(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、RF信号を光通信で伝送する場合、特定の番組(周波数)のみに視聴制限を設けることは困難である。特定の周波数のみを取り除く方法としてユーザ宅内で逆位相の信号を合成する方法があるが、逆位相の信号を合成するためには、視聴制限する時間のRF信号の位相を把握する必要があり、映像信号の送信側と時刻を同期させる必要がある。従来は、データ通信を行う局側のGE−OLTとユーザ宅内のGV−ONUとの間は時刻が同期されていたが、GE−OLTとV−OLTを別々の装置で構成し、それぞれの装置の出力をWDMスプリッタで光波長多重していたため、映像信号を送信するV−OLTとGV−ONUとの間では時刻は同期されていなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光通信で配信される番組の視聴制限を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明に係る映像通信システムは、複数の番組の周波数からなる映像信号を光通信で配信する映像信号送信装置と前記映像信号を受信する映像信号受信装置を備えた映像通信システムであって、前記映像信号送信装置は、番組視聴制限要求を受信し、当該番組視聴制限要求から視聴制限番組と視聴制限時間を取得する受信手段と、前記視聴制限番組に対応する周波数情報を取得する周波数情報取得手段と、前記映像信号を入力して各周波数の復調波に復調する復調手段と、前記復調波から前記周波数情報に対応する指定波を抽出する指定波抽出手段と、前記映像信号受信装置と同期したシステム時刻を参照し、前記指定波の現在の位相を求めて、前記視聴制限時間における位相を計算する位相計算手段と、前記周波数情報、前記視聴制限時間及び前記位相を含む番組視聴制限情報を前記映像信号受信装置へ送信する送信手段と、を有し、前記映像信号受信装置は、受信した前記映像信号を各周波数の復調波に復調する復調手段と、前記番組視聴制限情報を受信し、当該番組視聴制限情報から前記周波数情報、前記視聴制限時間及び前記位相を取得する受信手段と、前記映像信号送信装置と同期したシステム時刻が前記視聴制限時間となったときに、前記周波数情報と前記位相に基いて前記視聴制限番組に対応する逆位相波を発生する逆位相波発生手段と、前記復調波と前記逆位相波を合成して出力する合成手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
第2の本発明に係る映像信号送信装置は、複数の番組の周波数からなる映像信号を光通信で映像信号受信装置に配信する映像信号送信装置であって、番組視聴制限要求を受信し、当該番組視聴制限要求から視聴制限番組と視聴制限時間を取得する受信手段と、前記視聴制限番組に対応する周波数情報を取得する周波数情報取得手段と、前記映像信号を入力して各周波数の復調波に復調する復調手段と、前記復調波から前記周波数情報に対応する指定波を抽出する指定波抽出手段と、前記映像信号受信装置と同期したシステム時刻を参照し、前記指定波の現在の位相を求めて、前記視聴制限時間における位相を計算する位相計算手段と、前記周波数情報、前記視聴制限時間及び前記位相を含む番組視聴制限情報を前記映像信号受信装置へ送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
第3の本発明に係る映像信号受信装置は、映像信号送信装置が光通信で配信する複数の番組の周波数からなる映像信号を受信する映像信号受信装置であって、受信した前記映像信号を各周波数の復調波に復調する復調手段と、番組視聴制限情報を受信し、当該番組視聴制限情報から視聴制限番組に対応する周波数情報、視聴制限時間及び視聴制限時間における位相を取得する受信手段と、前記映像信号送信装置と同期したシステム時刻が前記視聴制限時間となったときに、前記周波数情報と前記位相に基いて前記視聴制限番組に対応する逆位相波を発生する逆位相波発生手段と、前記復調波と前記逆位相波を合成して出力する合成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光通信で配信される番組の視聴制限を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態における映像通信システムの構成を示す全体図である。同図に示す映像通信システムは、通信事業者の局内に配置されるGV−OLT1とユーザ宅内に配置されるGV−ONU2を備える。GV−OLT1は、データ信号を送受信するGE−OLT11と映像信号を送信するV−OLT12を統合して1つの装置として構成したものである。GV−OLT1とGV−ONU2とは光線路で接続される。図示していないが、1台のGV−OLT1に対しては複数のGV−ONU2が接続される。GV−OLT1は、GE−OLT11がネットワークから受信したデータ信号とV−OLT12がHE(Head End)3から受信した映像信号を波長多重してGV−ONU2へ送信する。HE3は、アンテナで受信したデジタル放送などのRF信号を光信号に変換してGV−OLT1へ送信する。GV−ONU2は、GV−OLT1から受信した光信号をデータ信号と映像信号に分離し、映像信号を電気信号に変換して同軸ケーブルを介してTV5へ送信する。本実施の形態における映像通信システムでは、ユーザが端末4などから視聴を制限したい番組の情報を送信し、GV−OLT1が指定された番組の視聴を制限する番組視聴制限情報をGV−ONU2へ送信し、GV−ONU2が番組視聴制限情報で指定された番組の周波数で逆位相の信号を発生して映像信号と合成することで番組毎に視聴制限を行う。以下、GV−OLT1、GV−ONU2について説明する。
【0013】
GV−OLT1は、GE−OLT11、V−OLT12、利用者が要求する番組の視聴制限に基いて番組視聴制限情報を生成して送信する制御部13、GV−ONU2と正確に同期されたシステム時刻14、およびデータ信号と映像信号を波長多重するWDMスプリッタを備える。
【0014】
制御部13は、番組データベース131、RF信号復調部132、指定波抽出部133、および周波数・位相計算部134を備える。
【0015】
番組データベース131は、各番組(チャンネル)について、周波数、振幅などの番組固有のパラメータを格納する。
図2に、番組データベース131に格納されるデータの例を示す。ユーザは、視聴を制限する番組について、番組の開始・終了時刻、チャンネルなどの情報を送信するので、番組データベース131は、受信した情報から視聴制限番組の周波数、振幅を取得し、指定波抽出部133へ送信する。なお、番組データベース131には、予め各番組の番組固有のパラメータを格納しておく。
【0016】
RF信号復調部132は、V−OLT12がGV−ONU2へ送信する映像信号である一括されたRF信号を復調して電気信号に変換し、各周波数に戻されたRF信号を指定波抽出部133へ送信する。
【0017】
指定波抽出部133は、視聴制限番組に対応する周波数情報とバンドパスフィルタを用い、RF信号復調部132が復調したRF信号から視聴制限番組に対応する指定波を抽出する。
【0018】
周波数・位相計算部134は、システム時刻14を用い、抽出された指定波と視聴制限対象の番組の周波数、振幅から現在の位相を求め、視聴制限したい時刻での位相を算出し、視聴制限番組に対応する周波数情報、視聴制限時間、視聴制限時間における位相情報を記載した番組視聴制限情報をGV−ONU2へ送信する。指定波の位相θは、次式(1)を用いて求める。
【0019】
θ=2πft ・・・(1)
ここで、fは指定波の周波数、tは時刻を表す。
【0020】
図3は、GV−ONU2へ送信される番組視聴制限情報を送信するパケットの例を示す図である。パケットの先頭にはユーザのGV−ONU2を識別するLLID(Logical Link ID)が記載される。イーサネットヘッダ部、IPv6ヘッダ部の後にデータ種別を記載する。データ種別の後には、データ種別に応じたデータが記載される。記載されるデータとしては、例えば、視聴制限番組の周波数情報、視聴制限時間、および視聴制限時間における視聴制限番組の位相/逆位相の情報がある。
【0021】
GV−ONU2は、データ信号を送受信するGE−ONU21、映像信号を受信するV−ONU22、視聴制限番組の逆位相のRF信号を発生するRF信号発生器23、逆位相のRF信号とV−ONU22が復調したRF信号とを合成する合成部24、およびデータ信号と映像信号を分離するWDMスプリッタを備える。また、GE−ONU21は、GV−OLT1と正確に同期されたシステム時刻211を備える。
【0022】
GV−OLT1から送信された信号は、WDMスプリッタによりデータ信号と映像信号に分離される。GE−ONU21は、データ信号を入力し、番組視聴制限情報パケットでないパケットはユーザ宅内のネットワーク機器に転送する。番組視聴制限情報パケットを受信した場合は、視聴制限番組の周波数情報、視聴制限時間、および位相などの情報を抽出してRF信号発生器23へ送信する。
【0023】
V−ONU22は、映像信号を入力して復調し、各周波数に戻されたRF信号を合成部24に入力する。
【0024】
RF信号発生器23は、システム時刻211が視聴制限時間になると、視聴制限番組に対応する逆位相波を生成して合成部24に入力する。
【0025】
合成部24は、各周波数に戻されたRF信号と逆位相波を合成し、視聴制限番組のみを打ち消してTV5へ送信する。
【0026】
次に、本実施の形態における映像通信システムの動作について説明する。
【0027】
図4は、端末4から番組視聴制限の要求を受信したときのGV−OLT1の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0028】
ユーザが端末4に視聴を制限したい番組の情報を入力すると、端末4は、視聴を制限したい番組の情報を記載した番組視聴制限要求をユーザ宅内のGV−ONU2のIPアドレス、VLAN−IDに向けて送信する(ステップS101)。
【0029】
GE−OLT11は、番組視聴制限要求を受信し、宛先のIPアドレス、VLAN−IDから宛先のGV−ONU2を示すLLIDを抽出する(ステップS102)。また、番組視聴制限要求から視聴制限番組、視聴制限時間を抽出し(ステップS103)、番組視聴制限情報として制御部13へ送信する(ステップS104)。
【0030】
図5は、制御部13の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0031】
制御部13は、GE−OLT11から番組視聴制限情報を受信すると(ステップS104)、番組データベース131から視聴制限番組に対応する周波数情報を取得し(ステップS105)、視聴制限番組を周波数情報に変換した番組視聴制限情報を指定波抽出部133へ送信する(ステップS106)。
【0032】
また、RF信号復調部132は、V−OLT12から一括されたRF信号を受信し(ステップS107)、各周波数へ復調して(ステップS108)、復調波を指定波抽出部133へ送信する(ステップS109)。
【0033】
指定波抽出部133は、RF信号復調部132から受信した復調波から番組視聴制限情報で指定された周波数情報に該当する指定波を抽出し(ステップS110)、指定波のみを周波数・位相計算部134へ送信する(ステップS111)。
【0034】
周波数・位相計算部134は、システム時刻14を取得し(ステップS112)、指定波、周波数情報から現在の位相を求め、視聴制限時間における位相を算出する(ステップS113)。
【0035】
そして、周波数・位相計算部134は、視聴制限番組の周波数情報、視聴制限時間、位相情報などを記載した番組視聴制限情報をGV−ONU2へ送信する(ステップS114)。
【0036】
なお、V−OLT12は、HE3から受信した一括されたRF信号をGV−ONU2へ常に送信している(ステップS115)。
【0037】
図6は、GV−ONU2の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0038】
GV−ONU2は、番組視聴制限情報を受信すると(ステップS114)、RF信号発生器23はGE−ONU21からシステム時刻211を取得する(ステップS201)。
【0039】
システム時刻211が視聴制限時間になると、受信した番組視聴制限情報から周波数情報、位相情報を抽出し、逆位相波を生成して、合成部24へ送信する(ステップS202,S203)。
【0040】
一方、V−ONU22は、一括されたRF信号を受信すると(ステップS115)、RF信号を各周波数へ復調し、復調波を合成部24へ送信する(ステップS204,S205)。
【0041】
合成部24は、各周波数の復調波と逆位相波を合成し(ステップS206)、視聴制限番組が除かれたRF信号をTV5へ送信する(ステップS207)。
【0042】
続いて、本実施の形態におけるGV−OLT1の処理の流れについて説明する。
【0043】
図7は、本実施の形態におけるGV−OLTの処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
GE−OLT11は、パケットを受信するとパケットから転送先のLLIDを抽出し(ステップS31)、番組視聴制限を要求するパケットであるか否か判定する(ステップS32)。
【0045】
番組視聴制限を要求するパケットでない場合は(ステップS32のNo)、抽出したLLIDに従ってパケットを転送する(ステップS39)。
【0046】
番組視聴制限を要求するパケットであった場合(ステップS32のYes)、受信したパケットから視聴制限番組、視聴制限時間を抽出し(ステップS33)、番組データベース131から視聴制限番組に対応する周波数情報を取得する(ステップS34)。
【0047】
RF信号復調部132は、HE3が送信する一括されたRF信号を各周波数へ復調する(ステップS35)。
【0048】
指定波抽出部133は、RF信号復調部132が復調した復調波から視聴制限番組に対応する指定波を抽出する(ステップS36)。
【0049】
周波数・位相計算部134はシステム時刻14を取得し、指定波、視聴制限番組に対応する周波数情報から現在の位相を求め、視聴制限時間における位相を計算し(ステップS37)、周波数情報、視聴制限時間、位相情報などを記載した番組視聴制限情報をステップS31で抽出したLLIDに対応するGV−ONU2へ送信する(ステップS38)。
【0050】
続いて、本実施の形態におけるGV−ONUの処理の流れについて説明する。
【0051】
図8は、本実施の形態におけるGV−ONUの処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
GE−ONU21は、番組視聴制限情報を受信すると、番組視聴制限情報から周波数情報、視聴制限時間、位相情報を抽出する(ステップS41)。
【0053】
システム時刻211が視聴制限時間になると(ステップS42のYes)、RF信号発生器23は、番組視聴制限情報から抽出した周波数情報と位相情報を用いて、視聴制限番組に対応する指定周波数の逆位相波を生成し、合成部24へ送信する(ステップS43)。
【0054】
V−ONU22は、一括されたRF信号を各周波数へ復調し、合成部24へ送信する(ステップS44)。
【0055】
合成部24は、視聴制限番組に対応する逆位相波と各周波数へ復調されたRF信号を合成し(ステップS45)、視聴制限番組が除かれたRF信号をTV5へ送信する(ステップS46)。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、GV−OLT1の制御部13が映像信号を復調し、システム時刻14を用いて視聴制限番組の視聴制限時間における位相を算出してGV−ONU2へ送信し、GV−OLT1のシステム時刻14と同期されたGV−ONU2のシステム時刻211が視聴制限時間になると、GV−ONU2のRF信号発生器23が視聴制限番組の逆位相波を生成し、合成部24が映像信号を復調したRF信号と逆位相波を合成することで、GV−ONU2においてRF信号の位相を正確に把握して視聴制限番組を打ち消すことができるので、番組の視聴制限を行うことが可能となる。その結果、ユーザは、TV5を買い換えることなく、特定の番組の視聴制限が可能となる。