(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発電要素を内蔵するとともに一方が開口した扁平形状の電池ケース本体と,長辺部と短辺部とを有する形状であり前記電池ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部材とを有する電池において,
前記電池ケース本体内で前記発電要素に接続するとともに部分的に外部に露出する,前記蓋部材を貫通して設けられた対外端子部材と,
少なくとも前記蓋部材の外面側に配置され,前記対外端子部材を前記蓋部材から絶縁する絶縁部材とを有し,
前記絶縁部材の縁辺と前記蓋部材の長辺部との間隔が,前記絶縁部材の縁辺と前記蓋部材の短辺部との間隔より小さく,
前記蓋部材は,前記電池ケース本体の開口部にはめ込まれており,
前記蓋部材の外面と前記電池ケース本体の開口端面とに跨る溶接痕が前記蓋部材の全周にわたって形成されることで,前記蓋部材が前記電池ケース本体に固定されるとともに前記電池ケース本体の内部が外界から密閉されており,
前記蓋部材の長辺部のうち少なくとも前記絶縁部材に対面する区間を含む区間は,前記溶接痕が,前記蓋部材の外面および前記電池ケース本体の開口端面のみならず前記電池ケース本体の外側面にも及んで形成されている幅広溶接痕区間とされており,
前記溶接痕は,
前記幅広溶接痕区間では,前記幅広溶接痕区間以外の区間と比較して,溶接痕の断面形状における溶け込み深さが大きくなっており,
溶接時に溶融しなかった部分での前記蓋部材と前記電池ケース本体との境目を前記溶接痕の表面に延長した延長線よりも前記蓋部材側に食い込んで形成されており,
前記幅広溶接痕区間以外の区間は,前記蓋部材の短辺部の区間,および,前記蓋部材の長辺部の前記絶縁部材に対面しない区間のうち前記幅広溶接痕区間とされる区間を除いた区間であり,
前記対外端子部材および前記絶縁部材が,前記蓋部材の長辺部の方向の両端寄りの位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする電池。
発電要素を内蔵するとともに一方が開口した扁平形状の電池ケース本体と,長辺部と短辺部とを有する形状であり前記電池ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部材とを有する電池の製造方法において,
対象とする電池は,
前記電池ケース本体内で前記発電要素に接続するとともに部分的に外部に露出する,前記蓋部材を貫通して設けられた対外端子部材と,
少なくとも前記蓋部材の外面側に配置され,前記対外端子部材を前記蓋部材から絶縁する絶縁部材とを,前記蓋部材の長辺部の方向の両端寄りの位置にそれぞれ有し,
前記絶縁部材の縁辺と前記蓋部材の長辺部との間隔が,前記絶縁部材の縁辺と前記蓋部材の短辺部との間隔より小さいものであり,
前記蓋部材を,前記電池ケース本体の開口端面を覆うことなく前記電池ケース本体の開口部にはめ込んだ状態とし,
前記蓋部材の外面と前記電池ケース本体の開口端面との境目を前記蓋部材の全周にわたって溶接することで,前記蓋部材を前記電池ケース本体に固定するとともに前記電池ケース本体の内部を外界から密閉し,
前記溶接の際のエネルギーを,
前記蓋部材の長辺部のうち少なくとも前記絶縁部材に対面する区間を含み,溶接時に溶接箇所からプルームが垂直に噴出すると前記絶縁部材がダメージを受けうる区間では,溶融範囲が前記蓋部材の外面および前記電池ケース本体の開口端面のみならず前記電池ケース本体の外側面にも及び,その溶融範囲が溶接痕となる第1レベルのエネルギーとし, 前記蓋部材の短辺部,および,前記蓋部材の長辺部のうち前記絶縁部材に対面しない区間であって,溶接時に溶接箇所からプルームが垂直に噴出しても前記絶縁部材がダメージを受けない区間では,前記第1レベルより低い第2レベルのエネルギーとすることを特徴とする電池の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記した特許文献1の技術には,次のような問題点があった。特許文献1の
図2にも現れているように,封口板31には,「極端子32」やそれを囲む「ガスケット33」が設けられる。そして,電池の外形が扁平形状であることから,溶接箇所とガスケット33との間にあまり間隔のない箇所が存在する。そのため溶接時に,溶接の熱の影響でガスケット33がダメージを受けてしまう場合がある。特に,電池の品種によっては,ガスケット33に相当する絶縁物が封口板31に相当する蓋部材の外面より外側にはみ出して設けられている場合がある。このような場合に特に,当該絶縁物が溶接時に溶融箇所から出るプルーム(金属蒸気やプラズマ)に炙られて焼けてしまうことがある。これは絶縁物の劣化を招き,絶縁性や密閉性の不全の原因となる。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,溶接時におけるプルームによる蓋部材上の部材の焼けが生じないようにした電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の電池は,発電要素を内蔵するとともに一方が開口した扁平形状の電池ケース本体と,長辺部と短辺部とを有する形状であり電池ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部材とを有する電池であって,電池ケース本体内で発電要素に接続するとともに部分的に外部に露出する,蓋部材を貫通して設けられた対外端子部材と,少なくとも蓋部材の外面側に配置され,対外端子部材を蓋部材から絶縁する絶縁部材とを有している。本発明の電池はさらに,絶縁部材の縁辺と蓋部材の長辺
部との間隔が,絶縁部材の縁辺と蓋部材の短辺
部との間隔より小さく,蓋部材は,電池ケース本体の開口部にはめ込まれており,蓋部材の外面と電池ケース本体の開口端面とに跨る溶接痕が蓋部材の全周にわたって形成されることで,蓋部材が電池ケース本体に固定されるとともに電池ケース本体の内部が外界から密閉されており,蓋部材の長辺
部のうち少なくとも絶縁部材に対面する区間
を含む区間は,溶接痕が,蓋部材の外面および電池ケース本体の開口端面のみならず電池ケース本体の外側面にも及んで形成されている幅広溶接痕区間とされており,溶接痕は,幅広溶接
痕区間では,幅広溶接
痕区間以外の区間と比較して,溶接痕の断面形状における溶け込み深さが大きくなっており,溶接時に溶融しなかった部分での蓋部材と電池ケース本体との境目を溶接痕の表面に延長した延長線よりも蓋部材側に食い込んで形成されており,
幅広溶接痕区間以外の区間は,蓋部材の短辺部の区間,および,蓋部材の長辺部の絶縁部材に対面しない区間のうち幅広溶接痕区間とされる区間を除いた区間であり,対外端子部材および絶縁部材が,蓋部材の長辺
部の方向の両端寄りの位置にそれぞれ設けられているものである。
【0007】
本発明の電池の製造方法は,発電要素を内蔵するとともに一方が開口した扁平形状の電池ケース本体と,長辺部と短辺部とを有する形状であり電池ケース本体の開口部を塞ぐ蓋部材とを有する電池を製造する方法であり,その対象とする電池は,電池ケース本体内で発電要素に接続するとともに部分的に外部に露出する,蓋部材を貫通して設けられた対外端子部材と,少なくとも蓋部材の外面側に配置され,対外端子部材を蓋部材から絶縁する絶縁部材とを,蓋部材の長辺
部の方向の両端寄りの位置にそれぞれ有し,絶縁部材の縁辺と蓋部材の長辺
部との間隔が,絶縁部材の縁辺と蓋部材の短辺
部との間隔より小さいものである。本発明の製造方法では,蓋部材を,電池ケース本体の開口端面を覆うことなく電池ケース本体の開口部にはめ込んだ状態とし,蓋部材の外面と電池ケース本体の開口端面との境目を蓋部材の全周にわたって溶接することで,蓋部材を電池ケース本体に固定するとともに電池ケース本体の内部を外界から密閉する。その溶接の際のエネルギーを,蓋部材の長辺
部のうち少なくとも絶縁部材に対面する区間
を含み,溶接時に溶接箇所からプルームが垂直に噴出すると絶縁部材がダメージを受けうる区間では,溶融範囲が蓋部材の外面および電池ケース本体の開口端面のみならず電池ケース本体の外側面にも及び,その溶融範囲が溶接痕となる第1レベルのエネルギーとし,
蓋部材の短辺部,および,蓋部材の長辺部のうち絶縁部材に対面しない区間であって,溶接時に溶接箇所からプルームが垂直に噴出しても絶縁部材がダメージを受けない区間では,第1レベル
より低い第2レベルのエネルギーとする。
【0008】
こうすることで,蓋部材の長辺
部のうち絶縁部材に対面する区間を溶接するときには,第1レベルのエネルギー(大エネルギー)での溶接により,プルームが外向きに傾いて噴出される。このため,溶接時のプルームによる絶縁部材等の劣化が防止されている。この高いエネルギーでの溶接により,幅広溶接痕区間が形成される。
【0009】
ここで幅広溶接痕区間以外の区間には,蓋部材の短辺
部の区間が含まれる。幅広溶接痕区間以外の区間では,溶接痕が,蓋部材の外面と電池ケース本体の開口端面とにわたるとともに電池ケース本体の外側面には高々局所的にしか及んでいない。つまり幅広溶接痕区間以外の区間での溶接痕は,電池ケース本体の外側面には及んでいないか,及んでいたとしても局所的に及ぶにとどまる。幅広溶接痕区間以外の区間での溶接のエネルギーのレベルである第2レベルは
,第1レベルより低いレベルである。
【0010】
本発明の電池では,溶接痕の断面形状のうち表面が円弧状である部分に当てはめられる近似扇形の中心方向が,幅広溶接痕区間では,幅広溶接痕区間以外の区間と比較して,より外側向きに傾いている。本発明の電池ではまた,溶接痕を外部から見たときにおける,
前記境目に対する電池ケース本体側への溶け込み幅を蓋部材側への溶け込み幅で割った値が,幅広溶接痕区間では,幅広溶接痕区間以外の区間と比較して大きい。あるいは本発明の電池では溶接痕の断面における表面長のうち,
前記延長線より電池ケース本体側の表面長を蓋部材側の表面長で割った値が,幅広溶接痕区間では,幅広溶接痕区間以外の区間と比較して大きい。
【0011】
本発明の電池では,幅広溶接痕区間が,蓋部材の長辺
部の方向に対し,一方の絶縁部材に対面する区間ともう一方の絶縁部材に対面する区間とそれらの区間の間の区間とにわたって形成されていることが望ましい。すなわち本発明の電池の製造方法では,前記第1レベルのエネルギーでの溶接を,蓋部材の長辺
部の方向に対し,一方の絶縁部材に対面する区間ともう一方の絶縁部材に対面する区間とそれらの区間の間の区間とにわたって行うことが望ましい。こうすると,蓋部材と電池ケース本体との接合強度という点でより有利である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,溶接時におけるプルームによる蓋部材上の部材の焼けが生じないようにした電池およびその製造方法が提供されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に,本発明の実施形態について,図面を参照しつつ説明する。
図1は,実施形態に係る電池100の断面図である。
図2は,
図1のB部及びC部の拡大図である。なお,
図2中,括弧書きのない符号と括弧書きのある符号とが2段書きされているものは,B部とC部とで部材が異なるものである。すなわち,括弧書きのない符号はB部の部材のものであり,括弧書きのある符号はC部の部材のものである。
図3は,実施形態に係る端子付蓋部材115の一部を分解した斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る電池100は,
図1に示すように,開口111dを有する矩形箱状の電池ケース本体111と,電池ケース本体111の内部に収容された電極体150とを備えるリチウムイオン二次電池である。さらに,電池100は,電池ケース本体111の開口111dを閉塞する板状の電池ケース蓋113を備えている。電池ケース本体111と電池ケース蓋113とは,溶接により一体とされ,電池ケース110を構成している。
【0016】
電池ケース蓋113は,矩形板状をなし,その長辺方向(
図1において左右方向)の両端部寄りの位置には,この電池ケース蓋113を貫通する円形状の貫通孔113h,113kが形成されている。また,電池ケース蓋113における長手方向の中央部には,安全弁113jが設けられている。この安全弁113jは,電池ケース蓋113と一体的に形成されて,電池ケース蓋113の一部をなしている。
【0017】
安全弁113jは,電池ケース蓋113の他の部分よりも薄く形成されると共に,その上面には溝部113jvが形成されている(
図3参照)。これにより,安全弁113jは,電池ケース110内部の内圧が所定圧力に達した際に作動する。即ち,内圧が所定圧力に達したときに溝部113jvが破断して,電池ケース110の内部のガスを外部に放出する。
【0018】
また,電池ケース蓋113の安全弁113jと貫通孔113kとの間には,電解液(図示なし)を電池ケース110内に注入するための注液口113nが形成されている(
図1参照)。完成した電池100ではこの注液口113nは,注液栓113mにより封止されている。
【0019】
さらに,電池100は,電池ケース本体111の内部で電極体150に接続すると共に,電池ケース蓋113の貫通孔113h,113kを通じて外部に延出する正極端子部材130及び負極端子部材140(対外端子部材)を備えている。
【0020】
正極端子部材130は,正極接続部材135と正極外部端子部材137と正極締結ボルト139とにより構成されている(
図1,
図3参照)。このうち,正極接続部材135は,電極体150に接続すると共に,電池ケース蓋113の貫通孔113hを通じて外部に延出している。正極外部端子部材137は,電池ケース蓋113上,つまり電池ケース110の外部に位置し,電池ケース110の外部において正極接続部材135と電気的に接続している。正極締結ボルト139は,電池ケース蓋113上,つまり電池ケース110の外部に位置し,正極外部端子部材137に電気的に接続されまたは接続可能とされている。正極接続部材135,正極外部端子部材137,正極締結ボルト139はいずれもアルミ製である。
【0021】
詳細には,正極接続部材135は,台座部131と挿通部132と電極体接続部134と加締め部133とを有している(
図1〜
図3参照)。このうち,台座部131は,矩形板状をなし,電池ケース本体111の内部に位置している。挿通部132は,台座部131の上面131fから突出する円柱形状で,電池ケース蓋113の貫通孔113hに挿通されている。加締め部133は,挿通部132の上端に連なった部位であり,加締められて,つまり拡径するように変形されて円盤状をなし,正極外部端子部材137に電気的に接続している。電極体接続部134は,台座部131の下面131bから電池ケース本体111の底面111b側に延びる形態で,電極体150の正極合材層非塗工部151bに接合されている。これにより,正極接続部材135と電極体150とが電気的かつ機械的に接続されている。
【0022】
正極外部端子部材137は,側面視にて略Z字状をなしている。この正極外部端子部材137は,加締め部133により固定される固定部137f,正極締結ボルト139と接続する接続部137g,及び,固定部137fと接続部137gとを連結する連結部137hを有している。固定部137fには,これを貫通する貫通孔137bが形成されており,この貫通孔137b内には,正極接続部材135の挿通部132が挿通されている。また,接続部137gにも,これを貫通する貫通孔137cが形成されている。
【0023】
正極締結ボルト139は,矩形板状の頭部139bと,円柱状の軸部139cとを有している。軸部139cのうち先端側の部位は,ネジ部139dとなっている。正極締結ボルト139の軸部139cは,正極外部端子部材137の貫通孔137cに挿通されている。
【0024】
負極端子部材140は,負極接続部材145と負極外部端子部材147と負極締結ボルト149とにより構成されている(
図1,
図3参照)。このうち,負極接続部材145は,電極体150に接続すると共に,電池ケース蓋113の貫通孔113kを通じて外部に延出している。負極外部端子部材147は,電池ケース蓋113上,つまり電池ケース110の外部に位置し,電池ケース110の外部において負極接続部材145と電気的に接続している。負極締結ボルト149は,電池ケース蓋113上,つまり電池ケース110の外部に位置し,負極外部端子部材147に電気的に接続され,または接続可能とされている。負極接続部材145,負極外部端子部材147,負極締結ボルト149はいずれも銅製である。
【0025】
詳細には,負極接続部材145は,台座部141と挿通部142と電極体接続部144と加締め部143とを有している(
図1〜
図3参照)。このうち,台座部141は,矩形板状をなし,電池ケース本体111の内部に位置している。挿通部142は,台座部141の上面141fから突出する円柱形状で,電池ケース蓋113の貫通孔113kに挿通されている。加締め部143は,挿通部142の上端に連なった部位であり,加締められて,つまり拡径するように変形されて円盤状をなし,負極外部端子部材147に電気的に接続している。電極体接続部144は,台座部141の下面141bから電池ケース本体111の底面111b側に延びる形態で,電極体150の負極合材層非塗工部158bに接合されている。これにより,負極接続部材145と電極体150とが電気的かつ機械的に接続されている。
【0026】
負極外部端子部材147は,側面視略Z字状をなしている。この負極外部端子部材147は,加締め部143により固定される固定部147f,負極締結ボルト149と接続する接続部147g,及び,固定部147fと接続部147gとを連結する連結部147hを有している。固定部147fには,これを貫通する貫通孔147bが形成されており,この貫通孔147b内には,負極接続部材145の挿通部142が挿通されている。また,接続部147gにも,これを貫通する貫通孔147cが形成されている。
【0027】
負極締結ボルト149は,矩形板状の頭部149bと,円柱状の軸部149cとを有している。軸部149cのうち先端側の部位は,ネジ部149dとなっている。負極締結ボルト149の軸部149cは,負極外部端子部材147の貫通孔147cに挿通されている。
【0028】
さらに,電池100は,正極端子部材130(詳細には,正極接続部材135)と電池ケース蓋113との間に介在し,両者を電気的に絶縁する第1絶縁部材170を備えている。この第1絶縁部材170は,負極端子部材140(詳細には,負極接続部材145)と電池ケース蓋113との間にも介在している。
【0029】
具体的には,第1絶縁部材170は,電気絶縁性の樹脂からなり,絶縁介在部171と絶縁側壁部173と挿入部175とを有している(
図2,
図3参照)。このうち,絶縁介在部171は,平板形状をなし,その中央部に,正極端子部材130(負極端子部材140)の挿通部132(挿通部142)を挿通させる円形の貫通孔175aを有している。この絶縁介在部171は,正極端子部材130(負極端子部材140)の台座部131(台座部141)の上面131f(上面141f)と電池ケース蓋113との間に介在している。
【0030】
絶縁側壁部173は,絶縁介在部171の周縁に位置する四角環状の側壁部である。この絶縁側壁部173は,台座部131(台座部141)の外周側面131g(外周側面141g)を取り囲んでいる。挿入部175は,絶縁介在部171の上面171fから突出する円筒形状で,電池ケース蓋113の貫通孔113h(貫通孔113k)を挿通している。この挿入部175の筒内には,正極端子部材130の挿通部132(負極端子部材140の挿通部142)が挿通している。
【0031】
さらに,電池100は,電気絶縁性の樹脂からなり,電池ケース蓋113上に配置された第2絶縁部材180を備えている。この第2絶縁部材180は,正極端子部材130(詳細には,正極外部端子部材137及び正極締結ボルト139)と電池ケース蓋113との間に介在し,両者を電気的に絶縁する。なお,この第2絶縁部材180は,負極端子部材140(詳細には,負極外部端子部材147及び負極締結ボルト149)と電池ケース蓋113との間にも介在している。
【0032】
具体的には,第2絶縁部材180は,正極締結ボルト139の頭部139b(負極締結ボルト149の頭部149b)が配置される頭部配置部181と,正極外部端子部材137の固定部137f(負極外部端子部材147の固定部147f)が配置される締結配置部183とを有している。締結配置部183には,これを貫通する貫通孔183bが形成されており,この貫通孔183b内には,正極端子部材130の挿通部132(負極端子部材140の挿通部142)が挿通している。
【0033】
本実施形態では,電池ケース蓋113と,電極端子部材(正極端子部材130及び負極端子部材140)と,第1絶縁部材170,170と,第2絶縁部材180,180とにより,端子付蓋部材115が構成されている。具体的には,正極端子部材130の加締め部133と台座部131との間に,正極外部端子部材137,第2絶縁部材180,電池ケース蓋113,及び,第1絶縁部材170を挟んで固定すると共に,負極端子部材140の加締め部143と台座部141との間に,負極外部端子部材147,第2絶縁部材180,電池ケース蓋113,及び,第1絶縁部材170を挟んで固定することで,これらが一体となった端子付蓋部材115を形成している。
【0034】
なお,端子付蓋部材115において,第1絶縁部材170の絶縁介在部171は,正極端子部材130(負極端子部材140)の台座部131(台座部141)の上面131f(上面141f)と電池ケース蓋113との間に挟まれて,自身の厚み方向(
図2において上下方向)に弾性的に圧縮されて配置されている。さらに,第1絶縁部材170の挿入部175は,自身の軸線方向(
図2において上下方向)に弾性的に圧縮され,その先端175bが,第2絶縁部材180に密着している。このようにして,第1絶縁部材170によって,電池ケース蓋113の貫通孔113h,113kが封止されている。
【0035】
電極体150は,帯状の正極板155,負極板156,及びセパレータ157を扁平形状に捲回した扁平型の捲回電極体である(
図4〜
図7参照)。正極板155は,
図5に示すように,長手方向DAに延びる帯状のもので,アルミ箔からなる集電箔である正極基材151と,この正極基材151の表面の一部に配置された正極合材層152とを有している。正極合材層152は,正極活物質153とアセチレンブラックからなる導電材とPVDF(ポリフッ化ビニリデン,結着剤)とを含んでいる。
【0036】
正極基材151のうち,正極合材層152が塗工されている部位を,正極合材層塗工部151cという。一方,正極合材層152が塗工されていない部位を,正極合材層非塗工部151bという。正極合材層非塗工部151bは,正極基材151(正極板155)の幅方向DB(
図5において左右方向)の端部(
図5において左端部)に位置し,正極基材151(正極板155)の一方長辺に沿って,正極基材151(正極板155)の長手方向DA,つまり
図5において上下方向に帯状に延びている。
【0037】
また,負極板156は,
図6に示すように,長手方向DAに延びる帯状のもので,銅箔からなる集電箔である負極基材158と,この負極基材158の表面の一部に配置された負極合材層159とを有している。負極合材層159は,負極活物質154とSBR(スチレン・ブタジエンゴム,結着剤)とCMC(カルボキシメチルセルロース,増粘剤)とを含んでいる。
【0038】
負極基材158のうち,負極合材層159が塗工されている部位を,負極合材層塗工部158cという。一方,負極基材158のうち,負極合材層159が塗工されていない部位を,負極合材層非塗工部158bという。負極合材層非塗工部158bは,負極基材158(負極板156)の幅方向DB(
図6において左右方向)の端部(
図6において右端部)に位置し,負極基材158(負極板156)の一方長辺に沿って,負極基材158(負極板156)の長手方向DA,つまり
図6において上下方向に帯状に延びている。
【0039】
図4の電極体150は,
正極板155と負極板156とセパレータ157とを
図7に示すように,重ね合わせつつ捲回したものである。すなわち
図7の重ね合わせでは,正極板155と負極板156と2枚のセパレータ157とが重ね合わせられるとともに,正極合材層非塗工部151bと負極合材層非塗工部158bとが逆向きに突出するようにされている。セパレータ157の幅は,正極合材層塗工部151cや負極合材層塗工部158cの幅とほぼ同じである。よって,捲回した状態を示す
図4では,正極合材層非塗工部151bは複数枚の正極基材151が重ね合わせられたものであり,負極合材層非塗工部158bは複数枚の負極基材158が重ね合わせられたものである。
【0040】
上記のように構成された電池100において,本発明としての特徴は,電池ケース本体111と電池ケース蓋113との溶接部分にある。
図8の平面図に示すように電池100では,電池ケース本体111と電池ケース蓋113との境目が全周にわたって溶接され,溶接痕160が形成されている。
【0041】
この溶接痕160の詳細について説明する前に,端子部分の第2絶縁部材180と電池ケース蓋113の縁辺との間隔について説明する。
図9の部分平面図に示すように電池100では,第2絶縁部材180と電池ケース蓋113の縁辺との間隔は,長辺方向と短辺方向とで異なっている。すなわち,第2絶縁部材180と電池ケース蓋113の長辺113aとの間隔Gaは,第2絶縁部材180と電池ケース蓋113の短辺113bとの間隔Gbより小さい。これは,電池100の全体形状が扁平状であり,電池ケース蓋113が矩形状であることによる。なお
図9は,電池ケース蓋113(端子付蓋部材115)を電池ケース本体111にはめ込んだ後,溶接を実施する前の状態での平面図である。また,図示は省略しているが右端付近の負極側も同じである。
【0042】
図8の溶接後の平面図に戻ってみると,電池ケース蓋113の長辺113aのところと短辺113bのところとで,溶接痕(溶接時に溶融した箇所)160の幅が違うことが分かる。長辺113aのところでは溶接痕160が幅広であるのに対し,短辺113bのところでは溶接痕160が幅狭なのである。このことを,断面図を用いてさらに説明する。
図10に
図9中のX箇所の断面図を
図11にY箇所の断面図を,それぞれ示す。これらの断面図より,電池ケース本体111より電池ケース蓋113の方が板厚が大きいことが分かる。
【0043】
まず短辺側の
図10を見ると,溶接痕160が,電池ケース蓋113の上面113eと,電池ケース本体111の開口端面111eとに跨っているが,電池ケース本体111の外側面111sには及んでいない。これに対し長辺側の
図11では,電池ケース蓋113の上面113eから電池ケース本体111の外側面111sにまで及んでいる。短辺側と長辺側とでのこの違いが,
図8では溶接痕160の幅の広狭として現れているのである。
【0044】
図10と
図11との違いについてさらに説明する。
図10のように短辺部を溶接するときには,溶接時の溶融が,電池ケース蓋113の上面113eと,電池ケース本体111の開口端面111eとにのみ及び,電池ケース本体111の外側面111sには及ばないように,溶接エネルギーを比較的小さめに設定する。
図10ではこのとき,電池ケース蓋113と電池ケース本体111とがほぼ均等に溶融する。このため,溶融部分の近似扇形Tはほぼ垂直となる。このため,近似扇形Tの中心方向である矢印Qの方向,すなわち垂直上方に,プルームPが噴出する。それでも,間隔Gbが大きいので,第2絶縁部材180がプルームPにより焼けてしまうことはない。なお近似扇形Tとは,断面中における溶接痕160の表面形状のうち円弧で近似できる部分と,その円弧の両端に対する半径とで構成される扇形のことである。
【0045】
一方,
図11のように長辺部を溶接するときには,短辺部を溶接するときと比べて溶接エネルギーを大きくする。すると,
図10と比較して溶融範囲は広くなる。また溶け込み深さMaも,
図10中の溶け込み深さMbより大きくなる。ただし,電池ケース蓋113側と電池ケース本体111側とに均等に溶融範囲が広がるわけではない。溶融範囲は,電池ケース本体111側により大きく広がり,電池ケース蓋113側にはあまり広がらないのである。
【0046】
その理由は電池ケース本体111と電池ケース蓋113との板厚の違いにある。板厚の違いによる熱容量の違いにより,電池ケース蓋113側では電池ケース本体111側よりも熱の逃げが多い。このため
,溶融範囲が電池ケース本体111側により大きく広がるのである。このため
図11では,溶融部分の近似扇形Tおよびその中心方向Rが外向きに傾いた状態となる。このためプルームPも外向きに傾いて放出される。したがって,間隔Gaが小さくても,第2絶縁部材180がプルームPにより焼けてしまうことがないのである。
【0047】
もし,長辺部の溶接を
図10の説明と同じように低い溶接エネルギーで行うと,間隔Gaが小さいにもかかわらず,電池ケース蓋113の縁辺(長辺)からプルームPがほぼ垂直に噴出することとなる。つまり,第2絶縁部材180のすぐ近くにプルームPが存在することになり,第2絶縁部材180が焼けてしまうおそれがある。特に,周辺の気流等によりプルームPが揺れるようなことがあると,容易に
図12に示すようにプルームPが第2絶縁部材180に当たってしまう。これに対し本形態では長辺部を大エネルギーで溶接することで,上記弊害を防止しているのである。なお溶接自体の手法は,レーザ溶
接である。
【0048】
図11に示した長辺部の溶接痕160については,さらに次のようなことが言える。
図13に示すように,未溶融部分における電池ケース本体111と電池ケース蓋113との境目の延長線Sに対して,上方から見たときの電池ケース本体111側への溶け込み幅Waと電池ケース蓋113側への溶け込み幅Wbとを考えることができる。このとき,溶け込み幅Waは溶け込み幅Wbより大きいのである。つまり,「Wa/Wb」は1より大きい。
図10の短辺部の溶接痕160でこのようなことを考えれば「Wa/Wb」はほぼ1になる。したがって,長辺部の溶接痕160では,短辺部の溶接痕160と比較して,「Wa/Wb」の値が大きいと言える。また,Wa自体の値も,短辺部よりも長辺部にて大きい。
【0049】
また
図14に示すように,断面図上で延長線Sに対して,溶接痕160の電池ケース本体111側での表面長Laと電池ケース蓋113側での表面長Lbとを考えることができる。これについても,表面長Laは表面長Lbより大きい。そして,「La/Lb」の値が,長辺部の溶接痕160では,短辺部の溶接痕160と比較して大きいと言える。また,La自体の値も,短辺部よりも長辺部にて大きい。
【0050】
なお本発明は,
図15に示すように,電池ケース蓋113(端子付蓋部材115)を電池ケース本体111にはめ込んだ後,溶接を実施する前の時点で,電池ケース本体111の開口端面111eが電池ケース蓋113に覆われないものを適用対象とする。このようなものでは,溶接時のプルームPが電池ケース蓋113の上面側,つまり第2絶縁部材180のある側へ噴出するからである。
【0051】
一方,
図16のように,溶接前の時点で開口端面111eが電池ケース蓋113に覆われてしまうものは,本発明の適用対象ではない。このようなものでは,溶接時のプルームPの影響が第2絶縁部材180に及んでしまうことがもともとあり得ないからである。逆に,
図17のようなものでも,開口端面111eが電池ケース蓋113に覆われずに露出している以上,本発明の適用対象となりうる。また,電池ケース蓋113の上面113eに上記に説明した以外の形状(例えば
図18中の溝113f)がさらに形成されていたとしても,本発明の適用は妨げられない。なお
図13〜
図18では,
図11等における第2絶縁部材180等を省略して描いている。
【0052】
また本発明では,
図11に示した幅広の溶接痕160は,少なくとも,電池ケース蓋113の両端付近の第2絶縁部材180に対面する領域に設けられている必要がある。すなわち
図8中の区間Z1,Z3である。その間の区間Z2については,区間Z1,Z3の幅広の溶接痕160が形成されていてもよいし,短辺側と同じく
図10の幅狭の溶接痕160が形成されていてもよい。ただし,区間Z2についても幅広の溶接痕160を形成した方が,接合強度という点では有利である
。また,現実の製品では,低エネルギーでの溶接により
図10の幅狭の溶接痕160を形成する区間においても,ところどころ局所的に溶接痕160が電池ケース本体111の外側面111sに及んでしまうことはありうる。
【0053】
さらに,電池ケース蓋113の平面形状について先に矩形板状と述べたが,
図8に示したようにコーナーが丸いものであってもよい。要は長辺部と短辺部とを認識できればよい。さらに短辺部については,
図19や
図20に示すように直線部分の存在しない形状であってもかまわない。
【0054】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,扁平形状の電池100であって,溶接前の段階では電池ケース本体111の開口端面111eが電池ケース蓋113に覆われないものにおいて,電池ケース蓋113の短辺部と長辺部とで溶接エネルギーを変え,長辺部での溶接エネルギーを短辺部より上げている。これにより,第2絶縁部材180に対面する長辺部の溶接の際に,電池ケース本体111側がより多く溶け込み,プルームPが外向きに傾いて噴出するようにしている。こうして,溶接時のプルームPにより電池ケース蓋113上の第2絶縁部材180等がダメージを受けてしまうことを防止した電池100およびその製造方法が実現されている。
【0055】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。