(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記熱媒体循環装置により、前記利用側伝熱器を出た前記熱媒体の一部を分流し、前記第1の利用側熱交換器に流した後、前記第2の利用側熱交換器を出た前記熱媒体に合流させる第3の運転モードを有することを特徴とする請求項3に記載の地中熱利用ヒートポンプ装置。
第1の圧縮機及び第1の放熱器と、膨張機構と、蒸発器と、前記第1の圧縮機及び第1の放熱器に対して二元接続の高元側、若しくは、二段接続の後段側の関係で設けられた第2の圧縮機及び第2の放熱器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、
地中に埋設された地中熱採熱管と、
前記蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、
空調を行うための利用側熱交換器と、
前記第1の放熱器と熱交換関係に設けられた第1の利用側伝熱器と、
前記第2の放熱器と熱交換関係に設けられた第2の利用側伝熱器と、
これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、第1の利用側伝熱器、及び、第2の利用側伝熱器への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置と、
前記冷凍サイクル装置及び熱媒体循環装置を制御する制御装置を備え、
該制御装置は、前記熱媒体循環装置により、前記地中熱採熱管と前記地中熱伝熱器との間で前記熱媒体を循環させると共に、前記利用側熱交換器と前記第1及び第2の利用側伝熱器との間で前記熱媒体を循環させる第1の運転モードと、
前記熱媒体循環装置により、前記地中熱採熱管、前記地中熱伝熱器、前記利用側熱交換器、及び、前記第1の利用側伝熱器の順で前記熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することを特徴とする地中熱利用ヒートポンプ装置。
第1の圧縮機及び第1の放熱器と、膨張機構と、蒸発器と、前記第1の圧縮機及び第1の放熱器に対して二元接続の高元側、若しくは、二段接続の後段側の関係で設けられた第2の圧縮機及び第2の放熱器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、
地中に埋設された地中熱採熱管と、
前記蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、
空調を行うための第1及び第2の利用側熱交換器と、
給湯を行うための第3の利用側熱交換器と、
前記第1の放熱器と熱交換関係に設けられた第1の利用側伝熱器と、
前記第2の放熱器と熱交換関係に設けられた第2の利用側伝熱器と、
これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、各利用側熱交換器、第1の利用側伝熱器、及び、第2の利用側伝熱器への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置と、
前記冷凍サイクル装置及び前記熱媒体循環装置を制御する制御装置を備え、
該制御装置は、前記熱媒体循環装置により、前記地中熱採熱管と前記地中熱伝熱器との間で前記熱媒体を循環させると共に、前記第1の利用側熱交換器及び第3の利用側熱交換器と前記第1及び第2の利用側伝熱器との間で前記熱媒体を循環させる第1の運転モードと、
前記熱媒体循環装置によって前記地中熱採熱管、前記地中熱伝熱器、前記第2の利用側熱交換器、及び、前記第2の利用側伝熱器の順で前記熱媒体を循環させ、且つ、前記第3の利用側熱交換器と前記第1の利用側伝熱器との間で前記熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することを特徴とする地中熱利用ヒートポンプ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では冷凍サイクル装置と地中熱を利用する地中熱採熱装置は、冷凍サイクル装置の蒸発器とのみ熱交換し、特許文献2では暖房時の冷凍サイクル装置の蒸発器と冷房時の冷凍サイクル装置の凝縮器(何れも熱利用熱交換器31)とのみ熱交換する構成であったため、冷凍サイクル装置に対して地中熱を有効に利用することができない問題があり、更なる運転効率と冷房、暖房性能の向上が望まれていた。
【0006】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、地中熱を有効に利用して運転効率と性能の改善を図ることができる地中熱利用ヒートポンプ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、圧縮機と、放熱器と、膨張機構と、蒸発器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、地中に埋設された地中熱採熱管と、蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、空調を行うための利用側熱交換器と、放熱器と熱交換関係に設けられた利用側伝熱器と、これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器
への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置
と、冷凍サイクル装置及び熱媒体循環装置を制御する制御装置を備え、この制御装置は、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、圧縮機と、放熱器と、膨張機構と、蒸発器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、地中に埋設された地中熱採熱管と、蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、空調を行うための利用側熱交換器と、放熱器と熱交換関係に設けられた利用側伝熱器と、これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置と、冷凍サイクル装置及び熱媒体循環装置を制御する制御装置を備え、この制御装置は、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、利用側熱交換器と利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、圧縮機と、放熱器と、膨張機構と、蒸発器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、地中に埋設された地中熱採熱管と、蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、空調を行うための第1及び第2の利用側熱交換器と、放熱器と熱交換関係に設けられた利用側伝熱器と、これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、両利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置と、冷凍サイクル装置及び熱媒体循環装置を制御する制御装置を備え、この制御装置は、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、第1の利用側熱交換器と利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、第2の利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、上記発明において制御装置は、熱媒体循環装置により、利用側伝熱器を出た熱媒体の一部を分流し、第1の利用側熱交換器に流した後、第2の利用側熱交換器を出た熱媒体に合流させる第3の運転モードを有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、第1の圧縮機及び第1の放熱器と、膨張機構と、蒸発器と、第1の圧縮機及び第1の放熱器に対して二元接続の高元側、若しくは、二段接続の後段側の関係で設けられた第2の圧縮機及び第2の放熱器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、地中に埋設された地中熱採熱管と、蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、空調を行うための利用側熱交換器と、第1の放熱器と熱交換関係に設けられた第1の利用側伝熱器と、第2の放熱器と熱交換関係に設けられた第2の利用側伝熱器と、これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、第1の利用側伝熱器、及び、第2の利用側伝熱器への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置と、冷凍サイクル装置及び熱媒体循環装置を制御する制御装置を備え、この制御装置は、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、利用側熱交換器と第1及び第2の利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、第1の利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、第1の圧縮機及び第1の放熱器と、膨張機構と、蒸発器と、第1の圧縮機及び第1の放熱器に対して二元接続の高元側、若しくは、二段接続の後段側の関係で設けられた第2の圧縮機及び第2の放熱器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、地中に埋設された地中熱採熱管と、蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、空調を行うための第1及び第2の利用側熱交換器と、給湯を行うための第3の利用側熱交換器と、第1の放熱器と熱交換関係に設けられた第1の利用側伝熱器と、第2の放熱器と熱交換関係に設けられた第2の利用側伝熱器と、これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、各利用側熱交換器、第1の利用側伝熱器、及び、第2の利用側伝熱器への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置と、冷凍サイクル装置及び熱媒体循環装置を制御する制御装置を備え、この制御装置は、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、第1の利用側熱交換器及び第3の利用側熱交換器と第1及び第2の利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置によって地中熱採熱管、地中熱伝熱器、第2の利用側熱交換器、及び、第2の利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させ、且つ、第3の利用側熱交換器と第1の利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、上記各発明において蒸発器を流れる冷媒と地中熱伝熱器を流れる熱媒体は対向流となり、放熱器を流れる冷媒と利用側伝熱器を流れる熱媒体
、又は、第1の放熱器を流れる冷媒と第1の利用側伝熱器を流れる熱媒体、又は、第2の放熱器を流れる冷媒と第2の利用側伝熱器を流れる熱媒体は対向流となることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、上記各発明において制御装置は、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる状態
における被空調空間の冷房負荷、温度、湿度、外気の温度、湿度のうちの一つ、若しくは、それらの組み合わせ、又は、第2の運転モードにおける被空調空間の冷房負荷、温度、湿度、外気の温度、湿度のうちの一つ、若しくは、それらの組み合わせに基づき、冷凍サイクル装置の運転を制御することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、上記各発明において制御装置は、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる状態
において、又は、第2の運転モードにおいて
、冷凍サイクル装置を停止する制御状態を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10の発明の地中熱利用ヒートポンプ装置は、上記各発明において冷凍サイクル装置の冷媒回路内に、冷媒として二酸化炭素を封入したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の地中熱利用ヒートポンプ装置によれば、圧縮機と、放熱器と、膨張機構と、蒸発器を含む冷媒回路を有する冷凍サイクル装置と、地中に埋設された地中熱採熱管と、蒸発器と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器と、空調を行うための利用側熱交換器と、放熱器と熱交換関係に設けられた利用側伝熱器と、
これら地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器への熱媒体の流通を制御する熱媒体循環装置
と、冷凍サイクル装置及び熱媒体循環装置を制御する制御装置を備えており、この制御装置が、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させるようにしているので、特に利用側熱交換器で冷房(第2の運転モード)を行う場合に、地中熱採熱管で地中に放熱した熱媒体が、地中熱伝熱器に流入して冷凍サイクル装置の蒸発器と熱交換し、当該蒸発器によって更に冷やされた後、利用側熱交換器に流入することになる。これにより、利用側熱交換器による冷房性能を向上させることができるようになる。
【0018】
そして、利用側熱交換器を出た熱媒体は次に利用側伝熱器に流入し、冷凍サイクル装置の放熱器と熱交換して温度が上昇した後、再び地中熱採熱管に戻るので、地中での熱交換効率も良好となる。
【0019】
一方、冷凍サイクル装置の冷媒は放熱器にて利用側伝熱器を流れる熱媒体に対して放熱し、その後、膨張機構で絞られ、蒸発器に流入して地中熱伝熱器を流れる熱媒体から吸熱する循環を繰り返すので、冷凍サイクル装置の運転効率も良好となる。
【0020】
これらにより、本発明の地中熱利用ヒートポンプ装置によれば、極めて性能のよい冷房運転を高効率で実現することが可能となるものである。
【0021】
また、請求項2の発明の如く制御装置が、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、利用側熱交換器と利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することとすれば、第2の運転モードにて利用側熱交換器により上記の如き冷房運転を実行し、且つ、第1の運転モードでは、地中熱採熱管で吸い上げた熱を熱媒体により地中熱伝熱器に搬送し、冷凍サイクル装置の蒸発器に受け渡すと共に、この熱を更に冷凍サイクル装置の放熱器に冷媒を介して搬送し、利用側伝熱器を流れる熱媒体に吸い上げさせることができるようになる。
【0022】
これにより、第1の運転モードにおいて地中熱を利用した極めて性能のよい暖房運転や給湯運転を高効率で実現することが可能となる。
【0023】
この場合、請求項3の発明の如く空調を行うための第1及び第2の利用側熱交換器を設け、制御装置が、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、第1の利用側熱交換器と利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、第2の利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することとしてもよい。その場合は、第1の利用側熱交換器にて暖房運転や給湯運転を行い、第2の利用側熱交換器にて冷房運転を行うことになる。
【0024】
また、そのとき請求項4の発明の如く制御装置が、熱媒体循環装置により、利用側伝熱器を出た熱媒体の一部を分流し、第1の利用側熱交換器に流した後、第2の利用側熱交換器を出た熱媒体に合流させる第3の運転モードを有することとすれば、第2の利用側熱交換器で冷房しながら、第1の利用側熱交換器で暖房を行う所謂除湿運転を実現することが可能となる。
【0025】
また、請求項5の発明の如く冷凍サイクル装置が、第1の圧縮機及び第1の放熱器と、膨張機構と、蒸発器と、第1の圧縮機及び第1の放熱器に対して二元接続の高元側、若しくは、二段接続の後段側の関係で設けられた第2の圧縮機及び第2の放熱器を含む冷媒回路を有することとし、第1の放熱器と熱交換関係に設けられた第1の利用側伝熱器と、第2の放熱器と熱交換関係に設けられた第2の利用側伝熱器を設け、制御装置が熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、利用側熱交換器と第1及び第2の利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、第1の利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することとすれば、請求項10の発明の如く冷凍サイクル装置の冷媒として自然冷媒である二酸化炭素を用い、冷凍サイクル装置の冷媒回路の高圧側を超臨界圧力以上で使う場合に、特に有効なものとなる。
【0026】
これは、請求項6の発明の如く給湯を行うための第3の利用側熱交換器を設け、制御装置が、熱媒体循環装置により、地中熱採熱管と地中熱伝熱器との間で熱媒体を循環させると共に、第1の利用側熱交換器及び第3の利用側熱交換器と第1及び第2の利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第1の運転モードと、熱媒体循環装置によって地中熱採熱管、地中熱伝熱器、第2の利用側熱交換器、及び、第2の利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させ、且つ、第3の利用側熱交換器と第1の利用側伝熱器との間で熱媒体を循環させる第2の運転モードを有することとした場合にも同様である。そして、この場合には第2の利用側熱交換器において冷房を行いながら、第3の利用側熱交換器において給湯も行うことが可能となる。
【0027】
また、請求項7の発明の如く蒸発器を流れる冷媒と地中熱伝熱器を流れる熱媒体は対向流となり、放熱器を流れる冷媒と利用側伝熱器を流れる熱媒体
、又は、第1の放熱器を流れる冷媒と第1の利用側伝熱器を流れる熱媒体、又は、第2の放熱器を流れる冷媒と第2の利用側伝熱器を流れる熱媒体は対向流となるようにすれば、蒸発器
や、放熱器、第1の放熱器、又は、第2の放熱器の入口、出口における冷媒の温度差を大きくとり、冷凍能力と運転効率のより一層の改善を図ることが可能となる。
【0028】
また、請求項8の発明の如く、制御装置が、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる状態
における被空調空間の冷房負荷、温度、湿度、外気の温度、湿度のうちの一つ、若しくは、それらの組み合わせ、又は、第2の運転モードにおける被空調空間の冷房負荷、温度、湿度、外気の温度、湿度のうちの一つ、若しくは、それらの組み合わせに基づき、冷凍サイクル装置の運転を制御するようにすれば、季節や環境に応じて冷凍サイクル装置を適切に運転し、効率のよいヒートポンプ運転を実現することが可能となる。
【0029】
この場合、特に請求項9の発明の如く制御装置が、地中熱採熱管、地中熱伝熱器、利用側熱交換器、及び、利用側伝熱器の順で熱媒体を循環させる状態
において、又は、第2の運転モードにおいて
、冷凍サイクル装置を停止する制御状態を有するようにすれば、冷凍サイクル装置の運転が不要な、例えば春季や秋季には冷凍サイクル装置を停止して地中熱のみによる冷房や暖房を実現することも可能となるものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1、
図2、
図4は本発明の一実施例の地中熱利用ヒートポンプ装置1の構成図を示し、
図3は制御例のフローチャートを示している。各図において地中熱利用ヒートポンプ装置1は、冷凍サイクル装置2と、地中熱採熱装置3と、これらを制御する制御装置4とから構成されている。
【0033】
冷凍サイクル装置2は、圧縮機6と、放熱器(ガスクーラ)7と、膨張機構(電子膨張弁)8と、蒸発器9を配管11にて順次環状に接続した冷媒回路10を備えている。そして、この冷媒回路10内には冷媒として実施例では二酸化炭素が封入されている。
【0034】
また、地中熱採熱装置3は、地中に埋設された地中熱採熱管12と、蒸発器9と熱交換関係に設けられた地中熱伝熱器13と、循環ポンプ14と、三方弁(流路制御手段)16と、家屋の室内等の被空調空間に設けられて空調を行うための利用側熱交換器17と、放熱器7と熱交換関係に設けられた利用側伝熱器18と、三方弁(流路制御手段)19と、もう一つの循環ポンプ21を備えており、地中熱採熱管12と、地中熱伝熱器13と、循環ポンプ14と、三方弁16の第2の出口16Bが配管22にて環状に接続され、利用側熱交換器17と、利用側伝熱器18と、三方弁19の第2の出口19Bと、循環ポンプ21が配管23にて環状に接続されている。
【0035】
更に、循環ポンプ21と利用側熱交換器17との間の配管23と三方弁16の第1の出口16Aとはバイパス管24にて接続され、三方弁16の第2の出口16Bと地中熱採熱管12との間の配管22と三方弁19の第1の出口19Aとはもう一つのバイパス管26にて接続されている。そして、これら循環ポンプ14、21、三方弁16、19、配管22、23、バイパス管24、26により本発明における熱媒体循環装置27が構成されている。そして、この地中熱採熱装置3内には、熱媒体として実施例では水、若しくは、ブラインが封入されている。
【0036】
また、制御装置4は汎用のマイクロコンピュータにて構成されており、その出力に圧縮機6や膨張機構8、各循環ポンプ14、21、三方弁16、19が接続されている。また、制御装置4の入力には、圧縮機6の吐出温度(吐出冷媒温度)を検出する吐出温度センサ28と、被空調空間である室内の温度(室内温度)を検出する室内温度センサ29と、外気温度を検出する外気温度センサ30と、利用側熱交換器17の熱媒体入口温度を検出する熱媒体入口温度センサ31が接続されている。制御装置4はこれら各センサ28〜31が検出する各温度と、指令入力(モード切換、室内設定温度等)に基づき、圧縮機6及び循環ポンプ14、21の回転数と、膨張機構8の開度を制御し、各三方弁16、19を切り換える。
【0037】
以上の構成で、次に本発明の地中熱利用ヒートポンプ装置1の動作を説明する。先ず、
図3のフローチャートを参照しながら地中熱利用ヒートポンプ装置1の冷房運転(第2の運転モード)について説明する。例えば、春季から夏季の季節に図示しないモード切換スイッチによる指令入力で冷房運転(第2の運転モード)が開始されると、制御装置4は三方弁16、19を制御し、それぞれの第1の出口16A、19Aを開く。また、
図3のステップS1で外気温度センサ30又は室内温度センサ29が検出する外気温度又は室内温度を検知し、被空調空間としての室内設定温度との差(温度差)を算出する。
【0038】
そして、制御装置4はステップS2で算出された差(温度差)が10℃以上か否か判断する。今は例えば夏季で差(温度差)が10℃以上であった場合には、制御装置4は室内の冷房負荷が大なるものと判断してステップS3に進む。このステップS3では冷凍サイクル装置2の圧縮機6を運転する冷房運転(HP運転での冷房)を行うものとし、ステップS4で前記差(温度差)により圧縮機6の回転数と吐出温度を設定する。即ち、差(温度差)が大きく、冷房負荷がより大きい場合には圧縮機6の回転数を高くし、設定吐出温度も高くして冷凍サイクル装置2の冷凍能力を増大させる。逆に差(温度差)が10℃以上ではあるが、比較的小さい場合には回転数及び設定吐出温度を低くして冷凍サイクル装置2の冷凍能力を削減する。また、制御装置4はステップS5で吐出温度センサ28が検出する圧縮機6の吐出温度が前記設定吐出温度となるように膨張機構8の弁開度を制御する。
【0039】
更に、制御装置4はステップS6で前記差(温度差)により目標熱媒体入口温度を設定し、熱媒体入口温度センサ31が検出する利用側熱交換器17の熱媒体入口温度がこの目標熱媒体入口温度になるように循環ポンプ14の回転数を制御する(循環ポンプ21は停止)。即ち、熱媒体入口温度センサ31が検出する利用側熱交換器17に流入する熱媒体の温度(熱媒体入口温度)が目標熱媒体入口温度より高く、その差が大きい場合には循環ポンプ14の回転数を低下させる。
【0040】
冷凍サイクル装置2の圧縮機6が運転されると、圧縮機6から吐出された超臨界状態の二酸化炭素冷媒は放熱器7に流入し、そこで放熱して膨張機構8に至り、液/ガス混合状態となって蒸発器9に流入する。そこで、冷媒は蒸発して吸熱作用を発揮し、圧縮機6に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0041】
一方、地中熱採熱装置3の循環ポンプ14が運転されると、地中熱採熱管12で例えば15℃程の温度の地中に放熱し(即ち、地中で冷却され)、40℃であったものが20℃程に温度が低下した熱媒体は地中熱採熱管12から吸引され、配管22を通って地中熱伝熱器13に流入する。ここで、冷凍サイクル装置2の蒸発器9に放熱(蒸発器9は吸熱)して更に冷却され、7℃程となり、循環ポンプ14及び三方弁16を経てバイパス管24を通り、利用側熱交換器17に流入する。
【0042】
利用側熱交換器17には図示しない送風機により室内空気が循環されるので、利用側熱交換器17に流入した熱媒体は室内空気から吸熱して12℃程に温度上昇する。一方、室内空気は熱媒体により冷却されるので、室内(被空調空間)は冷房される。利用側熱交換器17から出た熱媒体は次に利用側伝熱器18に入る。冷凍サイクル装置2の放熱器7には70℃程の冷媒が流入するので、利用側伝熱器18を通過する熱媒体は吸熱し、放熱器7を通過する冷媒は冷却される。そして、冷媒は15℃程にまで冷却されて放熱器7から流出し膨張機構8に向かう。熱媒体は40℃程に温度上昇して三方弁19及びバイパス管26を通り、地中熱採熱管12に戻る。地中熱採熱管12では熱媒体が再度地中(15℃程)に放熱し、地中熱伝熱器13に向かう循環を繰り返す。
【0043】
このように地中熱採熱装置3の地中熱採熱管12で地中に放熱した熱媒体は、地中熱伝熱器13に流入して冷凍サイクル装置2の蒸発器9と熱交換し、当該蒸発器9によって更に冷やされた後、利用側熱交換器17に流入するので、利用側熱交換器17による冷房性能を向上させることができるようになる。そして、利用側熱交換器17を出た熱媒体は次に利用側伝熱器18に流入し、冷凍サイクル装置2の放熱器7と熱交換して温度が上昇した後、再び地中熱採熱管12に戻るので、地中での熱交換効率も良好となる。
【0044】
一方、冷凍サイクル装置2の冷媒は放熱器7にて利用側伝熱器18を流れる熱媒体に対して放熱し、その後、膨張機構8で絞られ、蒸発器9に流入して地中熱伝熱器9を流れる熱媒体から吸熱する循環を繰り返すので、冷凍サイクル装置2の運転効率も良好となる。これらにより、地中熱利用ヒートポンプ装置1は極めて性能のよい冷房運転を高効率で実現することが可能となる。
【0045】
一方、今は春季で外気温度又は室内温度と室内設定温度との差(温度差)が10℃未満の場合、制御装置4は冷房負荷が小さいものと判断してステップS2からステップS7に進む。このステップS7では
図4に示すように冷凍サイクル装置2の圧縮機6を停止して地中熱のみで冷房する冷房運転(地中冷熱での冷房)を行うものとし、ステップS8で前記差(温度差)により循環ポンプ14の回転数を決定して制御する(循環ポンプ21は停止)。即ち、10℃未満ではあるが差(温度差)が比較的大きい場合には循環ポンプ14の回転数を高くし、小さい場合には回転数を低くする。
【0046】
この場合には、冷凍サイクル装置2は停止しているので、循環ポンプ14の運転により地中熱採熱管12で冷えた熱媒体が利用側熱交換器17に循環され、その吸熱作用で室内は冷房されることになる。即ち、地中熱のみで冷房されることになるので、冷凍サイクル装置2の消費電力は零となり、著しく省エネ化した冷房が実現される。
【0047】
次に、秋季や冬季に前述したモード切換スイッチによる指令入力で暖房運転(第1の運転モード)が開始されると、制御装置4は三方弁16、19を制御し、
図2に示すようにそれぞれの第2の出口16B、19Bを開く。そして、圧縮機6及び各循環ポンプ14、21を運転する。冷凍サイクル装置2の圧縮機6が運転されると、前述同様に圧縮機6から吐出された超臨界状態の二酸化炭素冷媒は放熱器7に流入し、そこで放熱して膨張機構8に至り、液/ガス混合状態となって蒸発器9に流入する。そこで、冷媒は蒸発して吸熱作用を発揮し、圧縮機6に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0048】
一方、地中熱採熱装置3の循環ポンプ14が運転されると、地中熱採熱管12で例えば15℃程の温度の地中から吸熱し(即ち、地中で温められ)、10℃程に温度が上昇した熱媒体は地中熱採熱管12から吸引され、配管22を通って地中熱伝熱器13に流入する。ここで、冷凍サイクル装置2の蒸発器9に放熱(蒸発器9内の冷媒は吸熱し、5℃程から8℃程になる)して冷却され、7℃程となり、循環ポンプ14及び三方弁16を経て地中熱採熱管12に戻り、再び吸熱する循環を繰り返す。
【0049】
また、循環ポンプ21が運転されると、利用側伝熱器18内で放熱器7内を流れる冷媒(80℃程)から吸熱して50℃程に温度上昇した熱媒体は(冷媒は45℃程まで冷える)、配管23を通って利用側熱交換器17に入り、そこで放熱して40℃程となった後、再び利用側伝熱器18に流入する循環を繰り返す。利用側熱交換器17には図示しない送風機により室内空気が循環されるので、室内空気は利用側熱交換器17内の熱媒体により加熱され、これにより、室内(被空調空間)は暖房される。
【0050】
このように、暖房運転では地中熱採熱管12で地中から吸い上げた熱を熱媒体により地中熱伝熱器13に搬送し、冷凍サイクル装置2の蒸発器9に受け渡すと共に、この熱を更に冷凍サイクル装置2の放熱器7に冷媒を介して搬送し、利用側伝熱器18を流れる熱媒体に吸い上げさせる。これにより、地中熱を利用した極めて性能のよい暖房運転を高効率で実現することが可能となる。
【0051】
尚、この暖房運転においても前述同様に制御装置4により外気温度或いは室内温度と室内設定温度との差(温度差)に基づいて圧縮機6と循環ポンプ14、21が制御される。そして、秋季等に同様に差(温度差)が小さくなった場合、暖房負荷が小さいものと判断して冷凍サイクル装置2を停止し、各三方弁16、19を
図4の状態に切り換える。従って、このときには地中熱のみを利用した暖房が行われることになり、特に寒冷地における秋季に省エネ効果を発揮する。
【0052】
また、実施例では上記各運転状態において、冷凍サイクル装置2の蒸発器9を流れる冷媒と地中熱採熱装置3の地中熱伝熱器13を流れる熱媒体は対向流となり、放熱器7を流れる冷媒と利用側伝熱器18を流れる熱媒体は対向流となる(以下の各実施例においても同じ)。これにより、蒸発器9或いは放熱器7の入口、出口における冷媒の温度差を大きくとり、冷凍能力と運転効率をより一層の改善することができるようになる。
【0053】
尚、上記実施例ではモード切換スイッチで冷房と暖房を切り換えるようにしたが、それに限らず、オートモードを設定し、外気温度等に応じて自動的に上記冷房運転(春季は地中熱採熱装置3による地中熱のみの冷房、夏季には冷凍サイクル装置2と地中熱採熱装置3による冷房)と暖房運転(秋季は地中熱採熱装置3による地中熱のみの暖房、冬季には冷凍サイクル装置2と地中熱採熱装置3による暖房)が実行されるようにしてもよい。
【実施例2】
【0054】
次に、
図5、
図6は前記
図1の地中熱利用ヒートポンプ装置1の制御装置4による他の制御例を示している。この実施例の場合は、
図5の構成図に示すように、前記
図1の場合に加えて利用側熱交換器17の熱媒体出口温度を検出する熱媒体出口温度センサ32が設けられ、制御装置4の入力に接続されている。そして、この場合制御装置4は、外気温度又は室内温度と室内設定温度との差、及び、熱媒体出入口温度差により冷房負荷を予測して制御する。
【0055】
即ち、制御装置4は冷房運転(第2の運転モード)が開始されると、
図6のフローチャートのステップS9で外気温度又は室内温度を検知し、室内設定温度との差ΔTを算出する。そして、ステップS10で差ΔTにより圧縮機6の回転数と吐出温度を所定の初期値に設定して運転を開始する。所定時間後、ステップS11で再度差ΔTを算出し、ステップS12で熱媒体入口温度と、熱媒体出口温度センサ32が検出する熱媒体出口温度との差Δtを検知する。
【0056】
そして、ステップS13で差ΔTと差Δtに基づいて圧縮機6のON、OFFを設定する。即ち、差ΔT及び差Δtがそれぞれの所定の閾値以上の場合(冷房負荷大)にはONに設定し、ステップS14に進み、閾値未満の場合(冷房負荷小)にはOFFに設定してステップS18に進む。ステップS14では冷凍サイクル装置2の圧縮機6を運転する冷房運転(HP運転での冷房)を行うものとし、ステップS15で差ΔTと差Δtにより圧縮機6の回転数と吐出温度を設定する。即ち、例えば室内設定温度より室内温度が高く、利用側熱交換器17での熱交換も活発に行われて熱媒体入口と出口の温度差が大きい場合(差ΔT及び差Δtが大きい)、冷房負荷がより大きいので圧縮機6の回転数を高くし、設定吐出温度も高くして冷凍サイクル装置2の冷凍能力を増大させる。逆に差ΔT及び差Δtが閾値以上ではあるが、比較的小さい場合には回転数及び設定吐出温度を低くして冷凍サイクル装置2の冷凍能力を削減する。また、制御装置4はステップS16で吐出温度センサ28が検出する圧縮機6の吐出温度が前記設定吐出温度となるように膨張機構8の弁開度を制御する。
【0057】
更に、制御装置4はステップS17で前記差ΔT及びΔtにより目標熱媒体入口温度を設定し、熱媒体入口温度センサ31が検出する利用側熱交換器17の熱媒体入口温度がこの目標熱媒体入口温度になるように循環ポンプ14の回転数を制御する(循環ポンプ21は停止)。即ち、熱媒体入口温度センサ31が検出する利用側熱交換器17に流入する熱媒体の温度(熱媒体入口温度)が目標熱媒体入口温度より高く、その差が大きい場合には循環ポンプ14の回転数を低下させる。
【0058】
一方、今は春季で差ΔT及び差Δtがそれぞれの所定の閾値未満の場合、制御装置4は冷房負荷が小さいものと判断してステップS13で圧縮機6をOFFに設定してステップS18に進む。このステップS18では
図4に示すように冷凍サイクル装置2の圧縮機6を停止して地中熱のみで冷房する冷房運転(地中冷熱での冷房)を行うものとし、ステップS19で前記差ΔT及び差Δtにより循環ポンプ14の回転数を決定して制御する(循環ポンプ21は停止)。即ち、閾値未満ではあるが差ΔT及び差Δtが比較的大きい場合には循環ポンプ14の回転数を高くし、小さい場合には回転数を低くする。
【0059】
このように、前記実施例1の外気温度又は室内温度と室内設定温度との差ΔTに、利用側熱交換器17の熱媒体出入口温度差(Δt)を加味して冷房負荷を判断することにより、より正確に冷房負荷を予測して圧縮機6や膨張機構8、循環ポンプ14の制御を行うことができるようになる。
【実施例3】
【0060】
次に、
図7、
図8は前記
図1の地中熱利用ヒートポンプ装置1の制御装置4による更に他の制御例を示している。この実施例の場合は、
図7の構成図に示すように、前記
図5(実施例2)の場合に加えて放熱器7の出口温度を検出する放熱器出口温度センサ33が設けられ、制御装置4の入力に接続されている。そして、この場合制御装置4は、外気温度又は室内温度と室内設定温度との差、及び、熱媒体出入口温度差により冷房負荷を予測すると共に、冷凍サイクル装置2の放熱器7の出口温度も考慮して制御する。
【0061】
即ち、制御装置4は冷房運転(第2の運転モード)が開始されると、
図8のフローチャートのステップS20で外気温度又は室内温度を検知し、室内設定温度との差ΔTを算出する。そして、ステップS21で差ΔTにより圧縮機6の回転数と吐出温度を所定の初期値に設定して運転を開始する。所定時間後、ステップS22で再度差ΔTを算出し、ステップS23で熱媒体入口温度と熱媒体出口温度との差Δtを検知する。
【0062】
そして、ステップS24で差ΔTと差Δtに基づいて圧縮機6のON、OFFを設定する。即ち、差ΔT及び差Δtがそれぞれの所定の閾値以上の場合(冷房負荷大)にはONに設定し、ステップS25に進み、閾値未満の場合(冷房負荷小)にはOFFに設定してステップS29に進む。ステップS25では冷凍サイクル装置2の圧縮機6を運転する冷房運転(HP運転での冷房)を行うものとし、ステップS26で差ΔTと差Δtにより圧縮機6の回転数と吐出温度、及び、放熱器出口温度を設定する。即ち、例えば室内設定温度より室内温度が高く、利用側熱交換器17と空気との熱交換も活発に行われて熱媒体入口と出口の温度差が大きい場合(差ΔT及び差Δtが大きい)、冷房負荷がより大きいので圧縮機6の回転数を高くし、設定吐出温度も高くして冷凍サイクル装置2の冷凍能力を増大させる。また、設定放熱器出口温度も高くして効率の低下を抑制する。逆に差ΔT及び差Δtが閾値以上ではあるが、比較的小さい場合には回転数及び設定吐出温度を低くして冷凍サイクル装置2の冷凍能力を削減する。また、設定放熱器出口温度も低くする。更に、制御装置4はステップS27で吐出温度センサ28が検出する圧縮機6の吐出温度、及び、放熱器出口温度センサ33が前記設定吐出温度、及び、設定放熱器出口温度となるように膨張機構8の弁開度を制御する。
【0063】
更に、制御装置4はステップS28で前記差ΔT及びΔtにより目標熱媒体入口温度を設定し、熱媒体入口温度センサ31が検出する利用側熱交換器17の熱媒体入口温度がこの目標熱媒体入口温度になるように循環ポンプ14の回転数を制御する(循環ポンプ21は停止)。即ち、熱媒体入口温度センサ31が検出する利用側熱交換器17に流入する熱媒体の温度(熱媒体入口温度)が目標熱媒体入口温度より高く、その差が大きい場合には循環ポンプ14の回転数を低下させる。
【0064】
一方、今は春季で差ΔT及び差Δtがそれぞれの所定の閾値未満の場合、制御装置4は冷房負荷が小さいものと判断してステップS24で圧縮機6をOFFに設定してステップS29に進む。このステップS29では
図4に示すように冷凍サイクル装置2の圧縮機6を停止して地中熱のみで冷房する冷房運転(地中冷熱での冷房)を行うものとし、ステップS30で前記差ΔT及び差Δtにより循環ポンプ14の回転数を決定して制御する(循環ポンプ21は停止)。即ち、閾値未満ではあるが差ΔT及び差Δtが比較的大きい場合には循環ポンプ14の回転数を高くし、小さい場合には回転数を低くする。
【0065】
このように、前記実施例2の外気温度又は室内温度と室内設定温度との差ΔT、及び、利用側熱交換器17の熱媒体出入口温度差(Δt)で冷房負荷を判断することに加えて、放熱器出口温度も考慮して膨張機構8の弁開度を制御することで、冷凍サイクル装置2の効率を向上させることができるようになる。
【実施例4】
【0066】
尚、
図9は
図1の地中熱利用ヒートポンプ装置1の他の構成例を示している(実施例4)。尚、
図1中と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この場合、循環ポンプ14は利用側熱交換器17と利用側伝熱器18の間の配管23に設けられ、循環ポンプ21は三方弁16の第2の出口16B下流側の配管22に設けられている。制御は
図1の場合と同様である、このような循環ポンプの配置としても本発明は有効である。
【実施例5】
【0067】
次に、
図10、
図11は本発明の更に他の実施例の地中熱利用ヒートポンプ装置1の構成を示している。尚、
図1、
図2中と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この場合、バイパス管24は循環ポンプ21と利用側熱交換器17との間の配管23と三方弁16の第1の出口16Aの間では無く、利用側熱交換器(第1の利用側熱交換器)17と利用側伝熱器18との間の配管23と三方弁16の第1の出口16Aの間に接続され、更にこのバイパス管24には第2の利用側熱交換器34が設けられている。従って、利用側熱交換器17は第1の利用側熱交換器となる。そして、第2の利用側熱交換器34は例えば第1の利用側熱交換器17の空気流入側に設けられる。
【0068】
これにより、暖房運転(第1の運転モード)時は
図2と同様であるが、冷房運転(第2の運転モード)時に地中熱採熱装置3の循環ポンプ14が運転されると、地中熱採熱管12で例えば15℃程の温度の地中に放熱し(即ち、地中で冷却され)、20℃程に温度が低下した熱媒体は地中熱採熱管12から吸引され、配管22を通って地中熱伝熱器13に流入し、ここで、冷凍サイクル装置2の蒸発器9に放熱(蒸発器9は吸熱)して更に冷却され、7℃程となり、循環ポンプ14及び三方弁16を経てバイパス管24を通り、第2の利用側熱交換器34に流入するようになる。
【0069】
前述した如く第2の利用側熱交換器34にも図示しない送風機により室内空気が循環されるので、第2の利用側熱交換器34に流入した熱媒体は室内空気から吸熱して12℃程に温度上昇する。一方、室内空気は熱媒体により冷却されるので、室内(被空調空間)は冷房される。利用側熱交換器17から出た熱媒体は次に利用側伝熱器18に入る。冷凍サイクル装置2の放熱器7には70℃程の冷媒が流入するので、利用側伝熱器18を通過する熱媒体は吸熱し、放熱器7を通過する冷媒は冷却される。そして、冷媒は15℃程にまで冷却されて放熱器7から流出し膨張機構8に向かう。熱媒体は40℃程に温度上昇して三方弁19及びバイパス管26を通り、地中熱採熱管12に戻る。地中熱採熱管12では熱媒体が再度地中(15℃程)に放熱し、地中熱伝熱器13に向かう循環を繰り返すようになる。
【0070】
即ち、この実施例5の場合には、冷房は第2の利用側熱交換器34で、暖房は第1の利用側熱交換器17でそれぞれ別々に行われるようになる。そこで、
図10の冷房運転状態において、例えば制御装置4により三方弁19の第2の出口19Bも少許開くことで(第1の出口19Aと第2の出口19Bを選択的に開放するデューティー制御、若しくは、第1の出口19Aの開度はそのままで、第2の出口19Bも少許開く等)、利用側伝熱器18を出た熱媒体の一部を三方弁19にて分流し、第1の利用側熱交換器17に流した後、第2の利用側熱交換器34を出た熱媒体に合流させるようにしてもよい。
【0071】
利用側伝熱器18を出た熱媒体の温度は前述したように40℃程に上昇しているので、このような制御を行うことで、室内空気は第2の利用側熱交換器34で冷却された後、第1の利用側熱交換器17で加温されるようになる。即ち、第2の利用側熱交換器34で空気中の湿気を除去した後、第1の利用側熱交換器17で温度を上げてから室内に吹き出すことができるようになるので、除湿運転が実現される(第3の運転モード)。この除湿運転も制御装置4への図示しないモード切換スイッチによる指令入力により行うものとする。
【実施例6】
【0072】
次に、
図12、
図13は本発明の更に他の実施例の地中熱利用ヒートポンプ装置1の構成を示している。尚、
図1、
図2中と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この場合、冷凍サイクル装置2は、放熱器7の下流側で膨張機構8との間の冷媒回路10中にもう一つの放熱器(第3の放熱器)36を備えている。また、冷媒回路10に対して高元側となるもう一つの第2の冷媒回路37を備えている。従って、冷媒回路10はこの場合第1の冷媒回路となる。第2の冷媒回路37は第2の圧縮機38と、第2の放熱器39と、第2の膨張機構41と、第2の蒸発器42を順次環状に配管接続して構成されている。従って、この場合圧縮機6は第1の圧縮機、放熱器7は第1の放熱器、膨張機構8は第1の膨張機構、蒸発器9は第1の蒸発器となる。そして、第1の冷媒回路10の放熱器36と第2の冷媒回路37の第2の蒸発器42とがカスケード接続され、これにより両冷媒回路10、37は、第2の冷媒回路37が二元接続の高元側、第1の冷媒回路10が二元接続の低元側となる二元冷凍装置を構成している。
【0073】
そして、利用側熱交換器17の出口側の配管23には三方弁43が設けられ、この三方弁43の第1の出口43Aが利用側伝熱器18に配管23で接続されている。更に、この三方弁43の第2の出口43Bは配管44を介して第2の放熱器39と熱交換関係に設けられた第2の利用側伝熱器46の入口に接続されている。従って、この場合利用側伝熱器18は第1の利用側伝熱器となる。第2の利用側伝熱器46の出口には三方弁47が接続され、この三方弁47の第1の出口47Aは配管48を介して給湯用熱交換器49に接続され、この給湯用熱交換器49の出口はこれも配管48により循環ポンプ51の入口に接続され、循環ポンプ51の出口は配管48により第2の利用側伝熱器46の入口に接続されている。また、三方弁47の第2の出口47Bは配管52により三方弁19の入口に接続されている。給湯用熱交換器49は図示しない貯湯タンク内の水を加熱する。そして、この配管52中にも同様の熱媒体が封入されるので、この場合の熱媒体循環装置27は、循環ポンプ14、21、51、三方弁16、19、43、47、配管22、23、44、48、52、バイパス管24、26により構成される。また、この場合も前述同様の制御装置4が設けられ、冷凍サイクル装置2及び熱媒体循環装置27を制御する。
【0074】
以上の構成で、次にこの実施例の地中熱利用ヒートポンプ装置1の動作を説明する。先ず、冷房運転(第2の運転モード)について説明する。同様に春季から夏季の季節に図示しないモード切換スイッチによる指令入力で冷房運転(第2の運転モード)が開始されると、制御装置4は
図12の如く三方弁16、19、43、47を制御し、それぞれの第1の出口16A、19A、43A、47Aを開く。そして、第1の圧縮機6及び第2の圧縮機38を運転し、循環ポンプ14、51を運転する(循環ポンプ21は停止)。
【0075】
冷凍サイクル装置2の第2の圧縮機38が運転されると、第2の圧縮機38から吐出された高温高圧の冷媒が第2の放熱器39に流入し、そこで放熱して第2の膨張機構41に至り、減圧されて第2の蒸発器42に流入する。そこで、冷媒は蒸発して吸熱作用を発揮し、第2の圧縮機38に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0076】
一方、第1の圧縮機6が運転されると、第1の圧縮機6から吐出された超臨界状態の二酸化炭素冷媒は第1の放熱器7、更に、次段の放熱器36に順次流入し、それらで放熱して第1の膨張機構8に至り、液/ガス混合状態となって第1の蒸発器9に流入する。そこで、冷媒は蒸発して吸熱作用を発揮し、第1の圧縮機6に吸い込まれる循環を繰り返す。このとき、冷媒回路10の放熱器36と冷媒回路37の第2の蒸発器42はカスケード接続されているので、第1の膨張機構8に流入する二酸化炭素冷媒は過冷却されることになる。そして、第1の冷媒回路10の高圧と第2の冷媒回路37の高圧は、
図16のp−h線図に示すように、共に超臨界圧力でほぼ同等となるように第1及び第2の膨張機構8、41によって制御される。そのため、同じ温度域の熱媒体となり、第1及び第2の冷媒回路10、37の総合効率を向上させることができる。第2の冷媒回路37は、所定の冷媒封入量にすることにより、低圧が最適圧力になり、効率が向上する。
【0077】
一方、地中熱採熱装置3の循環ポンプ14が運転されると、地中熱採熱管12で例えば15℃程の温度の地中に放熱し(即ち、地中で冷却され)、20℃程に温度が低下した熱媒体は地中熱採熱管12から吸引され、配管22を通って地中熱伝熱器13に流入する。ここで、冷媒回路10の第1の蒸発器9に放熱(蒸発器9は吸熱)して更に冷却され、7℃程となり、循環ポンプ14及び三方弁16を経てバイパス管24を通り、利用側熱交換器17に流入する。
【0078】
利用側熱交換器17には図示しない送風機により室内空気が循環されるので、利用側熱交換器17に流入した熱媒体は室内空気から吸熱して12℃程に温度上昇する。一方、室内空気は熱媒体により冷却されるので、室内(被空調空間)は冷房される。利用側熱交換器17から出た熱媒体は次に三方弁43を経て第1の利用側伝熱器18に入る。冷媒回路10の第1の放熱器7には70℃程の冷媒が流入するので、第1の利用側伝熱器18を通過する熱媒体は吸熱し、第1の放熱器7を通過する冷媒は冷却される。そして、冷媒は15℃程にまで冷却されて第1の放熱器7から流出し、第1の膨張機構8に向かう。熱媒体は40℃程に温度上昇して三方弁19及びバイパス管26を通り、地中熱採熱管12に戻る。地中熱採熱管12では熱媒体が再度地中(15℃程)に放熱し、地中熱伝熱器13に向かう循環を繰り返す。
【0079】
この場合も、地中熱採熱装置3の地中熱採熱管12で地中に放熱した熱媒体は、地中熱伝熱器13に流入して冷媒回路10の第1の蒸発器9と熱交換し、当該蒸発器9によって更に冷やされた後、利用側熱交換器17に流入するので、利用側熱交換器17による冷房性能を向上させることができるようになる。そして、利用側熱交換器17を出た熱媒体は次に第1の利用側伝熱器18に流入し、冷媒回路10の第1の放熱器7と熱交換して温度が上昇した後、再び地中熱採熱管12に戻るので、地中での熱交換効率も良好となる。
【0080】
一方、冷媒回路10の冷媒は第1の放熱器7にて第1の利用側伝熱器18を流れる熱媒体に対して放熱すると共に、放熱器36で第2の蒸発器42に対して放熱し、その後、第1の膨張機構8で絞られ、第1の蒸発器9に流入して地中熱伝熱器9を流れる熱媒体から吸熱する循環を繰り返すので、冷媒回路10の運転効率も良好となる。
【0081】
また、循環ポンプ51が運転されると、第2の利用側伝熱器46で冷媒回路37の第2の放熱器39からの放熱で加熱された熱媒体は給湯用熱交換器49に流入し、そこで放熱した後、再度第2の利用側伝熱器46に戻る循環を繰り返すので、これにより、給湯用熱交換器49にて貯湯タンク内の水を加熱し、給湯を行うことが可能となる。これらにより、地中熱利用ヒートポンプ装置1は給湯を行いながら、極めて性能のよい冷房運転を高効率で実現することが可能となる。尚、この場合も給湯用熱交換器49を流れる熱媒体と第2の放熱器39を流れる冷媒は同様に対向流となる。
【0082】
次に、秋季や冬季に前述したモード切換スイッチによる指令入力で暖房運転(第1の運転モード)が開始されると、制御装置4は三方弁16、19を制御し、
図13に示すようにそれぞれの第2の出口16B、19Bを開く。また、三方弁43、及び、三方弁47については第1、第2の双方の出口43A、43B、及び、47A、47Bを開く。そして、第1の圧縮機6、第2の圧縮機38、及び、各循環ポンプ14、21、51を運転する。第1の冷媒回路10及び第2の冷媒回路37の動作については前述同様である。
【0083】
一方、地中熱採熱装置3の循環ポンプ14が運転されると、地中熱採熱管12で例えば15℃程の温度の地中から吸熱し(即ち、地中で温められ)、10℃程に温度が上昇した熱媒体は地中熱採熱管12から吸引され、配管22を通って地中熱伝熱器13に流入する。ここで、冷媒回路10の第1の蒸発器9に放熱(蒸発器9内の冷媒は吸熱し、5℃程から8℃程になる)して冷却され、7℃程となり、循環ポンプ14及び三方弁16を経て地中熱採熱管12に戻り、再び吸熱する循環を繰り返す。
【0084】
また、循環ポンプ21が運転されると、第1の利用側伝熱器18、第2の利用側伝熱器46内で第1の放熱器7、第2の放熱器39内を流れる冷媒から吸熱して温度上昇した熱媒体は、配管23、三方弁47、配管52を通って利用側熱交換器17に入り、そこで放熱した後、三方弁43を経て再び第1の利用側伝熱器18、第2の利用側伝熱器46に流入する循環を繰り返す。利用側熱交換器17には図示しない送風機により室内空気が循環されるので、室内空気は利用側熱交換器17内の熱媒体により加熱され、これにより、室内(被空調空間)は暖房される。
【0085】
また、循環ポンプ51が運転されると、第2の利用側伝熱器46で冷媒回路37の第2の放熱器39からの放熱で加熱された熱媒体は三方弁47を経て給湯用熱交換器49に流入し、そこで放熱した後、再度第2の利用側伝熱器46に戻る循環を繰り返すので、これにより、給湯用熱交換器49にて貯湯タンク内の水を加熱し、給湯を行うことが可能となる。これらにより、この場合の地中熱利用ヒートポンプ装置1は給湯を行いながら、極めて性能のよい暖房運転を高効率で実現することが可能となる。
【実施例7】
【0086】
次に、
図14、
図15は本発明の更に他の実施例の地中熱利用ヒートポンプ装置1の構成を示している。尚、
図12、
図13中と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この場合も、冷凍サイクル装置2は、放熱器7の下流側で膨張機構8との間の冷媒回路10中にもう一つの放熱器(第3の放熱器)36を備えている。また、冷媒回路10に対する高元側としてもう一つ、第2の冷媒回路37を備えている。従って、冷媒回路10はこの場合第1の冷媒回路となる。第2の冷媒回路37は第2の圧縮機38と、第2の放熱器39と、第2の膨張機構41と、第2の蒸発器42を順次環状に配管接続して構成されている。従って、この場合圧縮機6は第1の圧縮機、放熱器7は第1の放熱器、膨張機構8は第1の膨張機構、蒸発器9は第1の蒸発器となる。そして、第1の冷媒回路10の放熱器36と第2の冷媒回路37の第2の蒸発器42とがカスケード接続され、これにより両冷媒回路10、37は、第2の冷媒回路37が二元接続の高元側、第1の冷媒回路10が二元接続の低元側となる二元冷凍装置を構成している。
【0087】
また、バイパス管24は三方弁16の第1の出口16Aと第2の利用側伝熱器46の入口管を結んでおり、このバイパス24中には第2の利用側熱交換器53が設けられている。また、第2の利用側伝熱器46は同様に第2の冷媒回路37の第2の放熱器39と熱交換関係に設けられている。また、この第2の利用側伝熱器46の出口が配管61により三方弁19の入口に接続され、三方弁19の第1の出口19Aが地中熱採熱管12の入口にバイパス管26で接続されている。
【0088】
また、第1の利用側伝熱器18は同様に冷媒回路10の第1の放熱器7と熱交換関係に設けられているが、この第1の利用側伝熱器18の入口は配管62により三方弁54の第1の出口54Aに接続されている。また、三方弁54の第2の出口54Bは配管63におり第2の利用側伝熱器46の入口に接続されている。また、三方弁19の第2の出口19Bは配管64により循環ポンプ56の入口に接続され、第1の利用側伝熱器18の出口は配管66により配管64に接続されている。
【0089】
循環ポンプ56の出口は配管67により三方弁57の入口に接続され、三方弁57の第1の出口57Aは第3の利用側熱交換器68の入口に接続されている。また、三方弁57の第2の出口57Bは第1の利用側熱交換器58の入口に接続されている。これら利用側熱交換器68、58の出口は合流して配管69を介して三方弁54の入口に接続されている。
【0090】
そして、この場合の熱媒体循環装置27は、循環ポンプ14、56、三方弁16、19、54、57、配管22、61、62、63、64、66、67、69、バイパス管24、26等により構成される。また、この場合も前述同様の制御装置4が設けられ、冷凍サイクル装置2及び熱媒体循環装置27を制御する。尚、前記第3の利用側熱交換器68は給湯用熱交換器71と熱交換関係に設けられ、給湯用熱交換器71には循環ポンプ72により循環回路74を経て貯湯タンク73内の水が循環される。
【0091】
以上の構成で、次にこの実施例の地中熱利用ヒートポンプ装置1の動作を説明する。先ず、冷房運転(第2の運転モード)について説明する。同様に春季から夏季の季節に図示しないモード切換スイッチによる指令入力で冷房運転(第2の運転モード)が開始されると、制御装置4は
図14の如く三方弁16、19、54、57を制御し、それぞれの第1の出口16A、19A、54A、57Aを開く。そして、第1の圧縮機6及び第2の圧縮機38を運転し、循環ポンプ14、56、72を運転する。第1及び第2の冷媒回路10、37の動作は前述同様である。
【0092】
地中熱採熱装置3の循環ポンプ14が運転されると、地中熱採熱管12で例えば15℃程の温度の地中に放熱し(即ち、地中で冷却され)、20℃程に温度が低下した熱媒体は地中熱採熱管12から吸引され、配管22を通って地中熱伝熱器13に流入する。ここで、冷媒回路10の第1の蒸発器9に放熱(蒸発器9は吸熱)して更に冷却され、7℃程となり、循環ポンプ14及び三方弁16を経てバイパス管24を通り、第2の利用側熱交換器53に流入する。
【0093】
この第2の利用側熱交換器53にも図示しない送風機により室内空気が循環されるので、第2の利用側熱交換器53に流入した熱媒体は室内空気から吸熱して12℃程に温度上昇する。一方、室内空気は熱媒体により冷却されるので、室内(被空調空間)は冷房される。第2の利用側熱交換器53から出た熱媒体は次に第2の利用側伝熱器46に入る。冷媒回路37の第2の放熱器39には高温の冷媒が流入するので、第2の利用側伝熱器46を通過する熱媒体は吸熱し、第2の放熱器39を通過する冷媒は冷却される。尚、この場合も第2の利用側熱交換器46を流れる熱媒体と第2の放熱器39を流れる冷媒は対向流となる。そして、冷媒は第2の放熱器39から流出し、第2の膨張機構41に向かう。熱媒体は40℃程に温度上昇して三方弁19及びバイパス管26を通り、地中熱採熱管12に戻る。地中熱採熱管12では熱媒体が再度地中(15℃程)に放熱し、地中熱伝熱器13に向かう循環を繰り返す。
【0094】
この場合も、地中熱採熱装置3の地中熱採熱管12で地中に放熱した熱媒体は、地中熱伝熱器13に流入して冷媒回路10の第1の蒸発器9と熱交換し、当該蒸発器9によって更に冷やされた後、第2の利用側熱交換器53に流入するので、第2の利用側熱交換器53による冷房性能を向上させることができるようになる。そして、第2の利用側熱交換器53を出た熱媒体は次に第2の利用側伝熱器46に流入し、冷媒回路37の第2の放熱器39と熱交換して温度が上昇した後、再び地中熱採熱管12に戻るので、地中での熱交換効率も良好となる。
【0095】
一方、冷媒回路37の冷媒は第2の放熱器39にて第2の利用側伝熱器46を流れる熱媒体に対して放熱し、その後、第2の膨張機構41で絞られ、第2の蒸発器42に流入して放熱器36を流れる冷媒から吸熱する循環を繰り返すので、冷媒回路37、10の運転効率も良好となる。
【0096】
また、循環ポンプ56が運転されると、第1の利用側伝熱器18で冷媒回路10の第1の放熱器7からの放熱で加熱された熱媒体は、配管66、循環ポンプ56、配管67、三方弁57を経て第3の利用側熱交換器68に流入し、そこで放熱した後、配管69、三方弁54、配管62を経て再度第1の利用側伝熱器18に戻る循環を繰り返すので、これにより、給湯用熱交換器71に循環される貯湯タンク73内の水を加熱し、給湯を行うことが可能となる。これらにより、地中熱利用ヒートポンプ装置1は給湯を行いながら、極めて性能のよい冷房運転を高効率で実現することが可能となる。
【0097】
次に、秋季や冬季に前述したモード切換スイッチによる指令入力で暖房運転(第1の運転モード)が開始されると、制御装置4は三方弁16、19を制御し、
図15に示すようにそれぞれの第2の出口16B、19Bを開く。また、三方弁54、及び、三方弁57については第1、第2の双方の出口54A、54B、及び、57A、57Bを開く。そして、第1の圧縮機6、第2の圧縮機38、及び、各循環ポンプ14、56、72を運転する。第1の冷媒回路10及び第2の冷媒回路37の動作については前述同様である。
【0098】
一方、地中熱採熱装置3の循環ポンプ14が運転されると、地中熱採熱管12で例えば15℃程の温度の地中から吸熱し(即ち、地中で温められ)、10℃程に温度が上昇した熱媒体は地中熱採熱管12から吸引され、配管22を通って地中熱伝熱器13に流入する。ここで、第1の冷媒回路10の第1の蒸発器9に放熱(蒸発器9内の冷媒は吸熱し、5℃程から8℃程になる)して冷却され、7℃程となり、循環ポンプ14及び三方弁16を経て地中熱採熱管12に戻り、再び吸熱する循環を繰り返す。
【0099】
また、循環ポンプ56が運転されると、第1の利用側伝熱器18、第2の利用側伝熱器46内で第1の放熱器7、第2の放熱器39内を流れる冷媒から吸熱して温度上昇した熱媒体は、配管66、61、64、三方弁19、循環ポンプ56、配管67、三方弁57を通って第1の利用側熱交換器58又は第3の利用側熱交換器68に入り、それらで放熱した後、三方弁54、配管62、63を経て再び第1の利用側伝熱器18、第2の利用側伝熱器46に流入する循環を繰り返す。第1の利用側熱交換器58にも図示しない送風機により室内空気が循環されるので、室内空気は第1の利用側熱交換器58内の熱媒体により加熱され、これにより、室内(被空調空間)は暖房される。
【0100】
また、給湯用熱交換器71に循環される貯湯タンク73内の水も加熱し、給湯を行うことが可能となるので、これらにより、地中熱利用ヒートポンプ装置1は給湯を行いながら、極めて性能のよい暖房運転を高効率で実現することが可能となる。
【0101】
尚、上記各実施例では外気温度、室内温度と室内設定温度で冷凍サイクル装置2と地中熱採熱装置3を制御したが、それに限らず、外気温湿度や室内の湿度に基づき、或いは、温度に加えてそれらを加味して冷房負荷を判断し、制御装置4により制御するようにしてもよい。
【0102】
また、冷凍サイクル装置2を停止する運転状態は上記全ての実施例において有効であり、
図11,
図15の場合には、利用側熱交換器17、58は床暖房用等の熱交換器でもよい。更に、
図12〜
図5の場合、第1の冷媒回路10と第2の冷媒回路37から成る所謂二元冷凍装置で冷凍サイクル装置2を構成したが、それに限らず、冷媒回路10の第1の放熱器7の下流側を分流して、一方に第2の圧縮機38を組み込み、第2の放熱器39の出口を膨張機構8の入口で合流させても有効である。その場合には、第2の圧縮機38及び第2の放熱器39は、第1の圧縮機6及び第1の放熱器7の後段側となり、両者は所謂二段冷凍装置を構成することになる。
【0103】
更に、上記各実施例では暖房運転も行うことができる地中熱利用ヒートポンプ装置1で説明したが、それに限らず、請求項1の発明については冷房運転のみが可能な装置であっても有効である。