特許第5969460号(P5969460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969460爪領域検出方法、プログラム、記憶媒体、及び爪領域検出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969460
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】爪領域検出方法、プログラム、記憶媒体、及び爪領域検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   G06T7/00 100D
【請求項の数】25
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-504736(P2013-504736)
(86)(22)【出願日】2012年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2012056403
(87)【国際公開番号】WO2012124686
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年3月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-55889(P2011-55889)
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501401102
【氏名又は名称】星野 聖
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】星野 聖
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−231352(JP,A)
【文献】 特開2009−135704(JP,A)
【文献】 特開平09−051443(JP,A)
【文献】 星野聖,外2名,“手画像からの爪領域の高精度抽出”,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,2011年 2月14日,Vol.110,No.422,p.87−90
【文献】 古味繁幸,外2名,“手指画像中における肌と爪の分離”,映像情報メディア学会技術報告,(社)映像情報メディア学会,2010年10月11日,Vol.34,No.41,p.21−23
【文献】 玉城絵美,外1名,“安定した肌色抽出のための個人別表色系”,日本バーチャルリアリティ学会論文誌,特定非営利活動法人日本バーチャルリアリティ学会,2007年12月31日,第12巻,第4号,p.471−478
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーカメラで撮像された手指画像の撮像画像データがHLS座標系の3次元色空間の第1グラフにプロットされて変換された第1プロット領域を、2次元平面の第2プロット領域に写像する処理を、前記HLS座標系の3次元色空間の色相の軸の値に沿ってしきい値を変更しつつ複数回実施し、
その各回の処理において、前記2次元平面の第2プロット領域おける少なくとも一つの物理量又はその比率を検出し、
その第2プロット領域の物理量又はその比率が各回の処理で変化する変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定する
ことを少なくとも含む爪領域検出方法。
【請求項2】
カラーカメラにより使用者の手指を含んで撮像された撮像画像データを、カラーカメラで使用された表色系から、当該カラーカメラで使用された表色系とは異なる3種類の要素の3軸により表現されるHLS表色系に変換してHLS座標系の3次元色空間の第1グラフにプロットする第1ステップと、
前記HLS表色系に変換してプロットされたデータが分布する1個以上の第1プロット領域に対して、前記3軸の中の色相の軸の値に沿って、他の軸には平行なしきい値を設定する第2ステップと、
前記第1プロット領域における前記の色相軸のしきい値以上の各プロットデータのみを前記の色相軸に前記しきい値において直交する2次元平面の第2グラフに再プロットして第2プロット領域とする第3ステップと、
前記第2グラフの複数の第2プロット領域における少なくとも一つの物理量又はその比率を検出する第4ステップと、
前記第2ステップのしきい値を前記色相の軸に沿って前記第1プロット領域を横断する方向に変化させ、前記第3および第4ステップを繰り返す第5ステップと、
前記第5ステップでしきい値毎に得られる第2プロット領域の物理量又はその比率の変化量を検出し、変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定する第6ステップと
を有する爪領域検出方法。
【請求項3】
前記第1ステップでは、前記撮像画像データに対して、第1グラフにプロットする前に少なくとも外部エッジの除去と影の影響除去を含む所定の前処理を行うステップと、爪らしい色相の爪候補色相画素領域を含む肌領域を第1プロット領域として検出するステップとを少なくとも含む
請求項2に記載の爪領域検出方法。
【請求項4】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量又はその比率が少なくとも一つの軸方向の長さ寸法である
請求項2又は3に記載の爪領域検出方法。
【請求項5】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、前記軸方向の長さ寸法が、最大寸法である長軸方向の長さ寸法である
請求項4に記載の爪領域検出方法。
【請求項6】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量又はその比率が面積である
請求項2又は3に記載の爪領域検出方法。
【請求項7】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における面積が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の面積である
請求項6に記載の爪領域検出方法。
【請求項8】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における面積が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域を、前記第2プロット領域から排他的論理和で除去した粗領域の面積である
請求項6に記載の爪領域検出方法。
【請求項9】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の面積と、前記第2プロット領域から前記密領域を除いた粗領域の面積と、の比率である
請求項2又は3に記載の爪領域検出方法。
【請求項10】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量又はその比率が画素数である
請求項2又は3に記載の爪領域検出方法。
【請求項11】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における画素数が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の画素数である
請求項10に記載の爪領域検出方法。
【請求項12】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における画素数が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域を、前記第2プロット領域から排他的論理和で除去した粗領域の画素数である
請求項10に記載の爪領域検出方法。
【請求項13】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の画素数と、前記第2プロット領域から前記密領域を除いた粗領域の画素数と、の比率である
請求項2又は3に記載の爪領域検出方法。
【請求項14】
前記第1ステップでは、前記第1グラフが、前記3種類の要素の前記3軸の中の2軸を用いた2次元平面のグラフである
請求項2〜13の何れか一つに記載の爪領域検出方法。
【請求項15】
前記第1ステップでは、前記HLS表色系が少なくとも色相を含む
請求項2〜14の何れか一つに記載の爪領域検出方法。
【請求項16】
前記第2ステップでは、前記しきい値の色相の軸は、前記第1プロット領域から、前記色相の軸における最大値と最小値の少なくとも一方を求め、前記最大値又は最小値の一方側よりも外側に前記しきい値の初期値を設定する
請求項2〜1の何れか一つに記載の爪領域検出方法。
【請求項17】
前記第4ステップでは、第2プロット領域に膨張処理と縮退処理を繰り返すことにより画定する
請求項2〜1の何れか一つに記載の爪領域検出方法。
【請求項18】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、最大の軸方向の長さ寸法である長軸方向の第1寸法と、最小の軸方向の長さ寸法である短軸方向の第2寸法との比率である
請求項2又は3に記載の爪領域検出方法。
【請求項19】
前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、最大の軸方向の長さ寸法である長軸方向の第1寸法と、最小の軸方向の長さ寸法である短軸方向の第2寸法との、第1寸法/(第1寸法+第2寸法)の比率である
請求項2又は3に記載の爪領域検出方法。
【請求項20】
前記第1ステップでは、前記HLS表色系が色相(HUE)、彩度(SATURATION)、輝度(LUMINANCE)よりなる
請求項2〜19の何れか一つに記載の爪領域検出方法。
【請求項21】
請求項〜20の何れか一つの爪領域検出方法における各ステップを情報処理装置に実施させためのプログラム。
【請求項22】
請求項21のプログラムを記憶する記憶媒体。
【請求項23】
カラーで使用者の手指を含む画像を撮像するカラーカメラと、
前記カラーカメラから出力される画像データを処理する情報処理装置とを
少なくとも含んで構成され、
前記情報処理装置は、
請求項21のプログラムがインストールされたプログラム記憶部と、
前記プログラムを実行するための構成を含む
手指画像からの爪領域検出装置。
【請求項24】
カラーで使用者の手指を含む画像を撮像するカラーカメラと、
前記カラーカメラにより使用者の手指を含んで撮像された撮像画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記撮像画像データを、カラーカメラで使用された表色系から、当該カラーカメラで使用された表色系とは異なる3種類の要素の3軸により表現されるHLS表色系に変換して第1グラフにプロットする表色変換プロット部と、
前記HLS表色系に変換してプロットされたデータが分布する1個以上の第1プロット領域に対して、前記3軸の中の色相の軸の値に沿って、他の軸には平行なしきい値を設定し、さらにしきい値を前記第1プロット領域を横断する方向に変化させるしきい値設定部と、
前記第1プロット領域における前記色相の軸のしきい値以上の各プロットデータのみを前記色相の軸に前記しきい値において直交する2次元平面の第2グラフに再プロットして第2プロット領域とする第2プロット部と、
前記第2グラフの複数の第2プロット領域における少なくとも一つの物理量又はその比率を検出する検出部と、
前記しきい値設定部で、しきい値を前記色相の軸に沿って前記第1プロット領域を横断する方向に変化させながら、前記第2プロット部で前記しきい値以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットし、前記検出部で第2グラフの複数の第2プロット領域における物理量又はその比率を検出する処理をくり返すくり返し制御部と、
前記くり返し制御部によりしきい値毎に得られる第2プロット領域の物理量又はその比率の変化量を検出し、変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定する爪判定部と
を有する手指画像からの爪領域検出装置。
【請求項25】
カラーカメラで撮像された手指画像の撮像画像データがHLS座標系の3次元色空間の第1グラフにプロットされて変換された第1プロット領域を、2次元平面の第2プロット領域に写像する処理を、前記HLS座標系の3次元色空間の色相の軸の値に沿ってしきい値を変更しつつ複数回実施し、
その各回の処理において、前記2次元平面の第2プロット領域おける少なくとも一つの物理量又はその比率を検出する制御部と、
その第2プロット領域の物理量又はその比率が各回の処理で変化する変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定する爪判定部と
を少なくとも含む手指画像からの爪領域検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーカメラで撮像した手指画像から爪領域を検出する爪領域検出方法、プログラム、記憶媒体、及び爪領域検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーカメラで使用者を撮像した手指画像のシルエット形状から、手の移動方向や移動量(hand tracking)を用いるジェスチャー入力の製品への採用が増加している。そのため、手の移動方向や移動量を検出するための技術である高速かつ高精度の3次元手指形状推定(hand pose estimation)の必要性が増大している。
【0003】
一方、従来のジェスチャー入力では必要な、特殊な身体動作やポーズを記憶したり、習熟する必要性を無くしたり、直感的に操作することを可能にするために、3次元手指形状推定を、より正確にして用いたり、応用して情報処理装置やゲーム装置等に用いたいという要望がある。例えば、手の移動方向や移動量を検出するだけでなく、その手を検出する技術を利用して「手の形や姿勢」を検出して、情報処理装置やゲーム装置等の動作に対応させることが要望されている。
【0004】
3次元手指形状を推定するためのアプローチの一つの方法として、カメラで撮像した画像からの特徴抽出は行わず、入力画像と、照合用データベースに格納されている画像とを情報処理装置で直接比較する2-D-apprearance-basedの方法がある。入力画像にはカメラで撮像したシルエット形状を用いることができ、情報処理装置は、表示される手指形状から概略の手指のシルエット形状を推定することができる。
【0005】
「手の形や姿勢」をカメラで撮像した画像中から検出する場合、以下の(a)、(b)、(c)の3点の特徴を有することから、シルエット形状により、手指形状をより正確に推定する事は困難だった。
(a)手指は、多関節構造であるため形状変化が複雑である点。
(b)手指は、関節を曲げたり、握った場合に、シルエット形状としては手の甲や手のひらに手指が隠れてしまう自己遮蔽が多い点。
(c)手指は、身体全体に対する部位の占める比率は小さいが、可動空間が広い点。
【0006】
本願発明者は、上記のように従来の手指のシルエット形状のみからでは「手の形や姿勢」を正確に検出することが困難であったことから、「手の形や姿勢」をより正確に推定するために、爪位置情報を追加することを試みた(例えば、非特許文献1参照)。また、本願発明者は、入力画像と直接比較する画像を格納する照合用データベースの構造について、爪の位置情報を用いれば効率を改善できることを示した(例えば、非特許文献2参照)。
【非特許文献1】玉城絵美, 星野 聖: "手首関節動作を含んだ手指形状の3次元推定," 信学技報WIT, 107, 179, pp.59-62, 2007。
【非特許文献2】佐野亮介, 冨田元將, 星野聖: "爪の相対的な位置情報をふるい分けに用いた3次元手指形状推定," 映像情報メディア学会技報, 33, 17, pp.21-24, 2009。
【0007】
しかしながら、非特許文献1の場合は、一人の使用者の例で手指画像から所定のアルゴリズムで爪位置情報を検出することを示しているが、どのような使用者の手指画像からでも、同じアルゴリズムで同様に爪位置情報を抽出できるかを確認しておらず、普遍性及び再現性が確認されているアルゴリズムではない。また、シルエット形状の情報に爪位置の情報を効率的に割り当てる方法についても言及していない。
【0008】
また、非特許文献2の場合は、爪位置情報を正確に抽出できたという前提で照合用データベースの構造について効率改善を試みたものであり、手指画像の肌領域から爪領域を判別する方法について記載していない。
【0009】
すなわち、従来の方法では、任意の使用者に対して手指画像の肌領域から爪領域の位置情報を得ることができず、シルエット形状の情報に爪情報を有効に追加したり、シルエット形状の情報に各々の爪位置の情報を効率的に割り当てできなかった。従って、従来の方法では、手指の形状をより正確に推定する事の困難性を解消することができなかった。
【発明の開示】
【0010】
そこで本発明は、上記の課題を解決するために、任意の使用者に対して手指画像の肌領域から爪領域の位置情報を得ることができ、手指の形状をより正確に推定できる爪領域検出方法、プログラム、記憶媒体、及び爪領域検出装置を提供することを目的とする。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る爪領域検出方法は、カラーカメラで撮像された手指画像の撮像画像データが3次元色空間の第1グラフにプロットされて変換された第1プロット領域を、2次元平面の第2プロット領域に写像する処理を、前記3次元色空間の1軸の値に沿ってしきい値を変更しつつ複数回実施し、その各回の処理において、前記2次元平面の第2プロット領域おける少なくとも一つの物理量又はその比率を検出し、その第2プロット領域の物理量又はその比率が各回の処理で変化する変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定することを少なくとも含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る第1実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態で手指の画像データをRGB表色系からHLS表色系に変換した場合のデータ領域の変化を示す図である。
図3】第1実施形態の第1例のHLS表色系に変換した画像データを示す図である。
図4】第1実施形態の第2例のHLS表色系に変換した画像データを示す図である。
図5】第1実施形態の第3例のHLS表色系に変換した画像データを示す図である。
図6】第1実施形態の第4例のHLS表色系に変換した画像データを示す図である。
図7】第1実施形態の第5例のHLS表色系に変換した画像データを示す図である。
図8】第1実施形態の第6例のHLS表色系に変換した画像データを示す図である。
図9】第1実施形態のHLS表色系に変換した画像データをHS座標にプロットして領域設定した様子を示す図である。
図10】第1実施形態のHS座標上の可変するしきい値以上のプロットデータ領域の増減する様子を示す図である。
図11】第1実施形態のHS座標上の可変するしきい値により爪領域と他の肌領域で長軸方向の長さ寸法の変化勾配が異なる様子を示す図である。
図12】第1実施形態のHS座標上の第1高(最高)のしきい値以上のプロットデータ領域の様子を示す図である。
図13】第1実施形態のHS座標上の第2高のしきい値以上のプロットデータ領域の様子を示す図である。
図14】第1実施形態のHS座標上の第3高のしきい値以上のプロットデータ領域の様子を示す図である。
図15】第1実施形態のHS座標上の第4高(最低)のしきい値以上のプロットデータ領域の様子を示す図である。
図16】第1実施形態の手指の変換したHLS表色系の画像データを可変するしきい値によりしきい値以上のプロットデータを検出してその領域の変化量の勾配により爪領域を判定する概略の方法を示すフローチャートである。
図17】第1実施形態の可変するしきい値以上のプロットデータを検出してその領域の変化量の勾配により爪領域を判定するより詳細な方法を示すフローチャートである。
図18】第1実施形態の図17で判定された爪領域の個数と重心を求める方法を示すフローチャートである。
図19】本発明の第2実施形態で手指の画像データをYIQ表色系に変換した場合のデータ領域の相違を示す図である。
図20】爪候補が粗の分布が一様ではないことを示す図である。
図21】本発明に係る第3実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
図22】第3実施形態のHLS表色系に変換した画像データを示す図である。
図23】第3実施形態の方法の説明図である。
【発明の詳細な説明】
【0013】
全般的説明
(1)本発明に係る爪領域検出方法は、カラーカメラで撮像された手指画像の撮像画像データが3次元色空間の第1グラフにプロットされて変換された第1プロット領域を、2次元平面の第2プロット領域に写像する処理を、前記3次元色空間の1軸の値に沿ってしきい値を変更しつつ複数回実施し、その各回の処理において、前記2次元平面の第2プロット領域おける少なくとも一つの物理量又はその比率を検出し、その第2プロット領域の物理量又はその比率が各回の処理で変化する変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定することを少なくとも含む。
【0014】
本爪領域検出方法では、3次元色空間の第1プロット領域を2次元平面に写像する際に、しきい値を変えて得られた第2プロット領域の物理量又はその比率の変化量の勾配を用いて、第2プロット領域を爪領域と判定するので、手指画像から爪領域を確実に判定でき、手のシルエット形状の情報に爪の位置を容易に割り当てできるので、手指の形状をより正確に推定することができる。
【0015】
(2)本発明に係る爪領域検出方法は、カラーカメラにより使用者の手指を含んで撮像された撮像画像データを、カラーカメラで使用された表色系から、当該カラーカメラで使用された表色系とは異なる3種類の要素の3軸により表現される所定の表色系に変換して3次元色空間の第1グラフにプロットする第1ステップと、前記所定の表色系に変換してプロットされたデータが分布する1個以上の第1プロット領域に対して、前記3軸の中の1軸の値に沿って、他の軸には平行なしきい値を設定する第2ステップと、前記第1プロット領域における前記1軸のしきい値以上の各プロットデータのみを前記一軸に前記しきい値において直交する2次元平面の第2グラフに再プロットして第2プロット領域とする第3ステップと、前記第2グラフの複数の第2プロット領域における少なくとも一つの物理量又はその比率を検出する第4ステップと、前記第2ステップのしきい値を前記1軸に沿って前記第1プロット領域を横断する方向に変化させ、前記第3および第4ステップを繰り返す第5ステップと、前記第5ステップでしきい値毎に得られる第2プロット領域の物理量又はその比率の変化量を検出し、変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定する第6ステップとを有する。
【0016】
本爪領域検出方法では、第1ステップで撮像画像データを所定の表色系に変換した第1プロットデータから、第2ステップで設定されたしきい値を第5ステップで可変させながら、第3ステップでそのしきい値以上のものを再プロットされたデータが分布する第2プロット領域の物理量又はその比率を第4ステップで検出し、第6ステップで物理量又はその比率の変化量の勾配が他の領域よりも小さい(例えば最小である)第2プロット領域を爪領域と判定する。この所定の表色系に変換したプロット領域の物理量又はその比率の変化量の勾配を用いて、プロット領域が爪領域か否かを判断することにより、従来よりも確実に撮像画像データから爪領域を認識することができる。
【0017】
(3)本発明に係る爪領域検出方法の前記第1ステップでは、前記撮像画像データに対して、3次元色空間の第1グラフにプロットする前に少なくとも外部エッジの除去と影の影響除去を含む所定の前処理を行うステップと、爪らしい色相の爪候補色相画素領域を含む肌領域を第1プロット領域として検出するステップとを少なくとも含むようにしてもよい。
【0018】
本爪領域検出方法の第1ステップでは、例えば、前処理として、撮像画像データの最外周の輪郭から内側に数画素を削除することで、細かいノイズが乗りやすい画像中の外部エッジを除去することができ、あるいは、8ビットで示される赤色のビット値で判別した局所内にガンマ補正処理を実施することで影の影響を軽減することができる。
【0019】
(4)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量又はその比率が少なくとも一つの軸方向の長さ寸法であるようにしてもよい。
【0020】
第2プロット領域内の一つの軸方向の長さ寸法を、しきい値を可変させながら複数回検出し、その軸方向の長さ寸法の変化量の勾配が他の領域よりも小さい第2プロット領域を爪領域と判定することで、手指画像の爪領域を簡単に検出でき、手指の形状をより容易に推定できる。
【0021】
(5)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、前記軸方向の長さ寸法が、最大寸法である長軸方向の長さ寸法であるようにしてもよい。
【0022】
軸方向の長さ寸法を長軸方向にすることで、さらに簡単に手指画像の爪領域を検出でき、手指の形状もさらに容易に推定できる。
【0023】
(6)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量又はその比率が面積であるようにしてもよい。
【0024】
(7)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における面積が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の面積であるようにしてもよい。
【0025】
(8)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における面積が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域を、前記第2プロット領域から排他的論理和で除去した粗領域の面積であるようにしてもよい。
【0026】
(9)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の面積と、前記第2プロット領域から前記密領域を除いた粗領域の面積と、の比率であるようにしてもよい。
【0027】
第2プロット領域内の面積を、しきい値を可変させながら複数回検出し、その面積の変化量の勾配、又は、密領域の面積の変化量の勾配、又は、粗領域の面積の変化量の勾配、又は、密領域の画像の面積と粗領域の面積との比率の変化量の勾配、の少なくとも何れか一つが他の領域よりも小さい第2プロット領域を爪領域と判定することで、手指画像の爪領域を簡単に検出でき、手指の形状をより容易に推定できる。
【0028】
(10)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量又はその比率が画素数であるようにしてもよい。
【0029】
(11)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における画素数が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の画素数であるようにしてもよい。
【0030】
(12)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における画素数が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域を、前記第2プロット領域から排他的論理和で除去した粗領域の画素数であるようにしてもよい。
【0031】
(13)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、当該第2プロット領域に対して平滑化処理を実施後の画素が密である密領域の画像の画素数と、前記第2プロット領域から前記密領域を除いた粗領域の画素数と、の比率であるようにしてもよい。
【0032】
第2プロット領域内の画素数を、しきい値を可変させながら複数回検出し、その画素数の変化量の勾配、又は、密領域の画素数の変化量の勾配、又は、粗領域の画素数の変化量の勾配、又は、密領域の画像の画素数と粗領域の画素数との比率の変化量の勾配、の少なくとも何れか一つが他の領域よりも小さい第2プロット領域を爪領域と判定することで、手指画像の爪領域を簡単に検出でき、手指の形状をより容易に推定できる。
【0033】
(14)本発明に係る爪領域検出方法の前記第1ステップでは、前記3次元色空間の第1グラフが、前記3種類の物理量の前記3軸の中の2軸を用いた2次元平面のグラフであるようにしてもよい。
【0034】
本爪領域検出方法の第1ステップでは、表色系が3種類の物理量を用いるものであっても、2軸を用いた2次元平面のグラフとすることで、しきい値を、3次元色空間のグラフにおける捩れた方向に設定する必要がなくなるので設定を容易にできる。そのため、しきい値の設定を自動化したり、しきい値の変更処理が容易であり、使用者はディスプレイを目視することで容易に確認でき、第2プロット領域の認識や、爪領域の判定を容易にできる。
【0035】
(15)本発明に係る爪領域検出方法の前記第1ステップでは、前記所定の表色系が少なくとも色相を含むようにしてもよい。
【0036】
本爪領域検出方法の第1ステップでは、爪の検出に用いる表色系の物理量に色相を用いることで、従来よりも明確に指と爪を判別することができる。
【0037】
(16)本発明に係る爪領域検出方法の前記第2ステップでは、前記しきい値が沿う1軸が色相であるようにしてもよい。
【0038】
本爪領域検出方法の第2ステップでは、色相の1軸に沿ってしきい値の値を設定したり、変化させることで、設定や変化させる度に複数の軸の値を考慮する必要がなくなり、設定を容易にできる。そのため、しきい値の設定を自動化したり、しきい値の変更処理が容易であり、使用者はディスプレイを目視することで容易に確認でき、第2プロット領域の認識や、爪領域の判定を容易にできる。
【0039】
(17)本発明に係る爪領域検出方法の前記第2ステップでは、前記しきい値の1軸は、前記第1プロット領域から、前記1軸における最大値と最小値の少なくとも一方を求め、前記最大値又は最小値の一方側よりも外側に前記しきい値の初期値を設定するようにしてもよい。
【0040】
本爪領域検出方法の第2ステップでは、第1プロット領域の1軸における最大値よりも外側(より大きい値)にしきい値の初期値を設定するか、或いは、第1プロット領域の1軸における最小値よりも外側(より小さい値)にしきい値の初期値を設定して、第3ステップから第6ステップを実施するので、第3ステップにおいて、第1プロット領域のしきい値以上の各プロットデータを漏れなく第2グラフに再プロットすることができる。
【0041】
(18)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップでは、第2プロット領域に膨張処理と縮退処理を繰り返すことにより画定してもよい。
【0042】
本爪領域検出方法の第4ステップでは、各プロットデータに対して、各プロットデータの個別領域が近傍の他のプロットデータの個別領域と充分に重なるまで膨張処理を行い、その後、各プロットデータの個別領域が重なった大きな領域に対して縮退処理を行うことで、容易に第2プロット領域を画定することができる。
【0043】
(19)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、最大の軸方向の長さ寸法である長軸方向の第1寸法と、最小の軸方向の長さ寸法である短軸方向の第2寸法との比率であるようにしてもよい。
【0044】
本爪領域検出方法の第4ステップでは、第2グラフの複数の第2プロット領域における物理量を検出する際に、単純に少なくとも一つの軸方向についての最大寸法である長軸方向の長さ寸法のみを検出するのではなく、第1寸法として長軸方向の最大長さ寸法を求め、第2寸法として最小の軸方向の長さ寸法である短軸方向(一般的に長軸と直交する)の最大長さ寸法を求め、さらに第2寸法/第1寸法比を求め、第6ステップでは、しきい値毎に得られる第2プロット領域の第2寸法/第1寸法比の変化量を検出し、変化量の勾配が他の領域よりも小さい第2プロット領域を爪領域と判定することで、例えば、しきい値毎に得られる第2プロット領域の形状が変わり、短軸方向の長さ寸法の変化量が少なく長軸方向の長さ寸法の変化量のみが多い場合等に、長軸方向の長さ方向に延伸される座標上の方向が変わったりして、長軸方向の長さ方向に延伸される座標上の方向を正確に検出できない事態の発生を抑制することができる。また、第4ステップの膨張/縮退処理により形状が変化して、長軸方向の長さ方向に延伸される座標上の方向が正確に検出できない事態の発生についても抑制することができる。
【0045】
(20)本発明に係る爪領域検出方法の前記第4ステップ及び第6ステップでは、第2プロット領域における物理量の比率が、最大の軸方向の長さ寸法である長軸方向の第1寸法と、最小の軸方向の長さ寸法である短軸方向の第2寸法との、第1寸法/(第1寸法+第2寸法)の比率であるようにしてもよい。
【0046】
本爪領域検出方法の第4ステップでは、第2グラフの複数の第2プロット領域における長軸方向の最大長さ寸法を検出する際に、単純に長軸方向の最大長さ寸法のみを検出するのではなく、第1寸法として長軸方向の最大長さ寸法を求め、第2寸法として短軸方向の最大長さ寸法を求め、さらに第1寸法/(第1寸法+第2寸法)比を求め、第6ステップでは、しきい値毎に得られる第2プロット領域の第1寸法/(第1寸法+第2寸法)比の変化量を検出し、変化量の勾配が他の領域よりも小さい第2プロット領域を爪領域と判定することで、例えば、しきい値毎に得られる第2プロット領域の形状が変わり、短軸方向の長さ寸法の変化量が少なく長軸方向の長さ寸法の変化量のみが多い場合等に、長軸方向の長さ方向に延伸される座標上の方向が変わったりして、長軸方向の長さ方向に延伸される座標上の方向を正確に検出できない事態の発生を抑制することができる。また、この場合も第4ステップの膨張/縮退処理により形状が変化して、長軸方向の長さ方向に延伸される座標上の方向が正確に検出できない事態の発生についても抑制することができる。
【0047】
(21)本発明に係る爪領域検出方法の前記第1ステップでは、前記所定の表色系が色相(HUE)、彩度(SATURATION)、輝度(LUMINANCE)よりなるHLS表色系であるようにしてもよい。
【0048】
本実施形態では、手指画像から肌と爪を分離するために、カラーカメラにより撮像された手指画像の画像データにおけるR(赤,700nm)、G(緑,546.1nm)、B(青,435.8nm)とするRGB表色系を、次の数式によりHLS表色系に変換したものである
【0049】
【数1】
但し、H:色相、L:輝度、S:彩度、C:明るさ
【0050】
本爪領域検出方法では、カラーカメラにより撮像されたRGB表色系の撮像画像データを、HLS表色系のデータにして、HS座標の2軸を用いた2次元平面のグラフにプロットすることで、爪の検出に用いる表色系の要素にH(色相)を用い、H(色相)の1軸に沿ってしきい値の値を設定したり、変化させることが容易になり、使用者はディスプレイを目視することで容易に確認でき、第2プロット領域の認識や、爪領域の判定を容易にできる。
【0051】
(22)本発明に係るプログラムは、上記した何れか一つの爪領域検出方法における各ステップを実施する。
【0052】
プログラムにより情報処理装置で上記何れか一つの爪領域検出方法における各ステップを実行させることで、任意の情報処理装置を利用して、カラーカメラにより撮像された撮像画像データから本発明の爪領域検出方法で、任意の使用者に対して手指画像の肌領域から爪領域の位置情報を得ることができる。
【0053】
(23)本発明に係る記憶媒体は、上記した何れか一つの爪領域検出方法における各ステップを実施するプログラムを記憶する。
【0054】
記憶媒体に本発明に係るプログラム記憶させることで、プログラムに可搬性を持たせて、記憶媒体を移動させるのみで、異なる場所の任意の情報処理装置で、本発明の複数の爪領域検出方法を実行することができる。
【0055】
(24)本発明に係る爪領域検出装置は、カラーで使用者の手指を含む画像を撮像するカラーカメラと、前記カラーカメラから出力される画像データを処理する情報処理装置とを少なくとも含んで構成され、前記情報処理装置は、上記した何れか一つの爪領域検出方法における各ステップを実施するプログラムがインストールされたプログラム記憶部と、前記プログラムを実行可能にするための構成を含む。
【0056】
(25)本発明に係る爪領域検出装置は、カラーで使用者の手指を含む画像を撮像するカラーカメラと、前記カラーカメラにより使用者の手指を含んで撮像された撮像画像データを記憶する画像データ記憶部と、前記撮像画像データを、カラーカメラで使用された表色系から、当該カラーカメラで使用された表色系とは異なる3種類の要素の3軸により表現される所定の表色系に変換して3次元色空間の第1グラフにプロットする表色変換プロット部と、前記所定の表色系に変換してプロットされたデータが分布する1個以上の第1プロット領域に対して、前記3軸の中の1軸の値に沿って、他の軸には平行なしきい値を設定し、さらにしきい値を前記第1プロット領域を横断する方向に変化させるしきい値設定部と、前記第1プロット領域における前記1軸のしきい値以上の各プロットデータのみを前記一軸に前記しきい値において直交する2次元平面の第2グラフに再プロットして第2プロット領域とする第2プロット部と、前記第2グラフの複数の第2プロット領域における少なくとも一つの物理量又はその比率を検出する検出部と、前記しきい値設定部で、しきい値を前記1軸に沿って前記第1プロット領域を横断する方向に変化させながら、前記第2プロット部で前記しきい値以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットし、前記検出部で第2グラフの複数の第2プロット領域における物理量又はその比率を検出する処理をくり返すくり返し制御部と、前記くり返し制御部によりしきい値毎に得られる第2プロット領域の物理量又はその比率の変化量を検出し、変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定する爪判定部とを有する。
【0057】
本爪領域検出装置では、撮像画像データを所定の表色系に変換した第1プロットデータから、設定されたしきい値を可変させながら、そのしきい値以上のものを再プロットされたデータが分布する第2プロット領域の物理量又はその比率を検出し、物理量又はその比率の変化量の勾配が他の領域よりも小さい第2プロット領域を爪領域と判定する。この所定の表色系に変換したプロット領域の物理量又はその比率の変化量の勾配を用いて、プロット領域が爪領域か否かを判断することにより、従来よりも確実に撮像画像データから爪領域を認識することができる。従って、任意の使用者に対して手指画像の肌領域から爪領域の位置情報を得ることができ、シルエット形状の情報に爪情報を有効に追加したり、シルエット形状の情報に各々の爪位置の情報を効率的に割り当てでき、手指の形状をより正確に推定することができる。
【0058】
(26)本発明に係る爪領域検出装置は、カラーカメラで撮像された手指画像の撮像画像データが3次元色空間の第1グラフにプロットされて変換された第1プロット領域を、2次元平面の第2プロット領域に写像する処理を、前記3次元色空間の1軸の値に沿ってしきい値を変更しつつ複数回実施し、その各回の処理において、前記2次元平面の第2プロット領域おける少なくとも一つの物理量又はその比率を検出する制御部と、その第2プロット領域の物理量又はその比率が各回の処理で変化する変化量の勾配が所定値以下である第2プロット領域を爪領域と判定する爪判定部とを少なくとも含む。
【0059】
本爪領域検出装置では、制御部で、3次元色空間の第1プロット領域を2次元平面に写像する際に、しきい値を変えて第2プロット領域の物理量又はその比率を得て、爪判定部で、得られた物理量又はその比率の変化量の勾配を用いて、第2プロット領域を爪領域と判定するので、手指画像から爪領域を確実に判定でき、手のシルエット形状の情報に爪の位置を容易に割り当てできるので、手指の形状をより正確に推定することができる。
【0060】
発明の効果
本発明の爪領域検出方法、プログラム、記憶媒体、及び爪領域検出装置によれば、従来よりも確実に撮像画像データから爪領域を認識することができるので、任意の使用者に対して手指画像の肌領域から爪領域の位置情報を得ることができ、シルエット形状の情報に爪情報を有効に追加したり、シルエット形状の情報に各々の爪位置の情報を効率的に割り当てでき、手指の形状をより正確に推定することができる。
【0061】
図示された実施形態の説明
<第1実施形態>
図1に示された本発明の第1実施形態に係る爪領域検出装置は、カラーで使用者の手指を含む画像を撮像可能なカラーカメラ61と、そのカラーカメラ61にケーブル等で接続された情報処理装置70から構成される。カラーカメラ61は、例えば、高速カメラ(Dragonfly Express, Point Grey社製)である。情報処理装置70は、入力するカラー画像データに対して、本発明の爪領域検出方法を実施できる構成を有していればよく、より詳しくは、本発明の爪領域検出方法のプログラムをインストールできるプログラム記憶部と、そのプログラムを実行可能にするための構成を含んでいれば、パーソナルコンピュータであってもゲーム装置であってもよい。
【0062】
本実施形態の情報処理装置70は、画像データ記憶部71と、プログラム記憶部72と、表色変換プロット部73と、しきい値設定部74と、第2プロット部75と、長軸検出部76と、くり返し制御部77と、爪判定部78と、データ合成部79と、形状判定部80と、概略シルエット形状推定部91とを有している。画像データ記憶部71とプログラム記憶部72は、一つの記憶部に統合してもよい。他の構成は、RAM等の記憶装置と演算装置にプログラムを実行させることで機能部として構成されても良い。
【0063】
画像データ記憶部71は、カラーカメラ61により使用者の手指を含んで撮像された撮像画像データを記憶する。プログラム記憶部72は、本発明の爪領域検出方法のプログラムをインストールされた状態で記憶するが、インストールする前のプログラムを記憶しても良い。また、インストールする前のプログラムは、メモリーカードや、CD−R等の円盤状記憶媒体のように、着脱可能で、可搬性の記憶媒体に記憶させても良い。
【0064】
表色変換プロット部73は、撮像画像データを、カラーカメラで使用されたRGB表色系からHLS表色系に変換し、変換したデータを3次元色空間の第1グラフにプロットする。RGB表色系の色空間は、赤のR軸と、緑のG軸と、青のB軸で構成され、オリジナルの手指の撮像画像データはそのRGB表色系の色空間内で所定の位置にプロットされる。例えば、図2(a)に示された中指の指肌部1の先端部に爪10が位置している場合、図2(b)に示されたようにそのRGB画像データの各プロットデータの分布により構成される肌領域1aは、RG平面に対して斜め上に向かう方向に位置しており、言わば、肌領域1aは3次元のRGB空間でねじれの位置に存在している。同様のプロットデータの分布により構成される爪領域10aはその肌領域1aの上に乗る位置であり、同様にRGB空間でねじれの位置に存在している。
【0065】
また、爪領域10aと肌領域1aは、図2(b)に示したように楕円(扁平な円)の円板形状であり、身の回りのもので近い形状は、例えば、楕円のハンバーグステーキ、楕円のさつま揚げ、五平餅等の形状である。爪領域10aと肌領域1aの両者の境界面を設定するには、両者の位置関係から、RG平面から斜め上に立ち上がる平面を設定しなければならず、境界面を設けることが困難である。
【0066】
一方、図2(b)の撮像画像データをHLS表色系に変換し、変換したデータをHLS座標系の3次元色空間の第1グラフにプロットすると図2(c)のようになる。肌領域1bは、H軸に垂直でありL軸と平行であり、爪領域10bはその肌領域1bの上に乗る位置であり、やはりH軸に垂直でありL軸と平行である。従って、爪領域10bと肌領域1bの両者の境界面を設定するにはHS平面に平行な面を設定するだけでよく、境界面を設けることは容易である。また、爪領域10bと肌領域1bは、図2(b)の場合と同様に扁平な楕円の円板形状である。肌領域1bは、楕円の円板形状であるので長軸LA1と短軸SA1を設定することができ、同様に爪領域10bも、楕円の円板形状であるので、長軸LA10と短軸SA10を設定することができる。
【0067】
図3(a)は、第1の実施例であり、手指を人差し指と中指の2本だけ伸ばして残り3本は曲げ、人差し指と中指の指肌部1の先端部に爪10が位置している状態を、カメラで手の甲側から撮影した、RGB表色系の画像データである。それに対して図3(b)は図3(a)の画像データをHLS表色系に変換してHLS座標系の色空間にプロットした図である。
【0068】
図3(b)では、HLS座標系の色空間にプロットされた数多くの小さいドットが密集してグレーの固まり形状に示される領域部分が肌領域1bであり、比較的少数の大きいドットが少し粗く集まった形状に示される領域部分が爪領域10bである。図3(b)の肌領域1bは、概ね、H軸の一つの所定値に位置するLS平面の近傍の所定領域の範囲内に収まっている。また、図3(b)の爪領域10bも、概ね、H軸の別の所定値(肌領域1bの所定値よりは小さい値)に位置するLS平面の近傍の所定領域の範囲内に収まっている。従って、図3(b)の場合も、肌領域1bと爪領域10bの領域形状は異なるが、概ね、図2(c)と同様にHS平面に平行な境界面で領域を分割できることがわかる。
【0069】
肌領域1bと爪領域10bの領域形状が、図2(c)の楕円の円板形状と異なる点については、例えば、プロット領域の各プロットデータに対して、各プロットデータの個別領域が近傍の他のプロットデータの個別領域と充分に重なるまで膨張処理を行い、その後、各プロットデータの個別領域が重なった大きな領域に対して縮退処理を行うことを繰り返すことで、各領域の周縁端部が凹凸する量を減らし、各領域の周縁端部を滑らかな弧に近い形状にでき、最終的に各領域を楕円の円板形状に近づけることができる。従って、肌領域1bには長軸LA1と短軸SA1を設定することができ、同様に爪領域10bにも、長軸LA10と短軸SA10を設定することができる。
【0070】
図4(a)は、第2の実施例であり、手指を人差し指と中指と薬指の3本だけ伸ばして残り2本は曲げ、人差し指と中指と薬指の指肌部1の先端部に爪10が位置している状態を、カメラで手の甲側から撮影した、RGB表色系の画像データである。それに対して図4(b)は図4(a)の画像データをHLS表色系に変換してHLS座標系の色空間にプロットした図である。
【0071】
図4(b)にも、図3(b)と同様にHLS座標系の色空間にプロットされた肌領域1bと爪領域10bが示され、両領域が、概ね、H軸の所定値に位置するLS平面の近傍の所定領域の範囲内に、各々収まっており、領域形状は異なるが、概ね、HS平面に平行な境界面で領域を分割できることがわかる。肌領域1bと爪領域10bの領域形状を、プロット領域の各プロットデータに対して膨張処理と縮退処理を繰り返すことで、最終的に各領域を楕円の円板形状に近づけることができることも、図3(b)の場合と同様である。従って、肌領域1bには長軸LA1と短軸SA1を、爪領域10bに長軸LA10と短軸SA10を設定することができることも同様である。
【0072】
図5(a)は、第3の実施例であり、人差し指と親指の2本だけ伸ばして残り3本は曲げ、中指と薬指と小指の指肌部1の先端部に爪10が位置している状態を、カメラで手の平側から撮影した、RGB表色系の画像データである。それに対して図5(b)は図5(a)の画像データをHLS表色系に変換してHLS座標系の色空間にプロットした図である。
【0073】
図5(b)の場合も、図3(b)又は図4(b)の場合と同様に、HLS座標系の色空間にプロットされた肌領域1bと爪領域10bが示され、両領域が、概ね、H軸の所定値に位置するLS平面の近傍の所定領域の範囲内に、各々収まっていることから、概ね、HS平面に平行な境界面で領域を分割でき、最終的に各領域を楕円の円板形状に近づけることができ、肌領域1bには長軸LA1と短軸SA1を、爪領域10bに長軸LA10と短軸SA10を設定することができることがわかる。
【0074】
図6(a)は、第4の実施例であり、人差し指と親指と小指の3本だけ伸ばして残り2本は曲げ、中指と薬指の指肌部1の先端部に爪10が位置している状態を、カメラで手の平側から撮影した、RGB表色系の画像データである。それに対して図6(b)は図6(a)の画像データをHLS表色系に変換してHLS座標系の色空間にプロットした図である。
【0075】
図6(b)の場合も、図3(b)又は図4(b)又は図5(b)の場合と同様に、HLS座標系の色空間にプロットされた肌領域1bと爪領域10bが示され、両領域が、概ね、H軸の所定値に位置するLS平面の近傍の所定領域の範囲内に、各々収まっていることから、概ね、HS平面に平行な境界面で領域を分割でき、最終的に各領域を楕円の円板形状に近づけることができ、肌領域1bには長軸LA1と短軸SA1を、爪領域10bに長軸LA10と短軸SA10を設定することができることがわかる。
【0076】
図7(a)は、第5の実施例であり、人差し指と中指の2本だけ伸ばして残り3本は曲げ、親指と小指の指肌部1の先端部に爪10が位置し、薬指の指肌部1の先端部に位置する爪10は親指により隠されている状態を、カメラで手の平側から撮影した、RGB表色系の画像データである。それに対して図7(b)は図7(a)の画像データをHLS表色系に変換してHLS座標系の色空間にプロットした図である。
【0077】
図7(b)の場合も、図3(b)〜図6(b)の場合と同様に、HLS座標系の色空間にプロットされた肌領域1bと爪領域10bが示され、両領域が、概ね、H軸の所定値に位置するLS平面の近傍の所定領域の範囲内に、各々収まっていることから、概ね、HS平面に平行な境界面で領域を分割でき、最終的に各領域を楕円の円板形状に近づけることができ、肌領域1bには長軸LA1と短軸SA1を、爪領域10bに長軸LA10と短軸SA10を設定することができることがわかる。
【0078】
図8(a)は、第6の実施例であり、親指と薬指と小指の3本だけ伸ばして、残りの人差し指と中指の2本は曲げ、人差し指と中指の指肌部1の先端部に爪10が位置している状態を、カメラで手の平側から撮影した、RGB表色系の画像データである。それに対して図8(b)は図8(a)の画像データをHLS表色系に変換してHLS座標系の色空間にプロットした図である。
【0079】
図8(b)の場合も、図3(b)〜図7(b)の場合と同様に、HLS座標系の色空間にプロットされた肌領域1bと爪領域10bが示され、両領域が、概ね、H軸の所定値に位置するLS平面の近傍の所定領域の範囲内に、各々収まっていることから、概ね、HS平面に平行な境界面で領域を分割でき、最終的に各領域を楕円の円板形状に近づけることができ、肌領域1bには長軸LA1と短軸SA1を、爪領域10bに長軸LA10と短軸SA10を設定することができることがわかる。
【0080】
図9(a)と図9(b)は、3次元のHLS座標系の色空間にプロットされた肌領域1bと爪領域10b(10c)に分布する画像データを、2次元のHS座標の平面への分布となるように再プロット(写像)し、さらにその再プロットデータに対して膨張処理と縮退処理の繰り返して各データが分布する各領域を楕円の円板形状に近づけ、爪領域10b(10c)に長軸LA10と短軸SA10を設定したものである。
【0081】
図9(a)には2つの爪領域10bと10cが示されている。これについては、図3(b)〜図7(b)からわかるように、肌領域1bと爪領域10bの間の距離は、手指のポーズや撮影方向/撮影角度等により変動することから、爪領域10bの場合は肌領域1bに対して距離が離れており、爪領域10cの場合は肌領域1bに対して距離が近いことを示している。
【0082】
図9(b)は、肌領域1bと爪領域10bに対して、色相(HUE)の軸の値に沿って、他の軸には平行なしきい値SL21とSL20を設定できることを示している。このしきい値により、肌領域1bの画像データと、爪領域10bの画像データから、しきい値以上のデータを抽出することが可能になる。なお、図9(a)に示したように、肌領域1bと爪領域10bの間の距離が変動するので、爪領域10bが肌領域1bに近接したり、重なる可能性もあるが、爪領域10bが肌領域1bと完全に一体化しない限りは、各領域の画像データから、しきい値以上のデータを抽出することが可能である。
【0083】
図9(b)で、しきい値SL21とSL20は、HS座標(HS空間)2軸中の色相(HUE)の軸に沿って軸値を、第1のプロット領域である肌領域1bと爪領域10bの最大値又は最小値を演算処理により求め、その最大値又は最小値の一方側よりも外側に初期値を設定し、当該肌領域1bと爪領域10bを横断する方向に変化させる。
【0084】
ここで、爪領域10bはその周りの肌領域1bよりもS軸値の寸法幅が小さく、逆の肌領域1bが爪領域10bよりもS軸値の寸法幅が小さくなることはあり得ない。従って、どこの部位であるか未確認である複数のプロットデータの分布領域に対して、そのS軸値の最大寸法を求め、最大寸法が所定値(爪領域10bを示す)以下であれば、爪領域10bである可能性が高く、2領域のS軸値の最大寸法を比較する場合は、小さい方が爪領域10bである可能性が高くなる。しかし、最大寸法については、爪領域10bと肌領域1bの楕円の円板形状における長軸LA10とLA1が、都合良くS軸に平行な場合のみとは限らず、例えば、データの分布がS軸から傾いて長軸も傾いている場合には、長軸LA10とLA1の差が無くなる場合がある。
【0085】
より具体的には、例えば、爪領域10bに対しては、その色相(HUE)の軸値の最大値よりも外側(数値が大きい側)にしきい値SL20の初期値を設定し、爪領域10bを横断する方向に変化させる。なお、ここでは、逆に最少値よりも外側(数値が小さい側)にしきい値SL20の初期値を設定して、爪領域10bを横断する方向に変化させてもよい。そして、しきい値SL20を変化させながら、各プロットデータのうち色相(HUE)の軸値がしきい値SL20以上(最小値スタートの場合はしきい値SL20以下)の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットする。そして第2グラフの複数の第2プロット領域における長軸を検出して、その長軸方向の最大長さ寸法を計測する。
【0086】
同様に肌領域1bに対しては、その色相(HUE)の軸値の最大値よりも外側にしきい値SL21の初期値を設定し、肌領域1bを横断する方向に変化させる。ここでは、逆に最少値よりも外側(数値が小さい側)にしきい値SL21の初期値を設定して、肌領域1bを横断する方向に変化させてもよい。そして、しきい値SL21を変化させながら、各プロットデータのうち色相(HUE)の軸値がしきい値SL21以上(最小値スタートの場合はしきい値SL21以下)の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットする。そして第2グラフの複数の第2プロット領域における長軸を検出して、その長軸方向の最大長さ寸法を計測する。
【0087】
ここで、上記した爪領域10bと肌領域1bは、上記では説明の便宜上から領域毎に爪領域と肌領域と記載しているが、複数のプロットデータ分布領域から何れが爪領域であるかが判明していない状況を仮定した場合、両領域の長軸に沿った寸法を単純に比較することでは、爪領域を判別できない場合も有りえる。より具体的には、例えば、長軸がS軸に平行ではなくデータの分布がS軸から傾いて長軸も傾いている場合には、両者の寸法の差が無くなったり、場合によっては逆転する場合が考えられる。
【0088】
そこで、図10(a)に示した手指は、図2(a)に示した手指と同様な画像データであり、図5(a)に示した手指の画像データと類似する。図10(a)では、爪部40、爪部40と色相が近似する指腹部30と、同様に爪部40と色相が近似する親指の付け根部分である母指丘50について、色相(HUE)の軸値の最大値よりも外側からしきい値を領域を横断する方向に変化させた場合の、HS座標上の可変するしきい値以上のプロットデータ領域が増加する様子を調査した。この調査結果が、図10(b)〜(d)に示されている。
【0089】
図10(b)は、指腹部30のプロットデータ領域について、しきい値を色相の軸値の最大値よりも外側から領域を横断する方向に変化させた場合の、各しきい値における、各プロットデータのうち色相の軸値がしきい値SL21以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットし、第2プロット領域30aを得たものである。第2プロット領域31は、しきい値が初期値に近い時のもので小さな領域となっている。この場合の長軸は、図10の紙面で縦方向であり、最終的な短軸SA30に平行な軸となる。ところが、しきい値が変化するに従い、第2プロット領域31は、紙面で横方向に増加して第2プロット領域32から、33、34となるに従い、横長の形状になる。そして最終的な第2プロット領域34では、長軸LA30は、図10の紙面で横方向であり、短軸SA30は紙面で縦方向である。以上から、指腹部30の場合、しきい値によって第2プロット領域30aの長軸方向の長さ寸法の方向が縦から横に変化することがあり、最初の長軸(最終的な短軸SA30)については変化量が少ないが、最初の短軸(最終的な長軸LA30)については変化量が大きく、長軸方向の長さ寸法のみで判断するとしきい値より長軸を誤判断する可能性がある。
【0090】
図10(c)は、爪部40のプロットデータ領域について、しきい値を色相の軸値の最大値よりも外側から領域を横断する方向に変化させた場合の、各しきい値における、各プロットデータのうち色相の軸値がしきい値SL20以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットし、第2プロット領域40aを得たものである。第2プロット領域41は、しきい値が初期値に近い時のもので小さな領域となっている。この場合の長軸は、図10の紙面で横方向であり、最終的な長軸LA40に平行な軸となる。そして、この場合はしきい値が変化するに従い、第2プロット領域41は、紙面でわずかに縦と横方向に増加して第2プロット領域42から、43、44となるに従い、ほぼ同じ形状でわずかに大きい寸法になる。そして最終的な第2プロット領域44では、長軸LA40は、図10の紙面で横方向であり、短軸SA40は紙面で縦方向である。以上から、爪部40の場合、しきい値による第2プロット領域40aの寸法の変化は僅少であり、長軸方向の長さ寸法と短軸方向の長さ寸法の双方について変化量が少ない。
【0091】
図10(d)は、母指丘50のプロットデータ領域について、しきい値を色相の軸値の最大値よりも外側から領域を横断する方向に変化させた場合の、各しきい値における、各プロットデータのうち色相の軸値がしきい値SL21以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットし、第2プロット領域50aを得たものである。第2プロット領域51は、しきい値が初期値に近い時のもので小さな領域となっている。この場合の長軸は、図10の紙面で縦方向から時計回りに20度程度傾けた角度の方向であり、最終的な短軸SA50に平行な軸となる。ところが、しきい値が変化するに従い、第2プロット領域51は、紙面で長軸LA50方向に増加して第2プロット領域52から、53、54となるに従い、長軸LA50方向に横長の形状になる。そして最終的な第2プロット領域54では、長軸LA50は、図10の紙面で横方向から時計回りに20度程度傾けた角度であり、短軸SA50は紙面で縦方向から時計回りに20度程度傾けた角度である。以上から、母指丘50の場合、しきい値によって第2プロット領域50aの長軸の方向が、縦に近い短軸SA50から、横に近い長軸LA50に変化することがあり、最初の長軸(最終的な短軸SA50)については変化量が少ないが、最初の短軸(最終的な長軸LA50)については変化量が大きく、長軸方向の長さ寸法のみで判断するとしきい値より長軸を誤判断する可能性がある。
【0092】
図11(a)は、左端の図が、図10(b)の指腹部30の第2プロット領域30a(プロットデータ領域)について、しきい値SL21を色相の軸値の最大値よりも外側から領域を横断する方向に変化させた場合の、各しきい値における、各プロットデータのうち色相の軸値がしきい値SL21以上の各プロットデータの第2プロット領域31、32、33、34を示す。
中央の図は、指腹部30の第2プロット領域30aにおける長軸LA30としきい値SL21の方向がほぼ同じ場合で、しきい値SL21をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合の長軸LA30の幅の変化を示す図である。
右端の図は、指腹部30の第2プロット領域30aにおける短軸SA30としきい値SL21の方向がほぼ同じ場合で、しきい値SL21をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合の短軸SA30の幅の変化を示す図である。
中央の図と右端の図を比較した場合で、しきい値SL21をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合には、長軸LA30の幅の変化は大きいが、短軸SA30については幅の変化が小さい。
【0093】
図11(b)は、左端の図が、図10(c)の爪部40の第2プロット領域40a(プロットデータ領域)について、しきい値SL20を色相の軸値の最大値よりも外側から領域を横断する方向に変化させた場合の、各しきい値における、各プロットデータのうち色相の軸値がしきい値SL20以上の各プロットデータの第2プロット領域41、42、43、44を示す。
中央の図は、爪部40の第2プロット領域40aにおける長軸LA40としきい値SL20の方向がほぼ同じ場合で、しきい値SL20をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合の長軸LA40の幅の変化を示す図である。
右端の図は、爪部40の第2プロット領域40aにおける短軸SA40としきい値SL20の方向がほぼ同じ場合で、しきい値SL20をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合の短軸SA40の幅の変化を示す図である。
中央の図と右端の図を比較した場合で、しきい値SL20をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合には、長軸LA40と短軸SA40共に幅の変化が小さい。
【0094】
図11(c)は、左端の図が、図10(d)の母指丘50の第2プロット領域50a(プロットデータ領域)について、しきい値SL21を色相の軸値の最大値よりも外側から領域を横断する方向に変化させた場合の、各しきい値における、各プロットデータのうち色相の軸値がしきい値SL21以上の各プロットデータの第2プロット領域51、52、53、54を示す。
中央の図は、母指丘50の第2プロット領域50aにおける長軸LA50としきい値SL21の方向がほぼ同じ場合で、しきい値SL21をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合の長軸LA50の幅の変化を示す図である。
右端の図は、母指丘50の第2プロット領域50aにおける短軸SA50としきい値SL21の方向がほぼ同じ場合で、しきい値SL21をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合の短軸SA50の幅の変化を示す図である。
中央の図と右端の図を比較した場合で、しきい値SL21をプロットデータ領域の横断方向に変化させた場合には、長軸LA50の幅の変化は大きいが、短軸SA50については幅の変化が小さい。
【0095】
図11(a)、(b)、(c)からわかるように、爪部40の第2プロット領域40aは、指腹部30の第2プロット領域30aや母指丘50の第2プロット領域50aと比較して、長軸LA40の変化する割合(変化勾配)が、他の長軸LA30(指腹部30)や長軸LA50(母指丘50)よりも小さい。従って、複数のプロットデータ分布領域から何れが爪領域であるかが判明していない状況で、各プロットデータ分布領域の長軸方向の長さ寸法の変化する割合(変化勾配)により、爪領域を判別できることがわかる。
【0096】
図11(d)は、図11(a)、(b)、(c)の中央の図を横に並べ、しきい値を変化させた状態を示す図である。本実施形態では、しきい値を低下させると、各領域の長軸方向の寸法が拡大されるように面積が増大し、画素の分散する程度が大きいが、爪部の場合は、その面積の拡大量が比較的少なく、画素の分散する程度も比較的小さい。
【0097】
図12(a)は、第7の実施例であり、図10(a)の手指の画像データに対して、色相(HUE)の軸値における画像データの最大値の近傍に第1のしきい値SL20を設定した場合の、各プロットデータのうち色相の軸値が第1のしきい値SL20以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットした分布図である。
図12(b)は、図12(a)の再プロットした分布図が元の図10(a)の手指の画像データに対してどの位置に対応するかが判断しづらいので、元の図10(a)の手指の画像データ上に図12(a)の再プロットしたデータを重ねて合成した図である。
図12(a)、図12(b)からは、第1のしきい値SL20が色相(HUE)の軸値における画像データの最大値の近傍であっても、爪部40の再プロットデータは比較的多くプロットされて爪部40の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域を形成するが、指腹部30や母指丘50の再プロットデータはほとんどプロットされないことから、指腹部30の実際の寸法に近い寸法や、母指丘50の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域を形成することが困難であり、実際の寸法よりも非常に小さい寸法でプロットデータ領域が形成される。
【0098】
図13(a)は、第8の実施例であり、図10(a)の手指の画像データに対して、色相(HUE)の軸値における図12(a)の第1のしきい値SL20よりも低い第2のしきい値SL20を設定した場合の、各プロットデータのうち色相の軸値が第2のしきい値SL20以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットした分布図である。
図13(b)は、図13(a)の再プロットした分布図が元の図10(a)の手指の画像データに対してどの位置に対応するかが判断しづらいので、元の図10(a)の手指の画像データ上に図13(a)の再プロットしたデータを重ねて合成した図である。
図13(a)、図13(b)からは、第2のしきい値SL20が図12(a)の第1のしきい値SL20よりも低くなると、爪部40の再プロットデータはさらに多くプロットされるが、図12(a)の場合もすでに爪部40の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域が形成されているので、それよりやや大きい程度の爪部40の寸法でプロットデータ領域を形成することがわかる。また、指腹部30や母指丘50の再プロットデータもプロットされ始め、図12(a)よりは大きくプロットデータ領域を形成できる。しかし、指腹部30の実際の寸法に近い寸法や、母指丘50の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域を形成することは依然として困難であり、実際の寸法よりもかなり小さい寸法でプロットデータ領域が形成される
【0099】
図14(a)は、第9の実施例であり、図10(a)の手指の画像データに対して、色相(HUE)の軸値における図13(a)の第2のしきい値SL20よりもさらに低い第3のしきい値SL20を設定した場合の、各プロットデータのうち色相の軸値が第3のしきい値SL20以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットした分布図である。
図14(b)は、図14(a)の再プロットした分布図が元の図10(a)の手指の画像データに対してどの位置に対応するかが判断しづらいので、元の図10(a)の手指の画像データ上に図14(a)の再プロットしたデータを重ねて合成した図である。
図14(a)、図14(b)からは、第3のしきい値SL20が図13(a)の第2のしきい値SL20よりも低くなると、爪部40の再プロットデータはさらに多くプロットされるが、図13(a)の場合もすでに爪部40の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域が形成されているので、それよりやや大きい程度の爪部40の寸法でプロットデータ領域を形成することがわかる。また、指腹部30や母指丘50の再プロットデータのプロットされる量も増加し、図13(a)よりもさらに大きくプロットデータ領域を形成できる。しかし、指腹部30の実際の寸法に近い寸法や、母指丘50の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域を形成することは依然として困難であり、実際の寸法よりもやや小さい寸法でプロットデータ領域が形成される。
【0100】
図15(a)は、第10の実施例であり、図10(a)の手指の画像データに対して、色相(HUE)の軸値における図14(a)の第3のしきい値SL20よりもさらに低い第4のしきい値SL20を設定した場合の、各プロットデータのうち色相の軸値が第4のしきい値SL20以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットした分布図である。
図15(b)は、図15(a)の再プロットした分布図が元の図10(a)の手指の画像データに対してどの位置に対応するかが判断しづらいので、元の図10(a)の手指の画像データ上に図15(a)の再プロットしたデータを重ねて合成した図である。
図15(a)、図15(b)からは、第4のしきい値SL20が図14(a)の第3のしきい値SL20よりもさらに低くなると、爪部40の再プロットデータはさらにまた一層多くプロットされるが、図14(a)の場合もすでに爪部40の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域が形成されているので、それよりやや大きい程度の爪部40の寸法でプロットデータ領域を形成することがわかる。また、指腹部30や母指丘50の再プロットデータのプロットされる量もさらに増加し、図13(a)よりもさらに大きくプロットデータ領域を形成できる。しかし、指腹部30の実際の寸法に近い寸法や、母指丘50の実際の寸法に近い寸法でプロットデータ領域を形成することは依然として困難であり、実際の寸法よりもやや小さい寸法でプロットデータ領域が形成される。
【0101】
本実施形態に係る爪領域検出方法は、図16に示したように、カラーカメラ61により使用者の手指を含んで撮像された撮像画像データを情報処理装置70内の画像データ記憶部71に出力する(S1)。情報処理装置70ではプログラム記憶部72からプログラムが読み出されて演算装置と記憶部により本発明を実施するための各部が構成される。次に表色変換プロット部73で撮像画像データを、カラーカメラ61で使用されたRGB表色系から、当該カラーカメラで使用された表色系とは異なる3種類の物理量(HLS)の3軸により表現される所定のHLS表色系に変換する(S2)。さらに表色変換プロット部73で、変換されたHLSデータをHS座標系の3次元の色空間の第1グラフにプロットする(S3)。
【0102】
次に、表色変換プロット部73では、HLS表色系に変換してプロットされた複数のデータ分布における各データに対して膨張処理と縮退処理を繰り返して1個以上の第1プロット領域を認識する(S4)。その後、くり返し制御部77の制御下でしきい値設定部74では、その第1プロット領域の各データに対して、HLS表色系の3軸の中の1軸であるH軸の値に沿って、他のS軸には平行なしきい値を設定する(S5)。さらにくり返し制御部77の制御下で第2プロット部75では、第1プロット領域におけるH軸のしきい値以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットする(S6)。次にくり返し制御部77の制御下で長軸検出部76では、再プロットされた第2グラフの分布から膨張/縮退処理を用いて複数の第2プロット領域を認識し(S7)、各第2プロット領域における長軸を検出して、当該長軸方向の最大長さ寸法を計測する(S8)。
【0103】
さらに次にくり返し制御部77は、しきい値設定部74を用いて、しきい値を第1プロット領域を横断する方向で次の値に、例えば最高位側から開始した場合には低位側の次の値に変化させ、逆に例えば最低位側から開始した場合には高位側の次の値に変化させ(S9)、しきい値は最終値であるか否かを判断する(S10)。
【0104】
しきい値が最終値ではない場合(S10:NO)には、くり返し制御部77は、再度ステップS6から処理をくり返し、しきい値が最終値である場合(S10:YES)には、長軸検出部76で各領域毎に長軸方向の最大長さ寸法の変化量(勾配)を検出する(S11)。次に爪判定部78では検出された各領域毎に長軸方向の最大長さ寸法の変化量(勾配)を比較し(S12)、各領域毎に長軸方向の最大長さ寸法の変化量が所定値以下であるか否かを判断する(S13)。爪判定部78は、変化量が所定値以下でない場合には、ステップS12に戻って検出された各領域毎に長軸方向の最大長さ寸法の変化量(勾配)を比較し、変化量が所定値以下である場合には、当該領域を爪領域と判定して(S14)処理を終了する。
【0105】
一方、画像データ記憶部71に記憶された画像データは、従来と同様な概略のシルエット形状推定部91にも入力され、概略のシルエット形状が推定される。推定された概略のシルエット形状は、データ合成部79で、爪判定部78で判定された爪領域と合成され、形状判定部80で爪領域と概略のシルエット形状により、従来よりも正確な手指の形状判定が実施される。
【0106】
ステップS5〜S14の可変するしきい値以上のプロットデータ領域における長軸方向の最大長さ寸法の変化量を比較し、変化量が所定値以下である場合に当該領域を爪領域と判定する処理については、さらに詳しくは図17に示したように、以下の処理が実施される。
【0107】
くり返し制御部77の制御下でしきい値設定部74では最初に色相のしきい値を上限(初期値)に設定し(S21)、くり返し制御部77内のカウンタを0にリセットする(S22)。くり返し制御部77の制御下で第2プロット部75では、プロットデータ領域の各プロットデータからしきい値以上の画素を抽出し(S23)、くり返し制御部77の制御下で長軸検出部76でしきい値以上の各プロットデータに対して膨張処理と、縮退処理をくり返し領域Lを画定する(S24)。
【0108】
次に爪判定部78では、画定された各領域L(Lは自然数)に対してラベリング処理によりラベルLを付与し(S25)、抽出された領域Lの縦横比を計算し(S26)、縦横比を記憶し(S27)、くり返し制御部77のカウンタを1つ上げ(S28)、くり返し制御部77の制御下でしきい値設定部74でしきい値を1段階下げ(S29)、くり返し制御部77でカウンタが1以下であるか否かを判断する(S30)
【0109】
ステップS30でカウンタが1以下である場合(S30:YES)には、くり返し制御部77の制御下の第2プロット部75は、ステップS23に戻りプロットデータ領域Lの各プロットデータからしきい値以上の画素を抽出し(S23)、以降の処理を繰り返して実施する。ステップS30でカウンタが1よりも大きい場合(S30:NO)には、領域Lの現在のカウンタ値の縦横比と、領域Lの現在より一つ前の縦横比の差を求め、その縦横比の差がある値(所定値)以上であるか否かを判断する(S31)。
【0110】
縦横比の差がある値(所定値)以上である場合(S31:YES)には、爪判定部78は、領域Lは爪領域ではないと判断し(S32)、爪領域ではない領域のラベル番号Lを記憶し、全ての抽出された領域Lが爪領域ではないか否かを判断する(S35)。
【0111】
縦横比の差がある値(所定値)以上でない場合(S31:NO)には、爪判定部78は、カウンタがある値(所定値)以上であるか否かを判断し(S34)、カウンタがある値(所定値)以上である場合(S34:NO)には、ステップS23に戻りプロットデータ領域Lの各プロットデータからしきい値以上の画素を抽出し(S23)、以降の処理を繰り返して実施する。カウンタがある値(所定値)以上でない場合(S34:YES)には、爪判定部78は、爪領域の個数とそれぞれの重心を計算する(S36)。
【0112】
爪判定部78では、全ての抽出された領域Lが爪領域ではないと判断した場合(S35:YES)には、爪領域の個数とそれぞれの重心を計算し(S36)、全ての抽出された領域Lが爪領域であると判断した場合(S35:NO)には、カウンタがある値(所定値)以上であるか否かを判断し(S34)、以降の処理を実施する。
【0113】
ステップS36の爪領域の個数とそれぞれの重心を計算する処理は、さらに詳しくは図18に示したように、以下の処理が実施される。
【0114】
爪判定部78は、爪領域ではないと判断された領域L以外の領域Mのラベル番号「M」(Mは自然数)を取得し(S41)、領域Mの個数N(0≦N≦5)を出力する。
さらに爪判定部78は、領域Mの重心p[M](x,y)を計算し(S43)、重心p[M]を出力する(S44)。
【0115】
本爪領域検出装置では、撮像画像データを所定の表色系に変換した第1プロットデータから、設定されたしきい値を可変させながら、そのしきい値以上のものを再プロットされたデータが分布する第2プロット領域の長軸方向の最大長さ寸法を計測し、長軸方向の最大長さ寸法の変化量の勾配が他の領域よりも小さい第2プロット領域を爪領域と判定する。この所定の表色系に変換したプロット領域の長軸方向の最大長さ寸法の変化量の勾配を用いて、プロット領域が爪領域か否かを判断することにより、従来よりも確実に撮像画像データから爪領域を認識することができる。従って、任意の使用者に対して手指画像の肌領域から爪領域の位置情報を得ることができ、シルエット形状の情報に爪情報を有効に追加したり、シルエット形状の情報に各々の爪位置の情報を効率的に割り当てでき、手指の形状をより正確に推定することができる。従って、本実施形態の爪領域検出方法によれば、従来よりも確実に撮像画像データから爪領域を認識することができるので、任意の使用者に対して手指画像の肌領域から爪領域の位置情報を得ることができ、シルエット形状の情報に爪情報を有効に追加したり、シルエット形状の情報に各々の爪位置の情報を効率的に割り当てでき、手指の形状をより正確に推定することができる。
【0116】
<第2実施形態>
図19(a)、(b)は、本発明の第2実施形態であり、手指の画像データをRGB表色系からYIQ表色系に変換し、YIQ表色系の3属性の中で爪と肌が重なりにくい2属性を選び、3次元の色空間の画像データを2次元平面の画像データに写像した分布形状を模式的に示した図である。
【0117】
YIQ表色系はNTSC信号を得る前段階で使用されるコンポーネント信号である。現在使用されている色差コンポーネント信号のクロマ成分(Cb,Cr)に対して33度回転した色相となり、I軸とQ軸は直交する。Y軸(明度)、I軸(暖色系:オレンジ−ライトブルー間)、Q軸(寒色系:青紫−黄緑間)である。
【0118】
図19(a)のYIQ表色系の場合でも3次元の色空間の画像データを2次元平面の画像データに写像した後、肌領域1bと爪領域10dの2領域が比較的離れて分布する傾向を示すのが分かる。しかし、図1〜18の第1実施形態のHLS表色系の場合と比較すると、図19(a)のYIQ表色系では、爪領域10dは、ある点を中心に回転するように分布しており、そのため、一つの軸に沿ったしきい値SL20すなわち分離平面が取りにくい。
【0119】
YIQ表色系の場合でも、図19(b)のように、肌領域1bに対して爪領域10dの向きを爪領域15dのように回転させて揃え、一つの軸に沿ったしきい値ではないが、しきい値SL20を設定することで、上記した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0120】
上記した第1実施形態及び第2実施形態では、カラーカメラ61の撮像画像に用いられているRGB表色系をHLS表色系又はYIQ表色系に変換することで、爪領域と肌領域とを分離したが、爪領域と肌領域との分離のために用いる表色系は、3次元の色空間の画像データを2次元平面の画像データに写像した場合に爪と肌の2領域の重なりが少ない表色系であれば、HLS表色系とYIQ表色系に限定する必要は無い。
また、主成分分析を用いて長軸と短軸を求める代わりに、判別分析を用いても良い。同手法は、事前に与えられているデータが異なるグループに分かれることが明らかな場合、新しいデータが得られた際に、どちらのグループに入るのかを判別するための基準(判別関数)を得るための手法である。
あらかじめ多数の被験者の手指画像で爪・拇指丘・指腹などの領域の形状データを取得しておき、未知の手指画像入力があった場合、HLS表色系の色相軸閾値を変化させた時に現れる領域形状を、過去のデータにしたがってグループ分けすれば良い。この方法によれば、長軸方向の長さ寸法と短軸方向の長さ寸法の縦横比変化のように判別のための判断基準が明確に決められない場合でも、過去のデータに応じて妥当なグループ分けを行うことができる。
【0121】
<第3実施形態>
上記した第1実施形態と第2実施形態では、図11(a)〜(d)に示されたような検出された爪候補領域の軸方向の長さ寸法の変化を利用して爪領域を検出している。しかし、後述するように、上記した第1実施形態と第2実施形態で検出された爪候補領域は、理想的な楕円形や長方形に近い形で得られるわけではないので、軸方向の長さ寸法の検出が困難である場合がある。
【0122】
また、爪候補領域の軸方向の長さ寸法の変化に限らず、色相で検出された爪候補領域の面積又は当該領域中の画素数の変化を利用しても、手の甲側の肌領域から爪領域を検出することは可能である。この場合、例えば、手の甲側の肌領域と爪領域との両者の色相(色合い)の違いが比較的大きいことを利用する。但し、手の甲側の肌領域と爪領域とは比較的検出が容易であるが、掌(手の平)側の肌領域と爪領域とは検出が容易ではない。これは、掌(手の平)側の肌領域の色相のうち、指腹と拇脂丘は色相で検出された爪候補領域に近い色相を有しているので、例えば、手の画像が爪だけでなく指腹と拇脂丘を含む場合等に、色相のみでは、爪領域と指腹領域と拇脂丘領域を判別することが困難なためである。
【0123】
また、爪候補領域の検出は、例えば、図16のステップ4に示されたように、「プロットされた各データに対して膨張処理と縮退処理を繰り返す」ことにより領域を検出することが可能であるが、爪候補領域が、毎回、理想的な楕円形や長方形に近い形で得られるわけではない。さらに、各爪候補領域毎に、爪候補の色相を有する画素(爪候補画素)の密集度が異なっている。これについては、図20(a)〜(e)に示したように、カメラと手の向きや照明の当たり具合により異なっている。一般的には、爪甲部分の光の反射が強く爪候補画素の密集度が高くなる傾向にあるが、指腹領域と拇脂丘領域においても、カメラと手の向きや照明によって、爪候補画素の密集度が高くなる場合もある。従って、色相と爪候補画素の密集度を組み合わせても、爪領域と指腹領域と拇脂丘領域を判別することが困難な場合がある。
【0124】
<<第3実施形態の実施例1>>
そこで、本実施形態の実施例1では、まず第1段階として、爪らしい色相で検出された爪候補領域の原画像Oiに対して、平滑化を実施して密領域の画像(密画像)Ciを得る。この場合の平滑化とは、例えば、所定領域内の中央値を領域中央の画素の濃度として出力するメディアンフィルターでゴマ塩状の雑音(ノイズ)を除去するように平滑化を実施する事により、エッジ部をぼけさせないで平滑化することである。この密画像Ciが良好に得られる条件化に限れば、密画像Ciの領域の形状、面積及び密集度等から手の甲側の肌領域と爪領域とを判別することができる。
【0125】
これは、例えば、爪の場合には周囲に境界線があり、周囲の手の甲側の肌領域との間の色相の相違が明確であり、爪甲の光の反射率と手の甲側の肌領域の光の反射率との相違も明確であるので、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適であるような条件が良い場合に限れば、爪領域の密画像Ciの領域は、指腹領域及び拇脂丘領域の密画像Ciの領域よりも形状が長方形や楕円に近くなり、面積も爪の面積に対応する所定範囲内になり、密集度が高くなる傾向にあるので、検出が可能である。しかし、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適ではない場合には、指腹領域及び拇脂丘領域の密画像Ciの領域も、爪領域の密画像Ciの領域に近似する形状、面積及び密集度等となる場合があり、検出できない場合もあることがわかった。
【0126】
そこで実施例1では、第2段階として、色相のしきい値を変化させつつ爪候補領域の原画像Oiを複数回得て、その密画像Ciの領域面積又は領域内画素数の各回毎の変化量を利用して検出する。この場合、爪の場合の密画像Ciの領域面積又は領域内画素数の変化量は小さい。これは、上記したように爪と周囲の肌との間に明確な境界があって、色相差及び光沢差は比較的大きいためである。一方、指腹領域と拇脂丘領域の場合の密画像Ciの領域面積又は領域内画素数の変化量は大きい。これは、指腹領域や拇脂丘領域はその周囲の肌との間に明確な境界が無く、色相及び光沢は徐々に変化し、色相差及び光沢差が比較的小さいため、密画像Ciの領域面積又は領域内画素数の変化量が大きくなる。従って、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適ではない場合でも爪領域の検出が可能になる。
【0127】
従って、実施例1で、第2プロット領域における物理量又はその比率が面積で、その面積が第2プロット領域に対する密領域の画像の面積である場合には、爪領域の密画像Ciの領域面積の小さい変化量と、指腹領域と拇脂丘領域の密画像Ciの領域面積の大きい変化量とにより、爪領域を指腹領域と拇脂丘領域から判別することができる。また、実施例1で、第2プロット領域における物理量が画素数で、その画素数が第2プロット領域に対する密領域の画像の画素数である場合には、爪領域の密画像Ciの領域画素数の小さい変化量と、指腹領域と拇脂丘領域の密画像Ciの領域画素数の大きい変化量とにより、爪領域を指腹領域と拇脂丘領域から判別することができる。
【0128】
<<第3実施形態の実施例2>>
さらに本実施形態の実施例2では、原画像Oi中の密画像Ciを除いた残り(粗領域の画像)を粗画像Siとして、その粗画像を用いた爪検出についても検討を行った。この場合も、粗画像Siが良好に得られる条件下に限れば、粗画像Siの形状、面積及び密集度等から手の甲側の肌領域と爪領域とを判別することができる。
【0129】
これは、上記した爪の場合の周囲の境界線により、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適であるような条件が良い場合に限れば、爪領域の粗画像Siの領域は、爪の境界線近辺のみとなるので、指腹領域及び拇脂丘領域の粗画像Siの領域よりも形状が爪に近似して長方形や楕円に近くなり、面積も爪の周囲の狭い所定範囲内になる傾向にあるので、検出が可能である。しかし、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適ではない場合には、指腹領域及び拇脂丘領域の粗画像Siの領域も、爪領域の粗画像Siの領域に近似する形状及び面積等となる場合があり、検出できない場合もあることがわかった。
【0130】
そこで実施例2でも、第2段階として、色相のしきい値を変化させつつ爪候補領域の原画像Oiを複数回得て、その粗画像Siの領域面積又は領域内画素数の各回毎の変化量を利用して検出する。この場合、爪の場合の粗画像Siの領域面積又は領域内画素数の変化量は小さい。これは、上記したように爪と周囲の肌との間に明確な境界があるためである。一方、指腹領域と拇脂丘領域の場合の粗画像Siの領域面積又は領域内画素数の変化量は大きい。これは、指腹領域や拇脂丘領域はその周囲の肌との間に明確な境界が無く、色相及び光沢は徐々に変化し、色相差及び光沢差が比較的小さいため、粗画像Siの領域面積又は領域内画素数の変化量が大きくなるためである。従って、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適ではない場合でも爪領域の検出が可能になる
【0131】
従って、実施例2で、第2プロット領域における物理量又はその比率が面積で、その面積が第2プロット領域に対する粗領域の画像の面積である場合には、爪領域の粗画像Siの領域面積の小さい変化量と、指腹領域と拇脂丘領域の粗画像Siの領域面積の大きい変化量とにより、爪領域を指腹領域と拇脂丘領域から判別することができる。また、実施例2で、第2プロット領域における物理量が画素数で、その画素数が第2プロット領域に対する密領域の画像の画素数である場合には、爪領域の粗画像Siの領域画素数の小さい変化量と、指腹領域と拇脂丘領域の粗画像Siの領域画素数の大きい変化量とにより、爪領域を指腹領域と拇脂丘領域から判別することができる。
【0132】
<<第3実施形態の実施例3>>
さらに本実施形態の実施例3では、上記した密画像Ciの領域と粗画像Siの領域との比率を用いた爪検出についても検討を行った。この場合も、密画像Ciの領域と粗画像Siの領域とが良好に得られる条件下に限れば、爪領域の密画像Ciの領域に対する粗画像Siの領域の比率は、指腹領域と拇脂丘領域の密画像Ciの領域に対する粗画像Siの領域の比率よりも小さくなるから、手の甲側の肌領域と爪領域とを判別することができる。
【0133】
これは、上記したように、カメラと手の向きや照明の条件が良い場合、爪の密画像Ciの領域は、比較的形状も長方形や楕円に近くなり、領域面積又は領域内画素数も所定範囲内に収まり、その結果、原画像Oiから密画像Ciを除いた粗画像Siについても、領域面積又は領域内画素数も所定範囲内に収まることから、爪の密画像Ciの領域と粗画像Siの領域との比率も所定範囲内に収まるので、爪領域の検出が可能である。しかし、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適ではない場合には、指腹領域及び拇脂丘領域の密画像Ciの領域と粗画像Siの領域との比率も、爪領域の密画像Ciの領域と粗画像Siの領域との比率に近似する場合があり、爪領域が検出できない場合もあることがわかった。
【0134】
そこで実施例3でも、第2段階として、色相のしきい値を変化させつつ爪候補領域の原画像Oiを複数回得て、その密画像Ciの領域面積又は領域内画素数と粗画像Siの領域面積又は領域内画素数との比率の各回毎の変化量を利用して検出する。この場合、爪領域の場合の密画像Ciと粗画像Siとの領域面積の比率の変化量は小さく、密画像Ciと粗画像Siの領域内画素数の比率の変化量も小さい。一方、指腹領域と拇脂丘領域の場合の密画像Ciと粗画像Siとの領域面積の比率の変化量は大きく、密画像Ciと粗画像Siの領域内画素数の比率の変化量も大きいので、カメラと手の向きや照明の当たり具合が最適ではない場合でも爪領域の検出が可能になる。
【0135】
従って、実施例3で、第2プロット領域における物理量又はその比率が物理量の比率で、その比率が第2プロット領域の密画像と粗画像の面積の比率である場合には、爪領域の密画像Ciと粗画像Siの各領域面積の変化量も小さく、各領域面積の変化パターンの相違も影響しないことから、各領域面積の比率の変化量も小さくなるが、指腹領域と拇脂丘領域の密画像Ciと粗画像Siの各領域面積の変化量は大きく、各領域面積の変化パターンの相違が影響することから、各領域面積の比率の変化量も大きくなることにより、爪領域を指腹領域と拇脂丘領域から判別することができる。
【0136】
また、実施例3で、第2プロット領域における物理量又はその比率が物理量の比率で、その比率が第2プロット領域の密画像と粗画像の画素数の比率である場合には、爪領域の密画像Ciと粗画像Siの各領域画素数の変化量も小さく、各領域画素数の変化パターンの相違も影響しないことから、各領域画素数の比率の変化量も小さくなるが、指腹領域と拇脂丘領域の密画像Ciと粗画像Siの各領域画素数の変化量は大きく、各領域画素数の変化パターンの相違が影響することから、各領域画素数の比率の変化量も大きくなることにより、爪領域を指腹領域と拇脂丘領域から判別することができる。
【0137】
図21に示された本発明の第3実施形態に係る爪領域検出装置は、第1実施形態に係る爪領域検出装置の一部が変更された構成であるので、第1実施形態と同様な部分については同じ符号を付与して説明を省略し、変更された部分についてのみ説明する。具体的には、カラーカメラ61、画像データ記憶部71、データ合成部79、形状判定部80及び概略シルエット形状推定部91については、第1実施形態と同様であるので記載を省略する。以下に、第1実施形態との相違点につき、各領域画素数の比率の変化量で、爪領域を指腹領域と拇脂丘領域から判別する場合について説明する。
【0138】
情報処理装置170は、入力するカラー画像データに対して、本実施形態の爪領域検出方法を実施できる構成を有しており、概略的には第1実施形態と同様であるが、主に爪領域の検出に関する部分が異なり、本実施形態に適合する構成になっている。本実施形態のプログラム記憶部171は、概略的に第1実施形態と同様に本実施形態を情報処理装置70で実施するためのプログラムが記憶されるが、その記憶されるプログラムは第1実施形態と異なり、本実施形態に適合するプログラムになっている。
【0139】
表色変換プロット部73は、前処理部172と爪候補色相画素領域検出部173を有する。爪候補色相画素領域検出部173は、カラーカメラで使用されたRGB表色系の撮像画像データを、HLS表色系に変換し、変換したデータを3次元色空間の第1グラフにプロットする。図2(c)、図3(b)〜図8(b)には、HLS表色系に変換されたデータをHLS座標系の3次元色空間の第1グラフにプロットした第1プロット領域の状態が示されている。
【0140】
前処理部172は、細かなノイズが乗りやすい画像中の外部エッジを除去する処理、及び/又は、影の影響を軽減させる処理を実施する。外部エッジを除去する処理は、例えば、第1プロット領域の手領域の各画素データに対して、ラベリング処理でグループ属性を付加し、その手領域の同グループの画素データ群に対して、その輪郭部分から中心部分に向けって2つ分だけ内側(深さ方向)に画素データを削除することによって行われる。この場合の削除する深さは2より大きい値でも可能である。しかし、本実施形態では、外部エッジを除去する処理の最小限の値として2とする。この最小限の2とする理由は、例えば、カメラに対して前腕(手首)が回旋された位置になり爪が斜めから撮像されると、爪領域が一部の領域のみ撮像されて残りの領域が撮像されなくなって画素データが減少し、そこでさらに外部エッジを除去するために画素データを削除することは、爪の検出精度が劣化する危険性があるためである。
【0141】
一方、影の影響を軽減させる処理は、例えば、第1プロット領域の手領域の各画素データに対して、局所的にガンマ補正を実施する処理である。画素データにガンマ補正を実施する基準は、例えば、8ビットで表す赤色のビット値によって判別することとすると、画素データのガンマ補正は、以下の3式のように表すことができる。
【0142】
【数2】
【数3】
【数4】
【0143】
ここで、R’、G’、B’は、R、G、Bそれぞれの補正後の画素値である。また、γの値は、例えば、γ=1.3を使用することができ、補正後も局所的に不自然な色とならないようにする。
【0144】
爪候補色相画素領域検出部173は、図1及び図2(a)〜(c)を用いて第1実施形態のところで前述したように、図2(b)のようなRGB表色系の撮像画像データを、図2(c)のようにHLS表色系に変換して3次元色空間の第1グラフにプロットし、第1プロット領域を得る。この第1プロット領域では、図3(b)、図4(b)、図6(b)、図7(b)に示されるように、H軸に垂直でありL軸と平行な面により、爪領域10bと肌領域1bを分離させることができる。これから、H軸のしきい値により爪領域10bの画像データと、肌領域1bの画像データとを分離させることができることがわかる。
【0145】
このことを理解する補助として、図22(a)には、HLS表色系に変換した第1プロット領域に爪領域10bの画像データ群と肌領域1bの画像データ群が、それぞれH軸のしきい値thの上側と下側に分かれているようすを示し、図22(b)には、爪領域10bの画像データ群と肌領域1bの画像データ群の間に、H軸のしきい値thとなるH軸に垂直でありL軸と平行な平面(分離平面)を挿入することで、爪領域10bの画像データ群と肌領域1bの画像データ群を分離させることができることがわかる。
【0146】
図22(a)、(b)では、爪領域10bの画像データ群と肌領域1bの画像データ群の一部が重なった画素分布になっている。図22(a)、(b)中で、薄い灰色でプロットしているのが肌領域1bの画像データ(画素)群であり、黒色で大きめにプロットしているのが爪領域10bの画像データ(画素)群である。肌領域1bの画像データ(画素)群と爪領域10bの画像データ(画素)群とが重なる領域には、爪と色合いが似ている肌領域の画像データ(画素)群がいくらかは存在する。拇指丘や指腹の画像データ(画素)群では、この爪と色合いが似ている肌領域の画像データ(画素)群の量が増加する。
【0147】
図22(b)のH軸のしきい値thとなるH軸に垂直でありL軸と平行な面については、2次元のHS座標の平面へ転写後の図9(b)を用いて前述したように、H軸における爪領域10b又は肌領域1bの最大値又は最小値の一方側よりも外側に初期値を設定し、当該肌領域1bと爪領域10bをH軸に沿って横断する方向に変化させる。この処理がくり返し制御部178の制御下でしきい値設定部174により実施される。
【0148】
くり返し制御部178は、第1実施形態のくり返し制御部77の制御内容と同様に、しきい値thを第1プロット領域をH軸に沿って横断させる方向で次の値に、例えば最高位側から開始した場合には低位側の次の値に変化させ、逆に例えば最低位側から開始した場合には高位側の次の値に変化させ、しきい値thが最終値であるか否かを判断しつつ、しきい値設定部174、第2プロット部175、密領域画像検出部176、粗領域画像検出部177を制御する。
【0149】
次に、くり返し制御部178の制御下で第2プロット部175では、第1プロット領域におけるH軸のしきい値th以上の各プロットデータのみを第2グラフに再プロットし、その再プロットされたしきい値th以上の第2プロット領域のデータを後段の密領域画像検出部176と、粗領域画像検出部177の両方に出力する。この処理を、H軸のしきい値thを変化させながら繰り返す。H軸のしきい値th毎の第2プロット領域のデータは、例えば、図12(a)、図13(a)、図14(a)、図15(a)のように変化する。
【0150】
次に、くり返し制御部178の制御下で密領域画像検出部176では、しきい値th以上の第2プロット領域のデータに対して、例えば、11×11の領域でメディアン平滑化により、領域結合処理とノイズ除去処理を実施した後、そのデータに対してラベリング処理を実施する。この処理により、爪らしい色相を持つ爪候補色相画素の密画像領域iと、各密画像領域iの重心を求めることができる。
【0151】
次に、くり返し制御部178の制御下で粗領域画像検出部177では、密領域画像検出部176で得られた各密画像領域iのデータと、第2プロット領域のデータを原画像データとして用いて、以下の式により密画像領域iのデータとの排他的論理和を求めて粗画像領域のデータを検出する。得られた粗画像領域のデータは、密画像領域iのデータと共に後段の爪判定部179に出力される。この状態を図示したのが図23(a)である。
【0152】
【数5】
ここで、Oiは原画像、Ciは密画像、Siは粗画像である。
【0153】
次に、爪判定部179では、原画像データのそれぞれの領域毎に、且つ、H軸のしきい値毎に入力する密画像領域iのデータと粗画像領域のデータから、H軸のしきい値毎の密画像中の画素数と粗画像中の画素数との比率を以下の式により求める。求められた比率は、各しきい値における各領域の特徴量となる。
【0154】
【数6】
ここで、Nは密画像中の画素数、Nは粗画像中の画素数、parthはしきい値thにおける領域iの密画像と粗画像の面積の比である。
【0155】
上記処理時に、くり返し制御部178の制御下でしきい値設定部174は、爪領域10bの画像データ群と肌領域1bの画像データ群の分離平面のしきい値thを2つ以上設定するので、爪判定部179では、各しきい値thにより求められるそれぞれの領域iの面積比parthを算出する。その際に、各領域iには、図11(a)〜(c)に例示したように、爪領域と、拇指丘領域又は指腹領域とでは、色相の勾配が異なることから、爪領域ではしきい値毎に領域iの面積比parthが大きく変化しないのに対して、拇指丘領域や指腹領域ではしきい値毎に領域iの面積比parthが大きく変化する。
【0156】
なお、本実施形態では、密領域と粗領域の領域画素数の比率の変化量を用いる場合について説明したが、密領域の領域画素数の変化量を用いる場合、粗領域の領域画素数の変化量を用いる場合、密領域と粗領域の領域面積の比率の変化量を用いる場合、密領域の領域面積の変化量を用いる場合、粗領域の領域面積の変化量を用いる場合の何れの場合についても、同様な方法、又は、一部を簡略化/削除した方法により実施することができる。
【0157】
[符号の説明]
1 手指画像、
1a (RGB表色系)肌領域、
1b (HLS表色系)肌領域、
1d (YIQ表色系)肌領域、
10 爪画像、
10a (RGB表色系)爪領域、
10b、10c (HLS表色系)爪領域、
10d (YIQ表色系)爪領域、
30 指腹部、
30a、31、32、33、34 (指腹部30の)第2プロット領域、
40 爪部、
40a、41、42、43、44 (爪部40の)第2プロット領域、
50 母指丘、
50a、51、52、53、54 (母指丘50の)第2プロット領域、
61 カラーカメラ、
70 情報処理装置、
71 画像データ記憶部、
72、171 プログラム記憶部、
73 表色変換プロット部、
74、174 しきい値設定部、
75、175 第2プロット部、
76 長軸検出部、
77、178 くり返し制御部、
78、179 爪判定部、
79 データ合成部、
80 形状判定部、
172 前処理部、
173 爪候補色相画素領域検出部、
176 密領域画像検出部、
177 粗領域画像検出部、
LA30 (指腹部30の)長軸、
LA40 (爪部40の)長軸、
LA50 (母指丘50の)長軸、
SA30 (指腹部30の)短軸、
SA40 (爪部40の)短軸、
SA50 (母指丘50の)短軸、
SL20 (爪部40の)しきい値、
SL21 (指腹部30又は母指丘50の)しきい値。
図1
図11
図16
図21
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図12
図13
図14
図15
図17
図18
図19
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図22
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