特許第5969358号(P5969358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969358
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160804BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   A63F7/02 352F
   A63F5/04 512S
   A63F7/02 352N
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-245911(P2012-245911)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-94059(P2014-94059A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
【審査官】 青▲柳▼ 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−050022(JP,A)
【文献】 特開2007−330781(JP,A)
【文献】 特開2009−131330(JP,A)
【文献】 特開2007−125172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に対応して設けられ、貨幣の受け付けに応じて遊技媒体を貸し出すと共に、受け付けた貨幣を収納する貨幣収納部を有する複数の貸出機と、
識別情報であるリモコンIDを記憶するリモコンと、
前記リモコンIDごとに固有パスワードを設定する固有パスワード設定手段と、
複数の前記貸出機と通信可能であって、前記固有パスワード設定手段が設定した固有パスワードを記憶する固有パスワード記憶手段と、
前記リモコンIDごとに前記貨幣収納部を開錠する権限を設定する権限設定手段と、
前記複数の貸出機と通信可能であって、前記権限設定手段による設定状況を記憶する権限記憶手段と、
前記複数の貸出機と通信可能であって、前記貨幣収納部の開錠に関する情報を記憶する開錠情報記憶手段と、を備え、
前記貸出機は、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と通信不可能な状態であるオフライン時用の共通パスワードを記憶しており、
前記貸出機が前記リモコンから前記リモコンIDと当該リモコンによって入力された入力情報を受信した場合において、当該貸出機と前記固有パスワード記憶手段及び前記権限記憶手段とが通信可能な状態であるときは、当該貸出機は当該リモコンIDと当該入力情報とを当該固有パスワード記憶手段及び権限記憶手段に送信して、当該リモコンIDと対応付けて当該固有パスワード記憶手段が記憶する前記固有パスワードと当該入力情報とを照合させると共に当該リモコンIDに基づいて権限の有無を確認させ、権限が有り且つ当該入力情報が当該固有パスワードと一致する場合に当該貸出機の貨幣収納部を開錠する一方、
当該貸出機と前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段とが通信不可能な状態であるときは、当該貸出機が当該入力情報と前記共通パスワードとを照合し、一致する場合に当該貸出機の貨幣収納部を開錠すると共に、当該貸出機と前記開錠情報記憶手段とが通信可能な状態であれば開錠後、当該貸出機と前記開錠情報記憶手段とが通信不可能な状態であれば通信可能な状態に復帰した後、当該リモコンIDと当該貸出機に対応する遊技機の識別情報とを当該開錠情報記憶手段に送信することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記貸出機と前記固有パスワード記憶手段及び前記権限記憶手段とが通信可能な状態において、前記貨幣収納部を開錠した場合には、所定のリセット条件が成立するまで、開錠後所定時間が経過するまで、或いは開錠後所定の操作が行われるまで、当該開錠に利用された前記リモコンによる所定の開錠操作のみで開錠することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技に用いられる遊技媒体を貸し出す貸出機を含む遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場では、貸出機が受け付けた貨幣を貨幣収納部に収納し、管理者等がリモコンで貸出機に対してパスワードを入力すると貨幣収納部を開錠することが一般的に行われている。このような構成を採用すれば、管理者等が安全かつ効率的に貨幣の回収を行うことができる。また、各リモコンに固有のリモコンIDを記憶させ、遊技場管理装置にてリモコンごとに実行可能な権限を設定可能としたシステムも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、リモコンごとに権限を設定しても、例えば権限のない従業員が権限のある管理者のリモコンを入手して不正を行う場合には比較的容易に不正が行えてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−131330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、権限のない従業員による不正等を防止可能なセキュリティ性の高い遊技場用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遊技機に対応して設けられ、貨幣の受け付けに応じて遊技媒体を貸し出すと共に、受け付けた貨幣を収納する貨幣収納部を有する複数の貸出機と、
識別情報であるリモコンIDを記憶するリモコンと、
前記リモコンIDごとに固有パスワードを設定する固有パスワード設定手段と、
複数の前記貸出機と通信可能であって、前記固有パスワード設定手段が設定した固有パスワードを記憶する固有パスワード記憶手段と、
前記リモコンIDごとに前記貨幣収納部を開錠する権限を設定する権限設定手段と、
前記複数の貸出機と通信可能であって、前記権限設定手段による設定状況を記憶する権限記憶手段と、
前記複数の貸出機と通信可能であって、前記貨幣収納部の開錠に関する情報を記憶する開錠情報記憶手段と、を備え、
前記貸出機は、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と通信不可能な状態であるオフライン時用の共通パスワードを記憶しており、
前記貸出機が前記リモコンから前記リモコンIDと当該リモコンによって入力された入力情報を受信した場合において、当該貸出機と前記固有パスワード記憶手段及び前記権限記憶手段とが通信可能な状態であるときは、当該貸出機は当該リモコンIDと当該入力情報とを当該固有パスワード記憶手段及び権限記憶手段に送信して、当該リモコンIDと対応付けて当該固有パスワード記憶手段が記憶する前記固有パスワードと当該入力情報とを照合させると共に当該リモコンIDに基づいて権限の有無を確認させ、権限が有り且つ当該入力情報が当該固有パスワードと一致する場合に当該貸出機の貨幣収納部を開錠する一方、
当該貸出機と前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段とが通信不可能な状態であるときは、当該貸出機が当該入力情報と前記共通パスワードとを照合し、一致する場合に当該貸出機の貨幣収納部を開錠すると共に、当該貸出機と前記開錠情報記憶手段とが通信可能な状態であれば開錠後、当該貸出機と前記開錠情報記憶手段とが通信不可能な状態であれば通信可能な状態に復帰した後、当該リモコンIDと当該貸出機に対応する遊技機の識別情報とを当該開錠情報記憶手段に送信することを特徴とする遊技場用システムにある(請求項1)。
【0007】
本発明の遊技場用システムでは、リモコンIDごとに権限を設定しているので所持するリモコンによって開錠権限を割り振ることが可能である。さらに、リモコンIDごとに固有パスワードを設定できるので、開錠権限のない者が開錠権限のあるリモコンを使用して不正に開錠することを未然に防止できる。
【0008】
リモコンIDごとの固有パスワード及び開錠権限の設定を各貸出機に記憶させようとすると、その設定を貸出機に記憶させるための遊技場側の作業負担等が過大となる。一方、リモコンIDごとの固有パスワード等の設定を各貸出機が記憶していないと、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と、貸出機とが、通信不可能なオフラインのとき開錠不可能になる。そこで、本発明の遊技場用システムでは、全てのリモコンIDについて共通の前記共通パスワードを貸出機に記憶させている。この共通パスワードを利用すれば、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と、貸出機とが、通信できないオフライン時であっても開錠操作が可能になる。
【0009】
さらに、この遊技場用システムでは、共通パスワードを照合に利用して開錠したとき、当該貸出機と前記開錠情報記憶手段とが通信可能な状態であれば、リモコンIDと対応する遊技機の識別情報とが開錠後に開錠情報記憶手段に送信される。一方、貸出機と開錠情報記憶手段とが通信不可能な状態である場合には、通信可能な状態に復帰した後、リモコンIDと対応する遊技機の識別情報とが開錠情報記憶手段に送信される。このような構成を採用することで本発明の遊技場用システムでは、前記固有パスワード記憶手段及び/又は前記権限記憶手段と、貸出機とが、通信できないオフライン時であっても、一定の安全性を確保しながら前記貨幣収納部の開錠操作を可能としている。
【0010】
このように、本発明の遊技場用システムは、セキュリティ性が高く確保された優れた特性のシステムとなっている。
【0011】
本発明における遊技機としては、遊技媒体として玉を利用するパチンコ遊技機や、遊技媒体としてメダルあるいはコインを利用するスロットマシン等がある。スロットマシンには、メダルあるいはコイン等を遊技媒体とした狭義のスロットマシンに加えて、パチンコ玉を遊技媒体としたパロット(登録商標)等が含まれる。
【0012】
本発明における貸出機としては、貨幣の受け付けに応じて遊技媒体を貸し出す機能に加えて、遊技カード等にクレジットされたポイントと引き換えに遊技媒体を貸し出す機能や、遊技カードのカードID等に対応付けて遊技場側で管理された貯玉や持玉を払い出す機能等を備えていることも良い。
【0013】
本発明における好適な一態様の遊技場用システムでは、前記貸出機と前記固有パスワード記憶手段及び前記権限記憶手段とが通信可能な状態において、前記貨幣収納部を開錠した場合には、所定のリセット条件が成立するまで、開錠後所定時間が経過するまで、或いは開錠後所定の操作が行われるまで、当該開錠に利用された前記リモコンによる所定の開錠操作のみで開錠する(請求項2)。
【0014】
遊技場の管理者等は貨幣の回収作業で複数の貸出機の貨幣収納部を繰り返し開錠しなければならないため、毎回パスワードを入力するのは煩わしい。そこで、上記の通り、一度照合で一致した後は所定のリセット条件が成立するまでパスワードの入力無く所定の開錠操作のみで開錠できるように構成すれば、安全性を確保しつつ作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例における、遊技場用システムの構成を示すシステム図。
図2】実施例における、貸出機とリモコンを示す説明図。
図3】実施例における、遊技場管理装置による担当者権限設定画面を示す正面図。
図4】実施例における、オンライン時の開錠履歴データを示す説明図。
図5】実施例における、オフライン時の開錠履歴データを示す説明図。
図6】実施例における、貸出機による開錠処理の流れを示すフロー図。
図7】実施例における、島管理装置による照合処理の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、貨幣を対価として遊技に必要な遊技媒体を貸し出す貸出機2を含む遊技場用システム1に関する例である。この内容について、図1図7を参照して説明する。
【0017】
本例は、複数の遊技機(本例ではスロットマシン)13が通路に面して配列された遊技機島31が形成された遊技場に適用する遊技場用システム1に関する例である。遊技場では、貸出機2とスロットマシン13と台毎端末11との組合せが、遊技機島31ごとに設けられた島管理装置3、及び遊技場全体を管理する遊技場管理装置5によって管理されている。遊技場では、遊技場管理装置5及び島管理装置3のほか、2台のスロットマシン13ごとに設置される中継装置12が通信ネットワーク10に接続されている。中継装置12には、スロットマシン13、台毎端末11、及び貸出機2が2台ずつ接続されている。
【0018】
スロットマシン13は、図柄を変動表示するリールを3つ備え、各リールに停止表示された図柄の組み合わせに応じて入賞が発生する遊技機である。スロットマシン13は、規定数のメダル(遊技媒体)の受け付けに応じてゲームを開始できる状態になる。この状態におけるスタートレバーの操作に応じて各リールによる図柄の変動表示を一斉に開始でき、3つのストップボタンの操作に応じて各リールを個別に停止できる。
【0019】
スロットマシン13では、内部抽選によっていずれかの役の内部当選フラグが成立しており、かつ、ストップボタンが適切なタイミングで停止操作されたとき、その役に対応する入賞図柄が停止表示されて入賞が発生する。15枚役等の小役が入賞した場合には、メダルが払い出される。払い出されたメダル及びスロットマシン13に投入されたメダルは、50枚を限度として電子的にクレジットされる。50枚のクレジットを超えて払い出されたメダルは、最下部に設けられたメダル受け皿に払い出される。遊技終了時に清算ボタンを操作すれば、クレジットされた枚数のメダルをメダル受け皿に払い出させることができる。
【0020】
本例の遊技場用システム1は、貸出メダルの対価を貯える貸出機2(貨幣収納部21)の開錠を管理するためのシステムである。この遊技場用システム1は、通信ネットワーク10によって通信可能な状態で接続された貸出機2、島管理装置3、及び遊技場管理装置5のほか、貸出機2を開錠するために従業員等が携帯するリモコン20を含めて構成されている。
【0021】
本例の貸出機2は、図1及び図2のごとく、遊技用のメダルを貸し出すための装置であり、各スロットマシン13に対応して個別に設置される。この貸出機2は、隣り合うスロットマシン13の隙間のスペースに配設可能なように縦長形状をなし、対応するスロットマシン13に対して向かって右側に配置されている。
【0022】
貸出機2では、貨幣収納部21が最上部に設けられ、メダルを払い出すメダル払出部22が最下部に設けられている。メダル払出部22の前面には、スロットマシン13のメダル受け皿に貸出用のメダルを払い出す払出ノズル220が設けられている。
【0023】
貨幣収納部21には、紙幣挿入口212から挿入された紙幣を貯える収納容器のほか、紙幣の券種を判別する券種判別ユニット、赤外受光部213を介して受光した赤外信号から送信データ(開錠データ)を生成する赤外受光ユニット、及び貨幣収納部21の開錠・施錠を行う電子ロック等が収容されている(全て図示略)。貨幣収納部21の前面には、紙幣挿入口212、赤外受光部213、表示LED211等が配置されている。表示LED211は、島管理装置3と通信可能なオンラインであるか通信不可能なオフラインであるかの報知や、無効な開錠操作に対応するエラー表示等を報知する。
【0024】
貨幣収納部21は、電子ロックの開錠に応じて手前側に引き出し可能となり、収納容器内の紙幣等の回収が可能になる。なお、この電子ロックは、従業員等が携帯する後述のリモコン20による開錠操作によって開錠可能である。
【0025】
貸出機2の中間部分の前面には、遊技カードを挿入するためのカード挿入口23、各種の操作ボタンが配置された操作パネル24、残クレジット表示部25等が配置されている。
カード挿入口23には、ICチップが実装された会員カードやビジターカード等の遊技カードを挿入可能である。会員カードは、遊技会員に登録した遊技者に配布される遊技カードである。会員カードには、カードID、各種の会員サービスを利用するためのパスワードのほか、チャージ金額を表す残クレジット数等が記録される。ビジターカードには、カードIDのほか、残クレジット数等が記録される。
残クレジット表示部25は、紙幣挿入口212に投入した紙幣のうちの残り金額、あるいは挿入された遊技カードに記録されたチャージ金額を表す残クレジット数を表示する表示部である。
【0026】
操作パネル24には、テンキー241、返却ボタン242、貸出ボタン243等が配置されている。
貸出ボタン243は、残クレジット数に相当する現金を対価として遊技用のメダルを貸出させるための操作ボタンである。なお、千円札、1万円札等の貨幣が投入された場合には、貸出ボタン243の操作によらずメダルが50枚貸し出される。残金が生じた場合には、残クレジット数に加算される。
返却ボタン242は、遊技カードを返却、発行させるための操作ボタンである。会員カードを利用した遊技の場合には、返却ボタン242の操作に応じて会員カードが返却される。会員カードを利用しない遊技の場合には、返却ボタン242の操作に応じて、残クレジット数を記録したビジターカードが発行される。
【0027】
貸出機2の内部には、貨幣収納部21やメダル払出部22のほか、CPUや記憶素子が実装された制御基板、遊技カードの記録データを読み書きするカードユニット等が収容されている。貸出機2は、遊技カードが挿入されたとき、あるいは遊技カードを排出したときには、読込あるいは書込した残クレジット数等のカードデータをカードIDと共に遊技場管理装置5に向けて送信する。
【0028】
本例の貸出機2は、開錠操作に応じてリモコン20から送信データ(リモコンデータ)を受信したとき、対応するスロットマシン13の遊技機番号(識別情報)と共にそのリモコンデータを島管理装置3に向けて送信する。貸出機2は、島管理装置3からの開錠要求信号(後述)の返信に応じて貨幣収納部21を開錠する。
【0029】
さらに、本例の貸出機2は、島管理装置3と通信不可能な状態下で開錠するための共通パスワードを記憶しており、この共通パスワードによっても開錠可能である。貸出機2は、共通パスワードで開錠されたときには、リモコンIDと対応するスロットマシン13の遊技機番号(識別情報)とを含む開錠情報を遊技場管理装置5に向けて出力する。
【0030】
リモコン20は、遊技場の従業員等が携帯する操作手段である。リモコン20の上面には、テンキー201と開錠ボタン203とが配置され、その内部には、識別情報となるリモコンIDを記憶する記憶回路、リモコンID等を赤外信号に変換する変換回路、赤外信号を発射する発光回路が収容されている。
このリモコン20は、テンキー201を利用した4桁の数字(入力情報)の入力操作に続いて開錠ボタン203が操作されたとき、その4桁の数字のほかリモコンIDを表す赤外信号を外部に発射する。
【0031】
遊技場管理装置5(図1)は、遊技場に設置された各スロットマシン13の遊技データや売上等を管理する装置である。遊技場管理装置5は、CPU、ROM、RAM、I/O等を含む制御部、HDD(ハードディスクドライブ)等を含む記憶部、モニターディスプレイ及びプリンタ(図示略)等を含む出力部、キーボード及びマウス(図示略)等を含む操作部を備えている。
【0032】
遊技場管理装置5は、各スロットマシン13の遊技データを管理する機能のほか、リモコンIDごとに固有パスワードを設定する固有パスワード設定手段501、リモコンIDごとに貸出機2(貨幣収納部21)の開錠権限を設定する権限設定手段502、及び各貸出機2(貨幣収納部21)の開錠履歴データ(開錠情報)を記憶する開錠情報記憶手段503としての機能を備えている。
【0033】
遊技場管理装置5では、モニターディスプレイに表示された図3の担当者権限設定画面上で、リモコンIDごとに各種の権限を設定可能である。設定可能な権限としては、貸出機2(貨幣収納部21)の開錠権限のほか、図示しない計数装置によるメダルの計数を行うために必要となる計数権限等がある。
【0034】
図3に例示される担当者権限設定画面では、リモコンIDごとの固有パスワードの設定や変更等も可能である。さらに、本例の遊技場用システム1では、管理者や従業員等が所持するリモコン20が担当者ごとに管理され、各リモコンIDに対応する担当者の設定や変更等も担当者権限設定画面上で可能である。同図の例では、管理者が携帯するリモコン20については開錠権限が設定されている一方、従業員A、Bが携帯するリモコン20については開錠権限が未設定となっている。この担当者権限設定画面で設定されたリモコンIDごとの開錠権限等の担当者設定情報は、遊技場管理装置5によって記憶されるほか、島管理装置3に送信される
さらに、遊技場管理装置5では、モニターディスプレイに表示された共通パスワード設定画面上で共通パスワードの設定が可能である。遊技場管理装置5で設定された共通パスワードは、各貸出機2に向けて送信される。
【0035】
遊技機島31ごとに設置される島管理装置3(図1)は、遊技機島31に設置されたスロットマシン13及び貸出機2の動作状態の管理のほか、電源供給、メダル補給、メダル回収等を管理する装置である。島管理装置3は、CPU、ROM、RAM、I/O等を含む制御部、HDD(ハードディスクドライブ)等を含む記憶部等を備えている。島管理装置3には、モニターディスプレイ等の出力手段や、キーボード及びマウス等の操作手段を接続することも可能である。
【0036】
島管理装置3は、遊技場管理装置5によってリモコンIDごとに設定された固有パスワードを記憶する固有パスワード記憶手段301、及び遊技場管理装置5によるリモコンID毎の貸出機2(貨幣収納部21)の開錠権限の設定状況(図3の担当者設定情報)を記憶する権限記憶手段302としての機能を備えている。図3のように遊技場管理装置5で設定された担当者設定情報は、上記のごとく島管理装置3に送信され記憶される。
【0037】
本例の遊技場用システム1における遊技場管理装置5は、貸出機2と島管理装置3との通信状態がオンラインかオフラインかに区別して開錠履歴データを管理している。図4は、貸出機2と島管理装置3との間で通信可能なオンライン時の開錠履歴データである。図5は、貸出機2と島管理装置3との間で通信ができないオフライン時の開錠履歴データである。開錠履歴データでは、開錠時刻、開錠操作を行った担当者、開錠操作に使用されたリモコン20のリモコンID、対応するスロットマシン13の遊技機番号(識別情報)が管理されている。開錠履歴データは、遊技場管理装置5のモニタディスプレイに表示可能であるほか、帳票への印字プリントも可能である。
【0038】
次に、本例の遊技場用システム1の動作について図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。図6は、貸出機2による開錠処理の流れを示すフロー図である。図7は、島管理装置3による照合処理の流れを示すフロー図である。
【0039】
貸出機2は、図6のごとく、オフライン時用の共通パスワードを遊技場管理装置5から受信したとき(S101:YES)、その共通パスワードを記憶する(S102)。
また、貸出機2は、リモコンIDとパスワードに相当する4桁の数字とを含むリモコンデータをいずれかのリモコン20から受信した場合には(S103:YES)、島管理装置3と通信可能であるか否か判断する(S104)。島管理装置3と通信可能なオンライン時の場合には(S104:YES)、対応するスロットマシン13の遊技機番号と共にリモコンデータ(リモコンIDと4桁の数字)を島管理装置3に送信する(S105)。
【0040】
貸出機2は、島管理装置3から開錠要求信号を受信するか(S106)、エラー信号を受信するまで待機する(S106:NO→S127)。開錠要求信号を受信した場合には(S106:YES)、貨幣収納部21を開錠し(S107)、開錠操作に使用されたリモコン20のリモコンIDと遊技機番号を遊技場管理装置5に送信する(S108)。なお、遊技場管理装置5は、これらの送信データに基づいてオンライン時の開錠履歴データ(図4参照。)を生成する。エラー信号を受信した場合には(S127:YES)、表示LED211を利用してエラー表示を実行する(S128)。
【0041】
一方、ステップS104において島管理装置3と通信不可能なオフライン時の場合には(S104:NO)、リモコン20から受信した4桁の数字を、記憶している共通パスワードと照合する(S115)。共通パスワードと一致している場合には(S116:YES)、貨幣収納部21を開錠し(S117)、島管理装置3との通信復帰後、開錠操作に利用されたリモコン20のリモコンIDと遊技機番号を遊技場管理装置5に送信する(S118)。なお、遊技場管理装置5は、これらの送信データに基づいてオフライン時の開錠履歴データ(図5参照。)を生成する。一方、ステップS116において共通パスワードと一致しなかった場合には(S116:NO)、表示LED211を利用してエラー表示を実行する(S137)。
【0042】
島管理装置3は、図7のごとく、遊技場管理装置5から担当者設定情報(図3参照。)を受信したとき(S201)、その担当者設定情報を記憶する(S202)。
また、島管理装置3は、リモコンID、4桁の数字(入力情報)及び遊技機番号を含む開錠データを貸出機2から受信したとき(S203:YES)、図3に例示される担当者設定情報を参照し、そのリモコンIDについての開錠権限の有無を判断する(S204)。
【0043】
受信したリモコンIDに開錠権限が設定されていれば(S204:YES)、受信した4桁の数字が、そのリモコンIDに対応する固有パスワードと一致しているか否かの判断を行う(S205、S206)。受信した4桁の数字が固有パスワードと一致していれば(S206:YES)、開錠データの送信元の貸出機2に開錠要求信号を送信する(S207)。一方、そのリモコンIDについて開錠権限が未設定であったり(S204:NO)、4桁の数字が固有パスワードと不一致であったときには(S206:NO)、送信元の貸出機2にエラー信号を送信する(S215)。
【0044】
以上のように構成された本例の遊技場用システム1では、リモコンIDごとに権限を設定しているので所持するリモコン20によって開錠権限を割り振ることが可能である。さらに、リモコンIDごとに固有パスワードを設定できるので、開錠権限のないリモコン20の所持者が開錠権限のあるリモコン20を使用して不正に開錠することを確実性高く防止できる。
【0045】
例えば、リモコンIDごとの固有パスワード及び開錠権限の設定を各貸出機2に記憶させようとすると、その設定を貸出機2に記憶させるための遊技場側の作業等の負担が過大となる。一方、リモコンIDごとの固有パスワード等の設定を各貸出機2が記憶していないと、島管理装置3と貸出機2とが通信不可能なオフラインのとき開錠不可能になる。そこで、本発明の遊技場用システム1では、全てのリモコンIDについて共通の共通パスワードを貸出機2に記憶させている。遊技場用システム1では、このように各貸出機2に共通パスワードを記憶させることで、オフライン時であっても貨幣収納部21の開錠が可能になっている。
【0046】
さらに、この遊技場用システム1では、共通パスワードを照合に利用して開錠したとき、貸出機2と遊技場管理装置5とが通信可能な状態であれば、リモコンIDと対応する遊技機番号とを含む開錠情報が開錠後に遊技場管理装置5に送信される。一方、貸出機2と遊技場管理装置5とが通信不可能な状態である場合には、通信可能な状態に復帰した後、リモコンIDと対応する遊技機番号とを含む開錠情報が遊技場管理装置5に送信される。このように、本発明の遊技場用システム1では、島管理装置3と貸出機2とが通信不可能なオフライン時であっても、一定の安全性を確保しながら貨幣収納部21の開錠操作を可能にしている。
【0047】
以上の通り、本例の遊技場用システム1は、セキュリティ性が高く確保された優れた特性のシステムとなっている。
【0048】
本例の構成に代えて、以下の構成を採用することもできる。
本例の遊技場用システム1では、遊技場管理装置5が、固有パスワード設定手段501、権限設定手段502、開錠情報記憶手段503としての機能を備えている。これらの手段は、例えば、島管理装置3や遊技場外部のサーバ装置など、他の装置が具備する構成を採用することも良い。
【0049】
本例の遊技場用システム1では、リモコン20による開錠操作が行われ、照合結果が一致であったときにいずれか1つの貨幣収納部21のみを開錠しているが、これに代えて、複数の貨幣収納部21を開錠しても良い。複数の貨幣収納部21を開錠する場合、同時に開錠しても良いし、所定時間の時間差を設けて開錠しても良い。
さらに、いずれかのリモコン20による開錠操作について照合結果が一致となった場合には、所定のリセット条件(例えば、所定時間の経過、所定操作など)が成立するまでの間、そのリモコン20については、パスワード(4桁の数字)を入力しなくても開錠ボタンの操作のみによって開錠できるようにすることも良い。
【0050】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0051】
1 遊技場用システム
11 台毎端末
12 中継装置
13 スロットマシン(遊技機)
2 貸出機
20 リモコン
201 テンキー
203 開錠ボタン
21 貨幣収納部
212 紙幣挿入口
24 操作パネル
242 返却ボタン
243 貸出ボタン
220 払出ノズル
3 島管理装置
31 遊技機島
301 固有パスワード記憶手段
302 権限記憶手段
5 遊技場管理装置
501 固有パスワード設定手段
502 権限設定手段
503 開錠情報記憶手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7