特許第5969432号(P5969432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969432
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20160804BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20160804BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   E02F9/20 Q
   E02F9/26 B
   E02F9/24 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-144861(P2013-144861)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-17410(P2015-17410A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100156524
【弁理士】
【氏名又は名称】猪野木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】野村 沢哉
(72)【発明者】
【氏名】滝下 竜夫
(72)【発明者】
【氏名】湯上 誠之
(72)【発明者】
【氏名】高木 渉
【審査官】 富山 博喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−027841(JP,A)
【文献】 実開平05−061244(JP,U)
【文献】 特開平09−058999(JP,A)
【文献】 特開2009−013633(JP,A)
【文献】 特開2003−313898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/24
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と屋根付きの運転席とを有する車体と、
前記車体に上下方向に回動可能に取り付けられたブームを有するフロント作業装置と
前記走行装置の作動状態を検出する走行検出装置と、
前記フロント作業装置の高さに関連するパラメータとして前記ブームの角度を検出するブーム角度センサと、
注意を喚起する報知装置とを備えた作業機械において
前記走行検出装置の検出値と前記ブーム角度センサの検出値に基づき、前記走行装置が作動状態にありかつ前記フロント作業装置の高さが前記屋根の高さ以下に設定された所定高さ以上であるときに前記報知装置を作動させる制御装置とを備えることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械において、
キャンセルスイッチを更に備え、
前記制御装置は、前記キャンセルスイッチがONであるときは、前記報知装置を作動させる機能を無効とすることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に回動可能なフロント作業装置を有する作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
走行操作時に警報を発する圧電ブザーを備えた建設機械(作業機械)として、例えば特許文献1記載のものがある。
【0003】
掘削積込作業における後進操作時でかつバケット(フロント作業装置の一部)が所定位置よりも降下したときに警報を発する警報装置(報知装置)を備えた作業車両(作業機械)として、例えば特許文献2記載のものがある。
【0004】
掘削作業においてバケット先端(フロント作業装置の一部)の可動範囲を制限する機能を備えた建設機械(作業機械)として、例えば特許文献3記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−216157号公報
【特許文献2】特開2000−240108号公報
【特許文献3】特許第3802708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業機械は、工場施設の出入口の通り抜ける場合など、上方制限物(この場合は出入口の上側梁部分)の下側を走行しなければならない。また、小型の作業機械(特に、ミニショベル)は、住宅地の狭い路地、植木に覆われた庭園、樹木が等間隔に整列して植林された果樹園などで用いられることが多いため、樹木の枝、果実などの下側を走行しなければならない。
【0007】
これらの上方制限物(出入口の上側梁部分、樹木の枝、果実など)の下側を走行する際、通常オペレータは手動操作によりフロント作業装置を車体前方に折り畳んだ走行姿勢をとった上で、運転席の屋根(キャノピータイプの運転席の場合はキャノピー、キャビンタイプの運転席の場合はキャビンの天板)を基準に上方制限物の下を通過できるかどうかを判断している。すなわち、屋根の高さが上方制限物よりも低ければ通過可能と判断し、高ければ通過不可と判断する。
【0008】
しかし、運転席の屋根の高さが一定であるのに対し、フロント作業装置の高さには手動操作に起因したバラツキがあり、フロント作業装置の一部が運転席の屋根よりも高い位置にある場合、その一部が上方制限物に接触してしまう可能性がある。そのためオペレータは、上方制限物の下を通り抜ける際、運転席の屋根の高さが上方制限物よりも低いかどうかの判断に加え、フロント作業装置の高さが運転席の屋根よりも低い位置にあるかどうかも判断しなければならない。しかし、フロント作業装置の高さを目視で正確に把握することは困難であるため、その判断を誤る可能性がある。
【0009】
特許文献1〜3記載のいずれの作業機械においても、それらの制御装置は走行するときフロント作業装置の高さが運転席の屋根よりも低い位置にあるかどうかを判断することができず、同様の問題がある。
【0010】
本発明の目的は、走行するとき運転席の屋根よりも高い位置にある上方制限物にフロント作業装置が接触することを回避できる作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、走行装置と屋根付きの運転席とを有する車体と、前記車体に上下方向に回動可能に取り付けられたブームを有するフロント作業装置と、前記走行装置の作動状態を検出する走行検出装置と、前記フロント作業装置の高さに関連するパラメータとして前記ブームの角度を検出するブーム角度センサと、注意を喚起する報知装置とを備えた作業機械において、前記走行検出装置の検出値と前記ブーム角度センサの検出値とに基づき、前記走行装置が作動状態にありかつ前記フロント作業装置の高さが前記屋根の高さ以下に設定された所定高さ以上であるときに前記報知装置を作動させる制御装置とを備えるものとする。
【0012】
このように構成した本発明においては、走行するとき運転席の屋根よりも高い位置にある上方制限物にブームを有するフロント作業装置が接触することを回避できる。
【0015】
)上記(1)において、好ましくは、キャンセルスイッチを更に備え、前記制御装置は、前記キャンセルスイッチがONであるときは、前記報知装置を作動させる機能を禁止する。

【0016】
これにより、上方制限物の無い場所を走行するときあるいは走行を伴う複合操作を行うときなど警報が不要となる場合に、報知装置の作動を禁止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、走行するとき運転席の屋根よりも高い位置にある上方制限物にフロント作業装置が接触することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態における作業機械の一例である油圧ショベルの外観を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における作業機械の一例である油圧ショベルの外観を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における作業機械の一例である油圧ショベルに搭載される油圧制御システムの全体構成を示す図である。
図4A】本発明の実施の形態における走行レバー操作量と左右走行パイロット圧との関係を示す図である。
図4B】本発明の実施の形態における左右走行パイロット圧と走行用のコントロールバルブのメータイン及びメータアウトの開口面積との関係を示す図である。
図5】本発明の実施の形態におけるブザー装置の制御系を示す図である。
図6】本発明の実施の形態におけるコントローラの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0020】
〜構成〜
図1は、本発明の一実施の形態における作業機械の一例としての油圧ショベルの外観を示す図である。図1に示す油圧ショベル1は、車体1Aとフロント作業装置1Bとを備えている。
【0021】
車体1Aは、下部走行体1dと上部旋回体1eとを有する。下部走行体1dは、左右走行油圧モータ3e,3f(左側のみ図示)により駆動されるクローラ式の走行装置で構成されている。下部走行体1dの前部には、ブレード1fが上下方向に回動可能に取り付けられており、ブレード1fは図示しないブレードシリンダの伸縮により上下方向に回動する。上部旋回体1eは下部走行体1dの上部に旋回可能に搭載され、旋回油圧モータ3dにより旋回する。上部旋回体1eの上部には、キャノピータイプの運転席1Cが備えられており、運転席1Cの上部には四本の支柱で支えられたキャノピー1g(運転席の屋根)が設けられている。運転席1Cには、オペレータが着座するシート7sと、後述する各アクチュエータを操作するための操作装置7a〜7f(左側のみ図示)、図示しない各種スイッチ及びブザー装置が配置されている。上部旋回体1eの前部には、スイングポスト1hが水平方向に回動可能に取り付けられており、スイングポスト1hは図示しないスイングシリンダの伸縮により水平方向に回動する。
【0022】
フロント作業装置1Bは、スイングポスト1hに上下方向に回動可能に取り付けられている。フロント作業装置1Bはブーム1aとアーム1bとバケット1cとを有し、ブーム1aはブームシリンダ3aの伸縮により上下方向に回動し、アーム1bはアームシリンダ3bの伸縮により上下・前後方向に回動し、バケット1cはバケットシリンダ3cの伸縮により上下・前後方向に回動する。ブーム1aとスイングポスト1hとの軸支結合箇所にはブーム角度θを検出するブーム角度センサ11が取り付けられている。図中θxは、フロント作業装置1Bの一部がキャノピー1g(運転席の屋根)の高さ(以下、所定高さ)に達したときのブーム角度(以下、所定角度)を示しており、図1に示すようにフロント作業装置1Bの高さが所定高さよりも低い状態のときは、ブーム角度θは所定角度θxよりも小さい。
【0023】
図2は、図1と同様に油圧ショベルの外観を示す図であり、フロント作業装置1Bの一部が所定高さを超えた状態を示している。このとき、ブーム角度θは所定角度θxよりも大きい。本実施の形態において、ブーム角度θおよびブーム角度センサ11は、それぞれフロント作業装置1Bの高さに関連するパラメータおよびフロント作業装置1Bの高さ検出装置を構成している。
【0024】
図3は、図1に示した油圧ショベルに搭載される油圧制御システムの全体構成を示す図である。図3に示す油圧制御システムは、油圧ポンプ2と、ブームシリンダ3aと、アームシリンダ3bと、バケットシリンダ3cと、旋回油圧モータ3dと、左右走行油圧モータ3e,3fと、コントロールバルブ4a〜4fと、パイロット油圧ポンプ6と、操作装置7a〜7fと、シャトル弁9a,9bと、圧力センサ10a,10bと、ブーム角度センサ11(高さ検出装置)と、キャンセルスイッチ12と、コントローラ13(制御装置)と、ブザー装置14(報知装置)とを備えている。なお、図3において、図1で図示しなかったブレードシリンダ及びスイングシリンダの駆動を制御する油圧回路部分については図示を省略している。
【0025】
油圧ポンプ2は、各コントロールバルブ4a〜4fを介して各アクチュエータ3a〜3fに接続されている。各コントロールバルブ4a〜4fが図示中立位置から操作されると、油圧ポンプ2から吐出された圧油は、各コントロールバルブ4a〜4fを介して各アクチュエータ3a〜3fに供給される。油圧アクチュエータ3a〜3fからの戻り油はコントロールバルブ4a〜4fを介してタンクに戻される。
【0026】
コントロールバルブ4a〜4fの左右パイロット受圧部50a,50b,・・・55a,55bは、左右パイロット油路80a,80b,・・・,85a,85bを介してそれぞれ操作装置7a〜7fに接続されている。操作装置7a〜7fは、パイロット油圧ポンプ6の吐出圧を元圧として、それぞれに設けられた操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を、左右パイロット油路80a,80b,・・・,85a,85bを介してコントロールバルブ4a〜4fの左右パイロット受圧部50a,50b,・・・55a,55bに出力する。コントロールバルブ4a〜4fは、左右パイロット受圧部50a,50b,・・・55a,55bに出力されたパイロット圧に応じて、図示中立位置から左右いずれかの方向に操作される。
【0027】
シャトル弁9aは、入力側が左走行油圧モータ3eを操作する操作装置7e(以下、左走行レバー装置)から出力されるパイロット圧をコントロール弁4eの左右パイロット受圧部に導く左右パイロット油路84a,84bに接続されており、左走行レバー装置7eから出力されたパイロット圧のうち高圧側の圧力(以下、左走行パイロット圧P1)を圧力センサ10aに出力する。シャトル弁9bは、入力側が右走行油圧モータ3fを操作する操作装置7f(以下、右走行レバー装置)から出力されるパイロット圧をコントロールバルブ4fの左右パイロット受圧部に導く左右パイロット油路85a,85bに接続されており、右走行レバー装置7fから出力されるパイロット圧の高圧側の圧力(以下、右走行パイロット圧P2)を圧力センサ10bに出力する。圧力センサ10a,10bは、左右走行パイロット圧P1,P2をそれぞれ電気信号に変換し、コントローラ13に出力する。
【0028】
図4Aは、左右走行レバー装置7e,7fの操作レバー(以下、走行レバー)の操作量(以下、走行レバー操作量)と左右走行パイロット圧P1,P2との関係を示す図であり、図4Bは、左右走行パイロット圧P1,P2と走行用のコントロールバルブ4e,4fのメータイン及びメータアウトの開口面積との関係を示す図である。走行レバー操作量が増大するにしたがって左右走行パイロット圧P1,P2は最小圧力Pminから最大圧力Pmaxまで増大し(図4A)、左右走行パイロット圧P1,P2が増大するにしたがってコントロールバルブ4e,4fのメータイン及びメータアウトの開口面積はそれぞれゼロから最大Aimax及びAomaxまで増大する(図4B)。Pthは、コントロールバルブ4e,4fの開口面積がゼロから増大し始めるときの走行パイロット圧であり(図4B)、左右走行パイロット圧P1,P2がPthを超えるとコントロールバルブ4e,4fを介して左右走行油圧モータ3e,3fに圧油が供給され、走行装置1d(図1)が走行を開始する。コントローラ13には、走行レバーが操作されたかどうかを判定するためのしきい値としてPthよりわずかに小さい所定パイロット圧P0が設定されており、左右走行パイロット圧P1,P2が所定パイロット圧P0よりも高いかどうかを判定することで、走行操作の有無(すなわち、走行装置の作動状態)を検出することができる。本実施の形態において、左右走行パイロット圧P1,P2をそれぞれ検出する圧力センサ10a,10b(図2)は、走行装置1d(図1)の作動状態を検出する走行検出装置を構成している。
【0029】
図3に戻り、コントローラ13には、圧力センサ10a,10b(走行検出装置)の他に、ブーム角度センサ11(高さ検出装置)、警報音を発することでオペレータに注意を喚起するブザー装置14(報知装置)、及びブザー装置14の作動を禁止するキャンセルスイッチ12が接続されている。
【0030】
図5は、ブザー装置14の制御系を示す図である。図5において、コントローラ13は、圧力センサ10a,10b(走行検出装置)、ブーム角度センサ11(高さ検出装置)、及びキャンセルスイッチ12からの入力信号に基づき、ブザー装置14(報知装置)の作動を制御する。
【0031】
図6は、コントローラ13によるブザー装置14の制御に関わる部分の処理フローを示す図である。当該処理フローを構成する各ステップの処理内容を、図6を用いて順に説明する。
【0032】
まず、ステップS100でキャンセルスイッチ12がOFF(ブザー有効)かどうかを判定し、YES(ブザー有効)の場合はステップS110に進む。ステップS110で左右走行パイロット圧P1,P2のいずれかが所定パイロット圧P0よりも高い(走行操作有り)かどうかを判定し、YES(走行操作有り)の場合はステップS120に進む。ステップS120でブーム角度θが所定角度θxよりも大きい(フロント高さ>所定高さ)かどうかを判定し、YES(フロント高さ>所定高さ)の場合はステップS130に進み、ブザー装置14を作動させる。
【0033】
ステップS100,S110,S120のいずれかでNOと判定された場合はステップS140に進み、ブザー装置14の作動を停止する。
【0034】
ステップS130またはS140の処理を終了した後は、ステップS100に戻り、ステップS100からの処理を繰り返し実行する。
【0035】
〜動作〜
以上のように構成した油圧ショベルの動作を説明する。
【0036】
まず、走行停止中でかつフロント作業装置1Bの高さが所定高さよりも高い(ブーム角度θが所定角度θxよりも大きい)状態(図2参照)から走行を開始した場合の動作について説明する。なお、キャンセルスイッチ12はOFF位置にある(ブザー有効)とする。
【0037】
走行停止中は、走行レバーは中立位置にあり(走行レバー操作量<L0)、左右走行パイロット圧P1,P2はPminとなる(P1,P2<P0)。このときコントローラ13は、図6のステップS100(判定:YES)→S110(判定:NO)→S140の順に処理を実行するため、ブザー装置14の作動は停止している。
【0038】
この走行停止状態から走行レバーが操作され、走行レバー操作量がL0よりも大きくなると、左右走行パイロット圧P1,P2はPthを超える(P1,P2>P0)。このときコントローラ13は、図6のステップS100(判定:YES)→S110(判定:YES)→S120(判定:YES)→S130の順に処理を実行する。その結果、ブザー装置14が作動して警報音が発せられ、オペレータに注意が喚起される。
【0039】
次に、走行中でかつフロント作業装置1Bの高さが所定高さよりも低い(ブーム角度θが所定角度θxよりも小さい)状態(図1参照)からブーム上げ動作を行い、フロント作業装置1Bの高さが所定高さを超えた場合の動作について説明する。
【0040】
走行中は、走行レバー操作量がL0よりも大きいため、左右走行パイロット圧P1,P2はPthを超えている(P1,P2>P0)。このときコントローラ13は、図6のステップS100(判定:YES)→S110(判定:YES)→S120(判定:NO)→S140の順に処理を実行するため、ブザー装置14は作動を停止している。
【0041】
この状態から操作装置7aを操作してブーム上げ動作を行い、フロント作業装置1Bの高さが所定高さを超えると、ブーム角度θが所定角度θxよりも大きくなる。このときコントローラ13は、図6のステップS100(判定:YES)→S110(判定:YES)→S120(判定:YES)→S130の順に処理を実行する。この結果、ブザー装置14が作動して警報音が発せられ、オペレータに注意が喚起される。
【0042】
なお、上方制限物が無い環境で走行するときあるいは走行とブームの複合操作を伴う作業を行うときなど、警報音が不要な場合あるいは警報音によって作業に支障をきたす場合は、キャンセルスイッチ12をON位置に切り替えればよい。このときコントローラ13は、図6のステップS100(判定:NO)→S140の順に処理を実行するため、ブザー装置14の作動が禁止される。
【0043】
〜効果〜
以上のように、本実施の形態における油圧ショベルによれば、フロント作業装置1Bの一部が所定高さを超えた状態で走行を行った場合にブザー装置14が作動して警報音が発せられ、オペレータに注意が喚起されるため、走行するときキャノピー1g(運転席の屋根)よりも高い位置にある上方制限物にフロント作業装置1Bが接触することを回避できる。
【0044】
〜変形例〜
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、以下のように種々の変形例が可能である。
【0045】
1.本発明の屋根付き運転席は、キャビンタイプの運転席でも良く、その場合の運転席の屋根はキャビンの天板により構成される。
【0046】
2.本発明の報知装置は、スピーカーによる音声、モニタ・ランプの点滅、あるいは無線接続した携帯電話を振動させること等によりオペレータに注意を喚起する構成としても良い。
【0047】
3.本発明の走行検出装置は、走行レバーの揺動支点部に設けたリミットスイッチ、または角度センサなどにより走行操作の有無を検出する構成としても良い。
【0048】
4.本発明の高さ検出装置は、例えばアームシリンダのヘッド部分がブームの上部に突出するオフセットタイプのフロント作業装置を備えた油圧ショベルの場合は、ブーム角度センサに加えてアーム角度センサも設け、ブーム角度とアーム角度とを演算処理することによりフロント作業装置の高さを検出する構成としても良い。
【0049】
5.本発明の高さ検出装置は、車体1Aの前方にカメラを取り付け、このカメラで撮影したフロント作業装置1Bの映像データを演算処理することによりフロント作業装置の高さを検出する構成としても良い。
【0050】
6.本発明の所定高さは、例えば誤差等の余裕をみてキャノピー1g(運転席の屋根)の高さ−5cm等に設定し、あるいはフロント作業装置1Bの可動範囲をできるだけ広げるためにキャノピー1g(運転席の屋根)の高さ+5cm等に設定しても良い。
【0051】
7.本発明の作業機械は、走行装置、屋根付きの運転席、およびフロント作業装置を備える作業機械(例えば、ホイールローダ等)でも良い。
【符号の説明】
【0052】
1A 車体
1B フロント作業装置
1C 運転席
1a ブーム
1b アーム
1c バケット
1d 下部走行体(走行装置)
1e 上部旋回体
1f ブレード
1g キャノピー(運転席の屋根)
2 油圧ポンプ
3a ブームシリンダ
3b アームシリンダ
3c バケットシリンダ
3d 旋回油圧モータ
3e,3f 左右走行油圧モータ
4a〜4f コントロールバルブ
6 パイロット油圧ポンプ
7a〜7f 操作装置
7s シート
9a,9b シャトル弁
10a,10b 圧力センサ(走行検出装置)
11 ブーム角度センサ(高さ検出装置)
12 キャンセルスイッチ
13 コントローラ(制御装置)
14 ブザー装置(報知装置)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6