(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969428
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】オイルパン
(51)【国際特許分類】
F01M 11/00 20060101AFI20160804BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
F01M11/00 P
F01M11/00 J
F01M11/00 D
F02F7/00 302B
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-135211(P2013-135211)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-10507(P2015-10507A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉島 一也
(72)【発明者】
【氏名】林 巨宏
(72)【発明者】
【氏名】宮下 直久
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】松原 直人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 賢治
【審査官】
北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−280029(JP,A)
【文献】
特開2013−104362(JP,A)
【文献】
特許第3409923(JP,B2)
【文献】
特開2013−113229(JP,A)
【文献】
特開平05−306654(JP,A)
【文献】
実開昭56−161158(JP,U)
【文献】
実開昭57−134342(JP,U)
【文献】
実開昭56−161157(JP,U)
【文献】
仏国特許発明第1007399(FR,A)
【文献】
英国特許出願公開第2437089(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/00
F02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルパンの内部を内槽と外槽とに区画する樹脂製のセパレータと、
オイルパンの内壁に密着して外槽をシールする弾性変形可能なシール部材が設けられたプレートとを備え、
前記プレートと前記セパレータとが別の部品であり、前記プレートと前記セパレータとが固定されてなる
2槽式のオイルパン。
【請求項2】
前記プレートは、前記セパレータに形成された凸部が挿通される挿通孔を有し、
前記プレートと前記セパレータとは前記凸部を熱かしめして固定される
請求項1に記載の2槽式のオイルパン。
【請求項3】
前記シール部材はゴムリップである
請求項1又は請求項2に記載の2槽式のオイルパン。
【請求項4】
前記プレートはリング状をなし、その全周に亘って前記シール部材が取り付けられてなる
請求項1〜3のいずれか一項に記載の2槽式のオイルパン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内槽と外槽とを有する2槽式のオイルパンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、その内部にセパレータを組み付けて内槽と外槽とに区画した2槽式のオイルパンが知られている(特許文献1など)。こうしたオイルパンでは、機関始動後に内槽に貯留されたオイルのみを循環させてオイルの温度を速やかに上昇させることにより、潤滑部位のフリクションを低下させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011‐226394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関の潤滑に供されて温度上昇したオイルは、シリンダブロックの内壁を伝って流れ落ちる。そして、このように流れ落ちるオイルが外槽に流入すると、内槽に戻されるオイルの量が減少するため、内槽のオイルの温度上昇が遅れることとなる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリンダブロックの内壁を伝って流れ落ちるオイルが外槽に流入することを抑制して内槽に貯留されるオイルの昇温性を高めることのできるオイルパンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する2槽式のオイルパンは、その内部を内槽と外槽とに区画する樹脂製のセパレータと、オイルパンの内壁に密着して同内壁とセパレータとの間をシールする弾性変形可能なシール部材が取り付けられたプレートとを備える。
プレートとセパレータとが別の部品であり、この2槽式のオイルパンは、プレートとセパレータとが固定されている。
【0007】
上記構成によれば、セパレータをオイルパンに組み付けた際に、シール部材が弾性変形してオイルパンの内壁に密着するため、外槽がシールされる。したがって、シリンダブロックの内壁を伝って流れ落ちるオイルが外槽に流入することを抑制し、内槽に貯留されるオイルの昇温性を高めることができる。
【0008】
また、セパレータの形状や大きさによっては、同セパレータにシール部材を直接取り付けることができない場合がある。この点、上記構成によれば、セパレータと比較して大きさが小さく、その取り回しが容易なプレートに外槽をシールするシール部材が取り付けられ、同プレートがセパレータに固定されているため、セパレータにシール部材を容易に配設することができる。なお、こうした構成において、セパレータに凸部を形成するとともに同凸部が挿通される挿通孔をプレートに設け、このプレートとセパレータとを凸部を熱かしめして固定することとすれば、セパレータの所望の位置にシール部材を配設することができる。
【0009】
また、上記2槽式のオイルパンのシール部材としてゴムリップを採用するのが望ましい。ゴムリップは、外槽の内壁の形状に合わせて容易に弾性変形し、同内壁との密着性が高められるため、外槽のシール性がさらに向上するようになる。
【0010】
また、上記2槽式のオイルパンにおいて、プレートをリング状とし、その全周にわたってシール部材を取り付けるようにすれば、外槽のシール性を高めることができ、オイルの昇温性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】オイルパンのオイルの流れを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、オイルパンの一実施形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1に示すように、内燃機関のシリンダブロック1には、そのクランクシャフト2やオイル落し通路3が設けられている。また、シリンダブロック1の下部にはオイルパン4が組み付けられている。このオイルパン4は対向する内壁10の間隔がその下部ほど狭くなっている。オイルパン4の内部には、上方が開口された箱状のセパレータ5が組み付けられている。このセパレータ5は樹脂により形成されている。
【0013】
オイルパン4は、セパレータ5によってその内部が内槽6と外槽7とに区画されている。内槽6には、貯留されたオイルを汲み上げるためのオイルストレーナー8が設けられている。さらに、内槽6と外槽7とは、セパレータ5の側壁に設けられた連通孔9によって連通されている。また、セパレータ5には、その上端から外方、すなわちオイルパン4の内壁10に向かって延出するフランジ11がその周方向の全周に亘って設けられている。フランジ11の上面には、周方向に間隔を隔てて複数の凸部12が設けられている。
【0014】
図2に示すように、セパレータ5の上端には、樹脂からなるリング状のプレート13がその周方向の全周に亘って設けられている。プレート13の外周には、その周方向の全周に亘ってゴムリップ14が取り付けられている。ゴムリップ14は、プレート13から上方に延出して、その上部がオイルパン4の内壁10に密着している。これにより外槽7がシールされている。なお、ゴムリップ14は、例えば射出成形することでプレート13に取り付けることができる。
【0015】
また、プレート13には、周方向に間隔を隔てて複数の挿通孔15が設けられている。この挿通孔15には、セパレータ5の凸部12が挿通されている。そして、この凸部12を熱かしめすることでその先端とフランジ11の上面とによってプレート13が挟持され、プレート13がセパレータ5に固定されている。
【0016】
次に、こうした構成を備えるオイルパン4の作用について説明する。
機関始動後には、オイルポンプが駆動し、オイルストレーナー8を通じて内槽6からオイルが汲み上げられる。汲み上げられたオイルは、内燃機関の各部を潤滑して温度上昇した後、オイル落し通路3やクランクシャフト2の内部に形成されたオイル通路からオイルパン4に戻される。また、一部のオイルは、クランクシャフト2の回転に伴って飛散し、シリンダブロック1の内壁を伝って流れ落ちてオイルパン4に戻される。
【0017】
本実施形態では、プレート13に取り付けられたゴムリップ14によって外槽7がシールされているため、
図2に示すように、シリンダブロック1の内壁を伝って流れ落ちたオイルは外槽7に流入せず、内槽6に流れ込む。この結果、内槽6のオイルが速やかに温度上昇するようになる。
【0018】
なお、機関停止後には、オイルの汲み上げが停止されるとともに、内燃機関の各部を潤滑したオイルが戻されるため、内槽6に貯留されたオイルの液位が上昇し、連通孔9を通じて内槽6から外槽7にオイルが流れ込む。このように内槽6から外槽7にオイルが流れ込んで拡散されることにより、内槽6のオイルの劣化が抑制される。
【0019】
また、セパレータ5の形状や大きさによっては、同セパレータ5にゴムリップ14を直接取り付けることができない場合がある。この点、本実施形態では、セパレータ5と比較して大きさが小さく、その取り回しが容易なプレート13に外槽7をシールするゴムリップ14が取り付けられ、同プレート13がセパレータ5に熱かしめによって固定されているため、セパレータの所望の位置にゴムリップ14を容易に配設することができる。
【0020】
また、オイルパン4にプレート13が固定されたセパレータ5を組み付ける際には、同セパレータ5をオイルパン4に挿入し、プレート13のゴムリップ14を弾性変形させてオイルパン4の内壁10に密着させる。ここで、オイルパン4は対向する内壁10の間隔がその下部ほど狭くなる形状であるため、セパレータ5をオイルパン4の底部に向けて押しつけることで、ゴムリップ14はオイルパン4の内壁10に強く密着するようになる。その結果、外槽7をシールしつつ、オイルパン4にセパレータ5を組み付けることができる。
【0021】
以上説明した一実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)シリンダブロック1の内壁を伝って流れ落ちるオイルが外槽7に流入することを抑制し、内槽6に貯留されるオイルの昇温性を高めることができる。また、セパレータ5と比較して大きさが小さく、その取り回しが容易なプレート13に外槽7をシールするゴムリップ14を取り付け、同プレート13をセパレータ5に固定するようにしたため、セパレータ5にゴムリップ14を容易に配設することができる。
【0022】
(2)プレート13を熱かしめによってセパレータ5に固定するようにしたため、セパレータ5の所望の位置にゴムリップ14を配設することができるとともに、その作業が容易なものとなる。
【0023】
(3)外槽7をシールするゴムリップ14は、オイルパン4の内壁10の形状に合わせて容易に弾性変形するため、同内壁10との密着性を高めることができ、外槽7のシール性をさらに向上させることができるようになる。
【0024】
(4)また、プレート13をリング状とするともに、その周方向の全周に亘ってゴムリップ14を取り付け、そのゴムリップ14をオイルパン4の内壁10に密着させるようにしたため、外槽7のシール性を高めることができ、オイルの昇温性をさらに高めることができる。
【0025】
なお、上記一実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、プレート13の外周にゴムリップ14を取り付けたが、外槽7を封止できるのであれば、その取り付け態様はこれに限定されない。
【0026】
・プレート13は必ずしもリング状でなくてもよく、例えばプレートを複数の部材によって構成し、各部材にそれぞれゴムリップを取り付けるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、外槽7をシールするシール部材としてゴムリップを採用したが、液体パッキン等、その他のシール部材を用いることもできる。こうした構成でも、上記(1)及び(2)と同様の効果を得ることはできる。
【0027】
・上記各実施形態では、プレート13の材料として樹脂を例示したが、金属等、他の材料でもよい。
・上記各実施形態では、セパレータ5とプレート13とを熱かしめして固定したが、プレート13の材料として金属を用いた場合には、このプレート13を機械的にかしめてセパレータ5に固定してもよい。
【0028】
・上記各実施形態では、セパレータ5とプレート13とをかしめて固定したが、セパレータ5とプレート13との固定態様はこれに限られない。例えば、セパレータ5とプレート13と間に接着剤を塗布してこれらを接着するようにしてもよいし、溶接によってこれらを固定してもよい。また、セパレータ5とプレート13とをボルト締結してもよい。また、他の固定方法としては、例えばセパレータ5の凸部12にフックを設けて、スナップフィットによってプレート13をセパレータに把持させるようにしてもよいし、クリップによってセパレータ5とプレートとを一体に把持するようにしてもよい。これらの構成によっても、上記(1)と同様の効果を得ることはできる。
【符号の説明】
【0029】
1…シリンダブロック、2…クランクシャフト、3…オイル落し通路、4…オイルパン、5…セパレータ、6…内槽、7…外槽、8…オイルストレーナー、9…連通孔、10…内壁、11…フランジ、12…凸部、13…プレート、14…ゴムリップ、15…挿通孔。