度に対してフラットな温度領域の電流値は、PMOSトランジスタ123のサイズの調整によりオフセット電流の大きさを調整することで、抵抗127の両端に発生する電圧に任意のオフセット電圧を持たせることが出来るため、任意に制御することが可能である。
【0018】
なお、抵抗127と抵抗129の抵抗値、PMOSトランジスタ122、123、124のサイズをさらに調節することによっても温度上昇に伴った過電流保護の電流値を調節することができる。また、PN接合素子はダイオードやバイポーラトランジスタの飽和結線、弱反転動作するMOSトランジスタを用いることができ特定の形態に限定されない。
【0019】
以上説明したように、第一の実施形態の半導体装置は、半導体装置の許容損失の特性に合わせた、過電流保護特性を設定できる。従って、効率を下げることなく安全な半導体装置を提供することが出来る。
【0020】
<第二の実施形態>
図2は、第二の実施形態の半導体装置の回路図である。図1の回路との違いは、基準電流回路110の構成を変更した点である。第二の実施形態の半導体装置は、PMOSトランジスタ215、216と、NMOSトランジスタ213、214と、PN接合素子211、212と、抵抗217で基準電流回路210を構成している。他は第一の実施形態と同じである。
【0021】
第二の実施形態の半導体装置の接続について説明する。PMOSトランジスタ215は、ゲートはPMOSトランジスタ216のゲート及びドレインに接続され、ドレインはNMOSトランジスタ213のゲート及びドレインとNMOSトランジスタ214のゲートに接続され、ソースは電源端子101に接続される。PMOSトランジスタ216のソースは電源端子101に接続される。PN接合素子211は、アノードはNMOSトランジスタ213のソースに接続され、カソードはグラウンド端子100に接続される。NMOSトランジスタ214は、ドレインはPMOSトランジスタ216のドレインとPMOSトランジスタ123のゲートとPMOSトランジスタ124のゲートに接続され、ソースは抵抗217の一方の端子に接続される。PN接合素子212は、アノードは抵抗217のもう一方の端子に接続され、カソードはグラウンド端子100に接続される。他の接続は第一の実施形態と同じである。
【0022】
次に、第二の実施形態の半導体装置の動作について説明する。PMOSトランジスタ121は制御端子102からの信号により動作を制御され、PMOSトランジスタ121からの電流によって負荷電流源126を駆動させる。PMOSトランジスタ122はPMOSトランジスタ121よりサイズが小さく、ゲートが制御端子102に接続されているため、PMOSトランジスタ121に流れる電流と同じ動作の電流をセンスし、センス電流を流すことができる。PMOSトランジスタ123は基準電流回路210から電流をミラーしオフセット電流を流す。センス電流とオフセット電流は抵抗127に流れ電圧が発生する。PMOSトランジスタ124は基準電流回路110から電流をミラーし定電流を流す。定電流は抵抗129とPN接合素子128に流れ基準電圧を発生させる。
【0023】
負荷電流源126の両端がグラウンド端子100に短絡される等でPMOSトランジスタ121に大電流が流れるとPMOSトランジスタ122のセンス電流も増加し、抵抗127に発生する電圧が上昇する。この電圧が基準電圧を上回るとアンプ130はLoの信号を出力してPMOSトランジスタ125をオンさせ、PMOSトランジスタ121のゲートを強制的に電源端子101に短絡させることでPMOSトランジスタ121をオフさせる。こうして過電流保護を掛けることができる。基準電圧はPN接合素子128がないとすると温度に対してフラットな特性を持つ。そして、PN接合素子128を並列に接続し、抵抗129の抵抗値を調整することで任意の温度以上では温度に対して負の傾きを持たせることができる。基準電圧が温度に対して負の傾きを持つと、温度の上昇に伴い基準電圧が下がるため過電流保護をかける電流値を下げることができる。こうして、図3に示すように半導体装置の許容損失の特性にあうように、温度が上昇し温度T1を超えたときに電流値を下げることができる。
【0024】
また、過電流保護がかかる電流値が温度に対してフラットな温度領域の電流値は、PMOSトランジスタ123のサイズの調整によりオフセット電流の大きさを調整することで、抵抗127の両端に発生する電圧に任意のオフセット電圧を持たせることが出来るため、任意に制御することが可能である。
【0025】
なお、抵抗127と抵抗129の抵抗値、PMOSトランジスタ122、123、124のサイズをさらに調節することによっても温度上昇に伴った過電流保護の電流値を調節することができる。また、PN接合素子はダイオードやバイポーラトランジスタの飽和結線、弱反転動作するMOSトランジスタを用いることができ特定の形態に限定されない。
【0026】
以上により、第二の実施形態の半導体装置は、半導体装置の許容損失の特性にあうように温度が上昇したとき過電流保護の電流値を下げることができ、任意の安全領域を設定することができる半導体装置を動作させることができる。
【符号の説明】
【0027】
100 グラウンド端子
101 電源端子
102 制御端子
110、210 基準電流回路
111、112、128、211、212 PN接合素子
113、130 アンプ
126 負荷電流源
141 センス電圧発生回路
142 基準電圧回路
304 過電流検出部
309 TSD検出部
図1
図2
図3
図4