(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン側または車体側の一方に取り付けられる第1取付け部材と、エンジン側または車体側の他方に取り付けられる第2取付け部材と、前記第2取付け部材および第1取付け部材を連結すると共にゴム状弾性体からなるゴム基体と、前記第2取付け部材に取り付けられ前記ゴム基体との間に液封入室を形成すると共にゴム状弾性体からなるダイヤフラムと、前記液封入室を前記ゴム基体側の第1液室および前記ダイヤフラム側の第2液室に仕切る仕切り部材と、前記仕切り部材に形成され前記第1液室および第2液室を連通させるオリフィスと、を備える液封入式防振装置において、
前記仕切り部材に収納されると共にゴム状弾性体からなるゴム膜部材を備え、
前記オリフィスは、前記仕切り部材の外周側に形成される第1オリフィスと、前記仕切り部材の中央側に形成され前記第1オリフィスよりも液柱共振周波数が高い周波数となる第2オリフィスとを備え、
前記仕切り部材は、前記第2オリフィスを取り囲む円環状の領域に複数が形成されると共に所定間隔を隔てて対向配置される一対の規制リブと、前記ゴム膜部材を上下から挟持する一対の挟持部とを備え、
前記ゴム膜部材は、前記仕切り部材の一対の規制リブの対向間に収納される弾性膜部と、前記第2オリフィスの途中に配設され前記第1オリフィスに液柱共振を生じさせる振動入力に対しては前記第1液室および第2液室の差圧に応動して前記第2オリフィスに当接して閉塞させると共に前記第2オリフィスに液柱共振を生じさせる振動入力に対しては前記第1液室および第2液室の差圧に応動しつつ前記第2オリフィスから離間して連通状態に維持する円板状の可動栓部とを備え、
前記弾性膜部の内周側に可動栓部の外周側が接続され、これら弾性膜部と可動栓部とが一体に形成され、
前記仕切部材の一対の挟持部は、対向間に前記可動栓部が収容される円形面と、前記円形面を取り囲む環状に形成されると共に対向間で前記弾性膜部の内周側の縁部が上下から挟持される環状面とを備え、
前記環状面は、外周縁部から前記弾性膜部の被挟持面へ向けて突設されると共に周方向に沿って連続して延設される係合突条を備えることを特徴とする液封入式防振装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における液封入式防振装置100の断面図である。
【0021】
この液封入式防振装置100は、自動車のエンジンを支持固定しつつ、そのエンジン振動を車体フレームへ伝達させないようにするための防振装置であり、
図1に示すように、エンジン側に取り付けられる第1取付け部材1と、車体側に取り付けられると共に筒状に形成される第2取付け部材2と、これら第1取付け部材1及び第2取付け部材2を連結すると共にゴム状弾性体から構成されるゴム基体3とを主に備える。
【0022】
第1取付け部材1は、アルミニウム合金などから略円柱状に形成され、締結座面となる上面(
図1上側面)に凹設された凹部の内面にめねじが螺刻される。第2取付け部材2は、大径の部分と小径の部分とを有する筒状に形成される。
【0023】
ゴム基体3は、ゴム状弾性体から断面略円錐台形状に形成され、第1取付け部材1の外周面と第2取付け部材2の大径の部分の内周面との間に加硫接着される。ゴム基体3の下端部には、第2取付け部材2の小径の部分の内周面を覆うゴム膜が連なっており、このゴム膜には、後述する仕切り部材6の外周部が密着される。
【0024】
ダイヤフラム4は、ゴム状弾性体から部分球状を有するゴム膜状に形成され、第2取付け部材2の下端(ゴム基体3の反対側、
図1下側)に取着される。その結果、このダイヤフラム4の上面側とゴム基体3の下面側との間に、液封入室5が形成される。
【0025】
液封入室5には、エチレングリコールなどの不凍性の液体(図示せず)が封入される。液封入室5は、仕切り部材6によって、ゴム基体3側(
図1上側)の第1液室5Aと、ダイヤフラム4側(
図1下側)の第2液室5Bとの2室に仕切られる。
【0026】
仕切り部材6には、第1液室5A及び第2液室5Bを連通させる複数のオリフィス(第1オリフィスP1及び第2オリフィスP2)が形成されると共に、内部空間にゴム膜部材7が収容される。これにより、振幅依存性を抑制しつつ、例えば、シェイク振動とアイドル振動のように、異なる2つの周波数域の振動に対して、液体流動作用(液柱共振作用)による防振効果を発揮することができる(
図7参照)。なお、これら仕切り部材6及びゴム膜部材7の詳細構成は、
図2から
図4を参照して後述する。
【0027】
次いで、
図2及び
図3を参照して、仕切り部材6について説明する。
図2(a)は、仕切り部材6の上面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIb−IIb線における仕切り部材6の断面図である。
図3(a)は、
図2(b)のIIIa−IIIa線における仕切り部材6の断面図であり、
図3(b)は、仕切り部材6の部分拡大断面図である。なお、
図3(b)は、
図2(b)における断面の部分拡大図である。
【0028】
図2及び
図3に示すように、仕切り部材6は、樹脂材料からなり上面側を構成する(第1液室5A側に配設される)部材と、樹脂材料からなり下面側を構成する(第2液室5B側に配設される)部材との2部材を重ね合わせ、その重ね合わせ面を超音波溶着により固着させることで、これら両部材が一体化され、略円柱状に形成される。
【0029】
なお、仕切り部材6の材質は、樹脂材料に限定されず、アルミニウム合金や鉄鋼などの金属材料を採用しても良い。
【0030】
仕切り部材6の軸O方向上下端には、略フランジ状のオリフィス形成壁61,62が径方向外方へ張り出して形成される。これらオリフィス形成壁61,62が、第2取付け部材2の内周を覆うゴム基体3及びそれに連なるゴム膜に密着されることで、仕切り部材6の外周に沿って断面略矩形状の第1オリフィスP1が形成される(
図1参照)。仕切り部材6には、オリフィス形成壁61,62の間を接続する縦壁部63が形成されており、この縦壁部63によって、第1オリフィスP1が周方向に分断される。
【0031】
上側(
図2(b)上側)のオリフィス形成壁61には、切欠き61aが開口形成され、この切欠き61aを介して、第1オリフィスP1の一端が第1液室5A(
図1参照)に連通される。同様に、下側のオリフィス形成壁62には、切欠き62aが開口形成され、この切欠き62aを介して、第1オリフィスP1の他端が第2液室5B(
図1参照)に連通される。
【0032】
仕切り部材6の内周面側には、軸O方向(
図2(b)上下方向)に所定間隔を隔てつつ対向配置される一対の対向規制板部材64が一体に形成される。これら一対の対向規制板部材64の対向面間が、ゴム膜部材7を収容する収容空間となる(
図1参照)。なお、一対の対向規制板部材64は、互いに同じ形状に形成され、軸Oに対して略垂直となる姿勢で向かい合わせに配設される。
【0033】
対向規制板部材64は、略円形に開口形成される開口65と、その開口65の中心部に位置する中央部66と、その中央部66から開口65の外周縁部へ向けて放射直線状に延設されこれら中央部66と開口65の外周縁部との間を連結する複数本(本実施の形態では4本)の規制リブ67とを備える。
【0034】
開口65は、液封入室5(第1液室5A及び第2液室5B)内の液圧変動を、ゴム膜部材7へ伝達するための開口であり(
図1参照)、規制リブ67によって、円を4等分に区画した形状(即ち、中心角90度の扇形)の開口として形成される。
【0035】
中央部66は、円形に形成される板状体であり、その中心部には、軸Oに沿って貫通孔66aが貫通形成される。この貫通孔66aにより、一端が第1液室5Aに連通されると共に他端が第2液室5Bに連通される第2オリフィスP2が形成される(
図1参照)。
【0036】
なお、第2オリフィスP2は、その断面積および流路長さの両者が、第1オリフィスP1の断面積および流路長さよりもそれぞれ小さくされる。よって、第2オリフィスP2で生じる液柱共振周波数が、第1オリフィスP1で生じる液柱共振周波数よりも高周波数とされる。
【0037】
中央部66の対向面(他方の対向規制板部材64の中央部66に対向される面)は、軸Oを中心とする円形の円形面66bが、その円形面66bを取り囲む同心環状の環状面66cよりも、他方の中央部66の円形面66b側へ近接して配設される。即ち、円形面66b同士の対向間隔が、円環面66c同士の対向間隔よりも狭くされる。
【0038】
円形面66b及び環状面66cには、それらの外周縁部において、位置決め突条68及び係合突条69がそれぞれ突設される。位置決め突条68は、ゴム膜部材7を径方向に位置決めするための部位であり、係合突条69は、ゴム膜部材7の上面または下面(被挟持面)に喰い込んで係合するための部位である(いずれも
図6参照)。
【0039】
これら位置決め突条68及び係合突条69は、断面U字状の突起を、軸Oを中心として周方向に連続して延設させた突条として形成される。即ち、位置決め突条68及び係合突条69は、
図3(a)に示すように、軸O方向視において円形に形成され、位置決め突条68及び係合突条69(即ち、円形面66b及び環状面66c)の外径が、それぞれ直径D1及び直径D2とされる。
【0040】
規制リブ67は、ゴム膜部材7の弾性膜部80の変形(往復動変位)を規制するための部位であり(
図6参照)、軸Oを中心として、上述したように、4本が放射直線状に延設される。各規制リブ67は、互いに同じ形状に形成され、周方向略等間隔(略90°間隔)に配置される。
【0041】
なお、各規制リブ67は、他方の対向規制板部材64の各規制リブ67と同位相となる位置(軸O方向視において重なる位置)に配置される。また、規制リブ67の対向面(他方の対向規制板部材64の規制リブ67に対向される面)は、中央部66の環状面66cと面一となる位置(軸O方向位置)に配置される。
【0042】
図4(a)は、ゴム膜部材7の上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のIVb−IVb線におけるゴム膜部材7の断面図である。
図5(a)は、ゴム膜部材7の部分拡大上面図であり、
図5(b)は、
図5(a)のVb−Vb線におけるゴム膜部材7の部分拡大断面図である。
【0043】
なお、
図5(a)は、
図4(a)における上面の部分拡大図であり、
図5(b)は、
図4(b)における断面の部分拡大図である。また、
図4(b)及び
図5(b)では、他面側(
図4(b)及び
図5(b)下側)の緩衝突起94の位置が模式的に図示される。
【0044】
図4及び
図5に示すように、ゴム膜部材7は、一対の対向規制板部材64の対向面間に収容される部材であり(
図1参照)、弾性膜部80と、可動栓部90とを備えると共に、これら弾性膜部80及び可動栓部90がゴム状弾性体から一体に形成される。
【0045】
なお、ゴム膜部材7は、その厚み方向(
図4(b)上下方向)中央に位置する仮想平面(図示せず)を対称面として面対称に形成される。但し、一面側(
図4(a)紙面手前側)における十字状部91bは、他面側(
図4(a)紙面奥側)における十字状部91bに対して、軸Oを中心として、周方向に45°位相を異ならせた位置に配設される。また、一面側における緩衝突起94は、他面側における緩衝突起94に対して、軸Oを中心として、周方向に180°位相を異ならせた位置にそれぞれ配設される。
【0046】
弾性膜部80は、一対の対向規制板部材64における規制リブ67の対向間に収容される部位であり(
図6参照)、軸Oを中心とする円環板状に形成され、その厚み寸法(
図4(b)上下方向寸法)が、内周縁部で最大とされると共に、外周側へ向かうに従って漸減され、外周縁部で最小とされる。
【0047】
なお、弾性膜部80は、その内周縁部の厚み寸法が、一対の対向規制板部材64の中央部66における環状面66cの対向面間隔よりも大きくされる一方、外周縁部の厚み寸法が、一対の対向規制板部材64の規制リブ67における対向面間隔よりも小さくされる(
図6参照)。また、弾性膜部80の内径は、直径D3とされる。直径D3は、環状面66c(係合突条69)の直径D2よりも小さく、かつ、円形面66b(位置決め突条68)の直径D1と略同一とされる(D1=D3<D2、
図3(a)参照)。
【0048】
可動栓部90は、一対の対向規制板部材64における中央部66(円形面66b)の対向間に収容される部位であり(
図6参照)、軸Oを中心とする円形板状に形成される。可動栓部90は、軸Oを含む位置に形成される栓部分91と、その栓部分91の外周縁部と弾性膜部80の内周縁部とを連結する連結板部92と、その連結板部92に穿設される複数(本実施の形態では4個)の開口93と、連結板部92から突設される複数(本実施の形態では片面に2個)の緩衝突起94とを備える。
【0049】
栓部分91は、第2オリフィスP2(貫通孔66a)の開口を開閉するための部位であり、軸Oを中心とする環状に形成される環状栓部91aと、その環状栓部91aの内周側に十字状に形成される十字状部91bとを備える。環状栓部91a及び十字状部91bは、断面U字状に突設されると共にその突設頂部の高さ位置が連結板部92の板面よりも高くされる突条であり、栓部分91の残部(環状栓部91aと十字状部91bとの間)は、連結板部92と面一(同じ高さ位置)に形成される。
【0050】
栓部分91は、初期状態(液圧の非作用時)では、第2オリフィスP2(貫通孔66a)の開口との間に隙間を有しており、かかる第2オリフィスP2を開放した状態(連通可能)とする一方(
図6参照)、液圧が作用されると、環状栓部91aの頂部が、中央部66の円形面66bに水密に当接されることで、第2オリフィスP2を閉塞する。
【0051】
なお、この場合、栓部材91は、環状栓部91aの内周側に十字状部91bが形成されているので、栓部分91が貫通孔66a(円形面66b)に吸い付き、第2オリフィスP2が開放されない不具合が抑制される。
【0052】
連結板部92の厚み寸法は、弾性膜部80の厚み寸法よりも小さくされる。開口93は、軸Oを中心として周方向等間隔に配設される。緩衝突起94は、栓部分91により第2オリフィスP2を閉塞する際に、円形面66b(
図3参照)に衝突する突起であり、その緩衝作用により、異音の発生を抑制する。なお、緩衝突起94の突設高さは、環状栓部91a及び十字状部91bの突設高さよりも高くされる。
【0053】
次いで、
図6及び
図7を参照して、仕切り部材6にゴム膜部材7を収容した組み立て状態における仕切り部材6及びゴム膜部材7の構成と、液封入式防振装置100の動的特性とについて説明する。
【0054】
図6は、仕切り部材6及びその仕切り部材6に収容されたゴム膜部材7の部分拡大断面図であり、
図1における断面の部分拡大図である。
図7は、液封入式防振装置100の動的な特性(貯蔵ばね定数K及び減衰係数δ)を示した図であり、6種類の入力振幅に対する特性が図示される。入力振幅ia1〜ia6は、ia1が最小振幅であり、ia1から順に大きな振幅となり、ia6が最大振幅となる。
【0055】
液封入式防振装置100によれば、仕切り部材6には、第1オリフィスP1及び第2オリフィスP2の2種類のオリフィスが形成されると共に(
図1参照)、ゴム膜部材7の可動栓部90が、第2オリフィスP2(貫通孔66a)を開閉(閉塞および開放)可能に構成される。
【0056】
よって、比較的低周波数の振動入力時には、第2オリフィスP2をゴム膜部材7の可動栓部90(栓部分91)が閉塞することで、第1オリフィスP1での液柱共振作用が発揮される一方、比較的高周波数の振動入力時には、ゴム膜部材7の可動栓部90が初期位置に復帰(維持)されることで(
図6参照)、第2オリフィスP2が開放状態とされ、第2オリフィスP2での液柱共振作用が発揮される。
【0057】
また、液封入式防振装置100によれば、仕切り部材6の規制リブ67の対向間には、ゴム膜部材7の弾性膜部80が配置され、かかる弾性膜部80により第1液室5A及び第2液室5Bが仕切られる(
図1参照)。
【0058】
よって、入力振幅が比較的大きな場合には、ゴム膜部材7の弾性膜部80の変位(変形)を規制リブ67により規制して、膜剛性を高める一方、入力振幅が比較的小さな場合には、第1液室5A及び第2液室5B間の液圧変動を弾性膜部80の往復動変形(変位)で吸収することができる。
【0059】
これにより、
図7に示すように、異なる2つの周波数域(θ1及びθ2)において、液柱共振作用を発揮させることができると共に、各液柱共振作用において、それぞれ振幅依存性を低減させることができる(即ち、低周波数側の液柱共振作用では、入力振幅ia4〜ia6の大きさに寄らず、その共振周波数がθ1でほぼ一致し、高周波数側の液柱共振作用では、入力振幅ia1〜ia3の大きさに寄らず、共振周波数がθ2でほぼ一致している)。
【0060】
図6に示すように、仕切り部材6は、対向規制板部材64の中央部66(環状面66c)の外径(直径D2)が、ゴム膜部材7の弾性膜部80の内径(直径D3)よりも大きくされるので(
図3(a)及び
図4(b)参照)、中央部66(環状面66c)によって弾性膜部80の内周縁部を上下から挟持することができる。
【0061】
これにより、ゴム膜部材7と仕切り部材6との相対位置を固定することができるので、仕切り部材6の第2オリフィスP2に対するゴム膜部材7の可動栓部90の径方向位置(
図6左右方向位置)が、振動入力時にずれることを抑制して、その機能(第2オリフィスP2の閉塞)を確実に発揮させることができる。
【0062】
ここで、本実施の形態では、仕切り部材6の中央側に第2オリフィスP2が形成され、それを避けることから、仕切り部材6の開口65及び規制リブ67の形成領域とゴム膜部材7の弾性膜部80とが、軸O方向視において円環状に形成されており(
図2(a)及び
図4(a)参照)、その受圧面積の確保が困難となる。そのため、入力振幅が比較的小さな場合に、第1液室5A及び第2液室5B間の液圧変動を、弾性膜部80の往復動変形(変位)により吸収する効果の発揮が悪化する。
【0063】
これに対し、本実施の形態によれば、ゴム膜部材7の弾性膜部80の内周縁部が仕切り部材6の中央部66(環状面66c)により上下から挟持されると共に、その内周縁部と反対側の外周縁部(
図6右側)が自由端とされ、かかる弾性膜部80が片持ちされた状態とすることができる。
【0064】
これにより、入力振幅が比較的小さい場合に、例えば、弾性膜部80の両端(内周縁部および外周縁部)が固定(上下から挟持)されて両持ちされた状態の場合と比較して、弾性膜部80を敏感に反応させることが可能となり、第1液室5A及び第2液室5B間の液圧変動を吸収させる効果を向上させることができる。その結果、弾性膜部80による振幅依存性の低減を効果的に発揮させることができる。
【0065】
仕切り部材6の中央部66における環状面66cからは、係合突条69が突設されるので、かかる係合突条69を弾性膜部80の被挟持面(
図6上側面および下側面)に喰い込ませることによる係合効果により、一対の中央部66(環状面66c)の間に弾性膜部80を強固に挟持して保持することができる。特に、係合突条69は全周に連続するので、その喰い込み長さを最大限に確保することができる。
【0066】
これにより、比較的大きな振幅が入力され、弾性膜部80が大きく変位される場合に、その弾性膜部80の変位を可動栓部90から分離する(即ち、弾性膜部80の変位によりゴム膜部材7全体が変位してしまい、可動栓部90の変位に影響が出ることを抑制する)ことができる。その結果、可動栓部90の機能(第2オリフィスP2の閉塞および開放)を確実に発揮させることができる。
【0067】
仕切り部材6の中央部66には、その円形面66bから突設されると共に周方向に連続する位置決め突条68が形成され、その位置決め突条68の外径(直径D1)が、ゴム膜部材7の弾性膜部80の内径(直径D3)と略同一とされる(D1=D3、
図3(a)及び
図4(b)参照)。
【0068】
即ち、位置決め突条68を弾性膜部80の内周側に内嵌させることができるので、仕切り部材6にゴム膜部材7を組み付ける組み立て工程において、ゴム膜部材7(弾性膜部80及び可動栓部90)の径方向位置(
図6左右方向位置)を適正な位置に、確実かつ容易に位置決めすることができる。
【0069】
また、このように、仕切り部材6の中央部66(円形面66b)における位置決め突条68が、ゴム膜部材7の弾性膜部80の内周側に内嵌されていることで、可動栓部90が変位した場合に、その可動栓部90側へ向けて(即ち、
図6左側へ向けて)弾性膜部80が引き込まれることを抑制することができる。
【0070】
これにより、可動栓部90の変位の影響で、弾性膜部80の膜剛性が変化されることを抑制できるので、動的特性(ばね定数Kや減衰係数δ等)の安定化を図ることができる。また、可動栓部90の径方向位置(
図6左右方向位置)の位置ずれを抑制して、その機能(第2オリフィスP2の閉塞および開放)を確実に発揮させることができる。
【0071】
以上のように、液封入式防振装置100によれば、仕切り部材6の外周側に第1オリフィスP1が、仕切り部材6の中央側に第2オリフィスP2が、それぞれ形成される。第2オリフィスP2の周囲の円環状の領域に一対の規制リブ67(及び開口65)が形成され、それら一対の規制リブ67の対向間に弾性膜部80が収納される。また、第2オリフィスP2の途中に配設され、入力振動の状態に応じて第2オリフィスP2の閉塞または開放(連通状態)を切り替える可動栓部90が円板状に形成される。そして、これら弾性膜部80と可動栓部90とがゴム膜部材7として一体に形成される。
【0072】
その結果、これら弾性膜部80及び可動栓部90のそれぞれの機能を同時に発揮可能としつつ、部品点数を削減することができる。即ち、液封入式防振装置100によれば、振幅依存性を抑制しつつ異なる周波数で液柱共振作用を発揮可能とし、かつ、その小型化および製品コストの低減を図ることができる。
【0073】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0074】
上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、規制リブ67の本数を片側4本とする場合を説明したが、3本以下であっても良く、5本以上であっても良い。
【0075】
上記実施の形態では、弾性膜部80の上面および下面(
図4(b)上側および下側の面)がそれぞれ平滑面として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上面または下面のいずれか一方または両方に、複数の突起を点在させても良く、或いは、複数の突条を延設させても良い。これら突起および突条を組み合わせても良い。これにより、規制リブ67に弾性膜部80の上面または下面が衝突する際の異音の発生を抑制できる。
【0076】
上記実施の形態では、弾性膜部80が軸O方向視において円環状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状を採用することは当然可能である。他の形状の例を
図8から
図11を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0077】
図8(a)は、第1の変形例におけるゴム膜部材207の上面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるゴム膜部材207の断面図である。
図9(a)は、第2の変形例におけるゴム膜部材307の上面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のIXb−IXb線におけるゴム膜部材307の断面図である。
【0078】
図10(a)は、第3の変形例におけるゴム膜部材407の上面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のXb−Xb線におけるゴム膜部材407の断面図である。
図11(a)は、第4の変形例におけるゴム膜部材507の上面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のXIb−XIb線におけるゴム膜部材507の断面図である。
【0079】
なお、
図8(b)、
図9(b)、
図10(b)及び
図11(b)では、他面側(例えば、
図8(b)下側)の緩衝突起94の位置が模式的に図示される。
【0080】
弾性膜部80の他の形状としては、第1の変形例から第4の変形例における弾性膜部280〜580の形状が例示される(
図8から
図11参照)。
【0081】
具体的には、第1の変形例におけるゴム膜部材207の弾性膜部280は、
図8に示すように、軸O方向視において、外周縁部が円形に形成されると共に、その外周縁部の一部を略コ字状に切り欠く切り欠き部が周方向の複数箇所(第1の変形例では周方向等間隔に4箇所)に形成される。この切り欠き部の形成個数は3個以下であっても良く、5個以上であっても良い。また、切り欠き部の形状は軸O方向視において半円形状や半楕円形状などであっても良い。
【0082】
第2の変形例におけるゴム膜部材307の弾性膜部380は、
図9に示すように、軸O方向視において、外周縁部が波状に湾曲を繰り返す形状(第2の変形例では、軸Oから外周縁までの距離が周方向に45°位相を進めるごとに最大または最小となる形状)に形成される。なお、軸Oから外周縁部までの距離が最大(最小)となる箇所の個数は3個以下であっても良く、5個以上であっても良い。
【0083】
第3の変形例におけるゴム膜部材407の弾性膜部480は、
図10に示すように、軸O方向視において、長辺が直線状に形成されると共に短辺が湾曲する略長方形状(いわゆる印籠形状)に形成される。第4の変形例におけるゴム膜部材507の弾性膜部580は、
図11に示すように、軸O方向視において、外周縁部が円形に形成されると共に、その外周縁部の対向する2箇所(周方向に位相を180°異ならせた位置)に略コ字状の切り欠き部が形成される。切り欠き部の幅寸法(
図11(a)上下方向寸法)は、弾性膜部580の内径の直径D3よりも大きくされ、切り欠き部の内壁面と弾性膜部580の内周面(直径D3の部分)との間の最小寸法(
図11(a)左右方向寸法)は、開口93の内径よりも小さくされる。
【0084】
なお、第1の変形例から第4の変形例における弾性膜部280〜580の最大外径は、上記実施の形態における弾性膜部80の外径(
図4(b)左右方向寸法)と同一とされる。また、その厚み寸法は、内周縁部で最大とされると共に、外周側へ向かうに従って漸減され、外周縁部(最大外径部)で最小とされる。この最大および最小の厚み寸法は、上記実施の形態における弾性膜部80の最大および最小の厚み寸法と同一とされる。よって、第1の変形例から第4の変形例におけるゴム膜部材207〜507は、いずれもその弾性膜部280〜580の外周縁部が自由端とされ、外周縁部が片持ちされた状態とされる(
図6参照)。
<その他>
<手段>
技術的思想1の液封入式防振装置は、エンジン側または車体側の一方に取り付けられる第1取付け部材と、エンジン側または車体側の他方に取り付けられる第2取付け部材と、前記第2取付け部材および第1取付け部材を連結すると共にゴム状弾性体からなるゴム基体と、前記第2取付け部材に取り付けられ前記ゴム基体との間に液封入室を形成すると共にゴム状弾性体からなるダイヤフラムと、前記液封入室を前記ゴム基体側の第1液室および前記ダイヤフラム側の第2液室に仕切る仕切り部材と、前記仕切り部材に形成され前記第1液室および第2液室を連通させるオリフィスと、を備えるものであり、前記仕切り部材に収納されると共にゴム状弾性体からなるゴム膜部材を備え、前記オリフィスは、前記仕切り部材の外周側に形成される第1オリフィスと、前記仕切り部材の中央側に形成され前記第1オリフィスよりも液柱共振周波数が高い周波数となる第2オリフィスとを備え、前記仕切り部材は、前記第2オリフィスを取り囲む円環状の領域に複数が形成されると共に所定間隔を隔てて対向配置される一対の規制リブを備え、前記ゴム膜部材は、前記仕切り部材の一対の規制リブの対向間に収納される弾性膜部と、前記第2オリフィスの途中に配設され前記第1オリフィスに液柱共振を生じさせる振動入力に対しては前記第1液室および第2液室の差圧に応動して前記第2オリフィスに当接して閉塞させると共に前記第2オリフィスに液柱共振を生じさせる振動入力に対しては前記第1液室および第2液室の差圧に応動しつつ前記第2オリフィスから離間して連通状態に維持する円板状の可動栓部とを備え、前記弾性膜部の内周側に可動栓部の外周側が接続され、これら弾性膜部と可動栓部とが一体に形成される。
技術的思想2の液封入式防振装置は、技術的思想1記載の液封入式防振装置において、前記仕切り部材は、前記ゴム膜部材の弾性膜部における内周側の縁部を上下から挟持する一対の挟持部を備え、前記ゴム膜部材の弾性膜部は、前記仕切り部材の一対の挟持部により上下から挟持される内周側の縁部と反対側の外周側の縁部が自由端とされる。
技術的思想3の液封入式防振装置は、技術的思想2記載の液封入式防振装置において、前記仕切り部材の一対の挟持部、又は、前記一対の挟持部により上下から挟持される前記ゴム膜部材の弾性膜部における被挟持面の一方は、他方へ向けて突設されると共に周方向に沿って連続して又は断続的に延設される係合突条を備える。
技術的思想4の液封入式防振装置は、技術的思想3記載の液封入式防振装置において、前記係合突条は、前記仕切り部材の一対の挟持部から前記ゴム膜部材の弾性膜部における被挟持面へ向けて突設されると共に周方向に沿って連続して延設される。
技術的思想5の液封入式防振装置は、技術的思想1から4のいずれかに記載の液封入式防振装置において、前記ゴム膜部材は、前記弾性膜部の内周側と可動栓部の外周側との接続部分において、前記弾性膜部の厚み寸法が前記可動栓部の厚み寸法よりも大きくされ、前記仕切り部材は、前記可動栓部の外周側の縁部へ向けて突設されると共に周方向に沿って連続して又は断続的に延設され前記弾性膜部の内周側に内嵌される位置決め突条を備えることを特徴とする技術的思想1から4のいずれかに記載の液封入式防振装置。
<効果>
技術的思想1記載の液封入式防振装置によれば、仕切り部材の外周側に第1オリフィスを、仕切り部材の中央側に第2オリフィスを、それぞれ形成すると共に、その第2オリフィスの周囲の円環状の領域に一対の規制リブを形成し、それら一対の規制リブの対向間に弾性膜部を収納すると共に、第2オリフィスの途中に配設され入力振動の状態に応じて第2オリフィスの閉塞または開放(連通状態)を切り替える可動栓部を円板状に形成し、これら弾性膜部と可動栓部とを一体に形成したので、弾性膜部による機能および可動栓部による機能を同時に発揮可能としつつ、部品点数を削減できると共に配設スペースを小さくできる。その結果、振幅依存性を抑制しつつ異なる周波数で液柱共振作用を発揮可能とし、かつ、小型化および製品コストの低減を図ることができる。
技術的思想2記載の液封入式防振装置によれば、技術的思想1記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、仕切り部材が、ゴム膜部材の弾性膜部における内周側の縁部を上下から挟持する一対の挟持部を備えるので、かかる一対の挟持部による弾性膜部の挟持によって、ゴム膜部材と仕切り部材との相対位置を固定することができる。これにより、仕切り部材の第2オリフィスに対するゴム膜部材の可動栓部が、振動入力時にずれることを抑制して、その機能(第2オリフィスの閉塞)を確実に発揮させることができる。
ここで、仕切り部材の一対の規制リブ対向部は、仕切り部材の中央側の第2オリフィスの周囲に円環状に形成され、それら一対の規制リブの対向間が弾性膜部の収納スペースとなるため、弾性膜部の受圧面積の確保が困難となる。そのため、入力振幅が比較的小さな場合に、第1液室および第2液室間の液圧変動を、弾性膜部の往復動変位(変形)により吸収する効果の発揮が悪化する。
これに対し、技術的思想2によれば、弾性膜部の内周側の縁部が上下から挟持されると共にその内周側の縁部と反対側の外周側の縁部が自由端とされ、かかる弾性膜部が片持ちされた状態とすることができる。これにより、入力振幅が比較的小さい場合に、例えば、弾性膜部の両端(内周縁部および外周縁部)が固定されている場合と比較して、弾性膜部を敏感に反応させることが可能となり、第1液室および第2液室間の液圧変動を吸収させる効果を向上させることができる。その結果、弾性膜部による振幅依存性の低減を効果的に発揮させることができる。
技術的思想3記載の液封入式防振装置によれば、技術的思想2記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、仕切り部材の一対の挟持部、又は、一対の挟持部により上下から挟持されるゴム膜部材の弾性膜部における被挟持面の一方は、他方へ向けて突設されると共に周方向に沿って連続して又は断続的に延設される係合突条を備えるので、かかる係合突条の係合効果により、一対の挟持部の間に弾性膜部を強固に挟持して保持することができる。これにより、弾性膜部が大きく変位される場合に、その弾性膜部の変位を可動栓部から分離する(即ち、弾性膜部の変位によりゴム膜部材全体が変位してしまい、可動栓部の変位に影響が出ることを抑制する)ことができる。その結果、可動栓部の機能(第2オリフィスの閉塞および開放)を確実に発揮させることができる。
技術的思想4記載の液封入式防振装置によれば、技術的思想3記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、係合突条は、仕切り部材の一対の挟持部からゴム膜部材の弾性膜部における被挟持面へ向けて突設されると共に周方向に沿って連続して延設されるので、かかる係合突条を弾性膜部の被挟持面に喰い込ませることができると共に、その喰い込み長さを周方向に最大とすることができる。これにより、一対の挟持部の間に弾性膜部をより強固に挟持して保持することができるので、弾性膜部の変位を可動栓部から分離する効果(即ち、弾性膜部の変位により可動栓部の変位に影響が出ることを抑制する効果)を高めることででき、その結果、可動栓部の機能(第2オリフィスの閉塞および開放)をより確実に発揮させることができる。
技術的思想5記載の液封入式防振装置によれば、技術的思想1から4のいずれかに記載の液封入式防振装置の奏する効果に加え、ゴム膜部材は、弾性膜部の内周側と可動栓部の外周側との接続部分において、弾性膜部の厚み寸法が可動栓部の厚み寸法よりも大きくされ、仕切り部材は、可動栓部の外周側の縁部へ向けて突設されると共に周方向に沿って連続して又は断続的に延設され弾性膜部の内周側に内嵌される位置決め突条を備えるので、かかる位置決め突条を弾性膜部の内周側に内嵌させることで、仕切り部材にゴム膜部材を組み付ける際に、ゴム膜部材(弾性膜部および可動栓部)の位置を適正な位置に、確実かつ容易に位置決めすることができる。
また、仕切り部材の位置決め突条が、ゴム膜部材の弾性膜部の内周側に内嵌されていることで、可動栓部が変位した場合に、その可動栓部側へ向けて弾性膜部が引き込まれることを抑制することができる。これにより、可動栓部の変位の影響で、弾性膜部の膜剛性が変化されることを抑制できるので、動的特性(ばね定数や減衰係数など)の安定化を図ることができる。また、可動栓部の位置ずれを抑制して、その機能(第2オリフィスの閉塞および開放)を確実に発揮させることができる。