特許第5969356号(P5969356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969356密閉型電池の製造方法,密閉型電池の封止部材および密閉型電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969356
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】密閉型電池の製造方法,密閉型電池の封止部材および密閉型電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/36 20060101AFI20160804BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20160804BHJP
   H01M 10/058 20100101ALN20160804BHJP
【FI】
   H01M2/36 101D
   H01M10/04 Z
   !H01M10/058
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-243891(P2012-243891)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-93230(P2014-93230A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390035909
【氏名又は名称】興国インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 靖
(72)【発明者】
【氏名】室井 伸也
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−190689(JP,A)
【文献】 特開2007−66600(JP,A)
【文献】 特開2010−157414(JP,A)
【文献】 特開2009−181906(JP,A)
【文献】 特開2008−41548(JP,A)
【文献】 特開2012−248336(JP,A)
【文献】 特開2013−25977(JP,A)
【文献】 特開2013−161596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/36
H01M 10/04
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液を注入するための注液孔が形成されている電池ケースと,前記注液孔を封止する封止部材と,を備える密閉型電池の製造方法において,
前記封止部材として,
金属製の蓋部と,前記蓋部の一側面側に接合された弾性体である軸部と,前記軸部における前記蓋部側の端部の周囲を隙間をあけて囲む弾性体である支持突部と,前記軸部における前記蓋部の反対側から延設された弾性体である先端部と,を備え,
非荷重の状態では,前記支持突部と前記先端部との離間距離が前記注液孔の周縁部の板厚よりも小さく,
前記先端部が,前記注液孔の径よりも大径の係合部を有し,
前記軸部が,前記注液孔の径よりも小径で,且つ,前記注液孔の周縁部の板厚よりも長い軸長を有しているものを用い,
電解液の注入後に前記係合部を前記注液孔の周縁部に圧接させることにより,前記注液孔を気密に仮封止する仮封止工程と,
前記仮封止工程後に前記密閉型電池を初期充電する活性化工程と,
前記活性化工程後に前記先端部を前記注液孔の周縁部の板厚方向に沿って前記蓋部が前記電池ケースに接触せず,且つ,前記先端部が前記注液孔の周縁部から離れる程度に押し込むことにより,前記電池ケースの内部側と外部側を連通する連通路を形成して,前記活性化工程で前記電池ケースの内部に発生したガスを抜くガス抜き工程と,
前記ガス抜き工程後に前記先端部を前記注液孔の周縁部の板厚方向に沿って前記蓋部が前記電池ケースに接触するまで押し込んで前記支持突部を前記蓋部と前記電池ケースとの間で圧縮するとともに,前記蓋部を前記電池ケースに対して接合することにより,前記蓋部の内側に前記連通路を形成したまま前記注液孔を封止する本封止工程と,を含むことを特徴とする密閉型電池の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の密閉型電池の製造方法であって,
前記封止部材として,前記先端部に,前記注液孔への押し込み方向に直交する方向に沿う切欠部が形成されているものを用いることを特徴とする密閉型電池の製造方法。
【請求項3】
電池ケースの外部から内部へ電解液を注入するための注液孔を封止する密閉型電池の封止部材であって,
金属製の蓋部と,前記蓋部の一側面側に接合された弾性体である軸部と,前記軸部における前記蓋部側の端部の周囲を隙間をあけて囲む弾性体である支持突部と,前記軸部における前記蓋部の反対側から延設された弾性体である先端部と,を備え,
非荷重の状態では,前記支持突部と前記先端部との離間距離が前記注液孔の周縁部の板厚よりも小さく,
前記先端部は,前記注液孔の径よりも大径の係合部を有し,前記蓋部を前記電池ケースに対して接合した状態では,前記注液孔の周縁部から離れるものであり,
前記軸部は,前記注液孔の径よりも小径で,且つ,前記注液孔の周縁部の板厚よりも長い軸長を有し,
前記支持突部は,前記蓋部を前記電池ケースに対して接合した状態では,前記蓋部と前記電池ケースとの間で圧縮されるものである
ことを特徴とする密閉型電池の封止部材。
【請求項4】
電解液を注入するための注液孔が形成されている電池ケースと,前記注液孔を封止している封止部材と,を備える密閉型電池であって,
前記封止部材は,
金属製の蓋部と,前記蓋部の一側面側に接合された弾性体である軸部と,前記軸部における前記蓋部側の端部の周囲を隙間をあけて囲む弾性体である支持突部と,前記軸部における前記蓋部の反対側から延設された弾性体である先端部と,を備えており,
非荷重の状態では,前記支持突部と前記先端部との離間距離が前記注液孔の周縁部の板厚よりも小さいものであり,
前記蓋部は,前記電池ケースの外表面側に接合されて前記注液孔を塞いでおり,
前記先端部は,前記注液孔の径よりも大径の係合部を有しているとともに,前記注液孔の周縁部から離れた状態で前記電池ケースの内部に配されており,
前記軸部は,前記注液孔の径よりも小径で,且つ,前記注液孔の周縁部の板厚よりも長い軸長を有しているとともに,前記注液孔内に位置しており,
前記支持突部は,前記蓋部と前記電池ケースとの間で圧縮されており,
前記蓋部の内側には,前記電池ケースの内部側と外部側を連通する連通路が形成されていることを特徴とする密閉型電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,リチウムイオン二次電池等の密閉型電池の製造方法等に関する。詳しくは,電解液の注液孔を塞ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,リチウムイオン二次電池などの密閉型電池は,携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器,ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両等,多岐にわたる分野で利用されている。特にリチウムイオン二次電池は,エネルギー密度が高いため,各種の機器に搭載する上で好適である。
【0003】
このような密閉型電池の製造方法の一例として,次に示す方法が知られている。すなわち,まず,正極活物質を有する正極板および負極活物質を有する負極板を備える発電要素(電極体)を,金属製の電池ケース本体内に収納し,電池ケースを封止(密閉)する。次に,電池ケースに設けられた注液孔から,電池ケース内部に電解液を注入して,発電要素に含侵させる。その後,注液栓(封止部材)により注液孔を仮封止する。
【0004】
ここで,組立直後の電池(電池組立体)は未充電状態にあるので,この電池組立体に対して初期充電を行う。初期充電とは,組み立てた電池に対して初めて行う充電である。初期充電を行うと,電池内にガスが発生し,電池の内圧が上昇する。そのため,初期充電後には,一旦,電池の密閉状態を解いて電池ケース内のガスを放出させる必要がある。
【0005】
このガスの放出(ガス抜き)は,電池ケースに設けられた注液孔を通じて電池ケースの内外を連通するガス抜き通路を形成することにより行われる。そして,ガス抜きが終了したら,このガス抜き通路を封止して,電池ケース内を再び密閉状態とする。このようにして密閉型電池が製造される。
【0006】
この種の電池の製造方法に関する従来技術文献として,例えば下記特許文献1が挙げられる。下記特許文献1に記載の技術では,電池ケースの注液孔の周辺にフィルムを溶着させることにより,仮封止を行う。そして,フィルムに孔をあけることでガス抜け通路を形成し,その状態でガス抜きを行う。ガス抜き後は,ガス抜き通路を塞ぐためにさらにフィルムを融着させて2度目の仮封止を行うとともに,そのフィルムの外側から金属部材を溶接(接合)することで本封止を行う。このような電池の製造方法によれば,電池ケースの注液孔をフィルムで塞ぐため,仮封止状態の耐圧密閉性を十分に確保することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−181906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,上記文献に記載の技術には次に示す点において改良の余地があった。すなわち,上記文献に示す技術は,仮封止にフィルムを用い,本封止に金属部材を用いるものである。よって,注液孔の封止に必要な部品点数が複数となり,その分,製造工程が複雑となっていた。また,本封止後の電池は,フィルムによる封止(仮封止)と,金属部材の溶接による封止(本封止)との二重の封止がなされた状態にある。よって,溶接不良(接合不良)の有無を容易に調べることができなかった。すなわち,上記文献に記載の技術では,フィルムにより封止状態が保たれるため,仮に金属部材の溶接に不良がある場合でも,ガスセンサーを用いて溶接部分(接合部分)の気密性を容易に検査することが難しかった。
【0009】
本発明は,上記のような事情に鑑みてなされたものである。すなわちその課題とするところは,仮封止および本封止を単一の部材で行うことができ,且つ,接合部分の気密性検査を,ガスセンサーを用いて容易に行うことが可能な密閉型電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の密閉型電池の製造方法は,電解液を注入するための注液孔が形成されている電池ケースと,注液孔を封止する封止部材と,を備える密閉型電池の製造方法であって,封止部材として,金属製の蓋部と,蓋部の一側面側に接合された弾性体である軸部と,軸部における蓋部側の端部の周囲を隙間をあけて囲む弾性体である支持突部と,軸部における蓋部の反対側から延設された弾性体である先端部と,を備え,非荷重の状態では,支持突部と先端部との離間距離が注液孔の周縁部の板厚よりも小さく,先端部が,注液孔の径よりも大径の係合部を有し,軸部が,注液孔の径よりも小径で,且つ,注液孔の周縁部の板厚よりも長い軸長を有しているものを用いる。ここで,非荷重の状態とは,封止部材に全く荷重がかかっていない状態のことである。
この密閉型電池の製造方法は,電解液の注入後に係合部を注液孔の周縁部に圧接させることにより,注液孔を気密に仮封止する仮封止工程と,仮封止工程後に密閉型電池を初期充電する活性化工程と,活性化工程後に先端部を注液孔の周縁部の板厚方向に沿って蓋部が電池ケースに接触せず,且つ,先端部が注液孔の周縁部から離れる程度に押し込むことにより,電池ケースの内部側と外部側を連通する連通路を形成して,活性化工程で電池ケースの内部に発生したガスを抜くガス抜き工程と,ガス抜き工程後に先端部を注液孔の周縁部の板厚方向に沿って蓋部が電池ケースに接触するまで押し込んで支持突部を蓋部と電池ケースとの間で圧縮するとともに,蓋部を電池ケースに対して接合することにより,蓋部の内側に連通路を形成したまま注液孔を封止する本封止工程と,を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば,先端部の係合部が注液孔の径よりも大径であるから,仮封止工程では,係合部で注液孔を気密に封止することができる。ここで,封止部材は,非荷重の状態では,支持突部と先端部との離間距離が注液孔の周縁部の板厚よりも小さいものである。そのため,先端部と支持突部とにより注液孔の周縁部を挟持できる。よって,先端部の係合部と,注液孔の周縁部の内表面側とを密着させて,注液孔を強固に封止することができる。
また本発明によれば,軸部が注液孔の径よりも小径であるから,注液孔に挿通された軸部と注液孔の内周面との間に隙間が形成される。また,軸部の軸長が注液孔の周縁部の板厚よりも長いため,先端部と注液孔の周縁部とを離間させることができる。また,支持突部により,接合前の蓋部を電池ケースに対して離間状態に支持することができる。また,この支持突部は,軸部の周囲を隙間をあけて囲むものである。従って,活性化後のガス抜き工程では,先端部を注液孔の周縁部の板厚方向に沿って押し込むことにより,係合部による注液孔の密閉を解き,電池ケースの内部側と外部側を連通する連通路を形成できる。そしてこの連通路を介して,仮封止後の初期充電によって電池ケース内部に発生したガスを,蓋部の接合(本封止)前に電池ケースの外部へ放出することができる。
さらに本発明の本封止工程では,先端部を注液孔の周縁部の板厚方向に沿ってさらに押し込むとともに,蓋部の内側に連通路が形成された状態で蓋部を電池ケースに接合する。そのため,この方法により製造される密閉型電池の注液孔は,蓋部の接合により封止されているのみであり,先端部や軸部,支持突部によっては封止されていない。すなわち,蓋部の接合以外にも封止がなされた二重封止の状態にはない。従って,ガスセンサーを用いることで,接合不良を容易に発見することができる。
このように本発明によれば,一つの部品(封止部材)によって,仮封止工程,ガス抜き工程,及び,本封止工程を行うことが可能となる。また,出来上がった電池に対して接合不良の確認を行うことが可能となる。
【0012】
ここで本発明の密閉型電池の製造方法では,封止部材として,先端部に,注液孔への押し込み方向に直交する方向に沿う切欠部が形成されているものを用いることが望ましい。
このように構成すれば,先端部を注液孔に挿通させる際に,切欠部によって肉抜きされている分だけ,先端部が撓む。よって,先端部の注液孔への挿通を容易に行うことができる。
【0013】
また本発明の密閉型電池の封止部材は,電池ケースの外部から内部へ電解液を注入するための注液孔を封止する密閉型電池の封止部材であって,金属製の蓋部と,蓋部の一側面側に接合された弾性体である軸部と,軸部における蓋部側の端部の周囲を隙間をあけて囲む弾性体である支持突部と,軸部における蓋部の反対側から延設された弾性体である先端部と,を備え,非荷重の状態では,支持突部と先端部との離間距離が注液孔の周縁部の板厚よりも小さく,先端部は,注液孔の径よりも大径の係合部を有し,蓋部を電池ケースに対して接合した状態では,注液孔の周縁部から離れるものであり,軸部は,注液孔の径よりも小径で,且つ,注液孔の周縁部の板厚よりも長い軸長を有し,支持突部は,蓋部を電池ケースに対して接合した状態では,蓋部と電池ケースとの間で圧縮されるものである。
本発明の密閉型電池の封止部材を用いれば,上述したように,一つの部品(封止部材)によって,仮封止工程,ガス抜き工程,及び,本封止工程を行うことが可能となる。また,出来上がった電池に対して接合不良の確認を行うことが可能となる。
【0014】
また本発明の密閉型電池は,電解液を注入するための注液孔が形成されている電池ケースと,注液孔を封止している封止部材と,を備える密閉型電池であって,封止部材は,金属製の蓋部と,蓋部の一側面側に接合された弾性体である軸部と,軸部における蓋部側の端部の周囲を隙間をあけて囲む弾性体である支持突部と,軸部における蓋部の反対側から延設された弾性体である先端部と,を備えており,非荷重の状態では,支持突部と先端部との離間距離が注液孔の周縁部の板厚よりも小さいものであり,蓋部は,電池ケースの外表面側に接合されて注液孔を塞いでおり,先端部は,注液孔の径よりも大径の係合部を有しているとともに,注液孔の周縁部から離れた状態で電池ケースの内部に配されており,軸部は,注液孔の径よりも小径で,且つ,注液孔の周縁部の板厚よりも長い軸長を有しているとともに,注液孔内に位置しており,支持突部は,蓋部と電池ケースとの間で圧縮されており,蓋部の内側には,電池ケースの内部側と外部側を連通する連通路が形成されている。
本発明の密閉型電池によれば,注液孔は蓋部の接合により封止されているのみであり,先端部や軸部,支持突部によっては封止されていない。すなわち,注液孔は,蓋部の接合以外にも封止がなされた二重封止の状態にはない。従って,ガスセンサーを用いることで,接合不良を容易に発見することができる。また本発明によれば,上述したように,その製造過程において,一つの部品(封止部材)によって,仮封止工程,ガス抜き工程,及び,本封止工程を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,仮封止および本封止を単一の部材で行うことができる。加えて,接合部分の気密性検査を,ガスセンサーを用いて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る電池を示す縦断面図である。
図2】同電池が備えるケース蓋部材,正極端子及び負極端子等の詳細を示す斜視図である。
図3】同ケース蓋部材に設けられた注液孔を示す端面図である。
図4】同電池が備える封止部材を示す底面図である。
図5図4に示すA−A断面図である。
図6図4に示すB−B断面図である。
図7】注液孔を封止部材で仮封止した状態を示す端面図である。
図8】注液孔を介して電池ケースの内外を連通させた状態を示す端面図である
図9】注液孔を封止部材で本封止した状態を示す端面図である。
図10図8に示すC−C断面図である。
図11】同電池の製造工程を示すフローチャートである。
図12】第2実施形態に係る車両を示す図である。
図13】第3実施形態に係る電池使用機器を示す図である。
図14】変更例に係る電池が備える封止部材を示す側面図である。
図15図14に示すD−D断面図である。
図16】他の変更例に係る電池において,注液孔を封止部材で仮封止した状態を示す端面図である。
図17】さらに他の変更例に係る電池における注液孔周辺の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下,本発明の実施の形態を,図面を参照しつつ説明する。図1に,第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池(密閉型電池)100(以下,単に電池100とも言う)を示す。また,図2に,ケース蓋部材113,正極端子150及び負極端子160等の詳細を示す。
【0018】
この電池100は,ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両や,ハンマードリル等の電池使用機器に搭載される角型電池である。この電池100は,図1に示すように,角型の電池ケース110,この電池ケース110内に収容された捲回型の電極体(発電要素)120,電池ケース110に支持された正極端子150及び負極端子160等から構成されている。また,電極体120には,非水系の電解液117が含侵されている。なお,本明細書において,特に断りのない限りは,上下左右は,図1を基準にいうものとし,また,図1中紙面手前側を前方,紙面奥側を後方というものとする。
【0019】
電池ケース110は,金属,具体的にはアルミニウムから形成されている。電池ケース110は,上側のみが開口した箱状のケース本体部材111と,このケース本体部材111の開口111hを閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材113とから構成されている。ケース蓋部材113には,電池ケース110の内圧が所定圧力に達した際に破断する安全弁113jが設けられている(図1及び図2参照)。また,このケース蓋部材113には,注液孔10が設けられている。注液孔10は,封止部材30で気密に封止されている。注液孔10及び封止部材30については,後に詳述する。
【0020】
また,ケース蓋部材113には,正極端子150及び負極端子160が,組み付けられている。図2に示すように,正極端子150及び負極端子160は,それぞれ3つの端子金具151,152,153により構成されている。また,正極端子150及び負極端子160は,それぞれ3つの絶縁部材155,156,157を介して組み付けられている。図1に示すように,電池ケース110内において,正極端子150は,電極体120の正極板121(詳しくは正極板121の正極集電部121m)に接続されている。また,負極端子160は,電極体120の負極板131(詳しくは負極板131の負極集電部131m)に接続されている。
【0021】
電極体120は,図1に示すように,絶縁フィルムを上側のみが開口した袋状に形成した絶縁フィルム包囲体115内に収容され,横倒しにした状態で電池ケース110内に収容されている。この電極体120は,帯状の正極板121と帯状の負極板131とを,通気性を有する帯状のセパレータ141を介して互いに重ねて捲回し,扁平状に圧縮したものである。
【0022】
正極板121は,帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔(正極芯材)122に,正極活物質層を設けたものである。正極活物質層は,正極活物質,導電剤及び結着剤から形成されている。また,負極板131は,帯状の銅箔からなる負極集電箔(負極芯材)132に,負極活物質層を設けたものである。負極活物質層は,負極活物質,結着剤及び増粘剤から形成されている。また,セパレータ141は,帯状の樹脂である。具体的にはポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)からなる多孔質膜である。
【0023】
続いて,注液孔10及び封止部材30について詳述する。注液孔10は,図3に示すように,電解液117を電池ケース110内に注入するために,電池ケース110のケース蓋部材113に形成された孔である。注液孔10は,電池ケース110の内外を連通している。注液孔10の周囲は,ケース蓋部材113の上面113aよりも一段下がった円環状の段差面11aとなっている。なお,上面113aも段差面11aも電池ケースの外表面である。また,注液孔10は,ケース蓋部材113の内壁面113fによって構成される円孔である。内壁面113fは,注液孔10の内周面10aでもある。段差面11aは,ケース蓋部材113の厚み方向(板厚方向)の中央より上側に位置する。段差面11aとケース蓋部材113の上面113aとは,円筒面11bにより結ばれている。円筒面11bにより囲まれる円孔は,内周面10aにより囲まれる注液孔10よりも大径である。具体的には,内周面10aにより形成される注液孔10の大きさは,直径が1.6mm程度,高さが1.05mm程度である。また,円筒面11bによって形成される円孔の大きさは,直径が3.8mm,高さが0.35mmである。
【0024】
封止部材30は,図4〜6に示すように,挿入部31と蓋部70とから構成されている。図4は,封止部材30の底面図である。図5は,図4に示すA−A断面図である。図6は,図4に示すB−B断面図である。蓋部70は,電池ケース110の材質と同じ材質,具体的には,アルミニウムからなる。この蓋部70は,第1主面(外表面)70a及び第2主面(内表面,裏面)70bを有する円板状をなす。蓋部70の直径は,5.0mm程度である。蓋部70の第2主面70bの中央には,挿入部31の上面31aが接合されている。これにより,蓋部70と挿入部31とが一体化されている。
【0025】
挿入部31は,ゴム弾性を有する樹脂材料からなる。具体的には,挿入部31は,エチレンプロピレンゴム(EPDM)からなる。EPDMは,硬度調整可能なゴム材料である。従って,挿入部31の硬度を適宜調整することにより,電池100の内圧に応じた注液孔10にとっての最適なシール性を確保することができる。また,挿入部31を注液孔10に挿入する際の押込荷重を適宜調整することができる。なお,挿入部31には,EPDMの他,ニトリルゴム(NBR)やスチレンブタンジエンゴム(SBR)など他のゴム材料を使用することができる。
【0026】
この挿入部31は,図5中,下から蓋部70に向かって順に,先端部40,軸部50,突出部60を備えている。軸部50は,鉛直方向に沿って延びる円柱形状をなしている。軸部50は,封止部材30の組付完了状態(図9参照)において,注液孔10内に挿通されている。軸部50の横断面における直径は,注液孔10の直径と比べて若干小さく,1.5mmである。そのため,軸部50と注液孔10の内周面10aとの間には隙間が形成される。また,軸部50の軸長(ケース蓋部材113における注液孔10の周縁部11(図3参照)の板厚方向に沿う軸長,さらに言い換えれば,注液孔10の貫通方向(上下方向)に沿う軸長)は,注液孔10自体の厚さ寸法よりも長い。そのため,軸部50を注液孔10に挿通させた状態において,先端部40を電池ケース110の内表面113bから離すことができる(図8,9参照)。
【0027】
先端部40は,図5に示すように,軸部50から遠い一端部40aと,軸部50に近い他端部(基端部)40bと,テーパー部41とを有した略円錐台形状である。テーパー部41は,一端部40aから他端部40bにかけて徐々に拡径している。すなわち先端部40は,径小な一端面40cと,径大な他端面(基端面)40dと,これらの間を結ぶ側面40eとを有する略円錐台形状をなしている。一端部40aの直径(図4中のD1参照)は,1.5mm程度であり,注液孔10の直径よりも若干小さい。他端部40bの直径(図4中のD2参照)は,2.2mm程度であり,注液孔10の直径よりも大きい。この挿入部31を注液孔10へ挿入する際には,一端部40aと他端部40bとの間のテーパー部41を,注液孔10の周縁部11(図3参照)に圧接させることにより,先端部40を弾性変形させながら押し込む。このようにして,先端部40を電池ケース110内に押し入れた状態が,図7に示す状態である。
【0028】
また,図4,5に示すように,先端部40には,底面から見て略一文字状の切欠部44が形成されている。すなわち,先端部40は,切欠部44によって左側先端部45と,右側先端部46とに分かれている。このため,先端部40を注液孔10に押し込んだときには,左側先端部45と右側先端部46とが互いに近づくように撓む。これにより,先端部40の注液孔10への挿入がしやすくなっている。なお,この切欠部44の形状は,底面から見て一文字であるが,Y字や十字形状など他の形状としてもよい。Y字や十字形状であれば,一文字形状よりもさらに先端部40の挿入性を向上させることができる。但し,一文字形状とした場合よりも先端部40の剛性が低下するため,その分先端部40の剛性を高くすることが望ましい。先端部40の剛性が低すぎると,先端部40を電池ケース110の内部に圧入した後(図7参照),蓋部70とケース蓋部材113との間で圧縮されている突出部60の復元力により,先端部40が電池ケース110の内部から抜けてしまうおそれがあるからである。この点,実施形態の電池100では,切欠部44を一文字とすることにより,先端部40が注液孔10から抜け易くならない程度に,先端部40の注液孔10への挿通し易さを確保している。また,実施形態では,切欠部44は,鉛直方向に沿って軸部50に至る程度の深さで形成されている(図5参照)。しかし切欠部44は,必ずしも軸部50に至る程度の深さを有するものでなくてもよい。
【0029】
突出部60は,図5,6に示すように,軸部50における蓋部70側の端部50aからラジアル方向に延設されている。この突出部60は,図4に示すように,90度ずつの間隔で4つ設けられている。4つの突出部60は,切欠部44に対してバランス良く配置されている。
【0030】
各突出部60は,図4,6に示すように,支持突部61と,支持突部61と軸部50とを繋ぐ延設部65とを備えている。支持突部61は,挿入部31を電池ケース110の内部に挿入した状態において蓋部70とケース蓋部材113との間に隙間(図8及び図10に示すG1参照)を形成するためのものである。言い換えれば,支持突部61は,図8に示すように,蓋部70の裏面70bから電池ケース110に向かって突出して,溶接前の蓋部70を電池ケース110に対して離間状態に支持するものである。4つの支持突部61が蓋部70を支持し,ケース蓋部材113との間に隙間G1(図8及び図10参照)を形成している状態においては,段差面11aと蓋部70の裏面70bとの間には,空間部Sが形成される。従って実施形態の電池100では,注液孔10と空間部Sを介して電池ケース110の内外を連通させることができる(図8及び図10参照)。
【0031】
なお,この空間部Sは,後述する本封止後(図9参照)においても形成され続ける。より具体的には,図9に示すように,本封止後の電池100は,先端部40の基端面40dがケース蓋部材113の内表面113bから離れている(実施形態では,先端部40の基端面40dとケース蓋部材113の内表面113bとの間隙は0.1mm程度)。また,軸部50の側面50bが注液孔10の内周面10aから離れている。さらには,支持突部61が段差面11aと蓋部70との間で圧縮されているものの,空間部Sが存在している状態にある。すなわち,電池ケース110の内部で発生したガスが,注液孔10及び空間部Sを通って円筒面11bまで至ることが可能な状態にある。なお,このようにして蓋部70の裏面70b側(内側)に形成されるガス流路を,連通路R(電池ケース110の内部側と外部側とを連通する連通路R)と称する。
【0032】
また図9に示す本封止後の電池100は,蓋部70がケース蓋部材113に対して接合された状態にある。具体的には,蓋部70の外周縁に沿う円環状の周縁部71と,ケース蓋部材113のうち注液孔10の周囲(詳しくは段差面11aの周囲)を囲む円環状の孔周囲部113mとが,レーザー溶接によりシームレスに溶接されている。これにより,円環状の溶接部75が形成される。このような溶接により,蓋部70の周縁部71とケース蓋部材113の孔周囲部113mとの間は,気密に封止される。すなわち,注液孔10は,気密に封止される。
【0033】
次いで,上記電池100の製造方法について説明する。まず,別途形成した帯状の正極板121及び負極板131を,帯状のセパレータ141を介して互いに重ねて捲回する。その後,これを扁平状に圧縮して電極体120を形成する(図1参照)。
【0034】
また,安全弁113j及び注液孔10を形成したケース蓋部材113を用意し,3種類の端子金具151,152,153と,3種類の絶縁部材155,156,157とを用いて,このケース蓋部材113に正極端子150及び負極端子160を組み付ける(図2参照)。その後,正極端子150と電極体120の正極集電部121mとを接続すると共に,負極端子160と電極体120の負極集電部131mとを接続する(図1参照)。
【0035】
次に,ケース本体部材111及び絶縁フィルム包囲体115を用意し,ケース本体部材111内に絶縁フィルム包囲体115を介して電極体120を収容すると共に,ケース本体部材111の開口111hをケース蓋部材113で塞ぐ。そして,レーザー溶接により,ケース本体部材111とケース蓋部材113とを溶接して,電池ケース110を形成する(図1参照)。
【0036】
電池ケース110の形成後は,図11に示すように,注液工程(S10),清掃工程(S20),仮封止工程(S30),活性化工程(S40),ガス抜き工程(S50),本封止工程(S60),及び,気密検査工程(S70)を順次行って,電池100を完成させる。注液工程では,注液用ノズルを注液孔10内に挿入して,注液用ノズルから電池ケース110内に電解液117を注液する。次に,注液孔10の周囲(孔周囲部113mを含む)を清掃する(清掃工程)。具体的には,不織布により,注液孔10の周囲を拭く。前述した電解液117の注入の際に,電解液117が注液孔10の周囲に付着するおそれがあるので,この清掃工程で注液孔10の周囲を清掃することにより,注液孔10の周囲を清浄するのである。
【0037】
次に,別途形成した挿入部31と蓋部70とからなる封止部材30(図4〜6参照)を用いて,注液孔10を仮封止する(仮封止工程)。具体的には,図7に示すように,挿入部31の先端部40を,電池ケース110の外部から注液孔10に圧入させていく。そして,注液孔10を通過させ,電池ケース110の内部まで押し入れる。ここで,第1実施形態の電池100では,支持突部61と先端部40との注液孔10の周縁部11の板厚方向に沿う離隔距離(図6に示すL1参照)は,注液孔10の周縁部11の板厚(図3に示すL2参照)よりも小さい。従って,電池ケース110の内部にある先端部40と,電池ケース110の外部にある支持突部61とにより,注液孔10の周縁部11が挟持されることとなる。そのため,先端部40における基端部40bの基端面40dと,注液孔10の周縁部11の内表面113bとが密着する。これは,支持突部61が蓋部70と電池ケース110との間で多少圧縮されることで生じる圧縮応力によるものである。この基端面40dと内表面113bとの密着により,注液孔10が電池ケース110の内側から気密に封止(仮封止)される。なお,第1実施形態では,先端部40の基端部40bが,特許請求の範囲の係合部に相当する。この基端部40bは,先端部40の注液孔10に対する抜け止めとしても機能している。
【0038】
次に,この電池100の初期充電を行う(活性化工程,初期充電工程ともいう)。このとき,電池ケース110内には,水素などのガスが発生にする。そのため,活性化工程に続いて,ガス抜き工程を行う。具体的には,図8及び図10に示すように,蓋部70を電池ケース110に近づけるように押下する。すなわち,挿入部31を注液孔10に押し込む。これにより,電池ケース110の内外が注液孔10及び空間部Sを介して連通した状態となる。すなわち,この挿入部31の押込みは,先端部40の基端面40dが,ケース蓋部材113の内表面113bと離間する程度であって,蓋部70の裏面70bがケース蓋部材113の上面113aと接触しない程度に行う。これにより,活性化工程で電池ケース110内に発生したガスを電池ケース110外へ放出することができる。
【0039】
次に,封止部材30の蓋部70をケース蓋部材113に対してレーザー溶接する(本封止工程)。具体的には,図9に示すように,蓋部70を押下して挿入部31を注液孔10に対してさらに押し込むことにより,蓋部70の裏面70bをケース蓋部材113の上面113aに圧接させる。そしてこの状態で蓋部70の周縁部71をケース蓋部材113の孔周囲部113mに対して環状にレーザー溶接する。これにより,注液孔10が気密に封止される。なお,本封止後の電池100においては,先端部40や軸部50は電池ケース110と接していない。また,支持突部61により空間部Sが形成されている。すなわち,支持突部61は,軸部50の周囲を隙間(空間部S)をあけて囲んでいる。そのため,注液孔10の封止は,あくまで蓋部70の溶接によるもののみとなっており,蓋部70の溶接と挿入部31の圧接による二重封止とはなっていない。
【0040】
最後に,蓋部70と孔周囲部113mとの間の気密性を検査する(気密検査工程)。具体的には,この電池100を真空チャンバ内に置いて,真空チャンバ内を減圧する(例えば,ゲージ圧:−90KPa)。そして,封止部材30の近傍に,ガスセンサー(例えば,Hydrogen Leak Detector H2000:センシスター製)を設置して,所定時間(例えば,120秒間),ガスを検知する。上述したように,実施形態の電池100では,注液孔10の封止は二重封止となっていない。そのため,ガスセンサーによりガスが検知された場合には,蓋部70と孔周囲部113mとの間に溶接不良(接合不良)が生じていることが判る。もし溶接不良が発見された場合には,その電池100を排除する。これにより,製造する電池100の気密信頼性を確保している。以上の工程を経ることで,電池100が完成する。
【0041】
以上説明したように,第1実施形態の電池100は,電極体120(発電要素)と,電解液117の注液孔10が形成されているとともに,電極体120を内部に収容している電池ケース110と,注液孔10を塞いでいる封止部材30と,を備える。封止部材30は,電池ケース110の内部に配されている,弾性体である先端部40と,電池ケース110の上面113a(外表面)側に接合されて注液孔10を塞いでいる蓋部70と,先端部40と蓋部70とを連繋しており,注液孔10内に位置している軸部50と,軸部50の周囲を隙間をあけて囲んで設けられ,蓋部70から電池ケース110へ向けて突出している,弾性体である4つの支持突部61と,を備える。すなわち,4つの支持突部61は,注液孔10の中心軸から外側に向かう方向に沿って肉のない部分が存在する形状で構成されている。
【0042】
先端部40は,注液孔10よりも太く(すなわち注液孔10の径より大径に)形成された基端部40b(係合部)を備える。基端部40bは,注液孔10の周縁部11と係合して注液孔10を封止するものである。軸部50は,注液孔10よりも細く(すなわち注液孔10の径より小径に)形成されており,且つ,電池ケース110における注液孔10の周縁部11の板厚よりも長い軸長(図6に示すL3参照)を有するものである。より詳細には,軸部50の軸長は,図8及び図10に示す状態をとることができる程度の長さに設定されている。すなわち,支持突部61により蓋部70が電池ケース110に対して離間状態に支持されている状態で,先端部40と電池ケース110の内表面113bとが接しておらず,電池ケース110の内外が注液孔10及び空間部Sを介して連通している状態を形成可能な程度の長さに設定されている。支持突部61は,蓋部70における電池ケース110側の裏面70bと電池ケース110の段差面11a(外表面)との間で圧縮されている。
【0043】
このように構成された第1実施形態の電池100によれば,注液孔10よりも太い基端部40b(係合部)を有する先端部40により,注液孔10を仮封止することができる。
【0044】
また,軸部50は注液孔10よりも細い。そのため,注液孔10に挿通されている軸部50と,注液孔10の内周面10aとの間には隙間がある。また,軸部50の軸長は,注液孔10の周縁部11の板厚よりも長い。そのため,軸部50を注液孔10へ挿通した状態で,先端部40と電池ケース110の内表面113bとの間に隙間を形成することができる。また,支持突部61は,蓋部70が電池ケース110に接合されている場合には(図9参照),蓋部70と電池ケース110の間で圧縮されている。言い換えれば,支持突部61は,蓋部70が電池ケース110に接合される前は(図8参照),蓋部70の接合時ほど圧縮されていない状態にある。そのため,支持突部61により,接合前の蓋部70を電池ケース110に対して離間状態に支持することができる。さらにこの支持突部61は,軸部50の周囲を隙間をあけて囲んでいる。従って,蓋部70の接合前には,電池ケース110の内外を,注液孔10や,支持突部61により形成される軸部50の周囲の隙間(空間部S)を介して連通させることができる。よって,仮封止後の初期充電によって電池ケース110の内部に発生したガスを,蓋部70の接合(本封止)前に電池ケース110の外部へ放出することができる。
【0045】
さらに実施形態の電池100によれば,注液孔10は蓋部70の接合により封止されているのみであり,先端部40や軸部50,支持突部61によっては封止されていない。すなわち,注液孔10は,蓋部70の溶接以外にも封止がなされた二重封止の状態にはない。従って,ガスセンサーを用いることで,接合不良を容易に発見することができる。
【0046】
また第1実施形態の電池100は,注液孔10の周縁部11の板厚方向に沿う支持突部61と先端部40との離隔距離(図6のL1参照)が,注液孔10の周縁部11の板厚(図3のL2参照)よりも小さい。従って,蓋部70の溶接前においては,電池ケース110の内部にある先端部40と,電池ケース110の外部にある支持突部61とにより,電池ケース110における注液孔10の周縁部11が挟持されることとなる。よって,先端部40の基端部40bと,注液孔10の周縁部11の内表面113b側とを密着させて,注液孔10を仮封止することができる。この仮封止は,先端部40と支持突部61とが電池ケース110を挟持することにより強固に維持される。そのため,単に先端部40を注液孔10の周縁部11の段差面11a(外表面)側に圧接させる封止と比べて,電池100の内圧上昇による封止部材30の浮き上がりが生じにくい。よって第1実施形態の電池100によれば,仮封止状態を確実に維持することができる。
【0047】
また第1実施形態の電池100では,先端部40は,注液孔10の周縁部11の板厚方向に直交する方向に沿う切欠部44を有している。そのため,先端部40を注液孔10に挿通させる際には,切欠部44によって肉抜きされている分だけ,先端部40が撓む。よって,先端部40の注液孔10への挿通を容易に行うことができる。
【0048】
また第1実施形態の電池100の製造方法は,電解液117の注入後に基端部40b(係合部)を注液孔10に圧接させることにより,注液孔10を気密に仮封止する仮封止工程と,仮封止工程後に電池100を初期充電する活性化工程と,活性化工程後に先端部40を注液孔10の周縁部11の板厚方向に沿って蓋部70が電池ケース110に接触しない程度に押し込み,電池ケース110の内外を注液孔10および空間部Sを介して連通させることにより,活性化工程で電池ケース110の内部に発生したガスを抜くガス抜き工程と,ガス抜き工程後に先端部40を注液孔10の周縁部11の板厚方向に沿って蓋部70が電池ケース110に接触するまで押し込み,蓋部70を電池ケース110に対して溶接(接合)することにより,注液孔10を封止する本封止工程と,を備える。
【0049】
このような製造方法によれば,仮封止,ガス抜き,及び本封止を単一の封止部材30により行うことができる。また,本封止としての溶接に不良が生じていないかどうかを,ガスセンサーなどのガスセンサーを用いて容易に検出することができる。また,本封止を溶接により行っているため,リベットを用いたかしめによる本封止と比べて,封止性が良い。
【0050】
(第2実施形態)
次いで,図12に基づいて,第2の実施形態について説明する。図12に示すように,第2の実施形態に係る車両700は,上記第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池100を有する組電池710を搭載し,この組電池710(電池100)に蓄えた電気エネルギーを,駆動源の駆動エネルギーの全部または一部として使用するものである。
【0051】
この車両700は,組電池710を搭載し,エンジン740,フロントモータ720及びリアモータ730を併用して駆動するハイブリッド自動車である。具体的には,この車両700は,車体790,エンジン740,これに取り付けられたフロントモータ720,リアモータ730,ケーブル750,インバータ760を備える。更に,この車両700は,複数の電池100,100,…を自身の内部に有する組電池710を備え,この組電池710に蓄えられた電気エネルギーを,フロントモータ720及びリアモータ730の駆動に利用している。
【0052】
前述したように,電池100は,本封止後に溶接不良を検査した電池であるので,溶接不良に起因するガス漏れの危険性がほとんどない。よって,このような電池100を搭載することで,この車両700の安全性を高めることができる。
【0053】
(第3実施形態)
次いで,図13に基づいて,第3の実施形態について説明する。図13に示すように,第3実施形態に係る電池使用機器800は,上記第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池100を搭載し,このリチウムイオン二次電池100をエネルギー源の少なくとも1つとして使用するものである。
【0054】
この電池使用機器800は,上記第1実施形態に係る電池100を含むバッテリパック810を搭載したハンマードリルである。この電池使用機器800は,本体820の底部821に,バッテリパック810が収容されており,このバッテリパック810を,ドリルを駆動するためのエネルギー源として利用している。
【0055】
前述したように,電池100は,本封止後に溶接不良を検査した電池であるので,溶接不良に起因するガス漏れの危険性がほとんどない。よって,このような電池100を搭載することで,この電池使用機器800の安全性を高めることができる。
【0056】
(変更例)
以上において,本発明を実施形態に即して説明したが,本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で,適宜変更して適用できることは言うまでもない。例えば,実施形態では,突出部60は,軸部50からラジアル方向に延びる延設部65と,延設部65の先端に設けられた支持突部61とを備える構成とした。これに対して,突出部を図14,15に示すように構成してもよい。図14,15に示す突出部80は,円環状の延設部81と,円筒状の支持突部82を備える。延設部81は,軸部50の端部50aから径方向に円環状に広がっている。支持突部82は,延設部81の外周縁を囲むように蓋部70の裏面70bから図14中下方へ向けて円筒状に延びている。この支持突部82は,全周が環状につながっているものではなく,その一部は,肉抜きされた欠損部83となっている。すなわち,支持突部82は,円環の一部を切り欠いた形状となっており,軸部50の周囲を隙間(欠損部83)をあけて囲うものである。支持突部82の高さ寸法は,第1実施形態に係る支持突部61の高さ寸法と同程度(0.55mm程度)である。このような支持突部82によっても,先端部40を電池ケース110の内部に位置させたときには,ガス流路としての空間部S(図14,15参照)を形成することができる。従って,図14に示す封止部材88を用いても,上述のガス抜き工程において,電池ケース110内部からしっかりとガスを抜くことができる。また,本封止工程の後は,溶接による封止と挿入部31による封止の二重封止になっていないので,溶接不良をガスセンサーを用いて容易に検出できる。
【0057】
また実施形態では,先端部40を注液孔10を通して電池ケース110の内部に配することにより,電池ケース110の内表面113b側から注液孔10を仮封止した(図7参照)。これに対して,先端部40を注液孔10に挿入し切ることなく,電池ケース110の外表面113a側から注液孔10を仮封止する構成としてもよい。
【0058】
具体的には,図16に示すように,先端部40におけるテーパー部41の側面40eを,電池ケース110の上面(外表面)113a側から,注液孔10の角部12(注液孔10を構成する内周面10aと段差面11aとがなす角部12)に圧接させることにより,注液孔10を仮封止するものであってもよい。言い換えれば,テーパー部41を,注液孔10の周縁部11に係合させることにより,注液孔10を気密に封止するものであってもよい。この場合,テーパー部41が,特許請求の範囲の係合部に相当する。このような構成とすれば,先端部40のうち,注液孔10の角部12に当接したテーパー部41が,弾性変形して注液孔10の角部12に密着する。そのため,先端部40と注液孔10との間を気密に封止することができる。なお,先端部40には切欠部44が形成されているが,この切欠部44は,図16に示すように仮封止を行う上で,その封止性に影響を与えるものではない。
【0059】
また実施形態では,ガス抜き工程において,蓋部70を下方へ押し込んで支持突部61を圧縮させることにより,先端部40の基端面40dと電池ケース110の内表面113bとを離した(図8参照)。これに対して上記のように電池ケース110の外表面113a側から注液孔10を仮封止するものである場合(図16参照)には,先端部40を注液孔10から電池ケース110内に押し入れたときに,支持突部61が圧縮されることなく,先端部40の基端面40dと電池ケース110の内表面113bとが離間状態となるように構成してもよい。すなわち,注液孔10の周縁部11の板厚方向に沿う支持突部61と先端部40との離隔距離を,注液孔10の周縁部11の板厚よりも大きくしてもよい。この場合,支持突部61は,圧縮されることなく,溶接前の蓋部70を電池ケース110に対して離間状態に支持する。
【0060】
また実施形態では,ケース蓋部材113における注液孔10の周縁部11に,上面113aよりも下がった段差面11aを設けた(図9参照)。これに対して,図17に示すように,ケース蓋部材113に段差面11aを設けない構成としてもよい。この場合,蓋部90は,円板状の本体部91と,本体部の外周縁から下方へ延びる円筒状の側部92と備えるキャップ形状とする。そして,この側部92の下端部とケース蓋部材113(詳しくは注液孔10まわりの上面113a)とを溶接することにより,注液孔10の本封止を行う。なお,図17中溶接個所を溶接部94として示す。また,図17においては簡単のため挿入部31の図示を省略しているが,本体部91の裏面には,第1実施形態と同様の構成の挿入部31を接合するものとする。
【0061】
また,上記第1実施形態では,「注液孔」を円孔として構成したが,「注液孔」の形状は,例えば角孔など適宜変更可能である。「注液孔」の形状を角孔など他の形状に変更した場合には,それに合わせて先端部40の形状も適宜変更する。また,「注液孔」を設ける位置も,適宜変更可能である。
【0062】
また,上記第1実施形態では,蓋部70と電池ケース110の孔周囲部113mとの「接合」を,溶接により行っているが,これに限定されない。例えば,両者の「接合」をロウ材や接着剤を用いて行ってもよい。
【0063】
また上記実施形態では,密閉型電池として,リチウムイオン二次電池100を例示したが,例えばニッケル水素電池,ニッケルカドミウム電池等の他の種類の二次電池などにも,本発明の技術的思想を適用できる。また上記実施形態では,捲回型の発電要素(電極体120)を有する電池100を例示したが,積層型の発電要素を有する電池などにも,本発明の技術的思想を適用できる。また上記実施形態では,角型の電池ケース110を有する電池100を例示したが,円筒型の電池ケースを有する電池などにも,本発明の技術的思想を適用できる。
【0064】
また,上記第2実施形態では,本発明に係る電池100を搭載する車両700として,ハイブリッド自動車を例示したが,これに限られない。本発明に係る電池を搭載する車両700としては,例えば,電気自動車,プラグインハイブリッド自動車,ハイブリッド鉄道車両,フォークリフト,電気車いす,電動アシスト自転車,電動スクータなどが挙げられる。
【0065】
また,上記第3実施形態では,本発明に係る電池100を搭載する電池使用機器800として,ハンマードリルを例示したが,これに限られない。本発明に係る電池を搭載する電池使用機器800としては,例えば,パーソナルコンピュータ,携帯電話,電池駆動の電動工具,無停電電源装置など,電池で駆動される各種の家電製品,オフィス機器,産業機器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0066】
100…リチウムイオン二次電池(密閉型電池)
110…電池ケース
117…電解液
10…注液孔
11…周縁部
30…封止部材
40…先端部
40b…基端部(係合部)
44…切欠部
50…軸部
61…支持突部
70…蓋部
S…空間部
R…連通路


図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図17