(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体が流通する流通口(26)を先端に有する外筒(14、16)と、前記外筒(14、16)の基端側から該外筒(14、16)内に挿入される押し子(22、152)と、を備え、前記押し子(22、152)の先端方向への移動によって前記外筒(14、16)内の液体を前記流通口(26)から押し出すシリンジ(10、10A)であって、
前記押し子(22、152)は、該押し子(22、152)の移動方向に沿って設けられる歯部(90、154)を有し、
前記外筒(14、16)には、可撓性を有するストッパ部材(24、150)が装着され、
前記ストッパ部材(24、150)は、
前記外筒(14、16)の外周面を囲う装着部(92、156)と、
前記装着部(92、156)の外周面から外径方向に離間するように延出する一組の操作片(94、160)と、
前記装着部(92、156)の内周面に一体形成された係止部(98、158)と、
前記装着部(92、156)の前記係止部(98、158)の形成位置と反対側の箇所が外径方向に移動することを抑止する支持部(96、162)と、を備え、
且つ前記装着部(92、156)を前記外筒(14、16)に装着した状態で、前記係止部(98、158)を所定の係止位置に配置して、前記歯部(90、154)を係止して前記押し子(22、152)の基端方向への移動を防止する構成であり、
前記係止部(98、158)は、係止解除操作において前記一組の操作片(94、160)の狭持作用下に外径方向に移動して前記係止位置から退避し、前記係止解除操作後に自動的に前記係止位置へ復帰することを特徴とするシリンジ(10、10A)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るシリンジについて好適な実施の形態(第1〜第3実施形態)を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るシリンジ10を有する塗布具12の全体構成を概略的に示す斜視図である。以降の説明では、この塗布具12を例示して本発明に係るシリンジを詳述するが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、一般的に知られる注射器等にも適用可能なことは勿論である。
【0025】
第1実施形態に係る塗布具12は、第1の外筒14及び第2の外筒16が並べられて一体的に連結されたシリンジ10と、第1及び第2の外筒14、16の各先端が接続されることで、シリンジ10内に充填されている液体を塗布対象へと吐出するノズル18とを備えたスプレー式デバイスである。塗布具12は、例えば腹腔鏡下手術の際に、ノズル18の先端方向に延びた細径で長尺なノズル本体20を腹腔内に挿入し、シリンジ10から供給された液組成が異なる2種の液体をノズル18内で混合しつつ、その混合物である薬液を臓器や腹壁等に塗布する医療機器として用いられる。
【0026】
以下の説明では、
図1における幅方向をX方向、高さ方向をY方向、外筒の延在方向をZ方向(軸方向)と呼ぶ。また、外筒の前方(吐出方向)をZ1方向又は先端、外筒の後方をZ2方向又は基端(後端)と呼び、さらに、塗布具12を先端側から見て右方をX1方向、左方をX2方向、上方をY1方向、下方をY2方向と呼ぶ。なお、これらの方向は説明の便宜上のものであり、塗布具12は任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能であることは勿論である。
【0027】
図1に示すように、シリンジ10は、ノズル18で混合されて吐出される2種の液体が充填可能な第1の外筒14及び第2の外筒16と、これら第1及び第2の外筒14、16の基端側から挿入される二股の押し子22と、第1の外筒14に装着されるストッパ部材24とを備える。なお、本実施形態の場合、第1の外筒14と第2の外筒16は、その外径や内部容積が異なる以外は略同様の構成であるため、以下では代表的に第1の外筒14について説明し、第2の外筒16について詳細な説明は省略する。勿論、第1の外筒14と第2の外筒16を同径のもので構成してもよい。
【0028】
図2は、
図1の塗布具12を示す一部平面断面図である。
図1及び
図2に示すように、第1の外筒14は、筒部14aがZ方向に延在し、該筒部14aに連なる先端部14bがテーパ状に縮径する有底筒状に形成されている。この先端部14bの所定位置(X1方向側)には、流通口26が形成されており、さらに、この流通口26に連通する流通路28を有した突出部30がZ1方向に突出するように形成されている。また、筒部14aの先端部寄りには、外周面からX2方向に延出する平板状の連結片32が一体形成されており、この連結片32は、第1及び第2の外筒14、16を相互に連結している。
【0029】
さらに、第1の外筒14の基端寄り外周面には、外径方向に延出する薄板楕円状のフランジ34が一体形成されており、操作者が押し子22を操作する際に人差し指や中指等を該フランジ34にかけられるようになっている。このフランジ34は、第2の外筒16に延設され、該第2の外筒16の外周面とも一体化されている。すなわち、シリンジ10は、連結片32及びフランジ34によって、第1の外筒14と第2の外筒16の並行関係が支持されている。
【0030】
第1及び第2の外筒14、16は、材質に関して特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)等の樹脂を用いるとよい。あるいは、成形の容易さや水蒸気透過性の低さ等を考慮すると、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル等が好ましい。なお、第1及び第2の外筒14、16は、内部の視認性を確保するために、透明又は半透明であることが好ましい。
【0031】
シリンジ10の押し子22は、第1の外筒14の基端開口部から挿入される第1のロッド36と、第2の外筒16の基端開口部から挿入される第2のロッド38と、を備える。第1及び第2のロッド36、38は、正面断面視(
図5B等参照)で、4つの平板部40a〜40dがロッドの中心軸を基点として十字形状に延設されており、各平板部40a〜40dが軸方向(Z方向)に所定の長さ延在している。
【0032】
第1及び第2のロッド36、38は、その基端側がブリッジ42によって一体的に連結され、全体として略U字状に構成されている。すなわち、押し子22の進退動作は、ブリッジ42に設けられた共通の操作部(操作円板)44によって一体的になされる。押し子22の材質も上記した第1及び第2の外筒14、16と同様なものでよいが、透明な外筒内での視認性を向上させるため、非透明であることが望ましい。
【0033】
また、第1及び第2のロッド36、38の先端には、弾性材料で形成されたガスケット46が取り付けられている。このガスケット46は、第1及び第2の外筒14、16の内周面に密着して液密に摺動可能となっている。すなわち、ガスケット46は、押し子22の進退動作と一体的に移動して、ガスケット46の先端面、筒部14aの内周面、先端部14bによって形成される充填室48(
図1参照)の容積を変動させる。シリンジ10は、押し子22の基端方向の移動(引き出し動作)にともない充填室48内に液体を吸引・充填し、押し子22の先端方向の移動(押し出し動作)ともない充填室48内の液体を流通口26から押し出すことができる。
【0034】
ガスケット46の材質は、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、或いはそれらの混合物等の弾性材料を用いるとよい。
【0035】
第2の外筒16は、上記した第1の外筒14と略同様の構成であり、筒部16a、先端部16b、突出部30を備え、第2のロッド38が基端開口部から挿入される。また、第2の外筒16は、フランジ34を第1の外筒14と共用している。
【0036】
これら第1及び第2の外筒14、16は、筒部14a、16aの先端寄りの外周面が連結片32で連結される。連結片32には、シリンジ10にノズル18を着脱する際に両者をロック及びアンロックする係合機構を構成する係止孔50が設けられる。係合機構は、この係止孔50と、ノズル18側に設けられる係合延出部52からなる。
【0037】
係合延出部52は、ノズル18の基端側から外筒の基端方向(Z2方向)に延在する基端延出片54と、この基端延出片54からさらに基端方向に突出する係合片56と、を備える。係合片56の所定位置には、係止孔50に係合する突起56aが形成されており、シリンジ10とノズル18の取付状態において、突起56aが係止孔50に引っ掛かる。これにより、シリンジ10とノズル18の取付状態を保持することができる。また、係合延出部52は、可撓性を有する材質(例えば、合成樹脂)によって形成されており、該突起56aと係止孔50の係止を弾性的に維持することができる。
【0038】
このシリンジ10において、第1の外筒14に充填される第1の液体L1と、第2の外筒16に充填される第2の液体L2とは、塗布具12の用途や使用目的等に応じて適宜選定すればよく、例えば、生体組織接着材の投与に使用する場合には、第1の液体L1と第2の液体L2のうち、一方はトロンビンを含有する液体(溶液等)、他方はフィブリノーゲンを含有する液体(溶液等)を挙げることができる。また、例えば、塗布具12を癒着防止材の投与に使用する場合には、第1の液体L1と第2の液体L2のうち、一方はスクシンイミジル基で修飾したNHSデキストリンを含有する液体(溶液等)、他方は炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムを含有する液体(溶液等)を挙げることができる。
【0039】
このような組み合わせの第1の液体L1と第2の液体L2は、それらを混合すると、変質、すなわちゲル化(固化)する。ゲル化することにより、例えば、混合した薬液(混合物、混合液)を、塗布された生体組織(目的部位)に確実に留めることができ、該目的部位において生体組織接着材や癒着防止材としての機能を確実に発揮することができる。勿論、第1及び第2の液体L1、L2の種類や組み合わせは、上記で例示したものに限定されるものではない。
【0040】
一方、ノズル18は、
図1に示すように、長尺状のノズル本体20と、ノズル本体20の基端部を支持するノズル支持部60と、ノズル本体20の先端に設けられたノズルヘッド62とを有している。ノズル本体20は、第1の外筒14から供給された第1の液体L1と、第2の外筒16から供給された第2の液体L2と、ボンベ64から供給された無菌ガス(以下、単に「ガス」と言う)とを混合して一体的に流通するノズル流路(図示せず)が設けられている。
【0041】
ガス供給源の一構成例として示したボンベ64は、その内部に高圧の(圧縮された)ガスが充填されており、このガスを塗布具12(ノズル18)に供給する(送る)ことができる。ガスとしては、空気(例えば、酸素、二酸化炭素)を用いるとよい。このボンベ64には、塗布具12に対するガスの供給/供給停止を制御する開閉自在なバルブ(コック)66が設置されている。塗布具12を使用するときには、バルブ66を開状態にする。
【0042】
一方、ノズルヘッド62は、外形形状が円柱状をなすものであり、先端部に吐出口62aを有している。この吐出口62aにはノズル流路が連通している。吐出口62aは、ノズル流路で混合された第1の液体L1、第2の液体L2及びガスの混合物を吐出するための開口部として機能する。
【0043】
ノズル支持部60は、例えば金属材料や樹脂材料で構成され、平面視で先細りの略三角形状に形成されており、その先端にノズル本体20が挿通される円形の開口を備える箱状の部材(筐体)である。ノズル支持部60は、箱状の筐体内に第1及び第2
の液体L1、L2を一定量貯留可能な内部空間61を備える。この内部空間61の下面側中央部には、ボンベ64から延びるチューブ64aが挿入・接続されるガスポート68が設けられている。また、ノズル支持部60の基端側左右方向には、シリンジ10の突出部30が挿入される一対の取付保持部70(第1の取付保持部70a、第2の取付保持部70b)が設けられている。
【0044】
図2に示すように、第1の外筒14の突出部30が挿入される第1の取付保持部70aは、ノズル支持部60の基端壁部60aから後方(Z2方向)に拡径しながら突出する外側取付部72と、ノズル支持部60の内部において該ノズル支持部60の基端壁部60aに連なる内側取付部74とによって構成されている。なお、第2の外筒16の突出部30が挿入される第2の取付保持部70bも、第1の取付保持部70aとほぼ同じ構成及び機能を有するため、以降の説明は省略する。
【0045】
ここで、第1の外筒14の突出部30は、筒部14aに連なる基端側から先端方向に延出する第1延在部30aと、該第1延在部30aに連なるとともに第1延在部30aよりも縮径して先端方向に延出する第2延在部30bと、を有している。第1延在部30aのX1方向の側面には、外側方向に突出する凸部76が形成されている。また、凸部76の先端側には溝部が形成されており、この溝部にはOリング78が嵌め込まれている。
【0046】
一方、第1の取付保持部70aの外側取付部72は、テーパ状に形成された外形形状に対し、基端側に開口する凹部80と、該凹部80の底面に対し内径方向に縮径した第1嵌合孔82と、この第1嵌合孔82からさらに縮径した第2嵌合孔84と、を有している。凹部80は、基端側の開口から先端側に向かって縮径するテーパ状に形成されており、X1方向の側面には引掛け孔80aが形成されている。シリンジ10とノズル18の装着状態では、この引掛け孔80aに凸部76が引っ掛かり、これにより第1の取付保持部70aから突出部30の抜けが防止される。
【0047】
また、第
1嵌合孔82は、第1延在部30aと略一致する内径に形成されている。シリンジ10とノズル18の装着状態では、第
1嵌合孔82に第
1延在部30aの先端が嵌合し、この状態においてOリング78が第
1嵌合孔82に密着する。これにより突出部30の先端側がOリング78によって密閉される。
【0048】
さらに、第
2嵌合孔84は、第2延在部30bと略一致する内径に形成されている。シリンジ10とノズル18の装着状態では、第2嵌合孔84に第2延在部30bが嵌合する構成となっている。
【0049】
第1の取付保持部70aの内側取付部74は、基端側において第2嵌合孔84を共有している。この第2嵌合孔84の先端には、突出部30内の流通路28に対向して開口しノズル支持部60の内部空間61に連通する案内流路86aを備えた内側突出部86が形成されている。すなわち、突出部30の流通路28は、シリンジ10とノズル18の装着によって、案内流路86aに連通することになり、第1の外筒14内に充填された第1の液体L1の吐出時には、該第1の液体L1を、流通路28及び案内流路86aを介して、ノズル支持部60の内部空間61に流入させる。
【0050】
第1の外筒14の突出部30を第1の取付保持部70aに挿入すると、第2延在部30bが内側取付部74の第2嵌合孔84に入り込む。このとき、内側取付部74は、基端壁部60aが側面方向(X方向)に存在するので、第2嵌合孔84の拡径が阻止される。このため、第2延在部30bを確実に嵌合・保持することができる。
【0051】
また、第1の外筒14の突出部30を第1の取付保持部70aに挿入すると、第1延在部30aの先端側と第1嵌合孔82が嵌合する。さらに、凹部80の引掛け孔80aには凸部76が挿入されて引っ掛かることになる。また、この状態において、シリンジ10の連結片32に形成された係止孔50に突起56aが係止されることで、シリンジ10とノズル18を確実に連結することができる。
【0052】
次に、本発明に係る塗布具12(シリンジ10)に取り付けられるストッパ部材24、及び該ストッパ部材24に係合する歯部90(以下、ストッパ部材24と歯部90をまとめて移動防止機構ともいう)について説明する。
【0053】
歯部90は、第1のロッド36のX1方向に延設されている平板部40aに形成される。具体的には、平板部40aのX1方向の側縁部に対し、複数の歯90aが連続して並ぶ鋸状のラック(歯竿)として形成されている。この場合、1つの山なりの歯90aは、先端側の辺が傾斜し、後端側の辺がロッドの軸に対し直交するように形成されている。ここで、複数の歯90aの間隔は、第1の液体L1の充填室48(ガスケット46の先端面、筒部14aの内周面、先端部14bによって形成される室)に対し所定の容積単位に比例するように形成することができる。例えば、充填室48が100mlの容積を有する場合、5ml毎に容積を変化させるように複数の歯90aの間隔が形成されていれば、押し子22の押し出し時に、5ml単位で第1の液体L1を押し出していくことができ、所望の量の液体を吐出することが可能となる。
【0055】
第1実施形態に係るストッパ部材24は、
図3及び
図4に示すように、第1の外筒14に装着される装着部92と、該装着部92の側面から延出する一対の操作片94と、装着部92から外方向延出する支持部96と、を備える。このストッパ部材24は、材質に関して特に限定されないが、第1及び第2の外筒14、16と同じ材質で成形すれば、製造効率を向上することができる。
【0056】
装着部92は、正面視で略円形に形成されており、その内径は第1の外筒14の外径よりもやや大きく形成されている(
図3参照)。すなわち、装着部92は、第1の外筒14に対して内周面が部分的に当接する構成であり、第1の外筒14を嵌合するものではない。
【0057】
この装着部92は、X1方向の辺部92aの内周面にフック(係止部)98が形成されている。フック98は、装着部92に一体形成され、辺部92aの基端側寄り付け根部分から先端側に向かって斜めに突出している。すなわち、フック98の先端部は、装着部92の内周面に対して一定距離離間し、付け根部分を支点として揺動自在となっている。
【0058】
一対の操作片94は、装着部92に形成されたフック98を中心として、略90°ずれた位置の二箇所(+90°、−90°)にそれぞれ設けられている。この操作片94は、装着部92の辺部92cに連設されており、装着部92の外径方向に僅かに突出するとともに、フック98の形成方向(X1方向)にその一部が延出している。また、操作片94の側面には、複数の突条94aが軸方向に平行に形成されており、一対の操作片94を片手で摘み易いようになっている。
【0059】
この操作片94が設けられた装着部92の内周面には、軸方向に溝部94bが形成されている。溝部94bは、一対の操作片94がY方向に挟持される際に、その挟持力をフック98が形成された装着部92の辺部92aに伝達し易くし、該辺部92aをX1方向に撓み易くしている。
【0060】
支持部96は、フック98と対向する装着部92の辺部92bの外周面に対しX2方向に突き出している部分である。具体的には、一対の操作片94が連設された装着部92の2つの辺部92cから、一対の支持辺96a、96bが互いに近接するように斜めに所定長さ延出し、該一対の支持辺96a、96bの頂部には、互いの支持辺96a、96bを連結する当接辺(当接部)96cが形成されている。この当接辺96cは、
図3に示すように、その外周面が第2の外筒16の外周面に面接触されるように、円弧形状に形成されている。
【0061】
また、一対の支持辺96a、96bの先端側縁部には、先端方向(Z1方向)に突出する固定片(突出部)100が一体形成されている。この固定片100は、フランジ34の板厚よりも長く形成されており、その先端側には外側に突出する爪部100aが設けられている。
【0062】
図3に示すように、ストッパ部材24をシリンジ10に装着した状態では、装着部92の辺部92bの内周面が第1の外筒14の外周面に部分的に当接するとともに、当接辺96cの外周面が第2の外筒16の外周面に当接する。また、一対の固定片100は、フランジ34に形成されている一対の孔部34aに挿入され、その反対面から爪部100aが露出して該フランジ34との係止状態を形成する。
【0063】
この場合、ストッパ部材24は、第2の外筒16に当接している当接辺96cと、2つの固定片100によって固定される支持辺96a、96bと、第1の外筒14に当接している装着部92の辺部92bが相互に張り合うことになる。このため、装着部92の装着状態においては、辺部92bの内周面のみが第1の外筒14に当接し、他の辺部92a、92cが第1の外筒14の外周面から離間する状態が形成されるが、ストッパ部材24は、この状態であっても第1の外筒14から脱落することなく、確実に装着位置に固定支持される。また、支持部96によりストッパ部材24の回転方向の移動も防止されるため、フック98の周方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0064】
また、一対の操作片94は、装着部92の辺部92cが上記の通り第1の外筒14に対して離間することにより、辺部92bを支点として第1の外筒14方向(Y方向)に近接自在となっている。
【0065】
さらに、フック98は、ストッパ部材24を第1の外筒14に装着した状態において、その先端部が第1の外筒14の基端開口部付近に延出し、且つ筒部14aの内径よりも内側に突出した位置(係止位置A:
図5A参照)に配置される。第1のロッド36の歯部90は、この係止位置Aに配置されたフック98にいずれかの歯90aが噛み合うことになる。
【0066】
第1実施形態に係るシリンジ10を有する塗布具12は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、このシリンジ10の作用効果について説明する。
【0067】
図5Aは、
図1のストッパ部材24及びその周辺部を拡大して示す一部拡大断面図であり、
図5Bは、
図5Aに対応する正面断面図(Z1からZ2方向を見た断面図、以下同じ)であり、
図5Cは、
図1のストッパ部材24のフック98が離間した状態を拡大して示す一部拡大断面図であり、
図5Dは、
図5Cに対応する正面断面図である。
【0068】
図5A及び
図5Bに示すように、シリンジ10は、通常状態において、ストッパ部材24のフック98が係止位置Aにあって、歯90aに噛み合うように構成されている。なお、ここでいう通常状態とは、一対の操作片94を操作者の指等で挟持していない状態(係止解除操作していない状態)を指すものである。
【0069】
この場合、押し子22は、第1及び第2の外筒14、16に対して、先端方向の移動が許容されるが、基端方向の移動が規制されることになる。すなわち、フック98が係止位置Aに配置された状態においては、歯部90(押し子22)が先端方向に移動すると、先端方向に向かって斜めに延出したフック98が歯90aの先端側の辺に案内されて揺動することになる。このため、ストッパ部材24は、フック98が歯90aを係止することなく、そのまま先端方向への移動を許容することができる。一方、歯部90(押し子22)が基端方向に移動しようとすると、歯90aの後端側の辺に対して斜めに延出するフック98が噛み合って、フック98がこの歯90aに対し突っ張るように作用する。したがって、ストッパ部材24は、フック98が歯90aを係止することになり、歯部90(押し子22)の基端方向の移動を防ぐことができる。
【0070】
このように、シリンジ10は、移動防止機構(歯部90及びストッパ部材24)によって、押し子22の基端方向の移動を防ぐことで、第1及び第2の外筒14、16内への非充填物の吸引や押し子22が第1及び第2の外筒14、16から抜け落ちることを確実に防止することができる。その結果、シリンジ10内に充填した第1及び第2の液体L1、L2を良好に保持することができる。
【0071】
また、第1及び第2の外筒14、16内に第1及び第2の液体L1、L2を充填する場合には、移動防止機構に対し係止解除操作を行うことで、押し子22の基端方向の移動を許容する。第1実施形態に係るストッパ部材24の場合、
図5C及び
図5Dに示すように、ストッパ部材24に設けられている一対の操作片94を挟持することによって、フック98による歯部90の係止を容易に解除することができる。なお、一対の操作片94の挟持は、操作者の一方の手(片手)のみで行うことができるため、他方の手を押し子22の基端方向の移動(引き出し)に使用して、第1及び第2の外筒14、16内に液体を容易に充填することができる。
【0072】
具体的に、係止解除操作にともなう動作について説明すると、ストッパ部材24は、操作者によって一対の操作片94が挟持されると、該操作片94に連なる装着部92の辺部92cにその押圧力(挟持力)が伝わり、この装着部92の辺部92cを内側(内径方向)に撓ませる。この場合、装着部92の辺部92b側が、支持部96によって固定された状態(外径方向に移動が抑制された状態)にあるため、この辺部92cの撓みは、フック98が形成されている辺部92a側に伝達されることになり、該辺部92aを外径方向に大きく撓ませることができる。これにより、辺部92aの中央に形成されているフック98を係止位置Aから確実に離間(退避)させる。
【0073】
このフック98の係止位置Aからの退避にともない、押し子22の歯部90はフック98による係止が解除されるため、基端方向の移動が許容される。したがって、押し子22を基端方向に移動して、第1及び第2の外筒14、16内に第1及び第2の液体L1、L2を充填することができる。
【0074】
そして、液体の充填終了後は、一対の操作片94の挟持を外すだけで、可撓性を有するストッパ部材24がその弾性力によって元の形状に復帰する。これにともない、装着部92の撓みによって係止位置Aから退避していたフック98が自動的に該係止位置Aに復帰する。
【0075】
このように、第1実施形態に係るシリンジ10では、ストッパ部材24の一対の操作片94を挟持するという簡単な操作によって、押し子22の基端方向の移動の防止と、基端方向の移動の許容を切り替えることができるため、シリンジ10による液体の充填及び吐出を容易に行うことができる。
【0076】
〔第2実施形態〕
図6Aは、第2実施形態に係るシリンジ10Aのストッパ部材150を示す斜視図、
図6Bは、第2実施形態に係るシリンジ10Aのストッパ部材150を示す正面図であり、
図6Cは、
図6BのVIC−VIC線断面図である。また、
図7Aは、
図6Aのストッパ部材150及びその周辺部を拡大して示す一部拡大断面図であり、
図7Bは、
図7Aに対応する正面断面図であり、
図7Cは、
図7Bのストッパ部材150のフックが離間した状態を示す正面断面図である。なお、以降の第2及び第3実施形態の説明において、第1実施形態に係るシリンジ10と同一の構成又は同一の機能を有する構成には、同一の符号を付し詳細な説明については省略する。
【0077】
第2実施形態に係るシリンジ10Aは、第1実施形態のシリンジ10に対して移動防止機構(押し子152及びストッパ部材150)の構造を変更したものである。すなわち、押し子152が備える歯部154は、第1のロッド36のX2方向に延設されている平板部40cに形成されている(
図7A参照)。
【0078】
ストッパ部材150は、この歯部154の形成位置に対応して、装着部156のX2方向の辺部156b内周面にフック158が形成されている。また、一対の操作片160は、フック158を中心として、略90°ずれた位置の二箇所にそれぞれ設けられ、フック158の形成方向(X2方向)にその一部が延出するように形成されている(
図6B参照)。
【0079】
一方、支持部162は、
図6A及び
図6Cに示すように、装着部156のX1方向の辺部156aの先端縁から先端方向に突出する固定片164によって構成されている。この固定片164は、フランジ34の板厚よりも長く形成されており、その先端側には外側に突出する爪部164aが設けられている。
【0080】
図7A及び
図7Bに示すように、ストッパ部材150を第1の外筒14に装着した状態では、固定片164が、フランジ34に形成されている孔部35に挿入され、その反対面から爪部164aが露出して該フランジ34との係止状態を形成する。第2実施形態に係るストッパ部材150は、この固定片164によって、装着部156のX1方向の辺部156aを支持することで、他の辺部156b、156cが第1の外筒14の外周面から離間した状態を形成することができる。
【0081】
第2実施形態に係るシリンジ10Aは、基本的には以上のように形成されるものであり、次にその作用効果について説明する。シリンジ10Aは、通常状態において、フック158が第1の外筒14内に延出する係止位置Aにあって、歯部90を係止することができ、押し子22の基端方向の移動を規制することができる。一方、一対の操作片160を挟持する係止解除操作を行うと、一対の操作片160の押圧力が装着部156の辺部156cを介して、フック158が形成されている辺部156bに伝わり、この辺部156bを外径方向に撓ませ、フック158を係止位置Aから退避させることができる。
【0082】
このとき、装着部156はフック158と対向する反側の辺部156aが固定片164によって支持されているため、フック158側の辺部156bのみを大きく撓ませることができる。したがって、第2実施形態に係るシリンジ10Aにおいても、第1実施形態のシリンジ10と同様の効果を得ることができる。
【0083】
〔第3実施形態〕
図8Aは、第3実施形態に係るシリンジ10Bを示す一部平面図であり、
図8Bは、
図8Aに対応する正面断面図であり、
図8Cは、
図8Bのストッパ部材200のフック210が離間した状態を示す正面断面図である。
【0084】
第3実施形態に係るシリンジ10Bは、ストッパ部材200を一体的にスライド自在とした点で第1及び第2実施形態に係るシリンジ10、10Aとは異なる。なお、移動防止機構の押し子152は、第2実施形態の押し子152と同一の形状に形成されているため、詳細な説明は省略する。
【0085】
第3実施形態に係るストッパ部材200は、第1及び第2の外筒14、16を一体的に囲うように装着部202が形成されている。具体的には、装着部202は、
図8Bに示すように、第1の外筒14の外径に係合する第1長孔204aを構成する第1装着部204と、第2の外筒16の外径に係合する第2長孔206aを構成する第2装着部206とを有している。すなわち、第1長孔204aが第1の外筒14に案内されるとともに、第2長孔206aが第2の外筒16に案内されることで、第1及び第2の外筒14、16のX方向の並びに従い、ストッパ部材200のスライドがX方向のみに規定される。装着部202の第1長孔204aと第2長孔206aの境界部分には、橋架部208が連設されており、この橋架部208の第1の外筒14と対向する面にはフック210が形成されている。
【0086】
フック210は、ストッパ部材200がX1方向に位置している状態で、押し子152のX2方向に形成されている歯部154を係止し、押し子152の基端方向の移動を防ぐことができる。
【0087】
また、ストッパ部材200のスライドを操作する操作片212は、装着部202(第1装着部204)のX1方向の外周面に形成されている。さらに、第1の外筒14のX1方向の外周面と、第1装着部204のX1方向の内周面には、ばね部材(弾性部材)214が介装されている。このばね部材214は、第1装着部204の内周面をX1方向に付勢することで、ストッパ部材200全体をX1方向に付勢する。したがって、通常状態では、ストッパ部材200がX1方向に位置しており、フック210は係止位置において歯部154を係止することができる。
【0088】
フック210による歯部154の係止を解除する場合は、係止解除操作として操作片212をX2方向に押圧してストッパ部材200全体をX2方向にスライドさせる。これにより、フック210が歯部154の係止位置から退避することになり、押し子152の基端方向の移動を許容することができる。
【0089】
係止解除操作後は、ばね部材214によって装着部202が付勢されることで、ストッパ部材200を元の位置に復帰させる。これにより、フック210が係止位置に自動的に復帰する。このシリンジ10Bのように、装着部202と第1の外筒14の間にばね部材214を設けても、フック210の移動(係止位置からの退避と復帰)を容易に行うことができる。
【0090】
以上のように、第1〜第3実施形態のストッパ部材24、150、200を備えたシリンジ10、10A、10Bによれば、第1及び第2の外筒14、16内に第1及び第2の液体L1、L2を充填した状態において、該ストッパ部材24、150、200のフック98、158、210が押し子22、152の歯部90、154を係止して、該押し子22、152の基端方向の移動を確実に防ぐことができる。これにより、非充填物が第1及び第2の外筒14、16内に入り込むことを防止することができる。
【0091】
また、ストッパ部材24、150、200に対し簡単な係止解除操作を行うことによって、押し子22、152の基端方向への移動を許容して、第1及び第2の外筒14、16内への第1及び第2の液体L1、L2の充填等を容易に行うことができる。さらに、係止解除操作後に自動的にフック98、158、210が係止位置Aへ復帰することで、別の操作を行わずに簡単にフック98、158、210が歯部90、154を係止することができ、したがって、シリンジ10、10A、10Bの取扱い時の作業性を大幅に向上することができる。
【0092】
また、ストッパ部材24、150、200を別体として成形し着脱自在としているため、ストッパ部材24、150、200を必要としない状況では、該ストッパ部材24、150、200を容易に取り外すことができる。しかも、成形時に従来のシリンジを大きく形状変更することがないため、製造コストを低減することができる。
【0093】
なお、本発明は、上記の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。
【0094】
例えば、ストッパ部材は、支持部を備えていなくても、比較的可撓性の大きな材質を選択して装着部及びフックを形成することで、装着部の所定の辺部を押圧して、フックを係止位置から移動(退避)させることもできる。すなわち、ストッパ部材は、係止解除操作にともないフックを係止位置から退避させ、係止解除操作後にフックを復帰させることができればよく、第1〜3実施形態の構造に限定されるものではない。
【0095】
また、第1〜第3実施形態では、2つの外筒(第1及び第2の外筒14、16)を有するシリンジ10、10A、10Bについて説明したが、1つの外筒からなるシリンジにも適用可能なことは勿論である。