(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸引手段が発生する負圧により吸引されつつ搬送経路上を搬送される記録媒体に対してインクヘッドのノズルからインクの液滴を吐出して印刷画像を形成するインクジェット記録装置において、
前記記録媒体の搬送方向に直交する主走査方向及び前記搬送方向に沿う副走査方向のうち少なくとも一方の方向における印刷画像の解像度の高さに応じて、前記負圧による前記記録媒体の前記搬送経路に対する吸引力を制御する制御手段を備えており、
前記インクヘッドがインク色別に複数設けられていて、一部のインク色のインクヘッドが他のインク色のインクヘッドよりも高い解像度でインクの液滴を吐出できるように構成されており、
前記一部のインク色のインクヘッドが前記他のインク色のインクヘッドよりも高い解像度でインクの液滴を吐出する場合に、前記制御手段は、前記搬送経路のうち前記一部のインク色のインクヘッドに対向する部分において、前記吸引力を前記搬送経路の前記他のインク色のインクヘッドに対向する部分よりも減らすように制御する
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ノズルから吐出されたインクの液滴に発生するサテライトが、インクの粘度の変化とは異なる要因で増える場合に、記録媒体をベルトプラテンに吸引する負圧の気流に乗ったサテライトによって印刷画像の品質低下や装置の汚損が進んでしまうのを防ぐことができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、インクジェット記録装置では、記録媒体に着弾したインク液滴のドットゲインの大きさが印刷品質を左右する。そのため、例えば高精細の印刷画像を得る際には、インク液滴のボリュームを減らす代わりに単位面積当たりの記録媒体に着弾させるインク液滴数を増やして、解像度を上げた印刷を行う場合がある。
【0009】
このような解像度を上げた印刷は、カラー印刷を行えるインクジェット記録装置において、特定の色について行われたり、高解像度を要求される印刷画像の印刷時に選択的に行われたりする。
【0010】
特定の色について解像度を上げた印刷を行う例としては、例えば、印刷画像中のテキストのエッジを鮮明にするために、K(ブラック)の単色について行われる場合がある。また、高解像度の印刷画像を印刷する際には、例えば、通常の解像度の印刷画像を印刷する場合よりも多くのノズルを用いる等して、単位面積当たりの記録媒体に着弾させるインク液滴数を増やした印刷が行われる。
【0011】
このように、特定の色や特定の印刷画像について選択的に解像度を上げた印刷を行う場合には、単位面積当たりの記録媒体に着弾させるインク液滴の数が増えるのに伴い、各インク液滴にそれぞれ発生するサテライトの数も増えることになる。
【0012】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、上記目的を達成するために請求項1に記載した本発明のインクジェット記録装置は、
吸引手段が発生する負圧により吸引されつつ搬送経路上を搬送される記録媒体に対してインクヘッドのノズルからインクの液滴を吐出して印刷画像を形成するインクジェット記録装置において、
前記記録媒体の搬送方向に直交する主走査方向及び前記搬送方向に沿う副走査方向のうち少なくとも一方の方向における印刷画像の解像度の高さに応じて、前記負圧による前記記録媒体の前記搬送経路に対する吸引力を制御する制御手段を備えている、
ことを特徴とする。
【0013】
また、
請求項1に記載した本発明のインクジェット記録装置
は、前記インクヘッドがインク色別に複数設けられており、一部のインク色のインクヘッドが他のインク色のインクヘッドよりも高い解像度でインクの液滴を吐出できるように構成されており、前記一部のインク色のインクヘッドが前記他のインク色のインクヘッドよりも高い解像度でインクの液滴を吐出する場合に、前記制御手段は、前記搬送経路のうち前記一部のインク色のインクヘッドに対向する部分において、前記吸引力を前記搬送経路の前記他のインク色のインクヘッドに対向する部分よりも減らすように制御することを特徴とする。
【0014】
さらに、
請求項2に記載した本発明のインクジェット記録装置は、
請求項1に記載した本発明のインクジェット記録装置において、前記搬送経路のうち前記一部のインク色のインクヘッドに対向する部分において、前記吸引力を前記搬送経路の前記他のインク色のインクヘッドに対向する部分よりも、前記負圧の発生量を減らすことで前記吸引力を減らすように制御し、かつ、前記吸引手段による負圧の発生量を、前記搬送経路の全体で一定となるように制御することを特徴とすることを特徴とする。
【0015】
なお、本発明のインクジェット記録装置の変形例として、
請求項1又は2に記載した本発明のインクジェット記録装置において、前記制御手段は、所定値よりも解像度が高い印刷画像の印刷時に、解像度が前記所定値以下の印刷画像の印刷時よりも、前記吸引手段による負圧の発生量を下げるように制御することを特徴とする構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定の色や特定の印刷画像について選択的に解像度を変えた印刷を行うことで、ノズルから吐出されたインクの液滴に発生するサテライトが変わっても、記録媒体をベルトプラテンに吸引する負圧の気流に乗ったサテライトによって印刷画像の品質低下や装置の汚損が進んでしまうのを防ぐことができる。
【0017】
即ち、請求項1に記載した本発明のインクジェット記録装置によれば、記録媒体の搬送方向に直交する主走査方向と搬送方向に沿った副走査方向との少なくとも一方の方向において、印刷画像の解像度の高さが高い場合は低い場合に比べて、単位面積当たりの記録媒体に着弾するインクの液滴数が増える。これに伴い、各インクの液滴にそれぞれ発生するサテライトの数も増える。
【0018】
このとき、負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引力を減らすと、記録媒体吸引用のエアに乗って各サテライトがインクの主たる液滴から離れて着弾する範囲が狭くなる。サテライトの着弾範囲が狭まると、例えば記録媒体の余白部分に着弾するサテライト数が解像度の増加に伴って増えてもサテライトが目立ちにくくなる。このため、印刷画像の解像度に応じて記録媒体の搬送経路に対する吸引力を制御することで、印刷画像の品質低下や装置の汚損が進んでしまうのを防ぐことができる。
【0019】
また、
請求項1に記載した本発明のインクジェット記録装置によれ
ば、他のインク色のインクヘッドよりも高い解像度でインクの液滴を吐出する一部のインク色のインクヘッドに対向する搬送経路部分では、他の搬送経路部分よりも負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引力が減らされる。
【0020】
したがって、サテライトが主たる液滴から離れて着弾する範囲を狭める必要がある、解像度が高いためにサテライト数が増える搬送経路部分に限って、負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引力が減らされることになる。これにより、解像度が低くサテライト数が増えない搬送経路部分において、負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引能力が無用に下がってしまうのを、防止することができる。
【0021】
さらに、
請求項2に記載した本発明のインクジェット記録装置によれば、
請求項1に記載した本発明のインクジェット記録装置において、他のインク色のインクヘッドよりも高い解像度でインクの液滴を吐出する一部のインク色のインクヘッドに対向する搬送経路部分において、他の搬送経路部分よりも、負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引力を減らすために、吸引手段による負圧の発生量が下げられる。但し、搬送経路全体では、記録媒体を吸引するための負圧量が一定に保たれる。
【0022】
このため、他のインク色のインクヘッドよりも高い解像度でインクの液滴を吐出する一部のインク色のインクヘッドに対向する搬送経路部分において負圧の発生量を減らしても、それによる記録媒体の搬送経路に対する吸引能力の低下を、負圧の発生量が増やされる他の搬送経路部分の負圧によって補うことができる。よって、搬送経路に対する記録媒体の吸引能力を全体的には一定に維持することができる。
【0023】
なお、本発明のインクジェット記録装置の変形例によれば、
請求項1又は2に記載した本発明のインクジェット記録装置において、所定値よりも解像度が高い印刷画像の印刷時には、解像度が所定値以下の印刷画像の印刷時よりも、負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引力が減らされる。
【0024】
したがって、サテライトが主たる液滴から離れて着弾する範囲を狭める必要がある、解像度が高いためにサテライト数が増える印刷画像の印刷時に限って、負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引力が減らされることになる。これにより、解像度が低くサテライト数が増えない印刷画像の印刷時において、負圧による記録媒体の搬送経路に対する吸引能力が無用に下がってしまうのを、防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0027】
図1は本発明の第1実施形態に係るライン型インクジェットプリンタの概略構成を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態のライン型インクジェットプリンタ(以下、「インクジェットプリンタ」と略記する。請求項中のインクジェット記録装置に相当)1は、筐体100の内外に、制御ユニット10(請求項中の制御手段に相当)と、給紙部101と、プリンタ部102と、ディスプレイ103と、ベルトプラテン機構部104と、記録紙循環搬送路部105と、排紙部106とを設けて構成されている。
【0028】
給紙部101は、筐体100の側面に配設されたサイド給紙台21と、筐体100内の左下方部位に配設された複数の給紙台22,23とを備えている。サイド給紙台21はいわゆる手差しトレイであり、搬送可能な任意のスペックの記録紙Sをセットすることができる。一方、複数の給紙台22,23はいわゆる給紙カセットであり、それぞれにサイズ(A4、A3、B4、B5等)や向き(縦、横)、紙質の異なる記録紙S(例えば、坪量が大きい厚手の記録紙、坪量が小さい薄手の記録紙等)をセットすることができる。
【0029】
そして、サイド給紙台21又は複数の給紙台22,23上に積層された未印刷の記録紙Sのうち各最上層の記録紙Sが、各給紙ローラ24によって1枚ずつ給紙された後にローラ等の駆動機構による給紙搬送路KRに沿って搬送され、給紙された記録紙Sの先頭部分が記録紙循環搬送路部105中に設けられたレジストローラ対51に導かれて、このレジストローラ対51で記録紙Sの先頭位置が揃うようにタイミング合わせが行われている。
【0030】
プリンタ部102は、給紙部101の下流側で且つ記録紙循環搬送路部105の上流側に固定設置されており、筐体100内の略中央部位に位置している。
【0031】
このプリンタ部102では、複数色のインクと対応して複数のライン型インクジェットヘッド(以下、「インクジェットヘッド」と略記する。請求項中のインクヘッドに相当)31が上流側から下流側に向かってC(シアン)用,K(ブラック)用,M(マゼンタ)用,Y(イエロー)用の順に配置されている。各色のインクジェットヘッド31は、ヘッドホルダ32に取り付けられて、ベルトプラテン機構部104による記録紙Sの搬送方向X(副走査方向)に等間隔をおいて配置されている。
【0032】
なお、本実施形態では、フルカラー印刷対応のインクジェットプリンタ1を例に取って、4色(CKMY)のインクに対応して4色分のインクジェットヘッド31を設置した例で説明する。しかし、例えばフルカラーでないカラー印刷対応機や単色印刷対応機の場合には、使用するインクの色(1〜3色)分のインクジェットヘッド31を設置すれば良い。
【0033】
ここで、各色毎に設けた複数のインクジェットヘッド31は全て同じ構造に形成されている。詳細な図示を省略するが、一のインクジェットヘッド31は、複数のノズルを
図1の紙面と垂直な主走査方向Y(
図2参照)に沿って配列させたヘッドブロックが、主走査方向Yに沿った一のライン上に沿って複数個配置され、且つ、主走査方向Yと直交する副走査方向(搬送方向Xと同方向)に計2ラインに分けて配置されていると共に、隣り合うラインでは各ヘッドブロックが一部重なりあうように互い違いに千鳥状に配置されている。
【0034】
なお、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、主走査方向Yにおける印刷解像度を、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)については300dpiとしているのに対して、K(ブラック)については、印刷画像中のテキストのエッジを鮮明にするために、倍の600dpiとしている。
【0035】
そのために、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)についてはそれぞれ1つのインクジェットヘッド31を設けているのに対し、K(ブラック)については、それぞれのノズルを主走査方向Yに半ピッチ分ずらした2つのインクジェットヘッド31(K1,K2)を設けている。
【0036】
各インクジェットヘッド31は、同一画素にノズル(図示せず)から吐出するドットを最大5ドロップまで変化させることができるマルチドロップのインクジェット方式で印刷画像の印刷を行う。但し、K(ブラック)については、600dpiの高解像度で印刷する場合は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)との濃度差が生じないようにするために、各ノズルから吐出するドットを最大3ドロップまでとする。
【0037】
各画素の各色のインクジェットヘッド31(のノズル)からのインク液滴の吐出ドロップ数を規定する印刷用多値データは、クライアント端末14から入力される印刷ジョブの印刷データに基づいて、制御ユニット10の後述するCPU90によって生成される。
【0038】
ベルトプラテン機構部104は、プリンタ部102と対向して複数のインクジェットヘッド31の下方に配設されている。
【0039】
このベルトプラテン機構部104では、給紙部101で給紙された未印刷の記録紙S又は後述する循環搬送路JRによって搬送された片面が印刷済みの記録紙Sを搭載しながら搬送するために多数の吸引孔を形成した帯状のベルトプラテン41が、モータ48により回転駆動される駆動プーリ42と従動プーリ46との間に掛け渡されている。
【0040】
駆動プーリ42と従動プーリ46との間には、記録紙Sをベルトプラテン41上にエア吸引する負圧を発生させるためのサクションファンユニット44が設けられている。
【0041】
ベルトプラテン41(請求項中の経路に相当)は、多数の吸引孔を有している。ベルトプラテン41上の記録紙Sは、各吸引孔を介してサクションファンユニット44(請求項中の吸引手段に相当)に連通している。そして、各吸引孔には、サクションファンユニット44が発生させる吸引力により負圧が供給される。したがって、ベルトプラテン41に配置された記録紙Sには、吸引孔に生じる負圧によるベルトプラテン41側への吸引力が作用する。
【0042】
図2の拡大平面図に示すように、サクションファンユニット44は、図中の左右方向に延在する搬送方向Xに5列のサクションファン44a〜44eを有している。各サクションファン44a〜44eは、上述した5つのインクジェットヘッド31にそれぞれ対応している。
【0043】
即ち、サクションファン44aは、ベルトプラテン41のうちC(シアン)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第1エリア)41aにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。また、サクションファン44b,44cは、ベルトプラテン41のうちK(ブラック)の各インクジェットヘッド31,31に対向する部分(第2,3エリア)41b,41cにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。
【0044】
さらに、サクションファン44dは、ベルトプラテン41のうちM(マゼンタ)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第4エリア)41dにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。また、サクションファン44eは、ベルトプラテン41のうちY(イエロー)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第5エリア)41eにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。
【0045】
そして、
図1に示すベルトプラテン機構部104では、帯状のベルトプラテン41上に記録紙Sを搭載したときに、この記録紙Sを各サクションファン44a〜44eによりベルトプラテン41に形成した多数の吸引孔(図示せず)を介してエアー吸引して、記録紙Sをベルトプラテン41上に固定した状態でベルトプラテン41の回転より記録紙Sを搬送方向X(副走査方向)に搬送する。搬送中の記録紙Sには、そのベルトプラテン41の上方に配置されたプリンタ部102の複数のインクジェットヘッド31によって、印刷画像がフルカラー印刷される。
【0046】
記録紙循環搬送路部105は、給紙部101で給紙された記録紙Sに対してプリンタ部102で片面印刷又は両面印刷するために記録紙Sをプリンタ部102を経由して循環させる循環搬送路JRを有し、この循環搬送路JR中にサイド給紙台21側からの未印刷の記録紙Sを搬送する給紙搬送路KRと、排紙台71側に印刷済みの記録紙Sを搬送する排紙搬送路HRとが分岐して設置されている。
【0047】
また、上記した循環搬送路JRは、プリンタ部102により記録紙Sの片面(表面)に印刷された印刷済みの記録紙Sをそのまま排紙する方向に搬送する通常搬送路CRと、片面(表面)が印刷された記録紙Sを通常搬送路CRの途中から電磁弁などを用いた第1,第2搬送路切替えレバー52,53により搬送方向を切り換えてスイッチバックを行って両面(表面及び裏面)を印刷するためのスイッチバック搬送路SRとで環状に設置されている。
【0048】
そして、循環搬送路JRにより、両面印刷したい記録紙Sがプリンタ部102を経由して循環可能になっている。なお、給紙搬送路KRやスイッチバック搬送路SRから循環搬送路JRに搬送された記録紙Sは、レジストローラ対51を通過しベルトプラテン41に移送される際に、紙押さえローラ54によりベルトプラテン41に押さえつけられてカール状態が補正される。
【0049】
紙押さえローラ54は、
図2に示すように、主走査方向Yに等間隔をおいて複数設けられており、全ての紙押さえローラ54が同一の回転軸54aによって連動して回転駆動される。紙押さえローラ54によって押さえつけられた記録紙Sは、プリンタ部102に給紙されて画像形成される。プリンタ部102を通過する際に記録紙Sは、サクションファンユニット44が発生する負圧でベルトプラテン41に吸引される領域を通過する。
【0050】
記録紙Sをベルトプラテン41に吸引させる負圧を発生するサクションファン44a〜44eは、搬送方向(副走査方向)Xにおける記録紙Sの位置によって異なる。即ち、記録紙Sは、ベルトプラテン41のうちC(シアン)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第1エリア)41aにおいて、サクションファン44aが発生する負圧によってベルトプラテン41に吸引される。
【0051】
その隣の、K(ブラック)の2つのインクジェットヘッド31,31にそれぞれ対向する部分(第2,3エリア)41b,41cにおいては、記録紙Sは、サクションファン44b,44cがそれぞれ発生する負圧によってベルトプラテン41に吸引される。
【0052】
さらに、その隣の、M(マゼンタ)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第4エリア)41dにおいては、記録紙Sは、サクションファン44dが発生する負圧によってベルトプラテン41に吸引される。また、その隣の、Y(イエロー)インクジェットヘッド31に対向する部分(第5エリア)41eにおいては、記録紙Sは、サクションファン44eが発生する負圧によってベルトプラテン41に吸引される。
【0053】
ここで、上述したK(ブラック)の2つのインクジェットヘッド31が、主走査方向Yで、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各インクジェットヘッド31の解像度(300dpi)の倍である600dpiの解像度でインクの液滴を吐出したものとする。
【0054】
この場合、それぞれのインク液滴にサテライト(ミスト)が生じると、
図3(a),(b)の説明図に示すように、600dpiの解像度であるK(ブラック)では、300dpiの解像度であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に対して、サテライトの発生数が2倍になる。
【0055】
ここで、印刷解像度を300dpiから600dpiにした場合にサテライトの発生数が2倍になる理由について説明する。ある画像を印刷解像度600dpiで印刷する場合は、同じ画像を印刷解像度300dpiで印刷する場合の2倍の画素数(ドット数)で画像が構成される。
【0056】
各ドットを構成するインク液滴は、インクジェットヘッド31から1ドット吐出されるごとに尾を引いて飛翔する。この尾の部分がサテライトの発生要因となる。このため、印刷解像度を300dpiから600dpiにすることでドット数が増えると、各ドットに付随して発生するサテライトの数も増える。
【0057】
ところで、マルチドロップ方式のインクジェットヘッドにおいては、1つのドットを形成するために同一画素にインク液滴が複数ドロップ連続して吐出されるので、各ドロップがそれぞれ尾を引いて飛翔することになる。
【0058】
但し、本発明者の鋭意研究の成果によると、先行するドロップの尾はそれに続く次のドロップに吸収され、サテライトになることなく回収される。このため、マルチドロップ方式により複数ドロップのインク液滴で1つのドットを形成する場合には、最後のドロップだけが後に尾を引いて飛翔することになる。したがって、マルチドロップ方式の場合においても、サテライトの発生数はあくまでドット数と同数であり、1つのドットを形成するドロップ数に比例して増えることはない。
【0059】
以上のことから、印刷解像度を600dpiとするK(ブラック)は、印刷解像度を300dpiとする他の3色(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))に対し、画像を構成する画素数が2倍になるので、サテライト発生数も他の3色の2倍となる。但し、各色の印字率が異なる場合はその限りでなく、印字率の差に応じてサテライト発生数の倍率が変わる。
【0060】
これにより、インク液滴の正規の着弾位置を外れて記録紙Sの余白部分やベルトプラテン41の周辺部分に着弾するサテライトが増える。このようなサテライトの増加は、印刷画像の汚れを目立たせて印刷品質を低下させる要因となったり、ベルトプラテン41を外れたインクジェットプリンタ1の各部に付着して装置を汚損させる要因となる。
【0061】
そこで、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、2つのインクジェットヘッド31,31を用いてK(ブラック)のインクの液滴を600dpiの解像度で吐出する場合に、これらのインクジェットヘッド31,31に対向するベルトプラテン41の第2,3エリア41b,41cにおいて、負圧による記録紙Sのベルトプラテン41に対する吸引力を減らすようにしている。
【0062】
具体的には、
図4の説明図に示すように、ベルトプラテン41の第2,3エリア41b,41cに対応するサクションファン44b,44cについて、他の第1,4,5エリア41a,41d,41eに対応するサクションファン44a,44d,44eよりも、ファンの回転数を下げて、負圧の発生量を減らすようにしている(
図4中の白抜きの矢印の太さが負圧の発生量を示している)。このような各サクションファン44a〜44eの駆動パターンを、以後、高解像度用パターンと言うことがある。
【0063】
ところで、ベルトプラテン41により搬送されてプリンタ部102の下方を通過した印刷済みの記録紙Sは、記録紙S上のインクが乾燥できる時間を確保するために循環搬送路JR中の通常搬送路CRを搬送される。そのために、通常搬送路CRは、プリンタ部102の上方に廻り込むように屈曲されている。そして、排紙対象となる印刷済みの記録紙Sは、通常搬送路CRから排紙搬送路HRを経て排紙部106の排紙台71に向かうように搬送される。
【0064】
一方、排紙対象とならない印刷済みの記録紙Sは、通常搬送路CRから循環搬送路JR中のスイッチバック搬送路SRに搬送される。このとき、記録紙Sは、通常搬送路CR中で排紙部106に向かう手前を第1搬送路切替えレバー52で切り替えて記録紙Sの搬送方向を変更し、排紙部106の排紙台71の裏面に形成した記録紙ガイド枠72内に向かう。そして、この記録紙ガイド枠72内で記録紙Sの先頭位置を反転させた後に第2搬送路切替えレバー53で切り替えて記録紙Sの搬送方向を変更し、再度レジストローラ対51に向かって、プリンタ部102及びベルトプラテン機構部104に搬送される。
【0065】
排紙部106は、筐体100に対して斜めに傾斜して設置された排紙台71を備えている。
【0066】
この排紙台71は、記録紙循環搬送路部105内に設けた通常搬送路CR及び排紙搬送路HRによって搬送された印刷済みの記録紙Sを収納する機能と、この排紙台71の裏面に形成した記録紙ガイド枠72で片面(表面)が印刷された記録紙Sに対して裏面を印刷するためにスイッチバックして記録紙Sの先頭位置を反転させる機能とを備えている。
【0067】
図5は、
図1の制御ユニット10の電気的構成を示すブロック図である。制御ユニット10には、外部インタフェース部11を介して、クライアント端末14からの印刷ジョブを受け取る。この印刷ジョブは、印刷画像のポストスクリプトデータと属性データとを含んでいる。制御ユニット10は、受け取った印刷ジョブのポストスクリプトデータにより印刷画像のラスタデータを生成する。インクジェットプリンタ1は、印刷ジョブの属性データにおいて指定された条件で、印刷画像の記録紙Sへの印刷をプリンタ部102において実行する。属性データには、K(ブラック)の印刷解像度を300dpiとするか600dpiとするかを決定するのに必要な情報(例えば、印刷に使用する記録紙Sの種類等)が含まれている。
【0068】
プリンタ部102の各色のインクジェットヘッド31が印刷画像の各画素に対応してそれぞれ吐出するインク液滴のドット数を規定する印刷用多値データは、クライアント端末14から入力される印刷ジョブのポストスクリプトデータに基づいて、制御ユニット10のCPU90によって生成される。
【0069】
また、制御ユニット10のCPU90には、ディスプレイ103が接続されている。このディスプレイ103は、
図1に示すように、インクジェットプリンタ1の上部に配置されている。このディスプレイ103は、インクジェットプリンタ1の各種動作に関連する入力デバイスと情報出力デバイスとして利用することができる。
【0070】
上述した制御ユニット10は、
図5に示すように、CPU90を備える。このCPU90は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、ディスプレイ103から入力設定される内容に応じて、インクジェットプリンタ1の各部の動作を制御する。
【0071】
なお、制御ユニット10にはRAM92が設けられており、RAM92にはフレームメモリ領域が設けられている。このフレームメモリ領域には、クライアント端末14から制御ユニット10に入力された印刷ジョブのポストスクリプトデータからCPU90が生成する、印刷画像のラスタデータが、プリンタ部102に出力されるまでの間、一時的に記憶される。
【0072】
次に、
図5に示す制御ユニット10のCPU90がROM91に記憶されたプログラムを実行することにより行う、特にサクションファンユニット44の各サクションファン44a〜44eの駆動制御処理の手順について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
図6に示すように、CPU90は、まず、クライアント端末14から印刷ジョブが入力されたか否かを確認する(ステップS1)。入力されていない場合は(ステップS1でNO)、入力されるまで待機し、入力された場合は(ステップS1でYES)、入力された印刷ジョブの属性データから、K(ブラック)の主走査方向Yにおける印刷解像度が300dpiよりも上であるか否かを確認する(ステップS3)。
【0074】
300dpiよりも上である場合は(ステップS3でYES)、CPU90は、サクションファンユニット44の各サクションファン44a〜44eを、
図4を参照して説明した高解像度用パターンで駆動し(ステップS5)、印刷ジョブの終了後に(ステップS9でYES)、一連の処理を終了して、以後、
図6の手順を繰り返し実行する。
【0075】
また、K(ブラック)の印刷解像度が300dpi以下である場合は(ステップS3でNO)、CPU90は、サクションファンユニット44の各サクションファン44a〜44eを、全て同じ負圧の発生量とする通常解像度用パターンで駆動し(ステップS7)、印刷ジョブの終了後に(ステップS9でYES)、一連の処理を終了して、以後、
図6の手順を繰り返し実行する。
【0076】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、解像度に関する請求項中の所定値を300dpiとしている。本実施形態のように、印刷解像度が300dpiか600dpiかを判別するならば、両者の間の数値を所定値としてもよいのは勿論のことである。
【0077】
このように構成した第1実施形態のインクジェットプリンタ1では、K(ブラック)の印刷解像度がC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)と同じ300dpiである印刷画像を記録紙Sに印刷する場合は、各色のインクジェットヘッド31に対向するベルトプラテン41の第1〜5エリア41a〜41eの各サクションファン44a〜44eを、全て同じ負圧の発生量で駆動させる。
【0078】
一方、K(ブラック)だけ600dpiの高解像度で印刷画像を印刷する場合は、K(ブラック)の2つのインクジェットヘッド31,31に対向するベルトプラテン41の第2,3エリア41b,41cの各サクションファン44b,44cを、他のサクションファン44a,44d,44eよりも低い負圧の発生量で駆動させる。
【0079】
この場合、K(ブラック)は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の倍の解像度とするために、それらの色の2倍のインク液滴を吐出することになる。したがって、サテライト数も2倍となる。
【0080】
しかし、K(ブラック)に対応するサクションファン44b,44cの負圧発生量を減らすことから、記録紙Sをベルトプラテン41に吸引する吸引エアーに乗ってサテライトが飛翔する範囲は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のサテライトよりも狭くなる。
【0081】
サテライトの飛翔範囲が狭まると、例えば記録紙Sのドット間の余白部分に着弾するサテライト数が解像度の増加に伴って増えても、サテライトがドットの近くに着弾することから目立ちにくくなる。このため、印刷画像の品質低下や装置の汚損が進んでしまうのを防ぐことができる。
【0082】
なお、本実施形態では、600dpiの印刷解像度に対応するために、K(ブラック)のインクジェットヘッド31を2列にし、各インクジェットヘッド31のノズルを主走査方向Yに半ピッチ分ずらして配置するものとした。しかし、半分のピッチで2倍のノズルを設けた1つのインクジェットヘッド31で、K(ブラック)の600dpiの印刷解像度に対応するものとしてもよい。
【0083】
その場合は、
図7の拡大平面図に示す第2実施形態のインクジェットプリンタのベルトプラテン41の裏側に配置されるサクションファンユニット44は、図中の左右方向に延在する搬送方向Xに4列のサクションファン44a〜44dを有するものとなる。そして、各サクションファン44a〜44dは、C、K、M、Yの各インクジェットヘッド31にそれぞれ対応したものとなる。
【0084】
即ち、サクションファン44aは、ベルトプラテン41のうちC(シアン)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第1エリア)41aにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。また、サクションファン44bは、ベルトプラテン41のうちK(ブラック)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第2エリア)41bにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。
【0085】
さらに、サクションファン44cは、ベルトプラテン41のうちM(マゼンタ)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第3エリア)41cにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。また、サクションファン44dは、ベルトプラテン41のうちY(イエロー)のインクジェットヘッド31に対向する部分(第4エリア)41dにおいて、記録紙Sを吸引する負圧を発生する。
【0086】
そして、
図8の説明図に示すように、ベルトプラテン41の第2エリア41bに対応するサクションファン44bについて、他の第1,3,4エリア41a,41c,41dに対応するサクションファン44a,44c,44dよりも、ファンの回転数を下げて、負圧の発生量を減らすようにしている(
図8中の白抜きの矢印の太さが負圧の発生量を示している)。
【0087】
本実施形態では、
図8に示すような各サクションファン44a〜44dの駆動パターンが、高解像度用パターンと言うことになる。また、各サクションファン44a〜44dを全て同じ負圧の発生量とするのが、通常解像度用パターンでの駆動パターンと言うことになる。
【0088】
なお、本実施形態のインクジェットプリンタ1におけるCPU90が行う、特にサクションファンユニット44の各サクションファン44a〜44dの駆動制御処理の手順は、
図6のフローチャートの内容のままである。
【0089】
このように構成した第2実施形態のインクジェットプリンタ1によっても、解像度の増加に伴ってサテライト数が増えても、サテライトがドットの近くに着弾することから目立ちにくくなる。このため、印刷画像の品質低下や装置の汚損が進んでしまうのを防ぐことができる。
【0090】
なお、上述した第1及び第2実施形態において、サクションファン44a〜44e(又はサクションファン44a〜44d)を高解像度用パターンで駆動する際に、全サクションファン44a〜44e(又はサクションファン44a〜44d)による総負圧発生量が、通常解像度用パターンのときと同じになるようにしてもよい。その場合は、サクションファン44b,44c(又はサクションファン44b)のファン回転数を下げた度合いに応じて、他のサクションファン44a,44d,44e(又はサクションファン44a,44c,44d)のファン回転数を上げればよい。
【0091】
このようにすることで、サテライトの飛散を抑制するために、サクションファン44b,44c(又はサクションファン44b)のファン回転数を下げて負圧発生量を減らし、ベルトプラテン41の第2,3エリア41b,41c(又は第2エリア41b)に対する記録紙Sの吸着力を減らしても、ベルトプラテン41の全体(又は第1〜第5エリア41a〜41e)では、記録紙Sを吸引するための負圧量が一定に保たれる。
【0092】
このため、ベルトプラテン41の全体で記録紙Sを吸引する能力を維持しつつ、K(ブラック)のインクジェットヘッド31から600dpiの印刷解像度でインク液滴を吐出することで発生数が増えるサテライトが、広範囲に飛散するのを防ぎ、印刷画像の品質低下や装置の汚損が進んでしまうのを防ぐことができる。
【0093】
さて、上述した第1及び第2実施形態では、主走査方向Yにおいて印刷解像度を600dpiとする場合について説明した。しかし、本発明は、搬送方向(副走査方向)Xにおいて印刷解像度を600dpiとする場合にも適用可能である。
【0094】
例えば、K(ブラック)の印刷解像度を搬送方向(副走査方向)Xにおいて600dpiとする場合は、K(ブラック)のインクジェットヘッド31のノズルからインクの液滴を吐出する周期を半分にすることになる。これにより、
図9の説明図に示すように、記録紙S上には、搬送方向(副走査方向)Xにおいて半分のピッチで2倍のインク液滴が着弾することになる。そして、各インク液滴にそれぞれサテライトが発生するので、搬送方向(副走査方向)Xにおいて600dpiの印刷解像度でインク液滴を吐出した際のサテライト発生量は、300dpiの印刷解像度でインク液滴を吐出した際のサテライト発生量よりも増える。
【0095】
このときにも、印刷解像度が600dpiであるK(ブラック)のインクジェットヘッド31に対向するベルトプラテン41のエリアについて、印刷解像度が300dpiである他のC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各インクジェットヘッド31に対向するベルトプラテン41のエリアよりも、サクションファンによる負圧の発生量を減らす。
【0096】
そして、搬送方向(副走査方向)Xの印刷解像度が600dpiである印刷画像の印刷時にCPU90が行う、特にサクションファンユニット44の各サクションファン44a〜44dの駆動制御処理の手順は、おおよそ
図6の内容と同じである。唯一異なるのは、ステップS3において、印刷ジョブの属性データから、K(ブラック)の印刷解像度が300dpiよりも上であるか否かを確認するのが、主走査方向Yについてではなく、搬送方向(副走査方向)Xについてであることのみである。
【0097】
また、主走査方向Yと搬送方向(副走査方向)Xの両方向でK(ブラック)の印刷解像度を600dpiとする場合は、
図6のフローチャートのステップS3において、主走査方向Y又は搬送方向(副走査方向)Xの少なくとも一方の方向で、印刷ジョブの属性データで定義されたK(ブラック)の印刷解像度が300dpiよりも上であるか否かを確認することになる。
【0098】
そして、少なくとも一方の方向でK(ブラック)の印刷解像度が300dpiよりも上である場合に、第1実施形態や第2実施形態のような駆動パターンで、各サクションファン44a〜44e(44a〜44d)の駆動を制御することになる。
【0099】
このように、主走査方向Yと搬送方向(副走査方向)Xの両方向でK(ブラック)の印刷解像度を600dpiとする場合は、それぞれの方向においてインクの液滴の吐出数が2倍となる。このため、主走査方向Yと搬送方向(副走査方向)Xの印刷解像度が300dpiである他のC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に比べて、K(ブラック)では、発生するサテライト数が都合4倍となる。
【0100】
したがって、K(ブラック)に対応するサクションファン44b,44c(又はサクションファン44b)の負圧発生量を、他のC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に対応するサクションファン44a,44d,44e(又はサクションファン44a,44c,44d)の負圧発生量よりも減らすことで、印刷画像の品質低下や装置の汚損が進んでしまうのをより顕著に防ぐことができる。
【0101】
さらに、上述した各実施形態では、主走査方向Yや搬送方向(副走査方向)Xにおいて印刷解像度を600dpiとするインク色がK(ブラック)だけであるものとした。しかし、本発明は、C(シアン)、K(ブラック)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の一部又は全部の印刷解像度を、主走査方向Yや搬送方向(副走査方向)Xにおいて600dpiとする場合に、広く適用可能である。
【0102】
その場合は、600dpiの解像度で印刷するインク色のインクジェットヘッド31に対応するサクションファン44a〜44e(44a〜44d)による負圧の発生量を減らすように、サクションファン44a〜44e(44a〜44d)のファンの回転数をCPU90で制御すればよい。
【0103】
このように、印刷解像度がインク色毎に異なる場合は、各インク色のインクジェットヘッド31に対応するサクションファン44a〜44e(44a〜44d)の単位で負圧の発生量を制御すればよい。また、インク色毎の印刷解像度が同じであり印刷画像(印刷ジョブ)毎に印刷解像度が異なる場合は、印刷画像(印刷ジョブ)単位で、全サクションファン44a〜44e(44a〜44d)の負圧の発生量を同じように制御すればよい。
【0104】
ちなみに、ベルトプラテン41の各第1〜第5エリア41a〜41e(第1〜第4エリア41a〜41d)に対する記録紙Sの吸引力を減らす方法は、各エリア41a〜41e(41a〜41d)に対応するサクションファン44a〜44e(44a〜44d)の負圧の発生量を減らす(ファンの回転数を下げる)方法に限らず、他の方法を用いてもよい。
【0105】
例えば、
図10(a)の拡大断面図に模式的に示すように、ベルトプラテン41を構成するベルト43及びその裏側のプラテン45が、それぞれ、サクションファン44a〜44e(44a〜44d)が発生する負圧による吸引エアーが通過する吸引孔43a,45aを有している場合(吸引孔43aの径<吸引孔45aの径)を想定する。この場合、ベルトプラテン41に対する記録紙Sの吸引力を減らすには、プラテン45の吸引孔45aのサイズを調整する機構を設ければよい。
【0106】
即ち、
図10(b)の拡大断面図に模式的に示すように、プラテン45の裏側に配置したスライド板47をプラテン45に沿って移動させて吸引孔45aの一部を塞がせることで、吸引孔45aの大きさを実質的に小さくして、吸引エアーの風量を減らす方法で、記録紙Sの吸引力を変える構成としてもよい。
【0107】
あるいは、
図10(c)の拡大断面図に模式的に示すように、プラテン45の吸引孔45aを個別に開閉可能に構成し、記録紙Sのベルトプラテン41に対する吸引力を減らす場合に、吸引孔45aを適宜閉じて、吸引エアーが通過する吸引孔45aを間引きする方法で、記録紙Sの吸引力を変える構成としてもよい。
【0108】
なお、上述した実施形態では、ライン型インクジェットプリンタを例に取って説明したが、本発明は、搬送ベルト(ベルトプラテン)に吸引させた状態で搬送される記録紙に画像を形成する、いわゆるマルチパス方式(シリアル式)のインクジェットプリンタにも適用可能である。