特許第5969407号(P5969407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969407
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】操舵角センサ
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20160804BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B62D5/04
   G01B7/30 H
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-15973(P2013-15973)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-144753(P2014-144753A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
(72)【発明者】
【氏名】高柳 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 辰義
(72)【発明者】
【氏名】白窪 清隆
(72)【発明者】
【氏名】椎野 高太郎
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−192609(JP,A)
【文献】 特開2004−003571(JP,A)
【文献】 特開2010−286299(JP,A)
【文献】 特開昭56−167956(JP,A)
【文献】 特開2004−170205(JP,A)
【文献】 特開2006−201025(JP,A)
【文献】 特開2006−292452(JP,A)
【文献】 特表2001−505667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの操舵操作に伴い回転する操舵軸に設けられたセンサハウジングと、
前記センサハウジングに回転自在に設けられ、前記操舵軸を包囲するように環状に形成された本体部と、前記本体部の外周側に形成された複数の歯と、前記本体部に設けられた係合部と、を備え、内周面が前記操舵軸と径方向に所定距離離間するように形成された第1歯車と、
前記操舵軸と一体に回転するように前記操舵軸に設けられ、前記第1歯車の前記係合部と係合することにより前記操舵軸の回転に伴い前記第1歯車を回転駆動する被係合部を有する回転伝達部と、
前記センサハウジングに回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材と、前記第1歯車の歯と噛み合うように外周側に形成された複数の歯と、を有する第2歯車と、
前記センサハウジングに回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材と、前記第1歯車または前記2歯車の歯と噛み合いかつ前記第2歯車と互いに割り切れない所定の減速比を有するように外周側に形成された複数の歯と、を有する第3歯車と、
前記第2歯車の磁性部材の発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することにより前記第2歯車の回転角である第1回転角を検出する第1素子と、
前記第3歯車の磁性部材の発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することにより前記第3歯車の回転角である第2回転角を検出する第2素子と、
前記センサハウジングに設けられ、前記第1歯車と前記第2歯車の間のバックラッシュが低減するように前記第1歯車を前記第2歯車側に向かって付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第1歯車の本体部は、前記付勢部材によって付勢された状態において、前記操舵軸と接触しないように設けられ、
前記第1回転角と前記第2回転角の組合せによって、転舵輪が直進方向を向くときの前記ステアリングホイールの回転位置である中立位置からの前記ステアリングホイールの回転量である操舵絶対角が求められることを特徴とする操舵角センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記第1歯車は、前記付勢部材によって付勢される前よりも付勢後の回転中心が前記操舵軸の回転中心と近くなるように設けられることを特徴とする操舵角センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記付勢部材は、前記第1歯車の本体部の外周を包囲するように環状に形成され、周方向位置の一方側で前記本体部と当接すると共に、他方側で前記センサハウジングに係止され、縮径するように弾性力を発揮することにより前記第1歯車を前記第2歯車側に向かって付勢するコイルばねによって構成されることを特徴とする操舵角センサ。
【請求項4】
ステアリングホイールの操舵操作に伴い回転する操舵軸に設けられたセンサハウジングと、
前記センサハウジングに回転自在に設けられ、前記操舵軸を包囲するように環状に形成された本体部と、前記本体部の外周側に形成された複数の歯と、前記本体部に設けられた係合部と、を備え、内周面が前記操舵軸と径方向に所定距離離間するように形成された第1歯車と、
前記操舵軸と一体に回転するように前記操舵軸に設けられ、前記第1歯車の前記係合部と係合することにより前記操舵軸の回転に伴い前記第1歯車を回転駆動する被係合部を有する回転伝達部と、
前記センサハウジングに回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材と、前記第1歯車の歯と噛み合うように外周側に形成された複数の歯と、を有する第2歯車と、 前記センサハウジングに回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材と、前記1歯車の歯と噛み合いかつ前記第2歯車と互いに割り切れない所定の減速比を有するように外周側に形成された複数の歯と、を有する第3歯車と、
前記第2歯車の磁性部材の発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することにより前記第2歯車の回転角である第1回転角を検出する第1素子と、
前記第3歯車の磁性部材の発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することにより前記第3歯車の回転角である第2回転角を検出する第2素子と、
前記センサハウジングに設けられ、前記第1歯車と前記第2歯車および前記第3歯車との間のバックラッシュが低減するように前記第1歯車を前記第2歯車と前記第3歯車の間に向かって付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第1歯車の本体部は、前記付勢部材によって付勢された状態において、前記操舵軸と接触しないように設けられ、
前記第1回転角と前記第2回転角の組合せによって、転舵輪が直進方向を向くときの前記ステアリングホイールの回転位置である中立位置からの前記ステアリングホイールの回転量である操舵絶対角が求められることを特徴とする操舵角センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵角センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、操舵軸と一体に回転する歯車(以下、第1歯車)に、それぞれに磁石が装着され、互いに歯数が異なる2つの歯車(以下、第2歯車、第3歯車)が噛み合っているものが開示されている。第2歯車と第3歯車の回転差から第1歯車の360°以上の回転角も検出することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001-505667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、第1歯車と第2歯車との間、第1歯車と第3歯車との間のバックラッシュにより操舵軸の回転角の検出誤差が大きくなるおそれがあった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、操舵軸の回転角の検出誤差を小さくすることができる操舵角センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本願発明では、操舵軸に設けられた第1歯車と第1歯車と噛み合う第2歯車の間のバックラッシュが低減するように第1歯車を第2歯車側に向かって付勢する付勢部材を設け、第1歯車の本体部は、付勢部材によって付勢された状態において、操舵軸と接触しないように設けられるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、操舵軸の回転角検出誤差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1のパワーステアリング装置の全体概要図である。
図2】実施例1の操舵角センサおよび操舵トルクセンサ付近の断面図である。
図3】実施例1の操舵角センサの分解斜視図である。
図4】実施例1の操舵角センサの分解斜視図である。
図5】実施例1の操舵角センサを操舵軸の軸方向から見た図である。
図6】実施例1の操舵角センサを操舵軸の軸方向から見た図である。
図7】実施例1の操舵軸の回転角とプライマリディテクションギヤおよびセカンダリディテクションギヤの回転角との関係を示す図である。
図8】実施例1の操舵角センサの模式図である。
図9】実施例1のメインギヤと操舵軸の模式図である。
図10】実施例1のメインギヤと操舵軸との中心位置が一致していないときの位相のずれを示すグラフである。
図11】実施例2の操舵角センサの分解斜視図である。
図12】実施例2の操舵角センサを操舵軸の軸方向から見た分解図である。
図13】実施例3の操舵角センサの分解斜視図である。
図14】実施例3の操舵角センサの分解斜視図である。
図15】実施例4の操舵軸、メインギヤ、プライマリディテクションギヤの断面模式図である。
図16】実施例5の操舵軸、メインギヤ、プライマリディテクションギヤの断面模式図である。
図17】実施例6の操舵角センサの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施例1〕
[パワーステアリング装置の全体構成]
実施例1のパワーステアリング装置1について説明する。図1はパワーステアリング装置1の全体概要図である。パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2と、ステアリングホイール2に接続された操舵軸3と、操舵軸3に接続された出力軸4と、出力軸4に接続された第1ピニオン軸5と、第1ピニオン軸5と噛み合うラックバー6と、ラックバー6の端部に接続されたタイロッド7と、タイロッド7に接続された転舵輪13とを有している。第1ピニオン軸5とラックバー6とが噛み合う位置には第1ラック歯6aが形成されている。操舵軸3と出力軸4との間にはトーションバー22が設けられており(図2参照)、操舵軸3と出力軸4とはトーションバーの捩れの範囲内で相対回転可能に構成されている。
またステアリングホイール2の操舵力をアシストする操舵アシスト機構として、電動モータ14と、電動モータ14の出力軸に接続されたウォームシャフト10と、ウォームシャフト10と噛み合うウォームホイール11と、ウォームホイール11に接続された第2ピニオン12とを有している。第2ピニオン12は、ラックバー6に設けられた第2ラック歯6bと噛み合っている。
【0009】
操舵軸3の外周にはステアリングホイール2の操舵角を検出する操舵角センサ8が設けられ、操舵軸3と出力軸4との間にはステアリングホイール2に入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ9が設けられている。
電動モータ14を制御する構成として電子制御ユニット15を有している。電子制御ユニット15は、モータ電子制御ユニット16とセンサ電子制御ユニット17とを有している。また、モータ電子制御ユニット16は、操舵トルクセンサ9が検出した操舵トルクに基づき電動モータ14への指令電流を演算するモータ指令値演算部18を有している。センサ電子制御ユニット17は、転舵輪13が直進方向を向くときのステアリングホイール2の回転位置である中立状態から何回転目にあるかを示すハンドル回転回数を演算するハンドル回転回数演算部19と、ステアリングホイール2の中立位置からの回転量である絶対角を演算する絶対角演算部20とを有している。
【0010】
[操舵角センサの構成]
図2は操舵角センサ8および操舵トルクセンサ9付近の断面図である。図3は操舵角センサ8の分解斜視図である。図4は操舵角センサ8の分解斜視図であり、図3とは反対側から見た図である。図5は操舵角センサ8を操舵軸3の軸方向から見た図である。図6は操舵角センサ8を操舵軸3の軸方向から見た図であり、図5とは反対側から見た図である。ここでは操舵角センサ8の構成を中心に説明する。
操舵角センサ8は、操舵軸3と一体に回転するメインギヤ80と、メインギヤ80と噛み合うプライマリディテクションギヤ81と、プライマリディテクションギヤ81と噛み合うセカンダリディテクションギヤ82とを有している。
【0011】
メインギヤ80は、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、操舵軸3を包囲する環状の本体部80aを有する。本体部80aの内径は操舵軸3の外径よりも大径に形成されている。本体部80aの外周側には複数の歯を有する歯部80bが形成されている。歯部80bは例えば40歯有している。歯部80bは本体部80aの軸方向中間部分に形成されている。本体部80aは軸方向に切り込みが設けられており、この切り込みが係合部80cを形成している。
【0012】
操舵軸3には操舵軸3の外周から突出する駆動ピン85が設けられている。この駆動ピン85の先端部分は、メインギヤ80の係合部80cに挿入される被係合部85aを構成している。操舵軸3が回転するときには駆動ピン85の被係合部85aの側面と、メインギヤ80の係合部80cの側面とが当接してメインギヤ80が回転駆動されることとなる。
プライマリディテクションギヤ81は、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、N極およびS極を1組有する磁性部材81aが装着されている。磁性部材81aはN極およびS極を2組以上有しても良く、所定間隔をもってN極およびS極が着磁されていれば良い。プライマリディテクションギヤ81の外周には複数の歯を有する歯部81bが形成されている。歯部81bは例えば20歯有している。歯部81bはメインギヤ80の歯部80bと噛み合っている。
【0013】
セカンダリディテクションギヤ82は、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、N極およびS極を1組有する磁性部材82aが装着されている。磁性部材82aはN極およびS極を2組以上有しても良く、所定間隔をもってN極およびS極が着磁されていれば良い。セカンダリディテクションギヤ82の外周には複数の歯を有する歯部82bが形成されている。歯部82bは、プライマリディテクションギヤ81の歯部81bの歯数とは割り切れない数の歯数を有し、例えば19歯有している。歯部82bはプライマリディテクションギヤ81の歯部81bと噛み合っている。
【0014】
磁性部材81a,82aと対向する位置には磁性部材81a,82aのN極およびS極の間に発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出する磁気抵抗効果素子81c,82c(MR素子)が設けられている。磁気抵抗効果センサ13d,13eは、基板21に装着されている。操舵角センサ8の各要素は、操舵角センサハウジング83に収容されている。操舵角センサハウジング83は一方が開口し、操舵角センサ8の各要素を収容した後に、操舵角センサハウジング83の開口する側に基板21が収容され、操舵角センサカバー84により閉塞されている。
【0015】
操舵角センサハウジング83のメインギヤ80が収容される側面の反対側にはコイルばね86が収容されている。操舵角センサハウジング83の操舵軸3が貫通する貫通孔の外周には、プライマリディテクションギヤ81側の約半周部分にコイルばね86が係合される係合溝83aが形成されている。コイルばね86の係合溝83aと係合する部分に対して反対側の内周は、メインギヤ80の本体部80aの外周面と係合している。すなわち、コイルばね86はメインギヤ80の本体部80aの外周を包囲するように設けられている。コイルばね86は、係合溝83aとメインギヤ80の本体部80aと係合した状態で縮径するように弾性力を発揮する。
【0016】
これにより、メインギヤ80はプライマリディテクションギヤ81側に付勢される。メインギヤ80はコイルばね86により付勢された状態で、メインギヤ80の回転中心と操舵軸3の回転中心とが一致するように形成されている。メインギヤ80の回転中心と操舵軸3の回転中心とは完全に一致しなくとも、コイルばね86によりメインギヤ80が付勢される前よりも付勢された後の方がメインギヤ80の回転中心が操舵軸3の回転中心に十分近づくようにしても良い。また、メインギヤ80はコイルばね86により付勢された状態で、メインギヤ80の内周と操舵軸3の外周は駆動ピン85を除いて接触しないように形成されている。
【0017】
[操舵トルクセンサの構成]
図2を用いて操舵トルクセンサ9の構成を説明する。操舵トルクセンサ9は、操舵軸3の回転角を検出するプライマリレゾルバ90と、出力軸4の回転角を検出するセカンダリレゾルバ91とから構成されている。プライマリレゾルバ90は、操舵軸3と一体に回転するプライマリロータ90aと、プライマリロータ90aの径方向外側に対向して配置されたプライマリステータ90bを有している。またセカンダリレゾルバ91は、出力軸4と一体に回転するセカンダリロータ91aと、セカンダリロータ91aの径方向外側に対向して配置され出力軸5の回転角を検出するセカンダリステータ91bとを有している。
プライマリロータ90aとセカンダリロータ91aは操舵トルクセンサケース93に収容され、操舵トルクセンサケース93の開口部は、操舵角センサハウジング83の底部により閉塞されている。プライマリステータ90bとセカンダリステータ91bは操舵トルクセンサケース93に装着されている。
操舵角センサ8および操舵トルクセンサ9は、第1ピニオン軸5とともにギヤハウジング24に収容され、ギヤハウジング24の開口部はギヤカバー25により閉塞されている。
【0018】
[操舵角の求め方]
図7は操舵軸3の回転角とプライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82の回転角との関係を示す図である。磁気抵抗効果素子81c,82cからは、プライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82の回転位置に応じて変化する磁性部材81a,82aの磁界を磁気抵抗の変化が、正弦波信号または余弦波信号として出力されるが、図7ではこの正弦波信号または余弦波信号から回転角情報に変換したものを示している。
【0019】
図7に示すように、20歯のプライマリディテクションギヤ81が1回転する間に19歯のセカンダリディテクションギヤ82は1回転以上することとなる。セカンダリディテクションギヤ82が20回転するまでは回転数が多くなるほど、プライマリディテクションギヤ81に対するセカンダリディテクションギヤ82の回転数の差は大きくなる。この回転数差により、プライマリディテクションギヤ81が何回転しているかを検出することができる。プライマリディテクションギヤ81のみから、360°の範囲内でのプライマリディテクションギヤ81の回転角を検出することはできる。よって、プライマリディテクションギヤ81の回転回数と、360°の範囲内でのプライマリディテクションギヤ81の細かい回転角とを検出することにより、絶対操舵角(操舵軸3の360°以上の回転角も含む角度)を求めることができる。
【0020】
[作用]
(バックラッシュ低減)
プライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82の回転角を正確に検出するためには、磁性部材81a,82aと磁気抵抗効果素子81c,82cとの距離が一定となっていなければならない。そのため、プライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82に大きな力が作用することによるプライマリディテクションギヤ81やセカンダリディテクションギヤ82の傾きを防止する必要がある。
操舵軸3は操舵反力により倒れ方向に変形することがある。この変形時の力がメインギヤ80を介してプライマリディテクションギヤ81に伝達することを避けるため、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81との距離が最短となっている状態でも、メインギヤ80の内周と操舵軸3の外周との間には隙間を有するように設計されている。しかし、メインギヤ80はその隙間の分、移動が可能となるため、メインギヤ80がプライマリディテクションギヤ81に対して離れるとバックラッシュが拡大し、操舵軸3の回転角検出誤差が大きくなる。
そこで実施例1では、コイルばね86を用いてメインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81との噛み合い方向に付勢するようにした。図8は操舵角センサ8の模式図である。メインギヤ80はプライマリディテクションギヤ81との噛み合い方向に付勢されることにより、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
【0021】
(メインギヤと操舵軸の中心位置の一致)
図9はメインギヤ80と操舵軸3の模式図、図10はメインギヤ80と操舵軸3との中心位置が一致していないときの位相のずれを示すグラフである。
メインギヤ80と操舵軸3との中心軸が一致していないまま回転すると、駆動ピン85の位置が付勢方向に対して並行(0°又は180°)のときには位相のずれはないが、駆動ピン85の位置が付勢方向に対して直交(90°又は270°)のときには位相のずれが最大となる。つまり、メインギヤ80と駆動軸3との回転差が生じるため、操舵軸3の回転角検出誤差が生じる。
そこで実施例1では、メインギヤ80がコイルばね86によってプライマリディテクションギヤ81と噛み合う方向に付勢されている状態で、メインギヤ80の回転中心と操舵軸3の回転中心とが一致するようにした。これによりメインギヤ80と操舵軸3の回転位相ずれを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
【0022】
(メインギヤとプライマリディテクションギヤとの噛み合い確保)
コイルばね86によってメインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81側に付勢したとしても、プライマリディテクションギヤ81との噛み合いが適正となるまえにメインギヤ80の内周と操舵軸3の外周とが接触してしまうと、それ以上メインギヤ80を移動させることができず、十分にバックラッシュを低減することができない恐れがあった。
そこで実施例1では、メインギヤ80がコイルばね86によって付勢された状態で、メインギヤ80の内周と操舵軸3の外周とが接触しないようにした。これにより、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
【0023】
(回転角検出精度の向上)
セカンダリディテクションギヤ82は、プライマリディテクションギヤ81を介してメインギヤ80の回転が伝達されるため、直接メインギヤ80を噛み合っているプライマリディテクションギヤ81により検出する操舵軸3の回転角よりも、セカンダリディテクションギヤ82により検出する操舵角3の回転角は誤差が大きくなりやすい。
そこで実施例1では、セカンダリディテクションギヤ82の回転角情報はプライマリディテクションギヤ81が何回転しているかを検出するために用い、操舵軸3の細かい回転角はプライマリディテクションギヤ81の回転角360°の範囲内の情報を用いて検出するようにした。これにより、操舵軸3の回転角検出精度を向上させることができる。
【0024】
(コイルばね設置容積の小型化)
実施例1では、コイルばね86をメインギヤ80の本体部80aを包囲するように設け、コイルばね86が縮径することによりメインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81側に付勢するようにした。これにより、コイルばね86の設置容積を小型化することができる。
【0025】
(メインギヤの付勢設定の容易化)
実施例1では、セカンダリディテクションギヤ82はプライマリディテクションギヤ81と噛み合い、メインギヤ80の回転駆動はプライマリディテクションギヤ81を介して伝達されるようにした。これにより、コイルばね86による付勢力の大きさ、方向といった設定はメインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81との噛み合いのみを考慮して設定すれば良く、設定を容易にすることができる。
【0026】
[効果]
実施例1の効果について説明する。
(1) ステアリングホイール2の操舵操作に伴い回転する操舵軸3に設けられた操舵角センサハウジング83と、操舵角センサハウジング83(センサハウジング)に回転自在に設けられ、操舵軸3を包囲するように環状に形成された本体部80aと、本体部80aの外周側に形成された複数の歯(歯部80b)と、本体部80aに設けられた係合部80cと、を備え、内周面が操舵軸3と径方向に所定距離離間するように形成されたメインギヤ80(第1歯車)と、操舵軸3と一体に回転するように操舵軸3に設けられ、メインギヤ80の係合部80cと係合することにより操舵軸3の回転に伴いメインギヤ80を回転駆動する被係合部85aを有する駆動ピン85(回転伝達部)と、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材81aと、メインギヤ80の歯と噛み合うように外周側に形成された複数の歯(歯部81b)と、を有するプライマリディテクションギヤ81(第2歯車)と、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材82aと、プライマリディテクションギヤ81の歯部81bと噛み合いかつプライマリディテクションギヤ81と互いに割り切れない所定の減速比を有するように外周側に形成された複数の歯(歯部82b)と、を有するセカンダリディテクションギヤ82(第3歯車)と、プライマリディテクションギヤ81の磁性部材81aの発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することによりプライマリディテクションギヤ81の回転角である第1回転角を検出する磁気抵抗効果素子81c(第1素子)と、セカンダリディテクションギヤ82の磁性部材の発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することによりセカンダリディテクションギヤ82の回転角である第2回転角を検出する磁気抵抗効果素子82c(第2素子)と、操舵角センサハウジング83に設けられ、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81の間のバックラッシュが低減するようにメインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81側に向かって付勢するコイルばね86(付勢部材)と、を備え、第1回転角と第2回転角の組合せによって、転舵輪13が直進方向を向くときのステアリングホイール2の回転位置である中立位置からのステアリングホイール2の回転量である操舵絶対角が求められるようにした。
よって、メインギヤ80はプライマリディテクションギヤ81との噛み合い方向に付勢されることにより、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
【0027】
(2) メインギヤ80は、コイルばね86によって付勢される前よりも付勢後の回転中心が操舵軸3の回転中心と近くなるように設けられるようにした。
よって、メインギヤ80と操舵軸3の回転位相ずれを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
(3) メインギヤ80の本体部80aは、コイルばね86によって付勢された状態において、操舵軸3と接触しないように設けられるようにした。
よって、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
(4) 第2回転角は、操舵軸3が中立位置から何回転目にあるかを定めるために用いられ、第1回転角は、操舵軸3の1回転の範囲内における回転角を定めるために用いられるようにした。
よって、操舵軸3の回転角検出精度を向上させることができる。
【0028】
(5) コイルばね86を、メインギヤ80の本体部80aの外周を包囲するように環状に形成され、周方向位置の一方側で本体部80aと当接すると共に、他方側で操舵角センサハウジング83に係止され、縮径するように弾性力を発揮することによりメインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81側に向かって付勢するコイルばねによって構成するようにした。
よって、コイルばね86の設置容積を小型化することができる。
(6) セカンダリディテクションギヤ82は、プライマリディテクションギヤ81と噛み合うことにより回転駆動されるようにした。
よって、コイルばね86による付勢力の大きさ、方向といった設定はメインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81との噛み合いのみを考慮して設定すれば良く、設定を容易にすることができる。
【0029】
〔実施例2〕
実施例1ではコイルばね86によってメインギヤ80を付勢していたが、実施例2では板ばね87によってメインギヤ80を付勢するようにした。以下、実施例1と同じ構成については同一の符号を付し説明を省略する。
図11は操舵角センサ8の分解斜視図である。図12は操舵角センサ8を操舵軸3の軸方向から見た分解図である。操舵角センサハウジング83のメインギヤ80を収容するメインギヤ収容部83cの側面には、側面を切欠いた係止溝83bが2カ所形成されている。係止溝83bには、板ばね87の端部が係止されている。板ばね87は板状に形成された可撓性の樹脂部材であり、撓んだ状態でメインギヤ80の本体部80aの側面であってプライマリディテクションギヤ81とは反対側に当接している。これにより、メインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81との噛み合い方向に付勢することができる。
【0030】
[効果]
実施例2の効果について説明する。
(7) 板ばね87は、操舵角センサハウジング83に設けられ、可撓性の樹脂材料で形成され、自然状態に復帰する弾性力によってメインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81側に向かって付勢するようにした。
よって、操舵軸3周りの板ばね87設置範囲を抑制することができる。
【0031】
〔実施例3〕
実施例1では操舵角センサハウジング83と別体のコイルばね86によってメインギヤ80を付勢していたが、実施例3では板ばね87によってメインギヤ80を付勢するようにした。以下、実施例1と同じ構成については同一の符号を付し説明を省略する。
図13図14は操舵角センサ8の分解図であり、操舵角センサハウジング83をそれぞれ逆方向から見た図である。図13はメインギヤ80が装着されていない状態の図である。
操舵角センサハウジング83は樹脂部材によって一体成形またはインサート成形されている。操舵角センサハウジング83にメインギヤ80が装着される貫通孔83dの内周面であって、プライマリディテクションギヤ81と反対側には貫通孔83dの内周面よりも内径側に延びるばね部88が形成されている。貫通孔83dにメインギヤ80が装着された状態でメインギヤ80の本体部80aがばね部88によってプライマリディテクションギヤ81との噛み合い方向に付勢される。
【0032】
[効果]
実施例3の効果について説明する。
(8) 操舵角センサハウジング83は樹脂材料によって形成され、ばね部88は操舵角センサハウジング83と一体に型成形されるようにした。
よって、メインギヤ80を付勢する部材を操舵角センサハウジング83と別体に設ける必要がなく部品点数を低減し作業効率を向上させることができる。
【0033】
〔実施例4〕
実施例1ではメインギヤ80の本体部80aの軸方向中間部に歯部80bを設け、歯部80bを挟んで本体部80aの一方(図4で見て下方)を付勢していたが、実施例2では歯部80bを挟んで本体部80aの両方を付勢するようにした。
図15は操舵軸3、メインギヤ80、プライマリディテクションギヤ81の断面模式図である。メインギヤ80の歯部80bを挟んで本体部80aの両方を付勢するようにする。具体的には例えば、本体部80aの一方を実施例1のようにコイルスプリング86によって付勢し、他方を実施例2のように板ばね87によって付勢するようにすれば良い。
メインギヤ80の歯部80bを挟んで本体部80aの両方を付勢するため、メインギヤ80の倒れを抑制することができる。そのため、メインギヤ80からプライマリディテクションギヤ81へはプライマリディテクションギヤ81の回転軸に直交する方向に力が作用し、プライマリディテクションギヤ81の倒れを抑制することができる。これにより、プライマリディテクションギヤ81の磁性部材81aと磁気抵抗効果素子81cとの距離を一定とすることができ、操舵軸3回転角検出誤差を低減することができる。
【0034】
[効果]
実施例4の効果について説明する。
(9) メインギヤ80の歯部80bは本体部80aの軸方向中間部に配置され、メインギヤ80の歯部80bを挟んで本体部80aの軸方向両側を付勢するようにした。
よって、メインギヤ80からプライマリディテクションギヤ81へはプライマリディテクションギヤ81の回転軸に直交する方向に力が作用し、プライマリディテクションギヤ81の倒れを抑制することができる。これにより、プライマリディテクションギヤ81の磁性部材81aと磁気抵抗効果素子81cとの距離を一定とすることができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
【0035】
〔実施例5〕
実施例1ではメインギヤ80の歯部80bとプライマリディテクションギヤ81の歯部81bはともに平歯であったが、実施例5ではメインギヤ80の歯部80bとプライマリディテクションギヤ81の歯部81bはともに傘歯とした。
図16は操舵軸3、メインギヤ80、プライマリディテクションギヤ81の断面模式図である。メインギヤ80の歯部80bとプライマリディテクションギヤ81の歯部81bはともに傘歯であって、メインギヤ80の歯部80bはプライマリディクテクション81をギヤ搭載面83eに押し付ける方向に傾斜しており、プライマリディテクションギヤ81の歯部81bはギヤ搭載面83eに押し付けられる方向に傾斜している。これにより、メインギヤ80が倒れた状態でプライマリディテクションギヤ81側に付勢されたとしても、プライマリディテクションギヤ81が浮くことを抑制することができる。したがって、プライマリディテクションギヤ81の磁性部材81aと磁気抵抗効果素子81cとの距離を一定とすることができ、操舵軸3回転角検出誤差を低減することができる。
【0036】
[効果]
実施例5の効果について説明する。
(10) 操舵角センサハウジング83は、プライマリディテクションギヤ81が搭載されるギヤ搭載面83eを備え、メインギヤ80の歯部80bの歯先は、プライマリディテクションギヤ81とのバックラッシュが低減される方向に付勢され、プライマリディテクションギヤ81がメインギヤ80からの力を受けることにより、プライマリディテクションギヤ81がギヤ搭載面83e側に押し付けられる方向の力を受ける傾斜面を有するようにした。
よって、メインギヤ80が倒れた状態でプライマリディテクションギヤ81側に付勢されたとしても、プライマリディテクションギヤ81が浮くことを抑制することができる。したがって、プライマリディテクションギヤ81の磁性部材81aと磁気抵抗効果素子81cとの距離を一定とすることができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
【0037】
〔実施例6〕
実施例1ではメインギヤ80はプライマリディテクションギヤ81とのみ噛み合い、セカンダリディテクションギヤ82とは噛み合わないようになっていたが、実施例6ではメインギヤ80はプライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82の両方と噛み合うようにした。
図17は操舵角センサ8の模式図である。メインギヤ80はプライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82の噛み合い方向に付勢されることにより、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
またセカンダリディテクションギヤ82がメインギヤ80と直接噛み合うことによりセカンダリディテクションギヤ82により検出する操舵軸3の回転角の誤差を小さくすることができる。これにより操舵軸3の回転角検出精度を向上させることができる。
【0038】
[効果]
実施例6の効果について説明する。
(6) ステアリングホイール2の操舵操作に伴い回転する操舵軸3に設けられた操舵角センサハウジング83と、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、操舵軸3を包囲するように環状に形成された本体部80aと、本体部80aの外周側に形成された複数の歯(歯部80b)と、本体部80aに設けられた係合部80cと、を備え、内周面が操舵軸3と径方向に所定距離離間するように形成されたメインギヤ80(第1歯車)と、操舵軸3と一体に回転するように操舵軸3に設けられ、メインギヤ80の係合部80cと係合することにより操舵軸3の回転に伴いメインギヤ80を回転駆動する被係合部85aを有する回転伝達部85と、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材81aと、メインギヤ80の歯と噛み合うように外周側に形成された複数の歯(歯部81b)と、を有するプライマリディテクションギヤ81(第2歯車)と、操舵角センサハウジング83に回転自在に設けられ、径方向にN極およびS極が着磁された磁性部材82aと、メインギヤ80の歯部80bと噛み合いかつプライマリディテクションギヤ81と互いに割り切れない所定の減速比を有するように外周側に形成された複数の歯(歯部82b)と、を有するセカンダリディテクションギヤ82(第3歯車)と、プライマリディテクションギヤ81の磁性部材81aの発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することによりプライマリディテクションギヤ81の回転角である第1回転角を検出する磁気抵抗効果素子81c(第1素子)と、セカンダリディテクションギヤ82の磁性部材の発生する磁界の変化を抵抗素子の抵抗値の変化として検出することによりセカンダリディテクションギヤ82の回転角である第2回転角を検出する磁気抵抗効果素子82c(第2素子)と、操舵角センサハウジング83に設けられ、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82との間のバックラッシュが低減するようにメインギヤ80をプライマリディテクションギヤ81側に向かって付勢するコイルばね86と、を備え、第1回転角と第2回転角の組合せによって、転舵輪13が直進方向を向くときのステアリングホイール2の回転位置である中立位置からのステアリングホイール2の回転量である操舵絶対角が求められるようにした。
よって、メインギヤ80はプライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82との噛み合い方向に付勢されることにより、メインギヤ80とプライマリディテクションギヤ81およびセカンダリディテクションギヤ82との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸3の回転角検出誤差を低減することができる。
またメインギヤ80とセカンダリディテクションギヤ82とが直接噛み合うためセカンダリディテクションギヤ82による操舵軸3の回転角検出誤差を小さくすることができる。
【0039】
〔他の実施例〕
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、上記実施例1では磁性部材81a,82aの磁界の変化を検出する素子として磁気抵抗効果素子81c,82c(MR素子)を用いていたが、磁気抵抗効果素子81c,82cに限らず、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)、ホール素子などを用いても良い。
【0040】
〔請求項以外の技術的思想〕
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記第1歯車の本体部は、前記付勢部材によって付勢された状態において、前記操舵軸と接触しないように設けられることを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車と第2歯車との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸の回転角検出誤差を低減することができる。
(ロ)請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記第2回転角は、前記操舵軸が前記中立位置から何回転目にあるかを定めるために用いられ、前記第1回転角は、前記操舵軸の1回転の範囲内における回転角を定めるために用いられることを特徴とする操舵角センサ。
よって、操舵軸の回転角検出精度を向上させることができる。
【0041】
(ハ)請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記付勢部材は、前記センサハウジングに設けられ、可撓性の樹脂材料で形成され、自然状態に復帰する弾性力によって前記第1歯車を前記第2歯車側に向かって付勢することを特徴とする操舵角センサ。
よって、操舵軸周りの付勢部材の設置範囲を抑制することができる。
(ニ)上記(ハ)に記載の操舵角センサにおいて、
前記センサハウジングは樹脂材料によって形成され、
前記付勢部材は、前記センサハウジングと一体に型成形されることを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車を付勢する部材をセンサハウジングと別体に設ける必要がなく部品点数を低減し作業効率を向上させることができる。
【0042】
(ホ)請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記第1歯車の歯は、前記本体部の軸方向中間部に配置され、
前記付勢部材は、前記第1歯車の歯を挟んで前記本体部の軸方向両側を付勢するように設けられることを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車から第2歯車へは第2歯車の回転軸に直交する方向に力が作用し、第2歯車の倒れを抑制することができる。これにより、第2歯車の磁性部材81aと磁気抵抗効果素子との距離を一定とすることができ、操舵軸の回転角検出誤差を低減することができる。
(へ)請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記センサハウジングは、前記第2歯車が搭載される搭載面を備え、
前記第1歯車の歯先は、前記第2歯車とのバックラッシュが低減される方向に付勢され、前記第2歯車が前記第1歯車からの力を受けることにより、前記第2歯車が前記搭載面側に押し付けられる方向の力を受ける傾斜面を有することを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車が倒れた状態で第2歯車側に付勢されたとしても、第2歯車が浮くことを抑制することができる。したがって、第2歯車の磁性部材と磁気抵抗効果素子との距離を一定とすることができ、操舵軸の回転角検出誤差を低減することができる。
【0043】
(ト)請求項1に記載の操舵角センサにおいて、
前記第3歯車は、前記第2歯車と噛み合うことにより回転駆動されることを特徴とする操舵角センサ。
よって、付勢部材による付勢力の大きさ、方向といった設定は第1歯車と第2歯車との噛み合いのみを考慮して設定すれば良く、設定を容易にすることができる。
(チ)請求項3に記載の操舵角センサにおいて、
前記第1歯車は、前記付勢部材によって付勢される前よりも付勢後の回転中心が前記操舵軸の回転中心と近くなるように設けられることを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1ギヤと操舵軸の回転位相ずれを抑制することができ、操舵軸の回転角検出誤差を低減することができる。
(リ)請求項3に記載の操舵角センサにおいて、
前記第1歯車の本体部は、前記付勢部材によって付勢された状態において、前記操舵軸と接触しないように設けられることを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車と第2歯車との間のバックラッシュを抑制することができ、操舵軸の回転角検出誤差を低減することができる。
【0044】
(ヌ)請求項3に記載の操舵角センサにおいて、
前記第2回転角は、前記操舵軸が前記中立位置から何回転目にあるかを定めるために用いられ、前記第1回転角は、前記操舵軸の1回転の範囲内における回転角を定めるために用いられることを特徴とする操舵角センサ。
よって、操舵軸の回転角検出精度を向上させることができる。
(ル)請求項3に記載の操舵角センサにおいて、
前記付勢部材は、前記第1歯車の本体部の外周を包囲するように環状に形成され、周方向位置の一方側で前記本体部と当接すると共に、他方側で前記センサハウジングに係止され、縮径するように弾性力を発揮することにより前記第1歯車を前記第2歯車と前記第3歯車の間に向かって付勢するコイルばねによって構成されることを特徴とする操舵角センサ。
よって、付勢部材の設置容積を小型化することができる。
(ヲ)請求項3に記載の操舵角センサにおいて、
前記付勢部材は、前記センサハウジングに設けられ、可撓性の樹脂材料で形成され、自然状態に復帰する弾性力によって前記第1歯車を前記第2歯車側に向かって付勢することを特徴とする操舵角センサ。
よって、操舵軸周りの付勢部材の設置範囲を抑制することができる。
【0045】
(ワ)上記(ヲ)に記載の操舵角センサにおいて、前記センサハウジングは樹脂材料によって形成され、
前記付勢部材は、前記センサハウジングと一体に型成形されることを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車を付勢する部材をセンサハウジングと別体に設ける必要がなく部品点数を低減し作業効率を向上させることができる。
(カ)請求項3に記載の操舵角センサにおいて、前記第1歯車の歯は、前記本体部の軸方向中間部に配置され、
前記付勢部材は、前記第1歯車の歯を挟んで前記本体部の軸方向両側を付勢するように設けられることを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車から第2歯車へは第2歯車の回転軸に直交する方向に力が作用し、第2歯車の倒れを抑制することができる。これにより、第2歯車の磁性部材81aと磁気抵抗効果素子との距離を一定とすることができ、操舵軸の回転角検出誤差を低減することができる。
(ヨ)請求項3に記載の操舵角センサにおいて、
前記センサハウジングは、前記第2歯車が搭載される搭載面を備え、
前記第1歯車の歯先は、前記第2歯車とのバックラッシュが低減される方向に付勢され、前記第2歯車が前記第1歯車からの力を受けることにより、前記第2歯車が前記搭載面側に押し付けられる方向の力を受ける傾斜面を有することを特徴とする操舵角センサ。
よって、第1歯車が倒れた状態で第2歯車側に付勢されたとしても、第2歯車が浮くことを抑制することができる。したがって、第2歯車の磁性部材と磁気抵抗効果素子との距離を一定とすることができ、操舵軸の回転角検出誤差を低減することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 ステアリングホイール
3 操舵軸
80 メインギヤ(第1歯車)
80a 本体部
80b 歯部
80c 係合部
81 プライマリディテクションギヤ(第2歯車)
81a 磁性部材
81b 歯部
81c 磁気抵抗効果素子(第1素子)
82 セカンダリディテクションギヤ(第3歯車)
82a 磁性部材
82b 歯部
82c 磁気抵抗効果素子(第2素子)
83 操舵角センサハウジング(センサハウジング)
85 駆動ピン(回転伝達部)
85a 被係合部
86 コイルばね(付勢部材)
87 板ばね(付勢部材)
88 ばね部(付勢部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17