【実施例1】
【0026】
本実施例に係る加圧エア駆動式ピストン往復動型油圧ポンプPは、加圧エアによって油圧を発生させるポンプである。但し、本明細書おいて、「油圧」は圧縮された加圧油を意味する。
図1、
図2に示すように、この油圧ポンプPは、単動型エアシリンダ1と、このエアシリンダ1の往動室11に対する加圧エアの供給・排出を切換える切換弁機構部3と、エアシリンダ1で駆動されるプランジャ21を含む油圧ポンプ機構部2と、外部の加圧エア供給源から加圧エアが供給されるエア供給口4と、外部へ加圧エアを排出するエア排出口5などを備えている。
【0027】
エア供給口4は、弁ケース31に固定されたポート金具4aと弁ケース31に形成され、このポート金具4aには加圧エアを供給するエアホース又はエア配管が連結される。エア排出口5は切換弁機構部3の上端弁ケース32の中心側部分に形成され、このエア排出口5はサイレンサー33aを収容した消音室33に連通され、消音室33は大気に開放されている。尚、サイレンサー33aは止め輪34で抜け止めされている。
【0028】
前記エアシリンダ1は、シリンダ部材13と、このシリンダ部材13のシリンダ孔13aに装着されてシリンダ孔13aの軸心方向へ連続的に往復駆動されるピストン14と、ピストンロッド15と、シリンダ孔13a内のピストン14の両側の往動室11及び復動室12と、復動室12に装着されてピストン14を復動させる圧縮スプリング16と、合成樹脂製の緩衝部材17a,17bなどを備えている。尚、往動室11はピストン14の上側に形成され、復動室12はピストン14の下側に形成されている。
【0029】
シリンダ部材13の上端に弁ケース31が一体形成され、往動室11の上端は弁ケース31の仕切壁部31a(往動室11の端壁に相当する)で仕切られている。シリンダ部材13の下端はポンプケース22で塞がれ、ポンプケース22はシリンダ部材13に例えば複数のボルト(図示略)で固定されている。
【0030】
ピストン14は、ピストン本体14aと、このピストン本体14aの下面に当接した補助ピストン14bと、スプリング受け部材14cとを有する。ディスク状の補助ピストン14bの中心部から下方へスプリング受け部材14cを貫通するピストンロッド15が延び、補助ピストン14bの中心部から上方へピストン本体14aと弁ケース31を貫通する弁棒35(これは切換弁機構部3に属する)が延びている。ピストン本体14aの外周部は合成樹脂製のOリング14dでシールされている。
【0031】
ポンプケース22の上端には、圧縮スプリング16の下端部分を収容する環状凹部22aが形成され、圧縮スプリング16の上端はスプリング受け部材14cで受け止められ、圧縮スプリング16の下端は環状凹部22aの壁面で受け止められている。復動室12は図示外の呼吸孔で大気に開放されている。往動室11に対して加圧エアを供給・排出する為の複数のエア通路36が弁ケース31に形成されている。
【0032】
油圧ポンプ機構部2は、ポンプケース22と、ピストンロッド15の下端側部分に一体形成されたプランジャ21と、このプランジャ21が昇降するプランジャ孔23と、シール部材24と、油を吸入する吸入ポート25及び吸入用逆止弁25aと、油圧を吐出する吐出ポート26及び吐出用逆止弁26aなどを備えている。プランジャ孔23はプランジャ孔部材23aに形成されている。吸入ポート25を形成するポート金具25bと、吐出ポート26を形成するポート金具26bはポンプケース22に夫々螺合され、ポート金具25b,26bには油圧ホース又は油圧配管が接続される。
【0033】
切換弁機構部3は、弁ケース31及び上端弁ケース32と、エア通路37,38を介してエア供給口4に通じる環状エア通路39と、エア通路41を介してエア排出口5に連通された環状エア排気通路40と、往動室11をエア供給口4に連通させるエア供給位置(
図3、
図4参照)と往動室11をエア排出口5に連通させるエア排出位置(
図5、
図6参照)とに亙って連続的に切換え動作する主切換弁42Aと、この主切換弁42Aに同期連動して主切換弁42Aの主弁体43の位置を切換える副切換弁42Bとを含む切換弁機構42を備えている。
【0034】
図1〜
図6に示すように、主切換弁42Aは、環状エア通路39の加圧エアでエア供給位置側へ付勢される環状弁体部43aと、ピストン部形成部43bと、筒部43cとを有する主弁体43を備えている。この主弁体43は、シリンダ孔13aの軸心方向へ(上下方向へ)例えば300 〜500 μm移動可能であり、弱い圧縮スプリング44により下方へ(エア供給位置の方へ)付勢されている。環状弁体部43aとピストン部形成部43bは一体的に形成されている。ピストン部形成部43bは、弁ケース31に形成されたピストン収容穴45に気密摺動自在に収容されたピストン部46と、このピストン部46から上方へ延びて環状弁体部43aに連なる連結筒部47を備えている。
【0035】
前記筒部43cは、環状弁体部43aの径方向途中部に一体形成されてピストン収容穴45と反対側(上方)へ延び且つ上端弁ケース32の円筒孔32aに摺動自在に内嵌されている。この筒部43cの外周側に、環状弁体部43aと筒部43cと上端弁ケース32とで環状エア通路39が形成されている。この環状エア通路39は、複数の径方向エア通路38と1つの縦向きエア通路37とでエア供給口4に連通されている。環状弁体部43aの外周面の外側には、エア通路36を介して往動室11に連通した環状エア通路48が形成されている。
【0036】
環状エア排気通路40は、環状弁体部43aとピストン部形成部43bと弁ケース31とで形成され、この環状エア排気通路40をエア排出口5に連通させる複数のエア通路41が環状弁体部43aに形成されている。環状弁体部43aは、その移動方向両端(上下両端)に形成された第1,第2環状弁面51,52を備えている。第1環状弁面51は、筒部43cよりも外径側において、環状弁体部43aの上端部の環状溝に嵌めた合成樹脂製の環状シール部材で構成されている。第2環状弁面52は、第1環状弁面51の下方において、環状弁体部43aの下端部の環状溝に嵌めた合成樹脂製の環状シール部材で構成されている。
【0037】
第1環状弁面51に接近又は当接する第1環状弁座53が上端弁ケース32に形成され、第2環状弁面52に接近又は当接する第2環状弁座54が弁ケース31に形成され、第1,第2環状弁面51,52が第1,第2環状弁座53,54に択一的に当接するように構成されている。第1環状弁面51が第1環状弁座53から離隔し且つ第2環状弁面52が第2環状弁座54に当接した状態がエア供給位置である。主切換弁42Aがエア供給位置にあるとき、エア供給口4から供給された加圧エアは、エア通路37、 環状エア通路37a、エア通路38、環状エア通路39,48、エア通路36を通って往動室11へ供給される。
【0038】
上記とは反対に、第2環状弁面52が第2環状弁座54から離隔し且つ第1環状弁面51が第1環状弁座53に当接した状態がエア排出位置である。主切換弁42Aがエア排出位置にあるとき、往動室11の加圧エアは、エア通路36、環状エア通路48、環状エア排気通路40、エア通路41を通ってエア排出口5へ排出される。
【0039】
副切換弁42Bは、ピストン収容穴45とピストン部46とで形成されるエア導入室55と、弁棒35と、この弁棒35に形成された小径部35aと、弁棒35と主弁体43の間を封止可能な第1弁部材56と、弁棒35と仕切壁部31aの間を封止可能な第2弁部材57とを備えている。弁棒35は、補助ピストン14bの中心部から往動室11側へ延びて弁ケース31の仕切壁部31aとエア導入室55と主弁体43を摺動自在に貫通している。エア供給口4からエア導入室55へ加圧エアを導入する為のエア通路58が仕切壁部31aに形成されている。
【0040】
弁棒35の小径部35aは、上下方向に所定の長さ(例えば6〜10mm)の環状溝でもって形成され、小径部35aの上端部と下端部は徐々に小径化するテーパ部35bに形成されている。
図1に示すように、ピストン14が上限位置(復動限界位置)にあるとき、第1弁部材56が弁棒35の小径部35aの上下方向中間に対応する位置になる。これに対して、
図2に示すように、ピストン14が下限位置(往動限界位置)にあるとき、第2弁部材57が弁棒35の小径部35aの下端側のテーパ部35bに対応する位置になる。
【0041】
副切換弁42Bは、ピストン14の往動開始時には小径部35aにより第1弁部材56の封止を解除してエア導入室55の加圧エアを排出することにより主弁体43をエア供給位置に切換えると共に、ピストン14の復動開始時には弁棒35の小径部35aにより第2弁部材57の封止を解除してエア導入室55に加圧エアを導入することにより主弁体43をエア排出位置に切換えるように構成されている。尚、複数のシール部材a〜eが設けられている。
【0042】
次に、本願特有の構成および作用について説明する。
図2〜
図4に示すように、主弁体43のうちの弁棒35の外周に近い中心側部分が、この中心側部分以外の部分とは別体の副弁体43Aに構成されている。副弁体43Aは、副ピストン部60と、この副ピストン部60と一体の筒状部61を備えている。
この筒状部61の内周面と弁棒35の外周面との間にエア導入室55の加圧エアを排出可能なエア通路62が形成されている。副ピストン部60は、ピストン部46に形成された副ピストン収容穴63に気密摺動自在に装着されて、エア導入室55に臨んでいる。筒状部61は、副ピストン部60からエア導入室55と反対側へ延びて主弁体43の円筒穴に摺動自在に貫通している。副弁体43Aの筒状部61の端部はエア排出口5に臨んでおり、副弁体43Aをエア導入室55側へ付勢する弱い圧縮スプリング64が設けられている。尚、筒状部61の下半部は上半部よりも小径に形成され、主弁体43の円筒穴の内周面に接触しないように構成し、副弁体43Aに作用する摩擦力が小さくなるように構成してある。
【0043】
第1弁部材56はOリングで構成され、この第1弁部材56は、筒状部61の内周部に形成された環状溝に装着されている。第2弁部材57はOリングで構成され、弁棒35と仕切壁部31aの間の環状隙間65に弁棒35の長さ方向(軸心方向)へ可動に装着されている。副弁体43Aの副ピストン部60には、その副ピストン部60から下方へ延びて環状隙間65の上端側部分に挿入され且つ第2弁部材57をエア導入室55側から受け止める小径筒部60aが設けられている。小径筒部60aの上側近傍において副弁体43Aの弁棒挿通孔をエア導入室55に連通させる複数の傾斜エア通路66が形成されている。
【0044】
図4に示すように、前記環状隙間65の下端部には鍔付きスリーブ67が嵌合して固定されている。環状隙間65において、鍔付きスリーブ67の上側にOリング68とスペーサ69が装着され、このスペーサ69は、その中段の薄肉部に複数の小孔69aを有し、スペーサ69の下端面でOリング68の上面を押え、スペーサ69の上端面で第2弁部材57を下方から受け止めるように構成されている。エア通路58は、スペーサ69の中段の複数の小孔69aに連通するように形成されている。
【0045】
この油圧ポンプPにおいては、エア供給口4に加圧エアを連続的供給し、切換弁機構部3の主切換弁42Aと副切換弁42Bの作用で、ピストン14を高速で連続的に往復動作させることで、油圧ポンプ機構部2から油圧を連続的に発生させることができる。
【0046】
図4に示すように、ピストン14が往動限界位置に達した時、弁棒35の小径部35aの下端側のテーパ部35bと第2弁部材57の間の小さな隙間からエア導入室55に導入された加圧エアの軽い押圧力により副弁体43Aを主弁体43に対して上方へ相対移動させ、第2弁部材57を確実に上方移動させることにより、第2弁部材57の封止を確実に解除する。次の瞬間には、
図6に示すように、エア導入室55に導入された加圧エアがピストン部46と副ピストン部60に作用して、主弁体43と副弁体43Aが小距離上方へ移動して主切換弁42Aがエア排出位置に確実に切換えられる。
【0047】
このように、副弁体43Aが加圧エアの小さな力で上方へ移動可能に構成し、ピストン14が往動限界位置に到達した際に、弁棒35の小径部35aの下端側のテーパ部35bを介して第2弁部材57の封止を破ってエア導入室55に流入する少量の加圧エアでもって副弁体43Aを主弁体43に対して相対的に上方移動させて、第2弁部材57を上方移動させることによって小径部35aを介して第2弁部材57の封止を確実に解除し、エア導入室55に急速に加圧エアを導入し、主切換弁42Aをエア排出位置に急速に切換えることができる。
【0048】
加圧エアの供給圧が変動しても、副弁体43Aは影響を受けることはない。しかも、油圧供給先の油圧消費量が微量であるため、ピストン14が超微速で移動するような場合でも、副弁体43Aが上記のように確実に作動するため、主弁体43が中立位置(オールポート・オープン状態)に停止することはない。そして、圧縮スプリング44で主弁体43をエア供給位置の方へ付勢しているため、主弁体43が中立位置に停止しにくくなる。
しかも、弁棒35が弁棒35以外の金属部材と衝突しない構造になっているため、ピストン14が連続的に高速で往復動作しても、衝突音が発生することない。
【0049】
以上説明した油圧ポンプPの構造は一例を示すものであって、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例を部分的に変更して実施可能である。