【文献】
野村 紘子 他,PON区間制御メッセージの転送によるONU−HGW間PHY省電力化の提案,電子情報通信学会2012年総合大会講演論文集 通信2,2012年 3月 6日,p.304,B-8-50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る通信システムのネットワーク構成および装置構成を示す図である。
図2は、光回線終端装置1とゲートウェイ装置2におけるフレームの処理機能の状態遷移を示す図である。
【0021】
図1に示すように、通信システムは、2つの通信装置を含み、一方が他方を相手としてフレームを送信し、他方が一方を相手としてフレームを送信するものである。ここでは、一方を光回線終端装置1、他方をゲートウェイ装置2とする。
【0022】
光回線終端装置1は、広域網(図示せず)などから送信されたフレーム(下りフレーム)を受信し、ゲートウェイ装置2に転送する。ゲートウェイ装置2は、フレームを受信し、構内ネットワーク(LAN)の端末(図示せず)などに転送する。
【0023】
また、ゲートウェイ装置2は、端末などから送信されたフレーム(上りフレーム)を受信し、光回線終端装置1に転送する。光回線終端装置1は、フレームを受信し、広域網などに送信する。
【0024】
なお、光回線終端装置1が広域網などから受信するフレームおよび広域網などに向けて送信するフレームは光信号であり、その他のフレームは電気信号だが、ここでは、その区別および相互の変換については言及しないこととする。
【0025】
光回線終端装置1は、
図2(a)に示すように、時間経過とともにスリープ状態S、アクティブ状態Aを繰り返し、スリープ状態Sにおいては、ゲートウェイ装置2からのフレームの処理機能をアクティブ状態Aに比べ低電力化する。
【0026】
また、光回線終端装置1は、
図2(a)に示すタイミングとは無関係に、ゲートウェイ装置2からフレームを受信した時刻t0から一定期間はアクティブ状態Aとなる(
図2(b))。
【0027】
また、ゲートウェイ装置2は、
図2(a)に示すように、時間経過とともにスリープ状態S、アクティブ状態Aを繰り返し、スリープ状態Sにおいては、光回線終端装置1からのフレームの処理機能をアクティブ状態Aに比べ低電力化する。
【0028】
また、ゲートウェイ装置2は、
図2(a)に示すタイミングとは無関係に、光回線終端装置1からフレームを受信した時刻t0から一定期間はアクティブ状態Aとなる(
図2(b))。
【0029】
以下、
図2(a)における1つのアクティブ状態Aの開始時刻をアクティブ状態開始時刻ta、アクティブ状態Aの時間長をTa、スリープ状態Sの時間長をTsとし、
図2(b)における時刻t0直後のアクティブ状態Sの時間長をTbとする。なお、ta、Ta、Ts、Tbは、光回線終端装置1とゲートウェイ装置2とでは一致しなくてもよい。
【0030】
図1に示すように、光回線終端装置1は、バッファ11と、バッファ管理部12と、スリープ設定部13と、状態計算部14と、フレーム処理部15とを有する。
【0031】
バッファ11には、下りフレームが一時的に記憶される。バッファ管理部12は、バッファ11の空き容量を管理する。
【0032】
スリープ設定部13には、ゲートウェイ装置2におけるスリープ状態とアクティブ状態の間の遷移のタイミングを定めるためのパラメータが記憶される。
【0033】
例えば、スリープ設定部13には、ゲートウェイ装置2におけるアクティブ状態開始時刻taと、ゲートウェイ装置2における時間長Ta(
図2(a)のアクティブ状態Aの時間長)と、ゲートウェイ装置2における時間長Ts(
図2(a)のスリープ状態Sの時間長)と、ゲートウェイ装置2における時間長Tb(
図2(b)のアクティブ状態Aの時間長)が記憶される。
【0034】
状態計算部14は、アクティブ状態開始時刻ta、時間長Ta、Ts、Tbとゲートウェイ装置2にフレームを送信した送信時刻に基づいて、ゲートウェイ装置2がスリープ状態であるかアクティブ状態であるかを判定する。
【0035】
フレーム処理部15は、ゲートウェイ装置2にフレームを送信すべき場合に、ゲートウェイ装置2がアクティブ状態であると判定されたなら、フレームをゲートウェイ装置2に送信する一方、スリープ状態であると判定されたなら、フレームをバッファ11に記憶させるとともに、例えば所定の時間が経過したら、バッファ11からフレームを読み出してゲートウェイ装置2に送信する。
【0036】
また、ゲートウェイ装置2は、バッファ21と、バッファ管理部22と、スリープ設定部23と、状態計算部24と、フレーム処理部25とを有する。
【0037】
バッファ21には、上りフレームが一時的に記憶される。バッファ管理部22は、バッファ21の空き容量を管理する。
【0038】
スリープ設定部23には、光回線終端装置1におけるスリープ状態とアクティブ状態の間の遷移のタイミングを定めるためのパラメータが記憶される。
【0039】
例えば、スリープ設定部23には、光回線終端装置1におけるアクティブ状態開始時刻taと、光回線終端装置1における時間長Ta(
図2(a)のアクティブ状態Aの時間長)と、光回線終端装置1における時間長Ts(
図2(a)のスリープ状態Sの時間長)と、光回線終端装置1における時間長Tb(
図2(b)のアクティブ状態Aの時間長)が記憶される。
【0040】
状態計算部24は、アクティブ状態開始時刻ta、時間長Ta、Ts、Tbと光回線終端装置1にフレームを送信した送信時刻に基づいて、光回線終端装置1がスリープ状態であるかアクティブ状態であるかを判定する。
【0041】
フレーム処理部25は、光回線終端装置1にフレームを送信すべき場合に、光回線終端装置1がアクティブ状態であると判定されたなら、フレームを光回線終端装置1に送信する一方、スリープ状態であると判定されたなら、フレームをバッファ21に記憶させるとともに、例えば所定の時間が経過したら、バッファ21からフレームを読み出し光回線終端装置1に送信する。
【0042】
(実施例1)
まず、本実施の形態に係る通信システムにおける実施例1について説明する。
【0043】
図3は、実施例1において光回線終端装置1が各下りフレームについて行う動作のフローチャートである。
【0044】
フレーム処理部15は、例えば、フレームを受信し、このフレームをゲートウェイ装置2に送信すべき状態となったなら、バッファ管理部12に対し、バッファ11が満状態であるかを問い合わせる(S1)。バッファ管理部12は、バッファ11が満状態であるかを回答する。満状態とは、バッファ11の空き容量が1フレーム分未満である状態をいう。
【0045】
フレーム処理部15は、バッファ11が満状態であるなら(S1:YES)、フレームをゲートウェイ装置2へ送信し(S3)、動作を終える。
【0046】
フレーム処理部15は、バッファ11が満状態でないなら(S1:NO)、状態計算部14に対し、ゲートウェイ装置2がスリープ状態であるかアクティブ状態であるかを問い合わせる。
【0047】
状態計算部14は、ゲートウェイ装置2がスリープ状態であるかアクティブ状態であるかを判定し(S5)、回答する。
【0048】
ここで、ステップS5の判定について説明する。
【0049】
状態計算部14は、事前につまりゲートウェイ装置2へ最後にフレームを送信した際に、その送信時刻t0、換言すれば、ゲートウェイ装置2が光回線終端装置1から最後にフレームを受信した時刻を記憶しておく。
【0050】
そして、状態計算部14は、ステップS5のタイミングで、スリープ設定部13からアクティブ状態開始時刻ta、時間長Ta、Ts、Tbを読み出し、現在時刻tが以下の式(1)または式(2)を満たせばゲートウェイ装置2はアクティブ状態、満たさなければスリープ状態であると判定する。
【0051】
ta+n(Ta+Ts)<t<ta+n(Ta+Ts)+Ta (1)
(ただし、nは0または正の整数)
t0<t<t0+Tb (2)
【0052】
フレーム処理部15は、ゲートウェイ装置2がアクティブ状態なら、フレームをゲートウェイ装置2へ送信し(S3)、動作を終える。
【0053】
フレーム処理部15は、ゲートウェイ装置2がスリープ状態なら、フレームをバッファ11に記憶させ(S7)、処理を終える。
【0054】
図4は、実施例1において光回線終端装置1がバッファ11に記憶させた各下りフレームについて行う動作のフローチャートである。
【0055】
フレーム処理部15は、フレームをバッファ11に記憶させてから予め定めた時間(例えば、数ミリ秒程度の時間)が経過したかを判定し(S11)、経過したなら、バッファ11からフレームを読み出してゲートウェイ装置2に送信し(S13)、動作を終える。
【0056】
なお、ゲートウェイ装置2の動作については、上記説明における光回線終端装置1、バッファ11、バッファ管理部12、スリープ設定部13、状態計算部14、フレーム処理部15、下りフレームをゲートウェイ装置2、バッファ21、バッファ管理部22、スリープ設定部23、状態計算部24、フレーム処理部25、上りフレームに読み替えればよいので、説明を省略する。
【0057】
したがって、実施例1によれば、状態計算部が、パラメータと相手の通信装置へのフレームの送信時刻に基づいて、相手の通信装置がスリープ状態であるかアクティブ状態であるかを判定し、フレーム処理部が、相手の通信装置に送信すべきフレームを相手の通信装置がアクティブ状態であるなら相手の通信装置に送信する一方、相手の通信装置がスリープ状態であるならバッファに記憶させるとともに、バッファからフレームを読み出し相手の通信装置に送信するので、相手の通信装置のスリープ状態を長くでき、相手の通信装置を省電力化できる。
【0058】
なお、相手の通信装置における状態を制御(外部制御)しなくてよいので、相手の通信装置は自律制御を適用でき、そうすれば、制御信号の通信時間を省略できるので、低遅延の効果も得られる。
【0059】
(実施例2)
次に、本実施の形態に係る通信システムにおける実施例2について説明する。
【0060】
図5は、実施例2において光回線終端装置1が各下りフレームについて行う動作のフローチャートである。
【0061】
フレーム処理部15は、例えば、フレームを受信し、このフレームをゲートウェイ装置2に送信すべき状態となったなら、バッファ管理部12に対し、バッファ11が満状態であるかを問い合わせる(S1)。バッファ管理部12は、バッファ11が満状態であるかを回答する。
【0062】
フレーム処理部15は、バッファ11が満状態であるなら(S1:YES)、フレームをゲートウェイ装置2へ送信し(S3)、動作を終える。
【0063】
フレーム処理部15は、バッファ11が満状態でないなら(S1:NO)、状態計算部14に対し、ゲートウェイ装置2がスリープ状態であるかアクティブ状態であるかを問い合わせる。
【0064】
状態計算部14は、ゲートウェイ装置2がスリープ状態であるかアクティブ状態であるかを判定し(S5)、回答する。判定方法は、例えば、実施例1と同じである。
【0065】
フレーム処理部15は、ゲートウェイ装置2がアクティブ状態なら、フレームをゲートウェイ装置2へ送信し(S3)、動作を終える。
【0066】
フレーム処理部15は、ゲートウェイ装置2がスリープ状態なら、状態計算部14に対し、ゲートウェイ装置2がアクティブ状態になるまでの時間長を計算させる。状態計算部14は、ゲートウェイ装置2がアクティブ状態になるまでの時間長を計算し(S51)、フレーム処理部15に回答する。
【0067】
ここで、ステップS51の計算について説明する。
【0068】
状態計算部14は、ゲートウェイ装置2がアクティブ状態になるまでの時間長として、式(3)の時間長Tを計算する。
【0069】
T=ta+(n+1)(Ta+Ts)−t (3)
ただし、taはゲートウェイ装置2における1つのアクティブ状態Aの開始時刻(アクティブ状態開始時刻)、t0はゲートウェイ装置2へ最後にフレームを送信した時刻、tは現在時刻、nは、0または正の整数であり、かつ、式(4)を満たすnである。
【0070】
ta+Ta+n(Ta+Ts)<t<ta+(n+1)(Ta+Ts) (4)
【0071】
フレーム処理部15は、ゲートウェイ装置2がアクティブ状態になるまでの時間長(T)を記憶し、フレームをバッファ11に記憶させ(S7)、処理を終える。
【0072】
図6は、実施例2において光回線終端装置1がバッファ11に記憶させた各下りフレームについて行う動作のフローチャートである。
【0073】
フレーム処理部15は、フレームをバッファ11に記憶させてから時間長Tに相当する時間が経過したかを判定し(S111)、経過したなら、バッファ11からフレームを読み出してゲートウェイ装置2に送信し(S13)、動作を終える。
【0074】
なお、ゲートウェイ装置2の動作については、上記説明における光回線終端装置1、バッファ11、バッファ管理部12、状態計算部14、フレーム処理部15、下りフレームをゲートウェイ装置2、バッファ21、バッファ管理部22、状態計算部24、フレーム処理部25、上りフレームに読み替えればよいので、説明を省略する。
【0075】
したがって、実施例2によれば、状態計算部は、相手の通信装置がスリープ状態であるなら、パラメータと送信時刻に基づいて、相手の通信装置がアクティブ状態になるまでの時間長を計算し、フレーム処理部は、時間長に相当する時間が経過したなら、バッファからフレームを読み出し相手の通信装置に送信するので、相手の通信装置がアクティブ状態になるまではスリープ状態にさせておくことができ、相手の通信装置を省電力化できるとともに、アクティブ状態になったタイミングでフレームを受信させることができ、遅延を短くすることができる。
【0076】
(実施例3)
次に、本実施の形態に係る通信システムにおける実施例3について説明する。
【0077】
例えば、実施例3は、優先度の異なる2種のフレームのうちの優先度の低いフレームについてのものである。なお、実施例3は、全てのフレームに適用してもよい。
【0078】
光回線終端装置1では、ゲートウェイ装置2に送信すべき各下りフレーム(例えば、優先度の低いフレーム)について、
図3と同じ動作を行う。よって、その詳細説明は省略する。
【0079】
一方、光回線終端装置1では、優先度の高いフレームについては、フレーム処理部15が、ゲートウェイ装置2の状態によらず、バッファに記憶させずに、即座にゲートウェイ装置2に送信する。
【0080】
図7は、実施例3において光回線終端装置1がバッファ11に記憶させた各下りフレームについて行う動作のフローチャートである。
【0081】
フレーム処理部15は、バッファ管理部12に対し、バッファ11が満状態であるかを問い合わせる(S112)。バッファ管理部12は、バッファ11が満状態であるかを回答する。
【0082】
フレーム処理部15は、バッファ11が満状態なら(S112:YES)、バッファ11からフレーム(例えば、優先度の低いフレーム)を読み出してゲートウェイ装置2に送信し(S13)、動作を終える。
【0083】
なお、ゲートウェイ装置2の動作については、上記説明における光回線終端装置1、バッファ11、バッファ管理部12、フレーム処理部15、下りフレームをゲートウェイ装置2、バッファ21、バッファ管理部22、フレーム処理部25、上りフレームに読み替えればよいので、説明を省略する。
【0084】
したがって、実施例3によれば、フレーム処理部は、バッファが満状態になったなら、バッファからフレームを読み出し相手の通信装置に送信するので、相手の通信装置のスリープ状態をより長くでき、相手の通信装置をより省電力化できる。
【0085】
また、低い優先度のフレームには実施例3を適用することで、相手の通信装置を省電力化でき、特に高い優先度のフレームについてはバッファに記憶させず相手の通信装置に送信することで、遅延を短くすることができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、2つの通信装置の例として、一方を光回線終端装置1、他方をゲートウェイ装置2としたが、これに限らず、2つの通信装置は、互いにフレームを送信し合うものであればよい。