特許第5969487号(P5969487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969487塩で変性された固有静電気散逸性ポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969487
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】塩で変性された固有静電気散逸性ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20160804BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20160804BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20160804BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20160804BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08L21/00
   C08L75/04
   C08K5/42
   C08J5/00CFF
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-536760(P2013-536760)
(86)(22)【出願日】2011年10月26日
(65)【公表番号】特表2013-540880(P2013-540880A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】US2011057783
(87)【国際公開番号】WO2012058253
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月21日
(31)【優先権主張番号】61/406,596
(32)【優先日】2010年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ルー, チーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ピエドラヒータ, カルロス エー.
(72)【発明者】
【氏名】エクスタイン, ヨナ
(72)【発明者】
【氏名】ルッドロウ, ジェームズ エム. ザ サード
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−002950(JP,A)
【文献】 特開2010−007060(JP,A)
【文献】 特開平04−175355(JP,A)
【文献】 特開昭61−168653(JP,A)
【文献】 特開平03−217464(JP,A)
【文献】 特開平08−157767(JP,A)
【文献】 特開平06−313010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 75/00−75/16
101/00−101/14
21/00−21/02
C08J 5/00−5/24
C08K 5/00−5/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、該組成物は、
(a)固有散逸性ポリマーであって、該固有散逸性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンを含みここで、該熱可塑性ポリウレタンは、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル基およびポリエーテル基の両方を含む熱可塑性ポリウレタン、またはそれらの組み合わせでありそして該固有散逸性ポリマーは、1.5×1011Ω/sq〜5×10Ω/sqの表面抵抗率の範囲を有する固有散逸性ポリマーと、
(b)アミドアルカンスルホン酸のハロゲンフリーの金属塩、またはアミドアルカンスルホン酸のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩と
を含み、
ここで、該アミドアルカンスルホン酸は、式:
【化7】
(式中、Rは、水素またはヒドロカルビル基であり;R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素、ヒドロカルビル基、または−CHSOHである)によって表され、そして
ここで、該組成物中に存在する全塩の総量は、該組成物の0.23重量%〜3.5重量%である、
組成物。
【請求項2】
成分(b)は、1つ以上のアルカリ金属、1つ以上のアルカリ土類金属、またはそれらの組み合わせで塩化された酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、成分(b)以外に1つ以上のリチウム含有塩をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記固有散逸性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを含み、ここで得られた組成物の表面抵抗は、ASTM D−257で測定した場合、1.0×10Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqである、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記固有散逸性ポリマーは、(a)少なくとも1種のポリエーテルポリオール中間体を(b)少なくとも1種のジイソシアネートおよび(c)少なくとも1種の鎖延長剤と反応させることにより作製される熱可塑性ポリウレタン組成物を含み、
ここで(a)該ポリエーテルポリオール中間体は、少なくとも1種のジアルキレングリコール、および少なくとも1種のジカルボン酸またはそのエステルもしくは無水物から誘導される中間体を含み、ここで(a)は、ポリエステルポリオールを必要に応じてさらに含み得る、請求項1〜のうちのいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記固有散逸性ポリマーは、少なくとも2つのポリマーのブレンドを含む、請求項1〜のうちのいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜のうちのいずれかに記載の固有散逸性ポリマー組成物を含む成形ポリマー物品。
【請求項8】
前記物品は、電子部品の包装材料;リチウムイオン電池の構築に使用される電池内セパレーター;クリーンルームの建築、設備、および消耗品の部品;引火性液体および/もしくは乾燥粉末を扱う設備の部品;ファイバー、ワイヤー、もしくはケーブルを含む、請求項に記載のポリマー物品。
【請求項9】
固有散逸性ポリマー組成物を作製するプロセスであって、該プロセスは、
I.(a)固有散逸性ポリマーであって、該固有散逸性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンを含みここで、該熱可塑性ポリウレタンは、ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル基およびポリエーテル基の両方を含む熱可塑性ポリウレタン、またはそれらの組み合わせでありそして該固有散逸性ポリマーは、1.5×1011Ω/sq〜5×10Ω/sqの表面抵抗率の範囲を有する固有散逸性ポリマーと、(b)アミドアルカンスルホン酸のハロゲンフリーの金属塩、またはアミドアルカンスルホン酸のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩とを混合するステップ
を含み、
ここで、該アミドアルカンスルホン酸は、式:
【化7】
(式中、Rは、水素またはヒドロカルビル基であり;R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素、ヒドロカルビル基、または−CHSOHである)によって表され、そして
ここで、該組成物中に存在する全塩の総量は、該組成物の0.23重量%〜3.5重量%である、
プロセス。
【請求項10】
成分(b)は、成分(a)の調製において使用される反応物のうちの1つ以上に加えられ、ここで成分(b)は、成分(a)を調製するために使用される重合反応中に存在し、前記固有散逸性ポリマー組成物をもたらす、請求項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む組成物など静電気散逸性ポリマーおよびブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
大部分のプラスチックの表面には、静電気の帯電が形成され、保持されることが周知されている。プラスチック材料は、電気伝導性が低いため静電荷が蓄積する傾向が顕著である。この種の静電気の帯電の形成および保持は問題となる可能性がある。たとえば、熱可塑性フィルムのシートに静電荷が存在すると、シートが相互に付着し、したがってその後の処理のためのシートの分離がより難しくなる恐れがある。さらに、静電荷が存在すると、プラスチック袋に包装にされたものに粉塵が付着することがあり、たとえば、販売訴求力が低下する可能性がある。
【0003】
マイクロエレクトロニクス装置の複雑さおよび感度が高まっており、エレクトロニクス産業では静電放電の制御に特に関心が集まっている。低圧放電でも、高感度装置に深刻な損傷を引き起こす恐れがある。静電荷の蓄積および散逸を制御する必要性から、多くの場合、こうした装置の組立環境全体をある程度導電性がある材料で作ることが不可欠になる。また、電気装置および設備を保存、輸送、保護または支持するため、静電気保護パッケージ、部品入れ、ケーシングおよびカバーを導電性ポリマー材料で作ることも必要となる場合がある。
【0004】
製造または使用中にプラスチックに蓄積する静電荷の蓄積の防止は、様々な静電気散逸(ESD)材料の使用により達成されてきた。こうした材料は、製造後の物品に噴霧または浸漬被覆することができるコーティングとして使用してもよい。ただし、この方法は通常、一時的な解決法となる。あるいは、こうした材料は処理の過程で物品の作製に使用するポリマーに組み込むことで耐久性の指標を高めることもできる。
【0005】
しかしながら、こうした比較的低分子量の静電気散逸性材料(帯電防止剤)を様々なマトリックスまたはベースポリマーに組み込むことには、それ自体限界がある。たとえば、大部分のポリマーの従来の処理には高温が必要とされ、これは帯電防止剤を損傷または破壊し、それによりそのESD特性が役に立たなくなることがある。さらに、比較的高分子量のESD剤の多くは、使用されるマトリックスまたはベースポリマーと混和できない。さらに、帯電防止剤の使用は、使用される組成物に短期間のESD特性しか付与できない。また、帯電防止剤の性能および有効性は、湿度の影響を受けることが多い。これらの欠点および限界のない優れたESD特性を与えることが求められている。
【0006】
さらに、多くの帯電防止剤は性質上、カチオン性またはアニオン性のいずれかである。こうした剤は、プラスチック、特にPVCの分解を引き起こしやすく、その結果物理的性質の低下または喪失をもたらす。上で言及したように他の帯電防止剤は、ベースポリマーそのものより分子量が著しく低い。多くの場合、こうした低分子量の帯電防止剤は、望ましくない潤滑特性を有し、ベースポリマーに組み込むことが難しい。この低分子量帯電防止剤をベースポリマーに組み込むと、ベースポリマーの成形性が低下することが多い。なぜなら帯電防止剤は、処理中にプラスチックの表面に移動し、型の表面にコーティングを頻繁に堆積させ、製品の表面仕上げを破壊する可能性があるからである。いくつかの場合では、製品の表面が非常に油っこくマーブル模様になる。比較的低分子量のESD剤で起こり得る他の問題には、蒸発による静電気散逸能の消失、望ましくない臭いの発生、または製品と接触する物品表面の応力亀裂またはひび割れの助長がある。
【0007】
従来技術には、高分子量の静電気散逸剤のいくつかの例がある。一般に、こうした添加剤は、エチレンオキシドまたは同様の材料、たとえばプロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、グリシジルエーテルおよび同種のものの高分子量ホモポリマーまたはコポリマーである。こうした添加剤は上述の問題を克服する高分子量材料であることが要求されてきた。
【0008】
たとえば、特許文献1は、電子デバイスに使用されるポリマー、特に静電気散逸のためのハロゲン含有塩を含むポリマーを提供する。
【0009】
また、物品および環境全般の両方においてハロゲンの存在を減らすよう引き続き迫られている。多くのESD添加剤はハロゲンを含むため、多くの用途で必要とされるESD特性を維持しようとする場合、ハロゲン含有量を減らす、および/またはゼロする取り組みは困難になる。本発明は、ESD材料のハロゲン含有量を減らす、および/またはゼロすることを可能にしながら、優れたESD性を与えるハロゲンフリーのESD添加剤を提供する。また、本発明は、上記で論じた従来のESD添加剤に関連する他の問題の1つまたは複数も解消する。
【0010】
本発明は、比較的低い表面抵抗率および体積抵抗率を示す固有静電気散逸性ポリマーまたは添加剤を得るという難問を解決する。その結果、こうした静電気散逸性ポリマーは、最終製品に他の望ましくない特性を発現させずに、エレクトロニクス産業に有用なベースポリマー組成物に組み込まれ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,140,405号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明は、(a)固有散逸性ポリマーと、(b)アミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの塩、またはアミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの塩とを含む組成物を提供する。本発明の塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、成分(b)は、アミドアルカンスルホン酸、または上記酸から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩を含み、ここで上記酸は、式:
【0014】
【化1】
(式中、Rは、水素またはヒドロカルビル基であり;R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素、ヒドロカルビル基、または−CHSOHである)によって表され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、成分(b)は、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、または上記酸から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩を含み、ここで上記酸は、式:
【0016】
【化2】
(式中、Rは、2個〜24個または20個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である)によって表され得る。いくつかの実施形態では、式(II)の酸は、1つ以上の追加の置換基を含み得、ここで上記追加の置換基は、ちょうど上記R基が示されるように芳香族環の任意の場所に位置し得、1個〜2個の炭素原子を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、成分(b)以外に1つ以上のリチウム含有塩をさらに含み得る。他の実施形態では、本発明の組成物は、本発明のもの以外に任意のリチウム含有塩を実質的に含まないか、または含まず(substantially free (of) to free of)、さらに他の実施形態では、本発明の組成物は、成分(b)について本明細書中で記載されるもの以外に任意の塩を実質的に含まないか、または含まない。
【0018】
本発明は、変性ポリマーである固有散逸性ポリマーを含む静電散逸性(static dissipative)ポリマー組成物を含み、熱可塑性エラストマーの特別のカテゴリーを作り出す。本発明において使用され得る上記熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィンポリエーテルコポリマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEEまたはCOPE)、ポリエーテルブロックアミドエラストマー(PEBAまたはCOPA)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、上記固有散逸性ポリマーは、2つ以上ポリマーのブレンドから調製される。他の実施形態では、上記固有散逸性ポリマーは、1つ以上の追加のポリマーとブレンドされて、静電散逸性ポリマー組成物を提供する。たとえば、本発明の組成物は、以下:TPU(ポリエステル系TPU、ポリエーテル系TPU、ポリエステル基およびポリエーテル基の両方を含むTPUが挙げられるが、これらに限定されない)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、スチレン系ポリマー、アクリルポリマー、ポリオキシメチレンポリマー、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニルのうちの2つ以上のブレンドを含み得、ここで上記ポリマーのブレンドは、上記固有散逸性ポリマーの調製において使用され得、そして/または上記固有散逸性ポリマーは、1つ以上の追加のポリマーとブレンドされ得、上記固有散逸性ポリマーを含む静電散逸性ポリマー組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明において使用される固有散逸性ポリマー(IDP)は、ポリエチレングリコール系IDP、ポリプロピレングリコール系IDP、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール系IDP、またはそれらの任意の組み合わせである。本発明の組成物はまた、いくらかの量のポリエステル系IDPを含み得る。しかし、ポリエステル系IDPが塩のブルーミング問題(塩が組成物中で分散したままにならず、代わりにポリマーの表面にブルーミングする)を有し得ることは、一般に公知である。本発明は、ポリエステル系IDPを含む組成物を企図するが、いくつかの実施形態では、本発明は、ブルーミング問題を有さない実施形態に焦点を当てる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、上記組成物は、ポリエステル系IDPを本質的に含まないか、またはさらに含まない。これらの実施形態のうちのいくつかでは、上記組成物は、ポリエーテル系IDPと組み合わせてポリエステル系IDPを含み得、ここで上記ポリエステル系IDPは、塩のブルーミング問題を引き起こすよりも低いレベルで存在する。このレベルは、組成物ごとに、およびポリエステル系IDPごとに様々であり得る。いくつかの実施形態では、上記組成物は、組成物全体に基づいて、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、またはさらに0.5重量パーセント以下のポリエステル系IDPを含む。
【0019】
本発明は、本明細書中に記載される固有散逸性ポリマー組成物のうちの任意のものを含む成形ポリマー物品を提供する。たとえば:電子部品の包装材料;リチウムイオン電池の構築に使用される電池内セパレーター;クリーンルーム設備の部品および応用品;ファイバー;またはこれらの組み合わせを含む。
【0020】
本発明はまた、(i)(a)固有散逸性ポリマーと、(b)アミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩、またはアミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩とを混合するステップを含む固有散逸性ポリマー組成物を作製するためのプロセスを提供する。本発明のプロセスにおいて、成分(b)は、上記固有散逸性ポリマーへ混ぜ合わせられ得、固有散逸性ポリマー組成物をもたらし得る。いくつかの実施形態では、成分(b)は、成分(a)の調製において使用される反応物のうちの1つ以上に加えられ、ここで成分(b)は、成分(a)の重合中に存在し、上記固有散逸性ポリマー組成物をもたらす。
【0021】
本発明の組成物は、ASTM D−257で測定した場合、約1.0×10Ω/sq〜約1.0×1012の表面抵抗率を有し得る。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
組成物であって、該組成物は、
(a)固有散逸性ポリマーと、
(b)アミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩、またはアミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩と
を含む、組成物。
(項目2)
成分(b)は、アミドアルカンスルホン酸、または該酸から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩を含み、ここで該酸は、式:
【化7】

(式中、Rは、水素またはヒドロカルビル基であり;R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素、ヒドロカルビル基、または−CHSOHである)によって表される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
成分(b)は、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、または該酸から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩を含み、ここで該酸は、式:
【化8】

(式中、Rは、2個〜20個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である)によって表される、項目1に記載の組成物。
(項目4)
成分(b)は、1つ以上のアルカリ金属、1つ以上のアルカリ土類金属、またはそれらの組み合わせで塩化された酸を含む、項目1〜3のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目5)
前記組成物は、成分(b)以外に1つ以上のリチウム含有塩をさらに含む、項目1〜4のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目6)
前記固有散逸性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを含み、ここで得られた組成物の表面抵抗は、ASTM D−257で測定した場合、1.0×10Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqである、項目1〜5のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目7)
前記固有散逸性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリオレフィンポリエーテルコポリマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー(COPE)、ポリエーテルブロックアミドエラストマー(COPA)、またはそれらの組み合わせを含む、項目1〜6のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目8)
前記固有散逸性ポリマーのポリエーテルは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、項目7に記載の組成物。
(項目9)
前記固有散逸性ポリマーは、(a)少なくとも1種のポリエーテルポリオール中間体を(b)少なくとも1種のジイソシアネートおよび(c)少なくとも1種の鎖延長剤と反応させることにより作製される熱可塑性ポリウレタン組成物を含み、
ここで(a)該ポリエーテルポリオール中間体は、少なくとも1種のジアルキレングリコール、および少なくとも1種のジカルボン酸またはそのエステルもしくは無水物から誘導される中間体を含み、ここで(a)は、ポリエステルポリオールを必要に応じてさらに含み得る、項目1〜8のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目10)
前記固有散逸性ポリマーは、少なくとも2つのポリマーのブレンドを含む、項目1〜9のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目11)
前記ポリマーのブレンドは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、スチレン系ポリマー、アクリルポリマー、ポリオキシメチレンポリマー、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、またはそれらの任意の組み合わせのうちの2つ以上を含む、項目10に記載の組成物。
(項目12)
項目1〜11のうちのいずれかに記載の固有散逸性ポリマー組成物を含む成形ポリマー物品。
(項目13)
前記物品は、電子部品の包装材料;リチウムイオン電池の構築に使用される電池内セパレーター;クリーンルームの建築、設備、および消耗品の部品;引火性液体および/もしくは乾燥粉末を扱う設備の部品;ファイバー、ワイヤー、もしくはケーブル;またはそれらの組み合わせを含む、項目12に記載のポリマー物品。
(項目14)
固有散逸性ポリマー組成物を作製するプロセスであって、該プロセスは、
I.(a)固有散逸性ポリマーと、(b)アミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩、またはアミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩とを混合するステップ
を含む、プロセス。
(項目15)
成分(b)は、成分(a)の調製において使用される反応物のうちの1つ以上に加えられ、ここで成分(b)は、成分(a)を調製するために使用される重合反応中に存在し、前記固有散逸性ポリマー組成物をもたらす、項目14に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の様々な特徴および実施形態について非限定的な例示により下記に記載する。本発明の固有散逸性ポリマー組成物は、上記ポリマーが塩によって変性される固有散逸性ポリマーを含む。本明細書中で用いられる場合、組成物という用語の使用は、一般に、1つ以上の固有散逸性ポリマーを含む組成物全体を指す。
【0023】
固有散逸性ポリマー
本発明の組成物は、固有散逸性ポリマーを含む。すなわち、静電気散逸(ESD)特性を有するポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、熱可塑性エラストマーを含む。こうした材料は一般に、その骨格構造にソフトおよび/もしくはゴム状セグメントならびに/またはブロックと組み合わされたハードおよび/もしくは結晶セグメントならびに/またはブロックを有するポリマーとして説明することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、固有散逸性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、ポリオレフィンポリエーテルコポリマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー(COPE)、ポリエーテルブロックアミドエラストマー(COPAまたはPEBA)、またはこれらの組み合わせを含む。好適なコポリマーの例として、ポリオレフィン−ポリエーテルコポリマーが挙げられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリオール中間体を少なくとも1種のジイソシアネートおよび少なくとも1種の鎖延長剤と反応させることにより熱可塑性ポリウレタン樹脂を作製する。ポリオール中間体はポリエステルポリオールであってもよく、少なくとも1種のジアルキレングリコール、および少なくとも1種のジカルボン酸またはそのエステルもしくは無水物から誘導してもよい。ポリオール中間体は、ポリアルキレングリコールおよび/またはポリ(ジアルキレングリコールエステル)であってもよい。好適なポリアルキレングリコールには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマー、およびこれらの組み合わせがある。また、ポリオール中間体は、2つ以上の異なる種類のポリオールの混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリオール中間体は、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含む。
【0026】
ポリマー成分は、2種以上のポリマーのブレンドであってよい。いくつかの実施形態では、得られた固有散逸性ポリマーは、それ自体が1種以上のポリマーとブレンドされている。こうしたブレンドに使用するのに好適なポリマーは、上述のポリマーのいずれかを含む。また、好適なポリマーとして、TPU(ポリエステル系TPU、ポリエーテル系TPU、ポリエステル基およびポリエーテル基の両方を含むTPUが挙げられるが、これらに限定されない)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、スチレン系ポリマー、アクリルポリマー、ポリオキシメチレンポリマー、ポリアミド、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、またはこれらの組み合わせも挙げられる。
【0027】
本明細書に記載のブレンドに使用するのに好適なポリマーとして、ホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。好適な例としては、
(i)ポリオレフィン(PO)、たとえばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ポリエチレン−オクテンエラストマー(POE)、環状オレフィンコポリマー(COC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、またはこれらの組み合わせ;
(ii)スチレン系、たとえばポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、スチレンブタジエンゴム(SBRまたはHIPS)、ポリαメチルスチレン、スチレン無水マレイン酸(SMA)、スチレン系ブロックコポリマー(SBC)(スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンコポリマー(SEPS)など)、スチレンブタジエンラテックス(SBL)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)および
/もしくはアクリル酸エラストマーで変性したSAN(たとえば、PS−SBRコポリマー)またはこれらの組み合わせ;
(iii)熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU);
(iv)ポリアミド、たとえばNylonTM、たとえばポリアミド6,6(PA66)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、コポリアミド(COPA)またはこれらの組み合わせ;
(v)アクリルポリマー、たとえばポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、メタクリル酸メチルスチレン(MS)コポリマーまたはこれらの組み合わせ;
(vi)ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)またはこれらの組み合わせ;
(vii)ポリオキシエメチレン(polyoxyemethylene)、たとえばポリアセタール;
(viii)ポリエステル、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエステルエラストマー、コポリエステルエラストマー(COPE)、グリコール変性PET(PETG)、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸(PLA)またはこれらの組み合わせ;
(ix)ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)またはこれらの組み合わせ;
あるいはこれらの組み合わせ
が挙げられる。
【0028】
本明細書で使用する場合、ポリ塩化ビニル(PVC)、ビニルポリマーまたはビニルポリマー材料とは、ビニルハライドおよびビニリデンハライドのホモポリマーおよびコポリマーをいい、CPVCなどの後ハロゲン化ポリビニルハライドを含む。こうしたビニルハライドおよびビニリデンハライドの例として、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデンおよび同種のものがある。ビニルハライドおよびビニリデンハライドは相互に共重合していてもよいし、あるいは、各々が、少なくとも1種の末端CH=C<基を持つ1種または複数種の重合可能なオレフィン性モノマーと共重合していてもよい。こうしたオレフィン性モノマーの例として、α,β−オレフィン性不飽和カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、α−シアノアクリル酸および同種のもの;アクリル酸のエステル、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、シアノアクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチルおよび同種のもの;メタクリル酸のエステル、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、ヒドロキシエチルメタクリレートおよび同種のもの;ニトリル、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリルおよび同種のもの;アクリルアミド、たとえばメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドおよび同種のもの;ビニルエーテル、たとえばエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルおよび同種のもの;ビニルケトン;スチレンおよびスチレン誘導体、たとえばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンおよび同種のもの;ビニルナフタレン、クロロ酢酸アリルおよびクロロ酢酸ビニル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、メチルビニルケトン;ジオレフィン、たとえばブタジエン、イソプレン、クロロプレンおよび同種のもの;ならびに当業者に公知の種類の他の重合可能なオレフィン性モノマーを挙げることができる。一実施形態では、ポリマー成分は、ポリ塩化ビニル(PVC)および/またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
【0029】
また、本発明の組成物に使用するのに好適なポリマーは、低分子量ポリエーテルオリゴマーから誘導されるポリマーとして説明することができ、このポリマーは、比較的低い表面抵抗率および体積抵抗率を示すものの、一般に過剰レベルの抽出可能なアニオンを含まない。
【0030】
本発明に有用な低分子量ポリエーテルオリゴマーは、約200〜約5000の数平均分子量を有するエチレンオキシドのホモポリマーを含んでもよい。また、低分子量ポリエーテルオリゴマーは、2種以上の共重合可能なモノマーのコポリマーを含んでもよく、この場合、モノマーの1つはエチレンオキシドであり、約200〜約20,000の数平均分子量を有する。
【0031】
エチレンオキシドと共重合できるコモノマーの好例として、1,2−エポキシプロパン(プロピレンオキシド);1,2−エポキシブタン;2,3−エポキシブタン(シスおよびトランス);1,2−エポキシペンタン;2,3−エポキシペンタン(シスおよびトランス);1,2−エポキシヘキサン;2,3−エポキシヘキサン(シスおよびトランス);3,4−エポキシヘキサン(シスおよびトランス);1,2−エポキシヘプタン;1,2−エポキシデカン;1,2−エポキシドデカン;1,2−エポキシオクタデカン;7−エチル−2−メチル−1,2−エポキシウンデカン;2,6,8−トリメチル−1,2−エポキシノナン;スチレンオキシドが挙げられる。
【0032】
エチレンオキシドと使用できる他のコモノマーには、シクロヘキセンオキシド;6−オキサビシクロ[3,1,0]−ヘキサン;7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン;3−クロロ−1,2−エポキシブタン;3−クロロ−2,3−エポキシブタン;3,3−ジクロロ−1,2−エポキシプロパン;3,3,3−トリクロロ−1,2−エポキシプロパン;3−ブロモ−1−2−エポキシブタン、3−フルオロ−1,2−エポキシブタン;3−ヨード−1,2−エポキシブタン;1,1−ジクロロ−1−フルオロ−2,3−エポキシプロパン;1−クロロ−1,1−ジフルオロ(difflouro)−2,3−エポキシプロパン;および1,1,1,2−ペンタクロロ−3,4−エポキシブタンがある。
【0033】
コモノマーとして有用な少なくとも1種のエーテル結合を含む代表的なコモノマーには、エチルグリシジルエーテル;n−ブチルグリシジルエーテル;イソブチルグリシジルエーテル;t−ブチルグリシジルエーテル;n−ヘキシルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;ヘプタフルオロイソプロピルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル;4−メチルフェニルグリシジルエーテル;ベンジルグリシジルエーテル;2−フェニルエチルグリシジルエーテル;1,2−ジヒドロペンタフルオロイソプロピルグリシジルエーテル;1,2−トリヒドロテトラフルオロイソプロピルグリシジルエーテル;1,1−ジヒドロテトラフルオロプロピルグリシジルエーテル;1,1−ジヒドロノナフルオロペンチル(dihydranonafluoropentyl)グリシジルエーテル;1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルグリシジルエーテル;1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチル−α−メチルグリシジルエーテル;1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチル−β−メチルグリシジルエーテル;1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチル−α−エチルグリシジルエーテル;2,2,2−トリフルオロエチルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0034】
エチレンオキシドと共重合するコモノマーとして有用な少なくとも1種のエーテル結合を含む他のコモノマーとしていくつか例を挙げると、酢酸グリシジル;クロロ酢酸グリシジル;酪酸グリシジル;およびステアリン酸グリシジルがある。
【0035】
エチレンオキシドと重合できる代表的な不飽和コモノマーには、アリルグリシジルエーテル;4−ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル;α−テルピニルグリシジルエーテル;シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル;p−ビニルベンジルグリシジルエーテル;アリルフェニル(allyphenyl)グリシジルエーテル;ビニルグリシジルエーテル;3,4−エポキシ−1−ペンテン;4,5−エポキシ−2−ペンテン;1,2−
エポキシ−5,9−シクロドデカジエン;3,4−エポキシ−1−ビニルクロヘキセン;1,2−エポキシ−5−シクロオクテン;アクリル酸グリシジル;メタクリル酸グリシジル;クロトン酸グリシジル;グリシジル4−ヘキセノエートがある。
【0036】
エチレンオキシドと共重合するのに好適な他の環状モノマーには、最大25個の炭素原子を含む4員環以上の環状エーテルがあるが、テトラヒドロピランおよびその誘導体を除く。4員環以上の例示的な環状エーテルには、オキセタン(1,3−エポキシド)、テトラヒドロフラン(1,5−エポキシド)およびオキセパン(1,6−エポキシド)、ならびにそれらの誘導体がある。
【0037】
他の好適な環状モノマーは、最大25個の炭素原子を含む環状アセタールである。例示的な環状アセタールには、トリオキサン、ジオキソラン、1,3,6,9−テトラオキサシクロウンデカン、トリオキセパン、トロキソカン(troxocane)、ジオキセパン、およびそれらの誘導体がある。
【0038】
他の好適な環状モノマーには、最大25個の炭素原子を含む環状エステルがある。例示的な環状エステルとして、β−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナントラクトン、η−カプリロラクトン(eta−caprylactone)、ブチロラクトン、およびそれらの誘導体がある。その後、すぐ上に上述した方法により調製された低分子量ポリエーテルオリゴマーは、様々な鎖延長剤と反応させ、選択した塩で変性して本発明の静電気散逸性ポリマー添加剤または帯電防止剤を形成することができる。
【0039】
ポリエステル−エーテルブロックコポリマーの好ましい実施形態は、エチレングリコール、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートおよびポリエチレングリコールの反応生成物を含む。これら、および利用することができる他のポリエステル−エーテルコポリマーの他の例は、全体を援用するthe Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol.12,John Wiley & Sons, Inc.,NY,N.Y.,1988,49−52頁のほか、米国特許第2,623,031号;同第3,651,014号;同第3,763,109号;および同第3,896,078号に記載されている。
【0040】
あるいは、低分子量ポリエーテルオリゴマーを反応させて、1つまたは複数の低分子量ポリエーテルオリゴマーブロック、および1つまたは複数のポリアミドブロックを含む静電気散逸剤を形成してもよい。あるいは、低分子量ポリエーテルオリゴマーを二酸の存在下でポリアミドと反応させてポリエーテルエステルアミドを形成してもよい。この種のポリマーに関するさらなる情報は、米国特許第4,332,920号で確認することができる。
【0041】
まずポリエステル中間体について述べると、過剰当量のジエチレングリコールをかなり過小当量の脂肪族、好ましくは4〜10個の炭素原子を持つアルキルジカルボン酸、最も好ましくはアジピン酸と反応させることによりヒドロキシル末端飽和ポリエステルポリマーが合成される。
【0042】
このヒドロキシル末端ポリエステルオリゴマー中間体は、さらに延長剤グリコールと共に大過剰当量の非ヒンダードジイソシアネートと、いわゆるワンショットで反応されて、すなわちオリゴマー、ジイソシアネートおよび延長剤グリコールを同時に一緒に反応されて、平均分子量が概ね約60,000〜約500,000、好ましくは約80,000〜約180,000、最も好ましくは約100,000〜約180,000の非常に高分子量の線状ポリウレタンを生成する。
【0043】
あるいは、ポリエチレングリコールを含むエチレンエーテルオリゴマーグリコール中間体は、非ヒンダードジイソシアネートおよび延長剤グリコールと共反応されて高分子量ポリウレタンポリマーを生成してもよい。有用なポリエチレングリコールは、一般式H−(OCHCH−OHの線状ポリマーであり、nはエチレンエーテル繰り返し単位の数であり、nは少なくとも11、および11〜約115である。分子量ベースで見ると、有用なポリエチレングリコールの範囲は、約500〜約5000、好ましくは約700〜約2500の平均分子量を有する。本発明に有用な市販されているポリエチレングリコールは代表的には、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1500、およびポリエチレングリコール4000と呼ばれるものである。
【0044】
本発明によれば、高分子量熱可塑性ポリウレタンは、好ましくはワンショットプロセスでエチレンエーテルオリゴマーグリコール中間体、芳香族または脂肪族非ヒンダードジイソシアネート、および延長剤グリコールを一緒に反応させることにより生成される。モルベースで見ると、オリゴマーグリコール中間体1モルに対して延長剤グリコールの量は、約0.1〜約3.0モル、望ましくは約0.2〜約2.1モル、好ましくは約0.5〜約1.5モルである。モルベースで見ると、高分子量ポリウレタンポリマーは、延長剤グリコールとオリゴマーグリコールとの総モル数1.0(すなわち、延長剤グリコール+オリゴマーグリコール−1.0)に対して約0.97〜約1.02モル、好ましくは約1.0モルの非ヒンダードジイソシアネートを含む。
【0045】
有用な非ヒンダードジイソシアネートは、芳香族の非ヒンダードジイソシアネートを含み、たとえば、1,4−ジイソシアナトベンゼン(PPDI)、4,4’−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、m−キシレンジイソシアネート(XDI)のほか、非ヒンダード環状脂肪族ジイソシアネート、たとえば1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、およびH12MDIが挙げられる。最も好ましいジイソシアネートはMDIである。好適な延長剤グリコール(すなわち、鎖延長剤)は、2〜6個の炭素原子を有し、第一級アルコール基のみを含む脂肪族短鎖グリコールである。好ましいグリコールとして、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール、ヒドロキノンジ(ヒドロキシエチル)エーテルおよび1,6−ヘキサンジオールがあり、最も好ましいグリコールは1,4−ブタンジオールである。
【0046】
本発明によれば、ヒドロキシル末端エチレンエーテルオリゴマー中間体、非ヒンダードジイソシアネート、および脂肪族延長剤グリコールは、100℃を超える温度、通常約120℃または180℃にてワンショット重合プロセスで同時に共反応される。そうすると、反応は発熱性であり、反応温度は約200℃〜250℃超に上昇する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明の固有散逸性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)系熱可塑性ポリウレタン(TPU);PEG系TPUとポリプロピレンとの組み合わせ;PEG系TPUとスチレンブタジエンゴムとの組み合わせ;PEG系TPUとグリコール変性ポリエチレンテレフタレートとの組み合わせ;またはそれらの任意の組み合わせである。
【0048】
ハロゲンフリーの金属塩
本発明の組成物は、アミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩を含む。本発明の塩はまた、アミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーの塩であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、上記塩は、アミドアルカンスルホン酸、または上記酸から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩であり、ここで上記酸は、式:
【0050】
【化3】
(式中、Rは、水素またはヒドロカルビル基であり;R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して水素、ヒドロカルビル基、または−CHSOHである)によって表される。いくつかの実施形態では、Rは、1個〜7個の炭素原子もしくは1個〜6個、1個〜3個の炭素原子を含むか、または水素と1個〜3個の炭素原子を含むヒドロカルビル基との混合物である。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素、または1個〜16個もしくは1個〜7個の炭素原子、またはさらに1個〜6個、3個もしくはさらに2個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である。
【0051】
これらの材料の1つの好適な例は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である(市販グレードの材料は、上述のように2つのスルホン酸基を含む副産物画分を含むことが考えられる。この材料および関連する材料は、本発明の一部であると同様に考えられる)。この材料は、The Lubrizol CorporationからAMPS(登録商標)モノマーとして市販されている。このタイプの他の有用な材料としては、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸、および2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。それらの調製のためのそのような材料および方法は、たとえば、米国特許第3,544,597号、および同第6,448,347号において開示される。
【0052】
いくつかの実施形態では、上記塩は、アミドアルカンスルホン酸、または上記酸から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩であり、ここで上記酸は、ビス−アミドアルカンスルホン酸である。そのような実施形態では、上記ビス−アミドアルカンスルホン酸、または上記酸から誘導されるポリマーは、式:
【0053】
【化4】
(式中、Rは、ヒドロカルビル基であり;R、およびRのそれぞれは、独立して水素またはヒドロカルビル基であり、Mは、水素または1当量のカチオンであり、他の全ての基は、別段言及されない限り、上に提供されたのと同じ定義を有する)によって表され得る。示されるように、Mは、水素またはカチオンであり、代表的に金属カチオン(たとえば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、銅、鉛、アルミニウム、鉄)、またはアンモニウムカチオン(非置換または置換のいずれかであり、後者は、脂肪族、芳香族、および複素環式アミンから誘導されるカチオンを含み、第四級アンモニウムイオンを含む)である。いくつかの実施形態では、Rは、式I中のその場所に示される−C(R)=CHであり得、そのような実施形態では、Rは、上に提供されたのと同じ定義を有し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、上記塩は、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、または上記酸から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩であり、ここで上記酸は、式:
【0055】
【化5】
(式中、Rは、2個〜24個、またはさらに2個〜20個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である)によって表される。いくつかの実施形態では、Rは、2個〜15個、または11個〜15個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、式(II)の酸は、1つ以上の追加の置換基を含み得、ここで上記追加の置換基は、ちょうど上記R基が示されるように芳香族環の任意の場所に位置し得、1個〜2個の炭素原子を含み得る。
【0056】
好適な例としては、アルケニルおよび/またはアルキル置換ベンゼンスルホン酸、またはそれらから誘導されるポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、上記塩は、アルケニル置換ベンゼンスルホン酸(たとえば、スチレンスルホン酸および/またはスルホネート)から誘導される。いくつかの実施形態では、上記塩は、アルキル置換ベンゼンスルホン酸(たとえば、線状のアルキルベンゼンスルホン酸および/またはスルホネート)から誘導される。
【0057】
本発明の塩は、上述の酸をアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属で塩化する(salt)ことによって形成され得る。いくつかの実施形態では、上記酸は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、またはそれらの組み合わせで塩化される。いくつかの実施形態では、本発明の塩は、ナトリウムまたはリチウム塩であり、他の実施形態では、リチウム塩である。
【0058】
上で言及したように、本発明の塩は、上述の酸のうちの1つ以上から誘導されるポリマーの塩であり得る。これらのポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、またはさらにターポリマーであり得る。周知の方法および材料(たとえば、アクリル酸、および上のセクションで記載される同様の材料)は、本明細書中に記載される酸の重合において使用され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明の塩としては、上の式(I)によって表されるアミドアルカンスルホン酸のナトリウム塩;上の式(I)によって表されるアミドアルカンスルホン酸のリチウム塩;スチレンスルホン酸のリチウム塩;スチレンスルホン酸のリチウム塩およびアクリル酸のコポリマー;上の式(I)によって表されるアミドアルカンスルホン酸のリチウム塩およびアクリル酸のコポリマー;上の式(I)によって表されるアミドアルカンスルホン酸のリチウム塩と、スチレンスルホン酸のリチウム塩と、アクリル酸とのターポリマー;またはそれらの組み合わせが挙げられる。さらなる実施形態では、上述のリチウムの例の任意のもののナトリウム等価物も調製され得る。
【0060】
この塩がポリマー反応生成物に結合する、および/または引き付けられる正確なメカニズムは完全には分かっていないが、この塩は意外にも、得られたポリマーの表面抵抗率および体積抵抗率を改善することができ、これを許容できない高レベルの抽出可能なアニオンの存在なしに達成し得る。さらに、静電気減衰時間は許容可能な範囲にとどまってもよい、すなわち、減衰時間は早すぎることも、または遅すぎることもない。
【0061】
また、本発明の組成物は、ESD添加剤として有効な1種または複数種の追加の塩をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、こうした追加の塩として、リチウム以外の金属を含む金属含有塩が挙げられる。こうした追加の塩としてはさらにハロゲン含有塩を挙げることができる。こうした塩には、金属含有塩、塩錯体、または非金属イオンもしくは分子と金属イオンとの結合により形成される塩化合物がある。存在する塩の量は、組成物全体のESD特性を向上させるのに効果な量であればよい。任意の塩成分は、ワンショット重合プロセスの間に加えられてもよい。
【0062】
本発明のものと組み合わせて使用され得る好適な塩としては、たとえば、式:
【0063】
【化6】
(式中、−X−、−X−、−X−、および−X−のそれぞれは、独立して、−C(O)−、−C(R)−、−C(O)−C(R)−、または−C(R)−C(R)−であり、ここでRおよびRのそれぞれは、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり、ここで所与のX基のRおよびRは、結合して環を形成し得る)によって表されるものであるハロゲンフリーのリチウム含有塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記塩は、式IIIによって表され、ここで−X−、−X−、−X−、および−X−は、−C(O)−である。
【0064】
好適な塩はさらに、リチウムビス(オキサレート)ボレートなどこうした塩のオープン型、アート(open,−ate)構造を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、ハロゲンフリーのリチウム含有塩は、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムビス(グリコラト)ボレート、リチウムビス(ラクタト)ボレート、リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムビス(サリチレート)ボレート、リチウム(グリコラト,オキサラト)ボレートまたはこれらの組み合わせを含む。
【0066】
本発明のものと組み合わせて使用され得る塩の追加の例として、LiClO、LiN(CFSO、LiPF、LiAsF、LiI、LiCl、LiBr、LiSCN、LiSOCF、LiNO、LiC(SOCF、LiSおよびLiMRが挙げられ、MはAlまたはBであり、Rはハロゲン基、ヒドロカルビル基、アルキル基またはアリール基である。一実施形態では、塩は一般にリチウムトリフルオロメタンスルホンアミドと呼ばれるLiN(CFSOであるか、またはトリフルオロメタンスルホン酸のリチウム塩である。ワンショット重合に加えるように選択された塩の有効量は、ポリマー100重量部に対して少なくとも約0.10重量部、0.25重量部、あるいはさらには0.75重量部であってもよい。
【0067】
本発明の組成物は、イオン性液体などの非金属を含む帯電防止添加剤をさらに含んでもよい。好適な液体として、トリ−n−ブチルメチルアンモニウムビス−(トリフルオロエタンスルホニル)イミド(3MTMからFC−4400として入手可能)、イオン性液体の1種または複数種のBasionicsTM系列(BASFTMから入手可能)、および同様の材料が挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、金属含有塩と共に溶媒を使用することを許容する。いくつかの実施形態では、溶媒を使用すると、塩の帯電を小さくして、ESD特性に同じ効果を与えることができる。好適な溶媒には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、γブチロラクトン、およびN−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。溶媒が存在する場合、ポリマーの100重量部に対して少なくとも約0.10重量部、0.50重量部、あるいはさらには1.0重量部使用してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載の溶媒のいずれかもしくは全部を実質的に含まないか、または含まない。
【0069】
他の実施形態では、本発明の組成物は、上述の、アミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩、またはアミドアルカンスルホン酸、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸、もしくはそれらの混合物のハロゲンフリーの金属塩から誘導されるポリマーのハロゲンフリーの金属塩を除いて、金属含有塩のいずれかもしくは全部を実質的に含まないか、または含まない、および/あるいは、任意のESD添加剤を実質的に含まないか、または含まない。
【0070】
組成物全体における選択した塩の有効量は、ポリマー100部に対して少なくとも約0.10部、いくつかの実施形態では、少なくとも約0.25部、あるいはさらには少なくとも約0.75部であってもよい。いくつかの実施形態では、こうした量は、組成物中に存在する個々の塩に対する量である。他の実施形態では、こうした量は、組成物中に存在する全塩の総量に適用する。
【0071】
追加添加剤
本発明の組成物は有用な追加添加剤をさらに含んでもよく、こうした添加剤は好適な量で利用すればよい。こうした任意の追加添加剤として、不透明顔料、着色剤、鉱物および/または不活性充填剤、安定剤、たとえば光安定剤、潤滑剤、UV吸収剤、加工助剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、および望ましいような他の添加剤が挙げられる。有用な不透明顔料には、二酸化チタン、酸化亜鉛およびチタネートイエローがある。有用な着色顔料には、カーボンブラック、イエローオキサイド、ブラウンオキサイド、ローシェンナもしくはバーントシェンナまたはローアンバーもしくはバーントアンバー、酸化クロムグリーン、カドミウム顔料、クロム顔料、ならびに他の混合金属酸化物および有機顔料がある。有用な充填剤としては、珪藻土(superfloss)粘土、シリカ、タルク、雲母、ウォラストナイト(wallostonite)、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。必要に応じて、酸化防止剤などの有用な安定剤を使用してもよく、フェノール系酸化防止剤が挙げられるのに対し、有用な光安定剤には、有機ホスフェート、および有機スズチオレート(メルカプチド)がある。有用な潤滑剤としては、金属ステアレート、パラフィン油およびアミドワックスが挙げられる。有用なUV吸収剤には、2−(2’−ヒドロキシフェノール)ベンゾトリアゾールおよび2−ヒドロキシベンゾフェノンがある。また、添加剤を使用してTPUポリマーの加水分解安定性を向上させてもよい。上述したこれらの任意の追加添加剤は各々、本発明の組成物中に存在しても、または除外されてもよい。
【0072】
これらの追加添加剤が存在する場合、本発明の組成物中に組成物の0または0.01重量パーセント〜5または2重量パーセント存在してもよい。こうした範囲は、組成物中に存在する各追加添加剤に別々に適用しても、または存在する全追加添加剤の総量に適用してもよい。
【0073】
産業上の利用性
本明細書に記載の組成物は、上述のハロゲンフリーの金属含有塩を上述の固有散逸性ポリマーに混合することにより調製される。さらに、1種または複数種の追加の塩、ポリマーおよび/または添加剤が存在してもよい。塩は、様々な方法でポリマーに加えられてもよく、化学的またはin−situプロセスと定義され得る方法もあれば、物理的または混合プロセスと定義され得る方法もある。
【0074】
いくつかの実施形態では、固有散逸性ポリマーにハロゲンフリーの金属含有塩をポリマーの重合中に加え、固有散逸性ポリマー組成物を得る。上記塩は、上記固有散逸性ポリマーの調製において使用される反応物のうちの1つ以上に加えられ得るか、またはキャリア溶媒の使用とともに導入され得る。いくつかの実施形態では、上記塩は、ポリオールおよび/または鎖延長剤へ分散され得、次に重合が実施され得る。上記固有散逸性ポリマーに依存して、上記重合反応は、反応押出し成形機または同様の装置において連続して行われ得るか、またはバッチプロセスが使用され得る。これらの状況のうちの任意のものにおいて、本明細書中に記載される塩は、重合反応前、重合反応中、重合反応後のいずれかに加えられ得、上記固有散逸性ポリマー組成物をもたらす。
【0075】
いくつかの実施形態では、ハロゲンフリーの金属含有塩を湿式吸収(wet absorption)により固有散逸性ポリマーに加え、固有散逸性ポリマー組成物を得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、ハロゲンフリーの金属含有塩を固有散逸性ポリマーに配合および/またはブレンドして、固有散逸性ポリマー組成物を得る。
【0077】
得られた本発明の組成物は、上述の固有散逸性ポリマーの1種または複数種と上述のハロゲンフリーの金属含有塩の1種または複数種との組み合わせを含む。組成物は有効量の塩を含んでもよく、前記塩はポリマーと適合性があるため、得られた組成物は、ASTM D−257で測定した場合、約1.0×10Ω/sq〜約1.0×1012Ω/sqの表面抵抗率を有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アスタチン原子またはこれらの組み合わせ(前記原子のイオンを含む)を実質的に含まないか、または含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、および/もしくはアスタチン原子、ならびに/またはこれらの1種または複数種のイオンを含む塩および/もしくは他の化合物を実質的に含まないか、または含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、全ハロゲン原子、ハロゲン含有塩、および/または他のハロゲン含有化合物を実質的に含まないか、または含まない。実質的に含まないとは、組成物が、10,000ppm(parts per million)未満、あるいはさらに10,000ppbのフッ素/フルオライド、塩素(chorine)/クロリド、臭素/ブロミド、ヨウ素/ヨージド、アスタチン/アスタチド、またはこれらの原子/そのイオンの組み合わせを含むことを意味する。
【0079】
これらのポリマー組成物は、その有利な固有静電散逸特性のため電子デバイスと共に使用されるプラスチックアロイの形成に有用である。組成物は、特にESD特性が懸念されるポリマー物品の調製に使用してもよい。上述の組成物を使用してもよい用途の例として、建設および建築材料および設備、機械のハウジング、製造設備、ならびにポリマーシートおよびフィルムが挙げられる。さらに詳細な例として、燃料、他の引火性液体、または乾燥粉末を扱う設備;事務用設備;クリーンルームおよび建築領域などの床のためのコーティング;クリーンルームの建築、設備、および消耗品、たとえば衣類、床張り材、マット、電子パッケージ、ハウジング、チップホルダー、チップレール、運搬箱、運搬箱のふた、コンベヤーベルト、ワイヤー、およびケーブル;医療用応用品(application);電池部品、たとえば仕切りおよび/またはセパレーター等が挙げられる。本発明の組成物は、あるレベルのESD特性を必要とする任意の物品に使用することができる。
【0080】
一実施形態では、本発明の組成物を使用して、電子部品の包装材料;リチウムイオン電池の構築に使用される電池内セパレーター;クリーンルーム消耗品および建築材料;帯電防止コンベヤーベルト;ファイバー;事務機器の部品;帯電防止衣類および靴、またはこれらの組み合わせとして使用されるポリマー物品を作製する。
【0081】
組成物は、射出成形、圧縮成形、スラッシュ成形、押出、熱成形キャスティング、回転成形、焼結、真空成形、ブロー成形(blown molding)、およびダイキャスティングなど様々な溶融加工技術を用いて使用され得る。また、本発明の物品は、懸濁プロセス、マス(mass)プロセス、エマルジョンプロセスまたは溶液プロセスにより作られた樹脂から作製してもよい。
【0082】
上述の材料の一部は、最終配合物において相互作用することが知られており、したがって最終配合物の成分は、最初に加えた成分と異なる場合がある。たとえば、金属イオンは、他の分子の他の酸性またはアニオン性部位に移動することができる。金属イオンにより形成された製品は、本発明の組成物を利用して目的の用途で形成された製品を含めて、簡単に説明できない場合がある。それでも、こうしたすべての変性物および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、上述の成分を混合することにより調製された組成物を包含する。
【実施例】
【0083】
本発明について、特に有利な実施形態を示す以下の実施例によりさらに説明する。これらの例は、本発明を説明するために提供するものであり、本発明を限定することを意図するものではない。(I)と識別される実施例は、本発明の実施例であり、他方、(C)と識別される実施例は、比較実施例である。
【0084】
実施例セット1
ESD組成物のセットを、下の表に記載されるように、特定の量のハロゲンフリーの金属塩を1つ以上のTPUに導入することによって調製する。この実施例セットにおいて、上記塩を、TPUのペレットに適用される水性溶液中に導入する。従って、上記塩を、湿式吸収を介して上記溶液からTPUペレットに加え、次にそれを乾燥させる。各実施例を、次に、プラーク(plaque)へ圧縮成形または射出成形し、試験して、その抵抗率特性決定する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0085】
表I−実施例セット1 ESD TPU組成物の特性
【0086】
【表1】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表す。
2−Na塩1は、アミドアルカンスルホン酸のナトリウム塩である。
3−Li塩1は、アミドアルカンスルホン酸のリチウム塩である。
【0087】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0088】
実施例セット2
ESD組成物のセットを、実施例セット1に記載されるのと同じ手順および試験を用いて、特定の量のハロゲンフリーの金属塩をTPUに導入することによって調製する。結果を下の表に提供する。
【0089】
表II−実施例セット2 ESD TPU組成物の特性
【0090】
【表2】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表す。
2−Li塩2は、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸のリチウム塩である。
3−Li塩3は、ヒドロカルビル置換ベンゼンスルホン酸およびアクリル酸のコポリマーのリチウム塩である。上記コポリマーを、LiOH溶液を加えることによって約7のpHに中和した。
4−Li塩4は、アミドアルカンスルホン酸およびアクリル酸のコポリマーのリチウム塩である。上記コポリマーを、LiOH溶液を加えることによって約7のpHに中和した。
【0091】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0092】
実施例セット3
ESD組成物のセットを、特定の量のハロゲンフリーの金属塩を、ASTM D2240によって測定される場合に75ショアーA硬さを有するPEG系TPUに導入することによって調製する(PEG系TPU 3)。この実施例セットにおいて、上記塩を、TPUを調製するために使用されるPEG−ポリオール中に予め分散させ、次に、反応押出し成形機においてin situ重合を介して組み込む。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0093】
表III−実施例セット3 ESD TPU組成物の特性
【0094】
【表3】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例3−Bにおいて、上記塩を、2.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、他方、実施例3−Cにおいて、上記塩を、3.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込む。
【0095】
上記実施例をまた、静電減衰速度(static decay rate)について1000V−10Vで試験し、結果を秒で報告した。静電減衰はFTMS−101Cにより12%相対湿度で測定する。静電減衰速度は、実施例材料で作られた物品が、表記の開始電圧を放電し、表記の終了電圧に達するのに要する時間を測定する。実施例3−Aは、0.2秒の静電減衰速度を有し、他方、実施例3−Bおよび3−Cの両方は、0.0秒の値を報告した。
【0096】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0097】
実施例セット4
特定の量のハロゲンフリーの金属塩をPEG系TPU 3に導入し、次に、得られた材料を、ASTM D2240によって測定される場合に50ショアーD硬さを有する、ポリエステル系TPU(ポリエステルTPU)とブレンドすることによって、ESD組成物のセットを調製し、ここで上記塩は、上の実施例セット3に記載されるようにin situ重合を介してPEG系TPU 3中に組み込まれ、そのブレンドは溶融成形を介して調製される。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0098】
表IV−実施例セット4 ESD TPU組成物の特性
【0099】
【表4】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例4−Aは、100%ポリエステル系TPUであり、PEG系TPU 3もNa塩2も存在しない。
4−実施例4−Bは、70%ポリエステル系TPU、29.25% PEG系TPU 3、および0.75% Na塩2である。
5−実施例4−Cは、50%ポリエステル系TPU、48.75% PEG系TPU 3、および1.25% Na塩2である。
6−実施例4−Dは、30%ポリエステル系TPU、68.25% PEG系TPU 3、および1.75% Na塩2である。
7−実施例4−Eは、25% ポリエステル系TPU、73.12% PEG系TPU 3、および1.88% Na塩2である。
8−この実施例セットにおいて、上記塩を、2.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0100】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−10Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒(sec)で報告した。実施例4−Aは、60秒よりも大きい静電減衰速度を有し、他方、実施例4−Bは、0.6秒の静電減衰速度を有し、実施例4−C、4−D、および4−Eは、それぞれ0.0秒の値を報告した。
【0101】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0102】
実施例セット5
特定の量のハロゲンフリーの金属塩を、PEG系TPU 3に導入し、次に、得られた材料を、PETG系TPUとブレンドすることによって、ESD組成物のセットを調製し、ここで上記塩は、上の実施例セット3に記載されるようにin situ重合を介してPEG系TPU 3中に組み込まれ、そのブレンドは溶融成形を介して調製される。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0103】
表V−実施例セット5 ESD TPU組成物の特性
【0104】
【表5】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例5−Aは、100% PETG系TPUであり、PEG系TPU 3もNa塩2も存在しない。
4−実施例5−Bは、75% PETG系TPU、24.37% PEG系TPU 3、および0.63% Na塩2である。
5−この実施例セットにおいて、上記塩を、2.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0105】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−100Vおよび1000V−10Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒(sec)で報告した。実施例5−Aは、60秒よりも大きい1000V−100Vおよび1000V−10Vにおける静電減衰速度を有し、他方、実施例5−Bは、0.5秒の1000V−100Vにおける減衰速度、および1.1秒の1000V−10Vにおける減衰速度を有した。
【0106】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0107】
実施例セット6
特定の量のハロゲンフリーの金属塩を、PEG系TPU 3に導入し、次に、得られた材料を、PMMA系ポリマー(PMMA)および相溶化剤(CP)とブレンドすることによって、ESD組成物のセットを調製し、ここで上記塩は、上の実施例セット3に記載されるようにin situ重合を介してPEG系TPU 3中に組み込まれ、そのブレンドは溶融成形を介して調製される。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0108】
表VI−実施例セット6 ESD PMMA組成物の特性
【0109】
【表6】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例6−Aは、100% PMMAであり、他の成分を含まない。
4−実施例6−Bは、0% PMMA、10% CP、87.75% PEG系TPU 3、および2.25% Na塩2である。
5−実施例6−Cは、90% PMMA、1% CP、8.77% PEG系TPU 3、および0.23% Na塩2である。
6−実施例6−Dは、82.5% PMMA、1.75% CP、15.36% PEG系TPU 3、および0.39% Na塩2である。
7−実施例6−Eは、75.0% PMMA、2.5% CP、21.94% PEG系TPU 3、および0.56% Na塩2である。
8−この実施例セットにおいて、上記塩を、2.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0110】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−100Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒で報告した。実施例6−Aは、60秒よりも大きい静電減衰速度を有し、実施例6−B:0秒、実施例6−C:30秒、実施例6−D:3.3秒、および実施例6−E:0.8秒の静電減衰速度を有する。
【0111】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0112】
実施例セット7
PMMA系ポリマーがABS系ポリマー(ABS)に置き換えられることを除いて、ESD組成物のセットを、上の実施例セット6に記載されるように調製する。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0113】
表VII−実施例セット7 ESD ABS組成物の特性
【0114】
【表7】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例7−Aは、100% ABSであり、他の成分を含まない。
4−実施例7−Bは、0% ABS、10% CP、87.75% PEG系TPU 3、および2.25% Na塩2である。
5−実施例7−Cは、90% ABS、1% CP、8.77% PEG系TPU 3、および0.23% Na塩2である。
6−実施例7−Dは、82.5% ABS、1.75% CP、15.36% PEG系TPU 3、および0.39% Na塩2である。
7−実施例7−Eは、75.0% ABS、2.5% CP、21.94% PEG系TPU 3、および0.56% Na塩2である。
8−この実施例セットにおいて、上記塩を、2.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0115】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−100Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒で報告した。実施例7−Aは、60秒よりも大きい静電減衰速度を有し、実施例7−B:0秒、実施例7−C:>60秒、実施例7−D:8.1秒、および実施例7−E:3.1秒の静電減衰速度を有する。
【0116】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0117】
実施例セット8
PMMA系ポリマーがPP系ポリマー(PP)に置き換えられることを除いて、ESD組成物のセットを、上の実施例セット6に記載されるように調製する。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0118】
表VIII−実施例セット8 ESD PP組成物の特性
【0119】
【表8】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例8−Aは、100% PPであり、他の成分を含まない。
4−実施例8−Bは、0% PP、10% CP、87.75% PEG系TPU 3、および2.25% Na塩2である。
5−実施例8−Cは、90% PP、1% CP、8.77% PEG系TPU 3、および0.23% Na塩2である。
6−実施例8−Dは、82.5% PP、1.75% CP、15.36% PEG系TPU 3、および0.39% Na塩2である。
7−実施例8−Eは、75.0% PP、2.5% CP、21.94% PEG系TPU 3、および0.56% Na塩2である。
8−この実施例セットにおいて、上記塩を、2.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0120】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−100Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒で報告した。実施例8−Aは、60秒よりも大きい静電減衰速度を有し、実施例8−B:0秒、実施例8−C:>60秒、実施例8−D:3.1秒、および実施例8−E:1.2秒の静電減衰速度を有する。
【0121】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0122】
実施例セット9
PMMA系ポリマーが耐衝撃性ポリスチレンポリマー(HIPS)に置き換えられることを除いて、ESD組成物のセットを、上の実施例セット6に記載されるように調製する。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0123】
表IX−実施例セット9 ESD HIPS組成物の特性
【0124】
【表9】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例9−Aは、90% HIPS、1% CP、8.69% PEG系TPU 3、および0.32% Na塩2である。
4−実施例9−Bは、82.5% HIPS、1.75% CP、15.2% PEG系TPU 3、および0.55% Na塩2である。
5−実施例9−Cは、75% HIPS、2.5% CP、21.71% PEG系TPU 3、および0.79% Na塩2である。
6−この実施例セットにおいて、上記塩を、3.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0125】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−100Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒(sec)で報告した。この試験の結果は以下の通りであった:実施例9−A >60秒、実施例9−B 10秒、および実施例9−C 2秒。結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0126】
実施例セット10
PMMA系ポリマーが低密度ポリエチレンポリマー(LDPE)に置き換えられることを除いて、ESD組成物のセットを、上の実施例セット6に記載されるように調製する。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0127】
表X−実施例セット10 ESD LDPE組成物の特性
【0128】
【表10】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例10−Aは、90% LDPE、1% CP、8.69% PEG系TPU 3、および0.32% Na塩2である。
4−実施例10−Bは、82.5% LDPE、1.75% CP、15.2% PEG系TPU 3、および0.55% Na塩2である。
5−実施例10−C は、75% LDPE、2.5% CP、21.71% PEG系TPU 3、および0.79% Na塩2である。
6−この実施例セットにおいて、上記塩を、3.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0129】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−100Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒(sec)で報告した。この試験の結果は以下の通りであった:実施例10−A >60秒、実施例10−B 21.5秒、および実施例10−C 1.1秒。
【0130】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0131】
実施例セット11
PMMA系ポリマーが高密度ポリエチレンポリマー(HDPE)ポリマーに置き換えられることを除いて、ESD組成物のセットを、上の実施例セット6に記載されるように調製する。上述の同じ試験をここで使用する。この試験の結果を下の表に提供する。
【0132】
表XI−実施例セット11 ESD HDPE組成物の特性
【0133】
【表11】
1−抵抗率はASTM D257により50%相対湿度で測定する。値を以下のフォーマットで報告する:1×10とも記され得る1E8。SRは表面抵抗率を表し、VRは体積抵抗率を表す。
2−Na塩2は、アルキルベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。
3−実施例11−Aは、90% LDPE、1% CP、8.69% PEG系TPU 3、および0.32% Na塩2である。
4−実施例11−Bは、82.5% LDPE、1.75% CP、15.2% PEG系TPU 3、および0.55% Na塩2である。
5−実施例11−Cは、75% LDPE、2.5% CP、21.71% PEG系TPU 3、および0.79% Na塩2である。
6−この実施例セットにおいて、上記塩を、3.5%のレベルまでPEG系TPU 3に組み込み、それを次に、各実施例に使用する。上記塩についての百分率は、組成物全体に関するものである。
【0134】
上記実施例をまた、静電減衰速度について1000V−100Vで試験し、上述の同じ方法を用いて、結果を秒(sec)で報告した。この試験の結果は以下の通りであった:実施例11−A >60秒、実施例11−B 14.5秒、および実施例11−C 3.4秒。
【0135】
結果は、本発明のハロゲンフリーの金属含有塩により、有意に低減した表面抵抗率を有するESD組成物が可能になることを示す。
【0136】
上記に言及した文書は各々本明細書に援用する。実施例を除いて、あるいは他に明示的に記載されている場合を除いて、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子数および同種のものを特定する本説明の数量はすべて、「約」という語で修飾されているものと理解すべきである。他に記載がない限り、パーセントの値、ppmの値および部の値はすべて重量ベースである。他に記載がない限り、本明細書に言及した化学物質または組成物は各々、市販グレードに通常存在すると理解される異性体、副生成物、誘導体および他のこうした材料を含む可能性がある市販グレードの材料と解釈すべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に記載がない限り、化学材料に通常存在し得る任意の溶媒または希釈油を除いて示す。本明細書に記載された量、範囲および比率の上限および下限は、独立に組み合わせてもよいことを理解すべきである。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または要素と一緒に使用してもよい。本明細書で使用する場合、他に定義しない限り、「実質的に含まない」という表現は、検討中の組成物の基本的および新規な特徴に大きな影響を与えない量を意味してもよく、いくつかの実施形態では、「実質的に含まない」は、当該材料の5重量%以下、4重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%または0.1重量%が存在することを意味することもあり、なお他の実施形態では当該材料の1,000ppm未満、500ppm、あるいはさらに100ppmが存在することを意味することもある。上述のこれらの種々の限定はまた、本明細書で使用する場合、「ハロゲンフリー」という用語に適用され得る。さらに、「から本質的になる」という表現は、検討中の組成物の基本的および新規な特徴に大きな影響を与えない物質が含まれることを許容する。