特許第5969342号(P5969342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969342
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】電動オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20160804BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   F04C2/10 341H
   F04C15/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-211785(P2012-211785)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-66179(P2014-66179A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 稔
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−112328(JP,A)
【文献】 特開平11−343983(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/116101(WO,A1)
【文献】 特開2013−245611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータロータとステータとを有するモータ部と、
前記モータロータに接続された駆動軸と、
外周に外歯を形成し前記駆動軸により駆動されるポンプロータと内周に前記外歯と噛み合う内歯を形成したアウタロータとを有し、前記駆動軸の回転によって前記外歯と前記内歯との間に形成される複数のポンプ室の容積を連続的に増減変化させるポンプ部と、
前記ポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポートと、
前記ポンプ室の容積が減少する領域に開口する吐出ポートと、
前記モータ部および前記ポンプ部を収容するハウジングと、
前記駆動軸を前記ハウジングに対し回動自在に支持する軸受けと、
を備え、
前記ステータの中心軸線を前記駆動軸の中心軸線よりも前記吐出ポート側にオフセット配置したことを特徴とする電動オイルポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動オイルポンプにおいて、
前記軸受けを、前記モータロータと前記ポンプロータとの間の位置に1つ設けたことを特徴とする電動オイルポンプ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電動オイルポンプにおいて、
前記軸受け、前記ハウジング削り加工により形成されていることを特徴とする電動オイルポンプ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動モータの駆動軸をモータロータとポンプロータとの間の位置で単一の軸受けにより回動自在に支持した電動オイルポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-112328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術にあっては、吐出圧による荷重によってポンプロータが吐出ポート側から吸入ポート側へと押されたとき、回転軸と軸受けのガタ分に応じてモータロータが傾斜するため、モータロータとステータとのエアギャップに回転方向で大小が生じ、磁気吸引力のアンバランスが大きくなるという問題があった。磁気吸引力のアンバランスは、作動時の振動の増大や軸受け部の異常摩耗の要因になりうると考えられるため、出来るだけ小さくするのが好ましい。
本発明の目的は、磁気吸引力のアンバランスを抑制できる電動オイルポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、ステータの中心軸線を駆動軸の中心軸線よりも吐出ポート側にオフセット配置した。
【発明の効果】
【0006】
よって、モータロータが傾斜したときのエアギャップの大小差を抑制でき、磁気吸引力のアンバランスを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の電動オイルポンプ1の縦断面図である。
図2】吐出圧に起因するモータロータ傾斜時のエアギャップの変化を示すモータ部の模式図である。
図3】基準位置からのずれ量に対する作動音の傾向を示す図である。
図4】実施例1の磁気吸引力のアンバランス抑制作用を示すモータ部9の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施例1〕
図1は、実施例1の電動オイルポンプ1の縦断面図である。
実施例1の電動オイルポンプ1は、車両停止時にエンジンが停止する機能を備えた車両の自動変速機用に搭載されるポンプである。自動変速機はエンジンやモータからの回転入力により駆動されるメイン(メカ)ポンプを別途備えているが、エンジンの停止時には、メカポンプも作動しないために油圧を発生させることが出来ず、また、自動変速機内部の要因により油圧が低下すると、再発進時に必要な油圧を確保するまでに時間が掛かるため、運転性の低下を招くことが想定される。そこで、メカポンプとは別に、エンジンの作動状態にかかわらず油圧を吐出可能な電動オイルポンプ1を設け、必要な油圧を担保することで、エンジン再始動および再発進の運転性向上を図る。
電動オイルポンプ1は、例えば、オイルポンプ2とインバータ3とを一体に設けた機電一体型の電動オイルポンプである。
【0009】
[オイルポンプ2の構成]
オイルポンプ2は、外歯を有するポンプロータ4と内歯を有するアウタロータ5とから構成されるポンプ部6と、モータロータ7とステータ8とから構成されるモータ部9とを有する。ポンプロータ4とモータロータ7はロータ駆動軸15で接続されている。
ポンプ部6およびモータ部9は、1つのセンタハウジング10に収容される。センタハウジング10は、アルミダイカストで形成されている。センタハウジング10は、軸方向(図1の水平方向)の両端に開口部を有し、一方の開口内周にアウタロータ5を回転可能に収装するポンプ要素収容部11が形成された筒状のポンプ収容部12が形成され、他方の開口内周においてステータ8を固定支持すると共に内部(モータ室)にモータロータ等を収容するモータ収容部13が形成され、さらにモータ収容部13よりも軸方向外側には、自動変速機に取り付けるためのブラケット14が形成されている。
【0010】
モータロータ7は、ロータ駆動軸15と接続されたロータコア71とロータコア71の外周に埋め込まれた永久磁石72とで構成されている。ステータ8は、ステータコア55とコイル56とで構成されている。ステータコア55は、電磁鋼板が積層されてなり、複数のティースを有する。コイル56は、ティースにコイルワイヤが巻回されたものである。コア本体と巻線されたコイルの間には、樹脂製のインシュレータが装着され、ステータコア55とコイル56との電気的絶縁性を維持している。なお、実施例1のモータ部9は三相ブラシレスモータであり、ステータコア55およびコイル56はU,V,W各相の倍数だけ設けられている。
【0011】
センタハウジング10内部には、ロータ駆動軸15を回動自在に支持する軸受け部16と、軸受け部16をセンタハウジング10の内周と連結すると共にポンプ収容部12とモータ収容部13との間を画成する隔壁10aを有する。軸受け部16は、例えば、センタハウジング10を削り加工して形成したすべり軸受けである。そして、軸受け部16の内周でロータ駆動軸15を回動自在に支持すると共に、モータ収容部13側の端部において、ロータ駆動軸15と軸受け部16内周との間をシールするシール部材17が設けられている。
ポンプカバー18は、ポンプ要素の吐出領域と連通する円筒状に延在された吐出部19と、ポンプ要素の吸入領域と連通する吸入部20と、を有する。吐出部19の先端外周には、シールリング21が取り付けられるシールリング溝22が形成されている。また、ポンプカバー18には、ボルト穴23が形成され、センタハウジング10に形成されたボルト穴24に対し、ボルト25によって締め付け固定される。
【0012】
[インバータ3の構成]
インバータ3は、インバータハウジング26と制御基板27とヒートシンク28とを有する。
インバータハウジング26は、モータ収容部13を閉塞する樹脂製の閉塞部29と、閉塞部29から立設されモータ収容部13の内壁に挿入される円筒状立設部30と、ブラケット14のフランジ面と当接しシール部材31を押圧すると共にボルト32が貫通する貫通穴33を備えたフランジ面34とを有する。これにより、モータ収容部13内(モータ室)は乾燥室として構成され、ポンプ収容部12の内部(ポンプ室)およびポンプ外周は湿室として構成される。
制御基板27は、インバータハウジング26の内部に収容され、例えば、複数のボルト35により締結されている。制御基板27には、FET36や図外のCPU等が表面実装されると共に、コンデンサ37やインダクタ38が取り付けられている。制御基板27とヒートシンク28との間であって、FET36と対応する位置には、平板状の放熱シート39が設けられている。
ヒートシンク28は、インバータハウジング26を閉塞するようにインバータハウジング26に取り付けられている。
インバータ3は、コネクタ40を経由して図外のバッテリから供給される直流電流をFETのスイッチングによってコイル56のU,V,W各相へ順次電流を供給している。制御基板27とコイルワイヤ53との電気的な接合構造については後述する。コイルワイヤ53はU,V,Wの相毎に設けられている。
【0013】
実施例1の電動オイルポンプ1は、自動変速機のハウジング41に形成されたポンプ収容穴42に収容されている。ポンプ収容穴42には、油圧を供給する吐出流路43と、図外のオイルパン内に開口するオイル吸い込み口と連通する吸入流路44とが開口している。吐出流路43には、ポンプ収容穴42に面して拡径部45が形成され、拡径部45には、ポンプカバー18の吐出部19が挿入により嵌合支持されている。吐出流路43とポンプ収容穴42との間はシールリング21によってシールされている。吐出流路43とポンプ要素の吐出領域とは、吐出部19に形成された吐出口46を介して連通している。
隔壁10aのポンプ収容部12には、吸入ポート10bと吐出ポート10cとが凹溝状に設けられている。吸入ポート10bと吐出ポート10cはロータ駆動軸15の軸線方向から見たとき互いに対向する位置に配置されている。吸入ポート10bは吸入部20と連通し、吐出ポート10cは吐出部19と連通している。
実施例1では、図1に示すように、ステータ8の中心軸線Osは、ロータ駆動軸15の中心軸線Odよりも吐出ポート10c側に所定量L1だけオフセット配置されている。
【0014】
次に、作用を説明する。
[磁気吸引力のアンバランスについて]
従来の電動オイルポンプでは、レイアウト成立性、低コスト化を考慮し、ロータ駆動軸の両端で軸受けを持つ構造とせず、モータロータとポンプロータとの間の位置で軸受けを有する構造としている。モータが限られた生存範囲、コストの中でより大きなトルク出力を要求される場合、モータロータ(の永久磁石)−ステータ間のエアギャップを通過する磁束量を大きくする必要があるが、上記従来構造では、この磁束量増大のためにエアギャップを縮小する等の工夫を必要とする。
しかし、磁束量増大によって相互の磁気吸引力も増大することになり、モータロータ−ステータ間のエアギャップずれの影響をより強く受けることになる。エアギャップ量の大小は、回転する軸部の同軸ずれ、各構成部品の寸法公差、組み付け精度、モータロータの傾斜、さらにステータ保持構造等、様々な要因によって発生する。
【0015】
各構成部品の寸法公差、組み付け精度はコスト面や生産性を考慮した場合、汎用的に適切な精度がある。また、モータロータは、軸受けのクリアランスや長さによって幾何学的に決まる分だけ傾斜し得るが、さらにポンプ作動時には、図2に示すように、吐出圧による荷重をポンプロータが受けることによって略一定の方向に傾斜することになる。この吐出圧に起因する傾斜の方向と、各部精度に関係する同軸ずれや傾斜の大小が、同一方向に重なった場合には、モータロータ−ステータ間のエアギャップの大小の影響をより受けやすくなる。
【0016】
よって、従来の電動オイルポンプでは以下の問題点を有している。
電動オイルポンプはエンジンが停止している状況や、エンジンが低回転状態にある場合に動作することが多く、静粛性が重要機能の1つとなっているのに対し、モータロータの傾斜に伴うエアギャップの偏心は、作動時の振動の一つの要因であり、作動音に影響を与えやすい。特に、トルクを要求される場合には大きな影響を受ける。
レイアウトに余裕がない場合においては、モータロータ−ポンプロータ間に設けた軸受けのみで回転を受ける仕様とならざるを得ないが、主にオイルポンプの吐出圧により、ポンプロータが荷重を受けることにより、軸受けのクリアランスの範囲でモータロータが傾斜する。
さらに、各構成部品の寸法精度、組み立てに起因する寸法ばらつき等により、モータロータとステータティース間の同軸ずれが発生する。
一方、駆動軸の両端で軸受け構造を設定することで当該傾斜、偏心を抑制する手法では、レイアウト成立性やコストに影響がある。
【0017】
[作動音とずれ量との関係について]
理想的には、モータロータ−ステータ間の距離=エアギャップ(磁気抵抗)は円周方向で均一となる。しかし実際には、各寸法が全てノミナル(設計基準値)な場合でも、ロータ駆動軸と軸受けとの間にはクリアランスが存在しており、モータロータは幾何学的に所定の傾斜を有する。そして、ポンプ作動時には、ポンプにおいて、ポンプロータは吐出圧により荷重を受けるため、ロータ駆動軸は略一定の方向に傾斜する。この結果、モータロータ−ステータ間のエアギャップ(の最小値)は図2に示すLとなる。このLの値は軸受け穴、ステータなどの同軸度など公差を加味するとさらに大小し、この大小の変動分をエアギャップ基準位置からのずれ量と定義している。
図3は、作動音評価と当該品の分解、測定結果であり、「ずれ量」が大きく、Lの値がより小さくなるほど、作動音が大きくなることが判明している。
【0018】
[ずれ量とノイズとの関係について]
エアギャップが作動音と相関するメカニズムは以下のように推定される。
まず、モータロータ−ステータ間のエアギャップは、モータロータの位置精度、傾きによって個体間のばらつきがあり得る。
1.エアギャップが均等でない理由:モータロータは幾何学的に許容される範囲内で傾斜する。
(a) 構造体が持つ寸法精度(同軸ずれ、軸クリアランスの違い等)
(b) エアギャップの大小による磁気吸引力のアンバランス
(c) ポンプロータには吐出圧によって印加される荷重
2.モータロータの傾きによる影響
(a) モータロータが傾斜することで、ポンプロータ、アウタロータ間で回転面に僅かな角度のずれが生じる。
(b) 傾斜によって、エアギャップが小さくなった側では磁気吸引力(エアギャップの2乗に比例)が大きくなるため、トルク変動が大きくなる。
3.推定
上記2に基づくと、傾き量の大小により、ポンプロータ、アウタロータ間の当たり方(角度やエネルギー)に差が出ることになる。
ポンプロータとアウタロータは回転中に噛み合うことで少なからず接触するため、作動音が発生する。ポンプ部で生じる音の大小は、モータロータの傾きの大小やトルク変動の大小、つまり、モータロータ−ステータ間のエアギャップが感度を持つと推定できる。
なお、補足として、吐出圧の無い状態においては、エアギャップの偏りがある状態でステータの通電が切り替わると、エアギャップの小さい方向が変化していくことになるが、一方で、吐出圧がある状態においては、ポンプロータ、アウタロータ側は吐出圧で付勢されるため、常に一定の傾斜を維持できず、回転中の姿勢が変化する可能性がある。
【0019】
[磁気吸引力のアンバランス抑制作用]
これに対し、実施例1では、ステータ8の中心軸線Osを、ロータ駆動軸15の中心軸線Odよりも吐出ポート10c側に所定量L1だけオフセット配置した。言い換えると、ロータ駆動軸15の中心軸線Odを、ステータ8の中心軸線Osよりも吸入ポート10b側に所定量L1だけオフセット配置した。すなわち、初期的にモータロータ−ステータ間のエアギャップの最小値Lの値を所定量確保できるように、あらかじめステータ8の位置をロータ駆動軸15に対してロータ駆動軸15の傾斜方向にずらして配置している。
このため、図4に示すように、ポンプ作動時、ポンプロータ4が吐出側から吸入側へ吐出圧による荷重を受けてロータ駆動軸15が傾斜したとき、モータロータ−ステータ間のエアギャップの最小値Lを、図2に示した従来技術に対して所定量L1だけ大きく取ることができる。さらに、吐出圧に起因するロータ駆動軸15の基準位置からのずれ量はあらかじめ実験等により求めることができるため、所定量L1を、吐出圧に起因するロータ駆動軸15の基準位置からのずれ量と一致させておくことで、吐出圧に起因するエアギャップの大小を抑制できる。
【0020】
よって、実施例1の電動オイルポンプ1では、吐出圧に起因するモータロータ7の傾斜に加え、各部精度によるエアギャップ大小の影響、つまりは磁気吸引力の大小の影響を最小化できる。
よって、従来構造に対してモータロータ7の傾斜および各部精度に起因するモータロータ−ステータ間の磁気吸引力の周方向でのアンバランスを抑制でき、作動音低減の効果が得られる。
また、モータロータ−ステータ間のエアギャップが過小になるケースでは、軸受けの許容面圧を超過し、例えば、軸受けをアルミボディの削り出しとして形成している場合には、軸受けの異常摩耗発生のおそれがあるのに対し、当該リスクを低減できる。
さらに、軸受け部16が1つであるため、駆動軸の両端を保持する軸受け構造を必要とせず、レイアウト性で有利となり、同時にコストの追加発生を抑制できると共に、作動音に影響する磁気吸引力のアンバランスに対し、レイアウト性やコストへの影響を極小に抑えたまま効果を得ることができる。
加えて、ポンプ収容部12およびモータ収容部13の機能を有するセンタハウジング10に直接の削り加工で軸受け部16を形成することで、軸受けを形成するために、例えば、別部材の圧入などでコストアップにつながる従来構造と比較して、コスト面での抑制効果も期待できる。
【0021】
実施例1の電動オイルポンプ1にあっては、以下の効果を奏する。
(1) モータロータ7とステータ8とを有するモータ部9と、モータロータ7に接続されたロータ駆動軸15と、外周に外歯を形成しロータ駆動軸15により駆動されるポンプロータ4と内周に前記外歯と噛み合う内歯を形成したアウタロータ5とを有し、ロータ駆動軸15の回転によって外歯と内歯との間に形成される複数のポンプ室の容積を連続的に増減変化させるポンプ部6と、ポンプ室の容積が増大する領域に開口する吸入ポート10bと、ポンプ室の容積が減少する領域に開口する吐出ポート10cと、モータ部9およびポンプ部6を収容するセンタハウジング10と、ロータ駆動軸15をセンタハウジング10に対し回動自在に支持する軸受け部16と、を備え、ステータ8の中心軸線Osをロータ駆動軸15の中心軸線Odよりも吐出ポート10c側にオフセット配置した。
これにより、エアギャップの大小差を抑制でき、磁気吸引力のアンバランスを抑制できる。
(2) 軸受け部16を、モータロータ7とポンプロータ4との間の位置に1つ設けたため、レイアウト成立性および低コスト化の点で有利となる。
(3) ポンプ収容部12およびモータ収容部13の機能を有するセンタハウジング10に直接の削り加工で軸受け部16を形成することで、軸受けを形成するために、例えば、別部材の圧入などでコストアップにつながる従来構造と比較して、コスト面での抑制効果も期待できる。
【0022】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施例に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、駆動軸を支持する軸受けとして、モータロータとポンプロータとの間に軸受け部を1つ設けた例を示したが、駆動軸の両端に軸受け部を設けた構成としても良い。駆動軸が両持ち支持された構成であっても吐出圧に起因する傾斜は生じるため、本発明を適用することで、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 電動オイルポンプ
2 オイルポンプ
3 インバータ
4 ポンプロータ
5 アウタロータ
6 ポンプ部
7 モータロータ
8 ステータ
9 モータ部
10 センタハウジング(ハウジング)
10b 吸入ポート
10c 吐出ポート
15 ロータ駆動軸(駆動軸)
16 軸受け部(軸受け)
図1
図2
図3
図4