【実施例】
【0019】
以下の実施例は、本発明の例示のために与えられ、従って本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0020】
実施例1
腫瘍サンプルの採取
腫瘍サンプルを、インド バンガロールのSri Sathya Sai Institute of Higher Medical Sciences(SSSIHMS)とNational Institute of Mental Health and Neuroscience(NIMHANS)で手術した患者から採取した。難治性てんかんのための手術中に得られた正常な脳組織(前側頭葉)を、対照サンプルとして使用した。試験は、2つの臨床センターの倫理委員会により精査され及び承認され、そして患者の同意は、IECガイドライン及び承認の通りに試験の開始前に取得した。
【0021】
実施例2
細胞株、siRNA及び形質移入
U373、U138、LN18、LN229、U343、U87、K562、U251及びSVG細胞を、37℃、5%CO
2を有する加湿雰囲気で、それぞれ10%ウシ胎児血清、ペニシリン及びストレプトマイシンを有するDMEM中で培養した。ヒトTOP2A及びシクロフィリンの二本鎖siRNAを設計し、Dharmacon Research(Lafayette,CO)により化学的に合成した。SMARTpool siRNAは、TOP2Aの違ったコード領域配列(Genbank(商標)アクセッション番号NM_001067)を標的とする4つの異なる二本鎖siRNAの混合物である。二本鎖siRNAを、1×ユニバーサルRNAオリゴ緩衝液(20mMのKCl、6mMのHEPES‐KOH(pH7.5)、0.2mMのMgCl
2)中に溶解した。siRNA形質移入(200nM)を、Dharmafect(Dharmacon Research)を使用してメーカーの説明通りに行った。
【0022】
実施例3
細胞生存能力アッセイ
化学療法感受性アッセイのために、細胞をプレートに蒔いた24時間後に、細胞を細胞毒性薬剤で処理し、そして37℃、5%CO
2で45時間インキュベートした。この時点で、MTT(20μL(5mg/mL))を細胞に添加した。MTT添加3時間後、ホルマザン結晶をDMSO(200μL)に溶解し、そして550nmでの吸光度として測定した。対照細胞による吸光度を、100%であると考え、そしてすべてのサンプルを対照細胞に対して規格化した。すべてのアッセイを3連で行った。
【0023】
実施例4
RNAの単離及びRT‐qPCR
全RNAをTRI Reagent(Sigma、USA)を使用して凍結組織から抽出した。RNAサンプルを、分光光度計を使用して吸光度を測定することにより定量し、そして品質保証のために、MOPSホルムアルデヒドゲル上で可視化した。選択した遺伝子の発現レベルの相対定量を、以下の2ステップ方法を使用して行った。第一ステップにおいて、cDNAを、cDNA Archive kit(ABI PRISM)を使用して、異なる組織サンプル由来のRNAから生成し;続いて、リアルタイム定量PCRを、cDNAをテンプレートとして、遺伝子特異的プライマーセット及びSYBRグリーン色素を含むDynamo kit(Finnzyme、Finland)を使用して、ABI PRISM7900(Applied Biosystems)配列決定システムで行った。すべての測定を、3連で行った。GARS(グリシル‐tRNA合成酵素)、AGPAT1(1‐アシルグリセロール‐3‐リン酸 O‐アシルトランスフェラーゼ1)、ATP5G1(ATP合成酵素、H+輸送、ミトコンドリアF0複合体、サブユニットC1(サブユニット9))及びRPL35A(リボソームタンパク質L35a)遺伝子を、それらの発現レベルがアレイ試験において不変であることを見出したので内部対照として使用した。てんかん患者からの正常な脳組織サンプルを、参照として使用した。デルタデルタCT法を、比率の計算のために使用した。使用するRT‐PCRプライマーの配列及び条件を、要求に応じて提供する。
図1B、並びに2A、B、C、D及びEにおけるそれぞれのドットは、内部参照遺伝子で規格化後、1つのサンプル由来の転写産物レベルの中央値を示す。すべての群(正常、DA、AA及びGBM)のRNA発現レベル(log2比)を、正規分布について試験し、そしてそれらが、正常に分布していないことを見出した。結果を、平均log2比±SDの形式で表した。群間の比較を、クラスカル‐ウォリス(Kruskal‐Wallis)の一元配置分散分析を使用して実施し、そしてさらにサブグループ内の比較を、SPSSバージョン16.0ソフトウェアを使用して、ボンフェローニ補正事後(adjusted post‐hoc)検定で実施した。
【0024】
実施例5
ウェスタンブロッティング
細胞株由来のタンパク質溶解物を、RIPA緩衝液中で調製し、そして総タンパク質の等量を、ブラッドフォード試薬により定量後、イムノブロッティングのために使用した。次の抗体(TOP2A(Dakocytomation;Cat#M7186;1:250)及びアクチン(Sigma;Cat#A3854;1:25000))を、本試験について使用した。
【0025】
実施例6
TOP2A酵素アッセイ
TOP2A活性を、プラスミド緩和アッセイを使用してインビトロで測定した。簡単に言えば、緩和アッセイは、トポイソメラーゼII反応緩衝液(50mM Tris‐Cl(pH8.0)、150mM KCl、10mM MgCl2、5mM ATP、0.5mM DTT、30μg/ml BSA)の最終容量30μl中に、プラスミドDNA(pBR322;200ng/反応物)及び2ユニットのTOP2A(Topgen Cat#200H‐2)を含む。反応物を37℃で30分間、インキュベートし、そして2.5μlのローディング色素(30%グリセロール及び0.25%ブロモフェノールブルー)の添加により反応を停止した。サンプルを1%ネイティブアガロースゲル(インターカレーターなし)上で分析した。ゲルを、エチジウムブロマイドで10〜15分間染色した。エトポシド又はテモゾロミドの効果を決定するために、反応混合物中に特定量を添加した。
【0026】
実施例7
免疫組織化学(IHC)
腫瘍組織及び対照サンプルからパラフィン切片(4μm)を、シランコートスライド上に採取し、そしてTOP2Aのタンパク質発現を、127サンプル(16DA、21AA、77GBM、及び13対照サンプル)に関して、免疫組織化学(IHC)により評価した。脱パラフィン切片の熱誘導抗原回復(heat‐induced antigen retrieval)を、クエン酸緩衝液(10mM、pH6.0)中で、600Wで30〜35分間、マイクロ波オーブンで行った。最初のプロセシングステップ後、切片を、TOP2A(Dakocytomation;Cat#M7186、1:60希釈)一次抗体で、室温で一晩、インキュベートした。これは、次に超高感度非ビオチンHRP検出システム(QD440‐XAK、Biogenex、USA)でのインキュベーションを行う。3,3’‐ジアミノベンジジン(Sigma‐Aldrich、St.Louis、U.S.A)を、発色物質として使用した。顕著に増加したTOP2AのmRNAレベルを示した腫瘍を、陽性対照として供給した。一次抗体を除いた陰性対照スライドを、染色のそれぞれのバッチと組み合わせた。核及び細胞質染色の両方を認めた。核及び細胞質の免疫組織化学染色を、0〜2の3ポイントスケールに関して、半定量的にスコア化し、ここで腫瘍の中心部内で、0=非染色、1+=弱染色、及び2+=強染色である。2+の核及び細胞質陽性のみ、分析のために考慮した。免疫陽性を、それぞれの腫瘍標本由来の1000超の細胞で評価した。標識指数(labeling index)(LI)を、カウントした全細胞のうち、2+染色を示した細胞のパーセンテージとして表す。
【0027】
実施例8
IHCデータに関する統計分析
すべての連続変数を、正規分布について試験し、そしてそれらは、非正規であることを見出した。グレード特異的発現パターンを決定するために、非パラメトリック検定、クラスカル‐ウォリスの順位の一元配置分散分析を、IHCによって評価したデータで実施した。4つの群すべての平均間の有意差を、一元配置分散分析の後に多重比較のためのボンフェローニ補正事後検定により決定した。結果を、平均LI±SDの形式で表す。すべての分析を、SPSSバージョン15.0を使用して実施した。
【0028】
実施例9
腫瘍サンプル
腫瘍サンプルを、インド バンガロールのSri Sathya Sai Institute of Higher Medical Sciences(SSSIHMS)とNational Institute of Mental Health and Neuroscience(NIMHANS)で手術した患者から採取した。難治性てんかんのための手術中に得られた正常な脳組織(前側頭葉)を、対照サンプルとして使用した。試験は、2つの臨床センターの倫理委員会により精査され及び承認され、そして患者の同意は、IECガイドライン及び承認の通りに試験の開始前に取得した。組織を二等分し、そして半分を液体窒素中で瞬間凍結し、そしてRNAの単離まで−80℃で保存した。他の半分を、ホルマリンで固定し、そしてパラフィン切片に処理した。これらを、星状細胞腫及び免疫組織化学の病理組織学的グレーディングのために使用した。172の膠芽細胞腫(GBM)、54の悪性星状細胞腫(グレードIII(AA))、30のびまん性星状細胞腫(グレードII(DA))、及び20の正常対照を含む全部で276サンプルを、本試験で使用した。172のGBMサンプル中102が、標準化処置プロトコール(詳細は後述)を受けたGBM患者の前向き選択コホートに由来する。TOP2Aのタンパク質発現を、127サンプルでIHCにより腫瘍組織切片上で分析した。
【0029】
実施例10
生存とTOP2AのmRNAレベルとの相関関係
2つの臨床センター(NIMHANS/SSIHMS)で手術を受けた新たに診断された膠芽細胞腫患者(n=102)を、前向き試験に含んだ。倫理委員会による承認及び患者の同意を、試験を開始する前に取得した。患者を以下の組み入れ基準:1)テント上大葉性腫瘍(supratentorial lobar tumor)成人患者(年齢18〜65歳の間)、2)術後のMRIスキャン上で認めたれた最小限の残留物を有する、腫瘍の最大限安全な切除を受けた患者、3)術後のカルノフスキーのパフォーマンススコア(KPS)≧70を有する患者に基づいて採用した。
【0030】
すべての患者は、腫瘍の最大限安全な切除を受けた。すべての患者は、45日間毎日継続して100mg/日の用量で投与されるテモゾロミド(temozolamide)での付随する化学療法に加えて、33分割で総線量59.4Gyを照射する放射線治療からなる統一されたアジュバント治療を受けた。続いて、28日毎に5日間、150mg/m
2(体表面積)の用量のテモゾロミド(temozolamide)で循環化学療法5サイクルを投与した。患者を臨床的及びMR画像で追跡調査した。最大の追跡調査期間は、34月であった。
【0031】
結果と考察
高いTOP2AレベルがGBM患者において良好な予後指標である
102のGBM患者のコホートを前向き試験に採用し、そして標準処置プロトコール(方法で説明した通り)により管理した。この群に関するすべての生存期間の中央値は、16月であると分かった(カプランマイヤー分析)。本コホートにおいて、予想通り、年齢は、コックス回帰分析(p=0.037;HR=1.023;B=0.022)で認められたように、予後不良の重要な予測因子であった。興味深いことに、TOP2AのmRNAの発現が、GBM患者における予後と有意に相関したことを認め;より高いTOP2A転写産物レベルが、より良好な予後を予測した(P=0.043;HR=0.889;B=−0.117;コックス回帰分析)。生存に関するTOP2A転写産物レベル及び年齢の影響を、コックス比例ハザードモデルによりさらに評価して、生存に関するTOP2Aの独立した影響を導き出した。年齢(p=0.033;HR=1.023;B=0.023)及びTOP2A転写産物レベル(P=0.035;HR=0.888;B=−0.119)の両方が、多変量解析による有意な予測因子であることを認めた。さらなる分析に関して、TOP2AのmRNAの発現を二分して、予後の予測についてカットオフを明らかにした。TOP2AのmRNAレベル<9.25log2比を有する患者は、mRNAレベル≧9.25log2比を有する患者と比較した場合、有意により不良な予後を有することを報告する(それぞれ13月対22月の生存期間の中央値)(
図1A)。
【0032】
星状細胞腫におけるTOP2A及び他のトポイソメラーゼファミリーメンバーの制御
膠芽細胞腫及び他のより低いグレードの星状細胞腫における、TOP2A及びトポイソメラーゼファミリーの他のメンバーの発現の制御に関連するさらなる研究を行った。TOP2Aの転写産物レベルが、DA、AA及び正常な脳サンプルと比較して、GBMにおいて非常に高いレベルに有意に上方制御されることを本明細書で報告する(
図1B;表1A)。星状細胞腫において悪性腫瘍のグレードの昇順とともにTOP2Aの細胞質の発現の減少はあったが、TOP2Aタンパク質の有意に増加した発現(核)を、他のグレードと比較して膠芽細胞腫において観察した(表1B)。同様に、TOP2B転写産物レベルがまた、DA、AA及び正常な脳サンプルと比較して、GBMにおいて上方制御されることを見出した(
図2B、表1A)。さらにTOP3A転写産物レベルがまた、DA及びAAと比較してGBMにおいて上方制御されることを見出した(
図2C;表1A)。これらの遺伝子とは違って、TOPORSの転写産物レベルは、正常な脳サンプルと比較して悪性腫瘍の星状細胞腫(AA及びGBM)において有意に下方制御されることを見出した(
図2E;表1A)。他のトポイソメラーゼのメンバー、TOP1及びTOP3Bは、グリオーマの異なるグレードにわたって制御差異を示さなかった(
図2A及びD)。同様に、良好な相関について、グリオーマ由来の確立された細胞におけるトポイソメラーゼファミリー遺伝子の同様の制御を見出した(
図4)。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
テモゾロミドはTOP2A活性を阻害する
高いTOP2Aレベルを有するがん細胞が、細胞増殖へのなんらかの影響なしにエトポシドなどのTOP2A阻害剤に対してより敏感であることが示されてきた(Haoら、2000; Asanoら、1996; Zhouら、2001)。本発明者等の結果が、高いレベルの腫瘍のTOP2Aを有するGBM患者が、テモゾロミド化学療法に対してより良好な反応を示すので、テモゾロミドがTOP2A阻害剤かもしれないという仮説を立てた。この可能性を試験するために、本発明者等は、テモゾロミドの存在下でスーパーコイルプラスミドDNAを緩和するTOP2A酵素(170kDa)の能力を評価するTOP2A酵素アッセイを実施した。TOP2A酵素は、スーパーコイルプラスミドDNAを非常に効率的に緩和した(
図3Aのレーン2と1との比較)。この反応への公知のTOP2阻害剤であるエトポシドの添加は、濃度依存的態様で非常に効率的にTOP2A緩和活性を阻害する(
図3Aのレーン5,4及び3と2との比較)。興味深いことに、テモゾロミドの添加はまた、TOP2A緩和活性を効率的に阻害する(
図3Bのレーン3及び4と2との比較)。従って、これらの結果は、テモゾロミドがTOP2A阻害剤であることを示す。
【0036】
TOP2Aのノックダウンはグリオーマ細胞における化学療法耐性を与える
本発明者等の結果は、テモゾロミドが、TOP2A酵素活性を阻害し、そして高い腫瘍のTOP2Aを有するGBM患者が、テモゾロミド化学療法に対してより良好に反応することを示したので、TOP2Aの下方制御が、テモゾロミドに対する耐性をグリオーマ細胞に与えると仮説を立てた。TOP2A特異的siRNAの形質移入は、U251グリオーマ細胞において、TOP2Aタンパク質レベルを効率的に低減した(61%)(
図3C)。TOP2A特異的siRNAで形質移入したU251細胞は、シクロフィリンsiRNAの形質移入と比較して、テモゾロミド処置に対して有意に耐性であることを見出した(
図3E)。他で示したように、エトポシドは、シクロフィリンsiRNA形質移入細胞よりもTOP2AのsiRNA形質移入細胞を効率悪く阻害した(
図3D)。従って、これらの結果は、テモゾロミドがTOP2A経路を通じて、その阻害をおそらく引き起こすことにより働き、そして高いTOP2Aレベルがテモゾロミド化学療法に対する感受性を提供することを示唆する。
【0037】
所定の治療様式についての利益を予測することは、がん生物学において困難な課題のままであり、そして個別化した抗がん治療のために非常に重要である。GBM患者の予後を改善するための、放射線治療計画及び線量、並びにニトロソウレアベースの化学療法などのさまざまな試みでは、最小限の成功のみしか得られなかった(Stewart, 2002)。付随及び循環アジュバント治療として放射線治療と組み合わせた場合、テモゾロミドは、GBM患者の生存期間を増加することが確立されている(Hartら、2008)。興味深いことに、腫瘍においてメチル化されたMGMTプロモーター遺伝子を有するGBM患者は、より良好な生存期間を有する(Stuppら、2009)。テモゾロミドの細胞毒性は、主にグアニンの6位の酸素原子のメチル化を通じて仲介する。このDNA損傷が、MGMTにより素早く修復されるため、MGMTの後成的な(epigenetic)サイレンシングは、テモゾロミドなどのアルキル化剤での化学療法からの利益を享受するための予測因子として提案されてきた。従って、MGMTプロモーターのメチル化は、テモゾロミド及び放射線治療での処置から最も利益を享受する患者の選択を可能にするGBM腫瘍における最初の予測バイオマーカーであると思われる(Stuppら、2009)。これらの結果から、化学療法に対する腫瘍の反応を予測するための分子マーカーの使用は、非常に重要であると思われる。
【0038】
付随及びアジュバントテモゾロミド化学療法で処置したGBM患者における遺伝子の発現の予後的意義の評価に関して、TOP2AのmRNAの発現が、より高いTOP2A転写産物レベルを有するGBM患者における予後と相関し、より良好な予後を予測することを見出した。特に、腫瘍のTOP2A転写産物レベル≧9.25log2比を有するGBM患者は、腫瘍のTOP2A転写産物レベルが9.25log2比未満のGBM患者よりもより良好な生存を有する。なぜ高いTOP2Aレベルを有する腫瘍が、テモゾロミド治療に対してより良好に反応するのかを研究することが、本発明者等の目的であった。TOP2Aは、転写、組み換え、複製及び細胞分裂の間の染色体の分離を含むDNA代謝のさまざまな重要なプロセスの間の、DNAのトポロジカルな状態を制御するDNAトポイソメラーゼ酵素をコードする(Jarvinen及びLiu, 2003)。真核性のトポイソメラーゼII(topoII)は、ヒト細胞中に2つのアイソフォーム(主要なものは、170kdのトポイソメラーゼIIアルファ(topoIIα)及び180kdのトポイソメラーゼIIベータ(IIβ)である)で存在するホモ二量体酵素である(Wang, 1996)。これらの2つの酵素はかなりの相同性(72%)を共有する一方で、それらは、染色体17q21及び3pに位置する異なる遺伝子の産物である(Jarvinen及びLiu, 2003)。TOP2Aが、複製された染色体の分離及び縮合の間に、重要な機能を行う一方で、TOP2Bの正確な機能は、いまだほとんど不明である(Isaacsら、1998; Yangら、2000)。TOP2AのmRNAレベルが、AA及びDAと比較してGBMで有意に高く、そしてそれは、IHCによって核のタンパク質発現にもまた反映したことに注目する。いままでの研究では、少数の場合についてのみIHCによって同様の変化を示してきた。そのような変化の意義は、さらなる評価が必要である(Holden及びTownsend, 1999; Fariaら、2006)。興味深いことに、グレードII/IIIにおいて見られる相対的に高いTOP2Aレベルは、そしてそれは、さらなる評価を必要とするが、TOP2AのmRNA及び患者の生存の間の同様の相関関係を示唆するかもしれない。
【0039】
トポイソメラーゼファミリーのTOP2B及びTOP3Aの他のいくつかのメンバーが、膠芽細胞腫において上方制御されることが報告されているが、その意義は、現在明らかではない。興味深いことに、本発明者等は、TOPORSは、結合タンパク質であり、そしてDNA損傷により誘導されるp53依存性細胞応答を仲介する際に結果として生じる役割を有するp53の活性化補助因子であるという報告(Linら、2005)により説明され得る悪性グリオーマにおけるTOPORSの下方制御を見出した。
【0040】
TOP2A転写産物及びタンパク質の上昇レベルが、しばしば増加した細胞増殖と相関することは、乳がん、子宮頸がん、小細胞肺がん、胃がん、胃及び大腸がんを含む多くのがんにおいて示されている(Jarvinen及びLiu, 2003)。グリオーマにおいて、TOP2AのmRNAの高いレベルが、星状細胞腫のグレードII及びIIIと比較して、GBMにおいて認められ、そしてまた、腫瘍のTOP2Aタンパク質レベルと相関関係がある(Odaら、2005)。TOP2A遺伝子は、染色体17q12‐q21でHER‐2がん遺伝子に非常に接近して位置し、そしてほぼ90%のHER‐2増幅原発性乳がんにおいて増幅又は欠失する。より興味深いことに、TOP2Aの増幅又は欠失は、相対的な化学療法感受性及びアントラサイクリン治療に対する耐性の両方を説明するかもしれない(Jarvinen及びLiuら、2003)。さらに、異なる実験方法を使用するインビトロ試験では、TOP2A阻害剤に対する感受性が、がん細胞におけるTOP2Aの発現レベルに依拠し、低濃度のTOP2Aタンパク質を有する細胞が、高濃度のTOP2Aを有する細胞よりもTOP2A阻害薬に対してより感受性が低いことが以前に提供されている(Asanoら、1996; Jarvinenら、2000; Gudkovら、1993; Asanoら、1996; Vassetzkyら、1996; Withoffら、1996)。
【0041】
高い腫瘍のTOP2Aレベルを有するGBM患者が、テモゾロミド化学療法に対するより良好な生存を有する最初の知見に基づいて、テモゾロミドがまた、TOP2A酵素活性に影響を及ぼすことにより作用するかもしれないと仮説を立てる。実際に、本発明者等は、テモゾロミドがインビトロにおいてTOP2Aの阻害剤であることを示すことができた。さらに本発明者等は、テモゾロミド治療に対する高いTOP2Aレベルを有するGBM腫瘍のより良好な反応の理由が、高いTOP2Aレベルを有する腫瘍が、それらの生存のためにTOP2Aに依拠しており、そしてテモゾロミドによって、そのTOP2A阻害活性を通じて非常に効率的に阻害されるためである可能性があることを提案する。本発明は、TOP2Aの下方制御によりテモゾロミドに対して耐性になる細胞で、グリオーマ細胞のTOP2Aレベルが、テモゾロミドに対するそれらの感受性を決定することを報告する。従って、本試験は、テモゾロミド化学療法に対する反応の予測因子として腫瘍のTOP2A転写産物レベルを示す。
【0042】
利点:
本発明の利点は、以下:
1.付随及び循環アジュバントテモゾロミド治療を伴う放射線治療を受けるGBM患者のための有用な予後指標TOP2Aを提供し、
2.従って、最も適切な治療を決定することが可能である
ことである。