【実施例1】
【0014】
以下に、
図1及び
図2を用いて、実施例1に係るゲート上昇・降下機構について詳細に説明する。
【0015】
なお、
図1は、実施例1に係るゲート上昇・降下機構を示す模式図である。また、
図2は、実施例1に係るゲート上昇・降下機構の備える油圧ユニットの回路図である。
【0016】
まず、
図1を用いて、このゲート上昇・降下機構の構成を説明する。
【0017】
このゲート上昇・降下機構は、ゲート1を吊り下げるためのワイヤ2が、ワイヤドラム3に巻回されており、そのワイヤドラム3の回転動作は、差動減速機4により制御されるようになっている。
【0018】
そして、差動減速機4の第一の入力軸4aには、第一のブレーキである油圧押上ブレーキ5を挟んで通常時用の動力源である電動モータ7が接続されている。一方、差動減速機4の第二の入力軸4bには、第二のブレーキである電磁ブレーキ9を挟んで油圧ピストンモータ13が接続されている。なお、電磁ブレーキ9は油圧押上げブレーキでも構わない。また、油圧ピストンモータ13は、油圧ユニット12に接続されている。
【0019】
なお、この油圧ピストンモータ13としては、例えば、0.2Mpa以上のブースト圧力を必要とするアキシャルピストンモータを使用しても良いし、他の形式の油圧ピストンモータを使用しても良い。
【0020】
このような構成を備えているため、このゲート上昇・降下機構は、通常時における動力と非常時における動力を、差動減速機4の二つの入力軸4a、4bを介して、切替装置を用いずに完全に切り分けて使用することができる。
【0021】
次に、
図1及び
図2を用いて、このゲート上昇・降下機構がゲート1を上昇させる際及び降下させる際の各機構の作動を説明する。
【0022】
通常時にゲート1を上昇させる際及び降下させる際には、まず、第二の入力軸4b側に接続されている電磁ブレーキ9をロックして油圧ピストンモータ13側へ動力が伝達されないようにし、その後、第一の入力軸4aに電動モータ7からの動力を伝達して、差動減速機4を介してワイヤドラム3の回転動作を制御してゲート1を上昇・降下させる。
【0023】
そして、非常時にゲート1を上昇させる際には、まず、第一の入力軸4a側に接続されている油圧押上ブレーキ5をロックして電動モータ7側へ動力が伝達されないようにし、その後、油圧ユニット12に内蔵されているバルブを操作して油圧ピストンモータ13を駆動させ、第二の入力軸4bに油圧ピストンモータ13からの動力を伝達して、差動減速機4を介してワイヤドラム3の回転動作を制御してゲート1を上昇させる。
【0024】
具体的には、まず、油圧押上ブレーキ5をロックして電動モータ7側へ動力が伝達されないようにする。次に、ボールバルブ12aを閉める。次に、電磁ブレーキ9を解除する。次に、ボールバルブ12bを開く。次に、エンジン12cを起動して、ポンプ12dを駆動する。
【0025】
その後、手動切換弁12eを切り替えると、油タンク12fに貯蔵されている作動油は、エンジン12cにより駆動されているポンプ12dにより、サクションフィルタ12g、手動切換弁12e、チェックバルブ12h、ボールバルブ12b、ストップバルブ12iを経て、油圧ピストンモータ13の第一のポート13aへと送られる。
【0026】
そして、第一のポート13aより油圧ピストンモータ13へ送られた作動油は、油圧ピストンモータ13を回転させた後、作動油は第二のポート13bより吐出され、ストップバルブ12j、リリーフバルブ12k、リターンフィルタ12lを経て、油タンク12fに戻される。
【0027】
このようにして駆動された油圧ピストンモータ13は、差動減速機4の第二の入力軸4aを介してゲート1を上昇させる方向にワイヤドラム3を回転させ、ワイヤドラム3にワイヤ2を巻き取る。
【0028】
また、非常時にゲート1を降下させる際には、まず、第一の入力軸4a側に接続されている油圧押上ブレーキ5をロックして電動モータ7側へ動力が伝達されないようにし、その後、電磁ブレーキ9を解除し、油圧ユニット12に内蔵されているバルブを操作して油圧ピストンモータ13が油圧ブレーキ及び油圧ポンプとして作用する状態にして、ゲート1を自重により降下を行う。
【0029】
具体的には、まず、油圧押上ブレーキ5をロックして電動モータ7側へ動力が伝達されないようにする。次に、ボールバルブ12bを閉める。次に、ボールバルブ12aを開く。そして、電磁ブレーキ9を解除し、ゲート1を自重により降下させる。
【0030】
なお、油圧ピストンモータ13は、ゲート1を吊り下げているワイヤ2、ワイヤ2が巻回されているワイヤドラム3、ワイヤドラム3と接続されている差動減速機4の第二の入力軸4bを介して、ゲート1を上昇させる際とは逆方向に回転させられる。
【0031】
このとき、作動油は、まず、油圧ピストンモータ13の第一のポート13aから吐出され、ストップバルブ12i、ボールバルブ12aを経てブースト圧用油圧モータ12mへ送られる。
【0032】
次に、ブースト圧用油圧モータ12mに送られた作動油は、ブースト圧用油圧モータ12mを駆動させた後、吐出され、チェックバルブ12nを経て、二股に分岐される。そして、二股に分岐された作動油の一方は、ストップバルブ12jを介して、油圧ピストンモータ13の第二のポート13bに送られる。一方、二股に分岐された作動油の他方は、リリーフバルブ12k、リターンフィルタ12lを経て油タンク12fに戻される。
【0033】
ところで、このブースト圧用油圧モータ12mは、その動力を伝達できるようにブースト圧用油圧ポンプ12oに接続されている。そして、このブースト圧用油圧ポンプ12oにより、油タンク12fに貯蔵されている作動油は、サクションフィルタ12p、チェックバルブ12qを経て、ブースト圧用油圧モータ12mから吐出され分岐された作動油の一方と合流させられ、ブースト圧力を加えられた状態にされて、油圧ピストンモータ13の第二のポート13bへと送られる。
【0034】
このような構成となっているため、油圧ピストンモータ13は、ゲート1を自重により降下させる際には、油圧ブレーキとして十分な働きをすることができる。
【0035】
なお、このとき、ブースト圧用油圧モータ12mから吐出された作動油は、全量が油タンク12fへ戻らず、ある程度の圧力(例えば0.2Mpa程度の圧力)を保持したまま、油圧ピストンモータ13の第二のポート13bへ戻されることになる。そのため、油タンク12fからブースト圧用油圧ポンプ12oを介して供給する作動油の量は油温の上昇を制御するために必要な量のみに抑えることができる。その結果として、油圧ユニット12を小型化することができ、ひいては、機構全体のさらなる小型化が可能になる。
【0036】
このゲート上昇・降下機構は、このように、高価な切替装置を必要とせずに、通常時に行われる主操作と非常に行われる予備操作を完全に切り分けて使用することができるため、低コスト化や省スペースによる小型化を図ることができる。
【実施例2】
【0037】
以下に、
図3を用いて、実施例2に係るゲート上昇・降下機構について詳細に説明する。なお、本実施例に係るゲート上昇・降下機構は、第2の入力軸側の機構を除き、実施例1のゲート上昇・降下機構と実施例1のリードフレームとほぼ同様の構成であるため、同様の部材については同一の符号を付すとともに、それらについての詳細な説明は省略する。また、非常時のゲートの上昇・降下の際の油圧ユニットの内部における作動油の流れについての詳細な説明も省略する。
【0038】
図3に示すように、差動減速機4の第二の入力軸4bには、メカニカルブレーキを内蔵した油圧ピストンモータ14が接続されている。
【0039】
この油圧ピストンモータ14としては、例えば、0.2Mpa以上のブースト圧力を必要とするアキシャルピストンモータを使用しても良いし、他の形式の油圧ピストンモータを使用しても良い。
【0040】
また、油圧ピストンモータ14に内蔵されているメカニカルブレーキは、例えば、ブレーキ作動時は摩擦板を相手板にスプリングで押し付ける力によりブレーキトルクを発生させ、ブレーキ解除用ポートにスプリング力以上の合う力がかかるとブレーキプランジャがスプリングを押し付け、摩擦板が相手板から離れてブレーキが解放されるようになっている。
【0041】
このように構成されているゲート上昇・降下機構は、高価な切替装置を必要としないだけではなく、第二の入力軸4b側に配置される機構が少ないため、低コスト化や省スペースによる小型化を図ることができる。