特許第5969272号(P5969272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969272
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】毛髪用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20160804BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20160804BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   A61K8/42
   A61K8/34
   A61K8/365
   A61Q5/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-130602(P2012-130602)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-253055(P2013-253055A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221797
【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】野澤 卓司
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−323491(JP,A)
【文献】 特開2011−046743(JP,A)
【文献】 特開2007−176924(JP,A)
【文献】 特開平05−271035(JP,A)
【文献】 特開2002−226327(JP,A)
【文献】 特開平09−071515(JP,A)
【文献】 特開2006−225307(JP,A)
【文献】 特開2007−169243(JP,A)
【文献】 特開2008−297262(JP,A)
【文献】 特開2009−120556(JP,A)
【文献】 特表2000−507976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表されるアミドアミン、
【化1】
(式中、RCOは直鎖又は分岐の炭素数16〜24の脂肪酸残基を表す。)
(B)下記一般式(2)で表される高級アルコール
OH (2)
(式中、Rは直鎖の割合が80重量%以上の炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基を表す。)
および(C)ヒドロキシ酸を含有する毛髪用組成物であって、
前記(A)成分全量中のベヘナミドプロピルジエチルアミンの割合が70重量%以上である、毛髪用組成物
【請求項2】
更に、(D)芳香族アルコールを含有する、請求項1に記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
(D)成分が、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールから選ばれる1種又は2種以上である請求項記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
更に、(E)シリコーン化合物を含有する請求項1〜のいずれかに記載の毛髪用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用組成物に関し、更に詳しくは、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時の滑らかさ、湿潤時の滑らかさ、柔軟性及び乾燥後の櫛通り性、まとまり感の付与に優れる毛髪用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪の汚れを除去する目的で、アニオン界面活性剤を主成分とするシャンプーで洗髪するが、シャンプーで洗髪すると毛髪の汚れのみならず、毛髪表面を保護している油分も同時に除去されてしまい、毛髪の柔軟性が失われ、艶のないくし通りの悪い髪となり、毛髪の損傷、枝毛、切れ毛が発生し易くなる。そこで、毛髪に柔軟性、平滑性等を付与する目的で、カチオン界面活性剤である第4級アンモニウム塩を主成分とするヘアリンス、ヘアトリートメント等の毛髪用組成物で処理するが、第4級アンモニウム塩を主成分とする毛髪用組成物を用いた場合、毛髪に対する柔軟性は優れているものの、滑り性、しっとり感が十分でない場合がある。そこで、乾燥後の滑り性を向上させるためにシリコーン油等を配合する方法も知られているが、シリコーン油等を配合する場合、配合量により系の安定性等に影響を及ぼすことがあり配合量の制約を受けることもある。
【0003】
一方、アミドアミン化合物を配合した毛髪用組成物も提案されており、特定のアミドアミン化合物と、特定の界面活性剤と、高級アルコールと、有機酸と水を配合し、人体に対して刺激性が少なく、経時安定性に優れ、毛髪に十分な滑らか感、しっとり感、柔軟性、櫛通り性を付与できる毛髪処理剤組成物(特許文献1、2)、特定のアミドアミンと、酸性アミノ酸を配合し、毛髪にはり、こし並びにつやを付与できる毛髪化粧料(特許文献3)、アミドアミン化合物と、高級脂肪酸又は高級アルコールと、有機酸と、特定のシリコーン化合物を配合し、十分な滑らかさ、しっとり感及び光沢を付与できる毛髪化粧料(特許文献4、5)、特定のアミドアミンと、特定の高級アルコールを配合し、増粘性(ゲル形成性)と経時安定性に優れ、毛髪に塗布してから洗い流す濯ぎ時に渡って、十分な滑らか感、しっとり感、また乾燥後に十分な滑らかさ、櫛通りの良さを付与できる毛髪化粧料(特許文献6)が提案されているが、これらの提案では、ダメージヘアに対して十分満足のいく塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時及び湿潤時の滑らかさは得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−271035号公報(1−9頁)
【特許文献2】特開平5−271036号公報(1−9頁)
【特許文献3】特開平9−71515号公報(1−10頁)
【特許文献4】特開平9−71516号公報(1−9頁)
【特許文献5】特開平9−71517号公報(1−11頁)
【特許文献6】特開2005−298447号公報(1−16頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時の滑らかさ、湿潤時の滑らかさ、柔軟性及び乾燥後の櫛通り性、まとまり感の付与に優れる毛髪用組成物を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
下記(A)一般式(1)で表されるアミドアミン、
【化1】
(式中、RCOは全脂肪酸残基中、炭素数22の脂肪酸残基の割合が60重量%以上である直鎖又は分岐の炭素数16〜24の脂肪酸残基を表す。)
(B)下記一般式(2)で表される高級アルコール
OH (2)
(式中、Rは直鎖の割合が80重量%以上の炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基を表す。)
および(C)有機酸を配合することにより、上記要件を満たす毛髪用組成物が得られることを見出し本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明によれば、(A)上記特定のアミドアミンと、(B)上記特定の高級アルコールと(C)有機酸を配合してなる毛髪用組成物が、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時の滑らかさ、湿潤時の滑らかさ、柔軟性及び乾燥後の櫛通り性、まとまり感を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の毛髪用組成物について詳述する。
(A)成分の脂肪酸残基RCOは全脂肪酸残基中、炭素数22の脂肪酸残基の割合が60重量%以上の直鎖又は分岐の炭素数16〜24の脂肪酸残基で、より好ましくは全脂肪酸残基中、炭素数22の脂肪酸残基の割合が70〜95重量%以上、特に好ましくは全脂肪酸残基中、炭素数22の脂肪酸残基の割合が80〜90重量%以上の直鎖の炭素数16〜24の脂肪酸残基である。
【0009】
本発明に使用される(A)成分のアミドアミン化合物の製造方法としては特に限定はないが、具体的な例としては、脂肪酸或いは脂肪酸低級アルキルエステルなどの誘導体とジエチルアミノプロピルアミン(ジアミン)とを縮合反応させ、その後、未反応のジアミンを、水洗或いは/及び減圧留去等により除き、アミドアミン化合物を得る。また、得られたアミドアミン化合物はそのまま本発明品の配合成分として用いることもできるが、減圧蒸留等で精製し用いることもできる。アミドアミン化合物は他の方法でも製造できるが製造方法としては特に限定はない。なお、脂肪酸としては、炭素数22の割合が60〜95重量%の日油社製「NAA−222S」、花王社製「ルナックBA」、ミヨシ油脂社製「ベヘニン酸85」等を使用することが出来る。
【0010】
アミドアミンの具体的合成方法としては、脂肪酸或いはその誘導体1モルに対して、0.9〜2.0モルのジエチルアミノプロピルアミン(ジアミン)を80〜220℃で滴下するなどの方法で添加し、反応が終了するまで同温で熟成する。反応が終了したら過剰のジアミンを同温で減圧留去しアミドアミンを得る。反応中は窒素等の不活性ガスを導入し、反応留出液を系外に速やかに留出させるのが好ましい。また脂肪酸誘導体を使用した場合は、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒を用いることにより、より速やかに反応を進行することが出来る。
【0011】
ここで用いるジエチルアミノプロピルアミンの反応モル比は1.0〜1.5モル、反応温度は150〜200℃がより好ましい。
【0012】
(A)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。(A)成分の配合量が少なすぎると湿潤時の滑り性に十分な効果が得られず、多すぎてもコンディショニング効果が向上せず好ましくない。
【0013】
本発明に使用される(B)成分の高級アルコールとしては、直鎖の割合が80重量%以上の直鎖又は分岐の炭素数12〜24のアルキル基、アルケニル基で、好ましくは直鎖の割合が90重量%以上の直鎖又は分岐の炭素数16〜22のアルキル基、アルケニル基で、より好ましくは直鎖の炭素数16〜22のアルキル基であり、具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好適に用いられる。本発明では、これらの高級アルコールの中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0014】
(B)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.1〜20重量%、特に3〜8重量%が好ましい。(B)成分の配合量が少なすぎると期待される粘度、滑り性が不十分となり、また多すぎても使用後の感触が悪くなり好ましくない。
【0015】
本発明に使用される(C)成分の有機酸としては、具体的には、酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸等が挙げられ、これらの中でも特に乳酸、グリコール酸、リンゴ酸が好適に用いられる。本発明では、これらの有機酸の中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0016】
本発明の毛髪用組成物に(C)成分を配合する場合、(A)成分と(C)成分を別々に配合しても良いし、アミドアミン化合物の酸塩をあらかじめ形成させてから配合しても良い。(C)成分の毛髪用組成物中の配合量は、(A)成分に対し、0.3〜10モル倍が好ましく、0.5〜5モル倍が更に好ましい。
【0017】
本発明の毛髪用組成物は、pHを調整することにより一部もしくは完全に塩の形に置換して使用されるが、pH2〜8が好ましく、特にpH3〜6が更に好ましい。
【0018】
本発明の毛髪用組成物には、更に(D)成分の芳香族アルコールを配合することができ、具体的には、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、クレゾール、p-クロロ−m−キシレノール、フェネチルアルコール、フェネチルプロピルアルコール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、ヒドロキシキノン、フェニルエチルアルコール、レゾルシノール、フェノールなどが挙げられ、これらの中で、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールが特に好適に用いられる。本発明ではこれらの芳香族アルコールの中から1種または2種以上を任意に用いることができる。
【0019】
(D)成分の毛髪用組成物中の配合量は、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜2重量%が特に好ましい。(D)成分の配合量が少なすぎると、毛髪に十分なコンディショニング効果、配合品の防腐効果が十分に得られず、多すぎても効果が向上せず好ましくない。
【0020】
本発明の毛髪用組成物には、更に(E)成分のシリコーン化合物を配合することができ、具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーンなどを含み、例えば以下の(a)〜(g)等が挙げられる。
【0021】
(a)ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が6〜100,000mPa・sである重合度ものが挙げられる。
(b)環状シリコーン:環状のメチルポリシロキサン構造を持つシリコーン油であり、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、環状シリコン樹脂等が挙げられる。
(c)高重合ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が50,000〜20,000,000mPa・sであるものが挙げられ、高重合ジメチルポリシロキサンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
(d)アミノ変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基を持つシリコーン油であり、アミノ変性シリコーンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。また水性乳濁液として用いる場合、該水性乳濁液中に含まれるアミノ変性シリコーンの量は20〜60%が好ましく、30〜50%が更に好ましい。また液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
(e)ポリエーテル変性シリコーン:ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。
(f)アルコール変性シリコーン:ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアルコキシ基に置き換えた構造を有し、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン等が挙げられる。
(g)アルキル変性シリコーン: ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を長鎖アルキル基に置き換えた構造を有し、アルキル基の置換率及び大きさにより、液体からワックス状の性状を有するものが挙げられる。
(h)アミノフェニル変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基とフェニル基を持つシリコーン油であり、アミノフェニル変性シリコーンを本発明の毛髪化粧料中に配合する場合、液状油に溶解して配合するか、更にカチオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤水溶液中で調製した水性乳濁液を配合することが好ましい。また液状油としてはジメチルポリシロキサンや、環状シリコーン又はイソパラフィン系炭化水素等を挙げることができる。
【0022】
これらシリコーン誘導体の中では、(a)ジメチルポリシロキサン、(c)高重合ジメチルポリシロキサン、(d)アミノ変性シリコーン及び(h)アミノフェニル変性シリコーンが特に好ましい。これらのシリコーン誘導体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
(E)シリコーン化合物の毛髪用組成物中配合量は、0.01〜25重量%、0.05〜3重量%が好ましい。(E)成分の配合量が少なすぎると、期待される効果が不十分となり、また多すぎても、安定性が悪くなり好ましくない。
【0024】
本発明は、以上の各成分を特定の配合組成で混合することによって製造される。その配合組成は、開発担当者が通常行っている配合試験によって決定することができる。
【0025】
本発明の毛髪用組成物には、さらに化粧料、医薬品などに通常使用される界面活性剤、保湿剤、薬効剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機および無機粉体、粘度調整剤、色素、パール化剤、溶剤、液晶形成剤、キレート剤、防腐剤、着色剤、香料などを必要に応じて配合することができる。また、発明の効果を損なわない範囲で固形油分、半固形油分を加えることができる。具体的には、化粧料などで通常使用されるものでよく、使用目的や要求機能などにより適宜選択され、例えば、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン等の炭化水素類、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、トリオクタン酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール、ツバキ油、オリーブ油、アボガド油、ホホバ油等の動植物油脂類、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ジアリルジメチルアンモニウム系高分子等の陽イオン変性水溶性高分子類、香料、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サンフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、落花生油等のトリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オレイル、テトラ2−エチルへキサン酸ペンタエリスリット、コハク酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル等のエステル油、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ剤などが挙げられる。
【0026】
本発明の毛髪用組成物は、毛髪に使用する任意の組成物に適用可能であり、シャンプー等の毛髪洗浄剤、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、スタイリング剤等の毛髪処理剤等が挙げられ、使用形態も毛髪に塗布し全体になじませた後すすぎ流すものや、洗い流さないもの等いずれも含まれるが、本発明の毛髪用組成物は塗布後すすぎ流して使用するヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメントに特に好適である。
【実施例】
【0027】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例1〜6及び比較例1〜8の毛髪用組成物を常法により調製し、効果の測定を実施し、結果を表1、2に示した。含有量は重量%である。
【0028】
本実施例中で用いた試験方法は下記の通りである。
【0029】
試験方法1(動摩擦係数測定:湿潤時及び乾燥後の滑らかさ)
<前処理>
市販のブリーチ毛髪(ビューラックス製10g×20cm)を束ねて、エタノールで油分を除去後、10%ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム溶液を用い40℃で洗浄、すすぎ後、乾燥(20℃、40%RH、一晩)し、毛髪を水で20倍希釈した毛髪用組成物の溶液に浸漬(40℃、10分間)、3分間40℃流水ですすぎ後、乾燥(20℃、40%RH、一晩)した毛髪を用い試験を行った。また湿潤時の評価は処理した毛髪を水に浸しタオルドライ後同様に測定した。
<動摩擦係数測定>
動摩擦係数測定は、NRF型摩擦係数計(レオロジー機器社製)を使用し、荷重20g、毎分5回転で測定を行い、20本の毛髪の平均値を求めた。また、動摩擦係数測定の結果は同時に測定したブランクからの減少率を以下で算出した。
なお、測定結果は数値が大きいほど滑らかさが良好であることを示す。
減少率=(B−S)/B×100
B:ブランク測定値
S:サンプル測定値
【0030】
試験方法2(官能評価)
市販のブリーチ毛髪(ビューラックス製10g×20cm)を束ねて、エタノールで油分を除去後、10%ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム溶液で洗浄後、毛髪用組成物(1g)を均一に塗布し、40℃の流水ですすぎ、タオルドライ後ドライヤーで乾燥した時の塗布時の伸び広がり易さ、すすぎ時のキシミ感のなさ、タオルドライ後(湿潤時)のキシミ感のなさ、並びに乾燥後のしっとり感、まとまり感を10名の専門パネラーにて、官能的に比較し、下記基準で評価した。
◎:良いと答えた人が9人以上の場合
○:良いと答えた人が6〜8人の場合
△:良いと答えた人が3〜5人の場合
×:良いと答えた人が2人以下の場合
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
実施例1〜6及び比較例1〜8より明らかなように、本発明の毛髪用組成物は、ダメージヘアに対しても塗布時、すすぎ時、湿潤時及び乾燥後の使用性で、いずれも優れた性能を示した。
【0034】
上記記載のごとく、本発明の毛髪用組成物は、ダメージヘアに対しても塗布時の良好な使用性(伸び広がり易さ)、すすぎ時の滑らかさ、湿潤時の滑らかさ、柔軟性及び乾燥後の櫛通り性、まとまり感を与えることは明らかである。