【文献】
西島 貴史,"毛穴に対するスキンケア対策",FRAGRANCE JOURNAL,2005年 9月15日,Vol.33, No.9,pp.27-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、額、口周囲、頤、眼窩周囲、鼻、頬の皮膚表面、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの顔の領域に塗布される、請求項1または2に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特に指定がない限り、本明細書において使用する全ての百分率及び比率は、組成物全体の重量によるものであり、また、全ての測定は25℃でなされるものとする。全ての数範囲はより狭い範囲を包含し、表現された上方及び下方範囲の限界値は互換可能であって、明示されていない範囲を更に作り出す。
【0015】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須構成成分並びに任意成分を含み、それらから本質的になり、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」とは、組成物又は構成成分は追加成分を包含してもよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。
【0016】
組成物に関連して使用するとき、用語「塗布する」又は「塗布」は、本発明の組成物を表皮等のヒトの体外皮膚表面上に局所的に塗布する又は広げることを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」は、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等がなく、ヒトの皮膚組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「有効量」は、ポジティブな利点を有意に誘導するのに十分な化合物及び組成物の量を意味する。
【0019】
ヒトの顔の皮膚に関連して使用するとき、用語「顔の毛穴」は、肉眼で見える顔の毛穴を一般に指すが、用語「顔の毛穴」は、肉眼で見えない毛穴も含み得る。顔の毛穴は、毛穴の開口部、及び毛穴の可視の外観に影響を及ぼす開口部に直接隣接する皮膚の両方を含む。場合によっては、顔の毛穴は、2.0mm
2、若しくは1.0mm
2、若しくは0.1mm
2未満の毛穴領域、又は0.09mm
2未満、0.08mm
2未満、0.07mm
2未満、若しくは0.05mm
2未満の毛穴領域、及び/又は0.02mm
2又は0.04mm
2を超える毛穴領域を有してもよい。顔の毛穴は、一般に、しかし常時ではないが、皮膚表面で一般に円形又は楕円の形状を有する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「顔の皮膚」は、額、眼窩周囲、頬、口周囲、頤及び鼻の皮膚表面のうちの1つ以上を指す。
【0021】
顔の毛穴に関連して使用するとき、用語「改善する」は、顔の毛穴の外観を予防する、遅れさせる、及び/又は縮小させることを含む。したがって「改善する」は、毛穴開口部の直径を減少させること、及び/又は毛穴開口部に直接隣接する皮膚の外観を改善することも含み、その結果、全体的な毛穴の外観が縮小される。これは、定量的(例えば、毛穴領域分画)及び/又は定性的(例えば、ヒトの目による目視検査)な手段によって評価し得る。
【0022】
I.組成物
本発明は様々な組成物に関し、より詳細には、顔の皮膚表面に局所塗布するための組成物に関する。組成物は、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、化粧水、スティック、ペンシル、スプレー、エアゾル、軟膏、クレンジング洗剤液及びクレンジング棒状固形物(cleansing liquid washes and solid bars)、シャンプー及びヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、髭剃りクリーム、ティッシュ、細片(strip)、パッチ、電気駆動パッチ、創傷被覆材及び粘着性包帯、ヒドロゲル、フィルム形成製品、顔及び皮膚マスク(不溶性シートを有する及び有さない)、ファンデーション、アイライナー及びアイシャドウ等の化粧品等が挙げられるがこれらに限定されない、非常に様々な製品形態を有することができる。組成物の形態は、組成物中に存在する場合、選択された皮膚科学的に許容可能な特定のキャリアに従い得る。
【0023】
A.ヘキシルデカノール
本発明の組成物は、有効量のヘキシルデカノールを含み得る。特定実施形態では、組成物は、全組成物の1%重量〜10重量%、あるいは2.5重量%10重量%、あるいは2.5重量%〜6重量%、あるいは4重量%〜6重量%のヘキシルデカノールを含んでもよい。
【0024】
ヘキシルデカノールは、脂肪アルコールのINCI名称で、2−ヘキシルデカン−1−オール(IUPAC名称)、2−ヘキシルデカノール、又は2−ヘキシル−1−デカノールとしても知られる。ヘキシルデカノールの化学式は、C
16H
34Oで、CAS番号2425−77−6である。ヘキシルデカノールは、広く入手可能な化粧用溶媒で、Sigma−Aldrich(Milwaukee,Wisconsin,USA)から市販されている。
【0025】
B.任意成分
本発明の組成物は、本発明の利益を受け入れ難いほど変更しなければ、様々な他の成分を含有することができる。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約50重量%、約0.001重量%〜約20重量%、又は代替的に約0.01重量%〜約10重量%の任意構成成分を含有することができる。本明細書に列挙した量は規準としてのみ使用されるべきであり、組成物中に使用される任意構成成分の最適な量は、それらの効力がかなり多様であるため、選択される特定の活性物質に依存するであろう。したがって、本発明において有用ないくつかの任意構成成分の量は、本明細書に列挙した範囲外であり得る。
【0026】
組成物中に組み込まれる場合、任意成分は、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等を示すことなく、ヒトの皮膚組織に接触させて用いるのに好適でなければならない。本発明の組成物は、抗挫創活性物質、落屑活性物質、抗セルライト剤、キレート剤、フラボノイド、日焼け活性物質、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗皮膚萎縮防止活性物質、鉱物、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌活性物質又は抗真菌活性物質、並びに他の有用なスキンケア活性物質等の任意構成成分を含有してもよく、これらは、米国特許出願公開第2006/0275237(A1)号及び同第2004/0175347(A1)号に更に詳細に記載されている。
【0027】
Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Editionには、皮膚ケア産業において通常使用されている非常に様々な非限定的な美容及び医薬成分が記載され、それらは本発明の組成物中で使用するのに好適な任意構成成分である。これらの成分クラスの例としては、研磨材、吸収剤、芳香剤等の美容構成成分、色素、顔料/着色剤、精油、アンチケーキング剤、消泡剤、抗菌剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、美容収斂剤、美容殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、皮膚軟化剤、外用鎮痛剤、フィルム形成剤又は材料、乳白剤、pH調整剤、保存剤、噴霧剤、還元剤、捕捉剤、皮膚冷却剤、皮膚保護剤、増粘剤粘度調節剤、ビタミン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
任意成分のいくつかのクラスは以下でより詳細に議論される。
【0029】
1.皮膚色調剤
いくらかの実施形態では、ヘキシルデカノールと組み合わせて、組成物中に皮膚色調剤も含ませることが望ましい場合がある。本明細書で使用するとき、「皮膚色」は、色素沈着過度の広汎領域及び/又は局部領域(すなわち、斑点、年齢による染み)を指す。本明細書で使用するとき、「皮膚色の改善」は、色素沈着過度の領域の外観を予防する又は減少させることを意味する。
【0030】
皮膚色調剤は、全体的な皮膚色調を更に改善するよう含められてもよい。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の約50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%、5重量%又は3重量%迄の皮膚色調剤を含有する。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の少なくとも約0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%又は1重量%の皮膚色調剤を含有する。好適な範囲は、組成物の約0.1重量%〜約50重量%、約0.2重量%〜約20重量%、又は約1重量%〜約10重量%の皮膚色調剤の好適な範囲を含む、下限及び上限の任意の組み合わせを含む。皮膚色調剤の効力がかなり多様であるため、皮膚色調剤の最適な量は選択される特定の活性物質に依存することにより、本明細書に列挙した量は、規準としてのみ使用されるべきである。
【0031】
好適な皮膚色調剤には、糖アミン、ビタミンB3化合物、アルブチン、デオキシアルブチン、ヘキシルレゾルシノール等の1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、バクコイル(4−[(1E,3S)−3−エテニル−3,7−ジメチル−1,6オクタジエニル]フェノール又はモンテルペンフェノール)、ピレノイン(Biotech Marine,Franceから入手可能)、キビ(panicum miliaceum)種子抽出物、アーラトン(arlatone)二酸、ケイ皮酸、フェルラ酸、アクロマキシル(achromaxyl)、メチルニコチンアミド、油可溶性甘草抽出物、葉酸、ウンデシレン酸(即ち、ウンデセン酸)、ウンデシレン酸亜鉛、チアミン(ビタミンB1)及びその塩酸塩、L−トリプトファン、
ベンガルボダイジュ(ficus bengkalensis)、カラフトコンブ(コンブ属)[登録商標phlorogine(laminaria)]、ヒマワリ(helianthus annuus)(サンフラワー)及びブドウ(vitis vinifera)(グレープ)葉抽出物、カルノシン(即ち、ドラゴシン)、ゲンチシン酸メチル、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオール(即ち、Symrise AG(Germany)によりSymdiol 68として販売されている組み合わせ)、イノシトール、デシレノイルフェニルアラニン(例えば、Seppic(France)により商標名Sepiwhiteで販売)、コウジ酸、ヘキサアミジン化合物、サリチル酸、並びにレチノール及びプロピオン酸レチニルを含むレチノイドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
所定の実施形態において、追加の皮膚色調剤はビタミンB3化合物、糖アミン、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、ヘキシルレゾルシノール等の1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、及びレチノイドからなる群から選択される。本明細書で使用するとき、「ビタミンB
3化合物」とは、次式を有する化合物を意味する:
【0033】
【化1】
式中、Rは、−CONH
2(即ち、ナイアシンアミド)、−COOH(即ち、ニコチン酸)、又は−CH
2OH(即ち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及び前述のいずれかの塩である。本明細書で使用するとき、「糖アミン」には、その異性体及び互変異性体、並びにその塩(例えば、HCl塩)及びその誘導体が含まれる。糖アミンの例としては、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、これらの異性体(例えば、立体異性体)、及びこれらの塩(例えば、HCl塩)が挙げられる。本明細書で使用する場合、「ヘキサミジン化合物」とは、次式を有する化合物を意味する:
【0034】
【化2】
式中、R
1及びR
2は任意であるか、又は有機酸(例えば、スルホン酸など)である。一実施形態において、ヘキサミジン化合物はジイセチオン酸ヘキサミジンである。
【0035】
2.抗炎症剤
組成物は抗炎症剤を更に含んでもよい。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の約20重量%、10重量%、5重量%、3重量%又は1重量%迄の抗炎症剤を含有する。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の少なくとも約0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.5重量%又は1重量%の抗炎症剤を含有する。好適な範囲は、下限と上限との任意の組み合わせを含む。好適な抗炎症剤には、非ステロイド系の抗炎症剤(イブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、エトフェナマート、アスピリン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム及びフェルビナクが挙げられるが、これらに限定されないNSAIDS)、グリシルリジン酸(グリシルリジン、グリシルリキシン酸(glycyrrhixinic acid)及びグリシルレチン酸グリコシドとしても知られている)及びグリシルリジン酸二カリウム等の塩、グリシルレテン酸(glycyrrhetenic acid)、甘草抽出物、ビサボロール(例えば、αビサボロール)、マンジスタ(キイチゴ属の植物、特にクルマバアカネ(Rubia cordifolia)から抽出される)、及びガッガル(guggal)(コミフォラ属の植物、特にコミフォラムクリ(Commiphora mukul)から抽出される)、コーラノキ抽出物、カミツレ、ムラサキツメクサ抽出物、及びムチサンゴ(sea whip)抽出物(ヤギ目の植物からの抽出物)、上記のいずれかの誘導体、及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0036】
3.日焼け止め活性物質
本発明の組成物は、1つ以上の日焼け止め活性物質(日焼け止め剤)及び/又は紫外線吸収剤を含んでよい。本明細書において「日焼け止め活性物質」には、集合的に日焼け止め活性物質、日焼け止め剤、及び/又は紫外線吸収剤が含まれる。日焼け止め活性物質には、日焼け止め剤と物理的日焼け防止剤の双方が含まれる。日焼け止め活性物質は、有機又は無機であってよい。好適な日焼け止め活性物質の例は、「日焼け止め剤」としてPersonal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Editionに開示されている。特に好適な日焼け止め活性物質は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL(商標)MCXとして市販)、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイル−メタン(PARSOL(商標)1789として市販)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸、2−エチルヘキシル−サリチル酸、グリセリル−p−アミノ安息香酸、3,3,5−トリ−メチルシクロヘキシルサリチル酸、メンチルアントラニル酸、p−ジメチル−アミノ安息香酸又はアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−安息香酸、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホニクベンゾオキサゾ酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、ベンジリデンショウノウ及びその誘導体類、二酸化チタン、並びにこれらの混合物である。
【0037】
一実施形態において、組成物は、組成物の約1重量%〜約20重量%、代替的に約2重量%〜約10重量%の日焼け止め活性物質を含有してもよい。正確な量は、選択された日焼け止め活性物質と、当業者の知識の範囲内である所望の太陽光線保護指数(SPF)に応じて変動するであろう。
【0038】
C.皮膚科学的に許容可能なキャリア
本発明の組成物は、組成物用の皮膚科学的に許容可能なキャリア(「キャリア」と称してもよい)も含有し得る。本明細書で使用するとき、「皮膚科学的に許容可能なキャリア」という語句は、キャリアが皮膚への局所塗布に好適であり、良好な審美特性を有し、組成物中の活性物質と適合性があり、安全性又は毒性についていかなる不当な問題も起こさないことを意味する。一実施形態において、キャリアは、組成物の約50重量%〜約99重量%、約60重量%〜約98重量%、約70重量%〜約98重量%、又は代替的に約80重量%〜約95重量%のレベルで存在する。
【0039】
担体は多様な形態をとりうる。非限定例には、単純な溶液(例えば、水性、有機溶媒又は油ベースの)、乳濁液、及び固体形態(例えば、ゲル、スティック、流動性固体、又は無定形材料)が挙げられる。特定の実施形態において、皮膚科学的に許容可能な担体は、エマルションの形状である。エマルションは、一般に、連続水相(例えば水中油型及び水中油中水型)、又は連続油相(例えば油中水型及び油中水中油型)を有するものとして分類され得る。本発明の油相には、シリコーンオイル、非シリコーンオイル(炭化水素油、エステル類、エーテル類など)、及びこれらの混合物が含まれうる。
【0040】
水相は典型的に、水を含む。しかしながら、別の実施形態では、水相は、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他の水溶性スキンケア活性物質が挙げられるが、これらに限定されない水以外の構成成分を含み得る。一実施形態では、組成物の非水構成成分は、グリセリン及び/又は他のポリオール等の湿潤剤を含む。しかしながら、組成物は、実質的に(即ち、1%未満の水)又は完全に無水であってもよいことを理解するべきである。
【0041】
所望の製品形態を得るために、好適なキャリアが選択される。更に、構成成分(例えば、ヘキシルデカノール、日焼け止め活性物質、追加の構成成分)の可溶性又は分散性は、キャリアの形態及び特性に影響し得る。一実施形態では、水中油又は油中水型の乳濁液が好ましい。
【0042】
乳濁液は、更に乳化剤を含み得る。組成物は、キャリアを十分乳状にする任意の好適な百分率の乳化剤を含有してもよい。好適な重量範囲は、組成物の、約0.1重量%〜約10重量%又は約0.2重量%〜約5重量%の乳化剤を含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であり得る。好適な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,pages 317〜324(1986)に開示されている。好適なエマルションは、所望の製品形態に応じて、幅広い粘度を有し得る。
【0043】
キャリアは、当業者に周知であるように増粘剤を更に含有して、好適な粘度及び流動学的特性を有する組成物を提供してもよい。
【0044】
II.例示的な組成物
表1は、本発明の組成物の非限定的な実施例を示す。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの改変が可能であり、当業者にはこれらのことが理解されよう。実施例においては、特に指定のない限り、全ての濃度が重量%として列挙されており、希釈剤、充填剤などの微量物質は除外し得る。そのため、列挙した配合は、列挙した成分及びこのような成分に関連するいかなる微量物質をも含む。当業者にとって明白なように、このような微量物質の選択は、本明細書に記載したように本発明を作るために選択した特定成分の物理的及び化学的特質によって変わることになる。
【0045】
実施例はすべて、顔の毛穴の1つ以上の領域の外観を改善するために使用されてもよい。
【0046】
【表1】
*1−Sigma−Aldrich(USA)から入手可能なヘキシルデカノール。
*2−SEPPIC(France)から入手可能なSepiwhite。
*3−Cognis GmbHから入手可能なEmulgade PL 68/50。
*4−SEPPIC(France)から入手可能なSepigel 305。
*5−Dow Corning,Inc.(Midland,MI)から入手可能なDow Corning DC1503。
【0047】
本発明の組成物は、一般に、局所塗布組成物を製造する技術分野において既知であるような従来の方法によって調製される。このような方法は、通常、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合して比較的均一な状態にするものである。一般に、乳濁液は、最初に水相物質を脂肪相物質とは別個に混合し、その後2相を適宜組み合わせて、所望の連続層を得ることにより調製される。組成物は、好ましくは、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)、及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。この最適化には、適切なpH(例えば7未満)、活性剤と錯体になり、ひいては安定性又は分配にマイナスの影響を与え得る物質の排除(例えば汚染鉄の排除)、錯体形成を防止する手法(例えば適切な分散剤又は二重区画包装)の使用、適切な光安定性の手法(例えば日焼け止め剤/日焼け防止剤の組み込み、不透明包装の使用)の使用などが含まれてもよい。
【0048】
III.処置方法
処置、塗布、調節又は改善の様々な方法として、前述した組成物を使用することができる。一実施形態では、本方法は、組成物により改善する顔の毛穴を識別する工程を含む。顔の毛穴は、使用者、又は例えば皮膚科医、美容師、若しくは他の介護者等の第三者により識別されてもよい。識別は、顔の毛穴の外観に基づいて、処置を必要とする皮膚を目視検査することにより行われてもよい。識別はまた、VISIA(登録商標)Complexion Analysisシステム(Canfield Scientific,Inc.(Fairfield,NJ)から入手可能)等の市販の撮像装置により行われてもよい。装置は、皮膚の画像を収集し、顔の毛穴を識別することが可能である。場合によっては、本方法は、組成物により処置するために複数の顔の毛穴を識別する工程を含む。顔の毛穴の識別は、額、口周囲、頤、眼窩周囲、鼻、及び/又は頬の皮膚表面を含む顔の任意の皮膚表面上で行われてもよい。いくらかの実施形態では、鼻及び頬の皮膚表面の顔の毛穴を標的としてもよい。
【0049】
本方法は、既に識別された可能性がある顔の毛穴に組成物を塗布する工程を含んでもよい。組成物を顔の毛穴に塗布する多数の処置計画が存在する。組成物は、処置期間中、少なくとも1日1回、1日2回、又は1日により頻繁に塗布されてもよい。1日2回塗布される場合、第1及び第2の塗布は、少なくとも1〜12時間の間隔を空ける。一般に、組成物は、朝及び/又は就寝前の夜に塗布され得る。
【0050】
処置期間は、顔の毛穴の外観の改善をもたらすのに十分な時間が理想的である。処置期間は、少なくとも約1週間であり得る。処置期間は、少なくとも約4週間又は約8週間の間継続する場合がある。所定の実施形態では、処置期間は、数ヶ月(即ち3〜12ヶ月)又は数年間にわたり延長するであろう。一実施形態において、組成物は少なくとも約4週間又は少なくとも約8週間の間の処置期間中、少なくとも1日1回顔の毛穴に塗布される。一実施形態において、組成物は少なくとも約4週間又は少なくとも約8週間の間の処置期間中、1日2回顔の毛穴に塗布される。
【0051】
組成物を顔の毛穴に塗布する工程は、局所的塗布により行われてもよい。組成物の塗布に関連して、用語「局所的な」、「局所」又は「局所的に」は、処置を必要としない皮膚表面への送達を最小限にしながら、組成物が標的範囲(顔の毛穴の領域等)に送達されることを意味する。組成物は顔の毛穴に塗布され、軽くマッサージされてもよい。局所的塗布によって適度の量の組成物が顔の毛穴に隣接した範囲に塗布される(即ち、組成物が、幾分拡がることなく顔の毛穴の境界線内に塗布される、又は境界線内に留まるとは考えにくい)ことが理解される。組成物又は皮膚科学的に許容可能なキャリアの形態は、局部的塗布を容易にするように選択されるべきである。本発明の特定の実施形態は、組成物を顔の毛穴に局所的に塗布することを意図するが、本発明の組成物は、1つ以上の顔の皮膚領域内の顔の毛穴の外観を低減するためにそれらの顔の皮膚表面により全般的に、つまり広く塗布され得ることが認識されるであろう。
【0052】
いくつかの実施形態では、組成物は局部的及び全般的な塗布に適した様々なアプリケーターにより送達されてもよい。別の実施形態では、組成物は、1つ以上の顔の毛穴の領域に、及びより一般的には、1つ以上の顔の皮膚表面に同時に(即ち、30分未満の時間にわたって、又はより典型的には5分未満の時間にわたって)塗布される。本明細書に記載するいくつかの方法は、本発明の組成物をアプリケーターで塗布することを想定しているが、アプリケーターは必要なく、本発明の組成物は人の指で直接、又は他の従来の様式で塗布できることが認識されるであろう。
【0053】
皮膚表面、特に顔の皮膚表面に全般的に塗布するにおいて、組成物の投与量は、塗布当たり(即ち、皮膚表面に対する1回の塗布当たり)約1〜約50
μL/cm
2であってもよい。
【0054】
顔の毛穴の外観を改善する1つの好適な方法は、有効量のヘキシルデカノールを含む組成物を皮膚表面上の顔の毛穴に局所的に塗布する工程を含み、組成物は、ヘキシルデカノールが顔の毛穴の外観を改善するのに十分な期間塗布される。顔の毛穴の外観を改善する別の好適な方法は、皮膚表面上の顔の毛穴を識別する工程と、有効量のヘキシルデカノールを含む組成物を皮膚表面上の顔の毛穴に塗布する工程と、を含み、組成物は、ヘキシルデカノールが顔の毛穴の外観を改善するのに十分な期間塗布される。
【0055】
VI.作用機序
理論に束縛されるものではないが、ヒアルロン酸(「HA」)産生を刺激する、及び/又はIL−1を調節することは、顔の毛穴の外観を改善する可能性があると考えられる。HAは、水中で自体の重量の約1000倍まで結合し、水分を吸い取るものとして作用することで皮膚の水分量に影響するとして知られているが、細胞外及び細胞内のHAサイクルを構成する酵素の工程はまだ完全に理解されていない。IL−1は炎症に関連し、炎症に寄与し、顔の毛穴をよりはっきりと見えさせる。したがって、HA産生及び/又はIL−1を調節する物質の有効量を塗布することは顔の毛穴の外観も改善する可能性がある。いくらかの実施形態では、ヘキシルデカノールはHA産生及び/又はIL−1を調節する物質として使用される。
【0056】
いくつかの実施形態によって、顔の毛穴の外観を改善する方法は、IL−1、及び/又はHA産生を調節する物質の有効量を含む組成物を顔の毛穴の領域に局所的に塗布する工程を含み、組成物は、該物質が顔の毛穴の外観を改善するのに十分な期間塗布される。
【0057】
他の実施形態では、顔の毛穴の外観を改善する方法は、(a)顔の皮膚表面上の顔の毛穴の領域を識別する工程と、(b)IL−1、及び/又はHA産生を調節する物質の有効量を含む組成物を顔の皮膚表面上の顔の毛穴の領域に塗布する工程と、を含み、組成物は、該物質が顔の毛穴の外観を改善するのに十分な期間塗布される。
【0058】
V.生体内試験
330の被験者を使用して、ラウンドロビン、ビヒクル調整、スプリットフェース(split face)設計を用いて、1週間の標準化期間を含む9週間のインビボでの試験を行った。
【0059】
処置計画−計画は、1週間のウォッシュアウト期間により開始した。毎朝、被験者は顔面を好適な洗浄剤(例えば、Olay Natural Science Deep Purify Cleanser、The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、適切な顔面側に保湿剤原料(stock moisturizer)(例えば、3%グリセリン、パンテノールなし、0.3% EDTA二ナトリウムを含有する表2に記載したビヒクル)を塗布し、5分間待機した後、紫外線遮断ローション(例えば、Olay Complete All Day Moisturizing Lotion SPF 15、The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から入手可能)を塗布する。毎晩、被験者は顔面を好適な洗浄剤(例えば、Olay Natural Science Deep Purify Cleanser、The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、保湿剤原料を塗布する。
【0060】
各被験者は、顔の左又は右側のいずれかに、2つのコード化試験製剤の1日2回の塗布を受ける。毎朝、被験者は顔を好適な洗浄剤(例えば、Olay Natural Science Deep Purify Cleanser、The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、適切な顔面側に試験製剤を塗布し、5分間待機した後、紫外線遮断ローション(例えば、Olay Complete All Day Moisturizing Lotion SPF 15、The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から入手可能)を塗布する。毎晩、被験者は顔面を好適な洗浄剤(例えば、Olay Natural Science Deep Purify Cleanser、The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、適切な顔面側に試験製剤を塗布する。参加者は、顔の各側に、0.5gの適切な試験製剤を塗布しなければならない。試験製剤は、指により穏やかな圧力を用いて円形動作で塗布される必要がある。試験製剤は、ビヒクルコントロール、及びビヒクル+ヘキシルデカノール5%を含む。これらの試験製剤を表2に示す。
【0061】
【表2】
*A−Sigma−Aldrich(USA)又はCognis(Germany)から入手可能なヘキシルデカノール。
*B−SEPPIC(France)から入手可能なSepigel 305。
*C−Dow Corning(Midland,MI)から入手可能なDow Corning 1503 Fluid。
*D−Cognis GmbH(Germany)から入手可能なEmulglade PL 68/50。
*E−Momentive Performance Materials(Albany,NY)から入手可能なTospearl 2000。
【0062】
顔面処置部位の画像は、ベースライン(第0週)、及び処置から4週後並びに8週後に取り込み、顔の毛穴の変化に関して分析する。画像収集前に、参加者の顔を、上記に引用した洗浄剤で洗浄し、乾燥させる(およそ20分間)。参加者の顔の右側及び左側の画像を収集する。ヘッドポジショニングを装着した標準照明ボックスに取り付けられた、顔の画像化に好適なレンズ(例えば、60mm Nikorレンズ)装備のディジタルカメラ(例えば、Fuji F2 Pro digital SLR)を使用して、画像を収集する。カメラの前のGretagMacbethニュートラル8.0のグレー色板紙を使って、カメラを毎日校正した。顔の左右のビューは標準化された。即ち、カメラのレンズから顔までの焦点距離が同じ、同じ倍率、カメラアングルが顔の表面に対して同じであるように同じヘッドポジション、照明がまったく同じである。画像を好適なカメラ分解能にて、RAWフォーマット等の好適なファイルフォーマットで保存する。照明は、フラッシュ源(例えば、約5327℃(5600K)の色温度を備える1000Wのストロボ)で提供される。カメラ及び照明に偏光フィルターが装備されて、鏡面反射を低減する。
【0063】
関心領域(ROI)、この場合は上頬部領域、を頬の周りの事前定義の12の顔の目印、例えば、目の隅、鼻橋部、口の隅に基づいて手で印をつけた。Optimusソフトウェアプラットフォームに基づいた画像解析アルゴリズムを使用して、ROIの顔の毛穴の度合いを客観的に定量化した。
【0064】
ROIは形状及びサイズが異なるので、全体的な毛穴の領域は、合計ROIサイズに基準化され、毛穴領域分画(PAF)即ち、顔の毛穴が占める分画したROI領域、が得られる。群統計的解析は、各被験者の顔の左右両側のPAF平均値を使用した。Stata 8.1(Stata Corp(Lakeway Drive College Station,Texas,USA))を統計的解析に使用した。多変量ロジスティック回帰分析で論理和の最尤推定量及び対応する95%信頼区間が得られた。画像から収集したデータを使用して、毛穴領域が存在することを表す毛穴領域分画を計算する。毛穴領域分画が小さいほど、顔の毛穴の外観のレベルが低下したことを表す。
【0065】
ヘキシルデカノールは8週間の間で最良に働き、対照よりも優れて毛穴領域分画を有意に(p<=0.10)下げた。
図1はこれらの結果を要約する。
【0066】
VI.試験方法
以下の方法は、本発明の様々な実施形態の所定の特徴及び利点を説明するために提供され、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0067】
A.IL−1抑制アッセイプロトコル
1.出発細胞
ヒトICAM−1プロモーター/ルシフェラーゼ・レポーターコンストラクト(pGL3基本プラスミド)、及びCMV−βgal/RSV−ネオ(neo)プラスミドDNA(クローンE1.3−22)で安定的に遺伝子導入した1バイアルのヒトECV304細胞を、M199(Gibco、カタログ番号11150−059、1倍液、Earle塩、Na重炭酸ソーダ、及びL−グルタミン含有500ml)、10%FBS(認定済み、加熱不活性化、Gibco、カタログ番号10082−147)、10
μg/mlゲンタマイシン(Gibco、カタログ番号15710−015、10mg/ml溶液(soln)(1000倍))、及び250μg/mlジェネテシン抗生物質(活性G418、Gibco、カタログ番号10131−035、50mg/ml溶液)で定義される、完全維持培地15mlと共に75cmフラスコに入れる。
【0068】
2.継代培養
細胞が85〜90%コンフルエント状態になると、培地を除去する。(10倍)トリプシンEDTA(Gibcoカタログ番号15400−039)をHBSSで(1倍)に希釈し、3mlの(1倍)トリプシンEDTAをフラスコに添加してすすぐ。トリプシンを除去し、新たに3ml/フラスコを加えて3〜4分間インキュベートする。フラスコの底を叩いて細胞を剥離させ、次に6mlの完全維持培地を添加してフラスコをよく洗浄し、液体をコニカルチューブに入れる。次に、追加の3mlの維持培地で各フラスコをすすぐ。200×g(3N066Bでおよそ900rpm遠心分離)で7分間チューブを回転させる。上澄みを吸引し10mlの維持培地で細胞を再懸濁する。10
μlの細胞懸濁液を血球計数器に入れて、5個の正方形中の細胞を計数する。数式−数えた細胞の合計数×希釈率×
104/数えた正方形の数=細胞/mlを使用する。例:細胞数114細胞×10×1000
0/5個の正方形=2.3×
106細胞/ml。これらの細胞を使用して、75cmフラスコ(500,000細胞/フラスコ)又は96ウェルプレート(以下を参照)のどちらかに播種する。
【0069】
3.化合物の試験
工程1−細胞を、白色組織培養処理済み96ウェルプレートに、10,000細胞/ウェルの密度で、組織培養処理済みプレートに10%加熱不活性化FBS、10
μg/mlゲンタマイシン、及び250
μg/ml G418を補充したMedium 199に60〜65時間播種する。(PerkinElmer Viewplates−96、白色、TC カタログ番号#6005181を使用した)。
【0070】
工程2−培地を除去し、10%加熱不活性化FBS、10
μg/mlゲンタマイシン、及び250
μg/ml G418を補充した100
μlフェノールレッドフリーMedium 199+/−10U/mlのIL−1β、+/−被化合物と交換する。
【0071】
実施例:IL−1の最終濃度が10U/mlになるように、各ウェルに11.1U/mlのIL−1と共に90
μlの培地、及び10
μlの化合物(化合物の最終濃度100
μM)を加える。100,000U/mlのIL−1ストックを使用する場合:11.1U/ml=50ml培地に5.55
μlのIL−1βストック(これは、およそ5個のプレートの十分な処理用培地である。)
【0072】
工程3−細胞を4時間インキュベートする。化合物処理を行った後、プレートをインキュベーターから取り出して、その後の試験用に−80℃で凍結させるか、工程4で試薬を添加する前に室温で放置し約30分間順応させるかのどちらかを行わなければならない。(プレートを凍結させる場合、工程4で試薬を追加する前に、室温になるまで放置する必要がある。)
【0073】
工程4−以前に再構成されたsteadylite基質(−80℃で貯蔵)を室温に解凍させ反転させてよく混合させる、又は凍結乾燥されたsteadylite基質をsteadylite HTS基質緩衝液で再構成する(キットの説明に従う)ことで新鮮な基質を作り基質が完全に溶解するまで反転させてよく混合させる。全てのアッセイ用に新鮮な試薬を作る。(あるいは、新鮮に調整された基質/溶解緩衝液は1カ月間−80Cで貯蔵され得る)。steadyliteアッセイを開始する前に:凍結したsteadylite基質の一定分量、及び/又は凍結した試験培地のサンプルを使用する場合、アッセイに必要となる時までに解凍し室温になるように、朝取り出しておく必要がある。冷たい基質及び/又はサンプルはアッセイ結果に有害な影響を及ぼす。
【0074】
工程5−100
μlの基質を培地/細胞に添加する。この工程は、工程が安全かつ正確に行われているのが研究者に見えるために必要な最低限の照明のみを備えた部屋で行なわれるべきである。
【0075】
工程6−プレートをTopSeal−Aで密閉してホイルで包み、細胞が溶解し反応が進み完全な信号が生成されるように穏やかに振って、5分間より長く(かつ5時間以下)待つ。Perkin−Elmer Life Sciences(USA)から入手可能なEnvision等の照度計を使用して発光を測定する。
【0076】
4.結果
上述した方法を一般に使用して、4つの複製のIL−1アッセイを、5%濃度のヘキシルデカノールを0.05%濃度まで希釈したものを使用して行った。ヘキシルデカノールはIL−1の刺激による活性化を4つの複製に対して、24%、18%、18%、及び21%ほど低減したことが分かった。
【0077】
B.ヒアルロン酸(HA)シンターゼ発現
1.ケラチノサイト培養:
個々の実験(バッチと呼ばれる)は、6つのビヒクル対照試料、2つの陽性対照試料、及び52つの個々の検査物質試料を含む60のAffymetrix GeneChips(登録商標)(「実例」と呼ばれる)から一般になる。検査物質の複製をバッチ全体で行う。GeneChip(登録商標)分析に十分なRNA(2〜4
μgの合計RNA収量/ウェル)を提供するために、生体外試験を6ウェルプレートで行う。テロメル化したヒトケラチノサイトを、コラーゲンIコート済み細胞培養フラスコ及びプレート(Becton Dickinson)上に1Xヒトケラチノサイト増殖サプリメント(Invitrogen)を加えたEpiLife(登録商標)培地で増殖させる。化学暴露前の24時間、細胞を20,000細胞/
cm2で6ウェルプレートに播種する。t=−24時間でT−75フラスコから細胞をトリプシン処理し、基本増殖培地で6ウェルプレートに蒔いた。t=0で培地を取り除き、実験計画法に従って適切な投与溶液と置換した。投与溶液を、前日殺菌済み4mlのFalconスナップキャップチューブに調製した。6時間の化学暴露後に、細胞を調べ画像化した。次に、細胞をβ−メルカプトエタノール(Qiagen)入りの350
μl/ウェルのRLT緩衝液で溶解し、96ウェルプレートに移し、−20℃で保存した。
【0078】
2.転写スクリーニング−遺伝子チップで分析されたRNA
トータルRNA分離:細胞を〜350
μlのRNEasy RLT緩衝液(QIAgen(Hilden,Germany))とβ−メルカプトエタノール、並びに400
μlのAgencourt RNAClean常磁性ビーズ(Beckman Coulter Genomics(Danvers,MA))に懸濁した。Affymetrix(Santa Clara,CA)GCAS装置の自動化に最適化されたRNEasyの手順の修正を使用してRNAを精製した。
【0079】
GeneChip標的合成及びGeneChip処理:1
μgの精製トータルRNAを、Ambion(Austin,TX)製MessageAmp IIキット及び提供されたプロトコルを使用して、cRNA GeneChip標的に変換した。20
μgのcRNA標的を断片化して、Affymetrix U133plus2.0アレイとハイブリッド形成させた。Affymetrix Expression Analysisプロトコルに従って、ハイブリッド形成、洗浄、及び走査を行った。標的合成及びGeneChip処理のための完全なプロトコルは、Affymetrixのウェブサイトに見出だすことができる(2010年11月15日現在www.affymetrix.com)。参照マニュアルは、P/N 702232 Revision 3著作権2005〜2005である。
【0080】
GeneChip解析:GeneChip走査をAffymetrix MAS5アルゴリズムを使用して表形式データに変換するが、これもAffymetrixのウェブサイト(www.affymetrix.com)に記載されている。
【0081】
データの出所及び特徴に応じて、t−検定、双散布図(scatter biplots)、及び主成分分析を含む様々な統計尺度を使用してデータの品質を判定した。
【0082】
データ分析:Affymetrixプローブセットをp−値によって順位序列をつけ、p−値>0.1で変化を示すプローブは有意でないとみなされるので分析から除外する。
【0083】
結果:上述の方法を一般に使用して、10マイクロモル濃度のヘキシルデカノールを投与したケラチノサイト細胞培養を6つのAffymetrix GeneChipsのマイクロアレイ解析によって処理した。HAS−2遺伝子(ヒアルロン酸シンターゼ−2遺伝子)に関連するプローブセットIDの転写発現レベルは、平均倍率変化1.336(p−値=0.0366)であった。
【0084】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきでない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法はそれぞれ、記載された値及びその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0085】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、あるいは、こうした文献が、単独で、又は他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、ある用語の任意の意味又は定義の範囲が、援用文献中の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中でその用語に与えられる意味又は定義が優先するものとする。
【0086】
以上、本発明の特定の実施形態を例示、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行いうる点は、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのような全ての変更及び改変を添付の特許請求の範囲において網羅するものとする。