特許第5969477号(P5969477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969477
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】輸液制御デバイス及び輸液制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20160804BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   A61M5/168 500
   A61M5/168 506
   A61M5/142
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-525374(P2013-525374)
(86)(22)【出願日】2011年8月23日
(65)【公表番号】特表2013-536033(P2013-536033A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】IB2011001930
(87)【国際公開番号】WO2012025814
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2014年8月20日
(31)【優先権主張番号】12/869,316
(32)【優先日】2010年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513046917
【氏名又は名称】ベー.ブラウン メルスンゲン アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】フレディー エン フェ リー
【審査官】 藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−528137(JP,A)
【文献】 特表昭56−500007(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0257412(US,A1)
【文献】 特表2004−506491(JP,A)
【文献】 特開2002−233571(JP,A)
【文献】 特表2008−520373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 − 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給源から患者への流体の送り出しを制御するデバイスであって、
前記流体供給源と患者との間に設けられた、基本流量にて流体を該流体供給源から患者へと送り出すための第一流路;
前記流体供給源と患者の間に設けられて、以下を含む第二流路:
ボーラスリザーバ;
前記ボーラスリザーバと患者の間に配置されたボーラス弁;
前記流体供給源を前記ボーラスリザーバ及びボーラス弁と流体的に連通する第一分岐であって、流体がボーラス充填流量で流れることが可能な寸法を有する分岐レストリクタチューブを含む、第一分岐;及び
前記流体供給源を分岐弁、ボーラスリザーバ、及びボーラス弁と流体的に連通する第二分岐;そして、
前記ボーラス弁と前記分岐弁とを作動させて、少なくとも3つの運転モードのそれぞれを選択して運転可能にする、アクチュエータであって、前記少なくとも3つの運転モードに準備モードと充填モードと待機モードとが含まれる、アクチュエータ;ここで
前記準備モードは、前記アクチュエータが前記ボーラス弁と分岐弁とを開くことによって選択され、流体を前記第一流路、第二流路の第一分岐、及び第二流路の第二分岐を通して流すようにするものであり;
前記充填モードは、前記アクチュエータが前記ボーラス弁を閉じ前記分岐弁を開くことによって選択され、流体を前記第二流路の第二分岐を経由して前記流体供給源からボーラスリザーバへと流すようにするものであり;
前記待機モードは、前記アクチュエータが前記ボーラス弁と分岐弁とを閉じることによって選択され、流体を前記第一流路を経由して前記流体供給源と患者との間に流すようにするものである、
を備える輸液制御デバイス。
【請求項2】
前記待機モードにおいて、前記ボーラスリザーバ内に蓄積された流体を患者に流すために、前記ボーラス弁を開き、そして該ボーラスリザーバに圧力をかけるように前記アクチュエータをさらに選択的に操作できる、請求項1に記載の輸液制御デバイス。
【請求項3】
前記待機モードにおいて、使用者の動作に対応して押し下げられるようにアクチュエータをさらに選択的に操作できる、請求項2に記載の輸液制御デバイス。
【請求項4】
前記第一流路は基本レストリクタチューブを備えている、請求項1に記載の輸液制御デバイス。
【請求項5】
前記基本レストリクタチューブは、流体が基本流量にて前記第一流路を流れることを可能とする寸法を有する、請求項4に記載の輸液制御デバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、流体を患者に前記第一流路を経由させて送り出しながら、前記ボーラスリザーバの充填が可能に構成されている、請求項1に記載の輸液制御デバイス。
【請求項7】
前記ボーラス充填流量は、前記第二流路の第一分岐を経由した前記流体供給源からの流体によって前記ボーラスリザーバが満たされるために必要とされる所望の時間に基づいて前もって選択される、請求項に記載の輸液制御デバイス。
【請求項8】
前記待機モードにおいて、前記ボーラスリザーバが充填されるまで、流体が前記第二流路の第一分岐を経由して前記流体供給源とボーラスリザーバとの間に流される、請求項に記載の輸液制御デバイス。
【請求項9】
前記デバイスは以下のモード:準備モード、充填モード、及び待機モード、のうちの少なくとも1つになるように、前記アクチュエータを選択的に回転させることができる、請求項1に記載の輸液制御デバイス。
【請求項10】
前記ボーラス弁及び分岐弁はピンチチューブである、請求項1に記載の輸液制御デバイス。
【請求項11】
前記アクチュエータは、患者によって操作可能なノブである、請求項1に記載の輸液制御デバイス。
【請求項12】
前記流体供給源は輸液ポンプである、請求項1に記載の輸液制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
患者が薬剤を自ら投与する能力は、例えば、オフサイト治療又は看護師若しくは介護士がすぐに応対できない場合に、長期治療などの医学的状況から生じている実際業務の問題に対する解決を提供する。
患者自己調節鎮痛法(PCA)は、疼痛の緩和が最も必要なときに患者自身による疼痛緩和を可能にするので、疼痛管理の分野で広く受け入れられている。
PCAデバイスは、理想的には、過剰摂取に対する安全装置を備え、そして、ほとんど又は全く医学的訓練を受けていない患者が簡単且つ安全に操作できるべきである。
【0002】
PCAデバイスは、例えば、患者が追加的な鎮痛を必要とする又は所望するときに、薬剤の所定量の追加ボーラス投与量が患者に提供されるようにすることが多い。
ボーラス投与量を提供された後でも、患者は、PCAデバイスが接続されているIVポンプから通常(基本)量の持続注入を受け続けることができる。場合によっては、基本量がゼロである、つまり、PCAデバイスが作動しているときにだけ患者に薬剤が投与される。
【発明の概要】
【0003】
一般に、一態様において、本発明は流体供給源から患者への流体の送り出しを制御するためのデバイスを特徴とする。該デバイスは、流体供給源と患者との間に設けられた、流体を基本流量にて流体供給源から患者へと送り出すための第一流路;前記流体供給源と患者の間に設けられて、以下を含む第二流路:ボーラスリザーバ;該ボーラスリザーバと患者との間に配置されたボーラス弁;前記流体供給源と前記ボーラスリザーバ及びボーラス弁とを流体的に連通する第一分岐;及び前記流体供給源と分岐弁、ボーラスリザーバ及びボーラス弁とを流体的に連通する第二分岐を備えた第二流路;そして、前記デバイスが以下のモードのうちの少なくとも1つになるように選択的に操作できるアクチュエータ:前記ボーラス弁と分岐弁とを開いて、流体を前記第一流路、第二流路の第一分岐、及び第二流路の第二分岐を通して流す準備モード;前記ボーラス弁を閉じ、前記分岐弁を開いて、流体を前記第二流路の第二分岐を経由して前記流体供給源からボーラスリザーバへと流す充填モード;並びに前記ボーラス弁と分岐弁とを閉じて、流体を前記第一流路を経由して前記流体供給源と患者との間に流す待機モード、
を備えたものである。
【0004】
本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ若しくは複数を有することができる。
【0005】
前記待機モードにおいて、前記ボーラスリザーバ内に蓄積された流体を患者に流すために、前記分岐弁を開き、そして該ボーラスリザーバに圧力をかけるように前記アクチュエータをさらに選択的に操作できるものとすることができる。
前記待機モードにおいて、使用者の動作に対応して押し下げられるようにアクチュエータをさらに選択的に操作できるようにしてもよい。
【0006】
前記第一流路は基本レストリクタチューブを備えているものとしてもよい。該基本レストリクタチューブは、流体が基本流量で第一流路を流れることを可能とする寸法であってもよい。
【0007】
前記デバイスは、流体を患者に前記第一流路を経由させて送り出しながら、前記ボーラスリザーバの充填が可能に構成されているものとすることができる。
【0008】
前記第一分岐は、流体がボーラス充填流量で流れることが可能な寸法を有する分岐レストリクタチューブを含んでいても良い。該ボーラス充填流量は、前記第二流路の第一分岐を経由した前記流体供給源からの流体によって前記ボーラスリザーバが満たされるために必要とされる所望の時間に基づいて前もって選択されるものとすることができる。前記待機モードにおいて、前記ボーラスリザーバが充填されるまで、流体が前記第二流路の第一分岐を経由して前記流体供給源とボーラスリザーバとの間に流されるものであってもよい。
【0009】
前記デバイスは、準備モードの操作において、前記ボーラス弁と分岐弁を開け、前記流体が前記第一流路と第二流路とを経由させて前記流体供給源とデバイス出力との間に流されるようにさらに構成されていてもよい。
【0010】
前記アクチュエータは、前記デバイスを以下のモード:待機モード、充填モード、及びボーラス投与モード、のうちの少なくとも1つにするための選択的に回転させることができるように回転可能なものであってもよい。前記アクチュエータは、前記ボーラス投与モードを選択するために押し下げられるように構成されていてもよい。
【0011】
前記ボーラス弁及び分岐弁はピンチチューブであってもよい。
【0012】
前記アクチュエータは、さらに、流体が前記流体供給源とボーラスリザーバとの間を流れるよう前記分岐弁を開ける構成とすることができる。
【0013】
前記アクチュエータが押し下げられたとき、前記ボーラスリザーバ内に蓄積された流体を排出するように、圧力が該ボーラスリザーバに加えられてもよい。
【0014】
前記アクチュエータは、患者が操作できるノブであってもよい。
【0015】
前記流体供給源は輸液ポンプであってもよい。
【0016】
一般に、もう1つの態様において、本発明は、第一流路と該第一流路に並行する第二流路を持つデバイスを使用した、流体供給源から患者への流体の送り出しを調節する輸液制御方法を特徴とする。前記方法には、流体を基本流量にて前記第一流路を経由して患者に送り出すこと;アクチュエータの作動に対応して、前記第二流路に沿って配置されたボーラスリザーバ内に蓄積された流体を患者に送り出すこと、が含まれる。
【0017】
本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ若しくは複数を含み得る。
【0018】
前記ボーラスリザーバ内に蓄積された流体の送り出しを可能とする方法には、該ボーラスリザーバと患者との間の前記第二流路に沿って配置されたボーラス弁を開けることが含まれていてもよい。その方法には、前記第一流路を経由して流体を患者に送り出しながら、前記流体供給源からの流体を前記ボーラスリザーバに充填することがさらに含まれていてもよい。前記ボーラスリザーバを充填する方法には、前記第二流路の第一分岐を経由して流体を前記流体供給源から該ボーラスリザーバへと供給することが含まれていてもよい。前記ボーラスリザーバを充填する方法には、前記第二流路の第二分岐を経由して流体を前記流体供給源から該ボーラスリザーバへと供給することが含まれ得る。前記第二流路の第二分岐を経由して流体を送り出す方法には、前記第二分岐に沿って配置された分岐弁を開けることが含まれていてもよい。
【0019】
本明細書中に記載した輸液制御デバイスには多くの利点がある。薬剤投与を受けている患者は、薬剤の持続注入を受けることができ、そして、必要に応じて、偶発的な又は意図的な過剰摂取の危険なしにボーラスを自分で注入することができる。
【0020】
ボーラスリザーバの準備と充填は、迅速であり、且つ、効率的である。ボーラスがボーラス投与直後に再充填されるときでさえ、患者への流体又は薬剤の基本流量は一定なままである。
【0021】
アクチュエータノブは、通常のボーラス投与量の投与に加えて、急速な準備と最初の迅速なボーラス充填の両方を可能にする、二重の機能を有する単純なデザインである。
【0022】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の説明と特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は輸液制御デバイスを模式的に示す図である。
図2A図2Aは輸液制御デバイスにおける流体の流路を説明する図である。
図2B図2Bは輸液制御デバイスの流体流路を模式的に示す図である。
図3図3は輸液制御デバイスの内部構造を模式的に示す図である。
図4図4は輸液制御デバイスのアクチュエータノブの構造を模式的に示す図である。
図5A図5Aは輸液制御デバイスの上部ハウジングの構造を模式的に示す図である。
図5B図5Bは輸液制御デバイスの上部ハウジングの構造を模式的に示す図である。
図6A図6Aは輸液制御デバイスを急速準備モードに設定した状態を模式的に示す図である。
図6B図6Bは輸液制御デバイスを急速準備モードに設定した状態を模式的に示す図である。
図7図7は輸液制御デバイスを急速充填モードに設定した状態を模式的に示す図である。
図8A図8Aは輸液制御デバイスを待機モードに設定した状態を模式的に示す図である。
図8B図8Bは輸液制御デバイスを待機モードに設定した状態を模式的に示す図である。
図8C図8Cは輸液制御デバイスを待機モードに設定した状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、輸液制御デバイス10は、入力チューブ3011を経由してエラストメリックポンプなどのポンプ100に接続される。輸液制御デバイス10は、出力チューブ3041を経由した患者への流体の送り出し(例えば、薬剤の送り出し)を制御するために、患者12又は別の人(例えば、患者の介護人)によって操作可能となっている。
通常、輸液制御デバイス10は、予め定められた基本流量での流体の送り出しを可能にする。しかしながら、時には、患者が、例えば鎮痛の促進をもたらすために、追加的なボーラス投与を必要又は所望することもあり得る。輸液制御デバイス10は、ボーラス投与量の送り出し、それに続く基本流量への即時復帰を可能にする。一旦ボーラス投与量を送り出して、前記輸液制御デバイスがまた次のボーラス投与量の送り出しが可能となる前に、「ロックアウト」期間を予め設けることで、偶然的又は意図的な過剰摂取を予防する。
いくつかの実施形態において、輸液制御デバイス10とポンプ100とは、単一のユニットとして提供される。
【0025】
輸液制御デバイス10は、下部ハウジング21と上部ハウジング22とから形成され、該上部ハウジングにはアクチュエータノブ51が配置されている。ノブ51は、所望の運転モード(例えば、基本流量、ボーラス投与、あるいは準備及び/又はボーラスリザーバの充填)に対応する、デバイス内を通る特定の流体経路を選択することができるように、中心垂直軸に対して回転可能である。ノブ51は、ガイド221,222によって安定化されていて、これらのガイドがノブの位置を維持するのを助けている。
【0026】
図2A及び2Bに示すように、3つの流路:基本流路35、第一ボーラス流路36、及び第二ボーラス流路37が、輸液制御デバイス10を通して設けられている。基本流路35において、流体は、配管部分3012,3042及び基本レストリクタチューブ33を経由して、入力節301と出力節304との間を流れる。第一ボーラス流路36内の流体は、配管部分3021,3032及びボーラスレストリクタチューブ34を通って、第一分岐節302と第二分岐節303との間を流れる。第二ボーラス流路37において、流体は、配管部分3022と3033及び弁31を通って、分岐節302と304との間を流れる。第二分岐節303において、第一及び第二ボーラス流路36,37は結合され、そして配管部分3031を通り抜けてボーラスリザーバ30に流れる。前記ボーラスリザーバからの流体は、配管部分3034と3043及び弁32を通って、出力節304から出ていく。
【0027】
最初の利用前における輸液制御デバイス10の準備のため、流体が3つの流路35,36,37すべてを通って流れるように、ノブ51を弁31,32ともに開かせる位置に回転させる。準備の間、レストリクタチューブ33,34の両方及びボーラスリザーバ30は、流体で満たされ、その準備が迅速に行われるようにしている。特に、弁31の開放により、ポンプ100とボーラスリザーバ30との間に、レストリクタチューブ33,34を回避する低抵抗経路が形成される。いくつかの実施形態において、迅速な準備をさらに促進するため、輸液制御デバイスの最初の使用前に、ボーラスリザーバはしぼませた状態で提供され、充填前にリザーバから排出されなければならない空気の量を最小限にする。 いくつかの実施形態において、弁31,32がともに開く位置へのノブ51の回転は、流路36,37を通って流れる流体が前記ボーラスリザーバ内に蓄積しないように該ボーラスリザーバをしぼませ、さらにしぼませた状態を保たせるという更なる効果を有する。
【0028】
基本流量の流体を送り出すためには、ノブ51を弁31,32の両方が閉じる位置に回転させる。この配置においては、流体は基本流路35に沿ってのみ流れる。流量レストリクタチューブ33の寸法は、所望の基本流量を達成することができるように選択される。
【0029】
ボーラス投与量を送り出すために、ノブ51は弁32だけを開く「準備完了」位置まで回される。ノブが押し下げられたとき、ノブの下部がボーラスリザーバ30に圧力をかけ、これによりリザーバをしぼませ、内容物を押し出す。前記ボーラス投与量は、配管部分3034,3043を通って出力節304に流れ、患者12に送り出される。
【0030】
一旦ボーラス投与量が送り出されると、弁32を閉じ、且つ、基本流量での流体の送り出しを再開できるように、ノブ51を回転させる。流路35に沿って流体が送り出されると同時に、ボーラスリザーバは流路36に沿って流れる流体によって充填されている;しかしながら、弁32が閉じられているので、充填期間中のボーラス投与量の送り出しは遮断されている。前記ボーラスリザーバは、所定のロックアウト期間が経過するまで再び作動することが妨げられる。レストリクタチューブ34の寸法は、ボーラスリザーバ30の充填時間を制御し、それによってロックアウト期間の長さを設定する。
【0031】
弁31,32は、適切なドュロメトリック値(durometric value)のシリコーン又は塩化ビニル(PVC)などの柔軟な材料から形成されたピンチチューブである。節301〜304は、PVC又は別の重合体であって一般的に入手可能な溶剤により配管部分を容易に結合することができるものによって形成された3ポートコネクタである。レストリクタチューブ33,34は、例えば、適当な内部管腔のガラス毛細管又はPVCチューブである。ボーラスリザーバ30は、例えば、2枚のPVC膜を溶接することにより形成された柔軟なチャンバーである。前記ボーラスリザーバは、フィルム上に機械的な力を作動させることによって(例えば、以下にさらに詳細に論じるように、ノブ51を押し下げることによって)放出することができるように、予め定めた量の流体を蓄えられる設計となっている。
【0032】
図3図4、及び図5Aに示すように、弁31,32は、それぞれホルダー228a,228b,227a,227bによって上部ハウジング22上の適当な位置に保持されるピンチチューブである(図4A)。ノブ51の外周のまわりの球状突起510,511,512(図3)は、それぞれ弁32,31を開いたり閉じたりするための板バネ211及び212(図3)と関連して動作する。弁の1つを閉じるために、前記球状突起510,511または512のうちの1つが、所望の弁に相当する板バネ211又は212上のくぼみ213,214によって受け止められる位置にノブ51を回転させる。前記球状突起が前記くぼみ213,214によって適所にしっかり保持されている状態で、前記弁32又は31は、それぞれ前記板バネ211又は212と上部ハウジング22上の逆流防止部227又は228との間で締め付けられる。前記球状突起がくぼみから解放されるようにノブ51が押し下げられるときか、又は球状突起が前記板バネと提携しないように前記ノブを回転させたときのいずれかの場合に、前記締め付けは解除される(このようにして前記弁を開ける)。前記板バネは、球状突起によって圧迫されるとアーチ形になると共に、エネルギーの偏りを蓄える;前記球状突起からの力が取り除かれたとき、前記エネルギーは解放され、これによりピンチ弁から前記板バネを跳ね除けさせる。
【0033】
図1及び図4を参照して説明すると、ノブ51は、アーチ形スプリング60上のホルダー70(図6Aを参照)に取り付けられているため、運転の所望のモードを選択できるように自由に回転させることができる。スプリング60はノブ51に対して上向きの力を作用させる。示した実施形態において、スプリング60は2つの細長い片610,611から形成され、そしてそれが材料特性、寸法、及び製造プロセスに関する製造工具の調整要素の変更を容易にしている。スプリング60は、ノブ51が下向きに押され、スプリングが圧縮されると、下部ハウジング22のレール状のガイド(図示せず)に沿って外方側に自由にスライドする、丸い端部610a,611a及び610b,611bを有している。すなわち、前記ガイドは、スプリングの端部の向きをほぼ一定にすることを確実にし、それによりノブの押し下げ又は回転中におけるハウジング内でのスプリング60の当初の配置が維持される。スプリング60は、前記ノブ51の回転と上下運動の両方を可能にするのに十分な弾性、強度、及び耐久性を有する材料から形成されている。いくつかの実施形態において、金属製のアーチ形のスプリング(図示せず)が、追加的な所望の物理的属性を提供するためにスプリング60の横に取り付けられる。
【0034】
スプリング60は、その内側の曲面の頂点に3つ(又は、いくつかの実施形態においてはそれ以上)の舵様の機構620,621,622を有している。前記舵様の機構は、ノブ51が押し下げられたとき、スプリング60が圧縮されて、外側の舵様の機構620及び622が中央の舵様の機構621から離れるように横に動く(すなわち、機構620と622の間のアーチはわずかにまっすぐにされる)。ノブ51が十分押し下げられると、これらの舵様の機構は、スプリング60の下に位置するボーラスリザーバ30と接触する。舵様の機構の広がる動きは、リザーバの隅や隣接している配管内に向けてボーラスリザーバ30内の内容物を絞り出す、押し流し及び絞り出し効果を発生させる。
【0035】
また、図5A及び5Bに示すように、くぼみ518,519が、ノブ51上の対応する三角形のガイド500,502の頂点にそれぞれ形成されている。ノブ51は押し下げられて適当な位置まで回されると、前記くぼみ518,519が、上部ハウジング22のインナーカラー504上の突起225,226のそれぞれを受け入れ、そして前記ノブを適所に固定する。三角形のガイド500の勾配斜面520,521、及び三角形のガイド502の勾配斜面522,523は、くぼみ518,519によって形成された位置に侵入及び離脱するノブの円滑な回転を促進する。
【0036】
図6A及び6Bに示すように、急速プライムモードにおいて、上部ハウジング22の突起225,226が、ノブ51において対応するくぼみ518,519に固定された状態に、ノブ51が押し下げられる。スプリング60は、下がった位置のノブ51によって圧縮され、そして舵様の機構620,621,622がボーラスリザーバ30に接触した状態となる。前記ボーラスリザーバは全体としてしぼまされ、そしてそれがその柔軟なチャンバー内の空気容量を最小限にする。
【0037】
弁31及び32は開いている;すなわち、板バネ機構211及び板バネ機構212はノブ51上の球状突起510,511,又は512に接触していない。両方の弁が開いているので、配管部分3022及び配管部分3033の間の流体連通が、配管部分3043及び配管部分3034の間の流体連通のように可能である(図2Aを参照)。より一般的には、すべての流路35,36,37が開いていて、そしてそれがポンプ100と出力チューブ3041との間の流体連通を可能にしている。先に述べたように、弁31の開放が、レストリクタチューブ34を迂回することを可能にし、そしてボーラスリザーバの迅速なプライム及び充填を容易にする。
【0038】
一般に、輸液制御デバイス10は、通常は最初の利用前に急速プライムの形態で提供される。
【0039】
図7に示すように、急速充填モードにおいては、ノブ51は押し下げられず、上部ハウジング22の突起225,226が勾配斜面522又は523、及び勾配斜面532又は533の底部の位置まで回される。先に記載した前記急速プライムモードからこの位置に達するまで、ノブ51をスロット530を用いて時計回りに回転させる。いくつかの実施形態において、出力チューブ3041には、ノブの回転を容易にするためのスロット530に挿入できる、のみ形をした翼状部を持つキャップがある。ノブ51の外周面の端部上のマーカー513は、上部ハウジング22の窓223(図1参照)の中にあらわれて、輸液制御デバイスが急速充填モードであることを示す。
【0040】
この構成において、スプリング60の下の舵様の機構620,621,622は、前記ボーラスリザーバ30が完全に充填されるまで該ボーラスリザーバ30に接触しない。弁31が開き、そして節302と節303との間の第二ボーラス流路に沿った流体的に連通することが可能になる。レストリクタチューブ34と比較して弁31は大きいので、ボーラスリザーバは急速に充填される。弁32は球状突起511の板バネ211との提携によって閉じられ、これにより充填中のボーラスリザーバから流体が流出することを防ぐ。
【0041】
図8A〜8Cに示すように、待機(スタンバイ)モードにおいて、ノブ51を両方の弁31及び32が閉じる位置に回転させる。上部ハウジング22の突起225,226を、ノブのスロット525,524と位置を合わせる。スロット524,525は、ノブ51が押し下げられたときにガイドとして機能する垂直に向かう溝である。マーカー513は、上部ハウジング22の窓224(図1参照)の中にあらわれて、輸液制御デバイスが待機モードであることを示す。
【0042】
準備モードの態様において、流体は、レストリクタチューブ33を通って基本流路35に沿って流れることができる;すなわち、輸液制御デバイス10は基本流量で絶えず送り出し続ける。節302と節304の間の前記ボーラス流路は閉じられている。ノブ51が押し下げられると、弁32が開き、そしてボーラスリザーバ30と出力節304の間の流体的に連通することが可能になる。先に記載したように、ボーラスリザーバは押しつぶされ、そしてボーラス投与量が患者12に送り出される。ノブ51の作動及び前記ボーラス投与量の投与後に、ボーラスリザーバ30は第一ボーラス流路36を経由して再充填される。レストリクタチューブ34の寸法は、予め定められた時間でボーラスリザーバ30を充填することができるように選択され、これによりノブ51の頻繁な作動による過剰投与を予防する。
【0043】
いくつかの実施形態において、基本流路35は、輸液制御デバイス10がボーラスリザーバの作動の際のみに流体を送り出すようには形成されていない。
【0044】
前述の説明は例示することを意図したものであって、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定されることは理解されるべきである。その他の実施形態も以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
以下に、本願発明に関連する発明の態様について列挙する。
[態様1]
流体供給源から患者への流体の送り出しを制御するデバイスであって、
前記流体供給源と患者との間に設けられた、基本流量にて流体を該流体供給源から患者へと送り出すための第一流路;
前記流体供給源と患者の間に設けられて、以下を含む第二流路:
ボーラスリザーバ;
前記ボーラスリザーバと患者の間に配置されたボーラス弁;
前記流体供給源を前記ボーラスリザーバ及びボーラス弁と流体的に連通する第一分岐;及び
前記流体供給源を分岐弁、ボーラスリザーバ、及びボーラス弁と流体的に連通する第二分岐;そして、
前記デバイスが以下のモードのうちの少なくとも1つになるように選択的に操作できるアクチュエータ:
前記ボーラス弁と分岐弁とを開いて、流体を前記第一流路、第二流路の第一分岐、及び第二流路の第二分岐を通して流す準備モード;
前記ボーラス弁を閉じ、前記分岐弁を開いて、流体を前記第二流路の第二分岐を経由して前記流体供給源からボーラスリザーバへと流す充填モード;並びに
前記ボーラス弁と分岐弁とを閉じて、流体を前記第一流路を経由して前記流体供給源と患者との間に流す待機モード、
を備える輸液制御デバイス。
[態様2]
前記待機モードにおいて、前記ボーラスリザーバ内に蓄積された流体を患者に流すために、前記分岐弁を開き、そして該ボーラスリザーバに圧力をかけるように前記アクチュエータをさらに選択的に操作できる、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様3]
前記待機モードにおいて、使用者の動作に対応して押し下げられるようにアクチュエータをさらに選択的に操作できる、態様2に記載の輸液制御デバイス。
[態様4]
前記第一流路は基本レストリクタチューブを備えている、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様5]
前記基本レストリクタチューブは、流体が基本流量にて前記第一流路を流れることを可能とする寸法を有する、態様4に記載の輸液制御デバイス。
[態様6]
前記デバイスは、流体を患者に前記第一流路を経由させて送り出しながら、前記ボーラスリザーバの充填が可能に構成されている、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様7]
前記第一分岐は、流体がボーラス充填流量で流れることが可能な寸法を有する分岐レストリクタチューブを含む、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様8]
前記ボーラス充填流量は、前記第二流路の第一分岐を経由した前記流体供給源からの流体によって前記ボーラスリザーバが満たされるために必要とされる所望の時間に基づいて前もって選択される、態様7に記載の輸液制御デバイス。
[態様9]
前記待機モードにおいて、前記ボーラスリザーバが充填されるまで、流体が前記第二流路の第一分岐を経由して前記流体供給源とボーラスリザーバとの間に流される、態様7に記載の輸液制御デバイス。
[態様10]
前記デバイスは以下のモード:準備モード、充填モード、及び待機モード、のうちの少なくとも1つになるように、前記アクチュエータを選択的に回転させることができる、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様11]
前記ボーラス弁及び分岐弁はピンチチューブである、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様12]
前記アクチュエータは、患者によって操作可能なノブである、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様13]
前記流体供給源は輸液ポンプである、態様1に記載の輸液制御デバイス。
[態様14]
第一流路と、該第一流路に並行する第二流路とを備えたデバイスを使用した、流体供給源から患者への流体の送り出しを制御する方法であって:
流体を基本流量にて前記第一流路を経由して患者に送り出すこと;そして
アクチュエータの作動に対応して、第二流路に沿って配置されたボーラスリザーバ内に蓄積された流体を患者に送り出すことが可能であること、を含む輸液制御方法。
[態様15]
前記ボーラスリザーバ内に蓄積された流体の送り出しを可能とすることには、該ボーラスリザーバと患者との間の前記第二流路に沿って配置されたボーラス弁を開くことを含む、態様14に記載の輸液制御方法。
[態様16]
前記第一流路を経由して流体を患者に送り出しながら、前記流体供給源からの流体を前記ボーラスリザーバに充填することをさらに含む、態様14に記載の輸液制御方法。
[態様17]
前記ボーラスリザーバを充填することには、前記第二流路の第一分岐を経由して流体を前記流体供給源から該ボーラスリザーバに供給することを含む、態様16に記載の輸液制御方法。
[態様18]
前記ボーラスリザーバを充填することには、前記第二流路の第二分岐を経由して流体を前記流体供給源から該ボーラスリザーバに供給することを含む、態様16に記載の輸液制御方法。
[態様19]
前記第二流路の第二分岐を経由して流体を供給することには、該第二分岐に沿って配置された分岐弁を開くことを含む、態様18に記載の輸液制御方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C