(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プラスティック基板と、そのプラスティック基板の表面上に直接的又はアンダー塗膜を間に挟んで間接的に形成された金属蒸着膜と、その金属蒸着膜上又はその上に形成されたシリコーン重合膜上にアルミキレート硬化型アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、からなる面を前面とし、
前記アルミキレート硬化型アクリル樹脂は、
Tgが摂氏65度以下、酸価が2以上50以下である
車両用灯具部品。
プラスティック基板と、そのプラスティック基板の表面上にアルミキレート硬化型アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、からなる面を前面とし、
前記アルミキレート硬化型アクリル樹脂は、
Tgが摂氏65度以下、酸価が2以上50以下である
車両用灯具部品。
透明なプラスティック基板と、そのプラスティック基板の表面上かつ車両用灯具の光源側に形成される蓄光層であって、アルミキレート硬化型アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、からなり、
前記アルミキレート硬化型アクリル樹脂は、
Tgが摂氏65度以下、酸価が2以上50以下である
車両用灯具部品。
導光体と、その導光体の表面全体に形成された蓄光層であって、アルミキレート硬化型アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムを含む蓄光塗料を塗布して形成される蓄光層と、蓄光層の上に空間をおいて配置された透明なプラスティック面と、からなり、
前記アルミキレート硬化型アクリル樹脂は、
Tgが摂氏65度以下、酸価が2以上50以下である
車両用灯具部品。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈発明の概要〉
本発明は、アルミキレート硬化型アクリル樹脂と蓄光材料としてのアルミン酸ストロンチウムとを含む蓄光塗料を塗布することによって得られた車両用灯具部品である。
以下では、前提として全ての請求項に共通する蓄光塗料の塗料成分や適切な塗布方法について説明し、その上で車両用灯具部品の製造方法について説明する。
【0016】
〈塗料成分〉
(メイン樹脂について)
塗料成分のメイン樹脂としては、例えば、アクリル樹脂とアルミキレート硬化型アクリル樹脂の2つが考えられる。アルミキレート硬化型アクリル樹脂とは、その分子内にカルボキシル基を有するアクリル樹脂にアルミキレートを配合した樹脂のことである。アルミキレート硬化型アクリル樹脂は、キレート結合により、三次元構造が形成されるので、化学的・物理的に強靭な塗膜が得られるという特徴がある。
【0017】
図1は、水温が摂氏40度の温水に製造体を24時間触れさせるという条件で実施した温水実験の結果を図にしたものである。実験の条件は、基材として3mm程度のポリカーボネートを使用し、その上に金属蒸着用UVアンダー塗膜をスプレーで塗布する方法で形成し、更にその上に50nmから100nm程度の金属蒸着膜を形成したものの上に蓄光塗料を塗布する方法で実施するというものである。左から順に、樹脂名、樹脂のタイプ、耐温水性の実験結果が記載されている。そして、耐温水性の欄については、「○」は特に問題ないことを、「△」は若干金属蒸着膜が腐食する、又は、若干金属蒸着膜が白く変色することを、「×」は金属蒸着膜が明らかに腐食する、又は、金属蒸着膜が明らかに白く変色することを意味している。
【0018】
図1のように、アクリル樹脂ならば、水温が摂氏40℃の温水に24時間触れさせておくと、金属蒸着膜が腐食してしまい、さらに金属蒸着膜が白く変色する。他方、アルミキレート硬化型アクリル樹脂ならば、水温が摂氏40℃の温水に24時間触れさせておいても、化学的・物理的に強靭な塗膜が得られており、温水が金属蒸着膜に浸透することを避けられるため、金属蒸着膜が腐食することもなく、かつ、金属蒸着膜が白く変色することもない。そのため、メイン樹脂としては、アクリル樹脂ではなく、温水に長時間耐えられる樹脂であるアルミキレート硬化型アクリル樹脂を選択するのが望ましい。
【0019】
また、メイン樹脂のTgについては、それが高すぎる場合、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくなる。他方、メイン樹脂の酸価については、酸価が高すぎる場合、プラスティック表面から蓄光層が剥がれやすくなり、酸価が低すぎる場合、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれやすくなる。
【0020】
このように、プラスティック表面上と金属蒸着膜上との密着性は、メイン樹脂のTgと酸価の影響を大きく受ける。なお、「Tg」とは、非晶質の固体を加熱した場合において、低温では結晶なみに堅く流動性がなかった固体が急速に剛性と粘度が低下し流動性が増す温度のことである。
【0021】
図2は、各樹脂のTg及び酸価と、金属蒸着膜上及びプラスティック表面上に対する密着性の高さと、の関係を図にしたものである。密着性の試験は、日本工業規格の「K5600−5−6」に則って、完成した製造体の蓄光層にセロハンテープの粘着面を張り付けて剥離することで剥離面を比較した。左から順に、樹脂名、Tg、酸価、金属蒸着膜上に対する密着性、プラスティック表面上に対する密着性が記載されている。そして、金属蒸着膜上に対する密着性の欄については、「○」は金属蒸着膜から蓄光層が剥がれないことを、「×」は金属蒸着膜から蓄光層が剥離面100%で剥がれてしまうことを意味する。プラスティック表面上に対する密着性の欄については、「○」はプラスティック表面から蓄光層が剥がれないことを、「△」はプラスティック表面から蓄光層が剥離面100%に至らない程度に剥がれることを意味する。
【0022】
図2のように、メイン樹脂のTgが摂氏94度である場合、金属蒸着膜から蓄光層が剥離面100%で剥がれてしまう。他方、メイン樹脂のTgが摂氏60度である場合、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれない。そのため、メイン樹脂のTgについては、摂氏60度程度以下であること、具体的には、摂氏65度以下であることが望ましく、更には、摂氏60度以下であることが望ましい。
【0023】
メイン樹脂の酸価が1の場合、金属蒸着膜から蓄光層が剥離面100%で剥がれてしまう。他方、メイン樹脂の酸価が2の場合、金属蒸着膜から蓄光層が剥がれない。
【0024】
さらに、メイン樹脂の酸価が65の場合、プラスティック表面から蓄光層が剥離面100%に至らない程度に剥がれる。他方、メイン樹脂の酸価が43の場合、プラスティック表面から蓄光層が剥がれない。
【0025】
そのため、メイン樹脂の酸価については、2以上43程度以下であること、具体的には、2以上50以下であることが望ましく、更には、2以上43以下であることが望ましい。
【0026】
以上より、メイン樹脂は、アルミキレート硬化型アクリル樹脂であって、Tgが摂氏65度以下で酸価が2以上50以下のものが望ましく、更には、Tgが摂氏60度以下で酸価が2以上43以下のものが望ましい。
【0027】
(蓄光材料の選択について)
以上の樹脂との配合に用いる蓄光材料としては、アルミン酸ストロンチウムが望ましい。アルミン酸ストロンチウムであれば特定のものに限定されるわけではなく、例えば、化学組成が主成分Sr
4Al
14O
25で賦活剤Eu,Dyのものを用いても良いし、化学組成が主成分SrAl
2O
4で賦活剤Eu,Dyのものを用いても良い。
【0028】
前者の蓄光材料ならば、それを塗布することにより形成された蓄光層は青色又は青緑色に発光する。他方、後者の蓄光材料ならば、それを塗布することにより形成された蓄光層は黄色又は黄緑色に発光する。これらの特色を踏まえて蓄光材料を選択すれば良く、例えば、自動車の部品の蓄光塗料としては、環境にやさしい色としてのイメージが浸透している青色に発光する蓄光層を形成できる蓄光材料を選択すれば良い。
【0029】
(蓄光材料の平均粒径について)
蓄光塗料の平均粒径については、塗膜の均一性が保たれ、かつ、作業効率を考えると、スプレーガンが詰まらないものであることが望ましい。
【0030】
蓄光顔料の平均粒径が50μmを超えると、スプレーガンが詰まり、かつ、粒子感が目立つので均一な外観とならない。
【0031】
他方、蓄光顔料の平均粒径が15μm未満になると、塗膜に凝集物が発生し、意匠性を阻害する。
【0032】
これらに対して、蓄光顔料の平均粒径が15μmから50μmの範囲であれば、塗膜の均一性が保たれ、かつ、塗装性においてもスプレーガンが詰まらない。
【0033】
そのため、蓄光顔料の平均粒径は、15μmから50μmの範囲であることが望ましい。
【0034】
(蓄光材料の添加量について)
蓄光材料の添加量については、塗膜の均一性が保たれ、燐光状態が良好であり、かつ、スプレーガンが詰まらないものであることが望ましい。
【0035】
図3は、蓄光材料添加量と、塗膜の均一性、燐光状態、作業効率との関係を図にしたものである。上から順に、蓄光材料の添加量、塗膜の均一性、燐光状態、スプレーガンの詰まりの状況が記載されている。そして、塗膜の均一性の欄については、「○」は均一で良好であることを、「△」は若干均一性が劣ることを、「×」は均一性がないことを意味している。燐光状態の欄については、「○」は均一な燐光であることを、「△」は若干燐光ムラがあることを、「×」は燐光ムラが明白であることを意味している。スプレーガンの詰まりの欄については、「○」はスプレーガンが詰まらないことを、「△」は若干スプレーガンが詰まることを、「×」はスプレーガンの詰まりが顕著であることを意味している。
【0036】
図3のように、蓄光材料の全体に占める重量%が40%になると、スプレーガンは詰まらないものの、燐光ムラが生じる。そして、蓄光材料の全体に占める重量%の値を更に下げていくに従って、その燐光ムラが激しくなり、燐光状態はより一層不良になる。さらに、蓄光材料の全体に占める重量%が30%未満になると、燐光状態の悪化に止まらず、塗膜の均一性も損なわれる。
【0037】
他方、蓄光材料の全体に占める重量%が60%になると、燐光状態は良好であるものの、若干スプレーガンが詰まる。そして、蓄光材料の全体に占める重量%の値を更に上げていくに従って、スプレーガンの詰まりは顕著になる。さらに、蓄光材料の全体に占める重量%が70%以上になると、スプレーガンの詰まりが顕著であることに止まらず、塗膜の均一性も損なわれる。
【0038】
これらに対して、蓄光材料の全体に占める重量%が50%であれば、塗膜の均一性が保たれ、燐光状態が良好であり、かつ、スプレーガンが詰まらないものが得られる。
【0039】
以上から、蓄光材料の添加量については、蓄光材料の全体に占める重量%が50%程度、具体的には、45%以上55%以下であることが望ましく、さらには、50%であることが望ましい。
【0040】
(着色顔料について)
明所での着色状態と暗所での燐光状態が共に良好なものを開発するため、着色顔料の濃度については、明所での着色状態と暗所での燐光状態が共に十分なものであることが望ましい。
【0041】
図4は、着色顔料添加量と、着色状態及び燐光状態との関係を図にしたものである。上から順に、着色顔料の添加量、着色状態、燐光状態が記載されている。そして、着色状態の欄については、「○」は十分な着色状態であることを、「△」は若干燐光材料の色目が目立つことを、「×」は明らかに燐光材料の色目が目立つことを意味している。燐光状態の欄については、「○」は鮮やかな燐光であることを、「△」は若干燐光状態が劣るが十分光ることを、「×」は着色により燐光が明らかに阻害されていることを意味している。なお、この実験は、着色顔料を着色染料に変更した場合にも、同様の結果が得られるものである。
【0042】
図4のように、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量が1重量%になると、燐光状態を阻害することはないものの、明所において、蓄光材料の色目が目立ってしまい、十分な着色が得られない。
【0043】
他方、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量が10重量%になると、明所での着色状態が十分にはなるものの、燐光を阻害してしまう。
【0044】
これらに対して、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量が3重量%であれば、少しだけ蓄光顔料の色目が目立つものの、鮮やかな燐光を得られる。他方、5重量%であれば、若干燐光状態が劣るものの十分な着色を得られる。
【0045】
以上から、蓄光塗料全体に対する着色顔料の追加量は、3重量%程度から5重量%程度の範囲であること、具体的には、2.5重量%以上5.5重量%以下であることが望ましく、更には、3重量%以上5重量%以下であることが望ましい。
【0046】
(着色上の工夫)
着色顔料の種類については、多様なものが考えられる。
例えば、特に燐光状態を際立たせたいならば、透明性の高い着色顔料又は着色染料を使用し、あるいは、燐光状態を阻害しない色である寒色系の色の着色顔料又は着色染料を使用すればよい。他方、明所と暗所での色が異なることを製造体の特徴としたいのであれば、燐光状態を阻害しない範囲で暖色系の色の着色顔料又は着色染料を使用すればよい。さらに、パステル調の色彩をもつ製造体にしたいのであれば、蛍光顔料や蛍光染料を使用すればよい。
【0047】
〈塗布方法〉
蓄光材料は、一般的に、硬い物質である。そのため、スプレーガンには、塗料ノズルとニードルが摩耗することを防止する処理を施すことが望ましい。具体的には、塗料ノズルとニードルの摩耗を防止するため、窒化処理,もしくは,タングステン仕様のスプレーガンを使用することが望ましい。
【0048】
スプレーガンの塗料ノズル口径については、スプレーガンが詰まらずに塗装することができ、かつ、微粒化が十分であるものが望ましい。スプレーガンの塗料ノズル口径が1.3mmφ未満になると、スプレーガンが詰まる。他方、スプレーガンの塗料ノズル口径が2.5mmφを超えると、微粒化が不足する。これらに対して、スプレーガンの塗料ノズル口径が1.5mmφ以上2.5mmφ以下であれば、スプレーガンが詰まらず、かつ、微粒化も十分である。そのため、スプレーガンの塗料ノズル口径については、1.5mmφ以上2.5mmφ以下であることが望ましい。
【0049】
蓄光材料の沈殿を防止するため、常時撹拌しながら塗布することが望ましい。
【0050】
膨れや寄りを防止するため、蓄光塗膜の形成から塗膜表面が乾燥するまでの5分間以上の間、十分に常温放置することが望ましい。
【0051】
〈製造体の製造方法〉
主に以上のような構成をとる発明により得られた本件蓄光塗料は、金属蒸着膜上だけではなく、プラスティック表面上及びシリコーン系重合膜上に対する密着性も高い。そのため、塗布面の材質に依存することなく、本件蓄光塗料を塗布することができる。
図5は、プラスティック面、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜のいずれに対しても同一の本件蓄光塗料を塗布可能であることを示す図である。
【0052】
このような特徴を有する本件蓄光塗料を用いて製造される車両用灯具部品の製造方法は、以下のような製造工程である。車両用灯具部品の具体例としては、車両用灯具用インナーレンズや車両用灯具用エクステンションなどが存在する。
【0053】
車両用灯具用インナーレンズとは、その材質がプラスティックの一種であるポリカーボネート又はアクリルであり、ヘッドランプやリアコンビネーションランプ等の内部に存在する全てのレンズを意味する。
図6の右から1つ目から3つ目までは明所でのインナーレンズを示している。
【0054】
車両用灯具用エクステンション基材としては、塗布面が金属蒸着膜又は/及びシリコーン系重合膜であり、その金属蒸着膜とプラスティックの間にアンダー塗膜を形成している場合と形成していない場合のものが存在する。
【0055】
以下では、製造工程を実施例として説明する。実施例1は請求項1に、実施例2は請求項2から4に、実施例3は請求項5に、それぞれ対応する。
【実施例1】
【0056】
(プラスティック面、金属蒸着膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図7は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「3」の金属蒸着膜上に「2」の蓄光層が存在する。
【0057】
図8は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(0801)上に金属蒸着膜を形成し(0802)、その金属蒸着膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(0803)ことによって製造する。
【0058】
(プラスティック面、アンダー塗膜、金属蒸着膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図9は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「4」のアンダー塗膜の上に「3」の金属蒸着膜が存在し、更にその上に「2」の蓄光層が存在する。
【0059】
図10は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(1001)上に形成したアンダー塗膜(1002)上に金属蒸着膜を形成し(1003)、その金属蒸着膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(1004)ことによって製造する。
【0060】
(プラスティック面、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図11は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「3」の金属蒸着膜の上に「5」のシリコーン系重合膜が存在し、更にその上に「2」の蓄光層が存在する。
【0061】
図12は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(1201)上に形成した金属蒸着膜(1202)上にシリコーン系重合膜を形成し(1203)、そのシリコーン系重合膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(1204)ことによって製造する。
【0062】
(プラスティック面、アンダー塗膜、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜、蓄光層からなる車両用灯具部品)
図13は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に形成された「4」のアンダー塗膜の上に「3」の金属蒸着膜が存在し、その上に「5」のシリコーン系重合膜が存在し、更にその上に「2」の蓄光層が存在する。
【0063】
図14は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック面(1401)上に形成したアンダー塗膜(1402)上に金属蒸着膜を形成し(1403)、その上にシリコーン系重合膜を更に形成し(1404)、そのシリコーン系重合膜上に本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(1405)ことによって製造する。
【0064】
以上の製造工程により、金属蒸着膜とプラスティックの間にアンダー塗膜を形成している場合と形成していない場合のいずれであっても、塗布面である金属蒸着膜又はシリコーン系重合膜上に蓄光層を形成することができる。
なお、この場合の金属蒸着膜の膜厚としては、40nmから120nmの範囲内であることが望ましく、更には、80nmから100nmの範囲内であることが望ましい。
【0065】
車両用灯具についてインナーレンズを例にとると、
図17の右から1つ目から3つ目までは暗所における車両用灯具部品としてのインナーレンズを示している。
図18の1801は明所での車両用灯具部品としてのインナーレンズの一例を示しており、
図18の1802は暗所での点灯時の車両用灯具部品としてのインナーレンズの一例を示しており、
図18の1803は暗所での消灯時の車両用灯具部品としてのインナーレンズの一例を示している。
【実施例2】
【0066】
図15は、蓄光機能を有する車両用灯具部品の一例の断面図である。「1」のプラスティック基材上に「2」の蓄光層が存在する。
【0067】
図16は、その製造方法を示す図である。準備したプラスティック面(1601)に対して本件蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成する(1602)ことで製造する。
【0068】
この車両用灯具部品の使用方法としては、多様なものが考えられる。
【0069】
例えば、光源である書量等灯具とは反対側に蓄光層がくるように装着して、蓄光層が前面にくるようにしても良い。
【0070】
他方で、光源側に蓄光層がくるように装着することで、光源が発光している間は光源からの光が蓄光層とプラスティックを透けて外気に届くことで光り、他方、光源が発光していない間は蓄光層が放つ燐光で光るという使用が可能になる。
【0071】
さらに、製造された車両用灯具部品の蓄光層とは反対側の面であるプラスティック面に対して膜厚の薄い金属蒸着膜を形成することにより、明所での非点灯時には蒸着面が見え、明所及び暗所での点灯時には光源の光が見え、暗所での非点灯時には蓄光層が放つ燐光が見えるという使用方法でも良い。
【0072】
図19は、この場合の使用方法について示した図である。「2」の蓄光層の上に「1」のプラスティック面が存在し、その上に「3」の金属蒸着膜が存在し、更にその上に「5」のシリコーン系重合膜が存在する。光源から照射された光は「照射光」として、蓄光層、プラスティック面、金属蒸着膜、シリコーン系重合膜を透過し、外部へと到達する。「発光」とは、蓄光層が放つ燐光を意味し、プラスティック面と金属蒸着膜とシリコーン系重合膜を透過し、外部へと到達する。
【0073】
このように金属蒸着膜やシリコーン系重合膜を形成しても膜厚が薄ければ、外部からの光を透過し、光が蓄光層まで到達する。また、蓄光層が放つ燐光は、プラスティック面と金属蒸着膜とシリコーン系重合膜を透過し、外部に届く。
【0074】
この場合の金属蒸着膜の膜厚については、外部からの光が蓄光層まで届き、かつ、蓄光層が放つ燐光が外部まで届くことが重要であり、膜厚が約80nm以下であること、具体的には、20nmから80nmの範囲内であることが望ましく、更には、20nmから40nmの範囲内であることが望ましい。
【0075】
シリコーン系重合膜の膜厚についても、外部からの光が蓄光層まで届き、かつ、蓄光層が放つ燐光が外部まで届くことが重要であり、膜厚が約35nm以下であること、具体的には、10nmから30nmの範囲内であることが望ましく、更には、15nmから25nmの範囲内であることが望ましい。
【実施例3】
【0076】
導光体とは、その材質がプラスティックの一種であるポリカーボネート又はアクリルであり、透明樹脂の内面反射を利用して片側から入射した光を他方へ効率よく導く物のことである。
図6の左から1つ目及び2つ目は明所での導光体を示している。
【0077】
図20は、導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの断面図である。「6」の導光体の表面全体に「2」の蓄光層が存在し、その周りに空間をおいて「7」のインナーレンズ基材が存在する。
【0078】
図17の左から1つ目及び2つ目は明所での導光体を示している。そして、
図21の2101は明所での導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの一例を示しており、
図21の2102は暗所での点灯時の導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの一例を示しており、
図21の2103は暗所での消灯時の導光体入り蓄光性車両用灯具用のインナーレンズの一例を示している。
【0079】
図22は、その製造方法を示す図である。製造方法としては、準備したプラスティック素材である導光体(2201)の表面全体に蓄光塗料を塗布して蓄光層を形成し(2202)、その蓄光層上に空間をおいてインナーレンズ基材をはめ込む(2203)ことによって製造する。
【0080】
なお、本発明は、上述の説明の方法のみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。