(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の複数の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態による駆動装置は、運転者の操舵をモータの駆動力によってアシストする電動パワーステアリングシステム(以下「EPS」という。)に適用される。本実施形態による駆動装置を
図1〜4に示す。
【0009】
図2に示すように、駆動装置1は、モータ部20、および制御部30を備える。駆動装置1は、モータ部20の出力端254が、コラム軸6に設けられたギアボックスのギア8に噛み合うようにして取り付けられている。駆動装置1は、ステアリング5の操舵トルクを検出するトルクセンサ7から出力されるトルク信号、および、図示しないCAN(Controller Area Network)から取得する車速信号等に基づきモータ部20を正逆回転させることにより、操舵を補助するアシスト力を発生する。
【0010】
まず、制御部30の電気的構成を
図2に基づいて説明する。
図2に示すように、制御部30の電気回路は、大電流をモータ部20に供給する駆動回路60、この駆動回路60を制御する制御回路70から構成されている。
駆動回路60は、第1平滑コンデンサ62、チョークコイル64、及び二組のインバータ回路91、92を有している。
【0011】
第1平滑コンデンサ62とチョークコイル64とは、フィルタ回路を構成し、電源100を共有する他の装置から伝わるノイズを低減する。チョークコイル64は、電源100と電源リレー97、98との間の配線に直列接続され電源変動を減衰する。
【0012】
一方のインバータ回路91は、電界効果トランジスタの一種であるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor、以下、「MOS」という。)911〜916を有している。MOS911〜916は、ゲート電位により、ソース−ドレイン間がON/OFFされる。
【0013】
上アーム側のMOS911、912、913は、ドレインが電源側に接続され、ソースが対応する下アーム側のMOS914、915、916のドレインに接続されている。下アーム側のMOS914、915、916のソースは、シャント抵抗99を介してグランドに接続されている。上アーム側のMOS911、912、913と対応する下アーム側のMOS914、915、916との接続点は、モータ部20に電気的に接続されている。
他方のインバータ回路92は、上述した一方のインバータ回路91と同様の構成であるので説明を省略する。
【0014】
駆動回路60は、二組のインバータ回路91、92それぞれに電源リレー97、98を有している。電源リレー97、98は、MOS911〜916と同様のMOSFETにより構成されている。電源リレー97、98は、MOS911〜913とチョークコイル64との間に設けられ、異常時にMOS911〜916を経由してモータ部20側へ電流が流れるのを遮断可能である。
【0015】
シャント抵抗99は、MOS914〜916とグランドとの間に電気的に接続される。シャント抵抗99に印加される電圧または電流を検出することにより、モータに通電される電流を検出する。
【0016】
第2平滑コンデンサ63は、上アーム側のMOS911〜913の電源側の配線と、シャント抵抗99のグランド側の配線に接続されている。つまり、第2平滑コンデンサ63は、MOS911〜916と並列接続されている。第2平滑コンデンサ63は、電荷を蓄えることで、MOS911〜916への電力供給を補助し、また電流の切り替えにより生じるリップル電流を吸収する。
【0017】
制御回路70は、プリドライバ73、カスタムIC75、回転角センサ74、及びマイコン72を備えている。カスタムIC75は、機能ブロックとして、位置センサ信号増幅部751、レギュレータ部752、及び検出電圧増幅部753を有している。
【0018】
レギュレータ部752は、電源を安定化する安定化回路である。レギュレータ部752は、各部へ供給される電源の安定化を行う。例えばマイコン72は、このレギュレータ部752により、安定した所定電圧(例えば5V)で動作する。
【0019】
位置センサ信号増幅部751には、回転角センサ74からの信号が入力される。回転角センサ74は、モータ部20の回転位置信号を検出し、検出された回転位置信号は、位置センサ信号増幅部751に送られる。位置センサ信号増幅部751は、回転位置信号を増幅してマイコン72へ出力する。
検出電圧増幅部753は、シャント抵抗99の両端電圧を検出し、その両端電圧を増幅してマイコン72へ出力する。
【0020】
マイコン72には、モータ部20の回転位置信号、シャント抵抗99の両端電圧、操舵トルク信号、及び、車速情報等が入力される。マイコン72は、これらの信号が入力されると、回転位置信号に合わせてプリドライバ73を介してインバータ回路91を制御する。具体的にマイコン72は、プリドライバ73により6つのMOS911〜916のゲート電圧を変化させ、MOS911〜916のON/OFFを切り替えることで、インバータ回路91を制御する。
【0021】
また、マイコン72は、検出電圧増幅部753から入力されるシャント抵抗99の両端電圧に基づき、モータ部20へ供給する電流を正弦波に近づけるようにインバータ回路91を制御する。なお、マイコン72は、一方のインバータ回路91を制御するのと同様に他方のインバータ回路92を制御する。
【0022】
次に、駆動装置1の機械的構成について、
図1、3、4に基づいて説明する。
図1に示すように、モータ部20および制御部30は、後述するシャフト25の中心軸O方向(以下、シャフト25の中心軸O方向を「軸方向」という)に並べて配置されている。中心軸Oは、特許請求の範囲における「回転軸」に対応する。また、軸方向と垂直な方向を「径方向」という。軸方向において、制御部30側を「一端側」といい、モータ部20側を「他端側」という。
【0023】
図4に示すように、モータ部20は、第1フレームエンド21、第2フレームエンド22、ステータ23、ロータ24、シャフト25、第1軸受としてのベアリング251、および第2軸受としてのベアリング252を有している。
【0024】
第1フレームエンド21は、例えばアルミ等の金属により有底筒状に形成され、底部211、側壁部212、および複数の連結部213を有する。底部211は径方向に延びて形成され、中央にベアリング251が設けられている。
【0025】
側壁部212は底部211の径方向外側の縁部から軸方向の他端側に延びて形成されている。側壁部212の軸方向の他端側の端部には、切欠溝214が周方向に形成されている。切欠溝214は、軸方向の断面形状が「L」字状となるよう形成されている。本実施形態では、底部211の軸方向の肉厚d1は、側壁部212の径方向の肉厚d2より厚く形成されている。
【0026】
連結部213は、底部211の径方向外側の縁部に複数形成されている。連結部213は、軸方向に形成されている貫通孔215を有する。
【0027】
第2フレームエンド22は、例えば鉄等の金属により有底筒状に形成され、底部221、側壁部222、および複数の連結部223を有する。底部221は径方向に延びて形成され、中央にベアリング252が設けられている。
【0028】
側壁部222は底部221の径方向外側の縁部から軸方向の一端側に延びて形成されている。側壁部222の軸方向の一端側の端部には、切欠溝224が周方向に形成されている。切欠溝224は、軸方向の断面形状が「L」字状となるよう形成されている。
【0029】
連結部223は、底部221の径方向外側の縁部に複数形成されている。連結部223は、軸方向にいて、連結部213に対応する位置に形成され、軸方向に形成されるねじ孔225を有する。
【0030】
ステータ23は、第1フレームエンド21と第2フレームエンド22との間に設けられ、一端が切欠溝214に嵌め込まれ、他端が切欠溝224に嵌め込まれている。ステータ23は、ねじ50が貫通孔215に挿通されねじ孔225に螺着されることにより、第1フレームエンド21と第2フレームエンド22との間に固定される。
【0031】
ステータ23は、筒状に形成され、第1フレームエンド21と第2フレームエンド22との間の外壁231の一部が露出されている。ステータ23は、磁性材料の薄板を積層してなる積層鉄心に巻線232が巻回することで形成される。巻線232から引き出されたモータ線233は、制御部30側へ引き出され、インバータ回路91、92と電気的に接続する。
【0032】
ロータ24は、ステータ23の径方向内側に、ステータ23に対して相対回転可能に設けられている。ロータ24は、例えば鉄等の磁性体から筒状に形成されている。ロータ24は、ロータコア241、および、ロータコア241の径方向外側に設けられている永久磁石242を有している。永久磁石242は、N極とS極とが周方向に交互に配列されている。
【0033】
シャフト25は、ロータコア241の中心に形成された軸穴243に固定されている。シャフト25は、一端がベアリング251により回転可能に支持され、他端がベアリング252により回転可能に支持されている。これにより、シャフト25はロータ24と共に、ステータ23に対し相対回転可能となる。
【0034】
シャフト25は、制御部30側の端部にマグネット253を有している。このマグネット253は、制御部30側に露出する。
【0035】
一方、シャフト25は、制御部30の反対側の端部に出力端254を有する。出力端254は、シャフト25が回転することによって、ギア8と連結し、ギア8を回転させることによりコラム軸6を駆動する(
図2参照)。
【0036】
制御部30は、駆動回路60を構成する各種電子部品、および、制御回路70を構成する各種電子部品を有する。
インバータ回路91、92は、第1フレームエンド21の底部211に当接している。本実施形態では、第1フレームエンド21の底部211は、ヒートシンクの機能を兼ねている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、ステータ23の外壁231の一部が第1フレームエンド21と第2フレームエンド22との間に露出している。これにより、ステータ23がモータケースに覆われている構成に比べ、ステータ23が外気と直接に接触するため、モータ部20に熱がこもることを抑制することができる。よって、駆動装置1の放熱性を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、第1フレームエンド21は、底部211の軸方向の肉厚d1が側壁部212の径方向の肉厚d2よりも厚く形成されている。これにより、側壁部212の径方向の肉厚d2が薄く形成されるため、制御部30で発生する熱が側壁部212を経由してステータ23に伝わることを抑制することができる。また、ステータ23の巻線232を流れる電流により発生する熱が側壁部212を経由して制御部30に伝わることを抑制することができる。よって、モータ部20と制御部30との間の熱の相互伝達を抑制することができる。
【0039】
さらに、底部211の軸方向の肉厚d1が厚く形成されているため、制御部30で発生する熱が底部211を経由してロータ24およびシャフト25に伝わりやすくなる。よって、底部211による制御部30の放熱性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、インバータ回路91、92は底部211に当接している。これにより、インバータ回路91、92から発生する熱が底部211を経由してロータ24およびシャフト25に伝わりやすくなる。よって、底部211による制御部30の放熱性をより向上させることができる。
【0041】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の駆動装置を
図5に基づいて説明する。上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態では、側壁部212に、矩形の穴216が周方向に複数形成されている。穴216は径方向に側壁部212を貫通する。
これにより、モータ部20の放熱性を向上させる効果を高めることができる。
【0042】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の駆動装置を
図6に基づいて説明する。上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、側壁部212に、凹部217が周方向に複数形成されている。凹部217は、側壁部212の他端側の端部から一端側に窪む。これにより、側壁部212の他端側の端部は、周方向にクランク状に形成される。
これにより、上記第2実施形態の効果と同様な効果を得ることができる。
【0044】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、第1フレームエンドと第2フレームエンドとが別体となる例を示した。これに対し、他の実施形態では、第1フレームエンドと第2フレームエンドとを一体に形成することとしても良い。
【0045】
上述した第2実施形態では、側壁部に矩形の穴が複数形成されている例を示した。これに対し、他の実施形態では、側壁部に形成されている穴は円形または多角形であっても良い。
【0046】
上述した第3実施形態では、側壁部の底部とは反対側の端部が周方向にクランク状に形成されている例を示した。これに対し、他の実施形態では、側壁部の底部とは反対側の端部は鋸歯状であっても良い。
【0047】
上述した実施形態では、二組のインバータ回路によりモータを駆動する例を示した。これに対し、他の実施形態では、一組または三組以上のインバータ回路によりモータを駆動することとしても良い。
【0048】
上述した実施形態では、モータのギアボックスと反対側に制御部を設ける例を示した。これに対し、他の実施形態では、モータとギアボックスとの間に制御部を設けることとしても良い。この場合、モータ部のシャフトは、制御部を貫通し、ギアボックス側へ延設される。
【0049】
上述した実施形態では、駆動装置を車両のEPSに適用する例を示した。これに対し、他の実施形態では、駆動装置を他の分野へ適用することとしても良い。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。