特許第5969433号(P5969433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969433
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】内燃機関のSOx濃度検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20160804BHJP
   G01N 27/419 20060101ALI20160804BHJP
   G01N 27/41 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   G01N27/416 331
   G01N27/419 327P
   G01N27/41 325P
【請求項の数】14
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-146272(P2013-146272)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-17931(P2015-17931A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋田 達弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】若尾 和弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 豊治
(72)【発明者】
【氏名】水谷 圭吾
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−150153(JP,A)
【文献】 米国特許第06051123(US,A)
【文献】 米国特許第05667652(US,A)
【文献】 特開平02−118446(JP,A)
【文献】 特開昭56−047751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/41
G01N 27/416−27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気中の酸素濃度を検出可能な限界電流式センサを有する内燃機関のSOx濃度検出装置において、前記センサへの印加電圧を所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流を用いて排気中のSOx濃度を検出し、且つ、前記所定電圧よりも低い電圧が前記センサに印加されているときの前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度を検出する検出部を有する内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項2】
前記SOx濃度検出用の出力電流は、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記出力電流の絶対値が増大するとき同出力電流の変化方向が前記センサへの印加電圧を前記所定電圧まで上昇させている間に前記出力電流の絶対値が増大するときの同出力電流の変化方向とは逆となる電流である請求項1に記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流のピーク値を前記SOx濃度検出用の出力電流として用いる請求項1または請求項2に記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記センサへの前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧を印加しておき、前記センサへの前記印加電圧を前記所定電圧まで上昇させ、その後、同印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流を前記SOx濃度検出用の出力電流として用いる請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項5】
前記所定電圧が0.8V以上の電圧である請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項6】
前記所定電圧からの前記センサへの前記印加電圧の低下終了時点の印加電圧が0.7V以下の電圧である請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項7】
前記検出部は、100Hzの電圧変化の速度以下の速度にて前記センサへの前記印加電圧を前記所定電圧から低下させる請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項8】
前記検出部は、100Hzの電圧変化の速度以下の速度にて、前記所定電圧よりも低い電圧を前記センサに印加してから前記所定電圧まで前記センサへの印加電圧を上昇させた後に同印加電圧を前記所定電圧から低下させる請求項4に記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項9】
前記内燃機関がガソリンエンジンである請求項1〜8のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させた後、前記所定電圧よりも低い電圧が前記センサに印加されているときの前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度を検出する請求項1〜9のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項11】
前記検出部は、前記センサへの前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧を前記センサに印加している間の前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度を検出する請求項4に記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項12】
前記センサへの前記印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流の絶対値が第1の所定値以上である場合、S被毒回復制御を実行する制御部をさらに有する請求項1〜11のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項13】
前記センサへの前記印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流の絶対値が第2の所定値以上である場合、前記内燃機関の燃焼室に供給される燃料の性状の異常を警告する制御部をさらに有する請求項1〜12のいずれか1つに記載の内燃機関のSOx濃度検出装置。
【請求項14】
内燃機関から排出される排気中の酸素濃度を検出可能な限界電流式センサを有する内燃機関において、
前記センサへの印加電圧を所定電圧から低下させる電圧低下ステップと、
該電圧低下ステップにおいて前記センサへの印加電圧を低下させている間に前記センサから出力される出力電流を取得する出力電流取得ステップと、
該出力電流取得ステップにおいて取得された出力電流を用いて排気中のSOx濃度を検出するSOx濃度検出ステップと、
を具備するSOx濃度検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のSOx濃度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス混合物中の含酸素ガスの相対的量の測定用センサが特許文献1に記載されている。このセンサは2つのポンプセルを有する。これらポンプセルは直列的に配置されている。このセンサでは、上流側のポンプセルに低電圧を印加することによって、ガス混合物中の一部の含酸素ガス(特に、O)を排除し、下流側のポンプセンサに高電圧を印加することによって、ガス混合物中の残りの含酸素ガス(特に、HOとCO)の相対的量が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−122255号公報
【特許文献2】特開2002−349250号公報
【特許文献3】特開2008−255952号公報
【特許文献4】特開平7−27738号公報
【特許文献5】特開平11−230931号公報
【特許文献6】特開2009−244279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、限界電流式センサが知られている。このセンサでは、内燃機関から排出される排気中のSOx濃度の検出に際し、一般的には、或る一定の電圧が印加される。しかしながら、こうした電圧の印加手法では、SOx濃度を容易には精度良く検出できない。
【0005】
ところが、本願の発明者らの研究により、限界電流式センサへの電圧の印加手法に工夫を凝らせば、従来では精度良く検出できなかったSOx濃度を限界電流式センサによって精度良く検出できることが判明した。
【0006】
こうした本願の発明者らの知見に基づき、本発明の目的は、内燃機関から排出される排気中のSOx濃度を限界電流式センサによって精度良く検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の1つの発明は、排気中の酸素濃度を検出可能な限界電流式センサを有する内燃機関のSOx濃度検出装置に関する。そして、本発明のSOx濃度検出装置は、前記センサへの印加電圧(以下単に「印加電圧」)を所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流(以下単に「出力電流」)を用いて排気中のSOx濃度を検出し、且つ、前記所定電圧よりも低い電圧が前記センサに印加されているときの前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度を検出する検出部を有する。更に、前記SOx濃度検出用の出力電流は、特に、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記出力電流の絶対値が増大するとき同出力電流の変化方向が前記センサへの印加電圧を前記所定電圧まで上昇させている間に前記出力電流の絶対値が増大するときの同出力電流の変化方向とは逆となる電流である。
【0008】
これによれば、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、SOx濃度を検出することができる。特に、印加電圧が一定の電圧に維持されているときの出力電流に占めるSOxの影響、または、印加電圧が上昇されたときの出力電流に占めるSOxの影響が、同出力電流に占める他の成分の影響に比べて小さい場合であっても、印加電圧が所定電圧から低下されている間の出力電流に占めるSOxの影響が、同出力電流に占める他の成分の影響に比べて大きい場合、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0009】
【0010】
また、前記検出部は、印加電圧を前記所定電圧から低下させている間の出力電流のピーク値を、前記SOx濃度検出用の出力電流として用いると好ましい。ピーク値は、印加電圧の低下中の出力電流のうち、最も小さい出力電流(または、最も大きい出力電流)である。したがって、ピーク値は、SOx濃度に精度良く対応する出力電流であると言える。このため、SOx濃度検出用の出力電流としてピーク値を用いることによって、SOx濃度をより精度良く検出することができる。
【0011】
また、前記検出部は、前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧を印加しておき、印加電圧を前記所定電圧まで上昇させ、その後、印加電圧を前記所定電圧から低下させている間の出力電流を、前記SOx濃度検出用の出力電流として用いるようにしてもよい。この場合、印加電圧の低下開始前にセンサに印加させておく電圧は、前記所定電圧よりも低い。このため、印加電圧の低下開始前にセンサに印加させておく電圧が前記所定電圧である場合に比べて、SOx濃度検出に消費される電力を少なくすることができる。
【0012】
また、前記所定電圧が0.8V以上の電圧であると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0013】
また、前記所定電圧からの印加電圧の低下終了時点の印加電圧が0.7V以下の電圧であると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0014】
また、前記検出部は、100Hzの電圧変化の速度以下の速度にて印加電圧を前記所定電圧から低下させるようにしてもよい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を確実に得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0015】
また、前記検出部は、100Hzの電圧変化の速度以下の速度にて、前記所定電圧よりも低い電圧を印加してから前記所定電圧まで印加電圧を上昇させた後に印加電圧を前記所定電圧から低下させるようにしてもよい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を確実に得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0016】
また、前記内燃機関が、たとえば、ガソリンエンジンである。ガソリンエンジンは、大部分の機関運転領域において空燃比が理論空燃比で運転される。したがって、排気中の酸素濃度が低い。このため、SOx濃度を検出しやすい。
【0017】
また、前記検出部は、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させた後、前記所定電圧よりも低い電圧が前記センサに印加されているときの前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度を検出するものでもよい。これによれば、排気中の酸素濃度とSOx濃度とを1つのセンサによって検出することができる。
【0018】
前記検出部は、前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧を印加している間の前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度を検出するものでもよい。これによれば、排気中の酸素濃度とSOx濃度とを1つのセンサによって検出することができる。
【0019】
また、前記SOx濃度検出装置は、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流の絶対値が第1の所定値以上である場合、S被毒回復制御を実行する制御部をさらに有していてもよい。これによれば、S被毒によるセンサの検出精度の低下が生じている可能性がない場合に限り、SOx濃度が検出される。このため、SOx濃度をより精度良く検出することができる。
【0020】
また、前記SOx濃度検出装置は、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させている間に前記センサから出力される出力電流の絶対値が第2の所定値以上である場合、内燃機関の燃焼室に供給される燃料の性状の異常を警告する制御部をさらに有していてもよい。これによれば、燃料性状が異常である可能性がある場合、当該SOx濃度検出装置の利用者は、燃料性状が異常である可能性があることを知ることができる。
【0021】
本願の別の発明は、排気中の酸素濃度を検出可能な限界電流式センサを有する内燃機関におけるSOx濃度検出方法に関する。そして、この方法は、前記センサへの印加電圧を所定電圧から低下させる電圧低下ステップと、該電圧低下ステップにおいて前記センサへの印加電圧を低下させている間に前記センサから出力される出力電流を取得する出力電流取得ステップと、該出力電流取得ステップにおいて取得された出力電流を用いて排気中のSOx濃度を検出するSOx濃度検出ステップと、を具備する。
【0022】
これによれば、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、SOx濃度を検出することができる。特に、印加電圧が一定の電圧に維持されているときの出力電流に占めるSOxの影響、または、印加電圧が上昇されたときの出力電流に占めるSOxの影響が、同出力電流に占める他の成分の影響に比べて小さい場合であっても、印加電圧が所定電圧から低下されている間の出力電流に占めるSOxの影響が、同出力電流に占める他の成分の影響に比べて大きい場合、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0023】
なお、前記出力電流取得ステップにおいて、前記センサの出力電流のピーク値を取得すると好ましい。ピーク値は、印加電圧の低下中の出力電流のうち、最も小さい出力電流(または、最も大きい出力電流)である。したがって、ピーク値は、SOx濃度に精度良く対応する出力電流であると言える。このため、SOx濃度検出用の出力電流としてピーク値を用いることによって、SOx濃度をより精度良く検出することができる。
【0024】
また、上記方法が、前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧を印加しておき、印加電圧を前記所定電圧まで上昇させる電圧上昇ステップであって、前記電圧低下ステップの前に実行される電圧上昇ステップをさらに具備していてもよい。この場合、印加電圧の低下開始前にセンサに印加させておく電圧は、前記所定電圧よりも低い。このため、印加電圧の低下開始前にセンサに印加させておく電圧が前記所定電圧である場合に比べて、SOx濃度検出に消費される電力を少なくすることができる。
【0025】
【0026】
また、上記方法において、前記所定電圧が0.8V以上の電圧であると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0027】
また、前記電圧低下ステップにおいて前記所定電圧からの印加電圧の低下終了時点の印加電圧が0.7V以下の電圧であると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0028】
また、前記電圧低下ステップにおいて100Hzの電圧変化の速度以下の速度にて印加電圧を前記所定電圧から低下させると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を確実に得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0029】
また、前記電圧上昇ステップにおいて100Hzの電圧変化の速度以下の速度にて印加電圧を前記所定電圧まで上昇させると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を確実に得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0030】
また、上記方法が実行される内燃機関が、たとえば、ガソリンエンジンである。ガソリンエンジンは、大部分の機関運転領域において空燃比が理論空燃比で運転される。したがって、排気中の酸素濃度が低い。このため、SOx濃度を検出しやすい。
【0035】
【0036】
また、前記所定電圧が0.8V以上の電圧に設定されて本発明の限界電流式センサが用いられると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出するための限界電流式センサを提供することができる。
【0037】
また、前記所定電圧から低下させたときの電圧が0.7V以下の電圧に設定されて本発明の限界電流式センサが用いられると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出するための限界電流式センサを提供することができる。
【0038】
また、印加電圧を前記所定電圧から低下させるときの電圧変化の速度が100Hzの電圧変化の速度下に設定されて本発明の限界電流式センサが用いられると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を確実に得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出するための限界電流式センサを提供することができる。
【0039】
また、前記所定電圧よりも低い電圧を印加してから前記所定電圧まで印加電圧を上昇させた後に印加電圧を前記所定電圧から低下させるときの電圧変化の速度が100Hzの電圧変化の速度下に設定されて本発明の限界電流式センサが用いられると好ましい。これによれば、SOx濃度に精度良く対応する出力電流を確実に得ることができ、ひいては、SOx濃度を精度良く検出するための限界電流式センサを提供することができる。
【0040】
また、本発明の限界電流式センサは、前記内燃機関がガソリンエンジンである場合において、前記SOx濃度を検出するために用いられてもよい。ガソリンエンジンは、大部分の機関運転領域において空燃比が理論空燃比で運転される。したがって、排気中の酸素濃度が低い。このため、SOx濃度を検出しやすい限界電流式センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は本発明の限界電流式センサの1つの実施形態(2セルタイプ限界電流式センサ)を示している。
図2図2図1の限界電流式センサの出力特性を示している。
図3図3図1の限界電流式センサの出力特性を示している。
図4図4はSOx濃度と出力電流のピーク値との関係を示している。
図5図5は本発明の限界電流式センサの別の実施形態(1セルタイプ限界電流式センサ)を示している。
図6図6図5の限界電流式センサの出力特性を示している。
図7図7図1または図5の限界電流式センサを有するSOx濃度検出装置を備えた内燃機関を示している。
図8図8は第1実施形態の印加電圧の変化に対応する出力電流を示したタイムチャートを示している。
図9図9は印加電圧の上昇および低下の形態を示している。
図10図10(A)は図1の限界電流式センサにて採用される回路の一例を示し、図10(B)は図5の限界電流式センサにて採用される回路の一例を示している。
図11図11は第1実施形態のSOx濃度検出フローの実施形態の一例を示している。
図12図12は第2実施形態のSOx濃度検出フローの一例を示している。
図13図13は第3実施形態のSOx濃度検出フローの一例を示している。
図14図14は第4実施形態のSOx濃度・空燃比検出フローの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面を参照して本発明のSOx濃度検出用の限界電流式センサの実施形態、および、該限界電流式センサを有する内燃機関から排出される排気中の硫黄酸化物(以下「SOx」)の濃度を検出するSOx濃度検出装置の実施形態について説明する
【0043】
<2セルタイプ限界電流式センサの構成>
図1に本発明の第1実施形態の限界電流式センサの1つが示されている。図1の限界電流式センサは、2セルタイプの限界電流式センサである。図1において、10は限界電流式センサ、11Aは第1固体電解質層、11Bは第2固体電解質層、12Aは第1アルミナ層、12Bは第2アルミナ層、12Cは第3アルミナ層、12Dは第4アルミナ層、12Eは第5アルミナ層、12Fは第6アルミナ層、13は拡散律速層、14はヒータ、15はポンプセル、15Aは第1ポンプ電極、15Bは第2ポンプ電極、15Cはポンプセル電圧源、16はセンサセル、16Aは第1センサ電極、16Bは第2センサ電極、16Cはセンサセル電圧源、17Aは第1大気導入路、17Bは第2大気導入路、18は内部空間をそれぞれ示している。
【0044】
固体電解質層11A、11Bは、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層12A〜12Fは、アルミナからなる層である。拡散律速層13は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ10では、各層は、図1において下方から、第6アルミナ層12F、第5アルミナ層12E、第4アルミナ層12D、第2固体電解質層11B、拡散律速層13および第3アルミナ層12C、第1固体電解質層11A、第2アルミナ層12B、第1アルミナ層12Aの順で積層されている。ヒータ14は、第5アルミナ層12Eと第6アルミナ層12Fとの間に配置されている。
【0045】
第1大気導入路17Aは、第1アルミナ層12Aと第2アルミナ層12Bと第1固体電解質層11Aとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。第2大気導入路17Bは、第2固体電解質層11Bと第4アルミナ層12Dと第5アルミナ層12Eとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間18は、第1固体電解質層11Aと第2固体電解質層11Bと拡散律速層13と第3アルミナ層12Cとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層13を介してセンサ外部に連通している。
【0046】
<ポンプセルの構成>
第1ポンプ電極15Aおよび第2ポンプ電極15Bは、白金もしくはロジウム等の白金族元素またはその合金からなる電極である。第1ポンプ電極15Aは、第2固体電解質層11Bの一方の側の壁面(すなわち、内部空間18を形成する第2固体電解質層11Bの壁面)に配置され、第2ポンプ電極15Bは、第2固体電解質層11Bの他方の側の壁面(すなわち、第2大気導入路17Bを形成する第2固体電解質層11Bの壁面)に配置されている。これら電極15A、15Bと第2固体電解質層11Bとは、ポンプセル15を構成している。センサ10は、ポンプセル15(具体的には、第1ポンプ電極15Aと第2ポンプ電極15Bとの間)にポンプセル電圧源15Cから電圧を印加可能に構成されている。なお、第1ポンプ電極15Aは陰極側の電極であり、第2ポンプ電極15Bは陽極側の電極である。
【0047】
<ポンプセルの機能>
ポンプセル15に電圧が印加されると、内部空間18内の酸素が第1ポンプ電極15Aに接触したときに、この酸素が第1ポンプ電極15A上で酸素イオンとなり、この酸素イオンが第2固体電解質層11Bの内部を第2ポンプ電極15Bに向かって移動する。このとき、第1ポンプ電極15Aと第2ポンプ電極15Bとの間には、第2固体電解質層11Bの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2ポンプ電極15Bに達すると、酸素イオンは第2ポンプ電極15Bにおいて酸素となって第2大気導入路17Bに放出される。つまり、ポンプセル15は、排気中の酸素を排気からポンピングによって大気に放出し、排気中の酸素濃度を低下させることができる。このポンプセル15のポンピング能力は、ポンプセル電圧源15Cから当該ポンプセル15に印加される電圧が高いほど高い。
【0048】
<センサセルの構成>
第1センサ電極16Aおよび第2センサ電極16Bは、白金もしくはロジウム等の白金族元素またはその合金からなる電極である。第1センサ電極16Aは、第1固体電解質層11Aの一方の側の壁面(すなわち、内部空間18を形成する第1固体電解質層11Aの壁面)に配置され、第2センサ電極16Bは、第1固体電解質層11Aの他方の側の壁面(すなわち、第1大気導入路17Aを形成する第1固体電解質層11Aの壁面)に配置されている。これら電極16A、16Bと第1固体電解質層11Aとは、センサセル16を構成している。センサ10は、センサセル16(具体的には、第1センサ電極16Aと第2センサ電極16Bとの間)にセンサセル電圧源16Cから電圧を印加可能に構成されている。なお、第1センサ電極16Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極16Bは陽極側の電極である。
【0049】
<センサセルの機能>
センサセル16に電圧が印加されると、内部空間18内のSOxが第1センサ電極16Aに接触したときに、このSOxが第1センサ電極16A上で分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが第1固体電解質層11Aの内部を第2センサ電極16Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極16Aと第2センサ電極16Bとの間には、第1固体電解質層11Aの内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2センサ電極16Bに達すると、酸素イオンは第2センサ電極16Bにおいて酸素となって第1大気導入路17Aに放出される。
【0050】
<2セルタイプ限界電流式センサの空燃比検出機能1>
図2は、第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサにおけるポンプセル印加電圧とポンプセル出力電流との関係を示している。ポンプセル印加電圧とは、ポンプセル電圧源15Cによってポンプセル15に印加される電圧であり、ポンプセル出力電流とは、第1ポンプ電極15Aと第2ポンプ電極15Bとの間に流れる電流である。また、図2において、A/F=12によって示されているラインは、排気の空燃比が12である場合のポンプセル印加電圧の変化に対する出力電流の変化を示しており、同様に、A/F=13〜A/F=18によって示されているラインは、それぞれ、排気の空燃比が13〜18である場合のポンプセル印加電圧の変化に対する出力電流の変化を示している。
【0051】
図2に示されているように、たとえば、排気の空燃比が18である場合、ポンプセル印加電圧が或る値Vthよりも小さい範囲では、ポンプセル出力電流が負の値である場合、ポンプセル印加電圧が高いほど、ポンプセル出力電流の絶対値が小さく、ポンプセル出力電流が正の値である場合、ポンプセル印加電圧が高いほど、ポンプセル出力電流の絶対値が大きい。また、ポンプセル印加電圧が上記或る値Vth以上である一定の範囲では、ポンプセル印加電圧に依らず、ポンプセル出力電流は一定の値となる。
【0052】
こうしたポンプセル印加電圧とポンプセル出力電流との関係は、排気の空燃比が12〜17である場合にも同様に成立する。そして、図2から分かるように、検出しようとする空燃比全てにおいて、ポンプセル出力電流がポンプセル印加電圧に依らず一定となる電圧をポンプセル15に印加していれば、そのときに検出されるポンプセル出力電流に基づいて、排気の空燃比を検出することができる。つまり、第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサ10は、排気の空燃比の検出に利用可能である。なお、排気の空燃比は、排気中の酸素濃度と相関関係を有するパラメータであることから、原理的には、第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサは、排気中の酸素濃度を検出可能であると言える。
【0053】
<2セルタイプ限界電流式センサの空燃比検出機能2>
また、第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサにおけるセンサセル印加電圧とセンサセル出力電流との関係も、図2に示されている関係と同じ関係にある。したがって、ポンプセル印加電圧が零とされた状態(すなわち、ポンプセル15が機能していない状態)で、検出しようとする空燃比全てにおいて、センサセル出力電流がセンサセル印加電圧に依らず一定となる電圧をセンサセル16に印加していれば、そのときに検出されるセンサセル出力電流に基づいて、排気の空燃比を検出することができる。つまり、第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサ10は、排気の空燃比の検出に利用可能である。なお、センサセル印加電圧とは、センサセル電圧源16Cによってセンサセル16に印加される電圧であり、センサセル出力電流とは、第1センサ電極16Aと第2センサ電極16Bとの間に流れる電流である。
【0054】
<2セルタイプ限界電流式センサの出力特性>
ところで、本願の発明者らの研究により、2セルタイプの限界電流式センサへの印加電圧(具体的には、センサセル電圧源16Cからセンサセル16への印加電圧)を所定電圧から低下させることによって、排気中のSOx濃度に対応する電流をこの限界電流式センサから得られることが新たに判明した。次に、このことについて説明する。なお、以下の説明において、出力電流とはセンサセル16から出力される電流である。
【0055】
図3に、印加電圧を0.1Vから1.0Vまで徐々に上昇させ、その後、1.0Vから0.1Vまで徐々に低下させた場合の出力電流の変化が示されている。図3の横軸は印加電圧であり、図3の縦軸は出力電流である。なお、このように印加電圧を変化させている間、ポンプセル15には、内部空間18内の排気中の酸素濃度を零(または、略零)にする電圧が印加されている。
【0056】
図3において、実線LU0は、排気中にSOxが含まれていない(すなわち、排気中のSOx濃度が零である)場合において印加電圧を0.1Vから1.0Vまで上昇させたときの出力電流の変化を示し、実線LD0は、同じく排気中にSOxが含まれていない場合において印加電圧を1.0Vから0.1Vまで低下させたときの出力電流の変化を示している。図3において、一点鎖線LU1は、排気中にSOxが含まれている場合において印加電圧を0.1Vから1.0Vまで上昇させたときの出力電流の変化を示し、一点鎖線LD1は、同じく排気中にSOxが含まれている場合において印加電圧を1.0Vから0.1Vまで低下させたときの出力電流の変化を示している。
【0057】
排気中にSOxが含まれていない場合、印加電圧が0.1Vから約0.2Vまで上昇されると、図3の実線LU0で示されているように、出力電流が約4μAまで急激に上昇する。そして、印加電圧が約0.2Vから約0.85Vまで上昇する間は、出力電流が約4μAで略一定である。そして、印加電圧が約0.85Vを上回ると、出力電流が上昇し始める。そして、印加電圧が約0.85Vから1.0Vまで上昇される間、出力電流は徐々に上昇し、印加電圧が1.0Vに達したときに、出力電流が約7μAに達する。
【0058】
そして、その後、印加電圧が1.0Vから0.4Vに向けて徐々に低下されると、図3の実線LD0で示されているように、出力電流が約7μAから徐々に低下し、印加電圧が約0.85Vを下回ってから0.4Vに達するまでの間は、出力電流が約3.5μAで略一定である。
【0059】
一方、排気中にSOxが含まれている場合、印加電圧が0.1Vから約0.2Vまで上昇されると、図3の一点鎖線LU1で示されているように、出力電流が約μAまで急激に上昇する。そして、印加電圧が約0.2Vから約0.6Vまで上昇する間は、出力電流が約4μAで略一定である。そして、印加電圧が約0.6Vを上回ると、出力電流が上昇し始める。そして、印加電圧が約0.6Vから1.0Vまで上昇される間、出力電流は徐々に上昇し、印加電圧が1.0Vに達したときに約7μAに達する。
【0060】
そして、その後、印加電圧が1.0Vから0.4Vに向けて徐々に低下されると、図3の一点鎖線LD1で示されているように、出力電流が約7μAから徐々に低下し、印加電圧が約0.8Vを下回ってから約0.7Vに達するまでの間に、出力電流が急激に低下して当該出力電流の流れる方向が逆転し、約−5μAに達する。そして、印加電圧がさらに約0.7Vから0.4Vまで低下される間に、出力電流が急激に上昇して当該出力電流の流れる方向が元の方向に戻り、印加電圧が0.4Vに達すると、出力電流が約3.5μAとなる。
【0061】
したがって、排気中にSOxが含まれている場合、印加電圧が0.4Vから0.8Vに上昇され、その後、印加電圧が0.8Vから0.4Vに低下されると、印加電圧が低下される間に出力電流が急激に低下した後に急激に上昇する。つまり、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下されると、出力電流は最小値(すなわち、ピーク値)のある変化を示す。ここで、印加電圧が約0.7Vに達したときに、出力電流がピーク値となる。
【0062】
なお、排気中にSOxが含まれている場合において印加電圧が約0.6Vを上回ってから1.0Vに達するまでの出力電流は、排気中にSOxが含まれていない場合において印加電圧が約0.6Vを上回ってから1.0Vに達するまでの出力電流よりも大きい。
【0063】
<第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサの利点>
そして、本願の発明者らの研究により、2セルタイプの限界電流式センサにおいて、上述したように印加電圧を0.8Vから0.4Vまで低下させたときの出力電流のピーク値とSOx濃度との間には、図4に示されている関係があることが判明した。つまり、参照電流(すなわち、印加電圧が0.8Vに達した時点の出力電流)と前記ピーク値との差が大きいほど、排気中のSOx濃度が高いことが判明した。そして、第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサは、排気中の酸素濃度(ひいては、排気の空燃比)の検出に利用可能である。したがって、第1実施形態の2セルタイプの限界電流式センサによれば、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、前記ピーク値を用いてSOx濃度を算出(すなわち、検出)することができる。
【0064】
<1セルタイプ限界電流式センサの構成>
図5に本発明の第1実施形態の限界電流式センサのさらに1つが示されている。図5の限界電流式センサは、1セルタイプの限界電流式センサである。図5において、30は限界電流式センサ、31は固体電解質層、32Aは第1アルミナ層、32Bは第2アルミナ層、32Cは第3アルミナ層、32Dは第4アルミナ層、32Eは第5アルミナ層、33は拡散律速層、34はヒータ、35はセンサセル、35Aは第1センサ電極、35Bは第2センサ電極、35Cはセンサセル電圧源、36は大気導入路、37は内部空間をそれぞれ示している。
【0065】
固体電解質層31は、ジルコニア等からなる層であり、酸素イオン伝導性を有する。アルミナ層32A〜32Eは、アルミナからなる層である。拡散律速層33は、多孔質の層であり、排気を通すことができる。センサ30では、各層は、図5において下方から、第5アルミナ層32E、第4アルミナ層32D、第3アルミナ層32C、固体電解質層31、拡散律速層33および第2アルミナ層32B、第1アルミナ層32Aの順で積層されている。ヒータ34は、第4アルミナ層32Dと第5アルミナ層32Eとの間に配置されている。
【0066】
大気導入路36は、固体電解質層31と第3アルミナ層32Cと第4アルミナ層32Dとによって形成された空間であり、その一部は大気に開放されている。内部空間37は、第1アルミナ層32Aと固体電解質層31と拡散律速層33と第2アルミナ層32Bとによって形成された空間であり、その一部は拡散律速層33を介してセンサ外部に連通している。
【0067】
<センサセルの構成>
第1センサ電極35Aおよび第2センサ電極35Bは、白金もしくはロジウム等の白金族元素またはその合金からなる電極である。第1センサ電極35Aは、固体電解質層31の一方の側の壁面(すなわち、内部空間37を形成する固体電解質層31の壁面)に配置され、第2センサ電極35Bは、固体電解質層31の他方の側の壁面(すなわち、大気導入路36を形成する固体電解質層31の壁面)に配置されている。これら電極35A、35Bと固体電解質層31とは、センサセル35を構成している。センサ30は、センサセル35(具体的には、第1センサ電極35Aと第2センサ電極35Bとの間)にセンサセル電圧源35Cから電圧を印加可能に構成されている。なお、第1センサ電極35Aは陰極側の電極であり、第2センサ電極35Bは陽極側の電極である。
【0068】
<センサセルの機能>
センサセル35に電圧が印加されると、内部空間37内のSOxが第1センサ電極35Aに接触したときに、このSOxが第1センサ電極35A上で分解され、SOxの酸素が酸素イオンとなり、この酸素イオンが固体電解質層31の内部を第2センサ電極35Bに向かって移動する。このとき、第1センサ電極35Aと第2センサ電極35Bとの間には、固体電解質層31の内部を移動した酸素イオン量に比例した電流が流れる。そして、酸素イオンが第2センサ電極35Bに達すると、酸素イオンは第2センサ電極35Bにおいて酸素となって大気導入路36に放出される。
【0069】
<1セルタイプ限界電流式センサの空燃比検出機能>
第1実施形態の1セルタイプの限界電流式センサにおけるセンサセル印加電圧とセンサセル出力電流とは、図2に示されている関係と同じ関係にある。したがって、検出しようとする空燃比全てにおいて、センサセル出力電流がセンサセル印加電圧に依らず一定となる電圧をセンサセル35に印加していれば、そのときに検出されるポンプセル出力電流に基づいて、排気の空燃比を検出することができる。つまり、第1実施形態の1セルタイプの限界電流式センサ30は、排気の空燃比の検出に利用可能である。なお、排気の空燃比は、排気中の酸素濃度と相関関係を有するパラメータであることから、原理的には、第1実施形態の1セルタイプの限界電流式センサは、排気中の酸素濃度を検出可能であると言える。また、センサセル印加電圧とは、センサセル電圧源35Cによってセンサセル35に印加される電圧であり、センサセル出力電流とは、第1センサ電極35Aと第2センサ電極35Bとの間に流れる電流である。
【0070】
<1セルタイプ限界電流式センサの出力特性>
ところで、本願の発明者らの研究により、2セルタイプの限界電流式センサと同様に、1セルタイプの限界電流式センサへの印加電圧(具体的には、センサセル電圧源35Cからセンサセル35への印加電圧)を所定電圧から低下させることによって、排気中のSOx濃度に対応する電流をこの限界電流式センサからも得られることが判明した。次に、このことについて説明する。なお、以下の説明において、出力電流とはセンサセル35から出力される電流であり、当該排気中の酸素濃度は1%で一定である。
【0071】
図6に、印加電圧を0.1Vから1.0Vまで徐々に上昇させ、その後、1.0Vから0.1Vまで徐々に低下させた場合の出力電流の変化が示されている。図6の横軸は印加電圧であり、図6の縦軸は出力電流である。
【0072】
図6において、一点鎖線LU1は、排気中にSOxが含まれている場合において印加電圧を0.1Vから1.0Vまで上昇させたときの出力電流の変化を示し、一点鎖線LD1は、同じく排気中にSOxが含まれている場合において印加電圧を1.0Vから0.1Vまで低下させたときの出力電流の変化を示している。
【0073】
排気中にSOxが含まれている場合において印加電圧が0.1Vから約0.2Vまで上昇されると、図6の一点鎖線LU1で示されているように、出力電流が約100μAまで急激に上昇する。そして、印加電圧が約0.2Vから約0.6Vまで上昇する間は、出力電流が約100μAで略一定である。そして、印加電圧が約0.6Vを上回ると、出力電流が上昇し始める。そして、印加電圧が約0.6Vから1.0Vまで上昇される間、出力電流は若干ではあるが徐々に上昇し、印加電圧が1.0Vに達したときに約105μAに達する。
【0074】
そして、その後、印加電圧が1.0Vから0.4Vに向けて徐々に低下されると、図6の一点鎖線LD1で示されているように、出力電流が約105μAから徐々に低下し、印加電圧が約0.8Vを下回ってから約0.7Vに達するまでの間に、出力電流が急激に低下し、約80μAに達する。そして、印加電圧が約0.7Vから0.4Vまで低下される間に、出力電流が急激に上昇し、印加電圧が0.4Vに達すると、出力電流が約100μAとなる。
【0075】
したがって、排気中にSOxが含まれている場合、印加電圧が0.4Vから0.8Vに上昇され、その後、印加電圧が0.8Vから0.4Vに低下されると、印加電圧が低下される間に出力電流が急激に低下した後に急激に上昇する。つまり、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下されると、出力電流は最小値(すなわち、ピーク値)のある変化を示す。ここで、印加電圧が約0.7Vに達したときに、出力電流がピーク値となる。
【0076】
<第1実施形態の1セルタイプの限界電流式センサの利点>
そして、本願の発明者らの研究により、1セルタイプの限界電流式センサにおいて、上述したように印加電圧を0.8Vから0.4Vまで低下させたときの出力電流のピーク値とSOx濃度との間にも、図4に示されている関係と同様の関係があることが判明した。つまり、参照電流(すなわち、印加電圧が0.8Vに達した時点の出力電流)と前記ピーク値との差が大きいほど、排気中のSOx濃度が高いことが判明した。そして、第1実施形態の1セルタイプの限界電流式センサは、排気中の酸素濃度(ひいては、排気の空燃比)の検出に利用可能である。したがって、第1実施形態の1セルタイプの限界電流式センサによれば、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、前記ピーク値を用いてSOx濃度を算出(すなわち、検出)することができる。
【0077】
<第1実施形態のSOx濃度検出装置>
図7に、図1の限界電流式センサ10または図5の限界電流式センサ30を有するSOx濃度検出装置を備えた内燃機関が示されている。図7の内燃機関は、火花点火式内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)である。しかしながら、本発明は、圧縮自着火式内燃機関(いわゆるディーゼルエンジン)にも適用可能である。また、図7の内燃機関は、大部分の機関運転領域において、空燃比が理論空燃比(ストイキ)にて運転される。
【0078】
<内燃機関の構成>
図7において、10または30は図1または図5の限界電流式センサ、50は内燃機関の本体、51はシリンダヘッド、52はシリンダブロック、53は燃焼室、54は燃料噴射弁、55は点火プラグ、56は燃料ポンプ、57は燃料供給管、60はピストン、61はコネクティングロッド、62はクランクシャフト、63はクランク角度センサ、70は吸気弁、71は吸気ポート、72は吸気マニホルド、73はサージタンク、74はスロットル弁、75は吸気管、76はエアフローメータ、77はエアフィルタ、80は排気弁、81は排気ポート、82は排気マニホルド、83は排気管、90は電子制御装置(ECU)、91はアクセルペダル、92はアクセルペダル踏込量センサをそれぞれ示している。
【0079】
<ECUの構成・機能>
燃料噴射弁54、点火プラグ55、スロットル弁74、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、アクセルペダル踏込量センサ92、および、限界電流式センサ10、30は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、燃料噴射弁54、点火プラグ55、および、スロットル弁74を動作させるための信号をこれらに送信する。また、ECU90は、クランク角度センサ63、エアフローメータ76、および、アクセルペダル踏込量センサ92から信号を受信する。クランク角度センサ63からは、クランクシャフト62の回転速度に対応する信号が出力される。ECU90は、クランク角度センサ63から受信した信号に基づいて機関回転数を算出する。エアフローメータ76からは、そこを通過する空気の流量(ひいては、燃焼室53に吸入される空気の流量)に対応する信号が出力される。ECU90は、エアフローメータ76から受信した信号に基づいて吸入空気量を算出する。アクセルペダル踏込量センサ92からは、アクセルペダル91の踏込量に対応する信号が出力される。ECU90は、アクセルペダル踏込量センサ92から受信した信号に基づいて機関負荷を算出する。
【0080】
<限界電流式センサ>
限界電流式センサ10、30は、排気管83に取り付けられている。したがって、限界電流式センサ10、30の検出対象となるガス(すなわち、被検ガス)は、燃焼室53から排出される排気である。限界電流式センサ10、30からは、そこに到来する排気中のSOx濃度に対応する電流が出力される。ECU90は、限界電流式センサ10、30から受信した電流に基づいてSOx濃度を算出する(この算出方法の詳細は後述する)。
【0081】
<第1実施形態のSOx濃度検出>
第1実施形態のSOx濃度検出について図8を参照しつつ説明する。第1実施形態では、印加電圧が定常的に0.4Vに維持されている(図8の時刻T0以前の期間参照)。すなわち、センサに定常的に0.4Vが印加されている。そして、第1実施形態のSOx濃度検出では、印加電圧が0.4Vから0.8Vまで上昇され(図8の時刻T0から時刻T1までの期間参照)、その後、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される(図8の時刻T1から時刻T2までの期間参照)。このとき、ECUは、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される間に当該ECUに入力された出力電流のピーク値と参照電流とを用いてSOx濃度を算出(すなわち、検出)する。このとき、参照電流とピーク値との差が大きいほど、算出されるSOx濃度は高い。
【0082】
なお、ピーク値と参照電流との差(以下「電流差」)を用いてSOx濃度を算出する場合、たとえば、電流差に対応するSOx濃度が電流差毎に予め実験等によって求められ、これら求められたSOx濃度が電流差の関数のマップの形でECUに記憶され、SOx濃度の検出中に算出される電流差に対応するSOx濃度をマップから読み出すことによって、SOx濃度が算出される。
【0083】
<第1実施形態のSOx濃度検出装置の利点>
第1実施形態のSOx濃度検出装置の限界電流式センサは、排気中の酸素濃度(ひいては、排気の空燃比)の検出に利用可能である。したがって、第1実施形態のSOx濃度検出装置によれば、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、排気中のSOx濃度を検出することができる。すなわち、印加電圧が一定の電圧(たとえば、0.4V)に維持されているときの出力電流に占めるSOxの影響、または、印加電圧が上昇されたときの出力電流に占めるSOxの影響が、同出力電流に占める他の成分(たとえば、OやNOx)の影響に比べて小さいが、印加電圧が所定電圧(たとえば、0.8)から低下されたときの出力電流に占めるSOxの影響が、同出力電流に占める他の成分の影響に比べて大きいという知見を本願の発明者らが得ており、このため、第1実施形態のSOx濃度検出装置によれば、排気中の酸素濃度の検出に利用可能なセンサを用いて、SOx濃度を精度良く検出することができるのである。
【0084】
また、ピーク値は、印加電圧の低下中の出力電流のうち、SOx濃度が零である場合の出力電流から最も大きく異なる出力電流である。したがって、ピーク値は、SOx濃度に精度良く対応する出力電流であると言える。このため、SOx濃度検出用の出力電流としてピーク値を用いることによって、SOx濃度をより精度良く検出することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、印加電圧の低下開始前にセンサに印加させておく電圧は0.4Vである。したがって、この電圧は、印加電圧の低下開始時点の印加電圧である0.8Vよりも低い。このため、第1実施形態によれば、印加電圧の低下開始前にセンサに印加させておく電圧が0.8Vである場合に比べて、SOx濃度検出に消費される電力を少なくすることができる。
【0086】
<第1実施形態の適用範囲>
なお、第1実施形態のSOx濃度検出において、印加電圧の上昇開始時点の印加電圧(すなわち、センサに定常的に印加しておく印加電圧)は、0.4Vに限定されず、印加電圧の上昇後に印加電圧を低下させたときにピーク値を持つ出力電流の変化を発生させる電圧であればよく、たとえば、0.6V以下であればよく、好ましくは、0.4Vである。
【0087】
また、印加電圧の上昇終了時点の印加電圧は、0.8Vに限定されず、印加電圧の上昇後に印加電圧を低下させたときにピーク値を持つ出力電流の変化を発生させる電圧、または、出力安定電圧範囲(すなわち、SOx濃度が零である場合に、印加電圧に依らず出力電流が略一定である範囲であって、たとえば、0.2V〜0.8Vの範囲)の最大電圧以上の電圧であればよく、たとえば、0.8V以上であればよい。
【0088】
また、印加電圧の低下終了時点の印加電圧は、0.4Vに限定されず、ピーク値に対応する印加電圧以下であればよく、たとえば、0.7V以下であればよく、好ましくは、0.4Vである。したがって、印加電圧の上昇開始時点の印加電圧は、印加電圧の低下終了時点の印加電圧と同じであっても異なっていてもよい。
【0089】
また、第1実施形態のSOx濃度検出では、ピーク値が用いられるが、これに代えて、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される間に出力電流が急激に低下する範囲または急激に上昇する範囲の出力電流が用いられてもよい。
【0090】
<参照電流>
なお、センサの内部空間に流入する排気中の酸素濃度が印加電圧の低下中に変化する場合がある。この場合、印加電圧の低下に一定時間を要することを考慮すれば、印加電圧が0.8Vであるときの出力電流よりも、印加電圧が0.4Vであるときの出力電流のほうが、ピーク値の出力時点のセンサの内部空間内の排気中の酸素濃度をより正確に反映していると言える。そこで、第1実施形態のSOx濃度検出において、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される場合、前記参照電流に代えて、印加電圧が0.4Vに達した時点の出力電流(または、その時点から所定時間経過後の出力電流)が参照電流として用いられてもよい。これによれば、排気中の酸素濃度が印加電圧の低下中に変化したとしても、SOx濃度を精度良く検出することができる。
【0091】
また、第1実施形態において、ピーク値と参照電流とを用いてSOx濃度を算出する代わりに、ピーク値と変換係数とを用いてSOx濃度を算出するようにしてもよい。このとき、ピーク値がマイナス方向に大きいほど、算出されるSOx濃度は高い。即ち、ピーク値が負の値である場合には、ピーク値の絶対値が大きいほど、算出されるSOx濃度は高く、ピーク値が正の値である場合には、ピーク値の絶対値が小さいほど、算出されるSOx濃度は高い。なお、変換係数とは、図4の関係に従ってピーク値をSOx濃度に変換する係数である。もちろん、ピーク値がプラスの値として出現する場合には、ピーク値がプラス方向に大きいほど、算出されるSOx濃度は高いことになる。
【0092】
<第1実施形態のスイープ速度>
第1実施形態のSOx濃度検出において、印加電圧の上昇速度または低下速度(スイープ速度)が速すぎると、印加電圧が低下されたとしても、ピーク値が出力されなかったり、SOx濃度に十分に対応するピーク値が出力されなかったりする可能性がある。そこで、第1実施形態のSOx濃度検出において、印加電圧が低下されたときにSOx濃度に十分に対応するピーク値が出力される印加電圧の上昇速度と低下速度とが選択されると好ましい。
【0093】
具体的には、図9(A)に示されているように、印加電圧の上昇速度が徐々に減少するように印加電圧が上昇された後、印加電圧の低下速度が徐々に増大するように印加電圧が低下されると好ましい。あるいは、図9(B)に示されているように、印加電圧の上昇速度が一定に維持されるように印加電圧が上昇された後、印加電圧の低下速度が一定に維持されるように印加電圧が低下されると好ましい。
【0094】
さらに具体的には、第1実施形態のSOx濃度検出において、印加電圧が0.4Vから0.8Vまで上昇された後、0.8Vから0.4Vまで低下されるまでの印加電圧の変化を周波数で表したとき、この周波数は、100Hz以下であることが好ましい。別の言い方をすると、印加電圧の上昇が開始されてから印加電圧の低下が終了されるまでの時間が0.01秒以上であることが好ましい。
【0095】
<SOx検出回路の構成1>
なお、内燃機関が図1の限界電流式センサ(2セルタイプ限界電流式センサ)を有する場合、SOx検出回路として、たとえば、図10(A)に示されている回路が採用される。図10(A)において、10は限界電流式センサ(すなわち、図1の限界電流式センサ)、14はヒータ、15はポンプセル、16はセンサセル、90はECU、91は印加電圧指令部、92はパラメータ算出部、93はヒータ制御部、94Pおよび94Sは印加電圧制御回路、95Pおよび95Sは出力電流検出回路をそれぞれ示している。
【0096】
印加電圧指令部91、パラメータ算出部92、および、ヒータ制御部93は、ECU90の構成要素である。
【0097】
印加電圧指令部91は、ポンプセル15への印加電圧に関する指令を印加電圧制御回路94Pに送信するとともに、センサセル16への印加電圧に関する指令を印加電圧制御回路94Sに送信する。
【0098】
パラメータ算出部92は、ポンプセル出力電流に対応する信号を出力電流検出回路95Pから受信し、この受信した信号に基づいてポンプセル出力電流を算出し、この算出した出力電流に基づいて排気の空燃比(または、排気中の酸素濃度)を算出する。さらに、パラメータ算出部92は、センサセル出力電流に対応する信号を出力電流検出回路95Sから受信し、この受信した信号に基づいてセンサセル出力電流を算出し、この算出した出力電流に基づいて排気中のSOx濃度を算出する。さらに、パラメータ算出部92は、出力電流検出回路95P、95Sから受信した信号に基づいてセンサ10内の回路のインピーダンスを算出し、この算出したインピーダンスに関する情報をヒータ制御部93に送信する。ヒータ制御部93は、パラメータ算出部92から受信したインピーダンスに関する情報に基づいてヒータ14を制御する制御信号をヒータ14に送信する。
【0099】
印加電圧制御回路94Pは、印加電圧指令部91から受信した指令に基づいて(あるいは、印加電圧指令部91から受信した指令、および、出力電流検出回路95Pから提供されるポンプセル出力電流に対応する信号に基づいて)ポンプセル印加電圧を制御する。
【0100】
出力電流検出回路95Pは、ポンプセル出力電流を検出し、この検出した出力電流に対応する信号をパラメータ算出部92および印加電圧制御回路94Pに送信する。
【0101】
印加電圧制御回路94Sは、印加電圧指令部91から受信した指令に基づいて(あるいは、印加電圧指令部91から受信した指令、および、出力電流検出回路95Sから提供されるセンサセル出力電流に対応する信号に基づいて)センサセル印加電圧を制御する。
【0102】
出力電流検出回路95Sは、センサセル出力電流を検出し、この検出した出力電流に対応する信号をパラメータ算出部92および印加電圧制御回路94Sに送信する。
【0103】
<SOx検出回路の構成2>
また、内燃機関が図5の限界電流式センサ(1セルタイプ限界電流式センサ)を有する場合のSOx検出回路として、たとえば、図10(B)に示されている回路が採用される。図10(B)において、30は限界電流式センサ(すなわち、図5の限界電流式センサ)、34はヒータ、35はセンサセル、90はECU、91は印加電圧指令部、92はパラメータ算出部、93はヒータ制御部、94は印加電圧制御回路、95は出力電流検出回路をそれぞれ示している。
【0104】
印加電圧指令部91、パラメータ算出部92、および、ヒータ制御部93は、ECU90の構成要素である。
【0105】
印加電圧指令部91は、センサセル35への印加電圧に関する指令を印加電圧制御回路94に送信する。
【0106】
パラメータ算出部92は、センサセル出力電流に対応する信号を出力電流検出回路95から受信し、この受信した信号に基づいてセンサセル出力電流を算出し、この算出した出力電流に基づいて排気の空燃比(または、排気中の酸素濃度)あるいは排気中のSOx濃度を算出する。さらに、パラメータ算出部92は、出力電流検出回路95から受信した信号に基づいてセンサ30内の回路のインピーダンスを算出し、この算出したインピーダンスに関する情報をヒータ制御部93に送信する。ヒータ制御部93は、パラメータ算出部92から受信したインピーダンスに関する情報に基づいてヒータ34を制御する制御信号をヒータ14に送信する。
【0107】
印加電圧制御回路94は、印加電圧指令部91から受信した指令に基づいて(あるいは、印加電圧指令部91から受信した指令、および、出力電流検出回路95から提供されるセンサセル出力電流に対応する信号に基づいて)センサセル印加電圧を制御する。
【0108】
出力電流検出回路95は、センサセル出力電流を検出し、この検出した出力電流に対応する信号をパラメータ算出部92および印加電圧制御回路94に送信する。
【0109】
<SOx濃度検出フロー>
上述した第1実施形態のSOx濃度検出フローの一例について説明する。このフローが図11に示されている。
【0110】
図11のフローが開始されたときには、印加電圧が0.4Vに維持されている。そして、ステップ10において、印加電圧Vsが0.4Vから0.8Vに向かって上昇される。次いで、ステップ11において、印加電圧Vsが0.8Vに達した(Vs=0.8V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.8Vであると判別されたときには、フローはステップ12に進む。一方、Vs=0.8Vではないと判別されたときには、フローはステップ10に戻る。したがって、ステップ11においてVs=0.8Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの上昇が継続される。
【0111】
ステップ12では、印加電圧Vsが0.8Vから0.4Vに向かって低下されるとともに、出力電流Isが検出される。次いで、ステップ13において、印加電圧Vsが0.4Vに達した(Vs=0.4V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.4Vであると判別されたときには、フローはステップ14に進む。一方、Vs=0.4Vではないと判別されたときには、フローはステップ12に戻る。したがって、ステップ13においてVs=0.4Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの低下と出力電流Isの検出とが継続される。
【0112】
ステップ14では、ステップ12で検出された出力電流Isのうち、ピーク値に基づいてSOx濃度Csoxが算出され、フローが終了する。
【0113】
<センサ素子温度>
なお、上述した実施形態のSOx濃度検出において、印加電圧が低下されたときにSOx濃度に対応する電流がセンサから出力される理由は、センサセルにおいてSOxに関連する反応が生じていることであると推察される。一方、この反応は、センサセルの温度の影響を大きく受ける。したがって、排気中のSOx濃度が極めて低いことを考慮すれば、センサセルの温度が一定に維持されていることが好ましい。そこで、上述した実施形態において、SOx濃度検出の実行時には、センサセルの温度が一定に維持されるように、ヒータが制御されるようにしてもよい。これによれば、SOx濃度がより精度高く検出される。
【0114】
<センサ搭載位置>
また、排気中の成分を浄化する触媒が排気管に設けられている場合、排気中のSOxが触媒に捕捉される可能性がある。この場合、限界電流式センサが触媒下流の排気管に取り付けられていると、SOx濃度が精度良く検出されない可能性がある。そこで、上述した実施形態において、触媒が排気管に設けられている場合、限界電流式センサが触媒上流の排気管に取り付けられていることが好ましい。
【0115】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第2実施形態の構成および制御は、それぞれ、第1実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、以下で説明する第2実施形態の構成または制御に鑑みたときに第1実施形態の構成または制御から当然に導き出される構成および制御である。
【0116】
<第2実施形態のSOx濃度検出・S被毒回復>
第2実施形態では、印加電圧が定常的に0.4Vに維持されている。そして、第2実施形態のSOx濃度検出では、印加電圧が0.4Vから0.8Vまで上昇され、その後、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される。このとき、ECUは、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される間に当該ECUに入力された出力電流のピーク値の絶対値が第1の所定値以上であるか否かを判別する。ここで、ピーク値の絶対値が第1の所定値以上である場合、ECUは、S被毒回復制御(この制御の詳細は後述する)を実行する。一方、ピーク値の絶対値が第1の所定値よりも小さい場合、ECUは、ピーク値と参照電流とを用いてSOx濃度を算出(すなわち、検出)する。
【0117】
<第2実施形態の所定値>
なお、第2実施形態の第1の所定値は、たとえば、以下のように設定される。排気中のSOxの硫黄分が第1センサ電極に付着することがある。この付着S量(すなわち、第1センサ電極に付着している硫黄の量)が多くなると、前記ピーク値の絶対値が大きくなることが本願の発明者らの研究により判明している。そして、この付着S量が非常に多い場合、限界電流式センサの検出精度(特に、SOx濃度の検出精度)が低下する可能性がある。したがって、付着S量が多い場合、第1センサ電極に付着している硫黄を除去すること(すなわち、S被毒回復制御を実行すること)が好ましい。そこで、第2実施形態の第1の所定値は、たとえば、S被毒回復制御の実行が必要とされる場合におけるピーク値の絶対値(すなわち、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される間にECUに入力された出力電流のピーク値の絶対値)に設定される。
【0118】
<S被毒回復制御>
なお、S被毒回復制御は、公知の制御を採用可能であり、たとえば、印加電圧を比較的高い電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であって、特に、1.0V)まで上昇させる制御を採用可能である。
【0119】
<第2実施形態のSOx濃度検出装置の利点>
第2実施形態のSOx濃度検出装置によれば、S被毒(すなわち、第1センサ電極への硫黄の付着)によってセンサの検出精度が低下している可能性がある場合、S被毒回復制御が実行される。言い換えれば、S被毒によるセンサの検出精度の低下が生じている可能性がない場合に限り、SOx濃度の検出が実施される。このため、第2実施形態のSOx濃度検出装置によれば、SOx濃度をより精度良く検出することができる。
【0120】
<第2実施形態のSOx濃度検出フロー>
第2実施形態のSOx濃度検出フローの一例について説明する。このフローが図12に示されている。
【0121】
図12のフローが開始されたときには、印加電圧が0.4Vに維持されている。そして、ステップ20において、印加電圧Vsが0.4Vから0.8Vに向かって上昇される。次いで、ステップ21において、印加電圧Vsが0.8Vに達した(Vs=0.8V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.8Vであると判別されたときには、フローはステップ22に進む。一方、Vs=0.8Vではないと判別されたときには、フローはステップ20に戻る。したがって、ステップ21においてVs=0.8Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの上昇が継続される。
【0122】
ステップ22では、印加電圧Vsが0.8Vから0.4Vに向かって低下されるとともに、出力電流Isが検出される。次いで、ステップ23において、印加電圧Vsが0.4Vに達した(Vs=0.4V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.4Vであると判別されたときには、フローはステップ24に進む。一方、Vs=0.4Vではないと判別されたときには、フローはステップ22に戻る。したがって、ステップ23においてVs=0.4Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの低下と出力電流Isの検出とが継続される。
【0123】
ステップ24では、ステップ22で検出された出力電流Isのうち、ピーク値の絶対値|Is|が第1の所定値Isth1よりも大きい(|Is|>Isth1)か否かが判別される。ここで、|Is|>Isth1であると判別されたときには、フローはステップ25に進み、S被毒回復制御が実行され、その後、フローは終了する。一方、|Is|>Isth1ではないと判別されたときには、フローはステップ26に進み、ステップ22で検出された出力電流Isのうち、ピーク値に基づいてSOx濃度Csoxが算出され、その後、フローは終了する。
【0124】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第3実施形態の構成および制御は、それぞれ、上記実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、以下で説明する第3実施形態の構成または制御に鑑みたときに上記実施形態の構成または制御から当然に導き出される構成および制御である。
【0125】
<第3実施形態のSOx濃度検出・燃料性状異常警告>
第3実施形態では、印加電圧が定常的に0.4Vに維持されている。そして、第3実施形態のSOx濃度検出では、印加電圧が0.4Vから0.8Vまで上昇され、その後、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される。このとき、ECUは、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される間に当該ECUに入力された出力電流のピーク値の絶対値が第2の所定値以上であるか否かを判別する。ここで、ピーク値の絶対値が第2の所定値以上である場合、ECUは、燃料性状の異常を警告する。一方、ピーク値の絶対値が第2の所定値よりも小さい場合、ECUは、ピーク値と参照電流とを用いてSOx濃度を算出(すなわち、検出)する。
【0126】
<第3実施形態の所定値>
なお、第3実施形態の第2の所定値は、たとえば、以下のように設定される。上述したように、排気中のSOxの硫黄分が第1センサ電極に付着することがあり、この付着S量が多くなると、前記ピーク値の絶対値が大きくなることが本願の発明者らの研究により判明している。そして、この付着S量が非常に多い場合、限界電流式センサの検出精度(特に、SOx濃度の検出精度)が低下する可能性がある。ここで、付着S量が多くなる原因の1つとして、排気中のSOx濃度が高いことが挙げられる。そして、燃料中の硫黄成分濃度が高いと、排気中のSOx濃度が高い。そして、燃料中の硫黄成分濃度が許容できない程度に高く、したがって、燃料性状が異常である可能性がある場合、その旨を警告することが好ましい。
【0127】
そこで、第3実施形態の第2の所定値は、たとえば、燃料性状が許容可能な範囲の性状ではない場合(特に、燃料中のS濃度が許容可能な濃度よりも高い場合)におけるピーク値の絶対値(すなわち、印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される間にECUに入力された出力電流のピーク値の絶対値)の最小値以上の適宜選択される値に設定される。
【0128】
なお、第3実施形態の第2の所定値は、第2実施形態の第1の所定値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0129】
<第3実施形態のSOx濃度検出装置の利点>
第3実施形態のSOx濃度検出装置によれば、燃料性状が異常である可能性がある場合、その旨が警告されるので、SOx濃度検出装置の利用者は、燃料性状が異常である可能性があることを知ることができる。
【0130】
<第3実施形態のSOx濃度検出フロー>
第3実施形態のSOx濃度検出フローの一例について説明する。このフローが図13に示されている。
【0131】
図13のフローが開始されたときには、印加電圧が0.4Vに維持されている。そして、ステップ30において、印加電圧Vsが0.4Vから0.8Vに向かって上昇される。次いで、ステップ31において、印加電圧Vsが0.8Vに達した(Vs=0.8V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.8Vであると判別されたときには、フローはステップ32に進む。一方、Vs=0.8Vではないと判別されたときには、フローはステップ30に戻る。したがって、ステップ31においてVs=0.8Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの上昇が継続される。
【0132】
ステップ32では、印加電圧Vsが0.8Vから0.4Vに向かって低下されるとともに、出力電流Isが検出される。次いで、ステップ33において、印加電圧Vsが0.4Vに達した(Vs=0.4V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.4Vであると判別されたときには、フローはステップ34に進む。一方、Vs=0.4Vではないと判別されたときには、フローはステップ32に戻る。したがって、ステップ33においてVs=0.4Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの低下と出力電流Isの検出とが継続される。
【0133】
ステップ34では、ステップ32で検出された出力電流Isのうち、ピーク値の絶対値|Is|が第2の所定値Isth2よりも大きい(|Is|>Isth2)か否かが判別される。ここで、|Is|>Isth2であると判別されたときには、フローはステップ35に進み、燃料性状異常が警告され、その後、フローは終了する。一方、|Is|>Isth2ではないと判別されたときには、フローはステップ36に進み、ステップ32で検出された出力電流Isのうち、ピーク値に基づいてSOx濃度Csoxが算出され、その後、フローは終了する。
【0134】
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。なお、以下で説明されない第4実施形態の構成および制御は、それぞれ、上記実施形態の構成および制御と同じであるか、あるいは、以下で説明する第4実施形態の構成または制御に鑑みたときに上記実施形態の構成または制御から当然に導き出される構成および制御である。
【0135】
<第4実施形態のSOx濃度検出・空燃比検出>
第1実施形態では、印加電圧が定常的に0.4Vに維持されている。すなわち、センサセルに定常的に0.4Vが印加されている。ここで、0.4Vの電圧は、図2に示されている電圧Vth以上の電圧であって、且つ、排気の空燃比が一定である場合においてセンサセル印加電圧に依らずセンサセル出力電流が一定となる電圧である。
【0136】
そして、第4実施形態のSOx濃度・空燃比検出では、ECUは、センサセルに定常的に0.4Vが印加されているときのセンサセル出力電流に基づいて図2に示されている関係から空燃比を算出(すなわち、検出)する。
【0137】
一方、SOx濃度の検出が要求された場合には、センサセル印加電圧が0.4Vから0.8Vまで上昇され、その後、センサセル印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される。このとき、ECUは、センサセル印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下される間に当該ECUに入力された出力電流のピーク値と参照電流とを用いてSOx濃度を算出(すなわち、検出)する。
【0138】
また、センサセル印加電圧が0.8Vから0.4Vまで低下された後も、ECUは、センサセル出力電流に基づいて図2に示されている関係から空燃比を算出(すなわち、検出)する。もちろん、このときには、センサセル印加電圧は、0.4Vに維持されている。
【0139】
なお、第4実施形態のSOx濃度・空燃比検出に、2セルタイプの限界電流式センサが利用される場合において、空燃比の検出を実施するときには、ポンプセル15の印加電圧は、零とされる。
【0140】
<第4実施形態のSOx濃度検出装置の利点>
第4実施形態によれば、排気の空燃比と排気中のSOx濃度とを1つのセンサによって検出することができる。
【0141】
<第4実施形態のSOx濃度・空燃比検出フロー>
第4実施形態のSOx濃度・空燃比検出フローの一例について説明する。このフローが図14に示されている。
【0142】
図14のフローが開始されたときには、印加電圧が0.4Vに維持されている。そして、ステップ40において、SOx濃度検出フラグFsoxがセットされている(Fsox=1)か否かが判別される。このフラグFsoxは、排気中のSOx濃度の検出が要求されたときにセットされ、排気中のSOx濃度の検出が完了したときにリセットされるフラグである。ステップ40において、Fsox=1であると判別されたときには、フローはステップ41に進む。一方、Fsox=1ではないと判別されたときには、フローはステップ47に進む。
【0143】
ステップ47では、出力電流Isが検出される。次いで、ステップ48において、ステップ47で検出された出力電流Isに基づいて空燃比A/Fが算出され、その後、フローは終了する。
【0144】
ステップ41では、印加電圧Vsが0.4Vから0.8Vに向かって上昇される。次いで、ステップ42において、印加電圧Vsが0.8Vに達した(Vs=0.8V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.8Vであると判別されたときには、フローはステップ43に進む。一方、Vs=0.8Vではないと判別されたときには、フローはステップ41に戻る。したがって、ステップ42においてVs=0.8Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの上昇が継続される。
【0145】
ステップ43では、印加電圧Vsが0.8Vから0.4Vに向かって低下されるとともに、出力電流Isが検出される。次いで、ステップ44において、印加電圧Vsが0.4Vに達した(Vs=0.4V)か否かが判別される。ここで、Vs=0.4Vであると判別されたときには、フローはステップ45に進む。一方、Vs=0.4Vではないと判別されたときには、フローはステップ43に戻る。したがって、ステップ44においてVs=0.4Vであると判別されるまで、印加電圧Vsの低下と出力電流Isの検出とが継続される。
【0146】
ステップ45では、ステップ43で検出された出力電流Isのうち、ピーク値に基づいてSOx濃度Csoxが算出される。次いで、ステップ46において、SOx濃度検出フラグFsoxがリセットされ、その後、フローは終了する。
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
述した実施形態のSOx濃度検出では、印加電圧の低下前に印加電圧の上昇が行われる。しかしながら、印加電圧の低下さえ行われれば、その前に印加電圧の上昇が行われなくても、上述した実施形態の利益が少なからず得られる。
【0151】
<実施形態の総括>
上述した実施形態の内燃機関のSOx濃度検出装置は、広く表現すれば、限界電流式センサへの印加電圧を所定電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であり、特に、0.8V)から低下させたときの前記センサの出力電流を用いて排気中のSOx濃度を検出する検出部を有する内燃機関のSOx濃度検出装置であると言える。
【0152】
より限定的に表現すれば、前記検出部は、前記SOx濃度検出用の出力電流として、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧から低下させたときの前記センサの出力電流のピーク値を用いるものであると言える。
【0153】
また、上述した実施形態の内燃機関のSOx濃度検出装置の検出部は、広く表現すれば、前記センサへの印加電圧を所定電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であり、特に、0.8V)から低下させた後、前記所定電圧よりも低い電圧が前記センサに印加されているときの前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度(あるいは、排気の空燃比)を検出するものであると言える。
【0154】
また、上述した実施形態の内燃機関のSOx濃度検出装置の検出部は、広く表現すれば、所定電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であり、特に、0.8V)の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧(たとえば、0.6V以下の電圧であり、特に、0.4V)を印加している間の前記センサの出力電流を用いて排気中の酸素濃度(あるいは、排気の空燃比)を検出するものであると言える。
【0155】
また、上述した実施形態の内燃機関のSOx濃度検出装置は、広く表現すれば、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であり、特に、0.8V)から低下させたときの前記センサの出力電流の絶対値が第1の所定値以上である場合、S被毒回復制御を実行する制御部(たとえば、ECU)をさらに有するものであると言える。
【0156】
また、上述した実施形態の内燃機関のSOx濃度検出装置は、広く表現すれば、前記センサへの印加電圧を前記所定電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であり、特に、0.8V)から低下させたときの前記センサの出力電流の絶対値が第2の所定値以上である場合、燃料性状の異常を警告する制御部をさらに有するものであると言える。
【0157】
同様に、限定的に表現すれば、前記検出部は、前記SOx濃度検出用の出力電流として、前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧(たとえば、0.6V以下の電圧であり、特に、0.4V)を印加し、その後、印加電圧を前記所定電圧まで上昇させ、その後、印加電圧を低下させたときの前記センサの出力電流を用いるものであると言える。なお、この場合、印加電圧の低下は、印加電圧の上昇に続いて連続的に行われる。
【0158】
また、上述した実施形態のSOx濃度検出装置は、広く表現すれば、前記センサへの印加電圧を所定電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であり、特に、0.8V)から低下させる電圧低下ステップと、該電圧低下ステップ中の前記センサの出力電流を取得する出力電流取得ステップと、該出力電流取得ステップにおいて取得された出力電流を用いて排気中のSOx濃度を検出するSOx濃度検出ステップと、を具備する方法を実行するものであると言える。
【0159】
より限定的に表現すれば、上記方法は、前記出力電流取得ステップにおいて、前記センサの出力電流のピーク値を取得するものであると言える。
【0160】
同様に、限定的に表現すれば、上記方法は、前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧(たとえば、0.6V以下の電圧であり、特に、0.4V)を印加しておき、印加電圧を前記所定電圧まで上昇させる電圧上昇ステップであって、前記電圧低下ステップの前に実行される電圧上昇ステップをさらに具備するものであると言える。なお、この場合、電圧低下ステップは、電圧上昇ステップに続いて連続的に実行される。
【0161】
また、上述した実施形態の限界電流式センサは、広く表現すれば、印加電圧を所定電圧(たとえば、0.8V以上の電圧であり、特に、0.8V)から低下させたときの当該センサの出力電流を用いて排気中のSOx濃度を検出するために用いられる限界電流式センサであると言える。
【0162】
より限定的に表現すれば、上述した実施形態のセンサは、印加電圧を前記所定電圧から低下させたときの当該センサの出力電流のピーク値を前記SOx濃度検出用の出力電流として用いて前記SOx濃度を検出するために用いられるセンサであると言える。
【0163】
同様に、限定的に表現すれば、上述した実施形態のセンサは、前記所定電圧の印加前に当該所定電圧よりも低い電圧(たとえば、0.6V以下の電圧であり、特に、0.4V)を印加し、その後、印加電圧を前記所定電圧まで上昇させ、その後、印加電圧を低下させたときの当該センサの出力電流を前記SOx濃度検出用の出力電流として用いて前記SOx濃度を検出するために用いられるセンサであると言える。なお、この場合、印加電圧の低下は、印加電圧の上昇に続いて連続的に行われる。
【符号の説明】
【0164】
10…限界電流式センサ、11A、11B…固体電解質層、13…拡散律速層、15…ポンプセル、15A、15B…ポンプ電極、16…センサセル、16A、16B…センサ電極、30…限界電流式センサ、31…固体電解質層、33…拡散律速層、35…センサセル、35A、35B…センサ電極、90…ECU
図1
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