特許第5969448号(P5969448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969448
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】光形成シリコンセンサ膜
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20160804BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   G01N27/416 381
   G01N27/416 323
   G01N27/416 331
   G01N27/416 336G
   G01N27/416 338
   G01N27/327 353J
【請求項の数】27
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-231812(P2013-231812)
(22)【出願日】2013年11月8日
(62)【分割の表示】特願2008-521541(P2008-521541)の分割
【原出願日】2006年7月12日
(65)【公開番号】特開2014-66711(P2014-66711A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】60/698,927
(32)【優先日】2005年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508012840
【氏名又は名称】アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーゴツト・リアン・マツキヤン
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ケイ・シヨウ
(72)【発明者】
【氏名】カール・ジヨン・アンソニー・アンダーウツド
(72)【発明者】
【氏名】ハービイ・エリツク・ラーベ
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0231984(US,A1)
【文献】 特開2000−281790(JP,A)
【文献】 米国特許第06770726(US,B1)
【文献】 特表2002−501195(JP,A)
【文献】 特表2008−501102(JP,A)
【文献】 特開平11−029640(JP,A)
【文献】 特表2005−514477(JP,A)
【文献】 特表平11−512474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面と、
検出面を覆っている母材と、
母材の少なくとも一部分を覆っている光形成膜と、
を含む検出デバイスであって、
光形成膜が、該光形成膜がガス状分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性であるような、アクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーからなる直接的に光形成されたオルガノシロキサンポリマーの均一混合物からなる、検出デバイス。
【請求項2】
オルガノシロキサンポリマーが、ベータ置換のシルセスキオキサンポリマーを含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項3】
オルガノシロキサンポリマーが、ヒドロシルセスキオキサンポリマーを含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項4】
オルガノシロキサンポリマーが、光開始剤の作用によって架橋させられる、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項5】
光形成膜が、母材を完全に囲んでいる、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項6】
光形成膜が、母材に対して実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工されている、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項7】
光形成膜が、母材および検出面に対して実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工されている、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項8】
酸素、二酸化炭素、および水蒸気のうちの1つを検出するように構成されている、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項9】
グルコース、ラクテート、クレアチニン、アスコルビン酸塩、尿酸塩、およびビリルビンのうちの少なくとも1つを検出するように構成された、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項10】
イオンが、塩化物、カリウム、ナトリウム、カルシウム、プロトン、および水酸化物からなる群より選択される、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項11】
検出面が、金属電極、非金属電極、および光導波路からなる群より選択される請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項12】
検出面が、白金、金、イリジウム、銀、ハロゲン化銀、塩化銀、および炭素からなる群より選択される請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項13】
検出面が、電位差測定または電流測定に適合されている、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項14】
母材が、ポリビニルアルコール、光形成ポリビニルアルコール、ゼラチン、光形成ゼラチン、およびニトロセルロースからなる群より選択される、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項15】
母材が、生物活性分子を含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項16】
母材が、グルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸塩オキシダーゼ、カルボニックアンヒドラーゼ、サルコシンオキシダーゼ、クレアチナーゼ、およびクレアチニナーゼからなる群より選択される生物活性分子を含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項17】
母材が、酸化還元種を含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項18】
母材が、キンヒドロン、フェロセン、フェロシアニド、およびフェリシアニドからなる群より選択される酸化還元種を含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項19】
母材が、イオン種を含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項20】
母材が、塩化物イオンを含む、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項21】
銀−塩化銀の検出面と、
塩化物イオンを含有し、検出面を覆っている母材と、
母材の少なくとも一部分を覆っている直接的な光形成による膜と、
を含む基準電極であって、
光形成による膜が、該光形成による膜が水蒸気に対して実質的に透過性でありかつイオンに対して実質的に非透過性であるような、アクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーからなる直接的に光形成されたオルガノシロキサンポリマーの均一混合物からなり、
光形成による膜が、イオンの交換を可能にするように構成された少なくとも1つのオリフィスを有する、基準電極。
【請求項22】
オルガノシロキサンポリマーが、光開始剤の作用によって架橋させられる、請求項21に記載の基準電極。
【請求項23】
光形成による膜が、母材を実質的に囲んでいる、請求項21に記載の基準電極。
【請求項24】
光形成による膜が、母材に対して実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工されている、請求項21に記載の基準電極。
【請求項25】
光形成による膜が、母材および検出面に対して実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工されている、請求項21に記載の基準電極。
【請求項26】
光形成による膜を製作する方法であって、
a)不安定な結合部分を有するアクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーからなるオルガノシロキサンポリマーの均一混合物を表面へと塗布して層を形成するステップであって、アクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーは、ガス状分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性であるとの性質を一般的に有する、ステップと、
b)層の少なくとも一部分へと紫外(UV)線を加えて不安定な部分を取り除き、アクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーからなるオルガノシロキサンポリマーによって表面上の付着膜を形成するステップと、
c)層を現像剤にさらして、紫外線にさらされなかったアクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーからなるオルガノシロキサンポリマーを選択的に取り除くステップと、
を含み、
光形成による膜が、ガス状分子に対して実質的に透過性であり、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、方法。
【請求項27】
光形成による膜を製作する方法であって、
a)アクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーの均一混合物を表面へと塗布して層を形成するステップであって、アクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーは、ガス状分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性であるとの性質を一般的に有する、ステップと、
b)層の少なくとも一部分へと紫外(UV)線を加えて、アクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーによって表面上の付着膜を形成するステップと、
c)層を現像剤にさらして、紫外線にさらされなかったアクリレート官能化シルセスキオキサンポリマーを選択的に取り除くステップと、
を含み、
光形成膜が、ガス状分子に対して実質的に透過性であり、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年7月14日に出願された米国特許仮出願第60/698,927号明細書について米国特許法第119条(e)に規定の優先権を主張し、この米国特許仮出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、センサデバイスおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ガス状の分子に対しては実質的に透過性であるが、非ガス状の分子およびイオンに対しては実質的に非透過性である光形成シリコン膜を主体とする検出デバイスおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコン材料を主体とした微細加工による膜であって、ガス状の分子に対しては実質的に透過性であるが、非ガス状の分子およびイオンに対しては実質的に非透過性である膜が知られている。しかしながら、これまで成功裏に使用されているシリコン材料は、光によって直接的に形成することが不可能である。したがって、表面の指定の位置において光によるパターン形成を実現するために、間接的な手段が使用されている。
【0004】
例えば、米国特許第5,200,051号明細書が、電流測定センサにおいて使用され、シロキサン/非シロキサンの共重合体を含有する分析対象減衰層を教示している。一実施形態においては、溶媒中に溶解させたジメチルシロキサン−ビスフェノールAカーボネート共重合体が、ウエハ上にスピンコートされ、次いでゼラチンのフォトレジスト層でコートされる。次いで、このようなフォトレジスト層が、フォトマスクを介した紫外(UV)線への選択的な暴露によってパターン処理され、現像される。このようなプロセスによって、光によって硬化したレジスト材料が残されて、下層の共重合体を保護する一方で、露光されなかったフォトレジスト層および下層の共重合体は、例えばメタノール中の水酸化テトラメチルアンモニウムなど、湿式のエッチング剤によって除去される。
【0005】
このような間接的な方法によれば、たとえ共重合体そのものが光反応性の材料でなくても、共重合体の光によるパターン形成を可能にできる。しかしながら、得られる共重合体膜が、代謝産物(例えば、グルコース)の遷移減衰(transpor attenuation)を呈し、酸素に対して自由に透過性である一方で、製造プロセスが複雑であり、歩留まりを低下させ、最終製造物のコストを上昇させている。
【0006】
さらに、米国特許第6,030,827号明細書が、グルコース等の測定のためのセンサ構造を教示しており、シロキサン/非シロキサンの共重合体に微細加工の開口を含み、グルコースがパターン加工による1つ以上の開口を通ってのみ母材へと進入できる一方で、酸素は共重合体を直接通過することができる。米国特許第5,514,253号明細書は、シロキサン/非シロキサン共重合体層をパターン加工して含む酸素および二酸化炭素のセンサ構造を教示している。
【0007】
さらに、米国特許第4,933,048号明細書が、塩化物イオン含有の母材に接触させた銀−塩化銀電極と、水蒸気を通すがイオンは通さないカプセル層とを含む基準電極構造を教示している。カプセル層を、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、およびシリコンゴムから形成することができる。デバイスに接している流体とのイオンの交換を可能にするために、この層に末端の塩橋が存在している。
【0008】
米国特許第6,737,117号明細書が、半導体デバイスのための絶縁保護コーティング材料を教示しており、このコーティングは、比較的低い誘電率を有するシロキサン主体の樹脂を含む。このコーティング材料は、紫外光への暴露によって硬化して、パッシベーション用または耐スクラッチ性の絶縁コートをもたらすヒドロシルセスキオキサン樹脂を主体としている。
【0009】
Pennsylvania州MorrisvilleのGelest Inc.が、光学部品のクラッドに適していることが実証されており、エラストマーシールドとして適していることが実証されている一連のアクリレート修飾の紫外線硬化型シリコンエラストマー(例えば、ZIPCONE(商標)Uシリーズ)を提供している。さらに、米国特許第6,770,726号明細書が、光および熱に対して不安定なシロキサンポリマーであって、ベータ置換のアルキル基を除くことによってSiOに富んだ薄膜へと変化するシロキサンポリマーを教示している。
【0010】
以上にもとづき、イオンおよび代謝産物に対して非透過性であるガス透過膜を単一の好都合な工程において形成する、単純かつ確実な製造プロセスによって製作される検出デバイスについて、ニーズが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,200,051号明細書
【特許文献2】米国特許第6,030,827号明細書
【特許文献3】米国特許第5,514,253号明細書
【特許文献4】米国特許第4,933,048号明細書
【特許文献5】米国特許第6,737,117号明細書
【特許文献6】米国特許第6,770,726号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
光形成によるシリコンセンサ膜、およびその製造方法が開示される。
【0013】
本発明の目的は、非ガス状の分子およびイオンに対して非透過性であるガス透過膜であって、光形成によるオルガノシロキサンポリマー膜を含むガス透過膜を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、非ガス状の分子およびイオンに対して非透過性であるガス透過膜であって、シルセスキオキサンポリマー主体の光形成による膜を含むガス透過膜を提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である光形成ガス透過膜の製作方法であって、オルガノシロキサンポリマーを表面へと塗布して層を形成することと、層の少なくとも一部分へと紫外線(UV)の放射を加えて、ポリマーによって表面上の付着膜を形成することと、その後に層を現像剤にさらして、放射にさらされなかったポリマーを選択的に取り除く一方で、付着膜を乱さずに残すこと、を含む製作方法を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である光形成ガス透過膜の製作方法であって、シルセスキオキサンポリマーを表面へと塗布して層を形成することと、層の少なくとも一部分へとUVの放射を加えて、ポリマーによって表面上の付着膜を形成することと、その後に層を現像剤にさらして、放射、すなわちフォトリソグラフィプロセスにさらされなかったポリマーを選択的に取り除くこと、を含む製作方法を提供することにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である光形成ガス透過膜の製作方法であって、所望の量のオルガノシロキサンポリマーを表面へと微細に送出して層を形成することと、その後に層へと紫外線を加えて、ポリマーで表面上の付着膜を形成すること、を含む製作方法を提供することにある。
【0018】
本発明のさらなる目的は、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である光形成ガス透過膜の製作方法であって、所望の量のシルセスキオキサンポリマーを表面へと微細に送出して層を形成することと、その後に層へと紫外線を加えて、ポリマーで表面上の付着膜を形成すること、を含む製作方法を提供することにある。
【0019】
本発明の目的は、ガス状分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、光硬化のシリコン膜を含む検出デバイスを提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、検出面と、検出面を覆っている母材と、母材の少なくとも一部分を覆っている光形成膜とを含む検出デバイスであって、光形成膜が、光に対して不安定なオルガノシロキサンポリマーから製作され、ガス状分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、検出デバイスを提供することにある。
【0021】
本発明の別の目的は、銀−塩化銀の検出面と、塩化物イオンを含有し、検出面を覆っている母材と、母材の少なくとも一部分を覆っている光形成シリコン膜とを含む基準電極であって、膜が、水蒸気に対して実質的に透過性でありかつイオンに対して実質的に非透過性であるが、塩化物イオンの交換を可能にするための少なくとも1つのオリフィスを有する、基準電極を提供することにある。
【0022】
本発明のさらなる目的は、貴金属表面と、検出面を覆っている母材と、母材の少なくとも一部分を覆っている光形成シリコン膜とを含む酸素検出デバイスであって、膜が、酸素分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、酸素検出デバイスを提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、pH検出面と、カルボニックアンヒドラーゼおよびキンヒドロンを含有し検出面を覆っている母材と、母材を覆っている光硬化微細送出シリコン膜とを含む二酸化炭素検出デバイスであって、膜が、二酸化炭素分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、二酸化炭素検出デバイスを提供することにある。
【0024】
さらに詳しくは、ガス状分子に対して実質的に透過性であるが非ガス状の分子およびイオンに対しては実質的に非透過性である、光形成シリコン膜にもとづく検出デバイスおよび製造方法が開示される。典型的な実施形態においては、本発明の第1の態様に従い、検出デバイスが、検出面および検出面を覆う母材を含む。検出デバイスは、母材の少なくとも一部分を覆う光形成膜を含む。光形成膜は、直接的に光形成されたオルガノシロキサンポリマーであって、ガス状分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、オルガノシロキサンポリマーを含む。
【課題を解決するための手段】
【0025】
第1の態様によれば、オルガノシロキサンポリマーは、シルセスキオキサンポリマーを含むことができる。あるいは、オルガノシロキサンポリマーは、ベータ置換のシルセスキオキサンポリマーを含むことができる。オルガノシロキサンポリマーは、ヒドロシルセスキオキサンポリマーなどを含むことができる。結合部分を光への暴露によって置き換えて、光形成膜を形成することができる。例えば、光は、約200ナノメートルから約400ナノメートルの範囲に包含される1つ以上の波長を含むことができる。オルガノシロキサンポリマーを、光開始剤の作用によって架橋させることができる。光形成膜で、母材を実質的にまたは完全に囲むことができる。また、光形成膜を、母材に対して実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。さらに、光形成膜を、母材および検出面に対して実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。
【0026】
第1の態様によれば、検出デバイスを、酸素、二酸化炭素、または水蒸気を検出するように構成することができる。検出デバイスを、グルコース、ラクテート、クレアチニン、アスコルビン酸塩、尿酸塩、および/またはビリルビンを検出するように構成することができる。検出デバイスを、塩化物、カリウム、ナトリウム、カルシウム、プロトン、および水酸化物からなる群より選択されるイオンを検出するように構成することができる。検出面は、金属電極、非金属電極、および光導波路からなる群より選択可能である。あるいは、検出面を、白金、金、イリジウム、銀、ハロゲン化銀、塩化銀、および炭素からなる群より選択することができる。検出面を、電位差測定または電流測定に適合させることができる。母材は、ポリビニルアルコール、光形成ポリビニルアルコール、ゼラチン、光形成ゼラチン、およびニトロセルロースからなる群より選択可能である。母材は、生物活性分子を含むことができる。例えば、母材は、グルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸塩オキシダーゼ、カルボニックアンヒドラーゼ、サルコシンオキシダーゼ、クレアチナーゼ、およびクレアチニナーゼからなる群より選択される、生物活性分子を含むことができる。母材が、酸化還元種を含んでもよい。さらに、母材は、キンヒドロン、フェロセン、フェロシアニド、およびフェリシアニドからなる群より選択される、酸化還元種を含むことができる。母材は、イオン種を含んでもよい。第1の態様の他の典型的な実施形態によれば、母材は塩化物イオンを含むことができる。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、基準電極が、銀−塩化銀の検出面と、塩化物イオンを含有し、検出面を覆っている母材とを含む。基準電極は、母材の少なくとも一部分を覆う直接的な光形成による膜を含む。光形成による膜が、水蒸気に対して実質的に透過性でありかつイオンに対して実質的に非透過性である、オルガノシロキサンポリマーを含む。光形成による膜が、イオンの交換を可能にするように構成された少なくとも1つのオリフィスを含む。
【0028】
第2の態様によれば、オルガノシロキサンポリマーが、シルセスキオキサンポリマーを含むことができる。あるいは、オルガノシロキサンポリマーは、ベータ置換のシルセスキオキサンポリマーを含むことができる。オルガノシロキサンポリマーは、ヒドロシルセスキオキサンポリマーなどを含むことができる。結合部分を光への暴露によって置き換えて、光形成による膜を形成することができる。例えば、光は、約200ナノメートルから約400ナノメートルの範囲に包含される1つ以上の波長を含むことができる。オルガノシロキサンポリマーを、光開始剤の作用によって架橋させることができる。光形成による膜で、母材を実質的にまたは完全に囲むことができる。光形成による膜を、母材に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。さらに、光形成による膜を、母材および検出面に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、酸素検出デバイスが、貴金属の検出面と、検出面を覆っている母材とを含む。酸素検出デバイスが、直接的に光形成されて母材の少なくとも一部分を覆っている膜を含む。光形成による膜は、酸素分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、オルガノシロキサンポリマーを含む。
【0030】
第3の態様によれば、オルガノシロキサンポリマーが、シルセスキオキサンポリマーを含むことができる。あるいは、オルガノシロキサンポリマーは、ベータ置換のシルセスキオキサンポリマーを含むことができる。オルガノシロキサンポリマーは、ヒドロシルセスキオキサンポリマーなどを含むことができる。結合部分を光への暴露によって置き換えて、光形成による膜を形成することができる。例えば、光は、約200ナノメートルから約400ナノメートルの範囲に包含される1つ以上の波長を含むことができる。オルガノシロキサンポリマーを、光開始剤の作用によって架橋させることができる。光形成による膜で、母材を実質的にまたは完全に囲むことができる。光形成による膜を、母材に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。さらに、光形成による膜を、母材および検出面に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。
【0031】
本発明の第4の態様によれば、二酸化炭素検出デバイスが、検出面を含む。二酸化炭素検出デバイスは、カルボニックアンヒドラーゼおよびキンヒドロンを含み検出面の少なくとも一部分を覆っている母材を含む。二酸化炭素検出デバイスは、母材を覆って直接的に光形成された膜を含む。光形成による膜は、二酸化炭素分子に対して実質的に透過性でありかつ非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である、オルガノシロキサンポリマーを含む。
【0032】
第4の態様によれば、オルガノシロキサンポリマーが、シルセスキオキサンポリマーを含むことができる。あるいは、オルガノシロキサンポリマーは、ベータ置換のシルセスキオキサンポリマーを含むことができる。オルガノシロキサンポリマーは、ヒドロシルセスキオキサンポリマーなどを含むことができる。結合部分を光への暴露によって置き換えて、光形成による膜を形成することができる。例えば、光は、約200ナノメートルから約400ナノメートルの範囲に包含される1つ以上の波長を含むことができる。オルガノシロキサンポリマーを、光開始剤の作用によって架橋させることができる。光形成による膜で、母材を実質的にまたは完全に囲むことができる。光形成による膜を、母材に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。さらに、光形成による膜を、母材および検出面に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工してもよい。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である光形成ガス透過膜が、結合部分が光への暴露によって置き換えられて膜を形成する、オルガノシロキサンポリマーを含む。
【0034】
第5の態様によれば、光は、約200ナノメートルから約400ナノメートルの範囲に包含される1つ以上の波長を含むことができる。膜は、母材層に接触することができる。膜で、母材を実質的にまたは完全に囲むことができる。膜を、母材に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工することができる。オルガノシロキサンポリマーは、シルセスキオキサンポリマーを含むことができる。あるいは、オルガノシロキサンポリマーは、ベータ置換のシルセスキオキサンポリマーを含むことができる。オルガノシロキサンポリマーは、ヒドロシルセスキオキサンポリマーなどを含むことができる。
【0035】
本発明の第6の態様によれば、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である光形成ガス透過膜において、光への直接的な暴露によってシルセスキオキサンポリマーから膜が形成される。
【0036】
第6の態様によれば、光は、約200ナノメートルから約400ナノメートルの範囲に包含される1つ以上の波長を含むことができる。膜は、母材層に接触することができる。膜で、母材を実質的にまたは完全に囲むことができる。膜を、母材に対して固定または実質的に固定された幾何学的関係をもたらすようにパターン加工することができる。
【0037】
本発明の第7の態様によれば、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性であるガス透過膜を光形成によって製作する方法が、a)不安定な結合部分を有するオルガノシロキサンポリマーを表面へと塗布して層を形成するステップと、b)層の少なくとも一部分へと紫外線を加えて不安定な部分を取り除き、オルガノシロキサンポリマーによって表面上の付着膜を形成するステップと、c)層を現像剤にさらして、紫外線にさらされなかったオルガノシロキサンポリマーを選択的に取り除くステップと、を含む。
【0038】
第7の態様によれば、オルガノシロキサンポリマーは、シルセスキオキサンポリマーを含むことができる。あるいは、オルガノシロキサンポリマーは、ベータ置換のシルセスキオキサンポリマーを含むことができる。オルガノシロキサンポリマーは、ヒドロシルセスキオキサンポリマーなどを含むことができる。
【0039】
本発明の第8の態様によれば、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性であるガス透過膜を光形成によって製作する方法が、a)シルセスキオキサンポリマーを表面へと塗布して層を形成するステップと、b)層の少なくとも一部分へと紫外線を加えて、シルセスキオキサンポリマーによって表面上の付着膜を形成するステップと、c)層を現像剤にさらして、紫外線にさらされなかったシルセスキオキサンポリマーを選択的に取り除くステップと、を含む。
【0040】
本発明の第9の態様によれば、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性であるガス透過膜を光形成によって製作する方法が、a)不安定な結合部分を有している所望の量のオルガノシロキサンポリマーを表面へと微細に送出して層を形成するステップと、b)層へと紫外線を加えて上記部分を取り除き、オルガノシロキサンポリマーで表面上の付着膜を形成するステップと、を含む。
【0041】
本発明の第10の態様によれば、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性であるガス透過膜を光形成によって製作する方法が、a)所望の量のシルセスキオキサンポリマーを表面へと微細に送出して層を形成するステップと、b)層へと紫外線を加えて、シルセスキオキサンポリマーで表面上の付着膜を形成するステップと、を含む。
【0042】
本発明の第11の態様によれば、表面を覆ってパターン加工された層を設ける方法が、a)不安定な基を有するオルガノシリコンポリマーと有効量の光開始剤との均一混合物を含む層を、表面へと塗布するステップと、b)層のうちの選択された部分の紫外線への暴露を、層の被暴露部分を重合させるために十分な条件のもとで行うステップと、c)層のうちの暴露されなかった部分を表面から取り除き、表面を覆うパターン加工済みの層をもたらすステップと、を含む。
【0043】
本発明の他の目的および利点は、好ましい実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することによって、当業者にとって明らかになるであろう。添付の図面において、同等である構成要素は、同種の参照符号を使用して指し示されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1a】本発明の典型的な実施形態に従い、基準センサを取り入れてなる従来の検出チップの平面図を示している図である。
図1b】本発明の典型的な実施形態に従い、基準センサを取り入れてなる本発明の検出チップの平面図をそれぞれ示している図である。
図1c】本発明の典型的な実施形態に従い、従来のデバイスの基準センサ部の立面図をそれぞれ示している図である。
図1d】本発明の典型的な実施形態に従い、本発明のデバイスの基準センサ部の立面図をそれぞれ示している図である。
図2a】本発明の典型的な実施形態に従い、従来の基準センサ膜製造プロセスの詳細を示している図である。
図2b】本発明の典型的な実施形態に従い、本発明の基準センサ膜製造プロセスの詳細を示している図である。
図3】本発明の典型的な実施形態に従い、改善された基準センサの接点電位を塩橋KClの関数として示しているグラフである。
図4】本発明の典型的な実施形態に従い、本発明のプロセスおよび従来のプロセスのそれぞれによって製作されたグルコースセンサの線形応答を、Beckman CX7分析器を基準にして示しているグラフである。
図5】本発明の典型的な実施形態に従い、本発明のプロセスおよび従来のプロセスのそれぞれによって製作された酸素センサの線形応答を、ABL血中ガス分析器を基準にして示しているグラフである。
図6】本発明の典型的な実施形態に従い、本発明のプロセスおよび従来のプロセスのそれぞれによって製作されたラクテートセンサの線形応答を、予想されるラクテートの重量測定濃度を基準にして示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の典型的な実施形態は、ガス状の分子に対しては実質的に透過性であるが、非ガス状の分子およびイオンに対しては実質的に非透過性である、光形成シリコン膜を主体とする検出デバイスおよび製造方法に向けられている。さらに詳しくは、本発明は、サンプル中の種々の分子の存在または濃度を検出するために有用な光硬化のシリコン膜を有する検出デバイスに関する。これらのデバイスを、研究室の自動分析器のセンサとして使用することができ、分析対象についてリアルタイム、またはほぼリアルタイムの検定を実行するための1回限り使用の使い捨てのカートリッジにおいて使用することができる。典型的な実施形態によれば、本発明は、例えば血液などの液体サンプルにおいて、例えばグルコース、ラクテート、クレアチニン、酸素分圧、二酸化炭素分圧、などの分析対象の測定を行うための検体センサに関する。また、本発明の典型的な実施形態を、銀−塩化銀を主体とする基準センサ、および上述の検体センサと協働する他の同様の電気化学的カップルにおいて、検体センサの電位の測定の基準とすることができる半電池電位をもたらすために使用することも可能である。さらに、そのような基準センサを、電流の測定とともに使用することも可能である。
【0046】
直接的な光形成が不可能であるが、センサの製造において有用性が見出されている従来のガス透過性材料として、例えばジメチルポリシロキサン(DMPS)およびポリカーボネートのブロック共重合体が挙げられる。例えば、この共重合体が、塩化メチレンおよびクロロベンゼンからなる溶液において約6%の固体分へと調製される。
【0047】
このような共重合体の層をパターンに加工するため、光によってパターンを形成することができる材料(例えば、重クロム酸ゼラチンまたはスチルビゾニウム処理のポリビニルアルコール(随意により、下層表面へのPVAの付着を促進するためにウシ血清アルブミンが混ぜられる))からなるコーティングが、共重合体膜の層の上部を覆って付着させられる。次いで、このような第2の層が、保護用のキャップ層を形成すべくフォトリソグラフィを使用してパターンに加工され、その後に、非保護の領域から共重合体を除去するために、湿式のエッチングプロセスが使用される。この種のシロキサン共重合体は、良好なガス透過性および機械的特性(例えば、柔軟性)を有することが知られており、非ガス状の分子およびイオンに対して実質的に非透過性である。
【0048】
このようなガス透過膜の間接的なパターン加工の必要性をなくし、直接的な光形成が可能な膜形成材料を手にすることが、特に望まれる。これは、製造プロセスの単純化、より良好な信頼性、より低いコスト、および微細構造の寸法の忠実度の向上を可能にするため、微細加工のセンサの製造に特に好都合である。
【0049】
本発明の典型的な実施形態による光形成ガス透過膜の重要な特性は、それが微細加工に適している点に関係する。好ましくは、材料は、水蒸気、酸素、二酸化炭素、などに対して高い透過性を有するが、中性分子(例えば、約120ダルトン超の分子量を有している)およびイオン(例えば、通常は[X,H(n)などの水和した形態で存在しているイオン)に対しては実質的に非透過性である。典型的な実施形態によれば、さらにこの膜が、例えば下層のゲル母材層など、この膜に接触している他のあらゆる層の再水和時の膨潤を可能にするべく、十分に柔軟であることができる。このような膨潤が、好ましくは膜の割れまたは変形を伴うことなく生じなければならない。
【0050】
また、製造プロセスが、例えば下方または上方の表面への堅実な付着、ならびに一貫した厚さおよび線幅(典型的には、約0.1ミクロンから10ミクロンの厚さであり、約20μm以上の線幅である)へのパターン加工など、微細加工に適したある程度の単純さおよび堅牢性を有していることが望まれる。さらに、得られる光形成膜は、得られるパターンが、例えばシリコンウエハの切り分けなどの下流のプロセスにおいて生き残る(例えば、層間剥離が存在しない)点で、パターンの完全性を呈することができる。光形成可能材料の混合物も、材料が平坦な表面(例えば、シリコンウエハ)へとスピンコートされたときに、最小限の半径方向の厚さのばらつきを呈することができる。
【0051】
さらに、膜は、微細加工によるセンサに組み合わせられるガス透過膜として使用される場合、これらに限られるわけではないが以下のような特性を有することができる。すなわち、i)膜が、パターンの加工に使用される設備を汚染してはならず、ii)膜が、室温において安定性を有していなければならず、数週間にわたって安定でなければならず(膜が、そのような安定性を任意の適切な時間期間にわたって有してよいが)、iii)膜が、指定される一式の条件のもとで数ヵ月の保管を提供しなければならない(そのような保管が、任意の適切な長さの時間にわたってもよいが)。さらに膜が、例えば分析対象について報告できる範囲の全体または実質的に全体(または大部分)において、検出される分析対象の濃度が増加するにつれて実質的に線形に増加する生の信号など、適切なセンサ挙動をもたらさなければならない。膜は、ガス状分子の実質的に自由な通過を可能にする一方で、非ガス状の分子およびイオンの通過を実質的に阻止する、良好な識別性を示さなければならない。
【0052】
驚くべきことに、本発明の発明者らは、これらの望ましい特性および他の望ましい特性が、元々は電子デバイスのパッシベーションのための光硬化型絶縁コーティングの形成、ならびに回路基板、光学部品、窓ガラス、コンピュータの画面、などの耐スクラッチコーティングの提供用として想定されていた、光形成可能材料の混合物およびそれらから得られる光形成膜において達成され得ることを見出した。例えばUV硬化ポリシロキサンを含むそのような混合物は、本発明よりも前には、パターン加工されておらず、あるいはフォトリソグラフィプロセスが加えられることがなかった。さらに、このような光硬化ポリシロキサンの上述のような従来の用途の成功は、ガス透過性、水性の有機ポリマー母材への付着、低い加工温度、などの検出の用途に重要である上述の望ましい特性を想定してのものではなく、このような特性を必要ともしていない。このような混合物および材料を、微細加工センサの製造のためのフォトリソグラフィプロセスに適用することは、これまでは検討されていない。
【0053】
実際、本発明の発明者らは、セスキ構造(RSiO3/2(R’SiO3/2を有し、ここでRが有機質部分(例えば、アルキル、アルケニル、アルコキシ、およびアルケノキシ)を含み、R’が有機質部分または水素原子を含むポリマー材料が、本発明の実施に適していることを発見した。そのような混合物および材料として、メシチレン中に約30%の固体分を有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、CAS 108−65−6)の溶液中のポリシロキサンであるDow Corningの樹脂WL−7154(CAS番号 609768−46−9)が挙げられる。ポリシロキサンは、水酸基末端の3−(メタクリルオキシ)プロピルフェニルシルセキオキサンであってよい。このようなポリシロキサン溶液が、例えばフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド(CAS番号 162881−26−7)などの光開始剤に組み合わせられ、樹脂がもたらされる。UV照射(例えば、約200nmから約400nmの範囲の波長)にさらされたとき、ポリシロキサンのメタクリル基が、光開始剤の作用によって架橋する。他のDow Corningの樹脂WL−5351も使用することができ、得られる光形成膜は、良好なガス透過性および柔軟性を呈する。
【0054】
これらの樹脂を得るための代表的な方法が、例えば米国特許第6,737,117号明細書に記載されており、この特許の内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。典型的な実施形態によれば、樹脂ブレンドが、例えば、a)式(RSiO3/2(R’SiO3/2を含み、ここでRをC−C24のアルキル、C−C24のアルケニル、C−C24のアルコキシ、C−C24のアルケノキシ、またはC−C24の置換炭化水素から選択でき、R’を−H、C−Cの非置換の炭化水素、またはC−Cの置換炭化水素から選択でき、xが約5モル%から約75モル%であってよく、yが約10モル%から約95モル%であってよく、x+yが少なくとも約40モル%であってよい、オルガノシロキサン樹脂からなる約0.1重量%から約50重量%の固体分、およびb)少なくとも約90モル%の式HSiO3/2を含む樹脂からなる約50重量%から約99.9重量%の固体分を含むことができる。本明細書において使用されるとき、用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルコキシ」、および「アルケノキシ」は、直鎖、分岐、および環状の構造を含む。さらに、本明細書において使用されるとき、「置換炭化水素」は、炭素と、水素と、HSiO3/2樹脂に実質的に反応しない少なくとも1つの他の原子とを含む構造を含む。典型的な実施形態によれば、上記他の原子を、酸素、窒素、ケイ素、硫黄、などから選択することができる。
【0055】
少なくとも約90モル%のHSiO3/2単位を含む樹脂を、本明細書において、ヒドロシルセスキオキサン樹脂と称することができる。ヒドロシルセスキオキサン樹脂中の最大約10モル%までのケイ素原子は、例えばHOSiO3/2およびH(HO)SiO2/2など(本発明の属する技術分野の当業者にとって特によく知られている)といったHSiO3/2以外の構造に存在してもよい。
【0056】
やはりセスキ構造を有する他の適切な光形成材料として、例えばベータ置換オルガノシルセスキオキサンポリマーを挙げることができ、ここで置換基は、例えばアセトキシエチルおよびヒドロキシエチルであってよい。他の材料として、これらに限られるわけではないが、UV硬化型アクリレート修飾シリコンエラストマー(例えば、Gelest,Inc.が製造している)およびエポキシシクロヘキシル修飾のシリコン(Gelest,Inc.のZIPCONE(商標)Uシリーズ)、好ましくはZIPCONE(商標)UA、ZIPCONE(商標)UE、およびUMS−18が挙げられ、これらは光に対して不安定なシロキサンポリマーであって、ベータ置換のアルキル基の光脱離によってSiOに富んだ薄膜へと変化するシロキサンポリマーである。
【0057】
これらのオルガノシランは、例えば米国特許第6,770,726号明細書(その内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、RSiX(4−n)なる一般式を有するものとして特徴付けることができ、ここでnは1または2であり、本発明の典型的な実施形態によればnは1である。この一般式において、Xは、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素から選択されるハロゲン、またはメトキシ(−OCH)、エトキシ(−OCHCH)、およびプロポキシ(−OCHCHCH、−OCH(CH)の置換基から選択されるアルコキシ基を表わしている。典型的な実施形態によれば、この一般式のXは、塩素、臭素、メトキシ、またはエトキシであってよい。この一般式において、Rは、ベータ置換のアルキル基、すなわちベータ置換のエチルまたはプロピル基あるいは他の同等のベータ置換のアルキル基を表わすことができ、ここでベータ置換基は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、水酸基(−OH)、メトキシ基(−OCH)、エトキシ基(−OCHCH)、またはアセトキシ基(−OCOCH)から選択される。ベータ置換のアルキル基は、ベータ置換のエチル基であってよい。
【0058】
付着のために、このようなポリマーを、イソプロパノールまたはメトキシプロパノール中に希釈することができる。すでに述べたGelestおよびDow Corning(登録商標)のどちらの材料も、室温において適切な貯蔵特性を有することが見出されている。
【0059】
本発明の典型的な実施形態によれば、市販のi−STAT(登録商標)(New Jersey州East Windsorのi−STAT Corporation)基準センサが、光形成可能でないシロキサン−非シロキサン共重合体(11、図1aに示されている)を沈降(spun down)させ、上述の保護キャップ(12、図1aに示されている)プロセスを使用してパターン加工されるときのステップまでのステップによって、しかしながらこれらのステップを除いて、微細加工された。
【0060】
図1a、図1b、図1c、および図1dに示されているように、微細加工のステップは以下のとおりである。すなわち、a)シリコンウエハ(1)を熱によって酸化させて、ウエハの表面上に二酸化ケイ素の絶縁層(2)を形成し、b)表面上にチタニウム−タングステン合金(3)をスパッタし、続いて銀の層(4)を形成する。次いで、当技術分野において公知の従来のフォトレジストプロセス(例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,200,051号明細書を参照)を使用して、図1aの平面図および図1cの立面図(14)に示されているとおり、所望の電極(5)、導電線(6)、および電気コンタクトパッド(7)を形成すべく、これらの金属をパターンに加工する。次いで、光形成可能なポリイミドをウエハ上へと沈降させ、導電線を覆って所望のパッシベーション層(8)をもたらすべくパターン加工を行う。銀電極の塩素化処理(9)の後に、光形成可能な重クロム酸ゼラチン層をウエハ上へと沈降させ、銀−塩化銀電極および周囲の領域を覆う電解質支持母材層(10)をもたらすようにパターン加工を行う。図1aおよび図1bにおいて、シリコンウエハ1の全体寸法が、約3mm×約5mmである点に留意されたい。さらに、図1cおよび図1dに示した立面図が、種々の層の関係を示そうとするものであって、比例尺ではないことに留意されたい。
【0061】
電極を、当技術分野においてよく知られているように、例えば白金、金、イリジウム、他のハロゲン化銀、炭素、などを使用して微細加工してもよいことに、留意されたい。金属および非金属の電極の他に、検出面が、例えば平面光導波路、エバネッセント波センサ、表面弾性波センサ、などをさらに含んでもよい。このようなデバイスは、当技術分野においてよく知られており、本明細書に記載の母材および膜のプロセスによくなじむ。
【0062】
本発明の典型的な実施形態による改善されたプロセスでは、上述のように製造したウエハを、上述のDow Corning(登録商標)の樹脂WL−7154(CAS番号 609768−46−9)でスピンコートを、ウエハ当たり約3mLから5mLを使用して、約900RPMのスピン速度で約10秒間にわたって材料を広げて行うことができる。このような工程の直後に、より高速な約2000RPMでの回転が約40秒間にわたって続けられ、約1.85μmの膜厚さが達成された。このような工程に続いて、露光前の軽い焼成を、付着の改善および脱ガス溶媒の閉じ込めに起因する薄膜内の気泡の防止のために、緩やかな温度の低下を特徴としつつ、約100℃にて約60秒間にわたって行った。
【0063】
次に、約1000mJ/cmの広帯域スペクトルのUV露光を、フォトマスクを介して実行した。次の工程は、約100℃での約60秒間の焼成であり、続いて少なくとも30分間にわたる室温での硬化である。現像工程を、ウエハトラックについて、メシチレンの噴霧を約15秒間にわたって加え、次いで約10秒間にわたって約500RPMでイソプロパノール洗浄を行い、次いで約3500RPMで約20秒間のスピン乾燥を行うことによって実行した。これらの工程によって、図1bの平面図および図1dの立面図(15)に示されているように、約770×930μmの寸法および約1.85μmの厚さの矩形のパターン加工済み膜の層(13)が得られた。
【0064】
図1bに示されているように、膜(13)を、下層の母材、電極、および表面上の他の要素に対して任意の所望の固定された幾何学的関係をもたらすように、そのような目的を実現すべくフォトマスクの整列および露光を思慮深く使用することによって、パターン加工することができる。このプロセスが、随意により、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の約2%から4%のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(CAS 4369−14−6)からなる付着下塗り剤を最初にスピンコートすることを含んでもよいことに、留意されたい。このような下塗り剤を、得られる膜の表面への付着を改善するために使用することが可能である。典型的な実施形態によれば、そのような使用は必要とされず、その結果、プロセスが簡略化され、ウエハのさらなる化学品への暴露が最小限にされる。
【0065】
本発明の当業者であれば、本発明のプロセスが従来のプロセスに比べてはるかに簡潔であることを、理解するであろう。おそらく、さらに重要なことには、従来技術(図2a)と本発明(図2b)とを比較している図2に示されているように、樹脂材料が、驚くほどに良好にパターン加工されている。本発明の典型的な実施形態が、従来のプロセス(17)に比べてより鋭くかつより綺麗な縁(16)をもたらすことができるため、図2bにおいて、パターンの縁の制御に大きな改善が見られることに留意されたい。
【0066】
従来のプロセスでは、エッチングプロセスにおけるアンダーカットの傾向ゆえに、横方向の寸法のばらつきが持ち込まれる。検出デバイスの性能が、膜の縁から電極までの一貫した経路長を有することに依存し得るため、より綺麗かつ良好に定められた縁を有することで、同じウエハ上のセンサ間のばらつき、ならびに続けて加工されるウエハ間のばらつき、およびウエハのバッチの間のばらつきが小さくなる。このような改善は、何百万ものセンサが製作され、1回限り使用の分析デバイス(例えば、i−STAT Corp.によってI−STAT(登録商標)血液分析システムの一部として販売されている種類など)において使用可能であるこの種のデバイスにとって、有意義である。そのようなシステムは、病院およびその他の場所で例えばグルコース、酸素、二酸化炭素、カリウム、などの分析対象について血液検査を提供するために使用される。そのようなシステムに含まれる電位差センサが、動作のために、本明細書に記載の種類の基準センサを必要とする。
【0067】
典型的な実施形態による本発明のプロセスは、さらなる望ましい特徴を有している。例えば、膜の層が、トラック焼成工程の後で最小限の粘着性を有し、設備の汚染が観察されず、例えばウエハの切り分けおよびセンサのパッケージ化などの下流のプロセスの後に、薄膜の損傷が見受けられない。最も重要なことには、材料を、数百もの個々のセンサを含有するウエハを横断する半径方向およびウエハ間の両者について、厚さを約0.1μmの範囲に管理するように調製できる。
【0068】
対照実験によって、膜の材料が下方の母材層を完全にまたは実質的に完全に囲むようにパターン加工された場合、デバイスをイオン性の水溶液に接触させたときに第2の外部の試験基準電極構造に対する電気的接触が存在しない(すなわち、電極が開回路である)ことが実証された。このような試験は、パターン加工された膜材料がイオン伝導性でなく、あるいはさらに具体的には、塩橋をもたらす開口を意図的に含めない限りは、イオンの拡散の速度が試験の時間枠において測定不可能になるほどに十分に遅いことを確認している。
【0069】
第2の電極が、上述の図1のウエハ構造(図示せず)に製作され、やはり膜によって囲まれる場合に、膜が水溶液に接触させられたときに、これら2つの電極の間に電気的接触を確立することができる。ここで、前もって乾燥させられて保管されたデバイスが、水蒸気が膜を通過するにつれて湿潤し、下層の母材中のイオンを溶媒和させる。このような湿潤のプロセスは、約1.85μmの膜においては約10秒から約60秒で生じ、厚さに依存することが分かっている。約0.1μmから約10μmの範囲の膜が、望ましい湿潤特性を示した。これらの実験により、典型的な実施形態にしたがって本発明のプロセスを使用して加工された膜を、実質的にイオン非透過性であるが、実質的にガス透過性(例えば、水蒸気)であると見なせることが確認された。
【0070】
動作において、基準センサが、基本的に固定または予測可能な半電池電位をもたらすように機能し、この電位に対して、第2のセンサ(例えば、カリウム電極)の電位を測定することができる。例えば、i−STAT(登録商標)システムにおいては、乾燥状態で保管された基準センサおよび他のセンサが、最初に、知られている電解質組成を有する水性の較正用流体に接触させられる。このような初期の接触が、水蒸気がガス透過膜を通って塩化物イオンを含有する下層の母材を溶媒和させる、センサの迅速な湿順を可能にする(例えば、それぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,112,455号明細書および第4,933,087号明細書に記載されているように)。これらのイオンが、銀−塩化銀電極に予測可能な電位を確立する。ガス透過膜の外周において、下層の母材が較正用流体に接触し、イオンが横切って流れて隣接のセンサ(例えば、カリウム電極)との電気的連続を確立できる、液体接点(または、塩橋)をもたらす。典型的な実施形態によれば、分析サイクルが、センサを約1分間から約2分間にわたって較正用流体に接触させ、次いで約1分間にわたって血液サンプルに接触させることからなる。このシステムにおける電気化学的測定の時間軸において、基準センサの母材におけるイオンの濃度が基本的に一定であり、信頼できる基準電位をもたらしていることに留意されたい。
【0071】
この改善された基準センサの実際の性能に関して、接地と比べた基準電位の上昇が、よく知られているヘンダーソンの関係に従い、液体接点の電位の低下によって低速な陰イオンからの干渉の大きさを小さくすると予想される。図3は、液体接点の電位305が、約100mVの電位において最小値310に達することを示すグラフ300である。このような電位を、パターン加工後にウエハへとさらされるKCl水溶液の濃度を高めることで、そのような浸漬のプロセスによってより多くのKCl塩が基準センサの母材層へと取り入れられるため、上昇させることができる。このように、WL−7154を使用する改善されたガス透過膜を、電位差測定のための信頼できる半電池電位をもたらすために使用することができる。
【0072】
典型的な実施形態による本発明のガス透過膜の製造プロセスを、グルコースセンサの製造に適用した。そのようなセンサも、i−STAT(登録商標)システムにおいて使用される。グルコースセンサのアレイを有するシリコンウエハの製造のプロセスは、銀金属が白金で置き換えられ、母材がやはり酵素グルコースオキシダーゼを含むポリビニルアルコールである点を除き、基準センサについて上述した製造プロセス(例えば、それぞれの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,200,051号明細書および第6,030,827号明細書を参照)と同様である。
【0073】
WL−7154材料の付着およびパターン加工を、基準センサについて上述したように行った。この例においては、酵素によるグルコースの酸化を支持するために必要な酸素が、ガス透過膜の層を直接通過する拡散によって母材へと供給される一方で、グルコースは、ガス透過層の1つ以上の開口を通ってのみ母材へ進入する。このようなプロセスは、臨床の糖尿病患者の血液サンプルにおいて見られるグルコース濃度の全範囲にわたって、センサの出力の線形性を保証するように機能する。図4は、基準の方法としてのCX7分析器に対して測定したとき、新規なプロセス405および従来のプロセス410の両者について10mg/dLから680mg/dLの範囲にわたって満足できる線形応答を示しているグラフ400である。この新規なガス透過プロセスを、例えばラクテートおよびクレアチニンなどの他の分析対象のための他の電流測定センサの製造にも適用できることが、明らかになっている。
【0074】
この新規なグルコースセンサに関して、膜材料がグルコースオキシダーゼを含む下方の母材層を内部の基準電極とともに完全にまたは実質的に完全に囲むようにパターン加工された場合、グルコースをさまざまな濃度で含有するさまざまな溶液に接触しても、グルコース依存の信号が存在しないことが対照実験によって実証されている。このような試験は、ここで加工されたような膜が、基本的にグルコースなどの非ガス状の分子に対して非透過性であり、すなわち膜を通ってのグルコースの拡散の速度を、酸素および水蒸気の拡散の速度と比べて無視できることを確認している。さらなる実験によって、ラクテート、クレアチニン、クレアチン、アスコルビン酸塩、尿酸塩、およびビリルビン、ならびに塩化物、カリウム、ナトリウム、カルシウム、プロトン、および水酸化物を含むイオンについて、膜を通っての拡散の速度がすべて無視できることが示されている。このような発見は、膜が実質的にガス透過性であるが、非ガス状の分子およびイオンに対しては実質的に非透過性であることに一致している。
【0075】
上述の典型的な実施形態におけるグルコースオキシダーゼを、センサ上での選択性をもたらす他の生物活性分子で置き換えることができることに、留意されたい。そのような生物活性分子として、例えばアスコルビン酸塩オキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチニナーゼ、カルボニックアンヒドラーゼ、などの酵素が挙げられる。
【0076】
典型的な実施形態による改善されたガス透過膜プロセスを、酸素(pO)、二酸化炭素(pCO)、およびラクテートのセンサの製造にも適用した。そのようなセンサも、i−STAT(登録商標)システムにおいて使用される。シリコンウエハ上への酸素センサの製造のプロセスは、白金金属が約10μmの直径を有する金電極の微細アレイで置き換えられ、ポリビニルアルコール製の母材が酵素を含有せず、随意により付着を助けるための不活性たんぱく質(例えば、アルブミン)を含む点を除き、グルコースセンサについて上述した製造プロセス(例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,514,253号明細書を参照)と同様である。WL−7154材料の付着およびパターン加工を、基準センサについて上述したように行った。
【0077】
図5は、この新規な材料によって加工された酸素センサが、22mmHgから324mmHgのpO範囲にわたって線形な応答505を有し、従来のプロセス510に十分に匹敵することを示すグラフ500である。サンプル電流の較正電流に対する比がpOに比例し、適切な一次方程式を使用してナノアンペア(nA)の単位からmmHgへと変換できることに、留意されたい。同様のデータが、ラクテートセンサについても、図6に示したグラフ600に示されているように、それぞれ本発明のプロセス605および従来のプロセス610を使用して得られている。例えば図6に見ることができるように、典型的な実施形態による本発明のプロセスが、やはり適切な線形性をもたらしている。
【0078】
シリコンウエハ上への二酸化炭素センサの製造のプロセスは、母材がキンヒドロンおよび酵素カルボニックアンヒドラーゼを含む点を除き、酸素センサについて上述した製造プロセス(例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,514,253号明細書を参照)と同様である。キンヒドロンは、溶解した二酸化炭素、カルボン酸、ならびに重炭酸塩および水素イオンの間の平衡によるプロトン濃度の関数である酸化還元電位を確立するように機能する。カルボニックアンヒドラーゼは、この反応に対して触媒として機能する。例えばフェロセンおよび置換フェロセン、ならびにフェリシアニドおよびフェロシアニドなど、キンヒドロンに対して代案となる酸化還元活性な種も、使用可能であることに留意されたい。
【0079】
pCO2センサのためのWL−7154材料の付着は、基準センサについて上述したとおりであってよい。しかしながら、典型的な実施形態によれば、二酸化炭素センサを、膜材料をセンサ当たり約10nLの量で母材層の上へと直接に微細に送出して乾燥させ、母材を囲む、あるいは実質的に囲む膜の層を形成することによって製造することができる。紫外線によるフラッド露光によって、膜が光で現像されて固定される。このような手法は、材料のスピンコートならびにマスクを用いた露光および現像の工程を不要にし、すなわちパターン加工を不要にする。
【0080】
酸素センサおよび二酸化炭素センサのどちらも、ガス透過膜が母材層を完全にまたは実質的に囲むように形成されたとき、さらに基準電極も膜の下方に存在する限りにおいて満足に動作する。これは、ポリマー膜が、酸素および二酸化炭素などのガス状の分子に対して透過性であることに一致している。
【0081】
光形成可能なシルセスキオキサン材料が、制御された微細送出によって表面上の特定の位置へと付着させられる典型的な実施形態においては、微細送出プロセスの教示が、例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,554,339号明細書に記載されている。
【0082】
センサが例えば光ファイバ素子またはワイヤ電極などの円筒形のデバイスである、さらに別の典型的な実施形態によれば、センサを光形成可能な共重合体で浸漬被覆し、次いでガス透過膜を成立させるべく紫外線へとフラッド暴露させることができる。
【0083】
さらなる典型的な実施形態によれば、光形成可能なゼラチンおよびポリビニルアルコールをパターン加工することによって下層の母材を形成するほかに、これらの母材を、所望の量の材料を微細に送出し、次いで紫外線へのフラッド暴露によって、表面上に形成してもよい。あるいは、母材を、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール、およびニトロセルロースなどの微細送出による光形成可能でない組成物によって形成し、その後に乾燥工程を続けることも可能である。
【0084】
本発明の典型的な実施形態によるデバイスおよび方法は、例えばグルコースおよび酸素などの代謝産物の検出および測定のための微細加工のセンサに適しており、さらには銀−塩化銀などにもとづくものなど、基準センサとしての微細加工のセンサに適している。このようなセンサは、例えば血液などを含む液体サンプルについて測定を行うために適しており、事故現場、緊急治療室、集中治療室、などでの使用を含む医療現場での診断に使用することが可能であり、さらには環境検査などの非医療の目的に使用することも可能である。
【0085】
本発明は、本発明の技術的思想および本質的特徴から逸脱することなく、さまざまな具体的形態にて具現化できることを、当業者であれば理解できるであろう。本明細書において開示した実施形態は、あらゆる点で、説明を目的とするものと理解すべきであり、本発明を限定するものとして理解してはならない。本発明の技術的範囲は、以上の説明によってではなく、特許請求の範囲によって示され、その均等物の意味および範囲に包含されるすべての変更は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
上述したすべての米国特許および米国特許出願、外国特許および外国特許出願、ならびに刊行物は、それらの全体が援用によって本明細書に取り入れられたものとする。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6