【実施例】
【0036】
次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
以下における「部」及び「%」は、それぞれ、「重量部」及び「重量%」を示す。
【0038】
包摂化合物製造実施例1
1000mlのガラスビーカーに、β−シクロデキストリン(東京化成製)(以下β−CDと記述する)10gを秤採り、556mlの蒸留水で飽和溶液を調製した。そこに、パーフルオロノナン4.2g(β−CDと等モル)を加えた。その後、マグネチックスターラーを用いて72時間攪拌した。包摂化合物になると水に溶解しなくなるため、生成した包摂化合物は沈殿した。72時間後生成物をろ紙を用いてろ過し、乾燥機中80℃で乾燥した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、12.2gであった。これは加えたパーフルオロノナンの約半分量が、β−CDに包摂されたことになる
【0039】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『包摂化合物1』を得た。
【0040】
包摂化合物製造実施例2
1000mlのガラスビーカーに、β−CD100gを秤採り、500mlの蒸留水でスラリーを作成した。そこに、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン30.7g(β−CDと等モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で2時間攪拌した。生成した包摂化合物は80℃に設定した乾燥機で水分を除去した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、112.9gであった。これは加えたハイドロフルオロカーボンの約半分量が包摂されたことを示唆する。
【0041】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『包摂化合物2』を得た。
【0042】
包摂化合物製造実施例3
1000mlのガラスビーカーに、β−CD100gを秤採り、500mlの蒸留水でスラリーを作成した。そこに、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン30.9g(β−CDと等モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、24000r.p.m.で1時間攪拌した。生成した包摂化合物は80℃に設定した乾燥機で水分を除去した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、109.4gであった。これは加えたハイドロフルオロエーテルの約1/3量が包摂されたことを示唆する。1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタンは、実施例1および2のフルオロカーボンに比べて分子サイズが小さいため、一部包摂されなかったと考えられる。
【0043】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『包摂化合物3』を得た。
【0044】
包摂化合物製造実施例4
500mlのガラスビーカーに、メチル化β−CD(商品名メチル−β−CD:塩水港株式会社製)150gを秤採り、150mlの蒸留水で溶解した。そこに、パーフルオロウンデカン38g(メチル化β−CDの約1/2モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。攪拌後、透明だった溶液は白濁した。ビーカーの底にパーフルオロカーボンが沈降しているようなことは観測されず均一なサスペンションであった。この約50%のサスペンション溶液はそのまま以降の試験に使用した。
【0045】
包摂化合物製造実施例5
500mlのガラスビーカーに、メチル化β−CD(商品名G2−β−CD:塩水港株式会社製)150gを秤採り、100mlの蒸留水で溶解した。そこに、パーフルオロド
デカン42g(メチル化β−CDの約1/2モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。攪拌後、透明だった溶液は白濁した。ビーカーの底にパーフルオロカーボンが沈降しているようなことは観測されず均一なサスペンションであった。この約65%のサスペンションはそのまま以降の試験に使用した。
【0046】
製造実施例1
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびカチオン重合開始剤であるフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを3部仕込み、窒素ガスを導入しながら30℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。
滴下溶液(a−1)
エチルビニルエーテル 300部
トルエン 100部
【0047】
滴下溶液(a−1)の滴下終了30分後、イソプロピルアルコール15部を加え、反応を停止させた。反応終了後、エバポレータを用いて溶媒を除去し、アルキルビニルエーテルポリマー[A−1]を得た。合成した重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2500であり、これは重合度35に相当する。
【0048】
製造実施例2
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを1.5部仕込み、窒素ガスを導入しながら35℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−2)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−2]を得た。
滴下溶液(a−2)
エチルビニルエーテル 150部
2−エチルヘキシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0049】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、4500であり、これは重合度25に相当する。
【0050】
製造実施例3
製造実施例2の滴下溶液(a−2)の代わりに下記の滴下溶液(a−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−3]を得た。
滴下溶液(a−3)
n−ブチルビニルエーテル 150部
ヘキサデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0051】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、6000であり、これは重合度30に相当する。
【0052】
製造実施例4
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエ
チルエーテルで10%に希釈したものを0.6部仕込み、窒素ガスを導入しながら40℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−4)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−4]を得た。
滴下溶液(a−4)
ドデシルビニルエーテル 150部
ヘキサデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0053】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、10500であり、これは重合度45に相当する。
【0054】
製造実施例5
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを0.3部仕込み、窒素ガスを導入しながら15℃に冷却した後、下に示す滴下溶液(a−5)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−5]を得た。
滴下溶液(a−5)
イソブチルビニルエーテル 150部
オクタデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0055】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、135000であり、これは重合度450に相当する。
【0056】
製造実施例6
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを7.5部仕込み、窒素ガスを導入しながら35℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−6)を滴下ロートにより4時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−6]を得た。
滴下溶液(a−6)
エチルビニルエーテル 150部
オクタデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0057】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2600であり、これは重合度10に相当する。
【0058】
製造実施例7
[非特許文献3]から[非特許文献5]を参考にリビングカチオン重合法により試験サンプルを合成した。
【0059】
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン50部仕込み、10℃に冷却した後、酢酸1.8部とイソブチルビニルエーテル3.0部を仕込んだ。室温まで加温し、酢酸−イソブチルビニルエーテル付加体をin situで生成させた。続いて、トルエン100部、酢酸エチル100部、塩化すず(IV) (約1.0mol/Lジクロロメタン溶液)0.6部、エチルアルミニウムジクロリド (17%ヘキサン溶液, 約1mol/L)0.5部を反応容器に仕込んだ。反応溶液の温度を20℃に保ちながら、下に示す滴下溶液(a−7−1)を滴下ロートにより30分で等速滴
下した。続けて滴下溶液(a−7−2)を滴下ロートにより15分で等速滴下した。滴下終了後直ちにアンモニア性メタノール溶液20mlを投入し反応を停止した。沈殿物を濾別し、その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−7]を得た。
滴下溶液(a−7−1)
n−ブチルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
滴下溶液(a−7−2)
ヘキサデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0060】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、滴下溶液(a−7−1)滴下終了後5300、滴下溶液(a−7−2)滴下終了後9900であり、これはn−ブチルビニルエーテルの重合度50、ヘキサデシルビニルエーテルの重合度18に相当し、ほぼ理論値どおりのブロックポリマーが得られた。
【0061】
包摂化合物製造比較例1
1000mlのガラスビーカーに、β−シクロデキストリン(以下β−CDと記述する)10gを秤採り、556mlの蒸留水で飽和溶液を調製した。そこに、パーフルオロペンタン2.5g(β−CDと等モル)を加えた。その後、マグネチックスターラーを用いて72時間攪拌した。包摂化合物になると水に溶解しなくなるため、生成した包摂化合物は沈殿した。72時間後生成物をろ紙を用いてろ過し、乾燥機中80℃で乾燥した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、10.2gであった。これは加えたパーフルオロペンタンが揮発してしまったことを示唆する。
【0062】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『比較β−CD−1』を得た。
【0063】
包摂化合物製造比較例2
1000mlのガラスビーカーに、β−CD100gを秤採り、500mlの蒸留水でスラリーを作成した。そこに、ドテトラコンタフルオロイコサン(C20F42)22.9g(β−CDの1/4モル)を加えた。その後、圧力式ホモジナイザー((株)エス・エム・テー社製:LAB2000)を用いて、150barに加圧下200℃で30分間攪拌した。生成した包摂化合物は150℃に設定した乾燥機で水分を除去した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、122.5gであった。ドテトラコンタフルオロイコサンの沸点は320℃なので、包摂されたか否かの判断は出来ないが、非特許文献1によればハイドロフルオロカーボン:β−CD=1:4の割合で包摂されていると考えられる。
【0064】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『比較β−CD−2』を得た。
【0065】
包摂化合物製造比較例3
500mlのガラスビーカーに、α−シクロデキストリン(以下α−CDと記述する)50gを秤採り、200mlの蒸留水を加えて加温しながら攪拌し、約30℃で完全に溶解した。そこに、パーフルオロノナン25g(α−CDと等モル)を加えて、マグネチックスターラーを用いて72時間攪拌した。72時間後も包摂化合物は得られず、パーフルオロノナンは、ビーカーの底に分離・沈降した。
【0066】
包摂化合物製造比較例4
500mlのガラスビーカーに、γ−シクロデキストリン(以下γ−CDと記述する)
100gを秤採り、200mlの蒸留水を加えて加温しながら攪拌し、約30℃で完全に溶解した。そこに、パーフルオロノナン37.6g(γ−CDと等モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。攪拌後、透明だった溶液は白濁した。しかし時間がたつとビーカーの底にパーフルオロカーボンが沈降している様子が観測された。この約40%のサスペンションは使用時に振り混ぜて、そのまま以降の試験に使用した。『比較β−CD−4』
【0067】
製造比較例1
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを0.6部仕込み、窒素ガスを導入しながら20℃に冷却した後、下に示す滴下溶液(n−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[N−1]を得た。
滴下溶液(n−1)
エチルビニルエーテル 100部
イソブチルビニルエーテル 200部
トルエン 100部
【0068】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、95000あり、これは重合度810に相当する。
【0069】
製造比較例2
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを6部仕込み、窒素ガスを導入しながら50℃に加温した後、下に示す滴下溶液(n−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[N−2]を得た。
滴下溶液(n−2)
ドデシルビニルエーテル 150部
オクタデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0070】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、1500あり、これは重合度6に相当する。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
配合実施例1〜5(包摂化合物実施例1から5を配合した例)
包摂化合物1〜5を第3表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0074】
【表3】
【0075】
配合実施例6〜11(ポリビニルエーテルA−2からA−7を配合した例)
第4表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0076】
【表4】
【0077】
配合実施例12〜15(配合するポリオキシエチレンソルビトールテトラオレートを変化させた例)
第5表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0078】
【表5】
【0079】
配合実施例16〜17(配合するトリ-O-アシルグリセリンを変化させた例)
第6表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0080】
【表6】
【0081】
配合比較例1〜5(包摂化合物を混合しない例1)
第7表に示す既存の製品を塗料試験比較例に使用した。
【0082】
【表7】
【0083】
配合比較例6〜9(包摂化合物を混合しない例2)
第8表に示すフルオロカーボンを配合した試験品を試験比較例に使用した。
【0084】
【表8】
【0085】
配合比較例10〜12(包摂化合物比較例物質を配合)
第9表に示す包摂化合物製造比較例物質を配合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0086】
【表9】
【0087】
配合比較例13〜14(請求範囲外の重合度のポリアルキルビニルエーテルを配合したもの)
第10表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0088】
【表10】
【0089】
加熱残分の測定
調製した全ての試験品の加熱残分を測定した。加熱残分の測定は、『JIS K 0067:1992化学製品の減量及び残分試験方法』に基づいて行った。
【0090】
試料1gを予め重さのわかっている金属製蒸発皿に素早く秤採り、精密化学天秤で重量測定する。105℃±2℃に保った熱風式乾燥炉に入れ、3時間加熱する。その後取り出して、デシケーター中で室温まで放冷し、再び重量測定して金属製蒸発皿中の残量を測定する。三回測定を行いその平均値を加熱残分の値とした。
【0091】
以下の式から、加熱残分を求めた。
A=(m
2/m
1)×100
A :加熱残分
m
2:金属製蒸発皿中の残量(g)
m
1:試料の重さ(g)
【0092】
測定結果を第11表に示す。
【0093】
【表11】
【0094】
加熱残分測定により、実施例における包摂されたフルオロカーボンは、フルオロカーボンが揮発しないと仮定した理論値とほぼ等しい数値であることが確認できた。実施例において揮発したのは、ほとんどが配合中に含まれていた水である。これに反して、比較例11を除く、比較例6〜比較例10および比較例12は、フルオロカーボンが揮発しないと仮定した理論値に比べて、配合したフルオロカーボンの数値だけ低い値が計測された。加熱残分測定で揮発してしまったことが示唆される。既存の製品中に含まれる炭化水素系の溶剤は、ほとんど全てがVOCとして大気中へ揮発した。
【0095】
塗料試験例 (水性アクリル塗料での消泡性試験)
第12表に示した配合の水性アクリル塗料組成物について消泡性の試験を行った。
【0096】
(水性アクリル塗料の作成)
第12表のミルベース配合をラボディスパー((株)エス・エム・テー製 ハイフレックスディスパーサー SG2)を用いて均一に分散し、ミルベースを作成した。次に得られた塗料を2−ジメチルエタノールアミンでPHが7.8になるように調整した後、粘度をフォードカップ#4で30秒(20℃)になるように蒸留水で希釈した。
【0097】
(缶中消泡性の試験:塗料作成時の消泡性の試験と評価)
調製した水性アクリル塗料に第1表〜第10表の消泡剤を塗料に対して2重量%添加し、ラボディスパーで、4000r.p.mの回転数で3分間撹拌し起泡した。
【0098】
撹拌終了後1分後と5分後に100mlの比重カップ(太佑機材(株)製)を用いて、泡を巻き込んだ水性塗料の比重を測定した。比重が大きいほど、巻き込んだ泡を破泡する効果が高いといえる。
【0099】
(塗装時及び乾燥時の消泡性の試験)
作成した水性アクリル塗料を24時間放置後、この塗料を乾燥後の膜厚が30μmになるようにエアスプレーで200mm×300mmの大きさのブリキ板に塗装した。1分間室温でセッティングした後、100℃のオーブンで強制乾燥した。
【0100】
(塗装時及び乾燥時の消泡性の評価)
消泡性の評価は、ワキの発生及びハジキの発生の様子をそれぞれを目視にて「最良」(5)から「最悪」(1)までの5段階に評価した。
【0101】
その結果を第13表及び第14表に示す。
【0102】
ここでいうワキとは、強制乾燥塗膜に発生する泡のことで、塗装膜表面に泡の形で目視により確認できる。また、ここでいうハジキとは、乾燥後の塗装膜表面に生じたクレーター状のへこみや、素地が直接見える穴のことをいう。
【0103】
【表12】
【0104】
【表13】
【0105】
β−CDで包摂してもフルオロカーボンを配合すると比重回復率の向上が認められた。
また、フルオロカーボンに由来するハジキなどの塗膜欠陥が発生することもなかった。
【0106】
【表14】