(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969366
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】コンテンツ配信システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/16 20130101AFI20160804BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20160804BHJP
G09C 1/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
G06F21/16
G06F21/62
G09C1/00 650Z
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-261603(P2012-261603)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-106914(P2014-106914A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩平
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 正機
(72)【発明者】
【氏名】田上 敦士
【審査官】
宮司 卓佳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−037094(JP,A)
【文献】
特開2011−242865(JP,A)
【文献】
杉山浩平他,安全かつ追跡可能なオンライン画像共有方式の提案,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.111 No.82,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年 6月 9日,第111巻,第82号,p.41-p.46
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00−21/88
G09C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配信装置と、
配信すべきコンテンツのデータから、それぞれが複数の配信装置のいずれかに対応し、当該コンテンツを復元できる複数の分散データを生成し、生成した複数の分散データを、対応する配信装置に送信する送信装置と、
を備えているコンテンツ配信システムであって、
前記複数の配信装置のそれぞれは、ユーザ装置から前記コンテンツの配信要求を受け取ると、前記ユーザ装置のユーザを特定するユーザ特定情報を、保持している前記コンテンツの分散データに埋め込んで前記ユーザ装置に配信する、
ことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記送信装置は、閾値秘密分散法により前記複数の分散データを生成することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記コンテンツは画像であり、
前記複数の配信装置のそれぞれは、前記ユーザ特定情報である1つ以上の値を、保持している前記コンテンツ分散データの所定の画素に対応する値に加算することで、前記ユーザ特定情報を、保持している前記コンテンツの分散データに埋め込むことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
複数の配信装置を含むコンテンツ配信システムにおけるコンテンツ配信方法であって、
配信すべきコンテンツのデータから、それぞれが複数の配信装置のいずれかに対応し、当該コンテンツを復元できる複数の分散データを生成し、生成した複数の分散データを、対応する配信装置に保存するステップと、
ユーザ装置から前記コンテンツの配信要求を受け取ると、前記複数の配信装置のそれぞれにおいて前記ユーザ装置のユーザを特定するユーザ特定情報を、保存している前記コンテンツの分散データに埋め込んで前記ユーザ装置に配信するステップと、
を含むことを特徴とするコンテンツ配信方法。
【請求項5】
前記複数の分散データは、閾値秘密分散法によりを生成されていることを特徴とする請求項4に記載のコンテンツ配信方法。
【請求項6】
前記コンテンツは画像であり、
前記複数の配信装置のそれぞれは、前記ユーザ特定情報である1つ以上の値を、保持している前記コンテンツ分散データの所定の画素に対応する値に加算することで、前記ユーザ特定情報を、保持している前記コンテンツの分散データに埋め込むことを特徴とする請求項4又は5に記載のコンテンツ配信方法。
【請求項7】
複数の配信装置を含むコンテンツ配信システムにおける前記配信装置であって、
配信すべきコンテンツを復元できる複数の分散データの1つを受信して保存する手段と、
ユーザ装置から前記コンテンツの配信要求を受け取ると、前記ユーザ装置のユーザを特定するユーザ特定情報を、保存している前記コンテンツの分散データに埋め込んで前記ユーザ装置に配信する手段と、
を備えていることを特徴とする配信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の配信装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ配信システムに関し、より詳しくは、著作権保護のために、配信するコンテンツに電子透かしを埋め込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツ配信システムにおいて、コンテンツの著作権者は、そのコンテンツの配信を、コンテンツの配信主体である配信者に委ね、ユーザは、コンテンツの著作権者ではなく、配信者からコンテンツを購入する等して取得している。ここで、コンテンツの著作権保護のために、例えば、暗号を利用することができる。具体的には、著作権者はコンテンツを鍵で暗号化し、この鍵をユーザと共有することでコンテンツを保護することができる。しかしながら、ユーザは、少なくとも暗号化されたコンテンツ、例えば、画像を復号できるため、ユーザは、復号したコンテンツを不正公開できることになる。この様な不正公開を防止するために、ユーザを特定できるユーザ特定情報を画像に埋め込むこと、所謂、電子透かしが利用されている(非特許文献1)。
【0003】
このユーザ特定情報の埋め込みは、コンテンツをユーザに配信する際に行う必要があるため配信者にて行わなければならない。一方、例えば、著作権者がコンテンツをそのまま配信者のシステムに入力すると、この配信者のシステムからコンテンツが流出する危険性がある。これを防ぐためには、著作権者においてコンテンツを暗号化し、暗号化したコンテンツを配信者のシステムに入力すれば良いことになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】I. J. Cox, et.al,"Secure spread spectrum watermarking for images, audio and video," in Proceedings of the IEEE International Conference on Image Processing, vol.3, pp.243−246,1996年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、著作権者が暗号化したコンテンツを配信者に渡すと、配信者においては暗号化されたコンテンツを復号することなくユーザ特定情報をコンテンツに埋め込むことは困難である。しかし、配信者においてコンテンツの復号を許可すると、配信者からのコンテンツの流出の危険が生じる。
【0006】
本発明は、配信者の装置からコンテンツが流出する危険を低減しつつ、配信者においてユーザ特定情報の埋め込みを可能とするコンテンツ配信システム及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、複数の配信装置と、配信すべきコンテンツのデータから、それぞれが複数の配信装置のいずれかに対応し、当該コンテンツを復元できる複数の分散データを生成し、生成した複数の分散データを、対応する配信装置に送信する送信装置と、を備えているコンテンツ配信システムであって、前記複数の配信装置のそれぞれは、ユーザ装置から前記コンテンツの配信要求を受け取ると、前記ユーザ装置のユーザを特定するユーザ特定情報を、保持している前記コンテンツの分散データに埋め込んで前記ユーザ装置に配信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
配信者の装置からコンテンツが流出する危険を低減しつつ、配信者においてユーザ特定情報の埋め込みが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による配信システムの例示的な構成図。
【
図2】一実施形態による配信装置、権利者装置及びユーザ装置の例示的な構成図。
【
図3】一実施形態によるコンテンツへのユーザ特定情報の埋め込みの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。なお、以下の説明においては、コンテンツの例として画像を用いるが、本発明はデジタル・データで表現できる任意のコンテンツに対して適用可能である。
【0011】
図1は、本実施形態によるコンテンツの配信システムの概略的な構成図である。
図1において、配信装置11〜13は、配信者が使用する装置であり、権利者装置2は、画像の著作権者が使用する装置であり、ユーザ装置3は、配信システムのユーザが使用する装置である。これら装置は、コンピュータ上で適切なプログラムを実行することにより実現される。また、これら装置は、例えばインターネットといった、データのネットワーク4に接続している。なお、本実施形態において、配信装置11、12、13を管理する配信者は異なるものとし、各配信装置11、12、13には、ユーザ装置3を使用するユーザを認証するための情報や、当該ユーザのユーザ特定情報を設定しておく。
【0012】
また、権利者装置2は、配信システムで配信する画像に対応する画像データから、秘密分散法により、当該画像データを生成できる複数の分散データ、本例では3つの分散データを生成し、それぞれを、配信装置11、12、13に送信しておく。秘密分散法としては、例えば、シャミアの秘密分散法を使用することができる。例えば、
図3(A)に示す様に画像データの画素#1〜#4の画素値がそれぞれ100、96、85、41であるものとする。また、配信装置11をx=1、配信装置12をx=2、配信装置13をx=3とし、元のデータをx=0に対応させるものとする。ここで、画素#1については、多項式y=−10x+100を使用すると、x=1、2、3のときにy=90、80、70である。よって、
図3(B)に示す様に、画素#1のデータとして配信装置11、12、13にはそれぞれ90、80、70が送信され、各配信装置で保存されることになる。同様に、画素#2については、多項式y=3x+96を使用すると、画素#2のデータとして配信装置11、12、13にはそれぞれ99、102、105が送信され、各配信装置で保存されることになる。さらに、画素#3については、多項式y=5x+85を使用すると、画素#3のデータとして配信装置11、12、13にはそれぞれ90、95、100が送信され、各配信装置で保存されることになる。さらに、画素#4については、多項式y=−7x+41を使用すると、画素#4のデータとして配信装置11、12、13にはそれぞれ34、27、20が送信され、各配信装置で保存されることになる。
【0013】
例えば、ユーザ装置3は、画素#1〜#4のデータをそれぞれ配信装置11、12、13の少なくとも2つから取得することで元の画素データを復元することができる。つまり、例えば、配信装置11と13から画素#1のデータである90及び70を受信すると、配信装置11はx=1であり、配信装置13はx=3であるため、多項式y=−10x+100が決定でき、よって、x=0のときの値100を元の画素#1のデータと決定することができる。なお、上記例では、一次多項式を使用したため3つの配信装置の内の2つからデータを受信することで元の画素データを復元できたが、2次元多項式を使用することで総ての配信装置から画素データを受信しないと元の画素データを復元できない様にしても良い。さらに、配信装置の数は2以上の任意の数とし、秘密分散法に使用する多項式も配信装置の数に応じた任意の次数とすることができる。本実施形態では、画素データを復元するためには少なくとも2つの配信装置が保持しているデータが必要であり、よって、1つの配信装置からデータが流出したとしてもコンテンツである画像は保護される。
【0014】
ユーザ装置3は、コンテンツを例えば購入すると、当該コンテンツをそれぞれ配信装置11から13の少なくとも2つに要求する。このとき要求された配信装置は、配信するデータの少なくとも一部の画素に、当該ユーザを特定するためのユーザ特定情報を埋め込む。なお、ユーザ特定情報を埋め込む画素の決定方法は、予め、配信装置11から13に設定し、配信装置11から13は同じ画素にユーザ特定情報を埋め込むようにしておく。例えば、
図3(C)に示す様に、ユーザ特定情報として、10、−28、2を、画素#1、#2、#3に埋め込むものとする。この場合、各配信装置は、保持している対応する画素の画素データにユーザ特定情報の値を加算する。例えば、配信装置11は、画素#1のデータとして90を保持しているため、画素#1へのユーザ特定情報の値10を加算して、画素#1のデータを100にする。
図3(D)にユーザ特定情報埋め込み後の各配信装置が保持する画素データを示す。
【0015】
ユーザ装置3は、
図3(D)に示す画素#1〜#4のデータを、少なくとも2つの配信装置から受信する。例えば、画素#1について配信装置11及び13から100及び80を受信すると多項式y=−10x+110を決定でき、よって、画素#1のデータとして110を復元する。
図3(E)は、ユーザ装置3において復元する各画素データである。仮に、ユーザ装置3のユーザが当該コンテンツを不正に配信した場合、
図3(A)に示す元の画像データと、
図3(E)に示す画像データの差分を取ることで、ユーザ特定情報10、−28、2が得られ、ユーザ装置3のユーザが当該コンテンツを不正に配信したことを特定できる。
【0016】
以上の構成により、配信者装置からコンテンツが流出する危険を低減しつつ、配信者においてユーザ特定情報の埋め込みが可能になる。なお、上記実施形態においてはユーザ特定情報をそのまま埋め込んだが、例えば、非特許文献1に記載されている様に、ユーザ特定情報を所定の演算方法により変換して埋め込むこともできる。なお、変換されたデータ列もユーザ特定情報であることには変わりはない。
【0017】
図2(A)は、本実施形態による配信装置1の概略的な構成図である。配信処理部11は、権利者装置2から分散データを受信してコンテンツ保存部12に保存する。また、配信処理部11は、ユーザ装置3からコンテンツの配信要求を受け取ると、埋め込むべきユーザ特定情報を透かし処理部13に渡して、配信する分散データにユーザ特定情報の埋め込みを行わせ、ユーザ特定情報を埋め込んだ分散データをユーザ装置3に配信する。
【0018】
図2(B)は、本実施形態による権利者装置2の概略的な構成図である。秘密分散処理部21は、配信するコンテンツのデータに対して秘密分散処理を行い、複数の分散データを生成し、送信部22は、各分散データを各配信装置に送信する。
図2(C)は、本実施形態によるユーザ装置3の概略的な構成図である。受信部32は、使用している秘密分散法に応じた数の配信装置から、ユーザ特定情報が埋め込まれた分散データを受信し、復元部31は、使用している秘密分散法に基づきこれを復元する。
【0019】
なお、上記配信装置1、権利者装置2、ユーザ装置3は、それぞれ、コンピュータをそれら装置として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。