(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動手段によって前記基板ステージが前記放熱面に対して接近する方向に移動した際に、前記サセプタは、前記リフト部から離間して前記サセプタ支持部に支持されることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
前記サセプタが前記サセプタ支持部に保持されたとき、前記爪部で載置されていた前記基板は前記載置部で支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の基板熱処理装置。
前記移動手段が前記基板ステージを前記放熱面から離間する方向に移動させたとき、前記リフト部は前記サセプタの下面と当接し、前記基板ステージに対して前記サセプタを上方の位置に支持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板熱処理装置。
前記爪部に前記基板が載置された際に、前記サセプタの上面より低い位置に前記基板の上面が配置されるように前記サセプタの上面は形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板熱処理装置。
前記サセプタ支持部の底部には貫通孔が設けられており、前記補完部の下面には、前記貫通孔に対して隙間を持った嵌め合いにより嵌め込まれる突起部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
図1、
図2、
図3は、本発明の実施形態に係る基板熱処理装置の全体概略であり、係る基板熱処理装置は真空処理室内で基板を加熱処理する。
図1は、基板の搬入又は搬出時の状態を示す断面模式図、
図2は、基板の加熱時の状態を示す断面模式図、
図3は、基板の冷却時の状態を示す断面模式図である。
図4は、
図1における基板ホルダユニット周りの拡大断面図、
図5は、
図2における基板ホルダユニット周りの拡大断面図である。
【0013】
図6は、
図4において、基板3がサセプタ32の載置部に載置されている状態を示す斜視図である。
図10は、サセプタ32を説明するための斜視図である。
図10に示すように、サセプタ32は、環状の円周方向に開口部が設けられたC字型の形状を有する。その内側に基板3を載置可能な爪部101(第1の基板載置部)が複数設けられている。
【0014】
図7は、
図5において、基板3が基板保持部31の載置部に移載されている状態を示す斜視図である。
図8は、基板保持部31を説明する模式図である。基板保持部31には、基板を載置可能な載置部62(第2の基板載置部)と、サセプタを支持するサセプタ支持部(凹部63)とが設けられている。
【0015】
図1〜
図3にそれぞれ示されるように、本実施形態に係る基板熱処理装置は、基板ホルダユニットAと、加熱ユニットBと、シャッタ装置Cとを真空チャンバD内に設けたものとなっている。
【0016】
基板ホルダユニットAは、最上段に基板ステージ1を備えている。加熱ユニットBは、基板ステージ1の上方に配置され、基板を載置可能な載置部62(第2の基板載置部)と対向する位置に放熱面2を備えている。加熱ユニットBは、載置部62(第2の基板載置部)に載置された基板3を放熱面2からの熱で加熱する。
【0017】
基板ホルダユニットAは、昇降装置Eにより昇降可能なもので、基板ステージ1と加熱ユニットBの放熱面2との近接と離間は、昇降装置Eの動作により制御することが可能である。昇降装置E(移動部)は、載置部62(第2の基板載置部)が放熱面2に対して所定の離間位置になるよう、基板ステージ1を移動させる。載置部62に基板3が載置されている場合、基板3の厚さを考慮して、基板3の表面と放熱面2との間の離間位置が昇降装置Eの動作により制御される。加熱ユニットBは、基板ホルダユニットAが
図2に示されるように上昇し、基板ステージ1上の基板3と放熱面2が近接された時に、基板3と非接触状態で、放熱面2からの輻射熱で基板3を加熱するものとなっている。
【0018】
基板ステージ1には、基板3を保持する基板保持部31が設けられている。基板保持部31の上面中央部には基板3を載置可能な載置部62が設けられている。
図4に示されるように、後述するサセプタ32は、基板3を載置した状態で、リフトピン8(リフト部)で持ち上げられた状態となっている。この状態で、外部のトランスファ室(不図示)との間で、基板3の受け渡しが行われる。外部のトランスファ室(不図示)との間での基板3の受け渡しは不図示の基板搬送用のロボットを使用する。ロボットアームの先端には、エンドエフェクタとしてフォークが設けられている。基板3をローディングする際に、基板搬送用のロボットはフォークを、サセプタ32の開口部の上方から下方に降下させて、フォーク上に載置された基板3をサセプタ32の爪部101(第1の基板載置部)に載置する。アンローディングの際に、基板搬送用のロボットはフォークを、サセプタ32の開口部の下方から上方に上昇させて、サセプタ32の爪部101に載置された基板3をフォーク上に移載する。このようにして基板搬送用のロボットは、加熱処理が施された基板3をサセプタ32の爪部101(第1の基板載置部)からフォークに載せ替えて、外部のトランスファ室に基板3を回収する。
【0019】
図2、
図5に示されるように、基板ホルダユニットAの上昇により基板ステージ1がリフトピン8より上方へ移動すると、基板ステージ1上に設けられている基板保持部31にサセプタ32が基板3とともに移載される(
図5)。
【0020】
図8は、基板保持部31の斜視図である。基板保持部31は、基板保持部ベース61のサセプタ支持部(凹部63)に、補完ブロック33が係合されて構成される。補完ブロック33は、サセプタ支持部とは別体に形成されるとともにサセプタ支持部に係合され、サセプタ支持部にサセプタ32が支持された状態で、サセプタ32が環状となるようにサセプタ32の開口部を補完する。補完ブロック33によって開口部が補完されたC字型形状のサセプタ32は、補完ブロック33との組み合わせにより環状形状となる。補完ブロック33は、サセプタ支持部(凹部63)に対する隙間を持った嵌め合い(係合)によりサセプタ支持部(凹部63)に配置されており、サセプタ支持部(凹部63)上を移動可能である。例えば、サセプタ32に発生した熱膨張や冷却による収縮、あるいはリフトピン8による昇降動作によって、サセプタ32の支持位置にずれが生じた場合であっても、補完ブロック33の移動によって、サセプタ32の支持位置のずれを吸収することができる。補完ブロック33が移動可能であることにより、サセプタ32の支持位置のずれによって、補完ブロック33にサセプタ32が乗り上げるような部材の干渉を回避することができる。
【0021】
基板保持部31の載置部62(第2の基板載置部)に基板3が載置され、第2の基板載置部が放熱面に対して所定の離間位置に位置する際に、サセプタ32は補完ブロック33(補完部)とで環状を形成し、基板3を包囲している。サセプタ32の内周および補完ブロック33(補完部)の内周は、基板3の外周を包囲している。このような状態で基板3を載置部62に載置することにより、加熱された基板3の外周から熱が放出するのを防ぐことができる。
【0022】
図9は、補完ブロック33を取り外した状態での基板保持部ベース61の斜視図である。
図11Aは、補完ブロック33を説明するための斜視図であり、
図11Bは、補完ブロック33を長辺横(側面)の方向から見た断面図である。
図9に示すように、基板保持部ベース61の中央部には、基板3を載置することが可能な載置部62(第2の基板載置部)が設けられている。また、基板保持部ベース61には、サセプタ32および補完ブロック33を保持する環状の凹部63が設けられている。凹部63はサセプタ支持部として機能する。凹部63の底部には、リフトピン8が貫通するための複数のリフトピン用貫通孔64、および複数の補完ブロック用貫通孔65が設けられている。なお、補完ブロック用貫通孔65は、貫通孔に限らず、溝であってもよい。補完ブロック33の下面(裏面)には突起部165が形成されており、この突起部165は補完ブロック用貫通孔65に対して隙間を持った嵌め合い(係合)により嵌め込まれる。
【0023】
補完ブロック用貫通孔65の内径は、突起部165の直径より大きく設計されている。このため、補完ブロック用貫通孔65の内径と突起部165の直径との寸法の差分(隙間)により、補完ブロック33は凹部63の周方向または凹部63の幅方向(半径方向)に移動可能である。例えば、補完ブロック用貫通孔65の内径は、突起部165の直径より0.5mm〜1.0mm大きく設定されている。
【0024】
基板3の加熱時にサセプタ32と補完ブロック33との隙間から熱が逃げるため、環状の凹部63にサセプタ32が配置された際、補完ブロック33とサセプタ32とは、凹部63の周方向に極力隙間なく配置されることが好ましい。載置部62の上面は、基板保持部ベース61の外周部上面より低くなるように構成されている。基板3の周辺から熱が逃げないようにして加熱効率を向上させるため、外周部上面およびサセプタ32の上面は、基板3が載置部62に載置された際に、基板3が、外周部上面およびサセプタ32の上面より低くなるような高さに設定することが好ましい。
【0025】
補完ブロック33およびサセプタ32は、共に輻射率が高く、吸収した熱を効率よく放射することができる同一の材料で形成されることが好ましい。例えば、熱分解カーボン(PG)、高純度カーボンなどを用いることができる。なお、サセプタ32と補完ブロック33を、
図12に示すように、噛み合い構造にすることもできる。噛み合い構造にすることにより、サセプタ32と補完ブロックの隙間から熱が逃げるのを防ぐため好ましい。
【0026】
図5に示すように、基板3が加熱ユニットBで加熱されると、加熱ユニットBからの輻射熱により、サセプタ32と補完ブロック33も加熱される。本実施形態では、補完ブロック33は基板保持部ベース61に対して別体として構成されている。また、サセプタ32も基板保持部ベース61に対して別体として構成されている。サセプタ32と補完ブロック33とから基板保持部ベース61へ伝わる熱は、補完ブロック33と基板保持部ベース61との境界で低減される。また、同様に、サセプタ32と基板保持部ベース61との境界でも低減される。補完ブロック33とサセプタ32とが、各々同一の材料で形成されている場合、補完ブロック33から基板保持部ベース61への熱伝導率と、サセプタ32から基板保持部ベース61への熱伝導率とは同一となる。
【0027】
この構成により、基板3の外周を包囲しているサセプタ32および補完ブロック33のうち、局所的に温度が低くなるような部分を無くすことができる。また、載置部62に載置され、加熱された基板3が局所的に冷却されることを防ぎ、高速加熱した場合でも、基板の面内温度分布の均一性の向上を図ることが可能になる。
【0028】
一方、引用文献1のように、外周部に馬蹄形サセプタが嵌まる切欠部をサセプタ本体が有する形状とした場合、馬蹄形サセプタを補完する部分(起立縁、切欠部等)は、サセプタ本体と一体に形成されることになる。補完する部分では熱が低減されることなく、サセプタ本体へ伝わる。一方、馬蹄形サセプタからサセプタ本体へ伝わる熱は、一体形成されている補完する部分に比べて低減される。馬蹄形サセプタの温度は補完する部分の温度に比べて高くなり、馬蹄形サセプタと補完する部分との間で温度差が生じる。このため、サセプタ本体に載置された基板の部分と、馬蹄形サセプタに載置された基板の部分とで温度差が生じ、基板は均一に加熱されなくなる。
【0029】
基板3が基板保持部31の載置部62(第2の基板載置部)に移載された際、基板3の上面は、サセプタ32の上面より低い位置で載置される。また、基板3の加熱時において、
図7に示すように基板3の外周(端部)がサセプタ32および補完ブロック33の内周部により包囲された状態になる。このような状態で基板3を基板保持部31に保持することにより、加熱された基板3の外周(端部)から熱が放出するのを防ぐことができる。
【0030】
図7に示すように、サセプタ32および補完ブロック33の外周部が、基板保持部31の外周部により包囲されているので、基板3の外周(端部)から熱が放出するのをさらに防ぐことができる。なお、載置部62に基板が完全に移載されなくても、爪部101(第1の基板載置部)により、基板3が爪部101(第1の基板載置部)上に保持された状態で加熱してもよい。
【0031】
基板ステージ1は、輻射率が高く、輻射熱を効率良く吸収し、吸収した熱を効率良く放射することができ、しかも高熱に耐えられる材料で構成されている。具体的にはカーボン又はカーボン被覆材料で構成された板状をなしている。基板ステージ1を構成するカーボンとしては、ガラス状カーボン、グラファイト、熱分解カーボン(PG)を挙げることができる。また、カーボン被覆材料としては、セラミックスにこれらのカーボンの1種又は2種以上の被覆を施した材料を挙げることができる。
【0032】
基板ホルダユニットAは、最上部に基板ステージ1、基板ステージ1の下に輻射板4、輻射板4の下に反射板5、そして最下部に冷却パネル6を備えたものとなっている。
【0033】
輻射板4は、基板ステージ1と同様に、カーボン又はカーボン被覆材料で構成された板状をなすもので、基板ステージ1の下側に間隔をあけて配置されている。この輻射板4は、基板ステージ1の下面と対向して設けられており、基板3の加熱時に、基板ステージ1の下面から放射される熱を捕らえ、捕らえた熱を基板ステージ1に対して輻射する。これによって基板ステージ1の熱放射による温度低下を抑制することができるので、急速加熱が行いやすくなる。
【0034】
輻射板4の下側(輻射板4が1枚の場合のその輻射板4又は輻射板4が複数枚の場合の最下部の輻射板4の下側)には、それぞれ間隔をあけて、2枚の反射板5が設けられている。反射板5は、モリブテン、タングステンなどの高融点金属、ニッケル合金、ニッケル基超合金などの合金、あるいは、金属炭化物、金属窒化物で構成されており、少なくとも輻射板4側の(上面)には鏡面仕上げが施されている。反射板5は基板ステージ1、輻射板4から放射される熱を反射するものである。
【0035】
冷却パネル6は、例えば、水冷機構などで冷却されるパネル体で、基板ステージ1、輻射板4及び反射板5の下面に対向して設けることで、基板3の冷却時に、上方に位置するこれらの部材を均一且つ迅速に冷却することができる。
【0036】
基板ステージ1、輻射板4、反射板5は、それぞれアルミナセラミックスやジルコニウムオキサイドセラミックスなどの耐熱・断熱性材料を介在させて、連結ネジ11で冷却パネル6上に支持されている。また、冷却パネル6は、昇降装置E(
図1参照)の昇降軸12の先端部に接続されている。後述するように、昇降装置Eは冷却パネル6を昇降軸12の軸方向に上下に昇降させるもので、冷却パネル6の上下動に伴い、冷却パネル6の上方に構成されている基板ホルダユニットAが昇降されるものとなっている。
【0037】
基板ホルダユニットAには、基板ホルダユニットAを構成している基板ステージ1、輻射板4、反射板5及び冷却パネル6を貫通するリフトピン用貫通孔が複数箇所形成されている。リフトピン用貫通孔の位置に対応して、真空チャンバDの底部に複数本のリフトピン8が立設されている。リフトピン8は、複数の異なる部材(構成部材)から構成されることが好ましい。例えば、リフトピン8が3つの部材から構成される場合、サセプタ32の下面に対して一の端部で当接する第1の部材と、第1の部材の他の端部と接続する第2の部材と、第2の部材の他の端部と接続する第3の部材とを有する。この場合、それぞれの構成部材の輻射率の関係は、第1の部材の輻射率>第2の部材の輻射率>第3の部材の輻射率なる関係を有する。このように、基板ステージ1側のリフトピン8の輻射率を、より高くする構成にすることで、リフトピン8の先端と接触するサセプタ32からの放熱を低減することができる。尚、リフトピン8の構成は、あくまでの例示的なものであり、本発明の趣旨は、リフトピン8が3つの部材から構成される場合に限定されるものではない。
【0038】
サセプタ32に一番近いリフトピン8の部材(第1の部材)として、輻射率が高く、基板ステージ1と同様に輻射により高温に加熱できる熱分解カーボン(PG)を用いることが好ましい。また、第1の部材の下端側の第2の部材には、第1の部材より、輻射率、熱伝導率が低い、タンタルカーバイド(TaC)、チタンカーバイド(TiC)、タングステンカーバイド(WC)などのカーバイドとすることが望ましい。第2の部材の下端側に配置され、水冷パネルに接続される第3の部材は、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)などの高融点金属または、タンタルカーバイド(TaC)などのカーバイドとすることが好ましい。ここで、第3の部材は、第2の部材より、輻射率、熱伝導率が低いことが好ましい。
【0039】
リフトピン8を上記のように異なる複数部材で構成することにより、サセプタ32が
図4、6のようにリフトピン8で支持される場合でも、リフトピン8を通してサセプタ32から冷却パネル6へ熱が流出するのを抑制できる。そのため、基板搬出時における基板の局所的に急冷による基板の結晶歪が抑制される。
【0040】
図4においては、リフトピン用貫通孔13を介して、真空チャンバDの底部に立設された複数本のリフトピン8が基板ステージ1上に突出している。リフトピン8は、サセプタ32を先端で持ち上げ支持可能な位置に配置され、サセプタ32を支持するために必要な本数が設けられている。
図4の状態から基板ホルダユニットAが上昇して基板ステージ1がリフトピン8より上方へ移動すると、サセプタ32は基板保持部31のサセプタ支持部により支持され、基板3は基板保持部31の載置部62(第2の基板載置部)に載置される。
【0041】
また、サセプタ32がサセプタ支持部により支持され、かつ、基板3が載置部62上に載置された状態で基板ホルダユニットAが下降すると、リフトピン8がリフトピン用貫通孔13を介して基板ステージ1上に突出する。そして、サセプタ32がリフトピン8の先端で持ち上げ支持され、
図4の状態となる。
【0042】
基板ステージ1の基板保持部31の中央部直下には、輻射板4、反射板5及び冷却パネル6を貫通して、測定孔14が形成されている。この測定孔14は昇降軸12の中心に形成された測定孔15と一連に連なっている。この測定孔14,15は、
図1に示される温度測定器16により、石英製の熱赤外線透過窓を介して基板ステージ1からの放射熱を測定するためのものである。温度測定器としては、放射温度計を用いることができる。
【0043】
加熱ユニットBは、放熱面2と、この放熱面2を加熱するためのヒーター28を備えたもので、ヒーターとしては、電子衝撃加熱方式のヒーター、高周波誘導加熱方式のヒーター、抵抗加熱方式のヒーターなどを用いることができる。放熱面2は、耐熱性黒色表面で、例えばガラス状カーボン、熱分解カーボン、アモルファスカーボンなどのカーボンコーティングにより得ることができる。放熱面2をこのようなカーボンコーティング面とすると、真空中での脱ガスとパーティクルの発生も抑えることができる。
【0044】
シャッタ装置Cは、
図1〜
図3に示されるように、基板ホルダユニットAが降下し、基板ステージ1と加熱ユニットBの放熱面2とが離間された時に、シャッタ17を基板ステージ1と放熱面2との間に進退させることができるものとなっている。シャッタ装置Cは、シャッタ17を進退させるためのシャッタ駆動装置18を備えている。
【0045】
シャッタ17は、熱隔壁として機能する。シャッタ17は、
図1及び
図3に示されるように、基板ホルダユニットAが下降し、基板ステージ1と放熱面2とが離間されている時に、基板ステージ1と放熱面2との間に進出し、放熱面2から基板ステージ1側へ熱が照射されるのを遮る。また、基板ホルダユニットAの上昇時には、シャッタ駆動装置18で回転移動され、基板ステージ1と放熱面2との間から
図2に示される位置(
図1では破線で示す)へ後退される。シャッタ17は、基板ホルダユニットAが上昇した後、再びシャッタ17が邪魔にならない位置まで下降するまでの間、後退位置に維持される。
【0046】
シャッタ装置Cは、シャッタ17の進出時に、基板ステージ1及び基板ステージ1上の基板3の冷却を促進できるよう、例えば、水冷機構など、シャッタ17の冷却部を有していることが好ましい。冷却部で冷却する場合、シャッタ17は、ステンレス鋼やアルミニウム合金で構成することができる。また、進出時に加熱ユニットBの放熱面2と対向する側の面(上面)は、鏡面仕上げを施した反射面とし、放熱面2からの熱を遮断しやすくしておくことが好ましい。進出時に基板ホルダユニットAの基板ステージ1と対向する側の面(下面)は、耐熱性黒色表面である吸熱面とし、基板ステージ1及び基板ステージ1上の基板3の冷却を迅速に行えるようにしておくことが好ましい。吸熱面は、黒色アルマイトなどの黒色材料で壁面を構成する他、ガラス状カーボン、熱分解カーボン、アモルファスカーボンなどのカーボンコーティングによっても得ることができる。
【0047】
シャッタ17で積極的に基板ステージ1及び基板ステージ1上の基板3を冷却する場合、基板ホルダユニットAの降下位置を2段階に設定しておくことが好ましい。つまり、基板ステージ1及び基板3がシャッタ17の下面と近接する冷却位置と、基板ステージ1及び基板3とシャッタ17の下面との間に、基板3を出し入れするのに十分な間隔が得られる搬入出位置(基板受け入れ位置)の二段階とすることが好ましい。冷却位置は、
図3に示される基板ホルダユニットAの位置である。また、搬入出位置(基板受け入れ位置)は、
図1に示される基板ホルダユニットAの位置である。
【0048】
シャッタ17の冷却部は、基板3の加熱温度領域によっては省略することもできる。この場合、シャッタ17はモリブテン、タングステンなどの高融点金属で構成することが好ましい。また、冷却部を設けない場合でも、放熱面2からの熱の遮断と、基板ステージ1及び基板ステージ1上の基板3の冷却促進とを図るために、放熱面2との対向面は反射面とし、基板ステージ1との対向面は吸熱面としておくことが好ましい。
【0049】
真空チャンバDは、アルミニウム合金などで構成された筐体で、壁内に水冷機構の水冷用流路19が設けられている。また、基板3の搬入、搬出時に開閉されるスリットバルブ20と、内部を真空雰囲気に排気するために排気系に接続される排気口21を備えている。水冷用流路19に冷却水を流すことにより、真空チャンバDの筐体の温度が過度に上昇するのを防ぐことができる。
【0050】
真空チャンバDは、下側の第一室22と、第一室22の上方に連なった第二室23を備えている。加熱ユニットBは、上方に位置する第二室23に放熱面2を下に向けて設けられている。基板ホルダユニットAは、第一室22と第二室23間を昇降可能なもので、上昇時に、
図2に示されるように、第一室22と第二室23間を冷却パネル6部分で塞いだ状態で、基板ステージ1と加熱ユニットBの放熱面2とを接近させるものとなっている。このようにして基板3の加熱を行うと、第二室23で生じた熱がその下方の第一室22へ漏れにくくなり、加熱後に基板ホルダユニットAを第一室22へ降下させて行われる冷却をより迅速に行うことができる。また、真空チャンバDの内面、特に第二室23の内面は、加熱効率を向上させることができるよう、鏡面仕上げを施しておくことが好ましい。
【0051】
昇降装置Eは、上端が基板ホルダユニットAの冷却パネル6に接続された昇降軸12と、昇降軸12の下端部分に取り付けられた昇降アーム24と、昇降アーム24が螺合するボールネジ25とを備えている。また、ボールネジ25を正逆両方向に回転させることができる回転駆動装置26と、昇降軸12と真空チャンバD間の摺動部を覆い、真空チャンバD内の気密性を高めると共に、昇降軸12の上下動に伴って伸縮する蛇腹状カバー27も備えている。この昇降装置Eは、回転駆動装置26でボールネジ25を正又は逆回転させることで、このボールネジ25と螺合している昇降アーム24を上昇又は下降させ、それに伴って昇降軸12を上下にスライドさせて、基板ホルダユニットAを昇降させるものである。
【0052】
なお、上記では真空チャンバ説明したが、真空チャンバを用いない場合には、アルゴンガスなどの不活性ガスでチャンバ内を充填しておく必要がある。
【0053】
次に、上記基板熱処理装置の駆動状態について説明する。
【0054】
まず、
図1に示されるように、スリットバルブ20を開放して、基板3を真空チャンバD内へ搬入する。基板3の搬入は、例えば以下に述べるように、ロボットで基板3を真空チャンバD内に持ち込み、
図1及び
図4に示されるように、基板3をサセプタ32上に載せて支持させることで行うことができる。
【0055】
真空チャンバDのスリットバルブ20部分は、通常、ロボットを収容したトランスファ室(図示されていない)を介してロード/アンロードロック室(図示されていない)に連結されている。基板3は、まずロード/アンロードロック室にセットされる。室内の荒引き排気後、トランスファ室との間が開放され、更に排気を進めた後、スリットバルブ20が開放され、トランスファ室のロボットにより、ロード/アンロードロック室から基板3をピック・アンド・プレイスによりサセプタ32に載せる。ロボットアームの先端には、エンドエフェクタとしてフォークが設けられている。基板3を搬入する際、ロボットアームのフォークは、サセプタ32の開口部の上方から下方に移動する。このようなフォークの移動により、フォーク上に載置された基板3はサセプタ32の爪部101に載置される。一方、基板3を搬出する際、ロボットアームのフォークは、サセプタ32の開口部の下方から上方に移動する。このようなフォークの移動により、サセプタ32の爪部101に載置された基板3は、フォーク上に載置される。基板3が載置されたフォークをサセプタ32の開口部から後退させることにより基板3を排出することができる。
【0056】
基板3をサセプタ32の爪部101に載置した後、ロボットアームを後退させて、スリットバルブ20を閉じる。真空チャンバD内を独立した真空室とした後、シャッタ17を後退させ、基板ホルダユニットAを上昇させる。サセプタ32の爪部101に載置されている基板3を基板保持部31ですくい取った後、更に基板ホルダユニットAを上昇させて、
図2及び
図5に示されるように、基板ステージ1と、加熱ユニットBの放熱面2とを近接させる。この時、少なくとも基板3は放熱面2と非接触状態であることが必要である。放熱面2および基板3の大きさ、加熱温度、加熱ユニットBの加熱力などにもよるが、放熱面2と基板3との間隔は1〜25mmとすることが好ましい。
【0057】
次いで加熱ユニットBのヒーター28をオンにし、放熱面2からの輻射熱で基板3を加熱する。例えば加熱温度が1900℃の場合、温度測定器16で測定される基板ステージ1の温度が1900℃になるまで加熱を継続し、1900℃に達した後、所定のアニール時間(例えば1分程度)が経過するまでこの温度を保持する。
【0058】
上記アニール時間経過後、加熱ユニットBのヒーター28をオフにし、自然冷却を開始する。これと共に、基板ホルダユニットAを前記した冷却位置(基板ステージ1及び基板3がシャッタ17の下面と近接する位置)まで降下させる。そして、シャッタ17を、基板ホルダユニットAの基板ステージ1と、加熱ユニットBの放熱面2との間に進出させ、冷却を促進する。そして、基板3が取り出しに支障のない温度(例えば200℃)にまで冷却する。冷却後、基板ホルダユニットAを前記した搬入出位置(基板ステージ1及び基板3とシャッタ17の下面との間に、基板3を出し入れするのに十分な間隔が得られる位置)まで降下させる。冷却位置から搬入出位置までの降下の間に、サセプタ32はリフトピン8上に移し取られ、サセプタ32の爪部101に載置されている基板3は取り出しやすい状態となる。基板ホルダユニットAが搬入出位置まで降下した後、スリットバルブ20を開き、トランスファ室(図示されていない)のロボットアームの先端のフォークにてサセプタ32から基板3を取り出す。
【0059】
サセプタ32は基板3の加熱時には高温で加熱され、基板3の取り出し時には基板3の取り出しに支障のない温度まで冷却される。このため、サセプタ32は、加熱による熱膨張後、冷却により収縮することになる。また、サセプタ32はリフトピン8により昇降されるので、熱膨張と収縮と昇降動作との影響により、リフトピン8上におけるサセプタ32の支持位置にずれが生じることもある。しかしながら、補完ブロック33は、サセプタ支持部(凹部63)に対する隙間を持った嵌め合い(係合)により凹部63に配置されているので、サセプタ32が、凹部63に移載される際に補完ブロックに33に乗り上げることなく移載される。そのため、加熱ユニットBの放熱面2と基板3との間隔は均一となり、基板3を均一に加熱することができる。
【0060】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0061】
本願は、2011年12月27日提出の日本国特許出願特願2011−286544を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。