(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者が装着するマスク内に陽圧の気体を供給する呼吸支援装置を装着した状態で測定されたポリグラフィ検査の測定結果から、少なくとも前記マスク内の圧力の経時変化に関する情報と、呼吸障害イベントの発生時刻に関する情報を取得する取得手段と、
前記マスク内の圧力を所定幅の複数の区間に分割し、前記複数の区間の各々について、前記マスク内の圧力が該区間に含まれる時間と該時間内に発生した前記呼吸障害イベントの発生回数とから睡眠呼吸障害の指標を算出し、前記マスク内の圧力の区間ごとの前記睡眠呼吸障害の指標の分布を示すグラフを作成する作成手段と、
前記グラフが配置されたレポートを出力する出力手段と、
を有することを特徴とする生体信号解析装置。
前記睡眠呼吸障害の指標が、無呼吸低呼吸指数AHIおよび酸素飽和度低下指数ODIのうち、少なくとも無呼吸低呼吸指数AHIを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体信号解析装置。
前記睡眠呼吸障害の指標が無呼吸指数AIおよび低呼吸指数HIを含み、前記グラフが、前記無呼吸低呼吸指数AHIを、無呼吸指数AIおよび低呼吸指数HIの割合を識別可能に示すものであることを特徴とする請求項3記載の生体信号解析装置。
患者が装着するマスク内に陽圧の気体を供給する呼吸支援装置を装着した状態で測定されたポリグラフィ検査の測定結果から、少なくとも前記マスク内の圧力の経時変化に関する情報と、呼吸障害イベントの発生時刻に関する情報を取得する取得手段と、
前記マスク内の圧力を所定幅の複数の区間に分割し、前記複数の区間の各々について、前記マスク内の圧力が該区間に含まれる時間と該時間内に発生した前記呼吸障害イベントの発生回数とから、タイトレーションに適するマスク圧を推定する推定手段と、を有し、
前記推定手段は、前記呼吸障害イベントの発生頻度もしくは回数が予め定めた値以下になる最小マスク圧、または前記呼吸障害イベントの発生頻度もしくは回数が予め定めた値以下で一定となる最小マスク圧を前記タイトレーションに適するマスク圧として推定することを特徴とする生体信号解析装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る生体信号解析装置の一例としての、生体信号測定装置100と、生体信号測定装置100とともに用いるCPAP、ASVなどの呼吸支援装置200の構成例を示すブロック図である。なお、本実施形態の生体信号解析装置は、いわゆる簡易ポリグラフ検査装置であり、解析に供される生体信号、具体的には呼吸関連信号を患者から取得するための構成、並びに呼吸支援装置による給気圧(マスク圧)を測定するための構成を有している。しかしながら、本発明において、呼吸関連信号を患者から取得するための構成、並びに呼吸支援装置による給気圧を測定するための構成は必須で無い。本発明に係る生体信号解析装置は、予め測定された呼吸関連信号や呼吸支援装置による給気圧(マスク圧)を、例えば直接接続された、またはネットワークを介して接続された記憶装置や記憶媒体から取得するなど、任意の方法で取得可能であればよい。
【0018】
(構成)
本実施形態に係る生体信号測定装置100において、SpO2センサ101は、動脈血酸素飽和度(SpO2)を例えば患者の指先で測定する反射式のセンサである。カニューレ102は、患者の鼻孔近傍に開口を有し、接続された圧力センサ106によって、患者の鼻呼吸波形やいびき音、また呼吸支援装置200のマスク211内の圧力(マスク圧)を検出するために用いられる。胸部・腹部センサ103は、患者の呼吸努力運動を検出するためのセンサである。
【0019】
心電図電極104は、主に心拍数を検出するために心電図を取得するための電極であり、例えば単極または双極2チャンネルの心電図を検出するための電極である。加速度センサ105は、体位(例えば、右側臥位、左側臥位、仰臥位、伏臥位、および立位)を測定するためのセンサである。
【0020】
メモリ107は、制御部110が作業用に用いる。なお、装置の設定値などが記憶される不揮発性の領域を有してもよい。表示部108は例えば液晶ディスプレイ(LCD)を有し、装置の動作状況、測定波形、ユーザ情報、GUIなどの表示に用いる。
【0021】
制御部110は、生体信号測定装置100の動作を制御する。制御部110は例えばCPUと、CPUが実行する制御プログラムを記憶する不揮発性メモリと、CPUが不揮発性メモリから読み出したプログラムを実行するために用いるRAMを有する。なお、不揮発性メモリおよびRAMは、メモリ107であってもよい。
【0022】
入力部109は、ユーザが各種の指示や設定を入力するために用いられる。入力部109はユーザが指示や設定を入力可能な任意の入力機器を有することができる。入力機器にはスイッチ、ボタン、ダイヤル、タッチパネル等、機械的な入力を行う機器はもちろん、音声認識などの非機械的な入力を受け付ける機器であってもよい。入力部109からの入力は制御部110に与えられ、制御部110は入力に応じた動作を実現させる。
【0023】
なお、スピーカ等の発音手段を設け、装置の動作状態やエラー発生、操作手順などを音声などによってユーザに報知するように構成してもよい。
【0024】
記録部111は測定したデータを記録媒体に記録したり、記録媒体に記録された測定済みのデータを読み出したりする。記録部の構成は使用する記録媒体によって異なり、使用する記録媒体に特に制限は無いが、小型化や低消費電力等の観点から、半導体メモリカードを好適に用いることができる。
【0025】
出力部112は外部装置と通信するためのインタフェースである。接続可能な外部機器の種類や通信プロトコルに特に制限は無く、また、通信媒体も有線、無線のいずれであってもよい。
【0026】
呼吸支援装置200は、CPAP(固定圧型、APAP、BiPAP)やASV等の、患者の気道に陽圧の空気を供給することによって無呼吸や低呼吸の発生を抑制する装置である。呼吸支援装置200は本体210とマスク211とがホース212で接続されており、本体210が有する送風機によってホース212を通じてマスク211内に所定圧の空気が供給される。APAPやASVの場合、マスク211内の圧力を圧力センサ213で測定し、呼吸状態や気道の閉塞状態に応じて、本体210が送風機を制御して給気圧を制御する。固定圧型CPAPの場合、本体210は設定された供給圧で送風機を連続的に動作させる。
【0027】
なお、呼吸支援装置200は本発明と直接関係がなく、また公知であるため、これ以上の詳細については説明を省略する。ここでは、給気圧を圧力センサ213の出力に応じて自動調整するAPAP、BiPAP、ASV等の装置を用いるものとする。なお、固定圧型のCPAPを用いる場合には、所定時間ごとに給気圧を順次変化させるように予め設定しておく。なお、呼吸支援装置200を動作させない場合(給気圧0)において測定を行う場合には、二酸化炭素の再吸気を防ぐため、マスクを外した状態で測定することが望ましい。
【0028】
(測定・記録動作)
各種のセンサ101〜105が患者の所定部位に装着され、入力部109から測定開始の指示が入力されると、生体信号測定装置100は生体信号の測定・記録を開始する。制御部110は、各種のセンサ101,103〜106からの入力信号に対して例えばA/D変換やフィルタ処理など予め定められた処理を適用し、測定時刻と対応付けてメモリ107に順次書き込んでゆく。
【0029】
カニューレ102に接続された圧力センサ106は、鼻カニューレまたは口鼻カニューレからの気流を電気信号へ変換する。制御部110は、この電気信号に増幅処理およびフィルタ処理を適用し、圧力センサ106から得られる信号を周波数成分によってマスク圧の変化を示す信号、呼吸波形を示す信号、気道音(いびき)を示す信号に分離する。なお、カニューレが鼻カニューレであれば鼻呼吸波形が、口の近傍にも開口を有する口鼻カニューレであれば口鼻呼吸波形が得られる。
【0030】
例えば、圧力センサ106から得られる電気信号について500Hz程度を遮断周波数とするローパスフィルタを適用して増幅した信号を基本信号とし、基本信号に対してさらに2〜3Hzを遮断周波数とするローパスフィルタを適用した信号をマスク圧の信号、基本信号に対して0.01〜0.1Hzを遮断周波数とするハイパスフィルタと2〜3Hzを遮断周波数とするローパスフィルタを適用した信号を適用した信号を呼吸信号、基本信号に対して0.01〜0.1Hzを遮断周波数とするハイパスフィルタと150〜200Hzを遮断周波数とするローパスフィルタを適用した信号を気道音信号、として分離することができる。
【0031】
また、マスク圧の変化を示す信号(マスク圧信号)、呼吸波形を示す信号(呼吸信号)、気道音(いびき)を示す信号(気道音信号)の呼吸関連信号は、それぞれ電圧から圧力[cmH2O]に変換されて記録される。なお、呼吸信号や気道音信号は連続的に記録されるが、マスク圧信号は、所定時間単位(たとえば秒単位)に変換されて記録される。
また、呼吸努力波形は胸部・腹部センサから得られる。なお、本実施形態では胸骨上窩波形は測定していないが、胸骨上窩波形を取得するように構成してもよい。
【0032】
制御部110は、各種の信号や測定値を順次メモリに書き込むとともに、測定データの解析処理を行う。解析処理では、無呼吸や低呼吸区間の有無、継続期間および回数、体位とその変化、SpO2の所定%(2〜4%)以上の低下の有無、継続期間および回数、脈拍数(最大、最小、平均)などを取得する。例えば、無呼吸は10秒以上呼吸が停止した状態、低呼吸は、換気の明らかな低下(正常呼吸の振幅から30%以上の減少した状態が10秒以上)に加え、SpO2が3〜4%以上低下した状態として検出することができる。
【0033】
ここで、正常呼吸とは、患者の正常時の呼吸波形であり、制御部110は呼吸信号から例えば次のような条件を満たす呼吸を正常呼吸として抽出する。
・呼吸と推定される波形であること
・所定の最低基準振幅の所定割合(例えば30〜50%)以上の振幅を有すること
【0034】
なお、呼吸と推定される波形は、山(上に凸の波形)と谷(下に凸の波形)のペア(山と谷が交互に存在するもの)であり、所定値を超える振幅(山と谷のピーク間距離)を有する波形とする。この所定値は直前の所定時間内(例えば数分間)の呼吸波形振幅の絶対値平均の所定割合(例えば20〜30%の範囲から選択された値)とし、順次更新する。ただし、最初の所定時間については予め定めた固定値を用いるものとする。
また、検出精度を向上させるために、ペアとなる山と谷の時間幅(ピークの時間差)や、隣接する山の時間幅などの条件をさらに適用してもよい。
【0035】
また、最低基準振幅についても、直前の所定時間内(例えば数分間)の正常呼吸の振幅の平均値に基づいて順次更新する。ただし、最初の所定時間については予め定めた固定値を用いるものとする。
また、検出精度を向上させるために、直前の所定時間内で検出された正常呼吸の数に応じて、平均する振幅を変更してもよい。例えば、正常呼吸の数が多ければ(所定数以上であれば)、2番目に大きな振幅からn(n≧3)番目に大きな振幅までの平均値とし、正常呼吸の数が所定数未満であれば、全ての振幅の平均値とすることができる。なお、前者において最大振幅を除外しているのは、ノイズなどの影響により極端に大きな振幅が含まれる可能性を考慮しているためである。
【0036】
制御部110は、メモリに書き込んだ各種波形や測定値を記録部111に供給し、記録媒体に順次所定のファイル形式で記録する。解析で得られた情報もまた、記録部111で記録する。
【0037】
(タイトレーション支援レポートの生成)
次に、本実施形態の生体信号解析装置100における、タイトレーション支援レポート生成動作について、
図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0038】
S101で制御部110は、記録部111に記録されている測定済みデータのうち、例えば入力部109を通じて指定された患者について、少なくともマスク圧および睡眠呼吸障害イベントに関する測定データを記録部111から読み出す。ここで、睡眠呼吸障害イベントとしては、例えば以下のものがある:無呼吸イベント、低呼吸イベント、酸素飽和度低下イベント。なお、測定済みデータは睡眠中に測定されたものとする。
【0039】
データの取得の際には、マスク圧および睡眠呼吸障害イベントに関する測定データ以外のデータの取得を排除するものではない。不整脈イベントのデータや体位のデータなど、タイトレーションに有用と思われる他のデータについても取得してもよく、例えば体位のデータなどは、患者が睡眠中であるかどうかの判定に用いることができる。
【0040】
患者が睡眠中であるかどうかの判定には、脳波を用いることが多いが、本実施形態のように脳波を測定しない場合、厳密にはマスク圧および睡眠呼吸障害イベントに関する測定データが「睡眠中」に測定されたものかどうかはわからない。しかし、加速度センサ105で計測した体位とその変化(すなわち体動)に基づいて、患者が睡眠中であるかどうかを推定することができる。例えば、体位が立位や座位である区間や、体位の変動が大きい区間については、患者が睡眠中でない可能性が高いと推定できる。従って、測定済みデータのうち、患者が睡眠中でない可能性が高い区間のデータを除外することで、残った区間のデータは睡眠中に測定されたものとして取り扱うことができる。このようなデータの処理は、予め技士が行っておいてもよいし、体位およびその変動についての条件を予め定めておき、制御部110が条件に当てはまる区間のデータを除外するように構成してもよい。
なお、患者が睡眠中であるかどうかの判定方法は本発明に直接関係が無く、任意の方法を利用可能である。
【0041】
S103で制御部110は、マスク圧の所定幅の区間ごとに、睡眠呼吸障害の判定指標の値の分布を示すヒストグラムを作成する。
上述の通り、本実施形態においてマスク圧のデータは秒単位で記録されている。制御部110はまず、マスク圧を所定幅(例えば1cmH2Oの幅)の複数の区間に分割する。そして、マスク圧が各区間に含まれる時間内に発生した睡眠呼吸障害イベントの回数をイベントごとに計数する。
【0042】
例えば、制御部110は、マスク圧が0(給気無し)である時間(期間)、0超1cmH2O未満である時間、1以上2cmH2O未満である時間、といったように、測定時間をマスク圧の区間で分類する。そして、制御部110は、分類した区間に発生した睡眠呼吸障害イベントの回数を計数する。そして、各区間の時間の長さと、イベントの発生回数とから、睡眠呼吸障害の判定指標を算出し、ヒストグラムを作成する。
【0043】
本実施形態において、睡眠呼吸障害の判定指標は以下の通りである。
無呼吸指数AI(apnea index):睡眠中の無呼吸の総数/睡眠時間(hr)
低呼吸指数HI(hypopnea index):睡眠中の低呼吸の総数/睡眠時間(hr)
無呼吸低呼吸指数AHI(apnea hypopnea index):睡眠中の無呼吸と低呼吸の総数/睡眠時間(hr)
酸素飽和度低下指数ODI(oxygen desaturation indexまたはoxygen dip index):SpO2の所定%以上の低下の総数/睡眠時間(hr)
通常、ODIの所定%は2,3,または4のいずれかである。所定%を3%とした場合、3%ODI、ODI(3%)、ODI(3)などと表す。
【0044】
例えば、制御部110は、例えばマスク圧が1以上2cmH2O未満の区間の時間が合計で3時間であり、その間に無呼吸イベントが15回発生していた場合、マスク圧が1以上2cmH2O未満の区間におけるAIを15回/3時間=5.0(回/hr)と算出する。制御部110は他の指標についても同様に、マスク圧の区間ごとに算出する。
【0045】
なお、AHIについては、AIとHIを別個に計数し、AHIにおけるAIとHIの割合が識別できるようにヒストグラムを生成する。
【0046】
S105で制御部110は、作成したヒストグラムを予め定められた出力形式に応じてレイアウトしたレポートを生成する。出力形式は、レポートの出力方法(表示、印刷、レポートデータの送信など)に応じて予め定められているものとする。
【0047】
S107で制御部110は、予め設定された出力方法に応じて、出力部112および/または表示部108にレポートを出力する。
【0048】
図3は、本実施形態の生体信号測定装置が出力するタイトレーション支援レポート(便宜上、CPAPレポートとする)の例を示す図である。
図3では、本実施形態において特徴的な情報のみを記載しているが、一般的にレポートに含まれるような情報、例えば患者を特定する情報や、測定日時などの情報が含まれていてもよいことは言うまでもない。
【0049】
図3に示すCPAPレポートは、マスク圧の統計的な情報を示すためのマスク圧情報領域310と、マスク圧と睡眠呼吸障害の判定指標の値の分布との関係を示すグラフの一例としてのヒストグラムを示す睡眠呼吸障害指標ヒストグラム領域320,330と、睡眠呼吸障害イベント以外にタイトレーションに有用と思われるイベント、あるいは予め定められた情報の、マスク圧との関係を示す補助情報領域340とを有している。
【0050】
マスク圧情報領域310は、マスク圧の最大値、最小値、および平均値を示す領域311と、マスク圧の分布割合を円グラフで示す領域312とを含んでいる。領域312における分布割合は、予め定めたマスク圧の範囲ごとの割合であるが、後述するヒストグラムにおけるマスク圧の分割単位とは異なっていてもよい。
【0051】
本実施形態において、睡眠呼吸障害指標ヒストグラム領域320,330は、AHI(AI,HI)指標ヒストグラム領域320と、ODIヒストグラム領域330である。なお、他の睡眠呼吸障害指標ヒストグラム領域が含まれていてもよいし、ODIヒストグラム領域330が無くてもよい。
【0052】
SASの判定はAHIに基づいて行われることが一般的であるため、AHIヒストグラム領域320は必須である。AHIヒストグラム領域320には、マスク圧の所定幅の区間ごとに、AI324およびHI323が識別可能に示されたAHIヒストグラム322が示されている。具体的には、AI324およびHI323が上下に並んだ状態でAHIを示している。このような形式を用いることにより、AHIにおけるAI324とHI323の割合や、AI324とHI323それぞれがマスク圧に応じてどのように変化するかを把握することができる。
【0053】
AHIヒストグラム322の上方には、AHI,AI,HIのそれぞれを数値で列挙した領域321が設けられている。AHIヒストグラム322では個々のイベントの実際の値よりも、マスク圧と値との関係を把握しやすく提示することを目的としているため、個々の値は記載していない。そのため、数値領域321において実際の値を示している。そのため、数値領域321を参照することでマスク圧の各区間における実際の値を知ることができる。
【0054】
ODIヒストグラム領域330には、ODIについて、AHIと同様にヒストグラム332および数値領域331を用いて提示している。AHIヒストグラム領域320に加え、ODIヒストグラム領域330を含めることで、複数の情報に基づいてタイトレーションを行うことができ、タイトレーションの信頼性を高めることができる。
【0055】
なお、マスク圧と睡眠呼吸障害の判定指標の値の分布との関係を示すグラフの一例としてヒストグラムを用いた例を示したが、マスク圧と睡眠呼吸障害の判定指標の値の分布との関係を表すことのできる任意の形式のグラフを形成することができる。
【0056】
本実施形態において、補助情報領域340には、不整脈イベントが睡眠呼吸障害イベントと同様に提示されている。不整脈とAHI,ODIとの相関性については未だ見解が確立していないが、CPAPの利用で不整脈が減るといった報告や、CPAPの圧力が高すぎると不整脈が増えるという報告などがなされており、何らかの参考となる可能性がある。
【0057】
なお、
図3の例で示した情報以外にも、マスク圧の区間毎のいびきの検出頻度や、マスク圧の区間毎の体位の分類(この場合は頻度では無く、体位毎の時間)や、マスク圧の区間毎のSpO2が90%以上である割合などを示すグラフなどを補助情報領域340に示すことができる。
【0058】
図3に示すようなレポートにより、個々の患者に対する適正な給気圧の決定に有用な情報を提供することができる。例えば、AHIはCPAPの給気圧が7cmH2O以上では起きていない。また、ODIも給気圧が7cmH2O以上では起きていない。従って、例えば次回は給気圧を7cmH2Oを基準とした測定を行ったり、最大給気圧を9cmH2O程度に設定して測定を行うことで、さらに精度のよい評価が可能である。このような評価を繰り返し行うことで、評価結果から技士が最終的な適正圧を決定することを支援することができ、タイトレーションに係る労力を軽減することが可能になる。
【0059】
以上説明したように本実施形態によれば、マスク圧と睡眠呼吸障害の判定指標の値の分布の関係を示すレポートを出力することにより、呼吸支援装置のタイトレーションに係る労力を軽減することが可能になる。
【0060】
また、マスク圧は簡易ポリグラフィ装置等で測定可能なため、簡易ポリグラフィ検査を行った患者について呼吸支援装置を用いることになった場合、おおよそ適正と考えられる供給圧を基準とした狭い範囲での給気圧を変化させてタイトレーションを行えば良いため、患者および技士双方の負担を軽減できるものと考えられる。
【0061】
(変形例)
図3に示すようなレポートを生成するだけでなく、睡眠呼吸障害イベントの発生回数と給気圧(マスク圧)との関係から、タイトレーションに最適な給気圧(マスク圧)を推定するようにしてもよい。
【0062】
具体的には、
・睡眠呼吸障害イベントの発生の頻度もしくは回数が、予め定めた値以下になる最小マスク圧、または
・睡眠呼吸障害イベントの発生の頻度もしくは回数が、予め定めた値以下で一定となる最小マスク圧、
を、タイトレーションに最適な給気圧(マスク圧)として推定することができる。
【0063】
ここで、予め定めた値は、睡眠呼吸障害イベントの発生頻度や回数が絶対的に少ないと考えられる値か、測定された最大頻度や回数に対して十分に小さいと考えられる値とする。例えば、イベント発生頻度が10回/hr以下や、5回/hr以下といった値や、最大頻度の1/3以下、1/4以下といった値に設定することができる。ただし、これらは一例であり、イベントの種類などに応じて適宜設定することができる。
【0064】
また、「一定となる」とは、給気圧(マスク圧)を変化させても睡眠呼吸障害イベントの発生頻度や回数に変動がない状態であり、例えば2cmH2O以上や3cmH2O以上の範囲で睡眠呼吸障害イベントの発生頻度や回数に変動がない場合に、「一定である」と見なすことができる。
【0065】
例えば、睡眠呼吸障害イベントの発生回数と給気圧(マスク圧)との関係が
図3に示すようであった場合、酸素飽和度低下指数ODIに関しては、3cmH2O以上、7cmH2O未満までは発生頻度が10回/hrで一定となる。このような場合、最小の3cmH2Oをタイトレーションに最適な給気圧(マスク圧)と推定することができる。
【0066】
また、複数種類の睡眠呼吸障害イベントについてタイトレーションに最適な給気圧(マスク圧)と推定し、その最大値を最終的な最適値として推定してもよい。
【0067】
ここで説明した推定処理は、S103で生成したヒストグラムや、ヒストグラム生成時に計数した睡眠呼吸障害イベントの回数を元にして、制御部110によって実行することができる。また、推定された最適な給気圧(マスク圧)は、
図3のCPAPレポートに含めることができる。この際、推定された最適な給気圧(マスク圧)がヒストグラム上で識別できるように表してもよい。
このように、本変形例によれば、呼吸支援装置のタイトレーションに係る労力を一層軽減することが可能になる。
【0068】
なお、本発明に係る生体信号解析装置は、一般的に入手可能な、パーソナルコンピュータのような汎用情報処理装置に、
図2や
図4の表示動作を実行させるプログラム(アプリケーションソフトウェア)として実現することもできる。従って、このようなプログラムおよび、プログラムを格納した記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM等の光学記録媒体や、磁気ディスクのような磁気記録媒体、半導体メモリカードなど)もまた本発明を構成する。