特許第5969360号(P5969360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969360
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】揮発分のない水性塗料用消泡剤
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20160804BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160804BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D7/12
   B01D19/04 B
【請求項の数】1
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-253435(P2012-253435)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-101428(P2014-101428A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000225854
【氏名又は名称】楠本化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】並木 潤子
(72)【発明者】
【氏名】堀口 崇
(72)【発明者】
【氏名】川人 滋寛
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−075779(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/113691(WO,A1)
【文献】 特開昭61−042309(JP,A)
【文献】 特開昭55−102411(JP,A)
【文献】 特開昭51−133960(JP,A)
【文献】 特開平03−151005(JP,A)
【文献】 特開昭59−022611(JP,A)
【文献】 Hiroto Tatsuno and Shinji Ando,Structure and Dynamics of Perfluoroalkane/β−Cyclodextrin Inclusion Compounds As Studied by Solid-State 19F MAS 1H→19F CP/MAS NMR Spectroscopy,The Journal of Physical Chemistry B,2006年,110,25751-25760
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00− 10/00
101/00−201/10
B01D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性塗料用消泡剤であって、
(1)炭素数が6から18のパーフルオロカーボンをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物、
(2)炭素数が6から18のハイドロフルオロカーボンをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物、および、
(3)炭素数が6から18のハイドロフルオロエーテルをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物
から選ばれる少なくとも1つの包摂した化合物[I]1〜20重量%と、一般式(A)
【化1】
で示されるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油[II]2〜90%と、一般式(B)
【化2】
で示されるモノマーの繰り返し単位が10〜500の重合度のポリアルキルビニルエーテル[III]2〜90重量%とから成る消泡性主成分組成物を、分散媒としてのポリオキシエチレンソルビトールテトラオレートおよび/または炭素数が8から12のトリ−O−アシルグリセリン中に、消泡性主成分組成物20〜70重量%および分散媒80〜30重量%の割合で均一に分散させたものである、ことを特徴とする水性塗料用消泡剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水性塗料に少量添加することにより、水性塗料製造時や塗装時に発生する泡に対する消泡性を付与する事を目的とする、水性塗料用消泡剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水性塗料用の消泡剤(非特許文献1および2参照)としては、(1)鉱物油等に消泡成分を分散させたオイルタイプ(特許文献1)、(2)疎水性が高く油性の活性剤のタイプ(特許文献2〜7)、(3)消泡剤成分(高級アルコール、エステル、シリコーンオイル等)を水に乳化分散させたエマルジョンタイプ(特許文献8〜13)、(4)消泡剤成分(高級アルコール、エステル、シリコーンオイル等)にシリカ粉などの微粉末を配合したオイルコンパウンド型(特許文献14〜20)、(5)自己乳化型消泡剤(特許文献21)、(6)ビニルポリマーを活性剤と溶剤に均一に溶解した消泡剤(特許文献22)などが挙げられる。
【0003】
消泡剤の種類別の特徴としては、一般的にオイルタイプが破泡性、活性剤タイプが抑泡性、エマルジョンタイプが脱気性、オイルコンパウンドタイプが油性水性を問わない汎用性、自己乳化型タイプが消泡効果の持続性、ビニルポリマー溶解型が焼き付け塗料の消泡効果に優れていると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−87966
【特許文献2】特開平9−117608
【特許文献3】特開平9−117609
【特許文献4】特開平11−244609
【特許文献5】特開2000−300907
【特許文献6】特開2003−265904
【特許文献7】特開2006−068678
【特許文献8】特開平6−39207
【特許文献9】特開2000−300907
【特許文献10】特開2005−13894
【特許文献11】特開2005−169271
【特許文献12】特開2006−95506
【特許文献13】特開2006−305461
【特許文献14】特開平8−239690
【特許文献15】特開平10−286404
【特許文献16】特開平10−323505
【特許文献17】特開2003−170005
【特許文献18】特開2005−270890
【特許文献19】特開2005−279565
【特許文献20】特開2006−320837
【特許文献21】特開2007−21316
【特許文献22】特登−04526584
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】水性塗料とコーティング技術 (株)技術情報協会(1992) 167〜181ページ
【非特許文献2】H. Tatsuno, S. Ando, J. Phys. Chem., Part B, 110(51), 25751-25760 (2006)
【非特許文献3】Fast living cationic polymerization accelerated by SnCl4. I. New base-stabilized living system for various vinyl ethers with SnCl4/EtAlCl2. Yoshida, T.; Tsujino, T.; Kanaoka, S.; Aoshima, S. J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 2005, 43, 468-472.
【非特許文献4】S. Aoshima, T. Yoshida, A. Kanazawa, S. Kanaoka, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 45, 1801 (2007)
【非特許文献5】Kanazawa, A.; Kanaoka, S.; Aoshima, S. Macromolecules 2009, 42, 3965.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記消泡剤では、各タイプ単独だけで泡を消そうとする場合、消泡剤として満足な結果を得られない場合が多く見受けられる。このような時には違うタイプの消泡剤を併用して使用する必要が有り、その結果添加量が多く必要となる欠点があった。また、排水処理などの低粘度下では消泡効果の高い消泡剤もレオロジー特性を持つ水性塗料に適用する場合は、パラフィン系や極性の低いアルコール、エステル、エーテル類などの溶剤と併用しないと消泡効果を発揮しにくいことが多い。また、フッ素系の溶剤は、少量の添加で、塗料溶液中に巻き込んだ泡を破泡する効果が高いが、オゾン層を破壊する可能性があったり、二酸化炭素の数百倍から数万倍の温室効果ガスになるとの指摘も有り、溶媒が揮発する塗料においては、使用しにくい化合物である。いずれにせよ環境に優しい塗料として利用される水性塗料中に揮発性有機化合物(以下VOCと表記する)成分として認識される有機溶剤が配合されることは好ましくない。更に、近年研究されている自動車用塗料などの高外観を要求する分野には、シリコーンオイルやオイルコンパウンドタイプに用いるシリカ粉等の固体成分は、上塗り性や仕上がり塗膜の外観を損ねる傾向があり、使用を敬遠される。
【0007】
従って、この発明の目的は、従来からの水性塗料用消泡剤では得られなかった、高外観を要求する用途にも利用でき、かつ、VOC成分をほとんど含まない、環境に優しい水性塗料用の消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
非特許文献2で安藤らは、炭素数9と炭素数20のパーフルオロカーボンが、β−シクロデキストリン中に包摂されることを固体NMR法による19F核の測定により証明している。即ち、これらのフルオロカーボンの沸点以上の温度においても、β−シクロデキストリン包摂化合物の構造は変わらず、フルオロカーボンは揮発しないことが示唆されている。
【0009】
本発明者らは、様々な検討を重ねた結果、本発明に達した。
【0010】
本発明の1つの態様は、
(1)炭素数が6から18のパーフルオロカーボンをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物、
(2)炭素数が6から18のハイドロフルオロカーボンをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物、および、
(3)炭素数が6から18のハイドロフルオロエーテルをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物
から選ばれる少なくとも1つの包摂した化合物[I]1〜20重量%と、下記一般式(A)で示されるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油[II]2〜90重量%と、下記一般式(B)で示されるモノマーの繰り返し単位が10〜500の重合度の
ポリアルキルビニルエーテル[III]2〜90重量%とから成る消泡性主成分組成物を、分散媒としてのポリオキシエチレンソルビトールテトラオレート中に均一に分散させて成る水性塗料用消泡剤である。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの包摂化合物[I]1〜20重量%と、上記一般式(A)で示されるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油[II]2〜90重量%と、上記一般式(B)で示されるモノマーの繰り返し単位が10〜500の重合度のポリアルキルビニルエーテル[III]2〜90重量%とから成る消泡性主成分組成物を、分散媒としての炭素数が8から12のトリ−O−アシルグリセリン中に均一に分散させて成る水性塗料用消泡剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水性塗料用消泡剤は、以下の(1)から(3)の少なくとも1つの包摂した化合物[I]が消泡性主成分組成物([I]+[II]+[III])中にその全重量に基づいて1〜20重量%配合されていることにより、VOC成分がほとんどないという効果をもたらすことが出来る。
(1)炭素数が6から18のパーフルオロカーボンをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物。
(2)炭素数が6から18のハイドロフルオロカーボンをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物。
(3)炭素数が6から18のハイドロフルオロエーテルをβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物。
【0015】
本発明の水性塗料用消泡剤は、これら包摂化合物が配合されていることにより、塗料製造時、塗装時、乾燥時や焼き付け時に発生する泡を配合中のフルオロカーボンを大気中に揮発することなく、効果的に消滅させることができるのみならず、一般式(A)で示される化合物が配合されていることにより、従来水性塗料には均一に分散しがたいことが原因で、はじきやへこみなどの塗装欠陥が生じやすく利用することが困難だった、一般式(B)の非水溶性ポリマーを水性塗料に均一に分散させることが可能となり、これらの塗装欠陥が生じることを防止することができる。また、VOC成分のない、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレートおよび/または炭素数が8から12のトリ−O−アシルグリセリン中に均一に分散させることで、塗料に均一に分散しやすくなり、更なる消泡効果を発揮することが出来る。更に、乾燥塗膜の外観や塗り重ね時の上塗り性を損ねることがないため、自動車塗料など高外観が要求される塗料に対しても使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の最良の実施形態について説明する。
【0017】
本発明で用いられるフルオロカーボン類(フッ素系の溶剤)は、β−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂するために、炭素数が限定される。炭素数が5より小さいとβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂されずに、温度が上昇すると揮発する。炭素数が18より大きいと、塗料溶液に均一に分散することは出来ないために、塗膜化したときにはじきやへこみが生じる。また、包摂化合物を作成するために用いるβ−シクロデキストリンあるいはその変性物は必須で有り、α−シクロデキストリンやγ−シクロデキストリンでは、包摂化合物を作成できない。
【0018】
本発明で用いられる、β−シクロデキストリンあるいはその変性物は、市販のものがそのまま利用できる。例えば、β−シクロデキストリンは、東京化成や和光純薬工業が試薬で販売しているβ−シクロデキストリン、塩水港精糖株式会社から販売されているβ−100、株式会社シクロケムから販売されているCAVAMAX(R) W7 Food等が利用できる。また、β−シクロデキストリン変性物としては、β−シクロデキストリンの低い水溶性を改良したタイプの変性β−シクロデキストリンが特に有用である。例えば、東京化成や和光純薬工業が試薬で販売している2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン、和光純薬工業が販売している2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、塩水港精糖株式会社から販売されているメチル−β−CD、G2−β−CD、株式会社シクロケムから販売されているCAVASOL(R) W7 M等が利用できる。
【0019】
本発明で用いられる、パーフルオロカーボン類としては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロデカン、パーフルオロウンデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロテトラデカン、パーフルオロヘキサデカン、パーフルオロオクタデカンなどが挙げられる。
【0020】
本発明で用いられる、ハイドロフルオロカーボン類としては、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン、1H,1H,1H,2H,3H−パーフルオロノナン、1H−パーフルオロウンデカン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロドデカン、1H,1H−パーフルオロテトラデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタンなどが挙げられる。
【0021】
本発明で用いられる、ハイドロフルオロエーテル類としては、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロポキシ)−ペンタンなどが挙げられる。
【0022】
フルオロカーボン類をβ−シクロデキストリンあるいはその変性物中に包摂した化合物[I]の消泡性主成分組成物([I]+[II]+[III])中での配合量は1〜20重量%であり、特に5〜15重量%が好ましい。1重量%未満の配合量では十分な消泡性能を発揮することができない。また20重量%より多く配合しても消泡効果はほとんど変わらずコスト的に無駄であるし、均一な製品を得ることが難しくなる。
【0023】
本発明で用いられるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油[II]は、一般式(B)の化合物を使用するときに、安定した消泡性能を発揮するために必要な成分である。一般式(A)中に含まれるポリオキシエチレンのモル数の合計(a+b+c)は、5モル〜50モルであり、かつ、a>1、b>1、c>1であることを必要とする。ポリオキシエチレンのモル数の合計(a+b+c)が、5モルより少ないと塗料から分離してはじきを発生するなどの問題が生じる。ポリオキシエチレンのモル数(a+b+c)が、50モルより多いと十分な消泡性を与えることが出来ない。本発明で用いられるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とイソステアリン酸のトリエステル化によって得ることができるが、市販の製品を利用することもできる。例えば、EMALEX RWIS−305(5モル)、EMALEX RWIS−310(10モル)、EMALEX RWIS−315(15モル)、EMALEX RWIS−320(20モル)、EMALEX RWIS−330(30モル)、EMALEX RWIS−340(40モル)、EMALEX RWIS−350(50モル)(いずれも日本エマルジョン株式会社製)のうちから一種または二種以上が任意に選択される。
【0024】
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油[II]の消泡性主成分組成物([I]+[II]+[III])中での配合量は、2〜90重量%であり、2〜80重量%であることが好ましく、特に40〜50重量%が好ましい。2重量%未満の配合量では十分な消泡性能を発揮することができない。また80重量%より多く配合すると他の成分が少なくなりすぎて、消泡性能を発揮することができない。
【0025】
本発明で用いられる一般式(B)で示されるポリアルキルビニルエーテル[III]は、炭素数が1〜18のアルキル基を持つビニルエーテルモノマーを重合して得られる。炭素数が1から18のビニルエーテルモノマーの一例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ノルマルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ノルマルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ノルマルオクチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、イソノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、等が挙げられ、これらのうちから一種または二種以上を任意に選択して重合する。
【0026】
ポリアルキルビニルエーテル(共)重合体は、上記モノマーをカチオン重合法により重合することによって得られる。ただし、本発明は、共重合体の用途開発に関する発明であるから、合成方法によって何ら制限されるものではない。
【0027】
ポリアルキルビニルエーテルの重合度は、10〜500であり、平均分子量に換算するとおよそ1000〜150000に相当する。重合度が10未満では、十分な消泡性能を発揮することができない。重合度が500を超えると塗料中に均一に分散することが難しくなり、はじきやへこみなどの問題が生じる。
【0028】
ポリアルキルビニルエーテル[III]の消泡性主成分組成物([I]+[II]+[
III])中での配合量は2〜90重量%であり、2〜80重量%であることが好ましく、特に40〜50重量%が好ましい。2重量%未満の配合量では十分な消泡性能を発揮することができない。また80重量%より多く配合すると他の成分が少なくなりすぎて消泡性能を発揮することができない。
【0029】
本発明で分散媒として用いられるポリオキシエチレンソルビトールテトラオレートとしては、ポリオキシエチレンの重合度が30から60のものが好ましく、一般に市販されているレオドール430V(花王株式会社)、NIKKOL GO−430NV(日光ケミカルズ株式会社)(ポリオキシエチレン(30)ソルビトールテトラオレート)、レオドール440V、NIKKOL GO−440NV(ポリオキシエチレン(40)ソルビトールテトラオレート)、レオドール460V、NIKKOL GO−460NV(ポリオキシエチレン(60)ソルビトールテトラオレート)などが挙げられる。これらのうちから一種または二種以上を任意に選択して使用する。
【0030】
本発明で分散媒として用いられる炭素数が8から12のトリ−O−アシルグリセリンとしては、一般に市販されている、ココナードRK(トリカプリル酸グリセリド)、ココナードMT(トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセド)、ココナードML(トリ(カプリル酸・カプリン酸・ラウリン酸)グリセリド)(いずれも花王株式会社)などが挙げられる。これらのうちから一種または二種以上を任意に選択して使用する。
【0031】
本発明の水性塗料用消泡剤は、20〜70重量%、好ましくは30〜50重量%の消泡性主成分組成物([I]+[II]+[III])を80〜30重量%、好ましくは70〜50重量%の上記分散媒に分散させることによって、調製される。分散媒の量が30重量%より少ない場合には、消泡性主成分組成物を均一に分散し難くなる傾向があり、一方、80重量%より多い場合には、これが添加された塗料の乾燥塗膜が耐水性に劣るものとなるおそれがある。
【0032】
本発明の水性塗料用消泡剤の使用に適する塗料は、高外観が要求される塗料である。本発明の消泡剤は、例えば、自動車用水性ベース塗料、自動車用水性中塗り塗料、自動車用水性プライマー塗料、高級家具用水性塗料等に添加された場合、該塗料の製造時、塗装時および乾燥時に十分な消泡性を与えると同時にワキなどの塗装欠陥の発生を防止する。
【0033】
本発明の水性塗料用消泡剤を塗料に添加する時期は任意であって、顔料を混練する過程でも、あるいは、塗料を製造した後にでも添加することが出来る。特に本発明の水性塗料用消泡剤は、従来のものに比べて、非シリコーンタイプの消泡剤の中では、巻き込み泡の破泡性に優れるので、塗料製造時の消泡剤としても適している。
【0034】
本発明の水性塗料用消泡剤の添加量は、塗料の樹脂の種類や、顔料の配合組成などにより異なるが、通常固形分換算で塗料ビヒクルに対し0.05〜10重量%、好ましくは、0.1〜5重量%である。
【0035】
添加量が0.05重量%より少ないと消泡性を十分に与える事が出来ない。また、10重量%より多く添加すると、塗料を塗り重ねる時に層間付着性が悪くなったり、上塗り塗膜に塗りむらが生じるなどの悪影響を及ぼしたり、あるいは乾燥後の塗膜の耐水性が悪くなったりする可能性が生じるので好ましくない。
【実施例】
【0036】
次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
以下における「部」及び「%」は、それぞれ、「重量部」及び「重量%」を示す。
【0038】
包摂化合物製造実施例1
1000mlのガラスビーカーに、β−シクロデキストリン(東京化成製)(以下β−CDと記述する)10gを秤採り、556mlの蒸留水で飽和溶液を調製した。そこに、パーフルオロノナン4.2g(β−CDと等モル)を加えた。その後、マグネチックスターラーを用いて72時間攪拌した。包摂化合物になると水に溶解しなくなるため、生成した包摂化合物は沈殿した。72時間後生成物をろ紙を用いてろ過し、乾燥機中80℃で乾燥した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、12.2gであった。これは加えたパーフルオロノナンの約半分量が、β−CDに包摂されたことになる
【0039】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『包摂化合物1』を得た。
【0040】
包摂化合物製造実施例2
1000mlのガラスビーカーに、β−CD100gを秤採り、500mlの蒸留水でスラリーを作成した。そこに、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン30.7g(β−CDと等モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で2時間攪拌した。生成した包摂化合物は80℃に設定した乾燥機で水分を除去した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、112.9gであった。これは加えたハイドロフルオロカーボンの約半分量が包摂されたことを示唆する。
【0041】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『包摂化合物2』を得た。
【0042】
包摂化合物製造実施例3
1000mlのガラスビーカーに、β−CD100gを秤採り、500mlの蒸留水でスラリーを作成した。そこに、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタン30.9g(β−CDと等モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、24000r.p.m.で1時間攪拌した。生成した包摂化合物は80℃に設定した乾燥機で水分を除去した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、109.4gであった。これは加えたハイドロフルオロエーテルの約1/3量が包摂されたことを示唆する。1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)−ペンタンは、実施例1および2のフルオロカーボンに比べて分子サイズが小さいため、一部包摂されなかったと考えられる。
【0043】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『包摂化合物3』を得た。
【0044】
包摂化合物製造実施例4
500mlのガラスビーカーに、メチル化β−CD(商品名メチル−β−CD:塩水港株式会社製)150gを秤採り、150mlの蒸留水で溶解した。そこに、パーフルオロウンデカン38g(メチル化β−CDの約1/2モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。攪拌後、透明だった溶液は白濁した。ビーカーの底にパーフルオロカーボンが沈降しているようなことは観測されず均一なサスペンションであった。この約50%のサスペンション溶液はそのまま以降の試験に使用した。
【0045】
包摂化合物製造実施例5
500mlのガラスビーカーに、メチル化β−CD(商品名G2−β−CD:塩水港株式会社製)150gを秤採り、100mlの蒸留水で溶解した。そこに、パーフルオロド
デカン42g(メチル化β−CDの約1/2モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。攪拌後、透明だった溶液は白濁した。ビーカーの底にパーフルオロカーボンが沈降しているようなことは観測されず均一なサスペンションであった。この約65%のサスペンションはそのまま以降の試験に使用した。
【0046】
製造実施例1
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびカチオン重合開始剤であるフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを3部仕込み、窒素ガスを導入しながら30℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。
滴下溶液(a−1)
エチルビニルエーテル 300部
トルエン 100部
【0047】
滴下溶液(a−1)の滴下終了30分後、イソプロピルアルコール15部を加え、反応を停止させた。反応終了後、エバポレータを用いて溶媒を除去し、アルキルビニルエーテルポリマー[A−1]を得た。合成した重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2500であり、これは重合度35に相当する。
【0048】
製造実施例2
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを1.5部仕込み、窒素ガスを導入しながら35℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−2)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−2]を得た。
滴下溶液(a−2)
エチルビニルエーテル 150部
2−エチルヘキシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0049】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、4500であり、これは重合度25に相当する。
【0050】
製造実施例3
製造実施例2の滴下溶液(a−2)の代わりに下記の滴下溶液(a−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−3]を得た。
滴下溶液(a−3)
n−ブチルビニルエーテル 150部
ヘキサデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0051】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、6000であり、これは重合度30に相当する。
【0052】
製造実施例4
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエ
チルエーテルで10%に希釈したものを0.6部仕込み、窒素ガスを導入しながら40℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−4)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−4]を得た。
滴下溶液(a−4)
ドデシルビニルエーテル 150部
ヘキサデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0053】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、10500であり、これは重合度45に相当する。
【0054】
製造実施例5
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを0.3部仕込み、窒素ガスを導入しながら15℃に冷却した後、下に示す滴下溶液(a−5)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−5]を得た。
滴下溶液(a−5)
イソブチルビニルエーテル 150部
オクタデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0055】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、135000であり、これは重合度450に相当する。
【0056】
製造実施例6
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを7.5部仕込み、窒素ガスを導入しながら35℃に昇温した後、下に示す滴下溶液(a−6)を滴下ロートにより4時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−6]を得た。
滴下溶液(a−6)
エチルビニルエーテル 150部
オクタデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0057】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、2600であり、これは重合度10に相当する。
【0058】
製造実施例7
[非特許文献3]から[非特許文献5]を参考にリビングカチオン重合法により試験サンプルを合成した。
【0059】
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン50部仕込み、10℃に冷却した後、酢酸1.8部とイソブチルビニルエーテル3.0部を仕込んだ。室温まで加温し、酢酸−イソブチルビニルエーテル付加体をin situで生成させた。続いて、トルエン100部、酢酸エチル100部、塩化すず(IV) (約1.0mol/Lジクロロメタン溶液)0.6部、エチルアルミニウムジクロリド (17%ヘキサン溶液, 約1mol/L)0.5部を反応容器に仕込んだ。反応溶液の温度を20℃に保ちながら、下に示す滴下溶液(a−7−1)を滴下ロートにより30分で等速滴
下した。続けて滴下溶液(a−7−2)を滴下ロートにより15分で等速滴下した。滴下終了後直ちにアンモニア性メタノール溶液20mlを投入し反応を停止した。沈殿物を濾別し、その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[A−7]を得た。
滴下溶液(a−7−1)
n−ブチルビニルエーテル 150部
トルエン 100部

滴下溶液(a−7−2)
ヘキサデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0060】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、滴下溶液(a−7−1)滴下終了後5300、滴下溶液(a−7−2)滴下終了後9900であり、これはn−ブチルビニルエーテルの重合度50、ヘキサデシルビニルエーテルの重合度18に相当し、ほぼ理論値どおりのブロックポリマーが得られた。
【0061】
包摂化合物製造比較例1
1000mlのガラスビーカーに、β−シクロデキストリン(以下β−CDと記述する)10gを秤採り、556mlの蒸留水で飽和溶液を調製した。そこに、パーフルオロペンタン2.5g(β−CDと等モル)を加えた。その後、マグネチックスターラーを用いて72時間攪拌した。包摂化合物になると水に溶解しなくなるため、生成した包摂化合物は沈殿した。72時間後生成物をろ紙を用いてろ過し、乾燥機中80℃で乾燥した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、10.2gであった。これは加えたパーフルオロペンタンが揮発してしまったことを示唆する。
【0062】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『比較β−CD−1』を得た。
【0063】
包摂化合物製造比較例2
1000mlのガラスビーカーに、β−CD100gを秤採り、500mlの蒸留水でスラリーを作成した。そこに、ドテトラコンタフルオロイコサン(C20F42)22.9g(β−CDの1/4モル)を加えた。その後、圧力式ホモジナイザー((株)エス・エム・テー社製:LAB2000)を用いて、150barに加圧下200℃で30分間攪拌した。生成した包摂化合物は150℃に設定した乾燥機で水分を除去した。生成した包摂化合物の重量を測定したところ、122.5gであった。ドテトラコンタフルオロイコサンの沸点は320℃なので、包摂されたか否かの判断は出来ないが、非特許文献1によればハイドロフルオロカーボン:β−CD=1:4の割合で包摂されていると考えられる。
【0064】
その後、乳鉢を用いて細かくすりつぶし、『比較β−CD−2』を得た。
【0065】
包摂化合物製造比較例3
500mlのガラスビーカーに、α−シクロデキストリン(以下α−CDと記述する)50gを秤採り、200mlの蒸留水を加えて加温しながら攪拌し、約30℃で完全に溶解した。そこに、パーフルオロノナン25g(α−CDと等モル)を加えて、マグネチックスターラーを用いて72時間攪拌した。72時間後も包摂化合物は得られず、パーフルオロノナンは、ビーカーの底に分離・沈降した。
【0066】
包摂化合物製造比較例4
500mlのガラスビーカーに、γ−シクロデキストリン(以下γ−CDと記述する)
100gを秤採り、200mlの蒸留水を加えて加温しながら攪拌し、約30℃で完全に溶解した。そこに、パーフルオロノナン37.6g(γ−CDと等モル)を加えた。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURRAX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。攪拌後、透明だった溶液は白濁した。しかし時間がたつとビーカーの底にパーフルオロカーボンが沈降している様子が観測された。この約40%のサスペンションは使用時に振り混ぜて、そのまま以降の試験に使用した。『比較β−CD−4』
【0067】
製造比較例1
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを0.6部仕込み、窒素ガスを導入しながら20℃に冷却した後、下に示す滴下溶液(n−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[N−1]を得た。
滴下溶液(n−1)
エチルビニルエーテル 100部
イソブチルビニルエーテル 200部
トルエン 100部
【0068】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、95000あり、これは重合度810に相当する。
【0069】
製造比較例2
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mlの反応容器に、トルエン150部およびフッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体をジエチルエーテルで10%に希釈したものを6部仕込み、窒素ガスを導入しながら50℃に加温した後、下に示す滴下溶液(n−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下した。その後、実施例1と同様の方法で、アルキルビニルエーテルポリマー[N−2]を得た。
滴下溶液(n−2)
ドデシルビニルエーテル 150部
オクタデシルビニルエーテル 150部
トルエン 100部
【0070】
合成した共重合物のゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の数平均分子量は、1500あり、これは重合度6に相当する。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
配合実施例1〜5(包摂化合物実施例1から5を配合した例)
包摂化合物1〜5を第3表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0074】
【表3】
【0075】
配合実施例6〜11(ポリビニルエーテルA−2からA−7を配合した例)
第4表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0076】
【表4】
【0077】
配合実施例12〜15(配合するポリオキシエチレンソルビトールテトラオレートを変化させた例)
第5表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0078】
【表5】
【0079】
配合実施例16〜17(配合するトリ-O-アシルグリセリンを変化させた例)
第6表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0080】
【表6】
【0081】
配合比較例1〜5(包摂化合物を混合しない例1)
第7表に示す既存の製品を塗料試験比較例に使用した。
【0082】
【表7】
【0083】
配合比較例6〜9(包摂化合物を混合しない例2)
第8表に示すフルオロカーボンを配合した試験品を試験比較例に使用した。
【0084】
【表8】
【0085】
配合比較例10〜12(包摂化合物比較例物質を配合)
第9表に示す包摂化合物製造比較例物質を配合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0086】
【表9】
【0087】
配合比較例13〜14(請求範囲外の重合度のポリアルキルビニルエーテルを配合したもの)
第10表に示す配合組成で混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ULTRA-TURREX)を用いて、12000r.p.m.で1時間攪拌した。配合した包摂化合物の粒子径は1μm以下であり、均一な分散体となった。
【0088】
【表10】
【0089】
加熱残分の測定
調製した全ての試験品の加熱残分を測定した。加熱残分の測定は、『JIS K 0067:1992化学製品の減量及び残分試験方法』に基づいて行った。
【0090】
試料1gを予め重さのわかっている金属製蒸発皿に素早く秤採り、精密化学天秤で重量測定する。105℃±2℃に保った熱風式乾燥炉に入れ、3時間加熱する。その後取り出して、デシケーター中で室温まで放冷し、再び重量測定して金属製蒸発皿中の残量を測定する。三回測定を行いその平均値を加熱残分の値とした。
【0091】
以下の式から、加熱残分を求めた。
A=(m2/m1)×100
A :加熱残分
2:金属製蒸発皿中の残量(g)
1:試料の重さ(g)
【0092】
測定結果を第11表に示す。
【0093】
【表11】
【0094】
加熱残分測定により、実施例における包摂されたフルオロカーボンは、フルオロカーボンが揮発しないと仮定した理論値とほぼ等しい数値であることが確認できた。実施例において揮発したのは、ほとんどが配合中に含まれていた水である。これに反して、比較例11を除く、比較例6〜比較例10および比較例12は、フルオロカーボンが揮発しないと仮定した理論値に比べて、配合したフルオロカーボンの数値だけ低い値が計測された。加熱残分測定で揮発してしまったことが示唆される。既存の製品中に含まれる炭化水素系の溶剤は、ほとんど全てがVOCとして大気中へ揮発した。
【0095】
塗料試験例 (水性アクリル塗料での消泡性試験)
第12表に示した配合の水性アクリル塗料組成物について消泡性の試験を行った。
【0096】
(水性アクリル塗料の作成)
第12表のミルベース配合をラボディスパー((株)エス・エム・テー製 ハイフレックスディスパーサー SG2)を用いて均一に分散し、ミルベースを作成した。次に得られた塗料を2−ジメチルエタノールアミンでPHが7.8になるように調整した後、粘度をフォードカップ#4で30秒(20℃)になるように蒸留水で希釈した。
【0097】
(缶中消泡性の試験:塗料作成時の消泡性の試験と評価)
調製した水性アクリル塗料に第1表〜第10表の消泡剤を塗料に対して2重量%添加し、ラボディスパーで、4000r.p.mの回転数で3分間撹拌し起泡した。
【0098】
撹拌終了後1分後と5分後に100mlの比重カップ(太佑機材(株)製)を用いて、泡を巻き込んだ水性塗料の比重を測定した。比重が大きいほど、巻き込んだ泡を破泡する効果が高いといえる。
【0099】
(塗装時及び乾燥時の消泡性の試験)
作成した水性アクリル塗料を24時間放置後、この塗料を乾燥後の膜厚が30μmになるようにエアスプレーで200mm×300mmの大きさのブリキ板に塗装した。1分間室温でセッティングした後、100℃のオーブンで強制乾燥した。
【0100】
(塗装時及び乾燥時の消泡性の評価)
消泡性の評価は、ワキの発生及びハジキの発生の様子をそれぞれを目視にて「最良」(5)から「最悪」(1)までの5段階に評価した。
【0101】
その結果を第13表及び第14表に示す。
【0102】
ここでいうワキとは、強制乾燥塗膜に発生する泡のことで、塗装膜表面に泡の形で目視により確認できる。また、ここでいうハジキとは、乾燥後の塗装膜表面に生じたクレーター状のへこみや、素地が直接見える穴のことをいう。
【0103】
【表12】
【0104】
【表13】
【0105】
β−CDで包摂してもフルオロカーボンを配合すると比重回復率の向上が認められた。
また、フルオロカーボンに由来するハジキなどの塗膜欠陥が発生することもなかった。
【0106】
【表14】